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特許異議申立

2018-700231

インクジェットプリンタ及びずれ検出方法

審判番号
2018-700231
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-049499
登録番号
特許第6197313号(P6197313)
請求日
2018年03月20日
審決日
2019年09月25日
公報発行日
2020年02月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】ブラザー工業株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人梶・須原特許事務所
  • 【異議申立人】鈴木 愛子
審判長/審判官
  • 審判長 尾崎 淳史
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 後藤 亮治
分類
P1652.113-ZDB(B41J) / P1652.121-ZDB(B41J) / P1652.537-ZDB(B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6197313号発明「インクジェットプリンタ及びずれ検出方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6197313号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9、11、12について訂正することを認める。 特許第6197313号の請求項8に係る特許を取り消す。 同請求項1乃至7、9、10、11、12に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第6197313号の請求項1乃至14に係る特許についての出願は、平成25年3月12日に出願され、平成29年9月1日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成30年3月20日付けで特許異議申立人 鈴木愛子(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1乃至12に対して特許異議の申立てがされ、同年5月29日付けで取消理由が通知され、同年7月26日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年9月21日に特許異議申立人から意見書が提出され、平成31年1月8日付で取消理由(決定の予告)が通知され、同年3月7日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同月18日付けで訂正請求書について手続補正指令がなされ、同月27日に訂正請求書の手続補正がなされ、令和1年6月14日付けで訂正拒絶理由が通知されたが、特許権者からは何ら応答はなかった。なお、同年7月25日に特許異議申立人から意見書が提出された。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 平成31年3月7日付け訂正請求書(同月27日付け手続補正書により補正されたもの)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。) なお、平成30年7月26日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項に規定するとおり、取り下げられたものとみなされる。 (1)訂正事項1 請求項8に「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、」とあるのを、「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、」と訂正し(以下「訂正事項1-1」という。)、「を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、」とあるのを、「を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、」と訂正し(以下「訂正事項1-2」という。)、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないこと」とあるのを、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないこと」と訂正する(以下「訂正事項1-3」という。)。 (2)訂正事項2 請求項9に「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており」とあるのを、「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており」と訂正し(以下「訂正事項2-1」という。)、「を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、」とあるのを、「を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、」と訂正する(以下「訂正事項2-2」という。)。 (3)訂正事項3 請求項11に「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており」とあるのを、「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており」と訂正し(以下「訂正事項3-1」という。)、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないこと」とあるのを、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないこと」と訂正する(以下「訂正事項3-2」という。)。 (4)訂正事項4 請求項12に「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており」とあるのを、「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており」と訂正し(以下「訂正事項4-1」という。)、「を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、」とあるのを、「を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、」と訂正する(以下「訂正事項4-2」という。)。 2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項の有無について (1)訂正事項1について ア.訂正の目的について 訂正事項1-1は、訂正前の請求項8の「インクジェットプリンタ」における「第1ノズルから吐出されるインク」と「第2ノズルから吐出されるインク」について、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項1-2は、訂正前の請求項8の「インクジェットプリンタ」における「画像要素A」及び「画像要素B」を形成する「第1ノズル」、並びに「画像要素C」及び「画像要素D」を形成する「第2ノズル」について、「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項1-3は、訂正前の請求項8の「インクジェットプリンタ」における「第2ヘッドユニット」について、「前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、」と具体的に限定するものである。 そうすると、訂正事項1-1乃至1-3のいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1-1乃至1-3のいずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1-1に関する記載として、本件特許明細書等の【0085】に「そして、変形例11では、S101の検査用画像60の印刷時に、ヘッドユニット11a、11bの同じ色のインクを吐出するノズル10a、10bからインクを吐出させる。例えば、図13(a)に太線で示すように、ヘッドユニット11a、11bの搬送方向の最も上流側に配置されたノズル列141a、141bを形成するノズル10a、10bからブラックのインクを吐出させる。この場合には、各パターンが全て同じ色で印刷されるため、第1印刷画像261や第2印刷画像262の視認性が高くなる。」と記載されている。 ここで、特許権者が訂正事項1の根拠として主張する本件特許明細書等の【0054】及び【0055】並びに図6(a)には、訂正事項1-3に関する記載として、画像要素B(パターン76a)に対応する第2ノズルがないことが示されている。 しかし、本件特許明細書等の図6(a)には、「画像要素Dを構成するパターン77bのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10a」が示されていないから、訂正事項1-2の「画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し」との事項に対応する事項は示されていないし、自明の事項といえる理由もない。 一方、本件特許明細書等の図6(b)には、訂正事項1-2に関する記載として、「画像要素Aを構成するパターン76bのドットを形成するノズル10aと、画像要素Cを構成するパターン77aのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとが第1方向に互いに隣接し、画像要素Aを構成するパターン76bのドットを形成するノズル10aと、画像要素Dを構成するパターン77bのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bを構成するパターン76aのドットを形成するノズル10aと、画像要素Cを構成するパターン77aのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとが前記第1方向に互いに隣接し」ていることが示されている。 しかし、本件特許明細書等の図6(b)には、第2ヘッドユニットが「画像要素Bを構成するパターン77aに対応するノズル10b」を有していることが示されているから、訂正事項1-3に対応する事項は示されていないし、自明の事項といえる理由もない。 また、本件特許明細書等の他の実施例をみても、訂正事項1-2及び1-3が共に示されている記載は見当たらない。 そうすると、訂正事項1-2もしくは1-3は、本件特許明細書等には何ら記載されているものではないし、また、自明の事項ともいえない。 よって、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において新たな技術事項を導入するものであって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 エ.小括 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的について 訂正事項2-1は、訂正前の請求項9の「インクジェットプリンタ」における「第1ノズルから吐出されるインク」と「第2ノズルから吐出されるインク」について、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項2-2における「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」は、訂正前の請求項9の「インクジェットプリンタ」における「画像要素A」及び「画像要素B」について、「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項2-2における「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、」は、訂正前の請求項9の「インクジェットプリンタ」における「画像要素A」及び「画像要素B」を形成する「第1ノズル」、並びに「画像要素C」及び「画像要素D」を形成する「第2ノズル」について、「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し」と具体的に限定するものである。 そうすると、訂正事項2-1及び2-2のいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2-1及び2-2のいずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項2-1に関する記載として、本件特許明細書等の【0085】に「そして、変形例11では、S101の検査用画像60の印刷時に、ヘッドユニット11a、11bの同じ色のインクを吐出するノズル10a、10bからインクを吐出させる。例えば、図13(a)に太線で示すように、ヘッドユニット11a、11bの搬送方向の最も上流側に配置されたノズル列141a、141bを形成するノズル10a、10bからブラックのインクを吐出させる。この場合には、各パターンが全て同じ色で印刷されるため、第1印刷画像261や第2印刷画像262の視認性が高くなる。」と記載されている。 また、訂正事項2-2における「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」に関する記載として、本件特許明細書等の図8(a)には、画像要素B(76b及びパターン121)のX方向(第1方向)の長さが画像要素A(パターン76a)のX方向(第1方向)の長さよりも長いことが示されている。 また、訂正事項2-2における「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、」に関する記載として、本件特許明細書等の【0062】及び図8(a)には、ノズル10aが第1ノズルに対応し、ノズル10bが第2ノズルに対応し、パターン76aが画像要素Aに対応し、パターン76bとパターン121とを合わせたものが画像要素Bに対応し、パターン77bが画像要素Cに対応し、パターン77aとパターン122とを合わせたものが画像要素Dに対応し、画像要素Aを構成するパターン76aのドットを形成するノズル10aと、画像要素Cを構成するパターン77bのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとがX方向(第1方向)に互いに隣接し、画像要素Aを構成するパターン76aのドットを形成するノズル10aと、画像要素Dを構成するパターン77aのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとがX方向(第1方向)に互いに隣接し、画像要素Bを構成するパターン76bのドットを形成するノズル10aと、画像要素Cのを構成するパターン77bのドットを形成するノズル10bと同じ画素に対応するノズル10aとがX方向(第1方向)に互いに隣接していることが示されている。 そうすると、訂正事項2-1及び2-2のいずれも、本件特許明細書等に記載された範囲内でするものである。 したがって、当該訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア.訂正の目的について 訂正事項3-1は、訂正前の請求項11の「インクジェットプリンタ」における「第1ノズルから吐出されるインク」と「第2ノズルから吐出されるインク」について、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項3-2は、訂正前の請求項11の「インクジェットプリンタ」における「第2ヘッドユニット」について、「前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、」と具体的に限定するものである。 そうすると、訂正事項3-1及び3-2のいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3-1及び3-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3-1に関する記載として、本件特許明細書等の【0085】に「そして、変形例11では、S101の検査用画像60の印刷時に、ヘッドユニット11a、11bの同じ色のインクを吐出するノズル10a、10bからインクを吐出させる。例えば、図13(a)に太線で示すように、ヘッドユニット11a、11bの搬送方向の最も上流側に配置されたノズル列141a、141bを形成するノズル10a、10bからブラックのインクを吐出させる。この場合には、各パターンが全て同じ色で印刷されるため、第1印刷画像261や第2印刷画像262の視認性が高くなる。」と記載されている。 また、訂正事項3-2に関する記載として、本件特許明細書等の図11(a)には、画像要素B(パターン76a)に対応する第2ノズルがないことが示されている。 そうすると、訂正事項3-1及び3-2のいずれも、本件特許明細書等に記載された範囲内でするものである。 したがって、当該訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア.訂正の目的について 訂正事項4-1は、訂正前の請求項12の「インクジェットプリンタ」における「第1ノズルから吐出されるインク」と「第2ノズルから吐出されるインク」について、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり」と具体的に限定するものである。 また、訂正事項4-2は、訂正前の請求項12の「インクジェットプリンタ」における「画像要素A」及び「画像要素B」について、「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」と具体的に限定するものである。 そうすると、訂正事項4-1及び4-2のいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項4-1及び4-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項4-1に関する記載として、本件特許明細書等の【0085】に「そして、変形例11では、S101の検査用画像60の印刷時に、ヘッドユニット11a、11bの同じ色のインクを吐出するノズル10a、10bからインクを吐出させる。例えば、図13(a)に太線で示すように、ヘッドユニット11a、11bの搬送方向の最も上流側に配置されたノズル列141a、141bを形成するノズル10a、10bからブラックのインクを吐出させる。この場合には、各パターンが全て同じ色で印刷されるため、第1印刷画像261や第2印刷画像262の視認性が高くなる。」と記載されている。 また、訂正事項4-2に関する記載として、本件特許明細書等の図11(a)には、画像要素B(76a及びパターン78)のX方向(第1方向)の長さが画像要素A(パターン76b及び76c)のX方向(第1方向)の長さよりも長いことが示されている。 そうすると、訂正事項4-1及び4-2のいずれも、本件特許明細書等に記載された範囲内でするものである。 したがって、当該訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 3.特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1乃至12について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項8、9、11、12に係る訂正事項1乃至4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4.まとめ 以上のとおり、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものではないから、本件訂正後の請求項8についての訂正は認められない。 また、訂正事項2乃至4に関して、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項9、11、12についての訂正は、訂正要件に適合するものであるから、その訂正を認める。 第3.本件特許発明 上記「第2.2.(1)ウ.」で述べたとおり、訂正事項1に係る本件訂正を認めることができないので、本件特許の請求項1乃至8、10に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1乃至8、10」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1乃至8、10に記載された事項により特定されるものであり、また、上記「第2.2.(2)乃至(4)」で述べたとおり、訂正事項2乃至4に係る本件訂正は認められるから、かかる訂正により訂正された請求項9、11及び12に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明9、11及び12」という。)は、平成31年3月7日付け訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項9、11及び12に記載された事項により特定されるものであり、それぞれ次のとおりのものである。 「【請求項1】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御装置は、 前記画像要素Bの前記第1方向における長さが前記画像要素Aの前記第1方向における長さよりも長く、前記画像要素Dの前記第1方向における長さが前記画像要素Cの前記第1方向における長さよりも長い、前記第1検査用画像を印刷させる、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項2】 少なくとも3つの前記第1ノズルが、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されたインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並んだ2つの画像要素Eと、 前記画像要素Eを形成する画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並んだ2つの画像要素Fと、を有し、前記第1検査用画像と前記第2方向にずれて配置された第2検査用画像をさらに印刷させるように、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットの駆動素子を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 【請求項3】 前記第1ヘッドユニットが、互いに異なる色のインクを吐出する複数種類の前記第1ノズルを備え、各色のインクを吐出する前記第1ノズルが、それぞれ、前記第1方向に配列され、 前記第2ヘッドユニットが、互いに異なる色のインクを吐出する複数種類の前記第2ノズルを備え、各色のインクを吐出する前記第2ノズルが、それぞれ、前記第1方向に配列され、 前記制御装置は、吐出する色が同じ前記第1ノズルと前記第2ノズルとからインクを吐出させることによって前記第1検査用画像を印刷させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。 【請求項4】 前記第1ヘッドユニットが、複数の前記第1ノズルが前記第1方向に配列されることによってそれぞれ形成され、前記第2方向に並んだ複数の第1ノズル列を有し、 前記第2ヘッドユニットが、複数の前記第2ノズルが前記第1方向に配列されることによってそれぞれ形成され、前記第2方向に並んだ複数の第2ノズル列を有し、 前記制御手段は、複数の前記第1ノズル列のうち、前記第2ヘッドユニットに最も近い前記第1ノズル列を形成する前記第1ノズルと、複数の前記第2ノズル列のうち、前記第1ヘッドユニットに最も近い前記第2ノズル列を形成する前記第2ノズルとからインクを吐出させることにより、前記第1検査用画像を印刷させることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。 【請求項5】 前記制御手段は、前記第1検査用画像の、前記第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出されたインクが被記録媒体に着弾することによって形成されたドットの径が、前記ノズル間隔以下となるように、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインクを吐出させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。 【請求項6】 前記制御手段は、前記第1検査用画像の、前記第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出されたインクが被記録媒体に着弾することによって形成されたドットの径が、前記ノズル間隔と同じとなるように、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインクを吐出させることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタ。 【請求項7】 前記制御手段は、前記画像要素A及び前記画像要素Bの形成に使用する前記第1ノズルと、前記画像要素C及び前記画像要素Dの形成に使用する前記第2ノズルとの組み合わせを互いに異ならせた、複数の前記第1検査用画像を印刷させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。 【請求項8】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、 前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないことを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項9】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、 画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、 画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、 前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項10】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御手段は、 前記画像要素Bの前記第1方向における長さが前記画像要素Aの前記第1方向における長さよりも長く、前記画像要素Dの前記第1方向における長さが前記画像要素Cの前記第1方向における長さよりも長い、前記第1検査画像を印刷させる、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項11】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、 前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、 前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さないことを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項12】 第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御手段は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」 第4.申立理由の概要 1.特許法第29条第1項第3号違反 (1)本件特許発明9は、甲第1号証(特開2010-143138号公報)発明と同一である。 (2)本件特許発明9は、甲第2号証(特開2010-58503号公報)発明と同一である。 (3)本件特許発明12は、甲第2号証発明と同一である。 2.特許法第29条第2項 (1)本件特許発明8は、甲第1号証発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件特許発明11は、甲第2号証発明及び甲第1号証発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.特許法第36条第6項第1号 本件特許発明1乃至12は、第1検査用画像に形成された筋の数によって、ヘッドユニット同士のずれの向きを検出することを課題とする発明であるところ、本件特許発明1乃至12には、印刷された第1検査用画像を用いて、どのようにヘッドユニット同士のずれの向きを検出するのかが規定されていないから、発明の詳細な説明に記載したものではない。 第5.取消理由通知(決定の予告)の概要 訂正前の請求項8,9、11、12に係る特許に対して,当審が平成31年1月8日に特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [請求項8、9に対して] 甲第1号証:特開2010-143138号公報 [請求項11、12に対して] 甲第1号証:特開2010-143138号公報 甲第2号証:特開2010-58503号公報 第6.当審の判断 1.各刊行物の記載 (1)刊行物1(甲第1号証) 本件特許に係る出願の出願前の平成22年7月1日に頒布された特開2010-143138号公報(甲第1号証)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、記録紙等の記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法に関するものである。」 イ.「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 特許文献1のように、隣接するチップのオーバーラップ部分の記録濃度を相補的に増減させた場合に、チップ間の位置ずれが発生すると、隣接するチップのオーバーラップ部分で記録濃度の相補的な関係が維持されず、濃度ムラが発生してしまう。また、チップ間の位置ずれが生じた際の対策として、一般的には、画像データをずらす、使用ノズル範囲をずらす等の手法により、チップの記録位置をずらす方法が知られている。しかし、このような記録位置の調整方法は、1画素単位で画像データをずらす、もしくはノズルピッチ単位で使用ノズル範囲をずらすしか行うことができない。そのため、例えば、チップ間の位置ずれが半画素分生じた場合、その位置ずれによって発生した濃度ムラは緩和できない。 【0009】 本発明の目的は、ノズル列のつなぎ部分(オーバーラップ部分)による記録濃度を適確に補正することができるインクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法を提供することにある。」 ウ.「【0018】 記録部5には、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッド40が着脱可能に備えられている。記録ヘッド40には、記録用紙Pの搬送方向Xと交差(本例の場合は直交)する方向に沿って、記録媒体Pの全幅に渡って複数のノズルが形成されている。記録ヘッド40としては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用の記録ヘッド40K、40C、40M、および40Yが用いられる。これらの記録ヘッドは、記録用紙Pの搬送方向上流側から下流側に向かって、記録ヘッド40K、40C、40M、40Yの順に所定の間隔をもって位置するように、ヘッドホルダ41に取り付けられる。また、記録装置1には、後述するように、記録用紙Pに記録された画像を検出するための読み取り部(検出手段)が備えられている。排出部4は、排出ローラ44と拍車45とによって構成されている。記録部5において画像が形成された記録用紙Pは、これらの排出ローラ44と拍車45とによって搬送されて、排出トレイ46上に排出される。 【0019】 図2(a)は、記録装置1において用いられる記録ヘッド40の概略構成図である。本例の記録ヘッド40は、記録素子を備えるチップ51が千鳥配置状に複数配列されており、それぞれのチップ51には、記録素子として、吐出エネルギー発生手段を備えたノズルNが形成されている。ノズルNは、インク吐出口、インク流路、および吐出エネルギー発生手段を含む構成となっており、吐出エネルギー発生手段としては、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などを用いることができる。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、インク吐出口からインクを吐出させることができる。 【0020】 それぞれのチップ51におけるノズルNは、所定のノズルピッチで形成されている。互いに隣接するチップ51同士のつなぎ部PAにおいて、チップ51は所定数のノズルだけオーバーラップしている。以下においては、チップ51のつなぎ部PAをチップつなぎ部、または単につなぎ部ともいう。 図2(a)においては、説明の便宜上、チップ51の数は5つ、チップ51におけるノズルの形成数を10、つなぎ部PAにてオーバーラップするノズル数を3としている。しかし、これらの数は何れも限定されるものではない。 【0021】 図2(b)は、図2(a)の記録ヘッド40をノズル列方向(ノズルの配列方向)に複数個並べた場合の概略図である。本例の場合、2つの記録ヘッド40がノズル列方向に配列されており、互いに隣接する記録ヘッド40同士のつなぎ部PBにおいて、それらの記録ヘッド40は所定数のノズルだけオーバーラップしている。以下においては、ヘッド40のつなぎ部PBをヘッドつなぎ部、または単につなぎ部ともいう。チップつなぎ部PAとヘッドつなぎ部PBにおいて、オーバーラップするノズル数は同じでもよいし、異なっていてもよい。 … 【0023】 なお、チップつなぎ部PAとヘッドつなぎ部PBは、ノズル列をオーバーラップさせている点について原理的な違いはない。以下においては、図2(a)のような単一の記録ヘッドを使用する構成を例に説明する。しかし、図2(b)のように複数の記録ヘッドを並べて使用する構成においても同様である。 … 【0026】 図3は、記録装置1における制御系の概略構成図である。 CPU1000は、搬送ベルト16等を駆動するためのモータ104をモータドライバ106を介して制御すると共に、記録ヘッド40をヘッドドライバ10Aを介して制御する。CPU1000は中央演算装置であり、ホスト装置200から記録情報を受け取ると、記録装置1の各部の制御やデータ処理などを実行する。CPU1000は、記録ヘッド40から吐出されるインク滴によって形成されるドットの配置を制御するための画像処理機能を有する。ROM101には、CPU1000の各処理手順に関する処理プログラムやテーブルが記憶され、RAM102は、その処理手順実行の際のワークエリアなどとして用いられる。すなわち、CPU1000は、ROM101に記憶されている制御プログラムにしたがって、RAM102などの周辺ユニットを用いて、ホスト装置200から受信した記録情報を記録データに変換するなどの処理を実行する。」 エ.「【0038】 図6は、本実施形態における記録ヘッド40の構成例の説明図である。例の場合、つなぎ部PAにおけるノズルのオーバーラップ数は9である。 【0039】 図6中の(a)においては、互いに隣接するチップ51,51の一方をチップA、他方をチップBとし、つなぎ部PAにおいてオーバーラップするチップA側のノズルNをNA1~NA9とし、オーバーラップするチップB側のノズルNをNB1~NB9とする。」 オ.「【0050】 (テストパターン) 図9から図11は、チップ間のずれ量を検知するためのテストパターンを説明するための図である。図9は、チップAによるパターンの記録例、図10は、チップBによるパターンの記録例の説明図である。図11は、図9および図10のパターンを同時に記録することによって得られるテストパターンの説明図である。 【0051】 まず、チップAによって記録するパターンの例(図9)について説明する。 チップAによって、ノズル列方向に4画素分、搬送方向(矢印X方向)に8画素分のドットパターンを記録し、そのドットパターンからノズル列方向に4画素ずれた位置に、同様に、ノズル列方向に4画素分、搬送方向に8画素分のパターンを記録する。このような2つのドットパターンをパターンA1とし、同様のパターンを搬送方向にずらして計7パターンA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7を記録する。これらの7つのパターンは搬送方向に整列される。 【0052】 次に、チップBによって記録するパターンの例(図10)について説明する。 チップBによって、図10中の計7パターンB1,B2,B3,B4,B5,B6,B7を記録する。これらの7つのパターンは搬送方向に整列される。パターンB4は、パターンA1からA7を記録するチップAのノズルとオーバーラップするノズルによって記録されるパターンであり、パターンA4と同じ位置に同じパターンで記録される。パターンB1は、パターンB4を-3画素分(チップA,Bの近接方向に3画素分)ずらしたパターンである。同様に、パターンB2は、パターンB4を-2画素分ずらしたパターンであり、パターンB3は、パターンB4を-1画素分ずらしたパターンである。パターンB5は、パターンB4を1画素分(チップA,Bの離反方向に1画素分)ずらしたパターンである。同様に、パターンB6は、パターンB4を2画素分ずらしたパターンであり、パターンB7は、パターンB4を3画素分ずらしたパターンである。 【0053】 図11は、図9と図10のパターンを同時に記録して得られるテストパターンの説明図である。図11は、チップA,B間にずれがない場合のテストパターンの記録結果である。 【0054】 図11において、パターンA4とパターンB4は重なっている。しかし、パターンA3とパターンB3はノズル列方向に-1画素分ずれ、パターンA2とパターンB2は-2画素分ずれ、パターンA1とパターンB1は-3画素分ずれる。また、パターンA5とパターンB5はノズル列方向に1画素分ずれ、パターンA6とパターンB6は2画素分ずれ、パターンA7とパターンB7は3画素分ずれる。」 カ.「【図11】 」 キ.上記ウ.乃至カ.より、以下の事項が把握できる。なお、下記説明図1乃至3は、それぞれ、図11に示されているドットパターンのうち、パターンA1及びB1、パターンA2及びB2、パターンA3及びB3を抜粋し、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用の各記録ヘッド40を構成するチップA及びBの個々のノズルを区別するために記号番号を付加して、記録用紙Pの搬送方向Xと交差するノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップAとし、また、ノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有し、ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向XにおいてチップAとずれた位置に配置されたチップBとし、かつ、本件特許発明の画像要素A乃至Dに対応するドットパターンに記号下付け番号を付加したのものである。 (キ-1)(説明図1) 説明図1において、チップAのノズルAn3~An16は、チップBのノズルBn3~Bn16と同じ画素に対応している。 説明図1におけるパターンA1は、チップAのノズルAn12~An14(3つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンB1は、チップAのノズルAn4~An6(3つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンC1は、チップBのノズルBn8~Bn10(3つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 パターンD1は、チップBのノズルBn16~Bn18(3つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 パターンB1は、パターンA1の記録に用いられたノズルAn12~An14よりもノズル列方向の一方側(説明図1では上側)のノズルAn4~An6を用いて記録されるパターンである。チップAは、パターンB1の記録に用いられるノズルとパターンA1の記録に用いられるノズルとの間のノズル列方向に、パターンの記録に用いられないノズルAn8~An11(4つのノズル)を備えている。さらに、チップAは、ノズル列方向においてパターンB1の記録に用いられるノズルとパターンA1の記録に用いられるノズルとの間に、チップBのノズルBn7で記録されるパターンと重ねて記録されるパターンの記録に用いられるノズルAn7(1つのノズル)を備えている。 よって、パターンB1は、ノズル列方向においてパターンA1と、5つのノズル(An7~An11)に相当する間隔をあけて並ぶ。 パターンC1は、ノズル列方向においてパターンA1の記録に用いられるノズルAn12~An14とパターンB1の記録に用いられるノズルAn4~An6との間に位置する、チップBのノズルBn8~Bn10を用いて記録されるパターンである。 パターンD1は、パターンA1の記録に用いられるチップAのノズルAn12~An14よりも、ノズル列方向において他方側(説明図1では下側)に位置するチップBのノズルBn16~Bn18を用いて記録されるパターンである。 (キ-2)(説明図2) 説明図2におけるパターンA2は、チップAのノズルAn12及びAn13(2つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンB2は、チップAのノズルAn4及びAn5(2つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンC3は、チップBのノズルBn8及びBn9(2つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 パターンD2は、チップBのノズルBn16及びBn17(2つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 チップAは、ノズル列方向においてパターンB2の記録に用いられるノズルとパターンA2の記録に用いられるノズルとの間に、パターンの記録に用いられないノズルAn8~An11(4つのノズル)を備えている。さらに、チップAは、ノズル列方向においてパターンB2の記録に用いられるノズルとパターンA2の記録に用いられるノズルとの間に、チップBのノズルBn6及びBn7で記録されるパターンと重ねて記録されるパターンの記録に用いられるノズルAn6及びAn7(2つのノズル)を備えている。 よって、パターンB2は、ノズル列方向においてパターンA2と、6つのノズル(An6~An11)に相当する間隔をあけて並ぶ。 パターンC2は、ノズル列方向においてパターンA2の記録に用いられるノズルAn12及びAn13とパターンB2の記録に用いられるノズルAn4及びAn5との間に位置する、チップBのノズルBn9及びBn10を用いて記録されるパターンである。 パターンD2は、パターンA2の記録に用いられるチップAのノズルAn12及びAn13よりも、ノズル列方向において他方側(説明図2では下側)に位置するチップBのノズルBn17及びBn18を用いて記録されるパターンである。 (キ-3)(説明図3) 説明図3におけるパターンA3は、チップAのノズルAn12(1つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンB3は、チップAのノズルAn4(1つのノズル)によって記録され、かつ、チップBのノズルによって記録されないパターンである。 パターンC3は、チップBのノズルBn8(1つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 パターンD3は、チップBのノズルBn16(1つのノズル)によって記録され、かつ、チップAのノズルによって記録されないパターンである。 チップAは、ノズル列方向においてパターンB3の記録に用いられるノズルとパターンA3の記録に用いられるノズルとの間に、パターンの記録に用いられないノズルAn8~An11(4つのノズル)を備えている。さらに、チップAは、ノズル列方向においてパターンB3の記録に用いられるノズルとパターンA3の記録に用いられるノズルとの間に、チップBのノズルBn5~Bn7で記録されるパターンと重ねて記録されるパターンの記録に用いられるノズルAn5~An7(3つのノズル)を備えている。 よって、パターンB3は、ノズル列方向においてパターンA3と、7つのノズル(An5~An11)に相当する間隔をあけて並ぶ。 パターンC3は、ノズル列方向においてパターンA3の記録に用いられるノズルAn12とパターンB3の記録に用いられるノズルAn4との間に位置する、チップBのノズルBn9を用いて記録されるパターンである。 パターンD3は、パターンA3の記録に用いられるチップAのノズルAn12よりも、ノズル列方向において他方側(説明図3では下側)に位置するチップBのノズルBn17を用いて記録されるパターンである。 (キ-4)説明図1に示されているように、ノズル列方向に並んだパターンA1、B1、C1、D1が記録され、説明図2に示されているように、ノズル列方向に並んだパターンA2、B2、C2、D2が記録され、説明図3に示されているように、ノズル列方向に並んだパターンA3、B3、C3、D3が記録される。 (キ-5)説明図1乃至3に示されているように、パターンB1/B2/B3に対してノズル列方向の上側に隣接する画素に対応するチップBのノズルBn3からパターンを記録しない。 (キ-6)説明図1乃至3に示されているように、パターンD1/D2/D3に対してノズル列方向の下側に隣接する画素に対応するチップAのノズルからパターンを記録しない。 これらの記載を総合すると、刊行物1(甲第1号証)には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「記録用紙Pの搬送方向Xと交差するノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップAと、 このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有し、ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向XにおいてチップAとずれた位置に配置されたチップBと、 ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用の各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴によって形成されるドットの配置を制御するための画像処理機能を有するCPU1000と、を備え、 チップAにおけるノズルAn3~An16は、隣接するチップBのノズルBn3~Bn16と同じ画素に対応しており、 CPU1000は、 チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3と、 ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3と、 ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3との間の画素に対応するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによって形成されたパターンC1/C2/C3と、 ノズル配列方向において、パターンA1/A2/A3よりも下側の画素に対応するチップBのノズルBn16~Bn18/Bn16~Bn17/Bn16から吐出されるインクによって形成されるパターンD1/D2/D3と、を有し、 パターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3とパターンC1/C2/C3とパターンD1/D2/D3とが、ノズル列方向に並んだテストパターンを印刷させるように各記録ヘッド40を制御し、 CPU1000は、テストパターンの印刷において、 パターンB1/B2/B3に対してノズル列方向の上側に隣接する画素に対応するチップBのノズルBn3からパターンを記録せず、 パターンD1/D2/D3に対してノズル列方向の下側に隣接する画素に対応するチップAのノズルNからパターンを記録しない、ようにチップA及びチップBを制御するインクジェット記録装置。」 (2)刊行物2(甲第2号証) 本件特許に係る出願の出願前の平成22年3月18日に頒布された特開2010-58503号公報(甲第2号証)には、次の事項が記載されている。 ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、インクを吐出するための記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。詳しくは、複数のノズル列相互の記録位置ずれを補正するための構成に関するものである。 … 【0003】 ところで、インクジェット記録装置の一形態として、ノズル配列長さの短い、シアンなどのカラーインクを吐出するノズル列と、ノズル配列長さがそれより長い、ブラックインクを吐出するブラックノズル列と、を設けた記録ヘッドを用いる記録装置が知られている。このような記録ヘッドを用いることにより、例えば、記録紙など記録媒体に対するインクの滲みによる問題を低減することができるとともに、ブラック単色の画像を高速に記録することが可能となる。 【0004】 例えば、ブラックインクとカラーインクの両方を用いる画像を記録するときに、長いノズル配列のブラックノズル列では一部のノズルのみを使用し、かつ、記録媒体上の同一領域に対してブラックインクとカラーインクとを異なる走査で吐出するようにする。これにより、同一領域に対してブラックインクとカラーインクは、約1回の走査分の定着時間をおいて付与されることになることから、これらインク相互の滲みを抑えることができる。また、ブラックインクのみを用いる画像を記録する場合には、ノズル配列長さの長いブラックノズル列のみを用いることにより、記録ヘッドの1走査あたりの記録領域を大きくでき、ブラック単色画像の高速記録が実現できる。」 イ.「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、ブラックインクとカラーインクの両方を用いる領域とブラックインクのみを用いる領域とが混在した画像を記録する場合、次のような問題がある。この場合に、上述したノズル列相互の記録位置ずれを調整する構成をそのまま適用すると、ブラックインクのみを用いる領域の画像を記録する場合に、そのより長いノズル列配列長さによる高速記録を十分に実現できないことがある。すなわち、複数のノズル列間の相対的な記録位置を調整する調整値が、1つのノズル列のみを用いて記録するときにも適用される。それによって、両方のインクを用いて記録する領域とブラックインクのみを用いて記録する領域の間で上記調整によって生じ得るずれを防止できるとともに、いずれの領域の記録でも複数のノズル列間の記録位置ずれが解消した記録を行うことは可能となる。しかし、1つのノズル列のみを用いて記録する場合に、記録位置ずれの調整のために、そのノズル列の総てのノズルを使用することができず、その結果、より長いノズル列配列長さによる高速記録を十分に実現できないことがある。 【0007】 例えば、ノズル配列長がより長いブラックノズル列の一部と、短いカラーノズル列とを用いて記録を行うために、ブラックノズル列の一部とカラーノズル列との副走査方向の記録位置ずれの調整を行う場合、そのずれに応じてブラックノズル列の使用範囲を変更する。そして、ブラック単色画像の領域を記録するとき、ブラックノズル列は記録位置調整の調整値に応じて変更した範囲のノズルしか使用できず、ブラックノズル列の全ノズルを用いた高速記録を十分に実現することができない。 【0008】 本発明の目的は、複数のノズル列相互の記録位置ずれの調整を行っても、1つのノズル列のみを用いて記録するときの高速記録を十分に実現することが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。」 ウ.「【0019】 記録装置100は、記録用データを取得する外部I/F101と、メモリカードなどに代表される外部ストレージよりデータを取得するためのメモリカードI/F102とを具備している。いずれかのI/Fから取得したデータは、データ処理部103によって解析され、そのデータは記録用データ保存領域104に蓄積されるとともに、コントロール部105に伝達される。コントロール部105は、記録動作のシーケンスを実行するために、記録装置内の各デバイスを制御する記録制御部(単に、制御部ともいう)106に記録動作の指令を行う。記録動作の指令を基に、記録制御部106は、搬送ローラを制御する用紙搬送デバイス107、排紙ローラを制御する用紙送りデバイス108に指令を行い、用紙の搬送を行う。用紙搬送中は、センサ109を用いて用紙の搬送状況を確認する。したがって、本実施形態では、搬送ローラ、該搬送ローラを制御する用紙搬送デバイス107、排紙ローラ、該排紙ローラを制御する用紙送りデバイス108が、記録媒体を所定方向(副走査方向)に搬送する搬送部に相当している。また、記録制御部106は、記録部としての記録デバイス110を制御し、記録動作を実行する。この記録動作の中には、例えば、後述される複数のノズル列間の記録位置ずれの調整に係わる制御も含まれる。」 エ.「【0025】 記録ヘッド112には、ブラックノズル列302(第1のノズル列)とシアンノズル列303(第2のノズル列)が記録ヘッドの走査方向(図中X方向)に配列されている。なお、記録ヘッドにおけるカラーノズル列として、イエローノズル列、マゼンタノズル列も備えられている。しかし、ここでは、以下の記録位置調整の説明などを簡単にするために、ブラックノズル列とシアンノズル列の場合について記録位置調整やそれに関連した記録制御の説明を行う。 【0026】 ブラックノズル列302は。(審決注:「、」の誤記。)副走査方向(図中Y方向)に配列するノズルnb1~nb20の20個のノズルで構成され、シアンノズル列303は同じく副走査方向に配列するノズルnc1~nc8の8個のノズルで構成されている。ブラックノズル列におけるノズルnb3~nb10と、シアンノズル列におけるノズルnc1~nc8とは、副走査方向Yにおいて、ノズル列間相互にずれが無いとしたときにそれぞれ等しい位置に配置されるものである。すなわち、ブラックノズル列の一部のノズルはシアンノズル列と走査方向で重なる位置に配置されている。なお、図3に示すように本実施形態の複数のノズル列は一体の記録ヘッドとして構成されるものであるが、この形態に限られないことはもちろんである。例えば、複数のノズル列それぞれが個別の記録ヘッドとして構成されてもよい。この場合のノズル列間に生じ得るずれは記録ヘッドの例えば装着位置ずれなどに起因したものとなる。」 オ.「【0033】 このテストパターンは、シアンノズル列303により記録されるパターン401に対して、ブラックノズル列302により記録されるパターン402を副走査方向に所定量ずつずらして記録した複数のパターンからなるものである。すなわち、シアンのパターン401とブラックのパターン402との副走査方向のずれ量がそれぞれ異なる複数のパターンが記録される。なお、以降の説明においては、シアンのパターン401、ブラックのパターン402ともに、副走査方向のサイズを1つのノズルで記録される1ドット分として説明するが、各パターンの副走査方向のサイズは数ドット(例えば4ドット)であっても良い。 【0034】 図4に示す例では、シアンパターン401とブラックパターン402相互の副走査方向のずれ量を0としたパターン400と、これらパターン間の副走査方向のずれ量が異なる4つのパターン406、405、403、404を記録する。具体的には、シアンパターン401を基準に、ブラックノズル列の使用ノズルの範囲を1ノズルずつ異ならせることにより、シアンパターン401に対してブラックパターン402を副走査方向に+1ずらしたパターン403、+2ずらしたパターン404を記録する。また、逆に、副走査方向に-1ずらした位置にパターン405、-2ずらしたパターン406を記録する。 【0035】 本実施形態では、シアンノズル列とブラックノズル列との間に副走査方向の記録位置ず れがない場合は、ずれ量0のパターンにおいてシアンのパターンとブラックのパターンとが隙間無く副走査方向に交互に並ぶように記録される。その結果、このずれ量0のパターンが5つのパターンの中で濃度が最も高くなる。 【0036】 ここで、パターンのずれ量について説明すると、基準となるシアンパターンに対してブラックパターンを副走査方向下流側(図面の上方向)にずらす場合を“-”で表している。また、副走査方向上流方向(図面の下方向)にずらす場合を“+”で表している。また、本実施形態ではブラックノズル列、シアンノズル列とも600dpiピッチでノズルを配列しており、シアンパターンに対してブラックパターンを600dpi単位でずらして記録することができる。そのため、例えば“-1”で表されるずれ量は、シアンパターン401を基準にブラックパターンを下流側に1/600inchずらして記録したことを示す。つまり、“-1”のずれ量のパターン405はブラックノズル列における使用ノズルを1ノズル分下流側にシフトして記録したものである。」 カ.「【0041】 以上のように、シアンドットとブラックドットとの副走査方向の位置関係に応じて、パターンの記録濃度が変動する。すなわち、ブラックノズル列とシアンノズル列との間に記録位置ずれがある場合は、そのずれ量に応じて、測定される記録濃度が最も高いパターンが変化する。このため、5つのパターンの中から最も記録濃度の高いパターンを、センサ109を用いて選択することにより、そのときの記録位置ずれを検出することができる。そして、この検出した記録位置ずれに基づいて、副走査方向の記録位置のずれを調整するための調整値を取得することができる。」 キ.上記ウ.乃至カ.より、以下の事項が把握できる。なお、下記説明図4は、図4の一部を図3に合成したものである。 (キ-1)(説明図4) 説明図4は、図4に示されたテストパターンのうち、パターン400を、甲第2号証の図3に示されたブラックノズル列302のノズルnb3~nb10と、シアンノズル列303のノズルnc1~nc8とは、同じ画素に対応しており、これらノズル列のうち、ブラックノズル列302のノズルnb5、nb7、nb9と、シアンノズル列303のノズルnc2、nc4、nc6とを用いて記録した場合を示す図である。具体的には、ノズルnc2から吐出されたパターン4001と、ノズルnc2から吐出されたパターン4001と、ノズルnb5から吐出されたパターン4002と、ノズルnc4から吐出されたパターン4003と、ノズルnb7から吐出されたパターン4004と、ノズルnc6から吐出されたパターン4005と、ノズルnb9から吐出されたパターン4006と、によって、パターン400が記録される。 (キ-2)ブラックノズル列302のノズルnb5で記録されるパターン4002の副走査方向Yの上流側(一方側)には、ブラックノズル列302のノズルnb9でパターン4006が記録される。すなわち、副走査方向Yにおいて、パターン4006と、パターン4002との間には、ノズルnb6、nb7、nb8に対応する間隔があいている。 (キ-3)シアンノズル列303のノズルnc6で記録されるパターン4005は、副走査方向Yにおいて、パターン4002とパターン4006との間に記録されるパターンである。 (キ-4)シアンノズル列303のノズルnc2で記録されるパターン401は、ブラックノズル列302のノズルnb5で記録されるパターン4002よりも、副走査方向Yにおいて下流側(他方側)に記録されるパターンである。 (キ-5)上記オ.に示されているように、パターン4002、パターン4006、パターン4005、及びパターン4001は、副走査方向Yに並んで記録されるパターンである。 (キ-6)説明図4に示されているように、パターン400の記録に際しては、パターン4006の記録に用いられるブラックノズル列302のノズルnb9よりも副走査方向Yにおいて上流側(一方側)に隣接する位置のシアンノズル列303のノズルnc8を用いたパターンは、記録されない。 (キ-7)説明図4に示すように、パターン400の記録に際しては、パターン4001の記録に用いられるシアンノズル列303のノズルnc2よりも副走査方向Yにおいて下流側(他方側)に隣接する位置のブラックノズル列302のノズルnb3を用いたパターンは、記録されない。 (キ-8)ブラックノズル列302のノズルnb5で記録されるパターン4002と、ブラックノズル列302のノズルnb7で記録されるパターン4004(N個のパターン)が、副走査方向Yにおいて並んでいる。副走査方向Yにおけるパターン4002とパターン4004との間には、ノズルnb6に対応する間隔があいている。 (キ-9)パターン4002とパターン4004とのうち、副走査方向Yにおいて最も上流側(一方側)のパターンであるパターン4004の記録に用いられるノズルnb7よりも、さらに上流側(一方側)のノズルnb9によって、パターン4006が記録される。副走査方向Yにおけるパターン4006と、パターン4004との間には、ノズルnb8に対応する間隔があいている。 (キ-10)シアンノズル列303のノズルnc4で記録されるパターン4003と、シアンノズル列303のノズルnc6で記録されるパターン4005と(Nこのパターン)が、副走査方向Yにおいて並んでいる。副走査方向Yにおけるパターン4003とパターン4005との間には、ノズルnc5に対応する間隔があいている。パターン4003は、副走査方向Yにおいてパターン4002とパターン4004との間のパターンである。パターン4005は、パターン4002とパターン4004のうち、副走査方向Yにおいて最も上流側(一方側)のパターンであるパターン4004と、パターン4006との間のパターンである。 (キ-11)パターン4002とパターン4004とのうち、副走査方向Yにおいて最も下流側(他方側)のパターンは、パターン4002である。パターン4001は、このパターン4002の記録に用いられるノズルnb5よりも、副走査方向Yにおいてさらに下流側(他方側)に位置するシアンノズル列303のノズルnc2で記録されるパターンである。 (キ-12)説明図4に示すように、パターン400の記録に際しては、パターン4006の記録に用いられるブラックノズル列302のノズル302のノズルnb9よりも副走査方向Yにおいて上流側(一方側)に隣接する位置のシアンノズル列303のノズルnc8を用いたパターンは、記録されない。 (キ-13)説明図4に示すように、パターン400の記録に際しては、パターン4001の記録に用いられるシアンノズル列303のノズルnc2よりも副走査方向Yにおいて下流側(他方側)に隣接する位置のブラックノズル列302のノズルnb3を用いたパターンは、記録されない。 これらの記載を総合すると、刊行物2(甲第2号証)には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnb1~nb20を有するブラックノズル列302と、 副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnc1~nc8を有し、走査方向Xにおいてブラックノズル列302と配列されたシアンノズル列303と、 ブラックノズル列302とシアンノズル列303が記録ヘッドの走査方向に配列されている記録ヘッド112を制御する記録制御部106と、を備え、 ノズルnb3~nb10は、ノズルnc1~nc8と同じ画素に対応しており、 記録制御部106は、Nを2以上の自然数として、 ノズルnb5とノズルnb7から吐出されるインクによって形成され、副走査方向Yに間隔をあけて並ぶパターン4002とパターン4004と、 副走査方向Yにおいて最も上流側のパターン4004よりも上流側の画素に対応するノズルnb9から吐出されるインクによって形成され、最も上流側のパターン4004と間隔をあけて並ぶパターン4006と、 副走査方向Yに隣接するパターン4002とパターン4004の間の画素、及び、副走査方向Yにおいて最も上流側のパターン4004とパターン4006との間の画素に対応するノズルnc4とノズルnc6から吐出されるインクによって形成され、副走査方向Yに間隔をあけて並ぶパターン4003とパターン4005と、 副走査方向Yにおいて最も下流側のパターン4002よりも下流側の画素に対応するノズルnc2から吐出されるインクによって形成されるパターン4001と、を有し パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだテストパターンを印刷させるように記録ヘッド112を制御し、 記録制御部106は、テストパターンの印刷において、 パターン4006に対して副走査方向Yの上流側に隣接する画素に対応するノズルnc8からインクを吐出させず、 パターン4001に対して副走査方向Yの下流側に隣接する画素に対応するノズルnb3からインクを吐出させない、ように記録ヘッド112を制御するインクジェット記録装置。」 2.本件特許発明8について (1)対比 本件特許発明8と引用発明1とを対比すると、 ア.後者の「インクジェット記録装置」は、前者の「インクジェットプリンタ」に相当する。 イ.前者の「第1方向」には、所定のノズル間隔で複数の第1ノズルが配列されているから、後者の所定のノズルピッチでノズルAn0~An16が配列された「ノズル列方向」は、前者の「第1方向」に相当する。 ウ.後者の「所定のノズルピッチ」及び「ノズルAn0~An16を含む複数のノズルN」は、それぞれ前者の「所定のノズル間隔」及び「複数の第1ノズル」に相当する。 エ.上記イ.及びウ.より、後者の「記録用紙Pの搬送方向Xと交差するノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップA」は、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 オ.後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルN」及び「ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向X」は、前者の「第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズル」及び「第1方向と交差する第2方向」に相当する。 カ.上記オ.より、後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有し、ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向XにおいてチップAとずれた位置に配置されたチップB」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 キ.後者の「CPU1000」は、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴によって形成されるドットの配置を制御するための画像処理機能を有するものであるから、後者の「CPU1000」は、前者の「第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 ク.後者の「チップAにおけるノズルAn3~An16は、隣接するチップBのノズルBn3~Bn16と同じ画素に対応して」いる点は、前者の「少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応して」いることに相当する。 ケ.後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、「チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3との間の画素に対応するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによって形成されたパターンC1/C2/C3と、ノズル配列方向において、パターンA1/A2/A3よりも下側の画素に対応するチップBのノズルBn16~Bn18/Bn16~Bn17/Bn16から吐出されるインクによって形成されるパターンD1/D2/D3」との関係を有するから、後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、それぞれ、前者の「第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素A」、「前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素C」、「前記第1方向において前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 コ.後者のインクジェット記録装置の「パターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3とパターンC1/C2/C3とパターンD1/D2/D3とが、ノズル列方向に並んだテストパターンを印刷させるように各記録ヘッド40を制御」することは、前者の「前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」することに相当する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御するインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件特許発明8が、「第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さない」ものであるのに対し、引用発明1は、ノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによってパターンA1/A2/A3を形成し、ノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによってパターンC1/C2/C3を形成するものである点。 (2)判断 上記相違点1について、以下検討する。 引用発明1において、パターンC1/C2/C3及びパターンD1/D2/D3を形成するに際しては、チップBのノズルBn0~Bn4からはインクを吐出しないのであるから、当該ノズルBn0~Bn4を設けないものとすることは、当業者が適宜なし得る程度のことである。 また、パターンA1/A2/A3及びパターンB1/B2/B3を形成するに際しては、チップAのノズルAn15及びAn16からはインクを吐出しないのであるから、チップAのノズルAn16より他方側にノズルを設けないものとすることは、当業者が適宜なし得る程度のことである。 そうすると、上記相違点1に係る発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものである。 よって、本件特許発明8は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本件特許発明8の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1から、当業者が予測しうる範囲内のものである。 よって、本件特許発明8は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.本件特許発明9について 3-1.甲第1号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明9と引用発明1とを対比すると、 ア.後者の「各記録ヘッド40」は、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用と、色毎に設けられていて、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴は同じ色であることは明らかであるから、前者の「第1ノズル」に相当するチップAのノズルAn0~An16を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色と、前者の「第2ノズル」に相当するチップBのノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色とは同じ色であるといえる。 イ.後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、「チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3との間の画素に対応するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによって形成されたパターンC1/C2/C3と、ノズル配列方向において、パターンA1/A2/A3よりも下側の画素に対応するチップBのノズルBn16~Bn18/Bn16~Bn17/Bn16から吐出されるインクによって形成されるパターンD1/D2/D3」との関係を有するから、後者の「パターンD1/D2/D3」は、それぞれ、前者の「前記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 ウ.後者のインクジェット記録装置は、「CPU1000は、テストパターンの印刷において、パターンB1/B2/B3に対してノズル列方向の上側に隣接する画素に対応するチップBのノズルBn3からパターンを記録」しないものであるから、前者の「制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させ」ないことに相当する。 エ.後者のインクジェット記録装置は、「CPU1000は、テストパターンの印刷において」、「パターンD1/D2/D3に対してノズル列方向の下側に隣接する画素に対応するチップAのノズルNからパターンを記録」しないものであるから、前者の「制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において」、「前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない」ことに相当する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点2] 第1検査用画像が、本件特許発明9では、「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」ものであるのに対し、引用発明1は、パターンA1/A2/A3と、B1/B2/B3とからなる同じ長さのものである点。 [相違点3] 本件特許発明9が、「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接」するものであるのに対し、引用発明1は、ノズルAn7、Bn7、An15及びBn15から吐出されるインクはパターンを構成するものではなく、各パターンの間には、少なくとも1画素分の間隔が生じるものである点。 (2)判断 ア.[相違点2]について 引用発明2のブラックノズル列302から吐出されるインクによって形成されるパターン4002、4004及び4006は間隔をあけて並ぶパターンである。同様に、シアンノズル列303から吐出されるインクによって形成されるパターン4001、4003及び4005も間隔をあけて並ぶパターンである。 してみると、引用発明2は、同色のパターンが互いに間隔をあけて並んでいるものであって、連続して並ぶ同色のパターンは示されていないから、上記相違点2に係る発明特定事項は、引用発明2には、示されていない。 また、引用発明1の「チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3」と、「パターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3」とは、それぞれ3滴/2滴/1滴という、同数のインク滴によって形成されるものであって、刊行物1には、例えば、パターンA1とパターンB1とでインク滴数を異なるものとすることの記載も示唆もない。 そうすると、引用発明1及び引用発明2のいずれにおいても、上記相違点2に係る発明特定事項とすることが、設計的事項といえる理由もない。 イ.[相違点3]について 引用発明2の「パターン4006」に対して副走査方向Yの上流側に隣接する画素に対応するノズルnc8からインクを吐出しないから、本件特許発明9の「画像要素B」と引用発明2の「パターン4006」とは、第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させないとの概念で共通する。 また引用発明2の「パターン4001」に対して副走査方向Yの下流側に隣接する画素に対応するノズルnb3からインクを吐出しないから、本件特許発明9の「画像要素D」と引用発明2の「パターン4001」とは、第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させないとの概念で共通する。 しかし、引用発明2は、パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだテストパターンであるから、引用発明2には上記相違点3に係る発明特定事項の「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し」との点は示されていないし、また、引用発明1及び引用発明2のいずれにおいても、上記相違点3に係る発明特定事項とすることが、設計的事項といえる理由もない。 したがって、本件特許発明9は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 3-2.甲第2号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明9と引用発明2とを対比すると、 ア.後者の「ブラックノズル列302」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnb1~nb20を有するものであるから、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 イ.後者の「シアンノズル列303」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnc1~nc8を有し、走査方向Xにおいてブラックノズル列302と配列されたものであって、走査方向Xにおいて配列されたとは、第1方向と交差する第2方向においてずれた位置に配置されたといえるから、後者の「シアンノズル列303」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 ウ.後者の「ブラックノズル列302とシアンノズル列303が記録ヘッドの走査方向に配列されている記録ヘッド112を制御する記録制御部106」は、前者の「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 エ.後者の「記録ヘッド112」のノズルnb3~nb10は、ノズルnc1~nc8と同じ画素に対応しているから、前者の「第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニット」と後者の「記録ヘッド112」とは、「少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており」との概念で共通する。 オ.後者の「パターン4002」、「パターン4006」 、「パターン4005」及び「パターン4001」は、「副走査方向Yに隣接するパターン4002とパターン4004の間の画素、及び、副走査方向Yにおいて最も上流側のパターン4004とパターン4006との間の画素に対応するノズルnc4とノズルnc6から吐出されるインクによって形成され、副走査方向Yに間隔をあけて並ぶパターン4003とパターン4005と、副走査方向Yにおいて最も下流側のパターン4002よりも下流側の画素に対応するノズルnc2から吐出されるインクによって形成されるパターン4001」との関係を有するから、後者の「パターン4002」、「パターン4006」 、「パターン4005」及び「パターン4001」は、それぞれ、前者の「第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素A」、「第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素C」及び「記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当し、「画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し」との配置関係を有すると認める。 カ.後者の「テストパターン」は、「パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだ」ものであるから、前者の「前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並」んだ「第1検査画像」に相当する。 キ.後者の「記録制御部106」は、テストパターンを印刷させるように記録ヘッド112を制御するものであるから、前者の「制御手段」と後者の「記録制御部106」とは、「画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」するものとの概念で共通する。 ク.後者の「パターン4006」に対して副走査方向Yの上流側に隣接する画素に対応するノズルnc8からインクを吐出しないから、前者の「画像要素B」と後者の「パターン4006」とは、第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させないとの概念で共通する。 ケ.後者の「パターン4001」に対して副走査方向Yの下流側に隣接する画素に対応するノズルnb3からインクを吐出しないから、前者の「画像要素D」と後者の「パターン4001」とは、第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させないとの概念で共通する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 画像要素Aの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Dの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、 画像要素Bの第1方向の最も他方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も一方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接し、 前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点4] 本件特許発明9は、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であ」るのに対し、引用発明2は、ブラックノズル列とシアンノズル列からなる異なる色である点。 [相違点5] 本件特許発明9は、「画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」ものであるのに対し、引用発明2は、それぞれ1つのノズルから吐出される同じ長さのものである点。 [相違点6] 本件特許発明9は、「画像要素Aの第1方向の最も一方側のドットを形成する第1ノズルと、画像要素Cの第1方向の最も他方側のドットを形成する第2ノズルと同じ画素に対応する第1ノズルとが前記第1方向に互いに隣接」するものであるのに対し、引用発明2は、パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだテストパターンである点。 (2)判断 ア.[相違点4]について 引用発明1の記録ヘッド40を構成するチップA及びBは、各色毎に設けられたものであるから、同じ色を吐出する記録ヘッドといえる。 そうすると、上記相違点4に係る発明特定事項は、引用発明1に示されているといえる。 ここで、引用発明2は、「ノズル配列長さの短い、シアンなどのカラーインクを吐出するノズル列と、ノズル配列長さがそれより長い、ブラックインクを吐出するブラックノズル列と、を設けた記録ヘッドを用いる記録装置」(1.(2)ア.【0003】参照。)が前提の発明であって、「ブラックインクとカラーインクの両方を用いる画像を記録するときに、長いノズル配列のブラックノズル列では一部のノズルのみを使用し、かつ、記録媒体上の同一領域に対してブラックインクとカラーインクとを異なる走査で吐出するようにする。これにより、同一領域に対してブラックインクとカラーインクは、約1回の走査分の定着時間をおいて付与されることになることから、これらインク相互の滲みを抑えることができる。また、ブラックインクのみを用いる画像を記録する場合には、ノズル配列長さの長いブラックノズル列のみを用いることにより、記録ヘッドの1走査あたりの記録領域を大きくでき、ブラック単色画像の高速記録が実現できる。」(1.(2)ア.【0004】参照。)という作用効果を奏するものである。 そして、引用発明2に、引用発明1の記録ヘッド40を構成するチップA及びBを同じ色を吐出することを採用し、ブラックノズル列302とシアンノズル列303とを同色とすると、ブラックインクとカラーインクとのインク相互の滲みの問題が生じないこととなり、ノズル列を2列設ける必要性もなくなる。そうすると、引用発明2が有していた課題自体が生起し得ないこととなり、また、その課題を解決するための手段も不要ということとなってしまう。 してみると、引用発明2に、引用発明1の同じ色を吐出することを採用することには、阻害要因があるものといえるから、上記相違点4に係る発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 イ.[相違点5]について 相違点5は、上記3-1.(1)の[相違点2]と実質的に同じ相違点である。 そうすると、上記3-1.(2)ア.において検討したように、上記相違点5に係る発明特定事項は引用発明1にも示されていないし、引用発明1及び引用発明2において、設計的事項とする理由もないことは明らかである。 ウ.[相違点6]について 相違点6は、上記3-1.(1)の[相違点3]と実質的に同じ相違点である。 そうすると、上記3-1.(2)イ.において検討したように、上記相違点6に係る発明特定事項は引用発明1にも示されていないし、引用発明1及び引用発明2において、設計的事項とする理由もないことは明らかである。 したがって、本件特許発明9は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 3-3.特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記相違点2につき、複数チップにおけるノズル列のうち、どのノズルを用いてテストパターンを記録するかは、そのオーバーラップ部分に対応するノズルの位置関係及び濃度を測定する測定エリアに応じて当業者が適宜採用し得る設計的事項であり、測定エリアを例えば説明図1より上方(一方側)に広げた場合、相応して画素要素Bのうちの一方側のドットを増やすことは当業者が適宜採用し得る設計的事項である、旨主張する。(令和1年7月25日付け意見書6頁1~8行) しかし、引用発明1のチップAにより形成されるパターンA1/A2/A3と、チップBにより形成されるパターンB1/B2/B3とは、同数のインク滴によって形成されるものであって、上記のとおり、刊行物1に、インク滴数を異なるものとする記載も示唆もないから、異議申立人が主張するように、画素要素Bのうちの一方側のドットを増やすことを、当業者が適宜採用し得る設計的事項とすることはできない。 よって、異議申立人の主張は採用し得ない。 4.本件特許発明11について 4-1.甲第1号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明11と引用発明1とを対比すると、 ア.後者の「インクジェット記録装置」は、前者の「インクジェットプリンタ」に相当する。 イ.前者の「第1方向」には、所定のノズル間隔で複数の第1ノズルが配列されているから、後者の所定のノズルピッチでノズルAn0~An16が配列された「ノズル列方向」は、前者の「第1方向」に相当する。 ウ.後者の「所定のノズルピッチ」及び「ノズルAn0~An16を含む複数のノズルN」は、それぞれ前者の「所定のノズル間隔」及び「複数の第1ノズル」に相当する。 エ.上記イ.及びウ.より、後者の「記録用紙Pの搬送方向Xと交差するノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップA」は、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 オ.後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルN」及び「ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向X」は、前者の「第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズル」及び「第1方向と交差する第2方向」に相当する。 カ.上記オ.より、後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有し、ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向XにおいてチップAとずれた位置に配置されたチップB」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 キ.後者の「CPU1000」は、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴によって形成されるドットの配置を制御するための画像処理機能を有するものであるから、後者の「CPU1000」は、前者の「第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 ク.後者の「各記録ヘッド40」は、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用と、色毎に設けられていて、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴は同じ色であることは明らかであるから、前者の「第1ノズル」に相当するチップAのノズルAn0~An16を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色と、前者の「第2ノズル」に相当するチップBのノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色とは同じ色であるといえる。 ケ.後者の「チップAにおけるノズルAn3~An16は、隣接するチップBのノズルBn3~Bn16と同じ画素に対応して」いる点は、前者の「少なくとも4つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応して」いることに相当する。 コ.後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、「チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3との間の画素に対応するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによって形成されたパターンC1/C2/C3と、ノズル配列方向において、パターンA1/A2/A3よりも下側の画素に対応するチップBのノズルBn16~Bn18/Bn16~Bn17/Bn16から吐出されるインクによって形成されるパターンD1/D2/D3」との関係を有するから、後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、それぞれ、前者の「Nを2以上の自然数として、第1ノズルから吐出されるインクによって形成されるN個の画像要素A」、「前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成されたN個の画像要素C」、「前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 (サ)後者のインクジェット記録装置の「パターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3とパターンC1/C2/C3とパターンD1/D2/D3とが、ノズル列方向に並んだテストパターンを印刷させるように各記録ヘッド40を制御」することは、前者の「前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」することに相当する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、N個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成されるN個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御するインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点7] 本件特許発明11が、「第1方向に間隔をあけて並ぶ」N個の画像要素Aと、「前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素」に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され「前記第1方向に間隔をあけて並ぶ」N個の画像要素Cとを有するのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。 [相違点8] 本件特許発明11が、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さない」ものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。 (2)判断 上記相違点8について、以下検討する。 引用発明2の「ノズルnb3~nb10」は、ノズルnc1~nc8と同じ画素に対応しており、同一領域に対してブラックインクとカラーインクとを吐出するものであるから、上記相違点8に係る発明特定事項の「画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず」の点は、引用発明2に示されていない。 また、引用発明2は、同一領域に対してブラックインクとカラーインクとを吐出するものであって、パターンの印刷に寄与しないノズルだからといって、そのノズルを有さないとすると、本来,行っていた、同一領域に対するブラックインクとカラーインクとを吐出することができなくなってしまう。 そうすると、引用発明2において、パターンを印刷しないノズルを有さないとすることは、阻害要因があるものといえる。 よって、上記相違点8に係る発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 してみると、上記相違点7について検討するまでもなく、本件特許発明11は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 4-2.甲第2号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明11と引用発明2とを対比すると、 ア.後者の「ブラックノズル列302」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnb1~nb20を有するものであるから、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 イ.後者の「シアンノズル列303」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnc1~nc8を有し、走査方向Xにおいてブラックノズル列302と配列されたものであって、走査方向Xにおいて配列されたとは、第1方向と交差する第2方向においてずれた位置に配置されたといえるから、後者の「シアンノズル列303」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 ウ.後者の「ブラックノズル列302とシアンノズル列303が記録ヘッドの走査方向に配列されている記録ヘッド112を制御する記録制御部106」は、前者の「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 エ.後者の「記録ヘッド112」のノズルnb3~nb10は、ノズルnc1~nc8と同じ画素に対応しているから、前者の「第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニット」と後者の「記録ヘッド112」とは、「少なくとも4つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており」との概念で共通する。 オ.後者の「パターン4002」、「パターン4004」、「パターン4006」 、「パターン4003」、「パターン4005」、及び「パターン4001」は、「副走査方向Yに隣接するパターン4002とパターン4004の間の画素、及び、副走査方向Yにおいて最も上流側のパターン4004とパターン4006との間の画素に対応するノズルnc4とノズルnc6から吐出されるインクによって形成され、副走査方向Yに間隔をあけて並ぶパターン4003とパターン4005と、副走査方向Yにおいて最も下流側のパターン4002よりも下流側の画素に対応するノズルnc2から吐出されるインクによって形成されるパターン4001」との関係を有するから、後者の「パターン4002」及び「パターン4004」、「パターン4006」 、「パターン4003」及び「パターン4005」、及び「パターン4001」は、それぞれ、前者の「第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素A」、「第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、第1方向において最も一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素C」及び「記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 カ.後者の「テストパターン」は、「パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだ」ものであるから、前者の「前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並」んだ「第1検査画像」に相当する。 キ.後者の「記録制御部106」は、テストパターンを印刷させるように記録ヘッド112を制御するものであるから、前者の「制御手段」と後者の「記録制御部106」とは、「画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」するものとの概念で共通する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御するインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点9] 本件特許発明11は、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であ」るのに対し、引用発明2は、ブラックノズル列とシアンノズル列からなる異なる色である点。 [相違点10] 本件特許発明11は、「前記第2ヘッドユニットが、前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルを有さず、前記画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず、前記第1ヘッドユニットが、前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルを有さない」ものであるのに対し、引用発明2は、そのようなものでない点。 (2)判断 上記相違点9について、以下検討する。 上記相違点9は、上記3-2.(1)の[相違点4]と実質的に同じ相違点である。 そして、上記3-2.(2)ア.において検討したように、上記相違点9に係る発明特定事項は、引用発明1に示されているものの、引用発明2において、引用発明1の同じ色を吐出することを採用することは、阻害要因があるものといえるから、上記相違点9に係る発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 してみると、上記相違点10について検討するまでもなく、本件特許発明11は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 4-3.特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、複数チップにおけるノズル相互のオーバーラップ部分の記録濃度を測定するためには、測定エリア内の濃度に変化が現れるように、記録に用いるノズルをテストパターンに応じて異ならせればよく、このような態様は、当業者が適宜採用し得るものである、旨主張する。(令和1年7月25日付け意見書12頁2~5行、13頁18~21行) しかし、引用発明1は、チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによってパターンA1/A2/A3が形成され、チップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによってパターンC1/C2/C3が形成されるものであって、ノズルAn14は、パターンA2/A3を形成する場合には使用しないが、パターンA1を形成する場合には使用するから、当該ノズルAn14を有さないとすることができないことは明らかである。 また、引用発明2は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnb1~nb20を有するブラックノズル列302と、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnc1~nc8を有し、走査方向Xにおいてブラックノズル列302と配列されたシアンノズル列303を有することを前提としたインクジェット記録装置であるから、ブラックノズル列302の特定のノズルを有さないとすることができないことは明らかである。 そして、上記のとおり、引用発明1及び引用発明2において、上記相違点8における「画像要素Bに対応する前記第2ノズルを有さず」の点が、設計的事項といえる理由もない。 したがって、特許異議申立人が主張するように、記録に用いるノズルをテストパターンに応じて異ならせることは、当業者が適宜採用し得る設計的事項とはいえない。 よって、特許異議申立人の主張は採用し得ない。 5.本件特許発明12について 5-1.甲第1号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明12と引用発明1とを対比すると、 ア.後者の「インクジェット記録装置」は、前者の「インクジェットプリンタ」に相当する。 イ.前者の「第1方向」には、所定のノズル間隔で複数の第1ノズルが配列されているから、後者の所定のノズルピッチでノズルAn0~An16が配列された「ノズル列方向」は、前者の「第1方向」に相当する。 ウ.後者の「所定のノズルピッチ」及び「ノズルAn0~An16を含む複数のノズルN」は、それぞれ前者の「所定のノズル間隔」及び「複数の第1ノズル」に相当する。 エ.上記イ.及びウ.より、後者の「記録用紙Pの搬送方向Xと交差するノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルAn0~An16を含む複数のノズルNを有するチップA」は、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 オ.後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルN」及び「ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向X」は、前者の「第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズル」及び「第1方向と交差する第2方向」に相当する。 カ.上記オ.より、後者の「このノズル列方向に所定のノズルピッチで配列されノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNを有し、ノズル列方向と交差する記録用紙Pの搬送方向XにおいてチップAとずれた位置に配置されたチップB」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 キ.後者の「CPU1000」は、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴によって形成されるドットの配置を制御するための画像処理機能を有するものであるから、後者の「CPU1000」は、前者の「第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 ク.後者の「各記録ヘッド40」は、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインク用と、色毎に設けられていて、各記録ヘッド40を構成するチップA及びBから吐出されるインク滴は同じ色であることは明らかであるから、前者の「第1ノズル」に相当するチップAのノズルAn0~An16を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色と、前者の「第2ノズル」に相当するチップBのノズルBn0~Bn20を含む複数のノズルNから吐出されるインクの色とは同じ色であるといえる。 ケ.後者の「チップAにおけるノズルAn3~An16は、隣接するチップBのノズルBn3~Bn16と同じ画素に対応して」いる点は、前者の「少なくとも4つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応して」いることに相当する。 コ.後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、「チップAのノズルAn12~An14/An12~An13/An12から吐出されるインクによって形成されるパターンA1/A2/A3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3よりも上側の画素に対応するチップAのノズルAn4~An6/An4~An5/An4から吐出されるインクによって形成され、画像要素Aと間隔をあけて並ぶパターンB1/B2/B3と、ノズル配列方向においてパターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3との間の画素に対応するチップBのノズルBn9~Bn11/Bn9~Bn10/Bn9から吐出されたインクによって形成されたパターンC1/C2/C3と、ノズル配列方向において、パターンA1/A2/A3よりも下側の画素に対応するチップBのノズルBn16~Bn18/Bn16~Bn17/Bn16から吐出されるインクによって形成されるパターンD1/D2/D3」との関係を有するから、後者の「パターンA1/A2/A3」、「パターンB1/B2/B3」、「パターンC1/C2/C3」及び「パターンD1/D2/D3」は、それぞれ、前者の「Nを2以上の自然数として、第1ノズルから吐出されるインクによって形成されるN個の画像要素A」、「前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成されたN個の画像要素C」、「前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 (サ)後者のインクジェット記録装置の「パターンA1/A2/A3とパターンB1/B2/B3とパターンC1/C2/C3とパターンD1/D2/D3とが、ノズル列方向に並んだテストパターンを印刷させるように各記録ヘッド40を制御」することは、前者の「前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」することに相当する。 (シ)後者のインクジェット記録装置は、「CPU1000は、テストパターンの印刷において、パターンB1/B2/B3に対してノズル列方向の上側に隣接する画素に対応するチップBのノズルBn3からパターンを記録」しないものであるから、前者の「制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させ」ないことに相当する。 (ス)後者のインクジェット記録装置は、「CPU1000は、テストパターンの印刷において」、「パターンD1/D2/D3に対してノズル列方向の下側に隣接する画素に対応するチップAのノズルNからパターンを記録」しないものであるから、前者の「制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において」、「前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない」ことに相当する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 前記第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であり、 少なくとも4つの前記第1ノズルは、前記第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 Nを2以上の自然数として、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、N個の画像要素Aと、 前記第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも前記一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、N個の画像要素Cと、 前記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御手段は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点11] 本件特許発明12が、「第1方向に間隔をあけて並ぶ」N個の画像要素Aであって、「前記第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素」、及び、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、「前記第1方向に間隔をあけて並ぶ」N個の画像要素Cとを有するのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。 [相違点12] 第1検査用画像が、本件特許発明12は、「前記画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」ものであるのに対し、引用発明1は、パターンA1/A2/A3と、B1/B2/B3とからなる同じ長さのものである点。 (2)判断 上記相違点12について、以下検討する。 上記相違点12は、上記3-1.(1)の[相違点2]と実質的に同じ相違点である。 そうすると、上記3-1.(2)ア.において検討したように、上記相違点12に係る発明特定事項は引用発明1にも示されていないし、引用発明1及び引用発明2において、設計的事項とする理由もないことは明らかである。 してみると、上記相違点11について検討するまでもなく、本件特許発明12は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 5-2.甲第2号証を主引例とした場合 (1)対比 本件特許発明12と引用発明2とを対比すると、 ア.後者の「ブラックノズル列302」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnb1~nb20を有するものであるから、前者の「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニット」に相当する。 イ.後者の「シアンノズル列303」は、副走査方向Yに600dpiピッチで配列されたノズルnc1~nc8を有し、走査方向Xにおいてブラックノズル列302と配列されたものであって、走査方向Xにおいて配列されたとは、第1方向と交差する第2方向においてずれた位置に配置されたといえるから、後者の「シアンノズル列303」は、前者の「前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニット」に相当する。 ウ.後者の「ブラックノズル列302とシアンノズル列303が記録ヘッドの走査方向に配列されている記録ヘッド112を制御する記録制御部106」は、前者の「前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段」に相当する。 エ.後者の「記録ヘッド112」のノズルnb3~nb10は、ノズルnc1~nc8と同じ画素に対応しているから、前者の「第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニット」と後者の「記録ヘッド112」とは、「少なくとも4つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており」との概念で共通する。 オ.後者の「パターン4002」、「パターン4004」、「パターン4006」 、「パターン4003」、「パターン4005」、及び「パターン4001」は、「副走査方向Yに隣接するパターン4002とパターン4004の間の画素、及び、副走査方向Yにおいて最も上流側のパターン4004とパターン4006との間の画素に対応するノズルnc4とノズルnc6から吐出されるインクによって形成され、副走査方向Yに間隔をあけて並ぶパターン4003とパターン4005と、副走査方向Yにおいて最も下流側のパターン4002よりも下流側の画素に対応するノズルnc2から吐出されるインクによって形成されるパターン4001」との関係を有するから、後者の「パターン4002」及び「パターン4004」、「パターン4006」 、「パターン4003」及び「パターン4005」、及び「パターン4001」は、それぞれ、前者の「第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素A」、「第1方向において最も一方側の前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において最も前記一方側の前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素B」、「第1方向に隣接する2つの前記画像要素Aの間の画素、及び、第1方向において最も一方側の前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成され、前記第1方向に間隔をあけて並ぶN個の画像要素C」及び「記第1方向において最も他方側の前記画像要素Aよりも前記他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素D」に相当する。 カ.後者の「テストパターン」は、「パターン4002とパターン4004とパターン4006とパターン4003とパターン4005とパターン4001とが副走査方向Yに並んだ」ものであるから、前者の「前記N個の画像要素Aと前記画像要素Bと前記N個の画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並」んだ「第1検査画像」に相当する。 キ.後者の「記録制御部106」は、テストパターンを印刷させるように記録ヘッド112を制御するものであるから、前者の「制御手段」と後者の「記録制御部106」とは、「画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御」するものとの概念で共通する。 したがって、両者は、 「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、 前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、 前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、 少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、 前記制御手段は、 前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、 前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、 前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、 前記第1方向において、前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記第1方向において、前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、 を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並び、前記第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、 前記制御装置は、前記第1検査用画像の印刷において、 前記画像要素Bに対して前記第1方向の前記一方側に隣接する画素に対応する前記第2ノズルからインクを吐出させず、 前記画像要素Dに対して前記第1方向の前記他方側に隣接する画素に対応する前記第1ノズルからインクを吐出させない、 ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点13] 本件特許発明12は、「前記複数の第1ノズルから吐出されるインクの色と、前記複数の第2ノズルから吐出されるインクの色とが同じ色であ」るのに対し、引用発明2は、ブラックノズル列とシアンノズル列からなる異なる色である点。 [相違点14] 本件特許発明12は、「画像要素Bの前記第1方向の長さが前記画像要素Aの前記第1方向の長さよりも長い」ものであるのに対し、引用発明2は、それぞれ1つのノズルから吐出される同じ長さのものである点。 (2)判断 ア.[相違点13]について 上記相違点13は、上記3-2.(1)の[相違点4]と実質的に同じ相違点である。 そして、上記3-2.(2)ア.において検討したように、上記相違点13に係る発明特定事項は、引用発明1に示されているものの、引用発明2において、引用発明1の同じ色を吐出することを採用することは、阻害要因があるものといえるから、上記相違点13に係る発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 イ.[相違点14]について 相違点14は、上記3-1.(1)の[相違点2]と実質的に同じ相違点である。 そうすると、上記3-1.(2)ア.において検討したように、上記相違点14に係る発明特定事項は引用発明1にも示されていないし、引用発明1及び引用発明2において、設計的事項とする理由もないことは明らかである。 したがって、本件特許発明12は、引用発明1及び引用発明2より、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 5-3.特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、画像要素Bの第1方向の長さが画像要素Aの第1方向の長さより長い検査用画像を印刷させることは、甲1発明において当業者が適宜採用し得るものである、旨主張する。(令和1年7月25日付け意見書17頁2~4行) しかし、引用発明1のチップAにより形成されるパターンA1/A2/A3と、チップBにより形成されるパターンB1/B2/B3とは、同数のノズルを用いて形成されるものであって、刊行物1に、ノズル数を異なるものとする記載も示唆もないから、異議申立人が主張するように、画素要素Bのうちの一方側のドットを増やすことを、当業者が適宜採用し得る設計的事項とする理由も見い出せない。 よって、異議申立人の主張は採用し得ない。 第7.特許法第29条第1項第3号違反に係る異議申立理由についての当審の判断 上記第6.の3-1.(1)のとおり、本件特許発明9と引用発明1とは上記相違点2及び3で相違するものであるから、本件特許発明9は、引用発明1に記載されたものではない。 また、第6.の3-2.(1)のとおり、本件特許発明9と引用発明2とは上記相違点4乃至6で相違するものであるから、本件特許発明9は、引用発明2に記載されたものではない。 また、第6.の5-2.(1)のとおり、本件特許発明12と引用発明2とは上記相違点13及び14で相違するものであるから、本件特許発明12は、引用発明2に記載されたものではない。 第8.特許法第36条第6項第1号違反に係る異議申立理由についての当審の判断 特許異議申立人は、発明の詳細な説明には、ヘッドユニット同士のずれの向きを容易に検出することを課題とし、この課題を、第1検査用画像に形成された筋の数によって、ヘッドユニット同士のずれの向きを検出するようにしたことによって解決した発明が記載されていると認められるところ、本件の請求項1には、印刷された第1検査用画像を用いて、どのようにヘッドユニット同士のずれの向きを検出するのかが規定されていない、と主張する。(特許異議申立書71頁1~7行) 本件特許発明が解決しようとする課題は、「ヘッドユニット同士のずれの向きを容易に検出することが可能なインクジェットプリンタ、及び、ずれ検査方法を提供することである」(【0005】)と認められる。 そして、本件特許明細書(【0012】乃至【0051】)を参酌すれば、「第1方向に所定のノズル間隔で配列された複数の第1ノズルを有する第1ヘッドユニットと、前記第1方向に前記ノズル間隔で配列された複数の第2ノズルを有し、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1ヘッドユニットとずれた位置に配置された第2ヘッドユニットと、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御する制御手段と、を備え、少なくとも2つの第1ノズルは、第2ノズルと同じ画素に対応しており、前記制御手段は、前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Aと、前記第1方向において前記画像要素Aよりも一方側の画素に対応する前記第1ノズルから吐出されるインクによって形成され、前記画像要素Aと間隔をあけて並ぶ画像要素Bと、前記第1方向において前記画像要素Aと前記画像要素Bとの間の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されたインクによって形成された画像要素Cと、前記第1方向において前記画像要素Aよりも他方側の画素に対応する前記第2ノズルから吐出されるインクによって形成される画像要素Dと、を有し、前記画像要素Aと前記画像要素Bと前記画像要素Cと前記画像要素Dとが前記第1方向に並んだ第1検査用画像を印刷させるように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御し、前記制御装置は、前記画像要素Bの前記第1方向における長さが前記画像要素Aの前記第1方向における長さよりも長く、前記画像要素Dの前記第1方向における長さが前記画像要素Cの前記第1方向における長さよりも長い、前記第1検査用画像を印刷させる、ように前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットを制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。」(【請求項1】)という構成を採用することにより、「第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとが、配列方向にずれている場合には、第1検査用画像を印刷すると、印刷された画像に第1パターンと第2パターンとが配列方向にずれることで被記録媒体が露出して筋ができる。また、第1ヘッドユニットが第2ヘッドユニットに対して配列方向の上記一方側にずれた場合に、配列方向の上記他方側にずれた場合よりも、上記筋の数が多くなる。したがって、印刷された画像の上記筋の数によって、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとのずれの向きを容易に検出することができる。」(【0008】)という作用・効果を奏し、上記本件特許発明が解決しようとする課題を解決することが理解できる。 そうすると、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載において、当業者が課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、課題を解決するための手段が記載されたものであって、特許法第36条第6項第1号の規定を充足するものである。 また、本件特許発明2乃至12についても同様に、本件特許明細書の【0052】乃至【0091】を参酌すれば、本件特許発明2乃至12は、発明の詳細な説明の記載において、当業者が課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえるから、本件特許発明2乃至12は、課題を解決するための手段が記載されたものであって、特許法第36条第6項第1号の規定を充足するものである。 第9.むすび 以上のとおり、本件特許発明8は、特許法第29条第2項の規定を満たさないから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。 また、本件発明1乃至7、9、10乃至12に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 さらに、他に本件発明1乃至7、9、10乃至12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700231

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