特許拒絶査定不服審判
2019-002058
光電モジュール及びその製造方法
- 審判番号
- 2019-002058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-152852外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月14日
- 審決日
- 2020年01月08日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】晶元光電股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .113-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-152852「光電モジュール及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日出願公開,特開2017-199939〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2012年8月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年8月9日,米国)を国際出願日とする出願(以下「原出願」という。)の一部を,平成27年8月6日に新たな特許出願としたものについて,さらにその一部を平成29年8月8日に新たな特許出願としたものであって,以降の手続は次のとおりである。
平成30年 5月 7日 拒絶理由通知(同年同月15日発送)
同年 8月15日 手続補正・意見書提出
同年10月 9日 拒絶査定(同年同月16日謄本送達)
平成31年 2月14日 審判請求・手続補正
第2 補正の却下の決定
平成31年2月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,本件補正の前後で特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである(下線は当審で付加。以下同様。)。
〈補正前〉
「【請求項1】
光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆い,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置し,かつ前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有する反射面と
を含む光電モジュール。」
〈補正後〉
「【請求項1】
光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆うとともに,前記側面および前記下表面と直接接触し,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置し,前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有し,かつ前記上表面と平行な第二下表面を有する反射面と
を含む光電モジュール。」
2 補正事項の整理
本件補正の,請求項1についての補正事項は以下のとおりである。
〈補正事項1〉
補正前の請求項1の「前記側面および前記下表面を覆い,かつ外側表面を有する第一透明構造」を,補正後の請求項1の「前記側面および前記下表面を覆うとともに,前記側面および前記下表面と直接接触し,かつ外側表面を有する第一透明構造」と補正すること。
〈補正事項2〉
補正前の請求項1の「前記第一透明構造の下に位置し,かつ前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有する反射面」を補正後の請求項1の「前記第一透明構造の下に位置し,前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有し,かつ前記上表面と平行な第二下表面を有する反射面」と補正すること。
3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討
(1)補正の目的について
補正事項1は,補正前の「第一透明構造」について,「前記側面および前記下表面と直接接触」するものとして,技術的に限定するものである。
また,補正事項2は,補正前の「反射面」について,「前記上表面と平行な第二下表面を有する」ものとして技術的に限定するものである。
よって,補正事項1及び補正事項2は,ともに特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
補正事項1に係る事項は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0026】及び【0012】~【0015】,並びに図6及び図2A等に記載されているといえる。
また,補正事項2に係る事項は,当初明細書等の特許請求の範囲の請求項2,段落【0026】及び図6等に記載されているといえる。
よって,補正事項1及び補正事項2は,ともに当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
よって,前記補正事項1及び補正事項2は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
(3)小括
上記のとおり,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから,以下においては,本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する独立特許要件を満たすか)どうかについて検討する。
4 独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである(再掲。以下「本願補正発明」という。)。
「【請求項1】
光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆うとともに,前記側面および前記下表面と直接接触し,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置し,前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有し,かつ前記上表面と平行な第二下表面を有する反射面と
を含む光電モジュール。」
(2)刊行物等に記載された発明
ア 引用例1: 特表2011-521480号公報
(ア)原査定の理由に引用され,本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である,特表2011-521480号公報(以下「引用例1」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a
「【請求項1】
表面実装可能な半導体装置(1)であって,
・取り付け面(6)と,
・相互に対向しているチップ上面(22)とチップ下面(21)とを備えている少なくとも1とのオプトエレクトロニクス半導体チップ(2)と,
・少なくとも部分的にビームを透過するビーム透過体(3)と,
・前記半導体装置(1)を電気的に接触接続するための少なくとも2つの電気的接続箇所(5)とを有しており,
前記ビーム透過体はビーム透過体下面(30)を有しており,前記チップ上面(22)が当該ビーム透過体下面(30)の方を向くように,当該ビーム透過体下面(30)に前記半導体チップ(2)が取り付けられており,
前記接続箇所(5)は,前記ビーム透過体(3)をラテラル方向で越えず,前記半導体チップ(2)と反対側の接続箇所面は,前記半導体装置(1)を半導体装置の取り付け面(6)で制限している,
ことを特徴とする半導体装置(1)。」
b
「【0001】
オプトエレクトロニクス半導体チップを有する半導体装置を提供する。
【0002】
例えばホトダイオードの形態または発光ダイオードの形態のオプトエレクトロニクス半導体チップは近年,幅広い拡がりを見せている。オプトエレクトロニクス半導体チップのこの拡がりを後押ししている幾つかの理由は次のようなものである:製造コストが比較的低いながらも,効率が高く,外部の周辺影響,例えば湿気または機械的な負荷に対してロバストであり,寿命が長く,構造がコンパクトであり,多様に構成可能であるということである。このような特性に対してはしばしば,半導体チップのハウジングが重要であり,通常は,これに多大な注意が払われる。
【0003】
オプトエレクトロニクス半導体チップ,殊に発光ダイオードおよびレーザーダイオードが占有している幾つかの使用領域は,例えばディスプレイまたは表示装置のバックライトである。オプトエレクトロニクス半導体チップは,投影目的の照明装置,ヘッドライトまたはビームアンテナまたは一般的な照明においてもますます使用されている。
【0004】
解決されるべき課題は,特に良好な光学特性を有しており,かつ僅かな場所しか必要としない半導体装置を提供することである。」
c
「【0027】
半導体装置の少なくとも1つの実施形態では,ビーム透過体または付着接続部は変換材料を含んでいる。この変換材料は,半導体チップによって放射されたまたは受光されるビームの少なくとも一部を,別の周波数のビームに変換する。このような変換材料は,例えばルミネセンス発光材料である。このような発光材料を介して,例えば青色発光半導体チップの光を,実施的に白い光に変えることができる。同じように,この変換材料が例えば半導体チップによって放射されたビームの周波数を2倍にするまたは3倍にする結晶によって構成されることが可能である。さらに,変換手段が,フォトニック結晶または類似の作用を有する光学的に活性な媒体によって構成されてもよい。例えば,変換手段を使用することによって,効果的な低コストの構成部分,例えばGaNベースの青色発光ダイオードを使用することができる。これによって例えば,照明装置に対して調整可能なビームを,ほぼ全ての可視スペクトル領域において形成することができる。」
d
「【0040】
図1には,半導体装置1の実施例が示されている。半導体チップ2は,GaNベースの青色発光ダイオードとして構成されている。半導体チップ2の幾何学形状的な寸法に対して厳格な境界はない。有利には,ラテラル方向14における,すなわちチップ下面21に対して並行な延在は約0.5~3mm2であり,その厚さは50~300μmである。チップ下面21には,2つの電気的な接続箇所5が取り付けられている。これらの接続箇所5は,チップ下面21と直接的に接触接続している。チップ上面22は付着接続部4によって覆われている。この付着接続部は半導体チップ2とビーム透過体3を恒久的に,機械的に相互に接続する。付着接続部4は,透明な,半導体チップ2によって放射されたビームに関して,耐経年劣化性の材料から構成されている。これは例えば,シリコーンまたはシリコーンとエポキシドのハイブリッド材料によって構成されている。ビーム透過体3は,凸状レンズに類似した形状で球面に構成されており,半導体チップ2によって放射されるビームに対して透過性である。
【0041】
このようなビーム透過体3を製造する簡単な方法は,例えば圧縮成形のような鋳造方法である。ビーム透過体3の材料は例えば熱可塑性である。シリコーン,エポキシド,ポリカーボネートまたはハイブリッド材料のグループからの材料も使用される。同じようにビーム透過体3がガラスから製造されてもよい。有利にはこの材料は,具体的な用途によって課せられる周辺影響に対して耐性があり,半導体チップ2によって受光されるビームまたは放射されるべきビームに関して耐経年劣化性である。
【0042】
半導体装置1のラテラル方向14における拡がりは,この実施例では,半導体チップ2のラテラル方向14における拡がりと同じである。すなわち,電気的な接続箇所5並びに付着接続部4もビーム透過体3も,ラテラル方向14において,すなわち,チップ下面21に対して平行に,半導体チップ2を越えない。半導体装置1も,半導体チップ2と反対側の,接続箇所5の面によって,取り付け面6に関して制限される。この取り付け面6は実質的にチップ下面21に対して平行に配向されている。
【0043】
さらなる実施例が図2に示されている。半導体装置1はこの場合には,例えば近赤外ビーム用のセンサとして構成されている半導体チップ2を含んでいる。チップ下面21には,2つの金属製接続箇所5が設けられている。これらは,表面実装技術,略してSMTを介して,図示されていない外部担体に,はんだ付けまたは付着等を用いて取り付けられている。接続箇所は同じように半導体装置1を,取り付け面6の方向において下方に制限している。半導体チップ2のチップ上面22および側面には,透明なシリコーンによって構成された付着接続部4が取り付けられている。この付着接続部は内部に,均一に分配されたフィルタリング手段8を有している。このフィルタリング手段8は次のように選択されている。すなわち,比較的高い周波数の可視ビーム成分がフィルタリングされるように選択されている。従ってセンサとして構成されている半導体チップ2は例えば,近赤外ビームに対してのみアクセス可能である。オプショナルで,半導体チップ2が例えば,作動時に電磁ビームを放射する発光ダイオードであってもよい。フィルタリング手段8の代わりに,択一的または付加的に,散乱手段または変換手段7を使用してもよい。
【0044】
半導体チップ2はこの実施例では,正方形の輪郭を有している。ビーム透過体3は,平面図で矩形の断面を有し,ビーム透過体下面30には,切欠き13が設けられており,半導体チップ2を側面で,相互に対向している2つの側面でのみ取り囲んでいる。従って一方では,ラテラル方向14における場所の需要が最小化され,他方では,半導体チップ2が,ビーム透過体の切欠き13内に良好に位置付けされる。チップ下面30での切欠き13は次のように定められる。すなわち半導体チップが自身の場所にあり,さらに付着接続部4の所望の層厚が調整されるように定められる。切欠き13は,ビーム透過体3の製造時に,例えば鋳造方法の枠内で,容易に製造される。
【0045】
ビーム透過体3のための材料としては,透明なシリコーンが使用される。ビーム透過体3の上面は平らに形成されており,オプショナルで層を有することができる,使用されているシリコーンの機械的な特性によって,傷に対して耐性に構成されている。これによって半導体装置1は,良好なランベルトビーム放射器として実現される。電気的な接触箇所5はチップ下面21の一部を覆い,半導体チップ2の方を向いている面によって,半導体チップ2によって検出されるべきビームまたは半導体チップ2によって放射されるべきビームを反射する面を構成する。接続箇所5は,ラテラル方向14において,半導体チップ2と同一平面を成す。」
e
「【0049】
図5Aに示された実施例では,ビーム透過体3の上面には部分的に,反射層11が設けられている。この反射層11はここで,ビーム透過体3の形状を用いて,放射面状に構成されている。反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面は,レンズ状の形状を有している。ビーム透過体3のこのような構成を通って,LEDとして構成された半導体チップ2から放射される光が放射される,または直接的にビーム透過体から透過される。ここで,ビーム透過体3のレンズ状の構造を介してビームは実質的に矢印方向18において放射される。反射層11に入射する光は,反射層によって,同じように実質的に矢印方向18に偏向される。このようにして,光を効果的に,チップ上面22に対して平行に配向して放射する半導体装置1が得られる。
【0050】
図5Aに示された構造に対して択一的に,図5Bに示されているような別の実施形態も可能である。ここでは例えば反射層11はラテラル方向の中央領域においてのみ,半導体チップ2上に取り付けられている。従って,ビーム透過体3の上面の周りはぐるりと開放されている。これによってビームは拡散されて,回転対称に,実質的にラテラル方向で矢印方向18において放射される。」
f ここで,図5Aは以下のものである。
(イ)図2とともに前記(ア)dに摘記した段落【0044】の記載を参照すると,正方形の輪郭を有している半導体チップ2は4つの側面を有し,当該各側面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3によっても囲まれ,また,半導体チップ2の上面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3に対向していることがわかる。また,図5Aに示されるものにおいても同様に,半導体チップ2は4つの側面を有し,当該各側面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3によっても囲まれ,また,半導体チップ2の上面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3に対向しているものと理解される。さらに,図5Aを参照すると,2つの電気的な金属製接続箇所5は,厚さを有し,その側面を備えていることが見て取れる。
(ウ)図5Aに示されるものにおいても,前記(ア)d及び同eにそれぞれ記載された図1及び図2に係るものと同様に,各部材料を選択できることは明らかであり,ビーム透過体3をシリコーンで構成し,付着接続部4も透明なシリコーンによって構成したものとできるといえる。
(エ)以上を総合すると,引用例1には,図5Aに示されるものについて,以下の発明が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という。)。
「表面実装可能な半導体装置1であって,
取り付け面6と,
相互に対向しているチップ上面22とチップ下面21とを備えている少なくとも1つの半導体チップ2と,
少なくとも部分的にビームを透過する,シリコーンで構成されたビーム透過体3と,
チップ下面21には,半導体装置1を電気的に接触接続するための少なくとも2つの電気的な金属製接続箇所5とを有しており,
金属製接続箇所5は,厚さを有し,その側面を備えており,
ビーム透過体3はビーム透過体下面30を有しており,チップ上面22が当該ビーム透過体下面30の方を向くように,当該ビーム透過体下面30に半導体チップ2が取り付けられており,
接続箇所5は,ビーム透過体3をラテラル方向で越えず,半導体チップ2と反対側の接続箇所面は,半導体装置1を半導体装置1の取り付け面6で制限しており,
半導体チップ2のチップ上面22および側面には,透明なシリコーンによって構成された付着接続部4が取り付けられて,付着接続部4は半導体チップ2とビーム透過体3を恒久的に,機械的に相互に接続するものであり,
半導体チップ2はLEDであり,正方形の輪郭を有して4つの側面を有し,当該各側面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3によっても囲まれ,また,半導体チップ2の上面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3に対向しており,
ビーム透過体3の上面には部分的に,反射層11が設けられており,
反射層11はビーム透過体3の形状を用いて,放射面状に構成されており,
反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面は,レンズ状の形状を有して,ビーム透過体3のこのような構成を通って,半導体チップ2から放射される光が放射される,または直接的にビーム透過体3から透過される,
半導体装置1。」
イ 引用例2:国際公開第2010/044240号
(ア)本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである,国際公開第2010/044240号(以下「引用例2」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a 段落[0005]~[0006]
「近年,車両に搭載される灯具ユニットの光源としてLEDなどの発光素子を用いるため,このような発光素子の高輝度化が重要な課題となっている。このため,発光素子の光の利用効率だけでなく,発光素子が発した光を高輝度なものとする新たな技術の開発が強く望まれている。
そこで,本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり,その目的は,高輝度の発光モジュールを提供することにある。」
b 段落[0026]~[0039]
「図3は,第1の実施形態に係る発光モジュール40の構成を示す図である。発光モジュール40は,素子搭載基板48,反射基体50,半導体発光素子52,およびセラミックユニット56を有する。
素子搭載基板48は,AIN,SiC,Ai2O3,Siなど,熱伝導性の高い材料によって板状に形成される。反射基体50は,直方体の部材の中央に貫通孔50aが設けられた形状に形成される。貫通孔50aの内面には,光が反射するようアルミまたは銀などが蒸着またはスパッタリングされることによる鏡面処理が施されている。
半導体発光素子52は,LED素子によって構成される。第1の実施形態では,半導体発光素子52として,青色の波長の光を主として発する青色LEDが採用されている。具体的には,半導体発光素子52は,サファイヤ基板上にGaN系半導体層を結晶成長させることにより形成されるGaN系LED素子によって構成されている。半導体発光素子52は,例えば1mm角のチップとして形成され,発する青色光の中心波長は460nmとなるよう設けられている。なお,半導体発光素子52の構成や発する光の波長が上述したものに限られないことは勿論である。
セラミックユニット56は光波長変換部材であり,少なくとも光波長変換セラミック58および反射膜60から構成されている。光波長変換セラミック58は,50μm以上1000μm未満の厚さの板状に形成された光波長変換セラミックを,半導体発光素子52よりサイズが5%以上10%以下大きくなるようダイシングすることにより形成される。なお,光波長変換セラミック58の大きさがこれに限られないことは勿論であり,例えば光波長変換セラミック58は,半導体発光素子52と同じサイズにダイシングされてもよい。また,光波長変換セラミック58は,半導体発光素子52より10%を超えて大きくダイシングされてもよく,ゼロより大きく5%未満だけサイズが大きくなるようダイシングされてもよい。
光波長変換セラミック58は,いわゆる発光セラミック,または蛍光セラミックと呼ばれるものであり,青色光によって励起される蛍光体であるYAG(Yttrium Alminium Garnet)粉末を用いて作成されたセラミック素地を焼結することにより得ることができる。このような光波長変換セラミックの製造方法は公知であることから詳細な説明は省略する。こうして得られた光波長変換セラミック58は,例えば粉末状の蛍光体と異なり,粉末表面での光拡散を抑制でき,半導体発光素子52が発する光の損失が非常に少ない。
光波長変換セラミック58は,半導体発光素子52が主として発する青色光の波長を変換して黄色光を出射する。このため,発光モジュール40からは,光波長変換セラミック58をそのまま透過した青色光と,光波長変換セラミック58によって波長が変換された黄色光との合成光が出射する。こうして白色の光を発光モジュール40から発することが可能となる。
また,光波長変換セラミック58には,透明なものが採用されている。第1の実施形態において「透明」とは,変換光波長域の全光線透過率が40%以上のことを意味するものとする。発明者の鋭意なる研究開発の結果,変換光波長域の全光線透過率が40%以上の透明な状態であれば,光波長変換セラミック58による光の波長を適切に変換できると共に,光波長変換セラミック58を通過する光の光度の減少も適切に抑制できることが判明した。したがって,光波長変換セラミック58をこのように透明な状態にすることによって,半導体発光素子52が発する光をより効率的に変換することができる。
また,光波長変換セラミック58はバインダーレスの無機物で構成され,バインダーなどの有機物を含有する場合に比べて耐久性の向上が図られている。このため,例えば発光モジュール40に1W(ワット)以上の電力を投入することが可能となっており,発光モジュール40が発する光の輝度および光度を高めることが可能となっている。
なお,半導体発光素子52は青以外の波長の光を主として発するものが採用されてもよい。この場合も,光波長変換セラミック58には,半導体発光素子52が発する主とする光の波長を変換するものが採用される。なお,光波長変換セラミック58は,この場合においても半導体発光素子52が主として発する波長の光と組み合わせることにより白色または白色に近い色の波長の光となるよう,半導体発光素子52が発する光の波長を変換してもよい。
反射膜60は,光波長変換セラミック58の両面のうち一方の面,および4つの端面のうち1つをマスキングし,アルミまたは銀などの薄膜を蒸着またはスパッタリングして成膜することにより形成される。このようにマスキングされ反射膜60が形成されていない一面が光の入射面58bとなり,反射膜60が形成されない一端面が光の出射面58aとなる。第1の実施形態では板状の光波長変換セラミック58を用いるため,反射膜60を容易に成膜することができる。
・・・(中略)・・・
このように製造された発光モジュール40において,光波長変換セラミック58の表面のうち反射膜60が成膜されておらず且つ外部に露出しているのは出射面58aのみとなる。光波長変換セラミック58の表面に成膜された反射膜60は,半導体発光素子52が発した光を導光する導光部材として機能し,半導体発光素子52の発光面と略平行に光を導光して出射面58aから出射させる。この出射面58aの面積は,半導体発光素子52の発光面の面積よりも小さい。このように反射膜60は,光波長変換セラミック58を通過した光の出射面積を半導体発光素子52の発光面積より小さく絞る。これにより,発光モジュール40から出射される光の輝度を高めることができる。」
c 段落[0046]~[0049]
「(第3の実施形態)
図5は,第3の実施形態に係る発光モジュール90の構成を示す図である。なお,発光モジュール40に代えて発光モジュール90が設けられる点を除いて,車両用前照灯10の構成は第1の実施形態と同様である。以下,第1の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
発光モジュール90の構成は,セラミックユニット56に代えてセラミックユニット92が設けられている点を除いて,上述した発光モジュール40と同様である。セラミックユニット92は,光波長変換部材である光波長変換セラミック94,および反射膜96を有する。
光波長変換セラミック94は,互いに直交する2辺のうち一辺(以下,「第1辺」という)が50μm以上1000μm未満となる三角形が断面となるプリズム状の三角柱に成形される。また,光波長変換セラミック94は,三角形の断面おいて第1辺と直交する他の一辺(以下,「第2辺」という)を含む表面のサイズが半導体発光素子52より5%以上10%以下大きくなるよう成形される。光波長変換セラミック94の材質は,上述の光波長変換セラミック58と同様である。この第1辺および第2辺以外の辺(以下,「第3辺」という)を含む表面がテーパー面94cとなる。なお,光波長変換セラミック94は,50μm以上1000μm未満の厚さの板状に形成された光波長変換セラミックの一面を削り取ってテーパー面94cを設けて周縁をダイシングしてもよい。
反射膜96は,第1辺を含む光波長変換セラミック94の表面および第2辺を含む光波長変換セラミック94の表面をマスキングし,アルミまたは銀などの薄膜を蒸着またはスパッタリングして成膜することにより形成される。こうして設けられたセラミックユニット92において,第1辺を含む光波長変換セラミック94の表面が出射面94aとなり,第2辺を含む光波長変換セラミック94の表面が入射面94bとなる。」
d ここで,図3は以下のものである。
(イ)上記図3を参照すると,板状の光波長変換セラミック58は図示で下面側がLED素子と接し,上面側に反射膜60が形成されて,LED素子の前記下面側と接する面と,上面側の反射膜60が平行になっていることが見て取れる。また,第3の実施例に係る図5を参照すると,反射膜60は,LED素子の前記下面側と接する面に対して傾斜していることが見て取れる。
(ウ)以上を総合すると,引用例2には,以下の各事項が記載されているといえる。
a「第1の実施形態に係る発光モジュール40は,素子搭載基板48,反射基体50,半導体発光素子52,およびセラミックユニット56を有する
半導体発光素子52は,LED素子によって構成され,
セラミックユニット56は光波長変換部材であり,少なくとも光波長変換セラミック58および反射膜60から構成され,
光波長変換セラミック58には,板状で透明なものが採用され,
反射膜60は,光波長変換セラミック58の両面のうち一方の面,および4つの端面のうち1つをマスキングし,アルミまたは銀などの薄膜を蒸着またはスパッタリングして成膜することにより形成され,マスキングされ反射膜60が形成されていない一面が光の入射面58bとなり,反射膜60が形成されない一端面が光の出射面58aとなり,
半導体発光素子52と板状の光波長変換セラミック58とが接する面と,上面側の反射膜60が平行である。」
b「第3の実施例に係る発光モジュール90の構成は,セラミックユニット56に代えてセラミックユニット92が設けられている点を除いて,上述した発光モジュール40と同様であり,
セラミックユニット92は,光波長変換部材である光波長変換セラミック94,および反射膜96を有し,
波長変換セラミック94は,互いに直交する2辺のうち一辺(以下「第1辺」という)が50μm以上1000μm未満となる三角形が断面となるプリズム状の三角柱に成形され,
セラミックユニット92において,第1辺を含む光波長変換セラミック94の表面が出射面94aとなり,第2辺を含む光波長変換セラミック94の表面が入射面94bとなり,
反射膜60は,半導体発光素子52と板状の光波長変換セラミック58とが接する面に対して傾斜している。」
ウ 引用例3:米国特許公開第2007/0086211号明細書
(ア)本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である,米国特許公開第2007/0086211号明細書(以下「引用例3」という。)には,図とともに,以下の記載がある(日本語訳は当審で作成。)。
a
「[0002] The present invention is a side emitting illumination system that incorporates one or more light emitting diodes.」
(日本語訳:
[0002]本発明は,1つ以上の発光ダイオードを組み込んだ側面発光照明システムである。)
b
「[0104] Another embodiment of this invention is side-emitting illumination system 500 illustrated in plan view in FIG. 7A. FIGS. 7B and 7C illustrate cross-sectional views along the I-I plane of the side-emitting illumination system 500 shown in FIG. 7A.
[0105] Side-emitting illumination system 500 is comprised of LED 102, first reflector 104, second reflector 506 having edges 508 and supporting means that hold and separate the second reflector 506 from the first reflector 104. The supporting means includes a solid transparent element 510 and base 110.
[0106] The solid transparent element 510 fills the space between the first reflector 102 and the second reflector 506 and surrounds LED 102. The edges 514 of the solid transparent element 510 are also the output aperture for side-emitting illumination system 500. Solid transparent element 510 may be fabricated from any solid, light-transmitting material. Suitable materials include, but are not limited to, plastics such as silicones, acrylic and polystyrene and inorganic glasses such as silica.
[0107] LED 102 and first reflector 104 have been described previously. Second reflector 506 is fabricated from the same materials as second reflector 106 described previously. The second reflector 506 is illustrated in FIG. 7A to have a circular shape, but a circular shape is not required. Other example shapes for second reflector 506 may include, but are not limited to, a square, a rectangle, a polygon or an ellipse.
[0108] Example light rays 520 and 522 in FIG. 7C illustrate the operation of side-emitting illumination system 500. Internally generated light ray 520 is emitted by active region 126 of LED 102 and is directed to output surface 122. Internally generated light ray 520 is transmitted through surface 122 of LED 102, through the solid transparent element 510 and is directed to surface 514, which is also the output aperture of side-emitting illumination system 500. Internally generated light ray 520 is transmitted through surface 514 and exits side-emitting illumination system 500.
[0109] Internally generated light ray 522 is emitted by active region 126 of LED 102 and is directed to output surface 122. Internally generated light ray 522 is transmitted through surface 122 of LED 102, through the solid transparent element 510 and is directed to second reflector 506. Internally generated light ray 522 is reflected by second reflector 506, is transmitted though the solid transparent element 510 and is directed to surface 514, which is also the output
aperture of side-emitting illumination system 500. Internally generated light ray 522 is transmitted through surface 514 and exits side-emitting illumination system 500.」
(日本語訳:
[0104]本発明の別の実施形態は,図7Aの平面図に示された側面放射照明システム500である。図7Bおよび7Cは,図7Aに示される側方放射照明システム500のI-I平面に沿った断面図を示す。
[0105]側面発光照明システム500は,LED102,第1の反射器104,縁部508を有する第2の反射器506,および,縁508と第2の反射器506を保持し第1の反射器104から分離する支持手段を有する第2の反射器506,により構成される。支持手段は固体透明要素510およびベース110を含む。
[0106]固体透明要素510は,第1の反射器102と第2の反射器506との間の空間を満たし,LED102を囲む。固体透明要素510の縁部514は,側面発光照明システム500の出力開口でもある。固体透明要素510は,任意の固体の光透過性材料から製造されてもよい。適切な材料には,シリコーン,アクリル,ポリスチレンなどのプラスチック,およびシリカなどの無機ガラスが含まれますが,これらに限定されない。
[0107]LED102および第1の反射器104については前述した。第2の反射器506は,前述の第2の反射器106と同じ材料から製造される。第2の反射器506が図7Aに示されている。図7Aは円形を有するが,円形は必須ではない。第2の反射器506の他の例示的な形状は,正方形,長方形,多角形または楕円を含み得るが,これらに限定されない。
[0108]図7Cにおける例示的な光線520および522は,側面放射照明システム500の動作を示す。内部生成光線520は,LED102の活性領域126によって放射され,出力表面122に向けられる。内部生成光線520は,LED102の表面122を透過し,固体透過素子510を通過して,側面放射照明システム500の出力開口でもある表面514に向けられる。内部生成光線520は,表面514を透過し,側面放射照明システム500を出る。
[0109]内部生成光線522は,LED102の活性領域126によって放出され,出力面122に向けられる。内部生成光線522は,LED102の表面122を透過し,固体透明要素510を通過し,第2反射器506に向けられる。内部生成光線522は,第2反射器506によって反射され,固体透明要素510を透過し,側面放射照明システム500の出力開口でもある表面514に向けられる。内部生成光線522は,表面514を透過し,側面放射照明システム500を出る。)
c ここで,図7Aは次のものである。
(イ)上記図7Aを参照すると,第2反射器506の反射面が,LED102の表面122及びこれと接する固体透明要素510の面と平行になっていることが見て取れる。
(ウ)以上から,引用例3には以下の事項が記載されているといえる。
「側面放射照明システム500であって,LED102,第1の反射器104,縁部508を有する第2の反射器506,および,縁508と第2の反射器506を保持し第1の反射器104から分離する支持手段を有する第2の反射器506,により構成され,支持手段は固体透明要素510およびベース110を含むものにあって,
固体透明要素510は,第1の反射器102と第2の反射器506との間の空間を満たし,LED102を囲み,固体透明要素510の縁部514は,側面発光照明システム500の出力開口でもあり,固体透明要素510は,任意の固体の光透過性材料から製造され,
第2反射器506の反射面は,LED102の表面122及びこれと接する固体透明要素510の面と平行になっていること。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを比較する。
ア 引用発明の「相互に対向しているチップ上面22とチップ下面21とを備えている少なくとも1つの半導体チップ2」は,また,「半導体チップ2はLEDであり,正方形の輪郭を有して4つの側面を有」するところ,当該「チップ上面22」,「チップ下面21」及び「4つの側面」は,それぞれ本願補正発明の「下表面」,「上表面」及び「側面」に相当するから,引用発明の「相互に対向しているチップ上面22とチップ下面21とを備えている少なくとも1つの半導体チップ2」は,本願補正発明の「上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニット」とは,「上表面,下表面,側面」「を有する光電ユニット」である点で一致する。
イ 引用発明の,「チップ下面21には,半導体装置1を電気的に接触接続するための少なくとも2つの電気的な金属製接続箇所5とを有しており,金属製接続箇所5は,厚さを有し,その側面を備えて」いることは,本願補正発明の「前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する」ことに相当する。
ウ 上記ア,イから,引用発明の「相互に対向しているチップ上面22とチップ下面21とを備えている少なくとも1つの半導体チップ2」であって,「チップ下面21には,半導体装置1を電気的に接触接続するための少なくとも2つの電気的な金属製接続箇所5とを有しており」,「半導体チップ2はLEDであり,正方形の輪郭を有して4つの側面を有」する構成は,本願補正発明の「上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニット」に相当する。
エ 引用発明は「少なくとも部分的にビームを透過する,シリコーンで構成されたビーム透過体3」,及び「半導体チップ2のチップ上面22および側面には,透明なシリコーンによって構成された付着接続部4が取り付けられて,付着接続部4は半導体チップ2とビーム透過体3を恒久的に,機械的に相互に接続する」構成を備えるところ,「ビーム透過体3」及び「付着接続部4」はともにシリコーンで形成されているから,これらを一体のものとし,「反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面」の存在も考慮すると,当該構成は,本願補正発明の「前記側面および前記下表面を覆うとともに,前記側面および前記下表面と直接接触し,かつ外側表面を有する第一透明構造」に相当する。
オ 引用発明の「ビーム透過体3の上面には部分的に,反射層11が設けられており,反射層11はビーム透過体3の形状を用いて,放射面状に構成されており,反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面は,レンズ状の形状を有して,ビーム透過体3のこのような構成を通って,半導体チップ2から放射される光が放射される,または直接的にビーム透過体から透過される」構成と,本願補正発明の「前記第一透明構造の下に位置し,前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有し,かつ前記上表面と平行な第二下表面を有する反射面」とは,「前記第一透明構造の下に位置する反射面」の点で一致する。
カ 引用発明の「半導体装置1」は,本願補正発明の「光電モジュール」に相当する。
キ したがって,引用発明と本願補正発明とは,次の点で一致する。
「光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆うとともに,前記側面および前記下表面と直接接触し,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置する反射面と
を含む光電モジュール。」
ク 一方両者は,次点で相違する。
《相違点1》
本願補正発明は,「前記第一透明構造の下に位置し,前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有し,かつ前記上表面と平行な第二下表面を有する反射面」を備えるのに対して,引用発明は,「前記第一透明構造の下に位置する反射面」は備えるものの,当該反射面が「前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有」するものか明らかでなく,また当該反射面が「前記上表面と平行な第二下表面を有」するものではない点。
(4)判断
上記相違点1について検討する。
ア 引用発明に係る反射面は,「前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有」するものか明らかではないが,前記(2)ア(ア)fに摘記した図5Aを参照すると,一定の厚さを有する反射層11の出射方向18側の端面においては,ビーム透過体3の出射方向18側の面と同一面を構成し,また,当該同一面部分は,事実上平面となっていると見て取れる。
さらに前記図5Aを参照すると,半導体チップ2のチップ下面21と同一平面にある,ビーム透過体3及び付着接続部4の図示下側の平面は,反射面11の端面とも同一平面を構成していると見て取れる。
したがって,引用発明に係る反射面は,「前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有」するものといえ,仮にそうでなくとも,当業者が適宜になし得たことである。
イ 前記(2)イ(ウ)のとおり,引用例2には,光を出射する方向に光を反射する反射膜を設けるに際し,同bのとおり,半導体発光素子52と板状の光波長変換セラミック58とが接する面に対して傾斜する配置とする構成とともに,同aのとおり,半導体発光素子52と板状の光波長変換セラミック58とが接する面と,当該面と対向する,上面側の反射膜60を平行とする配置も記載されており,これらの配置は適宜に選択されるものといえる。
さらに,前記(2)ウ(ウ)のとおり,引用例3には,反射面をLED102の表面122及びこれと接する固体透明要素510の面と平行とすることが記載されており,発光素子表面(及びこれに接する面)と反射面を平行に配置することは周知であるといえる。
そして,引用例1において,図5Aのほかに図5Bに示された形状の反射層11が記載されているように,引用発明については,必要とされる光出力に応じて種々の形状配置の反射層を用いうるものといえるから,引用発明において,前記周知のものである,半導体発光素子の上面と,当該上面と対向する反射膜を平行とする配置を採用することは,当業者が適宜になし得たことである。
ウ 上記アおよびイのとおりであるから,引用発明において相違点1に係る構成を備えることは当業者が適宜になし得たことである。
(5)小括
よって,本願補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年2月14日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成30年8月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1により特定される以下のとおりのものである。(以下「本願発明」という。)
「【請求項1】
光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆い,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置し,かつ前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有する反射面と
を含む光電モジュール。」
2 引用発明
引用発明は,前記第2の4「(2)刊行物等に記載された発明」アに記載したとおりのものである。
3 対比
本願発明と引用発明1とを比較する。
(1)前記第2 4(3)の,引用発明と本願補正発明との対比における,同ア~ウ及びカでの検討は,引用発明と本願発明との対比においても同様である。
(2)引用発明においては,「ビーム透過体はビーム透過体下面30を有しており,チップ上面22が当該ビーム透過体下面30の方を向くように,当該ビーム透過体下面30に半導体チップ2が取り付けられており」,また,「半導体チップ2はLEDであり,正方形の輪郭を有して4つの側面を有し,当該各側面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3によっても囲まれ,また,半導体チップ2の上面は,付着接続部4と接するとともに,ビーム透過体3に対向して」おり,さらに「反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面」も備えるから,当該「ビーム透過体3」は,本願発明の「前記側面および前記下表面を覆い,かつ外側表面を有する第一透明構造」に相当する。
(3)引用発明の「ビーム透過体3の上面には部分的に,反射層11が設けられており, 反射層11はビーム透過体3の形状を用いて,放射面状に構成されており, 反射層11によって覆われていない,ビーム透過体3の表面は,レンズ状の形状を有して,ビーム透過体3のこのような構成を通って,半導体チップ2から放射される光が放射される,または直接的にビーム透過体から透過される」構成と,本願発明の「前記第一透明構造の下に位置し,かつ前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有する反射面」とは,「前記第一透明構造の下に位置する反射面」の点で一致する。
(4)したがって,引用発明と本願発明は,次の点で一致する。
「光電モジュールであって,
上表面,下表面,側面および前記上表面に位置する金属層を有し,かつ前記金属層が側壁を有する光電ユニットと,
前記側面および前記下表面を覆い,かつ外側表面を有する第一透明構造と,
前記第一透明構造の下に位置する反射面と
を含む光電モジュール。」
(5)一方,両者は次の点で相違する。
《相違点2》
本願発明は,「前記第一透明構造の下に位置し,かつ前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有する反射面」を備えるのに対して,引用発明は,「前記第一透明構造の下に位置する反射面」は備えるものの,当該反射面が「前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有」するものか明らかでない点。
4 判断
上記相違点2は,前記第2 4(3)クで抽出した《相違点1》とは,引用発明が「当該反射面が『「前記第一透明構造の前記外側表面と平面になる側表面を有』するものか明らかでな」いとした点で共通するものである。
そして,前記第2 4(4)アで検討したとおり,当該相違点1に係る構成は引用発明も備えているものといえ,仮にそうでなくとも,当業者が適宜になし得たことであるから,同様の理由により,相違点2は実質的な相違点ではなく,仮にそうでないとしても,当業者が適宜になし得たことである。
したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明であり,仮にそうでないとしても,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に該当し,そうでないとしても,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-002058