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特許異議申立

2018-700802

芳香装置

審判番号
2018-700802
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-024540
登録番号
特許第6304065号(P6304065)
請求日
2018年10月03日
審決日
2019年06月10日
公報発行日
2019年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社デンソー
  • 【権利者代理人】矢作 和行
  • 【権利者代理人】野々部 泰平
  • 【権利者代理人】久保 貴則
  • 【権利者】アルパイン株式会社
  • 【権利者代理人】矢作 和行
  • 【権利者代理人】野々部 泰平
  • 【権利者代理人】久保 貴則
  • 【異議申立人】東京総合コンサルティング 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 豊永 茂弘
  • 審判官 小川 進
  • 審判官 櫛引 明佳
分類
P1651.851-YAA(A61L) / P1651.853-YAA(A61L) / P1651.113-YAA(A61L) / P1651.121-YAA(A61L) / P1651.537-YAA(A61L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6304065号発明「芳香装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6304065号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第6304065号の請求項1~3、6に係る特許を維持する。 特許第6304065号の請求項4、5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第6304065号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成27年2月10日を出願日とし、平成30年3月16日に特許権の設定登録がなされ、同年4月4日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、特許異議申立人 東京総合コンサルティング 株式会社(以下「異議申立人」という。)により、同年10月3日付けで特許異議の申立てがされ、同年12月3日付けで特許権者に取消理由が通知され、その指定期間内の平成31年2月4日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正(以下、「本件訂正」という。)請求がされ、同年2月19日付けで訂正請求があった旨が異議申立人に通知されたが、その指定期間内に異議申立人から意見書の提出がなかったものである。 第2 本件訂正の適否についての判断 本件訂正の請求の趣旨、及び、訂正の内容は、本件訂正請求書の記載によれば、それぞれ以下のとおりのものである。 1. 請求の趣旨 本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。 2. 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1~7のとおりである。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される」とあるのを、 「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有し、 前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、 前記モジュール側接続部は、複数の前記部材のうち、前記筒状の側面に位置し、前記容器モジュールを覆う側部カバー部材(12)を取り外した状態で前記嵌る接続構造により前記ハウジング内接続部に接続され、 前記側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、 前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、請求項3、請求項6も同様に訂正する)。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記新たな芳香液に交換する際には、前記新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされ、さらに前記ガイド部に前記突出片を保持させた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入する」とあるのを、 「前記新たな芳香液に交換する際には、前記新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と前記嵌る接続構造により位置合わせされ、さらに前記ガイド部に前記突出片を保持させた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入する」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、請求項6も同様に訂正する)。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記一対の挟持片部は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」とあるのを、 「前記一対の挟持片部は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6) 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から請求項5のいずれか一項に」とあるのを、「請求項1から請求項3のいずれか一項に」に訂正する。 (7) 訂正事項7 明細書の段落【0010】に「新たな芳香液に交換する際には、新たな芳香液を貯えた液容器を有する新たな容器モジュールのモジュール側接続部がハウジング内接続部に位置合わせされた状態で、新たな容器モジュールがハウジングの内部に進入することにより、モジュール側接続部とハウジング内接続部とが接続されて新たな容器モジュールが装着されること」とあるのを、 「新たな芳香液に交換する際には、新たな芳香液を貯えた液容器を有する新たな容器モジュールのモジュール側接続部がハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、新たな容器モジュールがハウジングの内部に進入することにより、モジュール側接続部とハウジング内接続部とが嵌る接続構造により接続されて新たな容器モジュールが装着される嵌る接続構造を有し、 ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、 モジュール側接続部は、複数の部材のうち、筒状の側面に位置し、容器モジュールを覆う側部カバー部材(12)を取り外した状態で嵌る接続構造によりハウジング内接続部に接続され、 側部カバー部材から突出するように設けられ、容器モジュールの外周部に接触または接近して容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、 支持片は、モジュール側接続部とハウジング内接続部とが嵌る接続構造により接続された状態で、モジュール側接続部がハウジング内接続部から脱離する方向への容器モジュールの移動を抑制すること」に訂正する。 2. 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求 の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される」という発明特定事項を、「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有」するという発明特定事項に明確化するという訂正事項(以下、「前者の訂正事項」という。)と、 請求項1を引用する、訂正前の請求項4の発明特定事項について、さらに、訂正前の請求項5で特定されていた、「前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、前記モジュール側接続部は、複数の部材のうち、前記筒状の側面に位置し、前記容器モジュールを覆う側部カバー部材(12)を取り外した状態で前記ハウジング内接続部に接続され、前記側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」という発明特定事項を訂正前の請求項1に組み込むと共に、前者の訂正事項に関連して、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部との接続構造が「前記嵌る接続構造」であることを明確化しようとする訂正事項(以下、「後者の訂正事項」という。)とからなっている。 そして、前者の訂正事項は、訂正前の請求項1における「新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続され」るという発明特定事項では、新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部との接続構造が明確ではなかったところ、本件特許の明細書【0090】における「ハウジング内接続部7がモジュール側接続部44の内側に嵌ることで両者が接続されるが、…(当審注:「…」は記載の省略を表す。以下、同じ。)モジュール側接続部44がハウジング内接続部7の内側に嵌る接続構造でもよい。」との記載、及び、本件特許の図面【図2】~【図3】の記載に基づいて、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部との接続構造が「前記嵌る接続構造」であることに明確化しようとする訂正事項であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、後者の訂正事項は、請求項1を引用する、訂正前の請求項4の発明特定事項について、さらに、訂正前の請求項5で特定されていた発明特定事項を請求項1に組み込むと共に、前者の訂正事項に関連して、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部との接続構造が「前記嵌る接続構造」であることを明確化しようとする訂正事項であるから、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明とを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2) 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2における「前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされ」るとの発明特定事項について、前記訂正事項1における前者の訂正事項に関連して、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部との位置合わせが「前記嵌る接続構造」によって行われるということを明確化しようとする訂正事項であるから、明瞭でない記載の釈明とを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3) 訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項3における「前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続された状態」との発明特定事項を、前記訂正事項1における前者の訂正事項に関連して、それらが接続された状態が、「前記嵌る接続構造により接続された状態」であることを明確化しようとする訂正事項であるから、明瞭でない記載の釈明とを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4) 訂正事項4及び5 訂正事項4及び5は、訂正前の請求項4及び5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5) 訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1から請求項5のいずれか一項を引用していたところ、訂正事項4と5に伴って、請求項1から請求項3のいずれか一項を引用する請求項とするものであり、請求項6の引用請求項数を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6) 訂正事項7 訂正事項7は、芳香族装置に係る発明に関し、訂正前の請求項1と同様の記載がされていた訂正前の明細書の【0010】の記載を、訂正事項1によって訂正される請求項1の記載と整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7) 独立特許要件について 本件特許の全請求項について特許異議の申立てがされたので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定が適用される請求項はなく、したがって、訂正事項1~7には、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定が適用されない。 (8) 一群の請求項について 訂正前の請求項2~6は、訂正前の請求項1を引用する請求項であり、請求項1~6は一群の請求項であるところ、請求項1に係る訂正事項1を含む本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 (9)明細書の訂正と関係する請求項についての説明 訂正事項7による明細書の訂正は、訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、一群の請求項1~6の全てについてする訂正である。 したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 3. 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2のとおり訂正することを認めるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3、6に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明3」、「本件訂正発明6」ということがあり、また、これらを、まとめて、「本件訂正発明」ということがある。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3、6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ハウジング(1)と、 前記ハウジングの内部に設けられ、芳香成分を含む芳香液が貯えられた液容器(40)を有する容器モジュール(4)と、 前記ハウジングの外部と連通可能に前記ハウジングの内部に設けられ、前記液容器から排出される前記芳香液の揮発気体が送られる貯留室(45)と、 前記ハウジングの内部に設けられ、前記貯留室に空気を供給する手段であって、前記貯留室に存在する前記揮発気体を前記ハウジングの外部に放出可能な空気供給手段(2)と、 前記ハウジングに固定された部材(13)にまたは前記ハウジングの一部に、一体に形成され、前記空気供給手段から供給される空気が通る通路が内部に形成されたハウジング内接続部(7)と、 前記貯留室に直通する通路(440)を内部に有するように前記容器モジュールに設けられて、前記ハウジング内接続部に対して着脱可能に構成されるモジュール側接続部(44)と、 を備え、 新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有し、 前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、 前記モジュール側接続部は、複数の前記部材のうち、前記筒状の側面に位置し、前記容器モジュールを覆う側部カバー部材(12)を取り外した状態で前記嵌る接続構造により前記ハウジング内接続部に接続され、 前記側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、 前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制することを特徴とする芳香装置。 【請求項2】 前記容器モジュールから突出する突出片(42)と、 前記ハウジングに固定された部材(13)または前記ハウジングの一部に一体に設けられ、前記突出片が収まる溝を有して上下方向の移動を抑制するように前記容器モジュールを保持可能なガイド部(130)と、 を備え、 前記新たな芳香液に交換する際には、前記新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と前記嵌る接続構造により位置合わせされ、さらに前記ガイド部に前記突出片を保持させた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することを特徴とする請求項1に記載の芳香装置。 【請求項3】 前記ハウジングに固定された部材(13)または前記ハウジングの一部に一体に設けられ、前記容器モジュールの外周部を外側から挟むようにして保持する一対の挟持片部(131)を備え、 前記一対の挟持片部は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制することを特徴とする請求項2に記載の芳香装置。 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 車室内に設置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の芳香装置。」 第4 特許異議の申立てについて 1. 申立理由の概要 異議申立人は、以下の甲第1号証~甲第2号証を提出して、以下の申立理由1~3によって、訂正前の請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 (1) 申立理由1 訂正前の請求項1~5に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるので、訂正前の請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、訂正前の請求項1~6に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2 訂正前の請求項1、6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、訂正前の請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3) 申立理由3 訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号若しくは第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものである。 [異議申立人が提出した証拠方法] 甲第1号証:米国特許出願公開第2012/0018530号明細書 甲第2号証:米国特許出願公開第2010/0084484号明細書 2. 取消理由の概要 訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、平成30年12月3日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1) 本件の請求項1~6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2) 本件特許の請求項1~4、6に係る発明は、下記の引用文献1~2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1~4、6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 引用文献1:米国特許出願公開第2012/0018530号明細書 (甲第1号証) 引用文献2:登録実用新案第3018216号公報 3. 当審の判断 本件訂正発明1は、訂正前の請求項5に係る発明に相当するから、新規性・進歩性については、上記1.の申立理由についてのみ検討を行うこととする。 3A 上記1.の申立理由について (A-1) 上記申立理由1について (A-1-1) 甲第1号証の記載事項 ア. 「[0020] FIG. 1A depicts an example of a top view 110 of a fragrance diffusion system, and FIGS. 1B-1D depict examples of side views 120 , 130 , 140 of the fragrance diffusion system. … [0021] FIG. 2A depicts an example of a profile view 210 of an interior of the fragrance diffusion system, and FIG. 2B depicts an example of a side view 220 of the interior of the fragrance diffusion system. As described below, some of the interior components from the fragrance diffusion system shown in FIGS. 2A and 2B are shown in FIGS. 3-5 . For instance, FIGS. 3-5 show diagrams of interior components of the fragrance diffusion system, where FIG. 3 depicts an example of interior components of a top chassis assembly 300 , FIG. 4 depicts an example of some of the components related to a collector assembly 401 and a cartridge assembly 400 , and FIG. 5 depicts an example of some of the components related to a bottom chassis assembly 500 .」 (当審訳:[0020] 図1Aは、芳香成分拡散システムの側面図110の一例を示し、図1B~図1Dは、芳香成分拡散システムの側面図120,130,140の例を示す。… [0021] 図2Aは、芳香成分拡散システムの内部構造図210の一例を示し、図2Bは、芳香成分拡散システムの側面図220の一例を示す。以下に説明するように、図2A及び図2Bに示す芳香成分拡散システムの内部構成要素のいくつかは図3~5に示される。例えば、図3~5は、芳香成分拡散システムの内部構成要素の図を示し、図3は、頂部シャーシアセンブリ300の内部構成要素の一例を示し、図4は、コレクタアセンブリ401及びカードリッジアセンブリ400に関連するいくつかの構成要素の一例を示し、図5は、底部シャーシアセンブリ500に関連するいくつかの構成要素の一例を示す。) イ. 「[0022] FIG. 3 shows the top chassis assembly 300 includes a rotating universal pivot bracket 306 for a mounting mechanism that serves as a horizontal adjustment for a particular fragrance direction by permitting the fragrance diffusion system to pivot up to 180 degrees. The rotating universal pivot bracket 306 mechanism also is configured for a quick disconnect of the apparatus from the mounting bracket for service. A lockable pivot bracket thumb screw 305 can be used to secure a targeted horizontal adjustment in a fixed position, where the pivot bracket thumb screw 305 can be tightened to lock the position of the targeted horizontal adjustment. The rotating universal pivot bracket 306 and the lockable pivot bracket thumb screw 305 can be attached to the top chassis 307 , which is a circular-like plate that rests on top of a pump bracket 308 , a fan bracket 304 and a printed circuit board (PCB) box 309 . The pump bracket 308 is designed to hold an air pump (not shown) that works in the delivery of the compresses air inside the fragrance diffusion system. The pump bracket may also be use to shield the noise coming from the air pump. The fan bracket 304 is configured to hold a fan 302 , and the PCB box 309 can be designed to hold circuit components and systems for controlling the operations of the system. … [0027] The location of the fan 302 in the system is at the output of the air exit at the fan chassis 301 , and can be substantially flush with the outside front housing 710 of the fragrance system. The fan chassis 301 has a slot 312 located at a bottom area of the air exit to receive a fragrance from an output orifice 409 of the collector assembly 401 on the cartridge bottle assembly 400 . The air pushed at the fan 302 can be air that has a lower pressure than the air coming from the output orifice 409 . By having the slot 312 in the bottom on the fan chassis 301 , the air flow from the fan can directly assist in pushing the fragrance away from the system. The fan chassis 301 can be used to channel the fragrance at the opening 750 of the outside front housing 710 of the fragrance diffusion system.」 (当審訳:[0022] 図3は、頂部シャーシアセンブリ300が、芳香成分拡散システムを180°まで旋回できるようにすることにより、特定の芳香方向に対する水平調整として機能する取り付け機構用の回転ユニバーサルピボットブラケット306を含むことを示す。回転ユニバーサルピボットブラケット306の機構はまた、保守のために装置を取り付けブラケットから迅速に取り外せるように構成される。ロック可能なピボットブラケットつまみねじ305は目標水平調整の位置の固定に使用でき、そのピボットブラケットつまみねじ305を締めて目標水平調整の位置をロックできる。回転ユニバーサルピボットブラケット306及びロック可能なピボットブラケットつまみねじ305は、ポンプブラケット308、ファンブラケット304及びプリント回路基板(PCB)ボックス309の上に載置される円形プレートである頂部シャーシ307に取り付け可能である。ポンプブラケット308は、芳香成分拡散システム内で圧縮空気を伝達する空気ポンプ(不図示)を保持するように設計される。ポンプブラケットは、空気ポンプから生ずる雑音の遮蔽にも使用され得る。ファンブラケット304は、ファン302を保持するように構成され、PCBボックス309は、システムの動作を制御するための回路構成要素とシステムとを保持するように設計し得る。 … [0027] システムにおけるファン302の位置は、ファンシャーシ301内の空気出口の出力部にあり、芳香システムの外側のフロントハウジング710と実質的に同一平面であり得る。ファンシャーシ301は、カートリッジボトルアセンブリ400上のコレクタアセンブリ401の出力オリフィス409から芳香成分を受け取るために空気出口の底部領域に位置するスロット312を有する。ファン302で押し出される空気は、出力オリフィス409からの空気よりも低圧の空気であり得る。ファンシャーシ301の底部にスロット312を有することによって、ファンからの空気流は、芳香成分をシステムから押し出すのを直接補助できる。ファンシャーシ301は芳香成分拡散システムの外側のフロントハウジング710の開口部750において芳香成分を分散するために使用可能である。) ウ. 「[0033] FIG. 4 depicts an example of a collector assembly 401 and a cartridge bottle assembly 400 in the fragrance diffusion system. The collector assembly 401 includes a nozzle 405 , a collector top 406 , the output orifice 409 , a collector bottom 407 , O-rings 403 , 404 and a D-shaped guide plate alignment mechanism 410 . The cartridge bottle assembly 400 includes the bottle 402 to hold the liquid fragrance oil. FIG. 5 depicts an example of a bottom chassis assembly 500 in the fragrance diffusion system. The bottom chassis assembly 500 includes a main chassis 503 , an air adapter 502 , a guide plate 504 , a muffler assembly 507 , a plenum cover 505 , a cam lock mechanism 506 , and two levers 501 . The combination of the muffler assembly 507 and a plenum can be designed to reduce the noise from the air intake of the air pump by providing a restricted air input passageway. [0034] The collector assembly 401 is formed with a D-shaped collector self alignment feature that allows the user to slide the collector assembly 401 into place where it aligns the collector assembly's nozzle 105 to the air adapter 502 located in the bottom main chassis 503 . A D-shaped guide plate 504 in the bottom chassis assembly 500 can allow for a single orientation of the collector assembly 401 to the guide plate 504 . … [0035] The fragrance diffusion system can use a replaceable cartridge bottle assembly 400 with the output orifice 409 attached to the collector top 406 . The output orifice 409 can be aligned such that when the collector assembly 401 is self aligned upon insertion by the D-shaped guide plate alignment mechanism 410 , the output orifice 409 can be configured such that the fragrance output is centered on the slot 312 at the air flow from the fan chassis assembly 301 , which can result in an evenly-distributed fragrance as it leaves the housing assembly 700 . … [0040]… The nozzle 405 can be configured to receive the compressed air from the air pump.」 (当審訳:[0033] 図4は、芳香成分拡散システム内のコレクタアセンブリ401及びカートリッジボトルアセンブリ400の一例を示す。コレクタアセンブリ401は、ノズル405と、コレクタ頂部406と、出力オリフィス409と、コレクタ底部407と、Oリング403、404と、D形ガイドプレート整列機構410とを含む。カートリッジボトルアセンブリ400は、液体芳香オイルを保持するためのボトル402を含む。図5は、芳香成分拡散システム内の底部シャーシアセンブリ500の一例を示す。底部シャーシアセンブリ500は、メインシャーシ503と、空気アセンブリ502と、ガイドプレート504と、マフラーアセンブリ507と、プレナムカバー505と、カムロック機構506と、2つのレバー501とを含む。マフラーアセンブリ507とプレナムとの組み合わせは、空気入力通路を制限して、空気ポンプの空気入口からの雑音を低減するように設計可能である。 [0034] コレクタアセンブリ401は、コレクタアセンブリのノズル105を底部メインシャーシ503に位置する空気アダプタ502に整列させる位置にユーザーがコレクタアセンブリ401をスライドできるようにするD形コレクタ自己整列機能を有するように形成される。底部シャーシアセンブリ500のD形ガイドプレート504は、コレクタアセンブリ401がガイドプレート504に対して単一方向に向くようにできる。… [0035] 芳香成分拡散システムは、出力オリフィス409がコレクタ頂部406に取り付けられた交換可能なカートリッジボトルアセンブリ400を使用できる。出力オリフィス409は、コレクタアセンブリ401が挿入時にD形ガイドプレート整列機構410により自己整列される場合に、芳香成分の出力がスロット312においてファンシャーシアセンブリ301からの空気流の中心に位置するように出口オリフィス409を構成できるように整列可能であり、その結果、芳香成分はハウジングアセンブリ700から出る際に均一に分散される。 … [0040]…ノズル405は、空気ポンプからの圧縮空気を受け取るように設定され得る。) エ. 「[0041] FIGS. 6A-6F depict examples of various views related to the collector assembly. FIG. 6A shows various parts of the collector assembly, and where those parts fit into the collector assembly. The parts includes a snap ring 1 , an input cap 2 , an input tube 3 , o-rings 4 , 5 , 6 , 11 a snap ring 7 , a nozzle 8 , an output cap 9 , a collector top 10 , a collector center 12 , a funnel 13 , and a collector bottom 14 . … [0042]…The collector bottom 14 may form a main part of the body of the collector assembly 401 , and the collector bottom 14 can be the part of the collector assembly where the fragranced air is collected before the fragranced air exits from the output tube. … [0044] FIGS. 6E and 6F show the collector assembly with a D-shaped collector self alignment feature 21 that allows the user to slide the collector assembly into place. A D-shaped guide plate 22 in the bottom chassis assembly can allow for a single orientation of the collector assembly to the guide plate. The collector assembly can be held into place by levers 19 , 20 , which can lock into place when closed to hold the collector assembly tight against the air pressure from the apparatus by using (locking) tabs 23 , 24 on each side.」 (当審訳:[0041] 図6A~図6Fは、コレクタアセンブリに関する種々の図を示す。図6Aはコレクタアセンブリの種々の部品を示し、これらは、コレクタアセンブリにはめ込まれる。部品は、スナップリング1、入力キャップ2、入力管3、Oリング4、5、6、11、スナップリング7、ノズル8、出力キャップ9、コレクタ頂部10、コレクタ中心部12、漏斗13及びコレクタ底部14を含む。… [0042]…コレクタ底部14は、コレクタアセンブリ401の本体の主要部を形成し、そのコレクタ底部14は、出力管から放出される前の芳香空気が収集される箇所であり得る。 … [0044] 図6E及び図6Fは、ユーザがコレクタアセンブリを適切な位置にスライドできるようにするD形コレクタ自己整列機能21を有するコレクタアセンブリを示す。底部シャーシアセンブリのD形ガイドプレート22は、コレクタアセンブリがガイドアセンブリに対して単一方向に向くようにできる。コレクタアセンブリは、各側のタブ23、24を使用する(ロックする)ことにより、コレクタアセンブリを装置からの空気圧に対してしっかりと保持するために、閉鎖時にロックできるレバー19、20によって適切な位置に保持される。) オ. 「[0045] FIG. 7 depicts an example of a housing assembly 700 in the fragrance diffusion system. The housing assembly 700 has a first part for a front housing 710 , and a second part for a back housing 720 , and a slide lock 730 to lock the front and back housings 710 , 720 together around the inner components of the fragrance delivery system. The front and back housings 710 , 720 can open in a manner such that most of the interior components of the system can be made available and serviceable to a service person for the system, the cartridge bottle assembly 400 can be inserted into and removed from the system, and the user can program and control the system using the interface on the accessible PCB box 309 . [0046] The front housing 710 has an opening 750 to receive the fan chassis 301 and output orifice 409 . 」 (当審訳:[0045] 図7は、芳香成分拡散システムにおけるハウジングアセンブリ700の一例を示す。ハウジングアセンブリ700は、フロントハウジング710のための第1部分と、バックハウジング720のための第2部分と、芳香成分伝達システムの内部構成要素の周囲にフロント及びバックハウジング710、720を固定するためのスライドロック730とを有する。フロント及びバックハウジング710、720は、保守要員がそのシステムの内部構成要素のほとんどを利用でき且つ保守できるように開くことができ、カートリッジボトルアセンブリ400は、そのシステムに挿入でき、また、そのシステムから脱離でき、ユーザは、アクセス可能なPCBボックス309のインターフェイスを利用して、そのシステムをプログラムでき、制御できる。 [0046] フロントハウジング710は、ファンシャーシ301と出力オリフィス409を受け入れるための開口部750を有する。) カ. 「 」 キ. 「 」 ク. 「 」 ケ. 「 」 コ. 「 」 サ. 「 」 シ. 「 」 ス. 「 」 セ. 「 」 ソ. 「 」 タ. 「 」 チ. 「 」 ツ. 「 」 (A-1-2) 甲第1号証に記載された発明 上記(A-1-1)のア.~ツ.によれば、甲第1号証には、 「頂部シャーシアセンブリ300とカートリッジボトルアセンブリ400と底部シャーシアセンブリ500とからなる内部構成要素、及び、前記内部構成要素の周囲に固定されるハウジングアセンブリ700を備えた芳香成分拡散システムであって、 前記頂部シャーシアセンブリ300は、前記芳香成分拡散システムを180°まで旋回できるようにする回転ユニバーサルピボットブラケット306、前記芳香成分拡散システム内で圧縮空気を伝達する空気ポンプを保持するポンプブラケット308、前記芳香成分拡散システムの外側のフロントハウジング710の開口部750において芳香成分を分散するために使用されるファン302を有するファンシャーシ301を保持するファンブラケット304及び前記芳香成分拡散システムの動作を制御するためのプリント回路基板(PCB)ボックス309を含んでおり、 前記カートリッジボトルアセンブリ400は、交換可能であって、前記空気ポンプからの圧縮空気を受け取るノズル405、コレクタ頂部406、芳香成分を分散する出力オリフィス409、前記出力オリフィス409から分散される前の芳香空気が収集されるコレクタ底部407、D形ガイドプレート整列機構410を含むコレクタアセンブリ401及び液体芳香オイルを保持するためのボトル402を含んでおり、前記ノズル405と前記コレクタ底部407と前記コレクタ頂部406と前記出力オリフィス409とが順次連通するとともに、前記コレクタ底部407と前記ボトル402とが接続されており、 前記底部シャーシアセンブリ500は、メインシャーシ503、空気アセンブリ502、前記カートリッジボトルアセンブリ400の前記コレクタアセンブリ401を単一方向を向くようにするガイドプレート504及びカムロック機構506、2つのレバー501を含んでおり、 前記ハウジングアセンブリ700は、前記ファンシャーシ301と前記出力オリフィス409を受け入れるための前記開口部750を有する前記フロントハウジング710、バックハウジング720、前記内部構成要素の周囲に前記フロント及び前記バックハウジング710、720を固定するためのスライドロック730を含んでおり、それらを組み立てることで筒状に形成されており、 前記カートリッジボトルアセンブリ400の交換時に、ユーザが適切な位置にスライドできるように前記D形コレクタ自己整列機構410と前記ガイドプレート504とによって、前記カートリッジボトルアセンブリ400の前記コレクタアセンブリ401における前記ノズル405が前記底部シャーシアセンブリ500の前記空気アダプタ502に自己整列される位置にまで、前記カートリッジボトルアセンブリ400がスライドされ、 その自己整列される場合に、前記コレクタアセンブリ401における前記出力オリフィス409は、前記ファンシャーシアセンブリ301のスロット312に整列され、前記カートリッジボトルアセンブリ400をしっかりと保持するために、前記底部シャーシアセンブリ500のカムロック機構506によって、前記カートリッジボトルアセンブリ400が前記底部メインシャーシ500の2つのレバー501で適切な位置に保持される、 芳香成分拡散システム。」 という発明(以下、「甲1発明」ということがある。)が記載されていると認める。 (A-1-3) 本件訂正発明と甲1発明との対比・検討 (A-1-3-1) 本件訂正発明1と甲1発明との対比・検討 ア. 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「ハウジングアセンブリ700」、「液体芳香オイルを保持するためのボトル402」、「芳香成分拡散システム」は、それぞれ、本件訂正発明1における「ハウジング(1)」、「芳香成分を含む芳香液が貯えられた液容器(40)」、「芳香装置」に相当し、また、甲1発明における「カートリッジボトルアセンブリ400」は、その発明における「頂部シャーシアセンブリ300とカートリッジボトルアセンブリ400と底部シャーシアセンブリ500とからなる内部構成要素」の周囲に前記ハウジングアセンブリ700が固定され、当該内部構成要素のうちの前記カートリッジボトルアセンブリ400が液体芳香オイルを保持するためのボトル402を含んでいることから、本件訂正発明1における「前記ハウジングの内部に設けられ、芳香成分を含む芳香液が貯えられた液容器(40)を有する容器モジュール(4)」に相当する。 また、甲1発明における「前記出力オリフィスから分散される前の芳香空気が収集されるコレクタ底部407」、「前記芳香成分拡散システム内で圧縮空気を伝達する空気ポンプ」、「底部シャーシアセンブリ500」についても、前記の「カートリッジボトルアセンブリ400」と同様の検討から、それぞれ、本件訂正発明1における「前記ハウジングの外部と連通可能に前記ハウジングの内部に設けられ、前記液容器から排出される前記芳香液の気体が送られる貯留室(45)」、「前記ハウジングの内部に設けられ、前記貯留室に空気を供給する手段であって、前記貯留室に存在する前記気体を前記ハウジングの外部に放出可能な空気供給手段(2)」、「前記ハウジングに固定された部材(13)」に相当するといえ、そして、甲1発明における「前記底部シャーシアセンブリ500の前記空気アダプタ502」は、前記カートリッジボトルアセンブリ400の交換時に、前記空気ポンプからの圧縮空気を受け取るノズル405と自己整列されて、前記空気ポンプからの圧縮空気が通る通路が内部に形成されることとなっていることは明らかであるから、本件特許発明1における「前記ハウジングに固定された部材(13)にまたは前記ハウジングの一部に、一体に形成され、前記空気供給手段から供給される空気が通る通路が内部に形成されたハウジング内接続部(7)」に相当する。 また、甲1発明における「前記空気ポンプからの圧縮空気を受け取るノズル405」は、前記コレクタ底部407と連通しており、前記カートリッジボトルアセンブリ400の交換時に前記底部シャーシアセンブリ500の前記空気アダプタ502と自己整列されることからして、本件訂正発明1における「前記貯留室に直通する通路(440)を内部に有するように前記容器モジュールに設けられて、前記ハウジング内接続部に対して着脱可能に構成されるモジュール側接続部(44)」に相当する。 また、甲1発明における「前記ハウジングアセンブリ700は、…前記フロントハウジング710、バックハウジング720、前記内部構成要素の周囲に前記フロント及び前記バックハウジング710、720を固定するためのスライドロック730を含んでおり、それらを組み立てることで筒状に形成されて」いることは、本件訂正発明1における「前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され」ていることに相当する。 また、甲1発明における「前記カートリッジボトルアセンブリ400の交換時に、ユーザが適切な位置にスライドできるように前記D形コレクタ自己整列機構410と前記ガイドプレート504とによって、前記カートリッジボトルアセンブリ400の前記コレクタアセンブリ401における前記ノズル405が前記底部シャーシアセンブリ500の前記空気アダプタ502に自己整列される位置にまで、前記カートリッジボトルアセンブリ400がスライドされ」ることは、前記カートリッジボトルアセンブリ400の交換時に、前記ハウジングアセンブリ700のスライドロック730が開放され、前記D形コレクタ自己整列機構410と前記ガイドプレート504とによって、前記ノズル405と前記空気アダプタ502とが嵌合するように位置決めされ、前記カートリッジボトルアセンブリ400がスライドされて、前記ノズル405と前記空気アダプタ502とが嵌合接続されて内部構成要素が構成され、そして、その内部構成要素の周囲に前記スライドロック730によって前記ハウジングアセンブリ700が固定されることを意味していることから、本件訂正発明1における「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有し、前記モジュール側接続部は、前記嵌る接続構造により前記ハウジング内接続部に接続され」ることに相当する。 してみると、両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。 <一致点> 「ハウジング(1)と、 前記ハウジングの内部に設けられ、芳香成分を含む芳香液が貯えられた液容器(40)を有する容器モジュール(4)と、 前記ハウジングの外部と連通可能に前記ハウジングの内部に設けられ、前記液容器から排出される前記芳香液の気体が送られる貯留室(45)と、 前記ハウジングの内部に設けられ、前記貯留室に空気を供給する手段であって、前記貯留室に存在する前記気体を前記ハウジングの外部に放出可能な空気供給手段(2)と、 前記ハウジングに固定された部材(13)に、一体に形成され、前記空気供給手段から供給される空気が通る通路が内部に形成されたハウジング内接続部(7)と、 前記貯留室に直通する通路(440)を内部に有するように前記容器モジュールに設けられて、前記ハウジング内接続部に対して着脱可能に構成されるモジュール側接続部(44)と、を備え、 新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有し、 前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、 前記モジュール側接続部は、前記嵌る接続構造により前記ハウジング内接続部に接続される、芳香装置」の点。 <相違点> 相違点1:液容器から排出されて貯留室に送られる芳香液の気体が、本件訂正発明1では「芳香液の揮発気体」であるのに対し、甲1発明では「芳香液の揮発気体」であるのかが明らかではない点。 相違点2:新たな芳香液に交換する際には、本件訂正発明1では「前記モジュール側接続部は、複数の前記部材のうち、前記筒状の側面に位置し、前記容器モジュールを覆う側部カバー(12)を取り外した状態で」「前記ハウジング内接続部に接続され、前記側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」との発明特定事項を備えているのに対し、甲1発明では、ハウジングアセンブリ700のスライドロック730が開放された状態で、空気アダプタ502とノズル405とが接続されることは明らかであるものの、前記の発明特定事項を備えているのか明らかではない点。 イ. 事案に鑑み、上記相違点2から検討するに、上記(A-1-1)のオ.及びツ.に示したとおり、ハウジングアセンブリ700は、フロントハウジング710、バックハウジング720、スライドロック730から組み立てられており、そして、新たな芳香液に交換する際には、ハウジングアセンブリ700のスライドロック730が開放された状態で、空気アダプタ502とノズル405とが接続されることは明らかであるものの、その状態では、上記(A-1-1)のキ.~ク.に示したとおり、フロントハウジング710、バックハウジング720、及び、スライドロック730という、ハウジングアセンブリ700を構成する複数の部材は、一体化しており、いずれも、取り外される部材でないことは明らかである。また、仮に、スライドロック730が開放されていることをもって、スライドロック730が取り外されていると解したとしても、当該スライドロック730は、そもそも、カートリッジボトルアセンブリ400を覆うものではないから、本件訂正発明1における、容器モジュールを覆う側部カバー(12)には相当し得ない。 また、前記したフロントハウジング710とバックハウジング720は、一応、カートリッジボトルアセンブリ400を覆う部材であるものの、いずれも、新たな芳香液に交換する際に取り外される部材でないことは明らかであるし、さらには、上記(A-1-1)のオ.、キ.~ク.及びツ.に示したとおりのものである、甲第1号証のハウジングアセンブリ700に関する具体的な記載からみても、カートリッジボトルアセンブリ400が脱離する方向に移動するのを抑制する部材を備えているともいえないから、本件訂正発明1における、容器モジュールを覆う側部カバー(12)に相当し得ない。 してみると、甲1発明の芳香装置が上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えていないことは明らかであるし、また、甲1発明の芳香装置が上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備え得ることを、甲第1号証の記載から把握することもできない。 ウ. なお、異議申立人は、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項について、特許異議申立書において、甲第1号証に記載される、フロントハウジング710の下部のリブは、「前記側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、 前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制すること」に相当する旨主張している(第41頁2行~第41頁第11行)。 甲第1号証には、上記(A-1-1)のキ.、ク.、ツ.のとおり、フロントハウジング710の下部に凸部のあることが示されているものの、その凸部に対しては、符号も付されておらず、何らの説明も記載されていないことから、その凸部が何のための凸部であるのかを甲第1号証の記載から把握することはできないし、その凸部が異議申立人主張のとおりのリブであるということを、裏付け得る具体的且つ客観的な証拠も見当たらない。また、甲第1号証におけるフロントハウジング710やバックハウジング720が、本件訂正発明1における、容器モジュールを覆う側部カバー(12)に相当し得ないことは上記イ.で検討したとおりである。 それらのため、異議申立人の前記主張は採用し得ない。 エ. したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (A-1-3-2) 本件訂正発明2、3、6と甲1発明との対比・判断 本件訂正発明2、3、6はいずれも、請求項1を引用するものであって、本件訂正発明1が備える発明特定事項を全て備えるものであるから、上記(A-1-3-1)での検討と同様にして、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (A-1-4) 小括 よって、上記申立理由1によっては、本件訂正発明に係る特許を取り消すことができない。 (A-2) 上記申立理由2について 上記申立理由2は、訂正前の請求項1、6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、訂正前の請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨の申立理由である。 ここで、上記第2で検討したとおり、本件訂正請求が認められて、請求項1には、訂正前の請求項4に記載されている発明特定事項と訂正前の請求項5に記載されている発明特定事項とが組み込まれることとなった。 したがって、上記申立理由2によっては、本件訂正発明に係る特許を取り消すことができないことは明らかである。 (A-3) 上記申立理由3について (A-3-1) 上記申立理由3についての具体的な理由 上記申立理由3は、訂正前の請求項1~6に係る特許は、次の(3-1)~(3-6)の理由のため、特許法第36条第6項第1号若しくは第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものである旨の申立理由である。 (3-1) 訂正前の請求項1の記載は、単に「ハウジング」と規定されるのみで、その構造が規定されていない結果、「前記ハウジングの内部」、「前記ハウジングの外部」、「前記ハウジングに固定された部材」、「前記ハウジングの一部」、といった規定がどこを指すのか不明確であるし、また、こうしたハウジングの表現で配置を規定している、「容器モジュール」、「貯留室」、「空気供給手段」、「ハウジング内接続部」も不明確なものとなっているので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 また、本件特許明細書には、「大きく3個の部品で構成される筒状の筐体」しか開示されておらず(段落0016)、これを、係る限定のない「ハウジング」まで一般化することはできないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3-2) 訂正前の請求項1の記載は、「貯留室」と「容器モジュール」との関係について、それらが「前記ハウジングの内部に設けられ」と規定するのみで、「貯留室」が「容器モジュール」外に配置される構成を包含しているのか否かが不明であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 また、本件特許明細書には、「貯留室」が「容器モジュール」に設けられた実施例しか開示されておらず、「貯留室」が「容器モジュール」外に設けられた実施例は開示も示唆もないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3-3) 訂正前の請求項1の記載は、「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される」ことが規定されるが、使用方法を限定したものであって、装置の構造が特定されておらず、如何にしてこの使用方法が実現されるのかが不明確であるし、上記(3-1)のとおり、そもそも、「ハウジング」が不明確であり、「前記ハウジングの内部に進入する」というのは、どこからどこへ容器モジュールが移動するのかが不明確であり、しかも、「モジュール側接続部」と「前記ハウジング内接続部」の接続構造が何ら規定されておらず、例えば、「接続部」は、ねじによる接続構造も含まれ得るが、このようなねじによる接続の場合、「前記ハウジングの内部に進入する」だけでどのように接続が確立するのか不明確であり、また、そもそも、「位置合わせ」とはどのような態様を意味するのか不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 更に、「モジュール側接続部」と「前記ハウジング内接続部」について、本件特許明細書には、管状の部材が軸方向に嵌合する構成のみ開示されているところ(段落0028~0032、0099)、前記のとおり「接続部」は、ねじによる接続構造も含まれ得るが、こうした他の接続構造は示唆もないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3-4) 訂正前の請求項2~請求項6の記載は、請求項1を引用するところ、上記(3-1)~(3-3)と同様の理由により、特許法第36条第6項第1号若しくは第2号に規定する要件を満たしていない。 (3-5) 訂正前の請求項2及び引用先の請求項1の記載では、新たな容器モジュールを装着する方向が規定されていないために、新たな容器モジュールが上下方向に装着される場合を包含するが、その請求項2の「前記突出片が収まる溝を有して上下方向の移動を抑制するように前記容器モジュールを保持可能なガイド部」によって、新たな容器モジュールを装着することができず、構造的に矛盾する構成を包含してしまっているし、また、そもそも、上下方向とは装置との関係でどの方向かも不明確であるので、訂正前の請求項1~2は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 また、訂正前の請求項2の記載は、新たな容器モジュールが上下方向に装着されつつ、ガイド部によって上下方向の移動が抑制される場合を包含するところ、そのような構成は本件特許明細書には開示がなく、特許法第36条第6項第1号若しくは第2号に規定する要件を満たしていない。 (3-6) 訂正前の請求項4の規定のみでは、「側部カバー部材」は、筒状周壁全体を含む筒状体である場合も含まれるが、そのような構成の場合、取り外した「側部カバー」に容器モジュールが装着されるのか、残存する他のハウジング構成部材に容器モジュールが装着されるのか、不明確であり、残存する他のハウジング構成部材の内部に容器モジュールが進入することでモジュール側接続部が装着させるのであれば、残存する他のハウジング構成部材の構成も不明確であり、また、「側部カバー部材」が筒状の周壁全体を含む場合、「モジュール側接続部」と「ハウジング内接続部」がどのように接続されるのか不明であり、両者の「位置合わせ」の態様も不明確であるので、訂正前の請求項4は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 また、本件特許明細書には、「側部カバー部材」として、断面形状が半円形で全体として殻形状の側部カバー部材12のみしか開示されておらず、これを、係る限定のない「側部カバー」にまで一般化することはできないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (A-3-2) 上記申立理由3の具体的な理由についての検討 そこで、上記(A-3-1)に示した(3-1)~(3-6)の理由(以下、それぞれ、単に、「(3-1)の理由」~「(3-6)の理由」という。)について、順次検討する。 ア. (3-1)の理由について 「ハウジング」は、例えば、株式会社岩波書店 広辞苑第六版によれば、機械装置などを囲む箱形の覆いとされており、本件訂正発明1における「ハウジング」を、そのような意味で把握すると、上記第3に示される、「前記ハウジングの内部」、「前記ハウジングの外部」、「前記ハウジングに固定された部材」、「前記ハウジングの一部」といった特定は明確であるし、また、こうしたハウジングの表現で配置を規定している、「容器モジュール」、「貯留室」、「空気供給手段」、「ハウジング内接続部」も明確であるので、本件訂正発明1は特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合している。 また、本件訂正発明1は、上記第3に示されるように、「ハウジング(1)」について、「前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され」るとの発明特定事項を備えているところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、例えば、「ハウジング1は複数の部材(ベース部材10、上側部材11、側部カバー部材12)が組み立てられることで筒状に形成される。」(【0069】)という、前記の発明特定事項に対応する記載があり、また、以下のとおりの【図1】の記載もあるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合している。 「【図1】 」 したがって、(3-1)の理由によっては、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことができない。 イ. (3-2)の理由について 「貯留室(45)」と「容器モジュール(4)」との配置に関し、本件訂正発明1には、上記第3に示されるように、「液容器(40)を有する容器モジュール(4)と、」「前記液容器から排出される前記芳香液の揮発気体が送られる貯留室(45)と、」「前記貯留室に直通する通路(440)を内部に有するように前記容器モジュールに設けられて、前記ハウジング内接続部に対して着脱可能に構成されるモジュール側接続部(44)と、を備え」ることが特定されているところ、「モジュール側接続部」が「前記貯留室に直通する通路(440)を内部に有するように前記容器モジュールに設けられて」いるということは、当然ながら、「貯留室(45)」も、通路(440)と同様に、「容器モジュール(4)」内に配置されていることとなるから、「貯留室」が「容器モジュール」外に配置される構成は包含されていない。 したがって、(3-2)の理由によっても、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことができない。 ウ. (3-3)の理由について 本件訂正発明1は、上記第3に示されように、「新たな芳香液に交換する際には、前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態で、前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続されて前記新たな前記容器モジュールが装着される前記嵌る接続構造を有し、前記ハウジングは複数の部材(10,11,12)が組み立てられることで筒状に形成され、前記モジュール側接続部は、複数の前記部材のうち、前記筒状の側面に位置し、前記容器モジュールを覆う側部カバー部材(12)を取り外した状態で前記嵌る接続構造により前記ハウジング内接続部に接続され」るとの発明特定事項を備えているところ、この発明特定事項は、方法的表現ではあるが、モジュール側接続部とハウジング内接続部の装置構造を理解することができるので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合している。 また、本件訂正発明1の前記の発明特定事項に対応して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、例えば、「実施形態においては、ハウジング内接続部7がモジュール側接続部44の内側に嵌ることで両者が接続されるが、ハウジング内接続部7とモジュール側接続部44との接続に係る構造はこのような形態に限定されない。モジュール側接続部44がハウジング内接続部7の内側に嵌る接続構造でもよい。」(【0090】)という記載があり、また、上記ア.に示した【図1】の記載と、以下のような【図2】の記載とがあるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合している。 「【図2】 」 したがって、(3-3)の理由によっても、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことができない。 エ. (3-4)の理由について 上記ア.~ウ.の検討によれば、本件訂正発明1は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合しており、また、特許法第36条第6項第1号に規定する要件にも適合しているから、請求項1を引用する、本件訂正発明2、3、6も、本件訂正発明1と同様に、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合しており、また、特許法第36条第6項第1号に規定する要件にも適合している。 したがって、(3-4)の理由によっては、本件訂正発明2、3、6に係る特許を取り消すことができない。 オ. (3-5)の理由について 本件訂正発明1には、上記第3に示されているように、「前記液容器から排出される前記芳香液の揮発気体が」あることが特定されているところ、技術常識に照らし、気体が揮発する方向が上方向であるから、上下方向は明確に特定されているところ、さらに、本件訂正発明1は、上記第3に示されているように、「側部カバー部材から突出するように設けられ、前記容器モジュールの外周部に接触または接近して前記容器モジュールを支持する支持片(121)を備え、前記支持片は、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への前記容器モジュールの移動を抑制する」との発明特定事項を備えており、側部カバー部材から突出するように設けられている支持片(121)が、モジュール側接続部とハウジング内接続部とが嵌る接続構造により接続された状態で、前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部から脱離する方向への容器モジュールの移動を抑制するということは、モジュール側接続部とハウジング内接続部とが嵌る接続構造は、上下方向にないことも特定されていることも明らかであるから、新たな容器モジュールが上下方向に装着される場合を包含していない。 したがって、(3-5)の理由によっても、本件訂正発明1~3、6に係る特許を取り消すことができない。 カ. (3-6)の理由について 本件訂正発明1においては、その装置構造からして、「側部カバー部材」が筒状周壁全体を含む筒状体である場合を包含していないことは明らかといえるし、また、「側部カバー部材」が、断面形状が半円形で全体として殻形状の側部カバー部材12のみしか開示されていないとしても、本件訂正発明についての、「芳香液を交換可能な芳香装置において、交換前の芳香液と交換後の芳香液とが接触して混ざり合う事態を防止可能であり、交換時の作業性を簡便にできる装置を提供する」との課題(【0008】)の解決にあたり、当該「側部カバー部材」は、上記第3に示されるとおり、取り外された状態となる部材であり、その断面形状が特定の断面形状に限定される必要のないことは明らかであるから、本件訂正発明1は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合しているし、特許法第36条第6項第1号に規定する要件にも適合している。 したがって、(3-6)の申立理由によっても、本件訂正発明1~3、6に係る特許を取り消すことができない。 (A-3-3) 小括 よって、上記申立理由3によっても、本件訂正発明に係る特許を取り消すことができない。 3B 上記2.の取消理由について (B-1) 上記2.(1)の取消理由について 訂正前の請求項1に対して、「前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが接続され」るという特定では、新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが、直接、嵌合接続されることを意味しているのか、あるいは、それ以外の態様で接続されることを意味しているのかが明らかではなく、多義的な特定となっているし、また、「前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部に位置合わせされた状態」という特定についても、前記の特定と同様、多義的な特定になっているため、当該請求項1の記載は不明確であるし、その請求項1を引用する請求項2~6の記載も不明確であるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨の取消理由を通知した。 このような取消理由に対して、上記第2で検討したとおり、本件訂正請求が認められて、請求項1には、「前記新たな芳香液を貯えた前記液容器を有する新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされた状態」で、「前記新たな前記容器モジュールが前記ハウジングの内部に進入することにより、前記モジュール側接続部と前記ハウジング内接続部とが前記嵌る接続構造により接続され」るとの特定がなされることとなり、すなわち、新たな前記容器モジュールの前記モジュール側接続部が前記ハウジング内接続部と嵌る接続構造により位置合わせされ、そして、前記嵌る接続構造により接続されるとの特定がなされることとなり、前記した多義的な特定は解消された。 そのため、前記の取消理由は理由のないものとなった。 第5 むすび 以上のとおり、取消理由、特許異議の申立理由、及び、証拠によっては、請求項1~3、6に係る特許を取り消すことができない。 さらに、他に請求項1~3、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項4~5に係る特許は存在しないものとなったため、請求項4~5に対して、異議申立人がした特許異議の申立ては却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700802

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