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特許拒絶査定不服審判

2019-000728

付加製造におけるレーザ出力監視

審判番号
2019-000728
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-024577外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年01月21日
審決日
2021年07月15日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B23K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017- 24577「付加製造におけるレーザ出力監視」拒絶査定不服審判事件〔平成29年8月24日出願公開、特開2017-144484〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月14日(パリ条約による優先権主張2016年2月19日、米国)に出願された特願2017-24577号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成29年4月12日 :翻訳文提出書 平成30年2月7日付け :拒絶理由通知書 平成30年4月23日 :意見書、手続補正書 平成30年9月18日付け:拒絶査定 平成31年1月21日 :審判請求書、手続補正書 令和1年10月11日付け:書面による審尋 令和2年4月14日 :回答書 令和2年9月24日付け :補正却下の決定 令和2年9月24日付け :拒絶理由通知書 令和3年1月29日 :意見書、手続補正書 第2 本願発明 令和3年1月29日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 ワークピース(W)を形成するための材料を選択的に溶融又は硬化させるためレーザ光源(24)で生成されるビルドビーム(B)を用いる付加製造プロセスにおけるレーザ出力監視方法であって、 ビームスプリッタ(56)がビルドビーム(B)の大部分を方向転換することにより、ビルドビーム(B)を所定の割合で分割してサンプルビーム(S)を形成し、サンプルビーム(S)をセンサ(58)に誘導する工程と、 センサ(58)を使用して、サンプルビーム(S)の出力に比例する信号を生成する工程と、 センサ(58)からの信号を測定して、ビルドビーム(B)の出力レベルに関するレーザ出力データを生成する工程と、 レーザ出力データをレーザ出力制限値と比較する工程と、 前記比較に基づいて、付加製造プロセスにおける1以上のプロセスパラメータを変更する工程と、 を含む、レーザ出力監視方法。」 第3 拒絶の理由 令和2年9月24日付けで当審より通知した拒絶理由のうちの<理由1>は、次のとおりのものである。 この出願の請求項1ないし10に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2ないし5にて例示される周知技術1、引用文献6及び7にて例示される周知技術2及び引用文献8及び9にて例示される周知技術3に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2006-323361号公報 引用文献2:特開2009-278023号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開平9-308977号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開2007-61843号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開昭62-275592号公報(周知技術を示す文献) 引用文献6:特開昭61-242779号公報(周知技術を示す文献) 引用文献7:特開平8-192283号公報(周知技術を示す文献) 引用文献8:特開平3-184684号公報(周知技術を示す文献) 引用文献9:特開2009-142867号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載 (1)引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 ア 「【技術分野】【0001】 本発明は、広く、ステレオリソグラフィー装置およびレーザ焼結装置などの高速試作成形装置に関する。本発明は、より詳しくは、ベクトル走査中のレーザ走査装置の制御に関する。」(段落【0001】) イ 「【背景技術】 【0002】 高速試作および製造(RP&M)は、三次元物体を、その物体を表すコンピュータ・データから高速かつ自動的に形成するのに使用できる技術分野に与えられた名称である。一般に、高速試作および製造技法では、形成すべき物体の断面を表すスライスされたデータ・セットを用いて、作業媒質から三次元物体を層毎に構築する。典型的に、物体の表示は、コンピュータ支援設計(CAD)システムにより最初に提供される。RP&M技法は、固体イメージングとも呼ばれ、ステレオリソグラフィー、固体イメージングに適用されるインクジェット・プリンティング、およびレーザ焼結を含む。 【0003】 レーザ焼結装置は、粉末床を形成するために、プロセス・チャンバに亘って、熱可溶性粉末、しばしば熱可溶性高分子粉末、高分子被覆金属、またはセラミックの薄層を分配する。次いで、レーザ焼結装置は、熱エネルギーを施して、その粉末層に構築されている物品の断面に対応する粉末層の部分を溶融する。「部品入りケーキ」と一般に呼ばれる粉末塊内に物品が形成される。レーザは一般に、変調と正確な方向制御によって、熱エネルギーを粉末層の目的区域に供給する。スリー・ディー・システムズ社(3D Systems, Inc.)から市販されているVanguardシステムなどの従来の選択的レーザ焼結装置では、二酸化炭素レーザを使用し、このレーザビームを偏向するガルバノ・ミラーを備えた走査装置を用いてレーザビームを位置決めする。」(段落【0002】―【0003】) ウ 「【0029】 本発明は、制御すべきレーザの特定の用途に関係なく、レーザ制御装置に関して利用してよいことが、以下の説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明は、コンピュータ支援設計(CAD)またはコンピュータ支援製造(CAM)のデータベースからの物品の製造においてレーザを利用する高速試作成形装置に適用したときに、特に有益であるのが分かっている。したがって、以下の説明は、そのような高速試作成形装置、特に選択的レーザ焼結装置に関する。しかしながら、先の記載に基づいて、本発明は、他のタイプの高速試作成形装置(例えば、ステレオリソグラフィーおよびLOM装置)並びにレーザエネルギーの他の用途に使用してもよいことを理解すべきである。」(段落【0029】) エ 「【0031】 装置100における粉末送達装置は、上方に移動し、ある容積の熱可溶性(すなわち、焼結可能な)粉末をチャンバ102中に持ち上げるように、モータ116により制御された供給ピストンを含む。モータ108により制御された部品ピストン106は、少量だけ、例えば、5ミル(約0.125mm)だけチャンバ102の床から下方に動いて、加工すべき粉末の各層の厚さを定義する。ローラ118は、供給ピストン114から標的面104に粉末を平行移動させる逆回転ローラである。標的面104は、ここでの説明の目的のために、部品ピストン106の上に配置された熱可溶性粉末(もし存在すれば、先に焼結した部分を含む)の頂面を称する。部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末は、ここでは、部品入りケーキ107と称される。」(段落【0031】) オ 「【0034】 所望の物品の断面の製造は、レーザ110により行われる。このレーザは、先に述べられた米国特許に記載され、ここで図2に関して説明される様式で、走査装置142により方向付けられるビームを提供する。レーザ110は、レーザ自体に加え、例えば、正面ミラー・アセンブリを含む、米国特許第4863538号明細書に記載されたような従来の制御要素、および発散レンズや収束レンズなどの集束要素を含む。使用されるレーザ110のタイプは、多くの要因に依存し、特に、焼結すべき粉末のタイプに依存する。多くのタイプの従来の粉末にとって、好ましいレーザは、パワー出力が制御可能な、50ワットのCO2型レーザである。レーザ110は、オンにされると、図2の矢印によって示された光路に沿って進むレーザビーム105を放出する。」(段落【0034】) カ 「【0055】レーザパワー制御 本発明の別の態様は、前述したように、レーザパワーの制御である。一般に、高速試作成形装置で製造されている部品の各領域には、望ましい最適露光がある。先に説明したように、所望の露光は、特定の例に応じて、全ての領域で均一であるか、または不均一であってもよい。露光は、可溶性材料に送達される単位面積当たりのレーザエネルギーとして定義される。それゆえ、露光は、主に、レーザパワーとレーザスポットの速度に依存し、より詳しくは、露光は、パワーに正比例し、速度に反比例することが認識できる。 【0056】 本発明によれば、露光は、1つのベクトルまたは複数の連続したベクトルの走査中に瞬間のレーザパワーを測定するために高速パワー・メータを使用することによって、精確に制御できる。本発明のある実施の形態によるパワー制御されたレーザ・スキャナの概略図が図7に示されている。スキャナは、レーザ110およびレーザビームをビーム・スプリッタ162に向け直す高反射ミラー160を有する。このスプリッタ162は、ビームを分割し、ビーム強度のごく一部(例えば、ビーム・スプリッタは、約1%の反射率および約99%の透過率を有し得る)を、集束レンズ164を通して、瞬時にビームのパワーを測定するように動作できる高速パワー・メータ166に方向付ける。この高速パワー・メータは、例えば、高速応答光検出器などであって差し支えない。高速パワー・メータの一例に、ポーランド国、ワルシャワ所在のビゴ・システムズ社(Vigo Systems S.A.)により製造されたモデルPD-TE-10.6-3がある。高速パワー・メータは、走査ミラーの加速周期よりも短い応答時間を有する。応答時間は、作業面上でレーザスポットがそれ自体の長さまたは直径を移動するのにかかる(最高速度で動いているとき)時間よりも短いことがより好ましい。例えば、レーザスポットが0.1mmの直径であり、スポットが10m/sで移動する場合、そのスポット長さを移動するのに要する時間は10μsである。したがって、高速パワー・メータの応答時間は、好ましくは10μs未満、より好ましくは5μs未満、さらにより好ましくは3μs未満、より一層好ましくは約2μs以下である。スポット長を移動する時間が10μsではない他の用途において、高速パワー・メータの応答時間は異なっていて差し支えない。大雑把に言えば、Tが、レーザスポットが作業面上をそれ自体の長さまたは直径を移動するのにかかる(最高速度で移動するとき)時間である場合、応答時間が0.3T未満であることが望ましい。 【0057】 ビームのその他の部分は、ビーム・スプリッタ162から高反射ミラー168に向けられる。このミラー168は、ビームを、線形トランスレータ・凹面ビーム拡大レンズ174および凸面ビーム拡大レンズ176に通して、走査ミラー178に向け直す(概略としてしか示されていない)。ミラー168から走査ミラーへのビームの経路に隣接して、オン/オフ高反射ミラー170をビームの経路に入れたり、ビームの経路から出したりするための適切な駆動部を備えたミラー170が配置されている。ビームの経路に入れられたときに、ミラー170は、ビームを、ビームのパワーを測定するように動作できる低速パワー・メータ172に向け直す。 【0058】 本発明のこの態様によれば、高速パワー・メータ166は、作業面上の可溶性材料を露光するレーザビームのパワーを、例えば、校正曲線などによってそれから決定できる信号を提供するように校正される。ベクトルの走査中、レーザパワー制御装置150の各刻み時間または時間段階で、高速パワー・メータは、レーザビームの瞬間パワーを測定するのに使用でき、パワーの測定値は、ベクトルに沿った各点について、メモリ内に格納できる。前述したように、これらの点でエンコーダの位置は検出され、格納され、それらの点でのレーザスポットの速度を計算し、格納できる。速度およびパワーの測定値から、可溶性材料の露光を、各点で演繹できる。このパワー、位置、および露光のデータは、ベクトル走査中の露光制御をさらに改善するために、様々な異なる様式で使用できる。 【0059】 例えば、本発明のある実施の形態において、レーザパワー制御装置150のデジタル信号プロセッサは、各点での所望の露光を行うように、ベクトルに沿って各点での測定された瞬間パワーに基づいて、走査中にレーザ110(手短に図2参照)をリアルタイムで調節できる。一例として、所望の露光は、構築すべき部品の様々な領域について決定できる。次いで、各点でのレーザの速度および各点での測定された瞬間パワーに基づいて、各点に関する実際の露光をDSPによって演繹できる。DSPは、露光誤差(すなわち、所望の露光と実際の露光との間の差)をゼロにもっていくように、レーザパワーの閉ループ制御をリアルタイムで行うことができる。」(段落【0055】-(段落【0059】) (2)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 引用文献1には、部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結(段落【0029】、【0031】、【0034】)において、物品を形成するための粉末を選択的に焼結させるため選択的レーザ焼結装置(段落【0029】)のレーザ110で提供されるレーザビーム105を用いること(段落【0034】)、そして、そのレーザパワーを測定する(段落【0056】)方法について記載されている。(段落【0003】,【0029】,【0031】,【0034】,【0056】) イ 引用文献1記載のビーム・スプリッタ162は、ビームを反射率約1%で分割し、ビーム強度のごく一部を、集束レンズ164を通して、ビームのパワーを測定するように動作できる高速パワー・メータ166に方向付けるものである。(段落【0056】) ウ 引用文献1記載の高速パワー・メータ166は、作業面上の可溶性材料を露光するレーザビームのパワーを、例えば、校正曲線などによってそれから決定できる信号を提供するものであり、レーザビームの瞬間パワーを測定するのに使用できる。(段落【0058】) エ 引用文献1の部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結(段落【0029】、【0031】、【0034】)において、各点での測定された瞬間パワーに基づいて、各点に関する実際の露光をDSPによって演繹し(段落【0059】)、DSPは、露光誤差(すなわち、所望の露光と実際の露光との間の差)をゼロにもっていくように、レーザパワーの閉ループ制御をリアルタイムで行うことができる(段落【0059】)ものである。(段落【0031】、【0059】) 2 引用発明 上記1の(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、単に「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「物品を形成するための粉末を選択的に焼結させるためレーザ110で提供されるレーザビーム105を用いる、部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結におけるレーザパワー測定方法であって、 ビーム・スプリッタ162がレーザビーム105の約1%を反射することにより、レーザビーム105を反射率約1%で分割してレーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームを形成し、レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームを高速パワー・メータ166に方向付ける工程と、 高速パワー・メータ166を使用して、レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームのパワーから校正曲線などによって決定できる信号を提供する工程と、 高速パワー・メータ166からの信号を測定して、レーザビーム105の瞬間パワーの測定値を提供する工程と、 瞬間パワーの測定値に基づいて演繹された実際の露光をレーザ110の所望の露光と比較する工程と、 前記比較に基づいて、部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結におけるレーザパワーの閉ループ制御をリアルタイムで行う工程と、 を含む、レーザパワー測定方法。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「物品」は本願発明における「ワークピース(W)」に相当し、以下同様に、「粉末」は「材料」に、「レーザ110」は「レーザ光源(24)」に、「レーザビーム105」は「ビルドビーム(B)」に、それぞれ相当するものである。そして、引用発明における「レーザパワー測定方法」は、レーザパワーを測定して閉ループ制御に用いるものであり、監視機能を有するといえるから、本願発明の「レーザ出力監視方法」に相当し、引用発明における「レーザ110で提供されるレーザビーム105」は、本願発明の「レーザ光源(24)で生成されるビルドビーム(B)」に相当する。 2 また、引用発明における「焼結」は、上記1(1)イの段落【0003】の「レーザ焼結装置は、熱エネルギーを施して、その粉末層に構築されている物品の断面に対応する粉末層の部分を溶融する。」なる記載や、上記1(1)エの「装置100における粉末送達装置は、上方に移動し、ある容積の熱可溶性(すなわち、焼結可能な)粉末をチャンバ102中に持ち上げるように、モータ116により制御された供給ピストンを含む。・・・(略)・・・部品ピストン106の上に配置された熱可溶性粉末(もし存在すれば、先に焼結した部分を含む)の帳面を称する。部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末は、ここでは部品入りケーキ107と称される。」及び「焼結」なる用語が、一般的に、粉末の集合体を、融点温度以下で熱処理した場合に粉末が固まる現象であることを表すことからみて、本願発明における「溶融又は硬化」に相当するといえる。 3 さらに、本願の「付加製造」は、本願明細書の段落【0002】によれば、材料を交互に積層して部品を形成するプロセスであるところ、引用発明における「部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結」は、上記1(1)イの段落【0002】、【0003】の記載や、同エの工程からみて、層毎になされるものであるから、本願発明における「付加製造プロセス」に相当するといえる。 4 さらにまた、引用発明における「反射する」ことは、本願発明における「方向転換する」ことに相当し、同様に、「レーザビーム105を反射率約1%で分割」することは、「ビルドビーム(B)を所定の割合で分割」することに、「レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビーム」は「サンプルビーム(S)」に、「高速パワー・メータ166」は「センサ(58)」に、「方向付ける」は「誘導する」に、それぞれ相当する。そうすると、引用発明における「ビーム・スプリッタ162がレーザビーム105の約1%を反射することにより、レーザビーム105を反射率約1%で分割してレーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームを形成し、レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームを高速パワー・メータ166に方向付ける工程」は、本願発明における「ビームスプリッタ(56)がビルドビーム(B)の大部分を方向転換することにより、ビルドビーム(B)を所定の割合で分割してサンプルビーム(S)を形成し、サンプルビーム(S)をセンサ(58)に誘導する工程」と、「ビームスプリッタがビルドビームを方向転換することにより、ビルドビームを所定の割合で分割してサンプルビームを形成し、サンプルビームをセンサに誘導する工程」という点で共通するといえる。 5 さらにまた、引用発明における「高速パワー・メータ166を使用して、レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームのパワーから校正曲線などによって決定できる信号を提供する工程」は、本願発明における「センサ(58)を使用して、サンプルビーム(S)の出力に比例する信号を生成する工程」と、「センサを使用して、サンプルビームの出力に対応する信号を生成する工程」という点で共通する。 6 さらにまた、引用発明における「レーザビーム105の瞬間パワー」は本願発明における「ビルドビーム(B)の出力レベル」に相当する。そして、引用発明における「レーザビーム105の瞬間パワーの測定値」は本願発明における「ビルドビーム(B)の出力レベルに関するレーザ出力データ」に相当する。そうすると、引用発明における「高速パワー・メータ166からの信号を測定して、レーザビーム105の瞬間パワーの測定値を提供する工程」は、本願発明における「センサ(58)からの信号を測定して、ビルドビーム(B)の出力レベルに関するレーザ出力データを生成する工程」と、「センサからの(サンプルビームの出力に対応する)信号を測定して、ビルドビームの出力レベルに関するレーザ出力データを生成する工程」という点で共通するといえる。 7 さらにまた、引用発明における「瞬間パワーの測定値」は本願発明における「レーザ出力データ」に相当する。そして、引用発明における「瞬間パワーの測定値に基づいて演繹された実際の露光をレーザ110の所望の露光と比較する工程」は、本願発明における「レーザ出力データをレーザ出力制限値と比較する工程」と、「レーザ出力データを所定のレーザ出力に関する値と比較する工程」という点で共通するといえる。 8 さらにまた、引用発明における「部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結におけるレーザパワー」は、本願発明における「付加製造プロセスにおける1以上のプロセスパラメータ」に相当する。そして、引用発明における「前記比較に基づいて、部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結におけるレーザパワーの閉ループ制御をリアルタイムで行う工程」は、本願発明における「前記比較に基づいて、付加製造プロセスにおける1以上のプロセスパラメータを変更する工程」に相当するといえる。 9 したがって、本願発明と引用発明は、 「ワークピースを形成するための材料を選択的に溶融又は硬化させるためレーザ光源で生成されるビルドビームを用いる付加製造プロセスにおけるレーザ出力監視方法であって、 ビームスプリッタがビルドビームを方向転換することにより、ビルドビームを所定の割合で分割してサンプルビームを形成し、サンプルビームをセンサに誘導する工程と、 センサを使用して、サンプルビームの出力に対応する信号を生成する工程と、 センサからの信号を測定して、ビルドビームの出力レベルに関するレーザ出力データを生成する工程と、 レーザ出力データを所定のレーザ出力に関する値と比較する工程と、 前記比較に基づいて、付加製造プロセスにおける1以上のプロセスパラメータを変更する工程と、 を含む、レーザ出力監視方法。」である点で一致し、次の各点において相違する。 <相違点1> 「ビームスプリッタがビルドビームを方向転換することにより、ビルドビームを所定の割合で分割してサンプルビームを形成し、サンプルビームをセンサに誘導する工程」において、本願発明では、ビームスプリッタ(56)が「ビルドビーム(B)の大部分」を方向転換することにより、ビルドビーム(B)を所定の割合で分割してサンプルビーム(S)を形成しているのに対し、引用発明では、ビーム・スプリッタ162が「レーザビーム105の約1%」を反射することにより、レーザビーム105を反射率約1%で分割してビームのパワー測定用のごく一部のビームを形成している点。 <相違点2> 「センサを使用して、サンプルビームの出力に対応する信号を生成する工程」において、本願発明では「サンプルビーム(S)の出力に比例する信号を生成する」としているのに対して、引用発明では「レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームのパワーから校正曲線などによって決定できる信号を提供する」としている点。 <相違点3> 「レーザ出力データを所定のレーザ出力に関する値と比較する工程」において、本願発明では「レーザ出力データ」を「レーザ出力制限値」と比較しているのに対し、引用発明では「瞬間パワーの測定値に基づいて演繹された実際の露光」を「レーザ110の所望の露光」と比較している点。 第6 判断 上記各相違点について検討する。 1 <相違点1>について レーザ光源で生成されるビームを用いる製造プロセスにおけるレーザ出力監視方法における「ビームスプリッタがビルドビームを方向転換することにより、ビルドビームを所定の割合で分割してサンプルビームを形成し、サンプルビームをセンサに誘導する工程」において、「ビームスプリッタがビルドビームの大部分を方向転換することにより、ビルドビームを所定の割合で分割してサンプルビームを形成」することは周知の技術(必要であれば、引用文献2の特に段落【0021】及び【図1】、引用文献3の特に段落【0016】及び【図1】、引用文献4の特に段落【0025】、【0029】及び【図1】、引用文献5の特に第2ページ右上欄第7行―第16行の記載及び第1図等参照。以下、「周知技術1」という。)である。 また、引用発明において、ビームスプリッタ(ビーム・スプリッタ162)がビルドビーム(レーザビーム105)を方向転換(反射)することにより、ビルドビーム(レーザビーム105)を所定の割合で分割してサンプルビーム(レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビーム)を形成するにあたり、サンプルビーム(レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビーム)とサンプルビーム以外の部分のいずれを方向転換(反射)して他方を透過させるかは、サンプルビームを誘導するセンサの位置や、ビルドビームの入射経路、照射方向等の設計上の制約を考慮しつつ、各種設計上の自由度の範囲内で当業者が適宜選択し得るものであるところ、引用発明において、そのような設計上の制約を受ける事情があるわけでもない。 そうすると、引用発明において、かかる自由度のもとで、周知技術1を適宜採用して、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項に想到することは当業者が容易になし得たものである。 2 <相違点2>について レーザ光源で生成されるビームを用いる製造プロセスにおけるレーザ出力監視方法における「センサを使用して、サンプルビームの出力に対応する信号を生成する工程」において、「サンプルビームの出力に比例する信号を生成する」ことは周知の技術(必要であれば、引用文献6の特に第4ページ左下欄第3行―第8行の記載、引用文献7の特に段落【0037】の記載等参照。以下、「周知技術2」という。)である。 また、引用発明において、「レーザビーム105のビーム強度のごく一部のビームのパワーから校正曲線などによって決定できる信号を提供する」ことは、周知技術2における「サンプルビームの出力に比例する信号を生成する」ことと同様に、サンプルビームの(光の強さの)出力から、その出力に対応する(電気)信号を生成することであり、同様な機能を有するこれらのうち、いずれを選択するかは当業者が適宜選択し得るものである。 そうすると、引用発明において、周知技術2を採用して、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項に想到することは当業者が容易になし得たものである。 3 <相違点3>について レーザ光源で生成されるビームを用いる製造プロセスにおけるレーザ出力監視方法における「レーザ出力データを所定のレーザ出力に関する値と比較する工程」において、「レーザ出力データをレーザ出力制限値と比較」し、「該比較に基づいて、付加製造プロセスにおけるプロセスパラメータを変更すること」は周知の技術(必要であれば、引用文献9の特に段落【0051】―【0053】及び【図9】の記載、特開平11-320147号公報の特に段落【0940】-【0970】の記載及び【図20】の記載等参照。以下、「周知技術3」という。)である。 引用発明において、レーザ出力データを所定のレーザ出力に関する値と比較する工程(瞬間パワーの測定値に基づいて演繹された実際の露光をレーザ110の所望の露光と比較する工程)による比較に基づいて、付加製造プロセスにおける1以上のプロセスパラメータ(部品ピストン106の上に配置された焼結粉末と未焼結粉末からなる部品入りケーキ107における熱可溶性粉末の焼結におけるレーザパワー)を変更するにあたり、比較する所定のレーザ出力に関する値については、必要に応じて適宜選択し得るものであり、周知技術3のようなレーザ出力限界値とすることに特段の困難性は認められない。 そうすると、引用発明において、周知技術3を採用して、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項に想到することは当業者が容易になし得たものである。 そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術1ないし3から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-000728

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同じ当事者の審決285件(ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ)
  • 2026-001534拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)プリントアセンブリ及び方法
    同じ当事者: ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
  • 2024-011019拒絶査定不服審判 / 2026-04-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)対向流チャネルを含むセラミックマトリックス複合材構成要素および製造方法
    同じ当事者: ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
  • 2024-012735拒絶査定不服審判 / 2026-02-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)ロボットの自律的動作計画及びナビゲーションのためのシステム並びに方法
    同じ当事者: ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
  • 2023-022192拒絶査定不服審判 / 2026-02-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)複数のプライに冷却チャネルを含むセラミックマトリックス複合材構成要素および製造方…
    同じ当事者: ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
  • 2023-003552拒絶査定不服審判 / 2025-04-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)移動型X線撮像システムのためのシステムおよび方法
    同じ当事者: ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
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同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-006742拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立レーザ加工システム、学習装置および学習装置の学習方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-015109拒絶査定不服審判 / 2025-12-18 / 請求不成立可搬型溶接ロボットの制御方法、溶接制御装置、可搬型溶接ロボット及び溶接システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-004025拒絶査定不服審判 / 2025-09-03 / 請求不成立レーザ加工方法及びレーザ加工装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-000976拒絶査定不服審判 / 2025-03-11 / 請求不成立加工装置及び加工方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-012925拒絶査定不服審判 / 2024-11-28 / 請求不成立金属肉盛層の形成方法
    共通の条文: 特許法29条2項
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同じ論点・分野の審決(審決分類)339件(121・B23K)
  • 2024-017662拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置
    共通の審決分類: 121・B23K
  • 2025-002517拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)溶接方法および溶接装置
    共通の審決分類: 121・B23K
  • 2025-003640拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)光学装置および加工装置
    共通の審決分類: 121・B23K
  • 2025-013036拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)加工システム及び検査システム
    共通の審決分類: 121・B23K
  • 2025-013484拒絶査定不服審判 / 2026-07-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)はんだ合金、ソルダペースト、プリント回路基板及び電子制御装置
    共通の審決分類: 121・B23K

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