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特許異議申立

2019-700676

液体払拭装置及び液体払拭方法

審判番号
2019-700676
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-100550
登録番号
特許第6474684号(P6474684)
請求日
2019年08月27日
審決日
2021年01月19日
公報発行日
2021年05月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ミマキエンジニアリング
  • 【権利者代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【権利者代理人】来間 清志
  • 【権利者代理人】二宮 浩康
  • 【権利者代理人】上島 類
  • 【異議申立人】小林 勝
審判長/審判官
  • 審判長 藤田 年彦
  • 審判官 尾崎 淳史
  • 審判官 藤本 義仁
分類
P1651.113-YAA(B41J) / P1651.121-YAA(B41J) / P1651.537-YAA(B41J) / P1651.851-YAA(B41J) / P1651.853-YAA(B41J) / P1651.857-YAA(B41J) / P1651.855-YAA(B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6474684号発明「液体払拭装置及び液体払拭方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6474684号の明細書,特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲(令和2年12月21日提出の手続補正書により補正されたもの)及び訂正図面のとおり,訂正後の請求項〔1ないし11〕について訂正することを認める。 特許第6474684号の請求項6及び7に係る特許を維持する。 特許第6474684号の請求項1ないし5,及び8ないし11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6474684号の請求項1ないし11に係る特許(以下,「本件特許」という。)についての特許出願は,平成27年5月15日に出願されたものであって,平成31年2月8日に,その特許権について設定の登録がなされ,同年2月27日に特許掲載公報が発行された。 その後,特許異議申立人小林 勝(以下,「異議申立人」という。)により令和1年8月27日に,その請求項1ないし11に係る特許について,特許異議の申立てがされたものである。 そして,当審において,同年11月5日付けで取消理由通知がなされ,その指定期間内である令和2年1月6日に特許権者から訂正の請求及び意見書の提出がなされ,同月31日に上申書の提出がなされたが,同年3月13日付けで訂正拒絶理由が通知され,その指定期間内である同年4月15日に特許権者より意見書が提出され,その後さらに同年5月15日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ,その指定期間内である同年7月20日付けで特許権者から訂正の請求(以下,「本件訂正請求」という。)及び意見書が提出され,同年9月14日付けで異議申立人より意見書の提出がされ,同年11月17日付けで訂正拒絶理由が通知され,その指定期内である同年12月21日付けで意見書及び訂正請求書についての手続補正書が提出されたものである。 第2 訂正の適否について 1 本件訂正請求の内容について 本件訂正請求は,令和2年7月20日付けで提出された訂正請求書及び同年12月21日付けで提出された手続補正書の記載からみて,その請求の趣旨を「特許第6474684号の明細書,特許請求の範囲,図面を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲, 図面のとおり,訂正後の請求項1~11について訂正することを求める。」とするものであり,その内容はつぎのとおりのである。 なお,本件訂正請求により,令和2年1月6日付けでされた訂正の請求は取り下げられたものとみなされる。また,本件特許の願書に添付された明細書,特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって,本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には,以下において,それぞれ,「本件特許明細書」,「本件特許請求の範囲」,「本件特許図面」という。 (1)訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2(訂正事項について付加した下線は,訂正箇所を示す。) 本件特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 本件特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (4)訂正事項4 本件特許請求の範囲の請求項6の訂正前の請求項2ないし5を引用するものを,請求項2を引用するものについて,独立形式に改め,「液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え,弾性体からなる第1払拭部材と,前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と,前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と,前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え,前記移動手段は,前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に,前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし,前記保持手段は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で,前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持し,前記保持手段は,前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており,前記保持手段は,前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を,前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し,かつ,前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持しており,弾性を有する供給管を有し,該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え,前記供給管は,前記保持手段を前記反対方向に付勢していることを特徴とする液体払拭装置」に訂正する。 請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 本件特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (6)訂正事項6 本件特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (7)訂正事項7 本件特許明細書の段落【0032】において「【図10】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパの変形例を示すためのワイパ機構の側面図である。【図11】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの変形例を示すためのワイパクリーニング機構の側面図である。【図12】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構の正面図である。」とあるのを「【図10】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパの変形例を示すためのワイパ機構の側面図である。【図12】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構の正面図である。」に訂正する。 (8)訂正事項8 本件特許明細書の段落【0115】を削除する。 (9)訂正事項9 本件特許明細書の段落【0116】を削除する。 (10)訂正事項10 本件特許明細書の段落【0117】を削除する。 (11)訂正事項11 本件特許明細書の段落【0122】を削除する。 (12)訂正事項12 本件特許図面の【図11】を削除する。 なお,本件訂正請求における,訂正事項7ないし12の訂正に係る請求項が請求項1ないし11である旨明らかにしている。(令和2年12月21日付け手続補正書により補正された訂正請求書(3)ウ) (13)訂正事項13 本件特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (14)訂正事項14 本件特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (15)訂正事項15 本件特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (16)訂正事項16 本件特許請求の範囲の請求項11を削除する。 2 訂正の適否についての当審の判断 (1)訂正事項1ないし3,5,6及び13ないし16について 訂正事項1ないし3,5,6及び13ないし16は,上記1の(1)ないし(3),(5),(6)及び(13)ないし(16)のとおりであり,いずれも特許請求の範囲の請求項の記載を削除する訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号(以下,「第2」において,特許法については,法律名を略して表記する。)に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。 (2)訂正事項4について 訂正事項4は,上記1の(4)のとおり,本件特許請求の範囲の請求項6の訂正前の請求項2ないし5を引用するものを,請求項2を引用するものについて,独立形式に改める訂正であるから,第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの,及び,同項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。 なお,訂正事項4により請求項6を訂正することにより,当該請求項6を引用する請求項7も同様に訂正されるが,当該訂正が,第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。 なお,請求項6及び7は,いずれも本件特許異議の申し立ての対象であるから,同条第9項で準用する第126条第7項に規定するいわゆる独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項7ないし12について ア 訂正事項7ないし11は,上記1の(7)ないし(11)のとおり,本件特許明細書の記載を訂正するものであるところ,図11に関連する記載を削除するものであり,訂正事項12は,図11を削除するものである。 これらの訂正は,図11の記載が特許請求の範囲の各請求項において特定されている事項との関係で不整合が生じている不備を,図11及び図11に関連する本件特許明細書の記載を削除することにより是正することを目的とするものであるから,訂正事項7ないし12は,第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。 イ 異議申立人の主張について (ア)異議申立人は,訂正事項7ないし12は,図11に記載されていた変形例及び当該変形例を説明する記載を削除するものであるところ,係る訂正は特許請求の範囲の記載の「所定の角度」の解釈に影響を与え,その結果特許請求の範囲を拡張又は変更するものである旨主張する。 (イ)これについて検討するに,本件特許明細書の段落【0074】において「また,保持基体20は,図4(b)に示すように,ワイパクリーナ面18とワイパ面15とが対向して,ワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1(0°<α1<90°)となるように,液体払拭装置1において固定されている。」,同段落【0108】において,「上述のように,液体払拭装置1によれば,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際に(ステップS3),ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態に保持され,ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1に保持されている(図8(b)参照)。つまり,ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面している。このため,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して,ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際に,当接解除の反動によってワイパクリーナ16から飛び散るインクの方向を下方に制限することができる。このため,従来のように,ワイパクリーナ16から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることの防止を図ることができ,インクが飛び散る範囲を従来よりも小さくすることができる。」と記載されているように,請求項6において特定される「前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度」が図6に記載のαのことであると解することができたものであるところ,訂正事項7ないし12に係る記載において,請求項において特定されている「前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度」である「ワイパクリーナ面18と水平面pとの間の角度」である「所定の角度」が通常解される意味とは異なるものと解する余地のある記載を,当該記載を削除することにより,通常解される意味となるよう整合させたものというべきであるから,訂正事項7ないし12により特許請求の範囲を実質的に変更ないし拡張するものということはできない。 3 小括 上記のとおりであるから,本件訂正は,第120条の5第2項但し書き第1号,第3号及び第4号を目的とするものであり,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,本件特許の明細書,特許請求の範囲及び図面を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,訂正特許請求の範囲(令和2年12月21日提出の手続補正書により補正されたもの), 訂正図面のとおり,訂正後の請求項[1~11]について訂正することを認める。 第3 本件特許発明について 上記第2のとおり,本件訂正請求による訂正は認められるので,本件特許異議の申立ての対象である本件特許の請求項1ないし11に係る発明は,つぎのとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え,弾性体からなる第1払拭部材と, 前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と, 前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と, 前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え, 前記移動手段は,前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に,前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし, 前記保持手段は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で,前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持し, 前記保持手段は,前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており, 前記保持手段は,前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を,前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し,かつ,前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持しており, 弾性を有する供給管を有し,該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え, 前記供給管は,前記保持手段を前記反対方向に付勢していることを特徴とする液体払拭装置。 【請求項7】 前記第2払拭部材において,前記第1払拭部材払拭面は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面に当接可能な一端から他端に延びる端部を備え,該端部は水平面に対して傾斜して延びていて,前記一端側が前記他端側よりも鉛直方向において高い位置となるように形成されており, 前記洗浄液供給手段は,鉛直方向上方から前記第2払拭部材の前記一端側に前記洗浄液を供給可能であることを特徴とする請求項6記載の液体払拭装置。 【請求項8】(削除) 【請求項9】(削除) 【請求項10】(削除) 【請求項11】(削除) 第4 特許異議申立理由及び取消理由(決定の予告) 1 特許異議申立て理由について 異議申立人は,本件特許異議の申立てにおいて,次の理由を主張している。 (第4における異議申立理由及び取消理由についての各請求項に係る発明は,いずれも訂正前の請求項に係る発明についてのものである。) (1)本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る発明は,甲1号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項5に係る発明は,甲1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって同2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。 (2)本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る発明は,甲2号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項5に係る発明は,甲2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。 (3)本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲3号証に記載された発明であるので,特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項2ないし5並びに9及び10に係る発明は,甲3号証に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。 (4)本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲4号証に記載された発明であるので,特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項2ないし5並びに9及び10に係る発明は,甲4号証に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。 (4)本件特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,本件特許の請求項1ないし11に係る特許は,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当するから,取り消されるべきものである。 (5)証拠方法 甲1号証:特開平10-291324号公報 甲2号証:特開2005-138317号公報 甲3号証:特開2013-237207号公報 甲4号証:特開2013-188965号公報 甲5号証:特開2010-208268号公報 甲6号証:特開2011-56889号公報 甲7号証:特開2009-241366号公報 2 取消理由(決定の予告)の取消理由の概要 (1)取消理由1 本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲1号証,甲2号証,甲3号証又は甲4号証に記載された発明であり,本件特許の請求項2,9及び10に係る発明は,甲1号証又は甲2号証に記載された発明であり,本件特許の請求項3及び4に係る発明は,甲1号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る特許は同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号に該当するから取り消されるべきものである。 (2)取消理由2 本件特許の請求項5に係る発明は,甲1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,又は甲2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項5に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号に該当するから取り消されるべきものである。 (3)取消理由3 本件特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,本件特許の請求項1ないし11に係る特許は,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当するから,取り消されるべきものである。 なお,取消理由3は,異議申立人の理由3と同じ理由である。 第5 当審の判断 異議申立人の理由1及び2並びに取消理由(決定の予告)の取消理由1及び2は,いずれも,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし10に係る発明についてのものであるところ,本件訂正請求による訂正によって,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし10に係る発明は,いずれも削除されたことから,当該請求項に係る特許異議の申立てはその対象が消滅したものである。 そして,異議申立人の理由3及び取消理由(決定の予告)の取消理由3は,本件特許の請求項1ないし11についてのものであるところ,本件訂正請求による訂正によって,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし11に係る発明はいずれも削除されたことから,当該請求項に係る特許異議の申立てはその対象が消滅したものである。 そうすると,本件特許異議の申立てにおいて判断すべきものは,請求項6及び7についての異議申立理由3,すなわち,取消理由(決定の予告)の取消理由3であるので,以下検討する。 1 請求項6について (1)請求項6には,「第1払拭部材払拭面」と「水平面との間の角度」が「0度より大きく90度より小さい所定の角度」となるように「第2払拭部材」を保持することが特定されている。 そして,本件訂正請求による訂正によって,ここでの,「第1払拭部材払拭面」と「水平面」との間の角度(以下,「角度α」という。)について,図11には,当該角度αが直線dであらわされる面が「第1払拭部材払拭面」となることを理解することができないにもかかわらず,それが角度αとして特定されており,段落【0117】にも「ワイパークリーナ面18と水平面pとの間のワイパークリーナ面角度αは,湾曲する縁部18aの先端における接平面である平面dと水平面pとの間の角度であり」と記載されていたものがいずれも削除されることとなった。 その結果,請求項6において特定されている「第1払拭部材払拭面」と「水平面との間の角度」は,本件図面の図6(b)や図8(b)においてαで示されている角度,段落段落【0074】において「また,保持基体20は,図4(b)に示すように,ワイパクリーナ面18とワイパ面15とが対向して,ワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1(0°<α1<90°)となるように,液体払拭装置1において固定されている。」,同段落【【0108】において,「上述のように,液体払拭装置1によれば,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際に(ステップS3),ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態に保持され,ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1に保持されている(図8(b)参照)。つまり,ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面している。このため,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して,ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際に,当接解除の反動によってワイパクリーナ16から飛び散るインクの方向を下方に制限することができる。このため,従来のように,ワイパクリーナ16から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることの防止を図ることができ,インクが飛び散る範囲を従来よりも小さくすることができる。」との記載と整合するものであり,そのように特定されるものであると解されるものであるから,明細書の記載を参酌することで,「第1払拭部材払拭面」と「水平面」との角度がどの角度を特定するものであるかは明確となったものというべきである。 (2)以上のとおりであるから,異議申立理由3すなわち取消理由3によっては,請求項6に係る発明が明確でないということはできない。 2 請求項7について 請求項6を引用する請求項7に係る発明についても同様に,明確でないということはできない。 3 小括 上記のとおりであるから,本件特許請求の範囲の請求項6及び7の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないということはできないから,本件特許の請求項6及び7に係る特許が,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものということはできない。 第5 むすび 以上検討したとおり,本件特許の請求項6及び7に係る特許については,異議申立人の主張する異議理由及び取消理由で通知した理由によっては取り消すことはできない。 また,他に本件特許の請求項6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし11は,本件訂正の請求により削除され,これにより,請求項1ないし5,及び8ないし11に係る特許に対する異議申立人による特許異議の申立は,申立の対象が存在しないものとなったため,不適法な申立てであってその補正をすることができないものとなったから,特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって,上記結論のとおり決定する。

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2019-700676

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