特許拒絶査定不服審判
2018-017065
スマート・センサの方法及び装置
- 審判番号
- 2018-017065
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-110240外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年12月21日
- 審決日
- 2019年09月24日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテル コーポレイション
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 分類
- P18 .113-Z (G08B) / P18 .121-Z (G08B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-110240「スマート・センサの方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月4日出願公開、特開2016-189200〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)8月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年9月25日 米国)を国際出願日とする特許出願である特願2012-527914号の一部を平成28年6月1日に新たな特許出願としたものであって、平成29年8月31日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年2月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成30年8月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年12月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年12月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年12月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)
「【請求項1】
スマートセンサであって、
センサデータを表すセンサ信号を生成する少なくとも1つのセンサと、
前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータ及びメタデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジックと、
当該スマートセンサを無線ネットワークと通信接続する通信モジュールであって、前記センサデータ及び前記メタデータに少なくとも基づき、セルラテキストメッセージ、ツイート又は電子メールを含む、前記メッセージを送信するためのフォーマットを決定し、前記メッセージを前記決定されたフォーマットによりメッセージングシステムを介して当該スマートセンサと前記無線ネットワークを介し通信結合されるスマートデバイスに送信する通信モジュールと、
を有するスマートセンサ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年2月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1は次のとおりである。
「【請求項1】
スマートセンサであって、
センサデータを表すセンサ信号を生成する少なくとも1つのセンサと、
前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジックと、
当該スマートセンサを無線ネットワークと通信接続する通信モジュールであって、前記メッセージをセルラテキストメッセージ、ツイート又は電子メールとしてメッセージングシステムを介して当該スマートセンサと前記無線ネットワークを介し通信結合されるスマートデバイスに送信する通信モジュールと、
を有するスマートセンサ。」
2 補正の適否
本件補正は、請求項1については、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な「ロジック」について、「前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータ及びメタデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジック」(下線部が限定事項。以下同じ。)との限定を付加し、同じく「通信モジュール」について、「当該スマートセンサを無線ネットワークと通信接続する通信モジュールであって、前記センサデータ及び前記メタデータに少なくとも基づき、セルラテキストメッセージ、ツイート又は電子メールを含む、前記メッセージを送信するためのフォーマットを決定し、前記メッセージを前記決定されたフォーマットによりメッセージングシステムを介して当該スマートセンサと前記無線ネットワークを介し通信結合されるスマートデバイスに送信する通信モジュール」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献と引用発明
原査定の拒絶理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-198565号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
「【0001】
本発明は、デジタル画像データを表示する電子式写真立て(以下、「電子式フォトフレーム」という)に利用される表示装置に関するものであり、特に消費電力の低減、及び防犯に関する機能を備えた表示装置に関する。」
「【0030】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係る電子式フォトフレーム1(=表示装置)の内部構成を示すブロック図である。電子式フォトフレーム1は少なくとも、制御部11、フラッシュメモリ12、操作部13、表示部14(=表示手段)、バックライト15(=表示手段)、センサ部16(=センサ手段)、音声回路17、スピーカ18、通信I/F(Interface)部19(=通信手段)、通信制御部20(=通信手段)、電源部21、メモリスロット22、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ23(=撮像手段)、及び時計回路24(=計時手段)を含むように構成されている。またメモリスロット22に対して外部記録媒体であるメモリカード90を着脱可能である。
【0031】
制御部11は、電子式フォトフレーム1における画像表示処理を実施するための各装置を制御する。これにより、フラッシュメモリ12に記録されている画像や、外部より入力した画像の表示処理を統括制御する。制御部11は、例えば複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、各装置(例えばバックライト15等)の制御やデータの計算、加工処理等を行う中枢部分となっている。なお、制御部11が備える各機能部(図1に示す移行受付部11a~報知部11e)の詳細については後述する。
【0032】
フラッシュメモリ12は、電子式フォトフレーム1が保持する各種データを一時的に記録する媒体である。フラッシュメモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、表示部14に表示するための画像データ、音声メッセージ或いは文字メッセージを出力するためのメッセージデータ、電話番号やメールアドレス等の個人データ等を記録する役割を持つ。
【0033】-【0034】(略)
【0035】
センサ部16は、電子式フォトフレームの近傍に存在する移動体を検知する移動体センサを含む。移動体センサとしては例えば、人体から発生する赤外線を感知する赤外線センサ、レーザ光やLED(発光ダイオード)光等を発生してその反射光により移動体の近接を感知する光センサ、超音波を発生してその反射波により移動体の近接を感知する超音波センサ、大気の温度変化を測定することにより人体を検知する大気センサ等を用いることが可能である。またセンサ部16は、周囲の明るさを検知する照度センサ(=照度検知部)も含むように構成されている。
【0036】(略)
【0037】
通信I/F部19は、電子式フォトフレーム1を通信ネットワークと接続するための物理的なインタフェースである。通信I/F部は例えば、IEEE802.3規格に準拠した有線LANに接続するためのLANケーブルコネクタや、IEEE802.11規格に準拠した無線LANに接続するための無線アンテナ等を備えている。また、画像データを入力するための入力インタフェースとして、シリアルケーブル接続用ソケットや、赤外線通信用の赤外線素子(IrDA)を備える形態でもよい。
【0038】
通信制御部20は、通信I/F部19により接続された外部装置、例えばメールサーバや携帯電話等と相互通信を行うための通信制御を行う。これにより、電子メールの送受信を行ったり、外部の携帯電話で撮像された画像の受信等を実施することが可能である。また通信I/F部19が無線アンテナを備える場合、無線通信網を介する無線通信の制御を行う役割も持つ。
【0039】-【0041】(略)
【0042】
CCDカメラ23は、画像撮像素子としてCCDを用いた撮影部である。CCDは撮影レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーター(不図示)により駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。CCDカメラ23により得られた画像データは、フラッシュメモリ12に記録される。
【0043】
時計回路24は、現在時刻を常時カウントするための計時用回路であり、例えばユーザに対する現在時刻の通知や、後述する報知部11eにより現在時刻が画像の表示禁止時刻に該当するかどうかの判定を行う場合等に用いられる。
〈2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る電子式フォトフレーム1の発光量調整処理及び報知処理を実施するための各機能部の関係を、図1の機能ブロック図を用いながら説明する。
【0044】
図1に示すように本発明の発光量調整処理及び報知処理は少なくとも、制御部11が備える移行受付部11a、時刻受付部11b、発光量調整部11c、表示切替部11d、及び報知部11eと、フラッシュメモリ12と、操作部13と、表示部14と、バックライト15と、センサ部16と、通信制御部20と、CCDカメラ23と、時計回路24とにより実現される。
【0045】(略)
【0046】
なお表示禁止モードは、例えばユーザが自宅を留守にする場合のように、電子式フォトフレーム1を閲覧する人間がいないと推定される状況において用いられる。表示禁止モードは、電源停止状態とは異なり、電子式フォトフレーム1の電源自体は駆動している。従って、後述する各種機能部による移動体の検知処理や、検知時の報知処理等を行うことは可能である。
【0047】
時刻受付部11bは、表示部14を用いた画像の表示を一切行わない時刻(以下、「表示禁止時刻」という)の指定を受け付ける。表示禁止時刻の指示は例えば、操作部13によるユーザ操作等により、表示禁止開始時刻と表示禁止終了時刻との入力を受け付けることにより行われる。この指示を受け付けた時刻受付部11bは、指定された表示禁止時刻を示す表示禁止時刻情報をフラッシュメモリ12に記録する。
【0048】-【0050】(略)
【0051】
報知部11eは、センサ部16が備える移動体センサにより移動体が検知された際に、現在のモードが表示禁止モードに該当するかを、フラッシュメモリ12に記録されている動作モード情報より判定する。また併せて、時計回路24を用いて現在時刻を取得し、取得した時刻がフラッシュメモリ12に記録されている表示禁止時刻情報が示す表示禁止時刻に該当するかどうかの判定を行う。例えば表示禁止時刻が12時から18時と指定されており、且つ現在時刻が15時である場合は、該当することとなる。
【0052】
上記の判定の結果、いずれかの条件に該当する場合、報知部11eは通信制御部15を用いて、移動体検知の報知処理を、外部の通信装置に対して行う。報知処理は例えば、フラッシュメモリ12に予め記録されている文書データから定型文メールを作成し、所定のメールアドレスに送信することによって行う。この際、報知部11eは、CCDカメラ23を用いて電子式フォトフレーム1の周辺画像の撮像を行い、撮像画像を電子メールの添付データとして送信する。或いは、フラッシュメモリ12に予め記録されている音声データを用いて、音声メッセージを携帯電話やIP電話等に送信する形態であっても構わない。
〈3.電子式フォトフレームの外観について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る電子式フォトフレーム1の外観を、図3の正面
図、図4の上面図、及び図5の背面図を用いながら説明する。
【0053】-【0054】(略)
【0055】
また電子式フォトフレーム1はその前面に、CCDカメラ23が備え付けられている。このため、光センサ16aが移動体を検知し、且つ報知部11eにより侵入者検知の報知を行う必要があると判定された場合に、電子式フォトフレーム1の前方に存在する移動体を撮像して外部通信装置へ送信することが可能である。
【0056】(略)
【0057】(略)
〈4.発光量調整処理及び報知処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る電子式フォトフレーム1の発光量調整処理及び報知処理を、図1~図5のブロック図と図6のフロー図とを用いながら説明する。
【0058】
図6は、本発明に係る発光量調整処理及び報知処理の処理フローを示したフローチャートである。本処理は、電子式フォトフレーム1の電源が起動している状態において、任意のタイミングで開始可能である。
【0059】
本処理の開始後、報知部11eはステップS110において、センサ部16が備える光センサ16aにより、移動体の近接を検知したかどうかの判定を行う。光センサ16aは図4に示すように電子式フォトフレーム1の前面に設けられているため、例えばユーザが表示部14の画像を閲覧するために電子式フォトフレーム1の前に立った場合等に、近接が検知される。
【0060】
移動体の近接が検知されなかった場合、ステップS110に再び移行する。移動体の近接が検知された場合、報知部11eはステップS120において、現在の動作モードが表示禁止モードであり、且つ表示禁止モードに移行してから所定時間が経過しているかどうかの判定を行う。動作モードの判定は例えば、フラッシュメモリ12に記録されている動作モード情報を参照することにより行われる。なお動作モード情報は、予め移行受付部11aにより受け付けた動作モードの移行指示に基づき、フラッシュメモリ12に記録されている。
【0061】
現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合、後述するステップS190に移行する。表示禁止モードではないと判定された場合、報知部11eはステップS130において、時計回路24を用いて現在時刻の取得を行う。さらに報知部11eはステップS140において、取得した現在時刻が表示禁止時刻に該当するかどうかの判定を行う。
【0062】
表示禁止時刻に該当するかどうかの判定は例えば、フラッシュメモリ12に記録されている表示禁止時刻情報を参照することにより行われる。なお表示禁止時刻情報は、予め時刻受付部11bにより受け付けた表示禁止時刻に基づき、フラッシュメモリ12に記録されている。
【0063】
現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合、後述するステップS190に移行する。表示禁止時刻に該当しないと判定された場合、発光量調整部11cはステップS150において、センサ部16が備える照度センサにより、周囲の照度が予め定められた所定値を超えているかどうかの判定を行う。
【0064】-【0066】(略)
【0067】
説明をステップS120及びステップS140に戻すと、ステップS120で表示禁止モードであると判定された場合、或いはステップS140で非表示時間に該当すると判定された場合、報知部11eはステップS190において、CCDカメラ23による撮像を行う。なお撮像する画像の枚数については、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0068】
CCDカメラ23は図4に示すように、電子式フォトフレーム1の前面に設けられている。このため、悪意ある第三者、例えば不法侵入者が電子式フォトフレーム1の前方に近接した場合に、不法侵入者の画像を撮像することができる。次に報知部11eはステップS200において、移動体検知を報知するための定型文メールを作成する。なお定型文メール作成のために必要な定型文データや送信先アドレス情報は、予めフラッシュメモリ12に記録されている。
【0069】
次に報知部11eはステップS210において、作成した定型文メールに撮像した画像データを添付して画像添付メールを生成する。そして画像添付メールを、通信制御部20を用いて外部の通信装置、例えば携帯電話やパソコン等に送信した後、本処理を終了する。なお、表示禁止モード或いは表示禁止時刻において移動体が検知された場合は、移動体が電子式フォトフレーム1に近接したとしても、バックライト調光処理を行わない。
【0070】(略)
【0071】
また本実施形態によれば、ユーザが電子式フォトフレーム1の閲覧を行わない表示禁止モード時や非表示時間において移動体が検知された場合に、不法侵入者とみなして画像添付メールを送信する。このため、遠隔地のユーザでも不法侵入者の存在及びその容姿を確認できるため、防犯性能を向上することができる。また不法侵入者が電子式フォトフレーム1の近傍にいる場合はバックライト調光処理を行わないことにより、不法侵入者から電子式フォトフレーム1を目立たなくし、報知処理が妨害されるのを防ぐことができる。」
図1は以下のとおり。
上記記載より、引用文献1には、防犯に関する機能を備えた電子式フォトフレーム(段落【0001】)について、以下の事項が記載されていると認められる。
ア 図1ないし図3に記載された実施形態において、「電子式フォトフレーム1」は、「センサ部16」、「報知部11e」、「通信制御部20」を有している。
イ 「センサ部16」について、図1より、センサ部16から報知部11eへの信号線が看取でき、段落【0035】より、前記「センサ部16」は、「電子式フォトフレームの近傍に存在する移動体を検知する移動体センサを含」み、前記移動体センサとして「レーザ光やLED(発光ダイオード)光等を発生してその反射光により移動体の近接を感知する光センサ」を用いることができ、段落【0059】より、前記「報知部11e」は、「センサ部16が備える光センサ16aにより、移動体の近接を検知したかどうかの判定を行う」ものであるから、センサ部16は、報知部11eが「移動体の近接を検知したかどうかの判定を行う」ための検知信号を生成して前記報知部11eに送信するものといえ、さらに、前記検知信号は、前記光センサが反射光を検出した大きさ等のデータを表すものといえる。
そうすると、引用文献には、「前記電子式フォトフレーム1の近傍に存在する移動体を検知して検知信号を生成する光センサを含むセンサ部16」と、「前記検知信号は、前記光センサが反射光を検出した大きさ等のデータを表すもの」であることが記載されているといえる。
ウ 「報知部11e」について、上記イより、前記検知信号に基づいて「移動体の近接を検知したかどうかの判定を行う」ものといえ、「移動体の近接が検知された場合」(段落【0060】)、さらに「現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合」(段落【0061】)、又は、「現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合」(段落【0063】)には、「CCDカメラ23による撮像を行う」(段落【0067】)ものであり、さらに、「移動体検知を報知するための定型文メールを作成」(段落【0068】)し、「作成した定型文メールに撮像した画像データを添付して画像添付メールを生成する」(段落【0069】)ものであり、「定型文メール作成のために必要な定型文データや送信先アドレス情報は、予めフラッシュメモリ12に記録されている」(段落【0068】)。
そうすると、引用文献には、「前記検知信号に基づいて移動体が検知された際に、現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合、又は、現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合に、フラッシュメモリ12に予め記録されている文書データから移動体検知を報知するための定型文メールを作成するとともに、CCDカメラ23を用いて撮像した画像データを添付して画像添付メールを作成する報知部11e」が記載されているといえる。
エ 「通信制御部20」について、段落【0038】より、「通信I/F部19により接続された外部装置、例えばメールサーバや携帯電話等と相互通信を行うための通信制御を行う」ことで、電子メールの送信を行うものであり、「また通信I/F部19が無線アンテナを備える場合、無線通信網を介する無線通信の制御を行う役割も持つ」。
そうすると、引用文献には、「通信I/F部19により接続された外部装置、例えばメールサーバや携帯電話等と相互通信を行うための無線通信網を介する無線通信制御を行い、前記画像添付メールを送信する通信制御部20」が記載されているといえる。
上記アないしエより、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「防犯に関する機能を備えた電子式フォトフレーム1であって、
前記電子式フォトフレーム1の近傍に存在する移動体を検知して検知信号を生成する光センサを含むセンサ部16と、ここで、前記検知信号は、前記光センサが反射光を検出した大きさ等のデータを表すものであり、
前記検知信号に基づいて移動体が検知された際に、現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合、又は、現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合に、フラッシュメモリ12に予め記録されている文書データから移動体検知を報知するための定型文メールを作成するとともに、CCDカメラ23を用いて撮像した画像データを添付して画像添付メールを作成する報知部11eと、
通信I/F部19により接続された外部装置、例えばメールサーバや携帯電話と相互通信を行うための無線通信網を介する無線通信制御を行い、前記画像添付メールを送信する通信制御部20と、
を備える電子式フォトフレーム1。」
(3)引用発明との対比、判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「光センサを含むセンサ部16」は、本件補正発明の「少なくとも1つのセンサ」に相当し、それらが生成する引用発明の「前記光センサが反射光を検出した大きさ等のデータを表す」「検知信号」は、本件補正発明の「センサデータを表すセンサ信号」に相当する。
イ 本件補正発明の「前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータ及びメタデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジック」について、「初期化する」という用語は本件明細書に記載されておらずいかなる事項を意味するか不明確であるため、本件明細書の全体の記載を参照すると、前記「ロジック」は、本件明細書に記載された実施例の「監視ロジック220」に対応するものであるところ、本件明細書(段落【0031】-【0036】)には「監視ロジック220」について、「監視ロジック220はメッセージ・ロジック222及びメタデータ・ロジック224を含み得る。メッセージ・ロジック222は、センサ・イベントに基づいて、メモリ230のメッセージング構成238における1つ又は複数のメッセージからメッセージを選択し得る。」(段落【0034】)及び「メタデータ・ロジック224は、メッセージング・ロジック222によって選択されるメッセージに添付される対象のメタデータを判定するためのハードウェア及び/コードを含み得る。・・・(中略)・・・一部の実施例では、メタデータ・ロジック224がマルチメディア・ファイルをメッセージに添付する。」(段落【0035】)と記載され、さらに「メタデータ」について、「画像キャプチャなどのメタデータ」(段落【0032】)の記載もある。
そうすると、本件補正発明の「ロジック」は、「前記センサ信号の受信に応答して、センサ信号に基づいてセンサ・イベントを検出し、センサ・イベントに基づいてメッセージを作成し、前記メッセージにメタデータを添付するロジック」を含むといえ、「メッセージの生成を初期化する」とは、「メッセージを生成するための手順を最初から実行すること」であるといえる。
この点を踏まえて引用発明の「報知部11e」の構成と、本件補正発明の「ロジック」の構成とを比較すると、引用発明の「前記検知信号に基づいて移動体が検知された際に、」は、本件補正発明の「前記センサ信号の受信に応答して、」に相当し、引用発明の「CCDカメラ23を用いて撮像した画像データ」は、本件補正発明の「メタデータ」に相当する。さらに、引用発明の「現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合、又は、現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合に、フラッシュメモリ12に予め記録されている文書データから移動体検知を報知するための定型文メールを作成する」は、報知部11eが、報知すべき状況である移動体検知(本件明細書の「センサ・イベント」に相当。)を判断して、報知するための定型文メールを作成するものであることを考慮すると、引用発明の「前記検知信号に基づいて移動体が検知された際に、現在の動作モードが表示禁止モードであると判定された場合、又は、現在の時刻が表示禁止時刻に該当すると判定された場合に、フラッシュメモリ12に予め記録されている文書データから定型文メールを作成するとともに、CCDカメラ23を用いて撮像した画像データを添付して画像添付メールを作成する報知部11e」は、本件補正発明の「前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータ及びメタデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジック」に含まれるといえる。
ウ 引用発明の「通信制御部20」の構成と本件補正発明の「通信モジュール」の構成とを比較すると、引用発明の「無線通信網を介する無線通信制御を行う」ことは、本件補正発明の「無線ネットワークと通信接続する」ことに相当する。
また、引用発明で送信される「画像添付メール」は、「定型文メール」に「画像データ」を添付したもの(すなわち、「定型文メール」及び「画像データ」に基づくもの)であり、本件補正発明の「セルラテキストメッセージ、ツイート又は電子メール」から選択される「電子メール」に相当する。そして、「電子メール」を送信するためには、電子メールを「送信するためのフォーマットを決定し、前記決定されたフォーマットにより」送信することは当然のことといえる。
また、引用発明の「携帯電話」は、本件補正発明の「スマートデバイス」に相当し、引用発明の「無線通信網を介」して「画像添付メールを送信する」ことは、本件補正発明の「前記メッセージを」、「前記無線ネットワークを介して通信結合されるスマートデバイスに送信する」ことに相当する。
エ 引用発明の「電子式フォトフレーム1」は、「防犯に関する機能」を備え、該機能のための、「センサ部16」、「報知部11e」、「通信制御部20」を有しているから、本件補正発明の「スマートセンサ」に含まれるといえる。
以上より、本件補正発明と引用発明とは、
「スマートセンサであって、
センサデータを表すセンサ信号を生成する少なくとも1つのセンサと、
前記センサ信号の受信に応答して、前記センサデータ及びメタデータの少なくとも一部を有するメッセージの生成を初期化するロジックと、
当該スマートセンサを無線ネットワークと通信接続する通信モジュールであって、前記センサデータ及び前記メタデータに少なくとも基づき、電子メールを含む、前記メッセージを送信するためのフォーマットを決定し、前記メッセージを前記決定されたフォーマットによりメッセージングシステムを介して当該スマートセンサと前記無線ネットワークを介し通信結合されるスマートデバイスに送信する通信モジュールと、
を有するスマートセンサ。」
である点で一致し、両者に差異はない。
したがって、本件補正発明と引用発明は同一である。
仮に、本件補正発明が引用発明に対して相違点を見いだすことができるとしても、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年12月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年2月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献:特開2009-198565号公報
3 引用文献
原査定の拒絶理由で引用された引用文献の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「ロジック」に係る限定事項と、「通信モジュール」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用文献に記載された発明であるから、本願発明も引用文献に記載された発明である。
仮に、本願発明が引用文献に記載された発明に対して相違点を見いだすことができるとしても、本願発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-017065