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特許拒絶査定不服審判

2019-005340

判定装置、判定方法、及び判定プログラム

審判番号
2019-005340
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-157868外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年04月22日
審決日
2020年12月24日
公報発行日
2021年04月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06F) / P18 .537-WZ (G06F) / P18 .574-WZ (G06F) / P18 .575-WZ (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-157868「判定装置、判定方法、及び判定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月 7日出願公開、特開2019- 36190〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成29年 8月18日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 8月 2日付け:拒絶理由通知書 平成30年10月 5日  :意見書,手続補正書の提出 平成30年10月31日付け:拒絶理由通知書(最後) 平成30年12月28日  :意見書,手続補正書の提出 平成31年 1月 9日付け:補正の却下の決定 平成31年 1月 9日付け:拒絶査定 平成31年 4月22日  :審判請求書,手続補正書の提出 令和 2年 7月 8日付け:補正の却下の決定,拒絶理由通知書(最後) 令和 2年 9月11日  :意見書,手続補正書の提出 第2 令和2年9月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年9月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項10の記載は,補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載のとおりに補正された(下線部は,補正前の請求項1を引用する請求項10に対しての補正箇所であって,当審が付与した。)。 「【請求項1】 判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置され,音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられたセンサであって,音を検知するセンサにより検知された音声情報であるセンサ情報を取得する取得部と, 前記取得部により取得された前記センサ情報を用いて,前記空間内における前記音声アシスト端末の周囲において出力されるコンテンツを推定する推定部と, 前記センサ情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて,前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかを判定する判定部と, 前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供することにより,サービスを提供する提供部と, を備えたことを特徴とする判定装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の,平成30年10月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項10の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置されたスマートスピーカに設けられたセンサであって,音を検知するセンサにより検知された音声情報であるセンサ情報を取得する取得部と, 前記取得部により取得された前記センサ情報を用いて,前記空間内における前記スマートスピーカの周囲において出力されるコンテンツを推定する推定部と, 前記センサ情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて,前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかを判定する判定部と, を備えたことを特徴とする判定装置。」 「【請求項10】 前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,サービスを提供する提供部, をさらに備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の判定装置。」 2 補正の適否 本件補正は,補正前の請求項10に記載した事項のうち,「スマートスピーカ」について,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末」と記載することにより,当該請求項に係る発明の技術的範囲を明確にするものであり,特許法第17条の2第5項第4号に規定する,明りょうでない記載の釈明を目的とする補正に該当する。 また,本件補正は,本件補正前の請求項10に記載された発明を特定するために必要な事項である「提供部」について,提供部が提供するサービスの内容が「情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供する」ものである旨の限定を付加するものであって,補正前の請求項10に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 上記のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明,及び同条同項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,国際公開第2014/207833号(平成26年12月31日国際公開。以下「引用文献1」という。)には,図面とともに次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「技術分野 [0001] 本発明は,広告効果分析システム,広告効果分析装置および広告効果分析用プログラムに関し,特に,放送番組と共に録画された広告やウェブブラウザ上で流される広告の視聴に関して広告の効果を分析するシステムに用いて好適なものである。 背景技術 [0002] 従来,商品やサービスの販促活動の一環として,CM(広告)を流すことが一般的に行われている。CMはテレビ放送で流されるものが代表的であるが,最近では動画視聴サービスやブラウザゲームのようにウェブブラウザ上でも動画CMが流されることが多くなってきている。CMを提供する広告主にとって,CMが視聴者にどの程度視聴されているかは重大な関心事であり,CMの視聴率を測定することが求められている。また,どのような属性の視聴者にCMがよく見られているのかを分析することも求められている。」 「[0018] 以下,本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は,本実施形態による広告効果分析システムの構成例を示す図である。図1に示すように,本実施形態の広告効果分析システムは,コンテンツ再生装置11,撮像装置としてのカメラ12,音声入力装置としてのマイク13,データ送信装置14および広告効果分析装置20を備えている。 [0019] コンテンツ再生装置11,カメラ12,マイク13およびデータ送信装置14は,CMの視聴者となるユーザの各家庭101,102,103,・・・(クライアント)に設置される。データ送信装置14は,インターネット200等の通信ネットワークを介して広告効果分析装置20(サーバ)に接続されている。」 「[0024] データ送信装置14は,カメラ12により撮影された画像データおよびマイク13により入力された音声データを,インターネット200を介して広告効果分析装置20に送信する。データ送信装置14がデータを送信するタイミングは,任意に設定することが可能である。」 「[0027] 広告効果分析装置20は,各家庭101,102,103,・・・に設置された複数のデータ送信装置14からそれぞれ送信された画像データおよび音声データに基づいて,テレビ放送や動画データの中で流されたCMの効果を分析する。 [0028] 具体的には,広告効果分析装置20は,CMの効果を分析するための機能構成として,データ受信部21,広告識別部22,広告音声記憶部23および分析処理部24を備えている。ここで,データ受信部21,広告識別部22および分析処理部24の各機能ブロックは,ハードウェア,DSP(Digital Signal Processor),ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。」(「広告効果分析装置14」は,「広告効果分析装置20」の明らかな誤記である。) 「[0031] データ受信部21は,各家庭101,102,103,・・・に設置された複数のデータ送信装置14からそれぞれ送信された画像データおよび音声データを受信する。 [0032] 広告識別部22は,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データに基づいて,コンテンツ再生装置11により再生された広告情報を識別する。具体的には,広告識別部22は,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データと,比較用のデータとしてあらかじめ広告音声記憶部23に記憶された広告音声データとを照合することにより,コンテンツ再生装置11により再生された広告情報を識別する。」 「[0036] 分析処理部24は,データ受信部21により音声データと共に受信された一連の画像データのうち,広告識別部22により識別されたCMがコンテンツ再生装置11により再生されている期間にカメラ12により撮影された画像データに基づいて,視聴者の動作を分析することにより,広告識別部22により識別されたCMの効果を分析する。CMが再生されている期間は,広告識別部22より供給されるCMの再生時間により特定することが可能である。 [0037] 具体的には,分析処理部24は,コンテンツ再生装置11によりCMが再生されている期間にカメラ12により撮影された画像データに基づいて顔認識処理を行うことにより,CMが再生されている期間に視聴者がコンテンツ再生装置11の方を向いているか否かを判定し,向いていると判定された場合に,そのCMを視聴者が実際に視聴しているとして視聴率を算出する。例えば,カメラ12,マイク13およびデータ送信装置14が設置されている家庭の数を母数とする。一方,広告識別部22より識別されたCMを視聴していたと分析処理部24により判定された数をカウントする。そして,カウントした視聴数の母数に対する割合から視聴率を算出する。」 以上より,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「CMの視聴率を測定する広告効果分析システムであって([0001],[0002]), 広告効果分析システムは,コンテンツ再生装置11,撮像装置としてのカメラ12,音声入力装置としてのマイク13,データ送信装置14および広告効果分析装置20を備え([0018]), カメラ12,マイク13およびデータ送信装置14は,CMの視聴者となるユーザの各家庭101,102,103,・・・に設置され([0019]), データ送信装置14は,カメラ12により撮影された画像データおよびマイク13により入力された音声データを,インターネット200を介して広告効果分析装置20に送信し([0024]), 広告効果分析装置20は,データ受信部21,広告識別部22,広告音声記憶部23および分析処理部24を備えており([0028]), データ受信部21は,各家庭101,102,103,・・・に設置された複数のデータ送信装置14からそれぞれ送信された画像データおよび音声データを受信し([0031]), 広告識別部22は,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データに基づいて,コンテンツ再生装置11により再生された広告情報を識別し([0032]), 分析処理部24は,コンテンツ再生装置11によりCMが再生されている期間にカメラ12により撮影された画像データに基づいて顔認識処理を行うことにより,CMが再生されている期間に視聴者がコンテンツ再生装置11の方を向いているか否かを判定し,向いていると判定された場合に,そのCMを視聴者が実際に視聴しているとして視聴率を算出する([0037]), 広告効果分析システム([0018])。」 イ 引用文献2 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,Shelly Palmer/江端 浩人,Alexaを不正に使用する5つの“ヤバイ”方法,[online],2017年1月24日,[検索日:令和2年6月15日],URL,https://backyard.imjp.co.jp/articles/shelly_blog_46(以下「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「注意:このコラムでは,言語処理エンジンを代表して「Alexa」という名称を使用している。あなたがAmazonのEchoデバイスを所有している場合には,「Alexa」の呼びかけを「Echo」または「Amazon」に置き換え,GoogleまたはAppleデバイスを使用している場合は,「OK Google」または「Hey Siri」等,それらのシステムを起動する単語に置き換えてください。」 「3-オンデマンドすべて 「Alexa,ジェニファー・アニストンが今着ているセーターを注文したいの」 「Alexa,この曲を私のプレイリストに入れて」 「Alexa,私のためにこの曲(ビデオ,映画,テレビシリーズ)を無料で入手して」 これは「すぐにでも実現する」機能だろう。Alexaが常に聞いているとするなら,曲,ビデオ,映画,TVシリーズ,オーディオブック,45回転のアナログレコード(懐かしい!),または他のオーディオソースからのオーディオなどを簡単にパターン化してコマースエンジンの注文画面に設定できるだろう。Amazonは自由世界で最も大きい小売サービスであり,この機能は最初に私が言ったように,既に進行中だ。 4-テレビの視聴率調査 あなたがメディアのビジネスに関わっていない限り,おそらくテレビの視聴率を調査するために使われた,古風な方法を知らないだろう。そのやり方について,ここで説明してあなたを退屈させるようなことはしない。しかし,Alexaは常に聞いているため,その気になれば,リアルなテレビ視聴率を調査することが可能なのだ(もちろん,ユーザーの契約合意なしでは違法である)。 Amazonはエコーデバイスの所有者を知っているのだ。実際のところ,Amazonは,あなたの連絡先情報,クレジットカード情報,購入履歴,ストリーミング履歴(Amazon Prime加入者の場合)など,広告主が必要とするであろう,あなたに関する全ての情報を把握している。 想像してみてほしい。あなたが再生しているコンテンツをAlexaが特定するだけでなく,その場でそのコンテンツについて他の誰かと話した場合には,その会話の内容もAlexaに聞かれているかもしれないことを……。少しの機械学習と数多くのメディアモデリングを適用すれば,Amazonはこれまでに作成された最も効果的なマーケティングデータセットを所有することができるのだ。そう,まるで……,スカイネット,エンパイア,ファースト・オーダーのように……。いや,実際のところ,私には何に例えるのがいいのか分からないのだが……。」 「筆者(Shelly Palmer)注:これはスポンサーされた記事ではない。私がこの記事の筆者であり,自分の意見を述べている。また,私はいくつかのAmazon Echos,Echo Dots,Google Homeのユニット,「OK Google」が有効になっているAndroidデバイス,および相当数のSiri対応のAppleデバイスを所有している。この記事の目的は,ASRとNLUシステムが実現してくれるであろう未来についての消費者の議論を刺激するものであり,この分野の進展を制限したり,減速させたり,抑制することを示唆するものではありません。」 以上より,引用文献2には,「AmazonのEchoデバイスは,「Alexa,ジェニファー・アニストンが今着ているセーターを注文したいの」などと呼びかけると,オーディオなどをパターン化してコマースエンジンの注文画面に設定できる」という技術事項,及び「AmazonのEchoデバイスにより常に集音し,テレビ視聴率を調査する」という技術的事項が記載されていると認められる。 ウ 引用文献3 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,米国特許出願公開第2015/0271465号明細書(2015年9月24日公開。以下「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「[0019] In operation, a viewer sensor 106 generates sensor data 108 in a presentation area of the A/V player 104. The viewer sensor 106 can include a digital camera such as a still or video camera that is either a stand-alone device, or is incorporated in any one of the devices 10, 20, 30 or 40 or other device that generates sensor data 108 in the form of image data. In addition or in the alternative, the viewer sensor 106 can include an infrared sensor, thermal imager, background temperature sensor or other thermal sensor, an ultrasonic sensor or other sonar-based sensor, a proximity sensor, an audio sensor such as a microphone, a motion sensor, brightness sensor, wind speed sensor, humidity sensor and/or other sensor for generating sensor data 108 that can be used by viewer analysis module 120 for determining the presence of viewers, for identifying particular viewers and/or for characterizing their activities. [0020] A user analysis module 120 analyzes the sensor data 108 to generate the A/V control data 122. For example, the user analysis module 120 analyzes the sensor data 108 to detect a number of users of the A/V player 104 and their activities. The user analysis module 120 generates, based on the analysis of the sensor data 108, A/V control data 122 for controlling the A/V player 104. The AV control data 122 can include one or more audio control parameters, such as volume, dynamic range, and individual speaker controls or other audio parameters and/or one or more video control parameters such as pause, resume, contrast, brightness, three-dimensional (3D) presentation angle or other video parameters.」 (当審訳) 「[0019] 動作中,ビューアセンサ106は,A/Vプレーヤ104の提示領域にセンサデータ108を生成する。ビューアセンサ106は,静止画またはビデオカメラのようなデジタルカメラを含み得るが,これは,単体の装置であるか,または装置10,20,30,40のいずれか1つに組み込まれているか,または画像データの形でセンサデータ108を生成する他の装置である。追加的または代替的に,ビューアセンサ106は,赤外線センサ,熱イメージャ,背景温度センサまたは他の熱センサ,超音波センサまたは他のソナーベースのセンサ,近接センサ,マイクロフォンのようなオーディオセンサ,モーションセンサ,明るさセンサ,風速センサ,湿度センサおよび/または他のセンサを含むことができ,これは,ビューアの存在を決定するために,特定のビューアを識別するために,および/またはその活動を特徴付けるために,ビューア分析モジュール120によって使用され得るセンサデータ108を生成するためのセンサを含むことができる。 [0020] ユーザ解析モジュール120は,センサデータ108を解析してA/V制御データ122を生成する。例えば,ユーザ分析モジュール120は,センサデータ108を分析して,A/Vプレーヤ104のユーザの数とその活動を検出する。ユーザ解析モジュール120は,センサデータ108の解析に基づいて,A/Vプレーヤ104を制御するためのA/V制御データ122を生成する。AV制御データ122は,音量,ダイナミックレンジ,個々のスピーカ制御などの1つ以上のオーディオ制御パラメータ,または他のオーディオパラメータ,および/または一時停止,レジューム,コントラスト,明るさ,3次元(3D)提示角度,または他のビデオパラメータなどの1つ以上のビデオ制御パラメータを含むことができる。」 「[0033] For example, a user can be determined to be watching closely if the face is pointed at the display screen and the eyes are open except during blinking events. Further other aspects of the face such as the eyebrows and mouth may change positions indicating that the user is following the display with interest. A user can be determined to be not watching closely if the face is not pointed at the display screen for more than a transitory period of time. A user can be determined to be engaged in conversation if the face is not pointed at the display screen for more than a transitory period of time, audio conversation is detected from one or more viewers, the face is pointed toward another user and/or if the mouth of the user is moving. A user can be determined to be sleeping if the eyes of the user are closed for more than a transitory period of time and/or if other aspects of the face such as the eyebrows and mouth fail to change positions over an extended period of time.」 (当審訳) 「[0033] 例えば,顔が表示画面に向けられており,まばたきイベントの間を除いて目が開いている場合,ユーザは注意深く見ていると判断することができる。眉毛や口のような顔のさらに他の側面は,ユーザが興味を持ってディスプレイに追従していることを示す位置に変化してもよい。一過性の時間以上,顔が表示画面に向けられていない場合には,ユーザは注視していないと判断することができる。一過性の期間を超えて顔が表示画面に向けられていない場合,音声による会話が1人以上の視聴者から検出される場合,顔が他のユーザに向けられている場合,および/またはユーザの口が動いている場合に,ユーザが会話に従事していると判断することができる。ユーザの目が一過性の期間を超えて閉じられている場合,および/または眉毛や口などの顔の他の側面が長時間にわたって位置を変えることができない場合,ユーザは眠っていると判断することができる。」 以上より,引用文献3には,「デジタルカメラに追加的又は代替的にマイクロフォンを含むビューアセンサ106が生成したセンサデータ108をユーザ分析モジュール120により解析することにより,A/Vプレーヤ104を制御するためのA/V制御データ122を生成する技術であって,一過性の期間を超えて顔が表示画面に向けられていない場合,音声による会話が1人以上の視聴者から検出される場合,顔が他のユーザに向けられている場合,および/またはユーザの口が動いている場合に,ユーザが会話に従事していると判断する」という技術的事項,が記載されていると認められる。 エ 引用文献4 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特表2016-504836号公報(平成28年2月12日公開。以下「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「【0001】 [0001] 本願は一般にデバイス通信に関し,より詳細には,1人以上のユーザに関するエンゲージメントレベル情報(engagement level information)を使用してコンテンツ提供デバイスによるコンテンツの提示(presentation)を変更するための方法およびシステムに関する。」 「【0019】 [0025] 本明細書で開示される「エンゲージメントレベル」には,コンテンツの提示に対するユーザの関心レベル(level of interest)を決定するために使用される1つ以上のメトリックが含まれうる。エンゲージメントレベルは,コンテンツの提示に関連付けられたコンテキストアイテムに少なくとも部分的に基づきうる。限定ではない例として,コンテキストアイテムには,周囲のサウンドレベル,ディストラクションサウンドの存在,ユーザから検出されたスピーチ,ユーザの視線方向,等,またはそれらの任意の組み合わせが含まれうる。」 「【0024】 [0030] 図1は,一態様に係る,コンテンツ提供デバイスが動作可能な例示的なシステム100のブロック図を例示する。システム100は,コンテンツ提供デバイス104がコンテンツを提示するよう動作可能な提示環境102を含みうる。コンテンツ提供デバイス104は,聴覚センサ106,視覚センサ108,電磁気センサ110,等のようなものであるがそれらに限定されない1つ以上のセンサを含みうる,および/または,それらに関連付けられうる。ある態様では,聴覚センサ106は,周囲のノイズレベル,提示環境102内の1人以上のユーザ(120,130)によるスピーチ,コンテンツが提示されている音量レベル,等,またはそれらの任意の組み合わせのようなものであるがそれらに限定されない聴覚情報を検出するように構成されうる。ある態様では,視覚センサ108は,1人以上のユーザ(120,130)の顔の特性,1人以上のユーザ(120,130)の視線方向(例えば,122,124,132,134),提示環境102における周囲の光レベル,等,またはそれらの任意の組み合わせのようなものであるがそれらに限定されない視覚情報を検出するように構成されうる。ある態様では,電磁気センサ110は,提示環境102において1つ以上の他のデバイス(例えば,デバイス118)と通信するように構成されうる。例えば,ある態様では,デバイス118(例えば,端末,クライアント,ユーザ機器(UE),ワイヤレス通信デバイス(WCD))は,ユーザ120に関連付けられ得,コンテンツ提供デバイス104による使用のために取得された様々なセンサ情報を取得しうる。」 「【0030】 [0036] 動作的な態様では,コンテンツ提供デバイス104は,ユーザ(120,130)のうちの少なくとも1人についてのエンゲージメントレベルおよびエンゲージメントベースラインを定める(establish)ために,1つ以上のセンサ(106,108,110)を使用しうる。ある態様では,エンゲージメントレベルは,周囲のサウンドレベル,既知のサウンドの検出(例えば,電話の呼び出し音,ドアベル,ユーザのスピーチ,等),プライマリユーザ(例えばユーザ120)が参加する(involve)会話,視聴者がコンテンツ提供デバイス104のスクリーン112にフォーカスしているかどうかを決定するための目線追跡のようなものであるがそれらに限定されないコンテキストクルーに少なくとも部分的に基づいて決定されうる。ある態様では,エンゲージメントレベルがエンゲージメント閾値よりも下に降下したとき,マーカが,エンゲージメントレベルの決定された降下に関連付けられたタイミングでコンテンツに関連付けられうる。さらに,マーカは,コンテンツ提供デバイス104によって記憶されうる。その後,ユーザ(120,130)のエンゲージメントレベルがエンゲージメント閾値よりも上に上昇した場合,コンテンツ提供デバイス104は,ユーザがディストラクト状態になったコンテンツ提示の時点に戻るためのオプションをユーザに表示しうる(prompt)。別の態様では,コンテンツ提供デバイス104は,ユーザがディストラクト状態になったコンテンツ提示の時点に自動的に戻りうる。別の態様では,コンテンツタイプは,コンテンツ提供デバイス104が,戻るためのオプションをユーザに表示するかどうかを考慮に入れうる(factor into)(例えば,コンテンツが映画である場合にはプロンプト(prompt)が提供され,コンテンツがスポーツイベント,子供向けのショー,広告,等である場合には,プロンプトは提供されない)。別の態様では,ユーザ(120,130)は,プロンプトが提供されうるかどうかおよび/またはいつ提供されうるかを有効/無効にしうる。別の態様では,ユーザ(120,130)がディストラクト状態であると決定されても,ディストラクションの期間が閾値未満であるとき,ユーザ(120.130)が非ディストラクト状態に戻ったときにいずれのプロンプトも提供されない可能性がある。」 以上より,引用文献4には,「1人以上のユーザに関するエンゲージメントレベル情報を使用してコンテンツ提供デバイスによるコンテンツの提示を変更するためのシステムにおいて,前記エンゲージメントレベルは,コンテンツの提示に対するユーザの関心レベルを決定するために使用される1つ以上のメトリックが含まれており,聴覚センサ106,視覚センサ108等から一つ以上のセンサにより検出した,周囲のサウンドレベル,既知のサウンドの検出(例えば,電話の呼び出し音,ドアベル,ユーザのスピーチ,等),プライマリユーザが参加する会話,視聴者がコンテンツ提供デバイス104のスクリーン112にフォーカスしているかどうかを決定するための目線追跡等のコンテキストクルーに少なくとも部分的に基づいてエンゲージメントレベルを決定する」という技術的事項が記載されていると認められる。 オ 引用文献5 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特表2015-525388号公報(平成27年9月3日公開。以下「引用文献5」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「【0001】 本発明は,コンテンツをプロファイルするための技術に関し,特に,ユーザ対話に基づいて広告をプロファイルするための技術に関する。」 「【0024】 アグリゲータ20は,前述されたユーザ入力のプライバシー制約を考慮して,ユーザコンテンツエンゲージメントメトリクスを設定する。ユーザコンテンツエンゲージメントメトリクスの特質は,入力されてくるコンテンツエンゲージメント情報の処理の方法を決定する。例えば,広告主は,視聴者がどれくらいの頻度で特定の広告を見るかを知りたがるであろう。そのメトリクスを設定するための単純なアプローチは,ユーザが所与の建物において,そのようなチャネル上で広告が出現する時間においてチャネルに,どれくらいの頻度でチューニングしたかを監視することであろう。さらに,広告主は,どの程度,ユーザが広告を楽しんだかをも知りたがるであろう。そのメトリクスを設定するために,アグリゲータ20は,所与の建物においてカメラから受信された情報を処理して,問題の広告の再生中におけるユーザの顔の表情を検出しうる。より直接的なアプローチは,広告の再生中または再生後にユーザに問い合わせし,その問い合わせに対するユーザ入力された回答を計算することであってよい。ユーザ入力されたプライバシー制約がそのようなデータの使用を許可すると仮定すると,アグリゲータ20は,ユーザの生理的データを監視することで,広告に対するユーザの満足または不満足を設定することもできる。コンテンツの特定の一部分のユーザの満足の他の指標は,ユーザが他の者にそのコンテンツを勧めたかどうか,およびどれくらいの頻度で勧めたか,であろう。広告主は,所与の広告を見るユーザのプロファイルまたは人口統計をも知りたがるであろう。広告についてユーザエンゲージメントメトリクスを設定するための,記述された技術は,長編のプレゼンテーションについてのユーザエンゲージメントメトリクスを設定することに同等に良好に適用される。」 「【0026】 ユーザエンゲージメントメトリクスおよびきめ細かいコンテンツプロファイルを設定した後に,アグリゲータ20は,そのような情報を,概して,契約された報酬と引き換えに,コンテンツプロバイダ22および広告主24に提供する。ユーザにコンテンツエンゲージメント情報をほとんどプライバシー制約無しで提供するように勧めるために,アグリゲータは,その報酬のいくらかをユーザと共有することができる。例えば,アグリゲータは,ユーザに,小切手またはその他の形式で支払いを行いうる。代替として,アグリゲータ20がユーザにネットワークサービスを提供する範囲で,アグリゲータは,ユーザによって提供されるコンテンツエンゲージメントデータの量およびそのようなデータに課されるプライバシー制約のレベルに依存するそのようなサービスについて,ユーザに対する割引を拡張しうる。」 以上より,引用文献5には,「視聴者が広告を視聴した頻度,どの程度ユーザが広告を楽しんだか,広告に対するユーザの満足または不満足を含むコンテンツエンゲージメントメトリクスを,コンテンツプロバイダ及び広告主に提供する」という技術的事項が記載されていると認められる。 カ 引用文献6 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2005-142975号公報(平成17年6月2日出願公開。以下「引用文献6」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「【0001】 本発明は,視聴率やアクセスログだけではわからない「コンテンツ(テレビ番組など)がどのように見られているのか」という視聴の「質」を測定して提供する視聴者反応情報収集システム及びその方法と,その視聴者反応情報収集システムで用いられるユーザ端末と,その視聴者反応情報収集システムで用いられる視聴者反応情報提供装置と,そのユーザ端末の実現に用いられる視聴者反応情報作成用プログラムと,その視聴者反応情報提供装置の実現に用いられる視聴者反応情報作成用プログラムとに関する。」 「【0098】 〔I〕本発明にかかる第1の実施形態 次に,本発明にかかる第1の実施形態「テレビ番組/コンテンツの視聴質フィードバックサービス」について説明する。 【0099】 当該サービスは,従来できていなかったコンテンツの視聴質情報をエンドユーザ側の生の意見としてコンテンツ制作事業者にフィードバックすることにより,良質なコンテンツ制作を実現するビジネスモデルである。 【0100】 本実施形態において,テレビ番組/コンテンツ制作事業者は,制作番組/コンテンツに対する一般視聴者のリアクションに基づく注目度や心理状態,気分といった視聴質に関するデータを入手できる。その視聴質フィードバックを以降の番組やコンテンツ制作に活かすことで,競合他社との差異化をはかることが可能となる。」 以上より,引用文献6には,「コンテンツがどのように見られているのかというコンテンツの視聴質情報をテレビ番組/コンテンツ制作事業者にフィードバックする」という技術的事項が記載されていると認められる。 キ 引用文献7 令和2年7月8日付けで当審が通知した拒絶の理由で引用された,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,国際公開第2017/120469号(平成29年7月13日公開。以下「引用文献7」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,引用文献7のパテントファミリーである特表2019-507533号公報を翻訳文として採用し,対応する部分を併記する。また,下線は,当審で付した。 「[0029] To address shortcomings in conventional methods of TV audience measurements, systems and methods disclosed herein acquire image data of a viewing area in front of a display (e.g., a TV, computer, or tablet) that is playing a video (e.g., a TV show, movie, web show, advertisement, or other content). An example system determines how many people are in the viewing area and which of those people are actually watching the video from the image data. The system also samples the soundtrack of the video with a microphone and identifies the videos using the samples of the soundtrack. The system stores (and/or persists) information about the video, the number of people in the viewing area, and the number of people watching the video in a local memory and transmits the information to a remote server via an internet or other network connection.」 「[0029]TVオーディエンス測定の従来の方法における欠点に対処するために,本明細書で開示されるシステムおよび方法は,ビデオ(たとえば,TVショー,映画,ウェブショー,広告,または他のコンテンツ)を再生しているディスプレイ(たとえば,TV,コンピュータ,またはタブレット)の前の視聴エリアの画像データを取得する。例示的なシステムは,画像データから,何人の人々が視聴エリアにいるか,およびそれらの人々のうちの誰がビデオを実際に見ているかを決定する。本システムはまた,マイクロフォンを用いてビデオのサウンドトラックをサンプリングし,サウンドトラックのサンプルを使用してビデオを識別する。本システムは,ビデオ,視聴エリア中の人々の数,およびビデオを見ている人々の数に関する情報を,ローカルメモリに記憶(および/または残存)し,その情報をインターネットまたは他のネットワーク接続を介してリモートサーバに送信する。」 「[0040] The acquired and analyzed data also allows various business models. For example, a collection entity can provide performance-based TV ratings data and raw data for analysis, which is collected from a motion-sensing device put into selected-user households that represent a national and/or local demographic, to TV networks, advertising agencies, and other interested third parties and indirectly to advertisers who obtain the data from advertising agencies.」 「[0040]取得および分析されたデータはまた,様々なビジネスモデルを可能にする。たとえば,収集エンティティは,国および/または地域の層を表す選択されたユーザ世帯に置かれた動き検知デバイスから収集された,分析のためのパフォーマンスベースのTVレーティングデータおよび未処理データを,TVネットワーク,広告代理店,および他の関係するサードパーティに,ならびに広告代理店からデータを取得する広告主に間接的に,提供することができる。」 以上より,引用文献7には,「ユーザ世帯に置かれた動き検知デバイスから収集されたTVレーティングデータを,TVネットワーク,広告代理店,広告主に提供する」という技術的事項が記載されていると認められる。 ク 引用文献8 本願の出願前に頒布された引用文献である,嶋村 和恵,「機械式個人視聴率調査導入をめぐる動きと展望」,早稲田商学,第364号,1995年3月,第111-153頁(以下「引用文献8」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は,当審で付した。 「AGBはそれまで世界14カ国で視聴率サービスを提供してきたが,アメリカほど番組,チャネルのバラエテイーの豊富な国はなかった。スタッフの採用やサンプル世帯との契約も難航した。ヨーロッパでは標準データを提供して,さらに情報を求めるクライアントにはカスタムサービスとして別料金を課していたが,アメリカではそういうわけにもいかなかった。」(第117頁) 「1960年代から,日本のテレビ視聴率調査ではニールセンとビデオ・リサーチの2杜体制が続いているとはいえ,実質的にはビデオ・リサーチの優位が認められている。全テレビ局が両社のデータを購入しているわけではなく,昨年以降,不況のための経費節減でニールセンとの契約を打ち切るテレビ局が出てきていた。ニールセンは個人視聴率データの主たる顧客を広告主と想定していたが,あらゆる時問帯の視聴データを購入するテレビ局に対して,広告主は自分たちに関係のあるデータしか購入しないので,そこから得られる収入は限定される。すなわち,民放テレビ局の契約解消が続出するようなことになると,同社の経営は非常に厳しくなってしまう。」(第140~141頁) したがって,引用文献8には,「視聴率サービスにおいて,標準データより多くの情報を求めるクライアントにはカスタムサービスとして別料金を課す」という技術的事項,及び「あらゆる時間帯の視聴データを購入するテレビ局に対して,自身に関係のある視聴データしか購入しない広告主からの収入は限定される」という技術的事項が記載されていると認められる。 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 「取得部」について 引用発明における「CMの視聴者となるユーザ」は,CMが再生されている期間に視聴者がコンテンツ再生装置11の方を向いているか否かを判定する処理の対象であることから,本件補正発明における「判定の対象となるユーザ」に相当する。 また,引用発明における「マイク13」は,CMの視聴者となるユーザが位置する各家庭101,102,103,・・・に設置されるセンサであることから,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられた」ものではない点で相違するものの(相違点1),本件補正発明における「判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置された,音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられたセンサ」と,「判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置されたセンサ」である点で共通する。 そして,引用発明における「データ受信部21」は,マイク13により検知された音声データを取得するものであることから,本件補正発明における「判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置された,音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられたセンサであって,音を検知するセンサにより検知された音声情報であるセンサ情報を取得する取得部」と,「判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置されたセンサであって,音を検知するセンサにより検知された音声情報であるセンサ情報を取得する取得部」である点で共通する。 イ 「推定部」について 引用発明における「広告識別部22」は,データ受信部21により受信され,取得されたコンテンツの音声データを用いて,各家庭101,102,103,・・・においてコンテンツ再生装置11により出力される広告情報を識別するものであり,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において」出力されるコンテンツを「推定」するものではない点で相違するものの(相違点2),本件補正発明の「前記取得部により取得された前記センサ情報を用いて,前記空間内における前記音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において出力されるコンテンツを推定する推定部」と,「前記取得部により取得された前記センサ情報を用いて,前記空間内において出力されるコンテンツを特定する機能部」である点で共通する。 ウ 「判定部」について 引用発明の「分析処理部24」は,CMが再生されている期間にカメラ12により撮影された画像データに基づいて,CMが再生されている期間に視聴者がコンテンツ再生装置11の方を向いているか否かを判定し,向いていると判定された場合に,そのCMを視聴者が実際に視聴しているとして視聴率を算出する,すなわち,カメラ12により撮影された画像データを用いて,視聴者の状況を推定することで,視聴者が実際にCMを視聴している状況にあると判定するものであるから,ユーザの空間内における状況を推定するのに用いられるセンサの情報が「画像データ」であって「音声情報」でない点で相違するものの(相違点3),本件補正発明における「前記センサ情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて,前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかを判定する判定部」と,「センサの情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて,前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかを判定する判定部」である点で共通する。 エ 「提供部」について 引用発明には,「前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供することにより,サービスを提供する提供部」について特定されていない(相違点4)。 オ 「判定装置」について 上記ア~エより,引用発明における「広告効果分析装置20」は,後述する相違点を除き,本件補正発明の「判定装置」と共通する。 上記ア~オから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 (一致点) 「判定の対象となるユーザが位置する空間内に配置されたセンサであって,音を検知するセンサにより検知された音声情報であるセンサ情報を取得する取得部と, 前記取得部により取得された前記センサ情報を用いて,前記空間内において出力されるコンテンツを特定する機能部と, センサの情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて,前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかを判定する判定部と, を備えたことを特徴とする判定装置。」 (相違点1) 本件補正発明の「センサ」は,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられた」ものであるのに対し,引用発明のマイク13は,CMの視聴者となるユーザが位置する各家庭101,102,103,・・・に設置されるものであって,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられた」ものではない点。 (相違点2) 空間内において出力されるコンテンツを特定することについて,本件補正発明の「推定部」は,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において」出力されるコンテンツを「推定」することで行うのに対し,引用発明の「広告識別部22」は,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データに基づいて,コンテンツ再生装置11により再生された広告情報を識別することで行うものであって,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において」出力されるコンテンツを「推定」することで行うものではない点。 (相違点3) ユーザの空間内における状況を推定するのに用いられるセンサの情報が,本件補正発明は,音声アシスト端末に設けられたセンサから取得した「音声情報」であるのに対し,引用発明では,コンテンツ再生装置11によりCMが再生されている期間にカメラ12により撮影された「画像データ」である点。 (相違点4) 本件補正発明は,「前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供することにより,サービスを提供する提供部」を備えるのに対し,引用発明は当該構成を備えていない点。 (4)判断 以下,相違点1ないし4についてそれぞれ検討する。 ア 相違点1について 引用文献2には,「AmazonのEchoデバイスは,「Alexa,ジェニファー・アニストンが今着ているセーターを注文したいの」などと呼びかけると,オーディオなどをパターン化してコマースエンジンの注文画面に設定できる」という技術事項,及び「AmazonのEchoデバイスにより常に集音し,テレビ視聴率を調査する」という技術的事項が記載されている。 ここで「AmazonのEchoデバイス」とはAmazon社によって提供されるスマートスピーカのブランド名であり,音声で呼びかけられた指示内容に応じた処理を行うデバイスであることから,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末」であり,集音のための「マイク」を備えていることは明らかである。 引用発明における「マイク13」は,テレビ放送や動画データの中で流されたCMの効果を分析するための音声データが入力されるものであるから,CMの効果を分析するため音声データを取得できる位置に設置されればよい。そして,引用文献2に記載された「音に応じた処理を行う音声アシスト端末」に設けられた「マイク」とは,視聴率を調査するという点で目的及び機能を共通にするから,引用発明に引用文献2に記載された技術を適用し,「マイク13」を「音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられた」ものとすることに阻害要因はなく,当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について 引用発明において,コンテンツ再生装置11はマイク13の周囲にあり,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データはマイク13の周囲にあるコンテンツ再生装置11から出力されたものであり,上記アの「相違点1について」で検討したとおり,引用発明に引用文献2に記載された技術を適用し,「マイク13」を「音に応じた処理を行う音声アシスト端末に設けられた」ものとすることは,当業者が容易に想到し得たことであり,このとき,引用発明においてマイク13が集音するコンテンツは「音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において」出力されるコンテンツとなることは明らかである。 また,広告識別部22による,広告情報の「識別」は,コンテンツ再生装置11により再生された当該コンテンツの音声データに基づいており,推定処理により実行されることは技術常識であるから,引用発明において,「広告識別部22」が,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末の周囲において」出力されるコンテンツを「推定」する構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。 ウ 相違点3について 引用文献3には,「デジタルカメラに追加的又は代替的にマイクロフォンを含むビューアセンサ106が生成したセンサデータ108をユーザ分析モジュール120により解析することにより,A/Vプレーヤ104を制御するためのA/V制御データ122を生成する技術であって,一過性の期間を超えて顔が表示画面に向けられていない場合,音声による会話が1人以上の視聴者から検出される場合,顔が他のユーザに向けられている場合,および/またはユーザの口が動いている場合に,ユーザが会話に従事していると判断する」という技術的事項が記載されている。 引用文献4には,「1人以上のユーザに関するエンゲージメントレベル情報を使用してコンテンツ提供デバイスによるコンテンツの提示を変更するためのシステムにおいて,前記エンゲージメントレベルは,コンテンツの提示に対するユーザの関心レベルを決定するために使用される1つ以上のメトリックが含まれており,聴覚センサ106,視覚センサ108等から一つ以上のセンサにより検出した,周囲のサウンドレベル,既知のサウンドの検出(例えば,電話の呼び出し音,ドアベル,ユーザのスピーチ,等),プライマリユーザが参加する会話,視聴者がコンテンツ提供デバイス104のスクリーン112にフォーカスしているかどうかを決定するための目線追跡等のコンテキストクルーに少なくとも部分的に基づいてエンゲージメントレベルを決定する」という技術的事項が記載されている。 引用文献3,4のこれらの記載を参酌すると,画像情報と音声情報の両方又はいずれか一方に基づいてユーザの状況を推定し,ユーザがコンテンツを視聴している状況にあることを判定する技術は,本願出願時に周知の技術であり,引用発明と同様に,センサ情報に基づき,コンテンツの視聴の有無を判断するという共通の機能を有することから,コンテンツの視聴に関する条件を満たすための判定に用いられるユーザの状況を推定するために,引用発明のカメラ12により撮影された画像データを用いる構成に代えて,音声情報を用いる構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。 エ 相違点4について 引用発明において,「視聴率」は,「分析処理部24」による,視聴者が実際にCMを視聴しているという条件を満たすかという判定から算出したものであるから,本件補正発明に係る発明における「前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報」に相当する。 引用文献5には,「視聴者が広告を視聴した頻度,どの程度ユーザが広告を楽しんだか,広告に対するユーザの満足または不満足を含むコンテンツエンゲージメントメトリクスを,コンテンツプロバイダ及び広告主に提供する」という技術的事項が記載されている 引用文献6には,「コンテンツがどのように見られているのかというコンテンツの視聴質情報をテレビ番組/コンテンツ制作事業者にフィードバックする」という技術的事項が記載されている。 引用文献7には,「ユーザ世帯に置かれた動き検知デバイスから収集されたTVレーティングデータを,TVネットワーク,広告代理店,広告主に提供する」という技術的事項が記載されている。 また,引用文献8には「視聴率サービスにおいて,標準データより多くの情報を求めるクライアントにはカスタムサービスとして別料金を課す」という技術的事項,及び「あらゆる時間帯の視聴データを購入するテレビ局に対して,自身に関係のある視聴データしか購入しない広告主からの収入は限定される」という技術的事項が記載されている。 引用文献5-8の記載事項のとおり,コンテンツプロバイダ,テレビ番組/コンテンツ制作事業者,TVネットワーク,広告代理店,広告主等のコンテンツに関連する事業者に,コンテンツの視聴に関するデータを提供することは周知の技術である。 引用発明は,引用文献1の[0001][0002]に記載されているとおり,従来,CMを提供する広告主にとって,CMが視聴者にどの程度視聴されているかは重大な関心事であり,CMの視聴率を測定することが求められていることを背景とした広告効果分析システムであって,視聴率を,その需要者である広告主に提供することが想定されていることから,上記周知技術を適用して,視聴率を広告主等のコンテンツに関連する事業者に提供するように構成することに阻害要因はなく,当業者が容易に想到し得たことである。 このとき,引用文献8の記載事項のように,標準データより多くの情報を求めるクライアントにはカスタムサービスとして別料金を課すことは,視聴率の提供サービスの分野においても周知の事項であって,商業上の取決めにすぎないことから,引用発明においても,当該周知の事項を適用して,視聴率の提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量を上昇させて情報提供するように構成することに,格別の困難性があるとは認められない。 そして,上記相違点1ないし4を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明,引用文献2に記載された技術,及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。 したがって,本件補正発明は,引用発明,引用文献2に記載された技術,及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は令和2年9月11日付けの意見書において,「本願発明は,ユーザがコンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供します。これにより,本願発明は,判定情報を用いた情報提供において課金額で情報の量や質を変動させることにより,判定情報を用いた情報提供における収益性を向上させつつ,適切なサービスを提供することができるという効果を奏します。一方,引用文献1-7は,本願発明の特徴については開示されていません。」と主張するが,上記したとおり,「情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量を上昇させて情報提供すること」との発明特定事項は,引用文献8に記載のとおり周知の事項であるから,出願人の当該主張は採用できない。 3 本件補正についてのむすび 上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和2年7月8日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年10月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)「本件補正前の特許請求の範囲」に記載のとおりのものである。 2 当審が通知した拒絶理由の概要 (1)当審が通知した拒絶の理由1 この出願の請求項1-19に係る発明は,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明,引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.国際公開第2014/207833号 2.Shelly Palmer/江端 浩人,Alexaを不正に使用する5つの“ヤバイ”方法,[online],2017年1月24日,[検索日:令和2年6月15日],URL,https://backyard.imjp.co.jp/articles/shelly_blog_46 3.米国特許出願公開第2015/0271465号明細書 4.特表2016-504836号公報 5.特表2015-525388号公報 6.特開2005-142975号公報 7.国際公開第2017/120469号 (2)当審が通知した拒絶の理由2 この出願の請求項1-19に係る発明は,明確でないから,本願の特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3 引用文献の記載事項 当審が通知した拒絶の理由で引用した引用文献1ないし7及びその記載事項は,前記第2[理由]2(2)「引用文献の記載事項」に記載したとおりである。 4 理由1(特許法第29条第2項)について 本願発明は,前記第2[理由]2「補正の適否」で検討した本件補正発明において,「音に応じた処理を行う音声アシスト端末」を「スマートスピーカ」とするとともに,「前記判定部により判定された前記ユーザが前記コンテンツの視聴に関する条件を満たすかに関する判定情報を用いて,情報提供先への課金の金額の増加に応じて,提供する情報の量または質を上昇させて情報提供することにより,サービスを提供する提供部」との限定事項を削除したものである。 そうすると,本願発明と引用発明とは,以下の相違点1’,相違点2’及び相違点3’で相違する。 (相違点1’) 本願発明の「センサ」は「スマートスピーカに設けられた」ものであるのに対し,引用発明のマイク13はCMの視聴者となるユーザが位置する各家庭101,102,103,・・・に設置されるものであって,「スマートスピーカに設けられた」ものではない点。 (相違点2’) 空間内において出力されるコンテンツを特定することについて,本願発明の「推定部」は,「スマートスピーカの周囲において」出力されるコンテンツを「推定」することで行うのに対し,引用発明の「広告識別部22」は,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データに基づいて,コンテンツ再生装置11により再生された広告情報を識別することで行うものであって,「スマートスピーカの周囲において」出力されるコンテンツを「推定」することで行うものではない点。 (相違点3’) 本願発明の「判定部」は,「音声情報」であるセンサ情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて判定を行うものであるのに対し,引用発明の「分析処理部24」は,コンテンツ再生装置11によりCMが再生されている期間にカメラ12により撮影された画像データに基づいて顔認識処理を行うことにより,CMが再生されている期間に視聴者がコンテンツ再生装置11の方を向いているか否かを判定するものであって,「音声情報」であるセンサ情報を用いて推定される前記ユーザの前記空間内における状況に基づいて判定を行うものではない点。 すなわち,ユーザの空間内における状況を推定するのに用いられるセンサの情報が,本願発明は「音声情報」であるのに対し,引用発明は「画像データ」であり,「音声情報」ではない点。 上記相違点3’については上記第2[理由]2(4)ウ「相違点3について」で示した理由と同様であるから,上記相違点1’及び相違点2’について検討する。 まず,相違点1’について,引用文献2に記載の「AmazonのEchoデバイス」はAmazon社によって提供されるスマートスピーカのブランド名であることから,「スマートスピーカ」であって,集音のための「マイク」を備えていることは明らかである。 引用発明における「マイク13」は,テレビ放送や動画データの中で流されたCMの効果を分析するための音声データが入力されるものであるから,CMの効果を分析するため音声データを取得できる位置に設置されればよい。そして,引用文献2に記載された「スマートスピーカ」に設けられた「マイク」とは,視聴率を調査するという点で目的及び機能を共通にするから,引用発明に引用文献2に記載された技術を適用し,「マイク13」を「スマートスピーカに設けられた」ものとすることに阻害要因はなく,当業者が容易に想到し得たことである。 よって,引用発明に引用文献2の記載事項を適用して,相違点1’の構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。 次に,相違点2’について,引用発明において,コンテンツ再生装置11はマイク13の周囲にあり,データ受信部21により受信されたコンテンツの音声データはマイク13の周囲にあるコンテンツ再生装置11から出力されたものであり,上記相違点1’に関して検討したとおり,引用発明に引用文献2の記載事項を適用し,「マイク13」を「スマートスピーカに設けられた」ものとすることは,当業者が容易に想到し得たことであり,このとき,引用発明においてマイク13が集音するコンテンツは「スマートスピーカの周囲において」出力されるコンテンツとなることは明らかである。 また,広告識別部22による,広告情報の「識別」は,コンテンツ再生装置11により再生された当該コンテンツの音声データに基づいており,推定処理により実行されることは技術常識であるから,引用発明において,「広告識別部22」が,「スマートスピーカの周囲において」出力されるコンテンツを「推定」する構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。 よって,引用発明に引用文献2の記載事項を適用して,相違点2’の構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。 よって,本願発明も,引用発明,引用文献2に記載された発明,及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 理由2(特許法第36条第6項第2号)について (1)はじめに 特許を受けようとする発明が明確か否かは,特許請求の範囲だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願時における技術常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そのため,本願発明に係る特許請求の範囲が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かについて,検討する (2)請求項1の記載について 請求項1には,「スマートスピーカ」が記載されているが,出願時において一般名称ではなく,その意味するところが不明である。 また,出願時の技術常識を考慮しても,「スマートスピーカ」の意味するところを明確に把握することができない。 たとえば,goo国語辞書では「スマート‐スピーカー【smart speaker】」の意味を以下のように解説している。 「音声アシスタント機能を搭載した,スピーカー型の家庭用端末。音声による指示で音楽の再生や家電製品の制御,オンラインショッピングなどができる。質問に対し,サーチエンジンの結果から適切に回答する機能などもある。アマゾンエコーやグーグルホームなどがある。いずれもAI(人工知能)を利用するため,AIスピーカー,AIスマートスピーカーともいう。」 一方,Oxford English Dictionaryでは,「smart speaker」の意味を以下のように説明している。 「NOUN an Internet-enabled speaker that is controlled by spoken commands and is capable of streaming audio content, relaying information, and communicating with other devices.」 (当審訳) 「名詞 音声コマンドで制御され,オーディオコンテンツのストリーミング,情報の中継,他のデバイスとの通信が可能なインターネット対応スピーカー。」 このように参照する辞書によって「スマートスピーカ」の定義が異なるため,「スマートスピーカ」を適切に定義することができない。 (3)発明の詳細な説明の記載について 発明の詳細な説明の【0012】には,「図1の例では,スマートスピーカAP11は,音センサを有し,周囲の音を検知し,検知した音に応じて種々の処理を行う音声アシスト端末である。…」との記載があるが,あくまで例示であって「スマートスピーカ」の定義ではないため,「スマートスピーカ」の技術的範囲を特定できない。 したがって,請求項1の記載は,発明の詳細な説明,及び当業者の出願当時における技術常識を考慮しても,その範囲が不明確であるから,請求項1に係る発明は不明確である。 そして,発明の技術的範囲を定めることができなければ,第三者の利益が不当に害されることは明らかである。 してみると,請求項1の記載は第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により,また,本願特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。よって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2019-005340

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