特許拒絶査定不服審判
2018-015365
蛍光体ホイール、光源装置、及び投写型映像表示装置
- 審判番号
- 2018-015365
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-197373外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年11月20日
- 審決日
- 2019年12月09日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 分類
- P18 .537-WZ (G03B) / P18 .121-WZ (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-197373「蛍光体ホイール、光源装置、及び投写型映像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日出願公開、特開2017-138573〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、平成28年10月5日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 4月24日付け :拒絶理由通知書
平成30年 7月 3日 :意見書の提出
平成30年 8月29日付け :拒絶査定
(平成30年9月4日 :査定の謄本送達日)
平成30年11月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 1年 6月26日付け :当審による拒絶理由通知書
令和 1年 8月28日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和元年8月28日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の面に形成された光反射層と、
蛍光体層と、
前記光反射層と前記蛍光体層との間に位置し、前記光反射層と前記蛍光体層とを接着する接着層とを備え、
前記接着層は、前記接着層の基材よりも熱伝導率が高い粒子であって、前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有しており、
前記光反射層は、光の反射率が90%以上であり、前記接着層の厚みは、30μm以上80μm以下である
蛍光体ホイール。」
第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由は、概略以下のとおりである。
1 理由1(特許法第36条第6項第2号違反)について
平成30年11月20日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1、3、4、8、及び、請求項1、3、4を引用する請求項2、5-7に係る発明は明確でない。
よって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 理由2(特許法第29条第2項違反)について
平成30年11月20日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2015-118107号公報
引用文献2:特開2012-015001号公報
第4 当審の判断
1 理由1(特許法第36条第6項第2号違反)について
(1)判断
本願の請求項1には、「前記接着層は、…(略)…、前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有しており」との記載があるが、この記載における「光の反射率」がどのように定義される値であるのかが明確でない。
すなわち、「反射率」とは、一般には、「波動が二つの媒質の境界面で反射するとき、反射波の強度と入射波の強度との比。」(「株式会社岩波書店 広辞苑第六版 DVD-ROM版」より)のことであるが、光の反射の仕方は、境界面に対する光の入射角度や光の波長、境界面の平坦度等の条件によって異なるものであり、「反射率」の値も、そのような条件に依存するものである。本願の請求項1においては、そのような条件が何ら特定されておらず、「光の反射率」がどのような測定に基づいて決定されるものであるのかが不明である。特に、「前記接着層は、…(略)…、前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有しており」との記載については、形状が全く異なる「光反射層」と「粒子」の反射率を比較して、後者の反射率が高いとのことであるが、どのように定義される「反射率」によって、比較を行うのかが不明である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
(2)請求人の主張について
請求人は、令和1年8月28日に提出された意見書において、「粒子」の「光の反射率」に関し、粒子を焼結させてプレート状にしたものを試料として、次の(a)~(d)の条件を満たす計測方法で算出された当該試料の光の反射率を、粒子の光の反射率とみなすものであるから、「粒子」の「光の反射率」が明確である旨を主張している。
(a)「光の反射率」は、基板上に形成された光反射層に入射する入射光の強度と反射光の強度の総和との比を意図したものであること。
(b)反射光には、入射角と同じ角度で反射する鏡面反射光と、四方八方に拡散する拡散反射光の両方が含まれること。
(c)入射光には、例えば、白色光が使用され、各波長における入射光の強度の可視光の波長範囲(例えば、380nm~780nm)における平均値と、各波長における反射光の強度の総和の、可視光の波長範囲における平均値との比が光反射層の光の反射率となること。
(d)光の強度の測定には、例えば、積分球付属装置が使用されること。
当該主張について検討する。
「粒子を焼結させてプレート状にしたもの」の「光の反射率」は、その粒子で構成されるプレートの光の反射率であり、通常、「粒子」の「光の反射率」と呼べるものではない。
また、「粒子」の「光の反射率」の計測方法として、上記(a)~(d)の条件を満たす計測方法が一般的であると認めるに足りる証拠はなく、「粒子」の「光の反射率」が、(a)~(d)の条件で測定されたものであると特定することはできない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
2 理由2(特許法第29条第2項違反)について
(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1(特開2015-118107号公報)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター用蛍光ホイール及びプロジェクター用発光デバイスに関するものである。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源として高出力の光源を用いる場合、励起光の照射により蛍光体が発熱し、蛍光体層が加熱される。蛍光体層が加熱されると、蛍光強度が低下したり、蛍光体層が基板から剥離するという問題を生じる。
【0005】
本発明の目的は、蛍光体層が加熱されるのを抑制することができるプロジェクター用蛍光ホイール及びそれを用いたプロジェクター用発光デバイスを提供することにある。」
「【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態のプロジェクター用蛍光ホイールを示す斜視図である。図2は、図1に示すA-A線に沿う断面図である。図1及び図2に示すように、蛍光ホイール10は、リング状の形状を有している。蛍光ホイール10は、リング状の放熱基板11と、放熱基板11の上に設けられる蛍光体層12と、放熱基板11と蛍光体層12との間に設けられ、放熱基板11と蛍光体層12とを接合する接合材層13とを備えている。」
「【0028】
放熱基板11としては、金属基板やカーボン基板等が挙げられる。本実施形態では、放熱基板11として金属基板が用いられており、放熱だけでなく、光反射の役割も担っている。具体的には、金属基板は、蛍光体層12に入射する励起光、及び励起光の入射により蛍光体から出射される蛍光を反射する。金属基板は、一般に、金属または合金から形成され、表面処理が施されていてもよい。金属基板としては、反射率の高いものが好ましく、例えば、表面に金属酸化物などからなる増反射膜が形成されたアルミニウム基板が挙げられる。このようなものとしては、アラノッド(Alanod)社製のMiro(登録商標)及びMiro-Silver(登録商標)等が挙げられる。
【0029】
放熱基板11と蛍光体層12との間には、接合材層13が設けられている。接合材層13によって、放熱基板11と蛍光体層12が接着されている。図3に示すように、接合材層13は、接合材14と、接合材14の中に分散した熱伝導性フィラー15とから形成されている。接合材14は、透明であることが好ましい。但し、接合材14は、透明であるものに限定されず、透明でない接合材も用いることができる。ここで、「透明」は、蛍光体層12に入射する励起光及び蛍光体層12から出射される蛍光を透過することを意味している。このような透明の接合材の具体例としては、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂が挙げられる。」
「【0032】
熱伝導性フィラー15の具体例としては、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化チタン粉末、酸化ニオビウム粉末、酸化亜鉛粉末、光輝性アルミニウム粉末、銀粉末などが挙げられる。熱伝導性フィラー15の平均粒子径は、1~50μmの範囲内であることが好ましく、2~40μmの範囲内であることがより好ましい。熱伝導性フィラー15の屈折率(nd)は1.5~2.5の範囲内であることが好ましく、1.6~2.4の範囲内であることがより好ましい。なお、熱伝導性フィラー15は、透明または白色であることが好ましい。」
「【0034】
接合材層13の厚みは、2μm~100μmであることが好ましく、5μm~50μmであることがより好ましい。接合材層13の厚みが小さすぎると、放熱基板11と蛍光体層12の接着強度に劣る場合がある。一方、接合材層13の厚みが大きすぎると、蛍光体層12で発生した熱が放熱基板11へ放熱されにくくなる場合がある。」
【図1】
【図2】
【図3】
イ 上記「ア」から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「蛍光ホイール10であって(【0021】)、
蛍光ホイール10は、リング状の放熱基板11と、放熱基板11の上に設けられる蛍光体層12と、放熱基板11と蛍光体層12との間に設けられ、放熱基板11と蛍光体層12とを接合する接合材層13とを備え(【0021】)、
放熱基板11は、表面に金属酸化物などからなる増反射膜が形成されたアルミニウム基板が用いられ(【0028】)、
接合材層13は、接合材14と、接合材14の中に分散した熱伝導性フィラー15とから形成され(【0029】)、
熱伝導性フィラー15は、酸化アルミニウム粉末又は酸化チタン粉末であって、透明又は白色であり(【0032】)、
接合材層13の厚みは、小さすぎると放熱基板11と蛍光体層12の接着強度が劣る場合があり、大きすぎると蛍光体層12で発生した熱が放熱基板11へ放熱されにくくなる場合があるため、5μm~50μmである(【0034】)、
蛍光ホイール10。」
(2)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
上記「第4」の「1」で述べたように、本願発明1の「前記接着層は、」「前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有しており」との記載は明確ではないから、当該記載における「前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子」は、本願明細書の【0023】に例示されている、「酸化チタン」、「アルミナ」、または、「酸化チタンとアルミナの混合物」である、という解釈により、引用発明との対比を行う。そうすると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「蛍光ホイール10」が、本願発明1の「蛍光体ホイール」に相当する。
イ 引用発明における「放熱基板11」を形成する「アルミニウム基板」及び「増反射膜」が、本願発明1における「基板」及び「前記基板の一方の面に形成された光反射層」にそれぞれ相当する。
ウ 引用発明における「蛍光体層12」及び「放熱基板11と蛍光体層12との間に設けられ、放熱基板11と蛍光体層12とを接合する接合材層13」が、本願発明1における「蛍光体層」及び「前記光反射層と前記蛍光体層との間に位置し、前記光反射層と前記蛍光体層とを接着する接着層」にそれぞれ相当する。
エ 引用発明において、「接合材14の中に分散した熱伝導性フィラー15」が、「接合材14」よりも熱伝導率が高い粒子であることは明らかであるから、引用発明における「接合材層13は、接合材14と、接合材14の中に分散した熱伝導性フィラー15とから形成され」るという事項は、本願発明1における「前記接着層は、前記接着層の基材よりも熱伝導率が高い粒子」「を含有しており」という事項に相当する。
オ 引用発明における「熱伝導性フィラー15は、酸化アルミニウム粉末又は酸化チタン粉末で」あるという事項は、本願発明1の「前記接着層は、」「前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有しており」という事項に相当する。
よって、引用発明と、本願発明1とを対比すると、両者は、
「基板と、
前記基板の一方の面に形成された光反射層と、
蛍光体層と、
前記光反射層と前記蛍光体層との間に位置し、前記光反射層と前記蛍光体層とを接着する接着層とを備え、
前記接着層は、前記接着層の基材よりも熱伝導率が高い粒子であって、前記光反射層よりも光の反射率が高い粒子を含有している、
蛍光体ホイール。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本願発明1では、「前記光反射層は、光の反射率が90%以上であり、前記接着層の厚みは、30μm以上80μm以下である」のに対して、引用発明では、「金属酸化物などからなる増反射膜」の光の反射率が特定されておらず、また、「接合材層13の厚みは、小さすぎると放熱基板11と蛍光体層12の接着強度が劣る場合があり、大きすぎると蛍光体層12で発生した熱が放熱基板11へ放熱されにくくなる場合があるため、5μm~50μmである」とされている点。
(3)判断
以下、相違点について検討する。
引用発明における「放熱基板11」は「反射率の高いものが用いられ」ており、光の反射率を高めるために「増反射膜」を用いていると認められるから、「増反射膜」の光の反射率を高くすべきであることは自明のことであって、その値を具体的に「90%以上」の値に設定することも、当業者が適宜なし得たことである。なお、光反射層の光の反射率を「90%以上」とすることに臨界的意義があるといったことは、本願の明細書から把握することができない。
引用発明においては、「接合材層13の厚みは、小さすぎると放熱基板11と蛍光体層12の接着強度が劣る場合があり、大きすぎると蛍光体層12で発生した熱が放熱基板11へ放熱されにくくなる場合があるため、5μm~50μmである」とされているが、このような数値の最適な範囲が、「接合材層13」を形成する「接合材14」及び「熱伝導性フィラー15」の種類や含有比率等の各種条件に応じて変わり得ることは明らかであって、そのような条件に応じて「接合材層13の厚み」を、本願発明1のように、「30μm以上80μm以下」の値とすることは、当業者が適宜なし得たことである。なお、かかる数値範囲を採用することに臨界的意義があるといったことは、本願の明細書から把握することができない。
よって、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(4)請求人の主張について
請求人は、意見書で以下のように主張している。
『本願の図4、及び、明細書の段落0031-0034には、接着層の厚みに関する発明者らの知見について記載されています。このうち明細書の段落0034には、「光反射層107の反射率が90%を超えた場合には、接着層103の厚みが30μmであれば反射面の反射率が飽和する。」と記載されています。このことは図4にも示されています。つまり、接着層の厚みが30μm以上であることは、光反射層の反射率が90%以上であることを前提に臨界的意義を有しています。この点、請求項1では、光反射層の反射率が90%以上であること、及び、接着層の厚みが30μm以上であることの両方が記載されており、請求項1には、臨界的意義を有する数値範囲が記載されているといえます。
また、図4のグラフ401(つまり、光反射層の反射率が90%以上であるケースの反射率を示すグラフ)を
の形の近似式として各係数を求めると、
になります。ここでの係数b=28um(≒30um)は、反射率の変化分が-0.06の1/eになる時の接着剤厚を意味します。つまり、30μmは、近似曲線の係数bに相当する値であり、臨界的意義を有する値であるといえます。
なお、接着層の厚みが30μm以上に制限されれば、上記数式の-0.06×exp(-x/28)の部分の反射率は、0.06(6%)×1/e(=0.367)=0.02(2%)以下となり、反射率のばらつきが、±1.0%程度の範囲に収まる効果が得られます。
また、接着層の厚みの上限値である80μmは、本願明細書の段落0026に記載されているように、蛍光体層の蛍光効率を考慮して定められた値です。この値は、製造ばらつきなどを考慮して定められた値でもあり、単なる設計値でありません。』
当該主張について検討する。
請求人は上記意見書において、「本願の図4、及び、明細書の段落0031-0034には、接着層の厚みに関する発明者らの知見について記載されています。」と述べている。これら本願明細書の【0031】-【0034】と図面の【図4】のみに、「接着層の厚み」と「光反射層」の「光の反射率」との関係が示されており、この関係は、本願発明1における「前記光反射層は、光の反射率が90%以上であり、前記接着層の厚みは、30μm以上」「である」という構成に対応している。
本願明細書の【0031】-【0034】を参照すると、本願発明1に係る該構成に関しては、「図4では、光反射層107の反射率が90%を超えた場合には、接着層103の厚みが30μmであれば反射面の反射率が飽和する。」(【0033】)と記載されているのみである。
また、図面の【図4】を参照すると、光反射層107の反射率が90%である場合、接着層の厚みが0μmの場合に反射面の反射率が90%を超えており、接着層の厚みが0μm~30μmの範囲で反射面の反射率は緩やかに増加して、接着層の厚みが30μmで反射面の反射率が飽和することが記載されていると認められる。
してみると、本願明細書及び図面には、反射面の反射率について、接着層の厚み30μmを境として量的に顕著に差異があることが示されているとはいえない。
また、請求人は上記意見書において、「図4のグラフ401(つまり、光反射層の反射率が90%以上であるケースの反射率を示すグラフ)」が、下記の近似式で表されることを述べている。
そして、「接着層の厚みが30μm以上に制限されれば、上記数式の-0.06×exp(-x/28)の部分の反射率は、0.06(6%)×1/e(=0.367)=0.02(2%)以下となり、反射率のばらつきが、±1.0%程度の範囲に収まる効果が得られ」、「ここでの係数b=28um(≒30um)は、反射率の変化分が-0.06の1/eになる時の接着剤厚を意味し、30μmは、近似曲線の係数bに相当する値であり、臨界的意義を有する値である」といえると主張している。
しかしながら、該主張は、接着層の厚みが30μm未満である場合の光反射層の反射率と、接着層の厚みが30μm以上である場合の光反射層の反射率とを比較したものではなく、反射面の反射率について、接着層の厚み30μmを境として量的に顕著に差異があることを裏付けるものではない。
してみると、本願発明1における「前記光反射層は、光の反射率が90%以上であり、前記接着層の厚みは、30μm以上」「である」という数値限定は、その数値限定の内と外のそれぞれの効果について、量的に顕著な差異があるとはいえず、また、該数値限定により異質な効果があるともいえない。
本願の【0026】には、「蛍光体層101は、温度が上昇すると、温度消光と呼ばれる光の変換効率が低下する現象が発生する。このため、蛍光体層101の温度は低いほうがよい。言い換えれば、接着層103の厚みは薄いほうがよい。蛍光効率などに基づいて蛍光体ホイール1の上限温度を考慮すると、接着層103の厚みは、例えば、80μm以下である。」という事項が記載されているが、該事項を参照してみても、蛍光効率などについて、接着層の厚み80μmを境として量的に顕著に差異があることは記載されていない。なお、引用発明においては、「接合材層13の厚みは、」「5μm~50μmである」構成を有しているから、接着層の厚みが80μm以下であるという条件を満たしている。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
第5 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は明確でないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-015365