特許拒絶査定不服審判
2024-007189
がん治療のための電気刺激用電極
- 審判番号
- 2024-007189
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-562966
- 請求日
- 2024年04月26日
- 審決日
- 2026年02月17日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 麻川 倫広
- 審判官 栗山 卓也
- 分類
- P18 .121-WZ (A61N) / P18 .536-WZ (A61N) / P18 .537-WZ (A61N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-562966「がん治療のための電気刺激用電極」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月29日国際公開、WO2020/219519、令和 4年 6月21日国内公表、特表2022-529374〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和 2年) 4月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年 4月23日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和 4年11月21日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 2月28日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 5年 5月30日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 5年 9月13日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 5年12月20日付け:令和5年9月13日の手続補正につい
ての補正の却下の決定及び拒絶査定(送達日:同年12月26日)
令和 6年 4月26日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和 7年 7月15日付け:拒絶理由通知書
令和 7年10月22日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~13に係る発明は、令和 7年10月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
がん性組織を治療するための医療機器システムであって、
前記がん性組織の部位に、又はその付近に、1つ又は複数の電極に所定の電圧を印加することにより1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、
前記電界発生回路と通信する制御回路構成であって、前記1つ又は複数の電界の前記電界発生回路から前記がん性組織の前記部位への送達を制御するように構成される制御回路構成と、
植込み型リードであって、
基端部と先端部を含むリード本体であって、前記リード本体内に配置された第一の導電体を含むリード本体と、
前記リード本体に連結された第一の電極であって、前記第一の導電体に電気的に接続され、前記第一の導電体は、それによって前記電界発生回路からの前記電界が前記がん性組織の前記部位へと送達される電気回路の一部を形成し、
前記リード本体の周囲に配置された導電性コイル糸条を含む第一の電極と、
を含む植込み型リードと、
を有し、
前記導電性コイル糸条は不規則表面を含んでおり、該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条は、前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して2倍~10倍の表面積を有しており、実質的に平滑な表面を有する前記導電性コイル糸条の各々の表面積は式、表面積=2πrlによって計算でき、rは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の半径であり、lは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の長さであり、
前記制御回路構成は、前記電界発生回路に所定の電圧を前記第一の電極に印加させ、該電圧は10kHzから1MHzの範囲から選択される周波数を有しており、送達される電流は1mAmpから1000mAmpの範囲である、医療機器システム。」
第3 当審の拒絶理由
令和 7年 7月15日付けで当審が通知した拒絶理由は、以下の理由を含むものである。
理由3:本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(3)請求項1には、「不規則表面」を含む導電性コイル糸条が、不規則表面を含むこと以外は同じで「平滑な表面」を有する導電性コイル糸条と比較して「200~1000パーセント大きい表面積を有」する旨の記載がある。
しかしながら、「不規則表面」を含む導電性コイル糸条の比較の基準となる「平滑な表面」を有する導電性コイル糸条がどのような形状を備えるのか(例えば、円形の断面を備えるのであるとしたら、その半径はどのように規定されるのか)不明である。また、「200~1000パーセント大きい」とは、基準となる表面積に比べて、2倍~10倍の表面積を有することを表すのか、基準となる表面積に加えて、さらに2倍~10倍の表面積を有する(すなわち、3倍~11倍の表面積を有する)ことを表すのか不明である。
理由4:本願発明は、優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.米国特許出願公開第2003/0204161号明細書
2.特表2017-515635号公報
3.米国特許第5099838号明細書
4.特表2002-503508号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2011-30734号公報(周知技術を示す文献)
第4 当審の判断
1 理由3(3)(明確性)について
令和 7年10月22日提出の手続補正書により、補正前の請求項1の
「前記導電性コイル糸条は不規則表面を含んでおり、該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条は、前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して200~1000パーセント大きい表面積を有している」
との記載は、
「前記導電性コイル糸条は不規則表面を含んでおり、該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条は、前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して2倍~10倍の表面積を有しており、実質的に平滑な表面を有する前記導電性コイル糸条の各々の表面積は式、表面積=2πrlによって計算でき、rは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の半径であり、lは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の長さであり、」(下線部は補正箇所)
と補正された。
しかし、「前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条」の半径rが「該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条」に対して、どのように決定されるのか、例えば、不規則表面を含む導電性コイル糸条の断面の中心から凹凸のピークまでの距離を半径とするのか、不規則表面の凹凸の平均高さまでの距離を半径とするのか等、「r」をどのように決定するのか不明であって、結果として、「前記導電性コイル糸条は不規則表面を含んでおり、該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条は、前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して2倍~10倍の表面積を有しており、」が不明確である。
本願明細書の段落【0061】に「例えば、表面積は、粗い、及び/又は不規則な表面を有することに基づいて増大させることができ、それによって表面積は、ある長さで同じ直径を有する真円糸条より少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、75、100、200、300、400、500、750、又は1000パーセント大きくなる(真円の糸条の表面積は、式「表面積=2πrl」によって計算でき、式中、rは糸条の半径、lは糸条の長さである)」(下線は当審で付与)との記載があるが、「真円糸条」の「直径」をどのように決定するのか具体的な記載はない。
したがって、本願発明は、明確でない。
2 理由4(進歩性)について
(1)引用文献の記載及び引用発明
ア 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。なお、翻訳文は、当審で作成した。
(ア) 「[0039] FIG. 2 is a simplified schematic view of one embodiment of implantable medical device 200 in accordance with the present invention. IMD 200 shown in FIG. 2 is an electroporation cancer treatment device having at least first lead 202 attached to hermetically sealed enclosure or housing 204. IMD 200, as further described below, may be implanted near cancerous tumor 250 within human or mammalian body 201.
[0040] First lead 202 may be most any length and preferably includes an elongate insulated lead body carrying at least one first electrode 205, which may be concentrically wound, for delivering therapy as further described below. Preferably, first electrode 205 includes high voltage first coil 206 located near distal end 207 of first lead 202. First electrode 205 may be separated from other components of first lead 202 by tubular insulative sheaths (not shown). High voltage first coil 206 and/or first electrode 205 may be fabricated from platinum, platinum alloy or other materials known to be usable in implantable electrodes.
[0041] While first lead 202 is specialized in its adaptation for electroporation cancer treatment, it may be similar in many respects to implantable cardiac pacing leads such as those discussed in U.S. Pat. Nos. 5,099,838 and 5,314,430 to Bardy. Most any other lead configuration may also be practiced in conjunction with the present invention.
[0042] High voltage first coil 206 is operable to provide a series of high voltage electrical pulses across tissue of tumor 250. The electroporation therapy electrical field may be formed between first coil 206 and a conductive portion of housing 204 or, alternatively, between first coil 206 and optional, high voltage second coil 208 of second electrode 210 which may be located at distal end 212 of second lead 214 in a manner similar to that described with respect to first lead 202. For example, first coil 206 and second coil 208 may be similar in many respects to coils now used for tachycardia therapy delivery.」
(訳:[0039] 図2は、本発明による埋め込み型医療機器200の一実施形態の簡略化された概略図である。図2に示されたIMD200は、気密封止された密閉容器又はハウジング204に取り付けられた少なくとも1つの第1リード202を有する電気穿孔法癌治療装置である。以下に詳述するように、IMD200は、人又は哺乳類の体内201の腫瘍250の近くに埋め込まれてもよい。
[0040] 第1リード202は、任意の長さであってよく、好ましくは、以下に詳述する治療を提供するために、少なくとも1つの第1電極205を担持する細長い絶縁リード本体を含み、電極は同心状に巻かれていてもよい。好ましくは、第1電極205は、第1リード202の遠位端207の近くに配置される高電圧の第1コイル206を有する。第1電極205は、管状の絶縁シース(図示せず)により第1リード202の他の構成要素から分離することができる。高電圧の第1コイル206及び/又は第1電極205は、白金、白金合金、又は埋め込み可能な電極に使用できる公知の他の材料で製造されてもよい。
[0041] 第1リード202は、電気穿孔法癌治療に対する適応性に特化されているが、Bardyに付与された米国特許第5,099,838号及び第5,314,430号においてに論じられる埋め込み型心臓ペーシング・リードと多くの点で類似していてもよい。本発明において、任意の他のリード構成も実施可能である。
[0042] 高電圧の第1コイル206は、腫瘍250の組織に対して一連の高電圧電気パルスを提供することができる。電気穿孔療法の電場は、第1コイル206とハウジング204の導電性部分との間、又は、代替的に、第1コイル206と選択可能である、第1リード202に関して説明したのと同様の方法で第2リード214の遠位端212に配置される第2電極210の高電圧の第2コイル208との間に形成されてもよい。例えば、第1コイル206と第2コイル208は、現在、頻脈療法に使用されているコイルと多くの点で類似していてもよい。)
(イ)「[0047] In the exemplary IMD 200 illustrated in FIG. 2, first lead 202 is threaded through blood vessels as known in the art until distal end 207 is in (or proximate) vessel 252 which provides blood supply to tumor 250. Alternatively, first lead 202 (and other leads discussed herein) may be punctured through the soft tissues in and around tumor 250.」
(訳:[0047] 図2に示される実施例のIMD200において、第1リード202は、遠位端207が腫瘍250に血液供給を提供する血管252内に位置する(又は近接する)まで、当該技術分野において公知のとおり血管を通して延在する。また、第1リード202(及び本明細書で論じる他のリード)は、腫瘍250内及びその周りの軟組織を通って穿刺されてもよい。)
(ウ)「[0050] FIG. 3 is a block diagram illustrating the constituent components of IMD 200 in accordance with one embodiment of the present invention. IMD 200 is shown as including logic and control circuitry 302, which is preferably coupled to microcomputer circuit 304.」
(訳:[0050] 図3は、本発明の一実施形態に従ったIMD200の構成要素を示すブロック図である。IMD200は、論理制御回路302を含むように示されており、これは好ましくはマイクロコンピュータ回路304に接続されている。)
(エ)「[0061] IMD 200 shown in FIG. 3 may also include high frequency (HF) generator 326 similar in many respects to that described in U.S. Pat. No. 5,386,837 to Sterzer but preferably having higher power output. HF generator 326 may apply a high frequency stimulus to target tissue as further described below. Application of such high frequency stimulation may beneficially produce an elevated temperature in the target tissue or the area around the target tissue.
[0062] Either HV pulse generator 324 or HF generator 326 may be coupled to first electrode 205 by output switch 328 which is under control of logic and control circuitry 302. In addition, output switch 328 may be selectively coupled to electrocardiogram (ECG) circuitry 330 or impedance measuring circuitry 332.」
(訳:[0061] 図3に示されるIMD200は、Sterzerに付与された米国特許第5,386,837号に記載されたものと多くの点で類似する高周波(HF)生成器326を含んでもよいが、好ましくはより高い電力出力を有してもよい。HF生成器326は、以下でさらに説明するように、標的組織に高周波刺激を印加することができる。このような高周波刺激の印加は、標的組織中又は標的組織の周囲の領域で温度を上昇させるのに有利である。
[0062] HVパルス生成器324又はHF生成器326のいずれかは、論理制御回路302の制御下にある出力スイッチ328によって第1電極205に接続されてもよい。また、出力スイッチ328は、心電図(ECG)回路330又はインピーダンス測定回路332に選択的に接続されることができる。)
(オ)「[0066] Therapy delivery may be initiated by application of HF stimulus 402. For example, first electrode 205 of IMD 200 may be coupled via output switch 328 to HF generator 326 (see FIG. 3). HF generator 326 may then cause a portion of the first electrode 205 to produce a high frequency, low amplitude stimulus, e.g., a vibration having a frequency of about 100 kHz to about 5 MHz and an amplitude of about 20 Volts (V) to about 200 V (as used herein, "high frequency" may include most any frequency ranging from about 100 kHz to about 1 GHz). This stimulus causes the temperature of the tissue and/or fluid in or around the tumor 250 (See FIG. 2) site to increase as illustrated by the temperature profile 404. Temperature may be monitored periodically or continuously via temperature sensor 215 (see FIGS. 2 and 3) and sensor amp 306.」
(訳:[0066] 治療の提供は、高周波刺激402の適用によって開始してもよい。例えば、IMD200の第1電極205は、出力スイッチ328を介してHF生成器326に接続される(図3を参照)。HF生成器326は、その後、第1電極205の一部が高周波、低振幅の刺激を生成するようにすることができる。例えば、約100kHzから約5MHzの周波数を有し、約20ボルト(V)から約200Vの振幅を持つ振動を生成する(本明細書で使用する場合、“高周波”は、約100kHzから約1GHzまでの範囲の周波数を含んでもよい)。この刺激は、腫瘍250(図2を参照)部位の中又はその周りの組織及び/又は液体の温度を上昇させる。これは温度プロファイル404によって示される。温度は、温度センサ215(図2及び図3を参照)及びセンサアンプ306を介して定期的又は継続的に監視されることができる。)
(カ)図2「
[図:0001436575000001.jpg]
」
(キ)図3「
[図:0001436575000002.jpg]
」
(ク)上記(イ)の段落[0040]、(カ)の図2から、第1コイル206が第1リード202の周囲に配置されていることが看取できる。また、(キ)の図3から、高周波生成器326と論理制御回路302が配線で接続されていることが看取できる。
(ケ)上記(ア)~(ク)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「埋め込み型医療機器200であって、
ハウジング204に取り付けられ、標的組織である腫瘍250内及びその周りの軟組織を通って穿刺される第1リード202であって、
第1電極205を担持する細長い絶縁リード本体を含み、
第1電極205が第1リード202の周囲に第1コイル206を有し、
第1コイル206とハウジング204の導電性部分との間に電場を形成する、第1リード202と、
第1電極205に接続され、第1電極205の一部に100kHz~5MHzの周波数を有する約20Vから約200Vの振幅を持つ高周波刺激を生成し、高周波刺激を標的組織に適用する高周波生成器326と、
高周波生成器326と配線で接続され、制御下にある出力スイッチ328によって高周波生成器326を第1電極205に接続する論理制御回路302と、
を有する埋め込み型医療機器200。」
イ 引用文献2の記載
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0063】一実施形態では、パラメータ、例えばESDの電力設定の計算において、電流を制御する抵抗加熱素子の抵抗値は固有の抵抗値を有する目標組織と直列の個別の抵抗コンポーネントで構成されるため、一つの個別抵抗値を使用する場合には総合抵抗値は組織の抵抗値と個別の抵抗の和である。人体組織の抵抗値は変化し、例えば筋肉の400オームから脂肪の200オームへと変化し、いくつかの例ではたこのできた乾燥皮膚において100kΩに昇る。所定の電力設定がある治療に対して一定に設定された場合、電流及び電圧が例えば任意の時点における目標組織の状態の変化及び組織からのプローブの距離の変化に起因する抵抗値の変化に応じて常に変化し得る。」
ウ 引用文献3の記載
引用文献3には、以下の事項が記載されている。なお、翻訳文は、当審で作成した。
(ア)「FIG. 1 shows a plan view of a defibrillation lead intended for use in the right ventricle of the human heart. The elongated, insulative lead body 10 contains three mutually insulated electrical conductors. The first, second and third mutually insulated electrical conductors 12, 14 and 16 all exit the lead body 10 at an insulative molding 18. Conductor 12 extends through the lead body to its distal tip, and is coupled to a helical electrode 20. Rotation of conductor 12 causes electrode 20 to rotate out of the tip of the lead and into the myocardium of the heart, in order to secure the lead within the ventricle. The operation of helical electrode 20 can be more completely understood by reference to U.S. Pat. No. 4,106,512 for a TRANSVENOUSLY IMPLANTABLE LEAD, by Bisping, issued Aug. 15, 1978, and incorporated herein by reference in its entirety.
The second conductor 14 is coupled to a ring electrode 22, mounted to the electrode head 24, which is otherwise insulative. This allows the combination of coil electrode 20 and ring electrode 22 to be used for both sensing the electrical signals in the heart indicative of contraction of the ventricle and for pacing the heart, as in a conventional cardiac pacemaker.
Third conductor 16 is coupled to an elongated coil electrode 26, which takes the form of a space wound coil, wrapped around the insulative lead body 10. Coil electrode 26 extends for a distance D1, along the length of the lead body. D1 is selected such that the proximal end of electrode 26 will terminate in the vicinity of the tricuspid valve when the coil electrode 20 is embedded in the myocardium of the right ventricular apex. Although different electrode sizes may be required for patients having differing heart sizes, it is generally expected that distance D1 will be from approximately 4 cm to approximately 8 cm.
Conductors 12, 14 and 16 are each provided with an electrical connector pin 28, 30 and 32, respectively, to allow coupling of the lead to an implanted defibrillator or a defibrillator/pulse generator. Connector pin 28 also provides a convenient location to apply rotational force to conductor 12. Although the lead as illustrated employs separate connector pins for each conductor, an in-line connector assembly may also be employed.」(第2欄第45行~第3欄第20行)
(訳:図1は、人間の心臓の右心室での使用を意図した除細動リード線の平面図である。長尺状絶縁リード本体10は、3個の相互に絶縁された電気導体を有している。第1、第2及び第3の相互に絶縁された電気導体12、14、及び16は、全て絶縁性成形体18においてリード本体10を出る。導体12は、リード線本体を通って延在し、その遠位先端部に、螺旋状の電極20に接続される。導体12の回転により、電極20がリードの先端から回転して心臓の心筋内に入り、リードを心室内に固定する。らせん状の電極20はより完全に米国特許第4,106,512号に記載されているTRANSVENOUSLY IMPLANTABLE LEAD, by Bisping, issued Aug. 15, 1978を参照して理解されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれることができる。
第2の導体14は、絶縁性電極ヘッド24に取り付けて、リング電極22に接続されている。これにより、コイル電極20とリング電極22の組み合わせは、心室の収縮を示す心臓内の電気信号の感知、及び心臓のペーシングの両方に使用される、従来の心臓ペースメーカであることを可能にする。
第3の導体16は、巻回されたコイルの形をし、絶縁性のリード線本体10の周りに巻き付けられた、細長いコイル電極26に結合されている。コイル電極26は、リード本体の長さ方向に沿って、距離D1だけ延在する。D1は、コイル電極20が右心室の心尖の心筋層内に埋め込まれている場合、電極26の近位端が三尖弁の近くで終端するように選択される。異なる電極サイズが異なる心臓サイズを有する患者のために必要とされ得るが、一般的には、距離D1は、約4cmから約8cmにあることが期待される。
導体12、14、16は、電気コネクタピン28、30及び32がそれぞれ設けられており、各々、リード線の接続を可能にする埋め込まれた除細動器又は除細動器/パルス発生器に接続されている。コネクタピン28は導電体12にも回転力を加えるのに便利な場所を提供する。図示するように、リードは、それぞれの導電体のための個別のコネクタピンを使用しているが、インラインコネクタ組立体が使用されてもよい。)
(イ)図1「
[図:0001436575000003.jpg]
」
(ウ)(イ)の図1から、第3の導体16は、絶縁性成形体18とコイル電極26の間で長尺状絶縁リード本体10の内部に配置されていることが看取できる。
エ 引用文献4の記載
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0010】
脊椎手術においては、切断された血管を焼灼して視覚化を改善すべく、限られた役割ではあるが単極性の無線周波数の装置が使用されて来た。しかし、これらの単極性の装置は、患者の身体内の不確定経路を電流が流れることにより患者の身体の各部が不都合に電気刺激されるというリスクを高めるのが問題である。これに加え、患者の身体を通る確定経路は(患者の身体の大なる距離または抵抗性による)比較的大きなインピーダンスを有することから、標的の組織を切除または切断するに適した電流を生成すべく、通常は戻り電極と活性電極との間に大きな電圧差が印加されねばならない。ところが、この電流は所定電流経路よりも小さなインピーダンスを有する身体経路に沿って偶発的に流れ、これらの身体経路を流れる電流を相当に増加し、周囲組織または隣接する末梢神経の損傷を引き起こし又は破壊することもある。」
(イ)「【0109】
図21乃至図23に示された如く、各活性電極416は好適には中空で丸形の管から構成され、各活性電極416の少なくとも末端部分432が削り取られることにより半円筒状の管を形成し、その第1および第2端部440、442は支持用舌部420から離間した方向に向けられている。好適には電極416の基部434は円筒状のままとされ、活性電極416とリード線450との間の波形電気接続部の形成を促進している(図23参照) 。図26に示されるように、活性電極416の円筒状基部434は0.1mm乃至0.4mmの僅かな距離だけスペーサ418を越えて延在する。末端電極部分432の半円筒形状により、上記で論じた如く各端部440、442の縁部の回りにおける電界強度および対応電流密度が増加される。代替的に活性電極416は、上述した形状および配置構成、又は、正方形ワイヤ、三角形状ワイヤ、U形状もしくはチャネル形状ワイヤなどの他の形状の任意の形状を有し得る。これに加えて活性電極416の表面は、たとえばグリットブラスト、化学的食刻もしくは電気化学的食刻により粗面化されて、電極416の末端部分432の回りにおける電界強度および対応電流密度を更に増加しても良い。」
オ 引用文献5の記載
引用文献5には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0004】
網膜を構成する細胞を電気刺激して視覚を得ようとするためには、刺激電極から所定量の電荷を注入することが必要となるが、刺激電極が電荷を伝達する能力は電極の表面積に比例する。一方、好適な視覚の再生を行うためには、電極密度が高いことが必要とされ、生体内の限られたスペースで電極密度を高めるためには、電極のサイズが小型であることが求められる。そこで、電極のサイズを増加させずに電荷注入能力を向上させるため、電極の表面積を増大させることが望まれている。」
(イ)「【0018】
また、電極44は後述の表面処理によって、粗い表面状態(表面に複数の溝からなる凹凸が形成された状態)に形成される。表面処理が行われず電極44の表面が滑らかな場合と比べて表面積が増加することで、電極44の電荷注入能力が高められる。このとき、前述のように白金バルク材料の切断面が電極上部44cとなるように電極44が形成されていることで、表面処理によって効率よく電極44の表面積が増加されるようになる。電極44の表面処理方法の詳細な説明は後述する。」
(ウ)「【0037】
図示を略すサイクリックボルタンメトリー(電子スキャン速度0.05V/秒、電圧範囲+1.1V~ー-0.85V)で得られた図示を略すサイクリックボルタモグラムを用いて、表面処理前後での電極44の表面積を比較した。その結果、図5(b)、(d)に示す表面処理後の電極44の表面積は、図5(a)、(c)に示す表面処理前の電極44の表面積と比べて約4.3倍に増加していることが分かった。
つまり、以上のように簡単な構成の表面処理装置を用いて、簡単に電極44の表面積を増加させることができるようになる。」
(エ)「【0040】
なお、エッチングにより電極上部44cの表面積がより増加されることで、電極上部44cから放出される電荷量がより増加され、網膜を構成する細胞をより効率よく電気刺激できるようになる。一方、電極44の側面はエッチングされにくくすることで、基板43と電極44との間に隙間を生じにくくさせ、より刺激部40の絶縁性が保たれるようになる。」
(2)対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「標的組織」、「腫瘍250」は、いずれも本願発明の「がん性組織」に相当する。そして、引用発明の「埋め込み型医療機器200」は、標的組織(腫瘍250)に対する高周波刺激の適用による治療を提供するから、本願発明の「がん性組織を治療するための医療機器システム」に相当する。
イ 引用発明の「高周波生成器326」は、「第1電極205に接続され、第1電極205の一部に100kHz~5MHzの周波数を有する約20Vから約200Vの振幅を持つ高周波刺激を生成し、高周波刺激を標的組織に適用」するものであり、当該高周波刺激による電圧を「第1電極205」の「第1コイル206」に印加することで、「腫瘍250内及びその周りの軟組織を通って穿刺される第1リード202」の周囲に配置された「第1コイル206とハウジング204の導電性部分との間に電場を形成」し、標的組織(腫瘍250)又はその周辺に電界を発生することは、物理法則上明らかであるから、引用発明の「第1電極205に接続され、第1電極205の一部に」「100kHz~5MHzの周波数を有する約20Vから約200Vの振幅を持つ高周波刺激を生成し、高周波刺激を標的組織に適用する高周波生成器326」は、本願発明の「前記がん性組織の部位に、又はその付近に、1つ又は複数の電極に所定の電圧を印加することにより1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路」に相当する。
ウ 引用発明の「論理制御回路302」は、「高周波生成器326と配線で接続されて」おり、「高周波生成器326」と通信することは自明である。また、「論理制御回路302」は、「高周波生成器326を第1電極205に接続する」ことで、「高周波生成器326」に「第1電極205の一部に」「高周波刺激を生成」させ、電界を発生させる「高周波生成器326」から「標的組織」への送達を制御する。したがって、引用発明の「高周波生成器326と配線で接続されて、高周波生成器326を第1電極205に接続するよう制御する論理制御回路302」は、本願発明の「前記電界発生回路と通信する制御回路構成であって、前記1つ又は複数の電界の前記電界発生回路から前記がん性組織の前記部位への送達を制御するように構成される制御回路構成」に相当する。
エ 引用発明の「第1リード202」は、「腫瘍250内及びその周りの軟組織を通って穿刺される」から、本願発明の「植込み型リード」に相当する。
オ 引用発明の「第1電極205」の「第1コイル206」を除く部分は、本願発明の「第一の導電体」に相当する。また、引用発明の「第1リード202」の「絶縁リード本体」は、「第1電極205を担持」しており、「細長い」ことから、先端部と基端部を有するといえる。したがって、引用発明の「第1電極205を担持する細長い絶縁リード本体」と、本願発明の「基端部と先端部を含むリード本体であって、前記リード本体内に配置された第一の導電体を含むリード本体」とは、基端部と先端部を含むリード本体であって、第一の導電体を含むリード本体の限りで一致する。
カ 引用発明の「第1コイル206」は、本願発明の「第一の電極」に相当する。また、「第1コイル206」を含む「第1電極205」は「絶縁リード本体」に「担持」されているから、「第1コイル206」は「絶縁リード本体」に連結されているといえる。さらに、「第1電極205」の「第1コイル206」を除く部分は、「第1コイル206」に電気的に接続されており、「高周波生成器326」が生成する高周波刺激の電界を標的組織に送達する電気回路の一部を形成する。そして、引用発明の「第1リード202の周囲に配置される第1コイル206」は、本願発明の「前記リード本体の周囲に配置された導電性コイル糸条を含む第一の電極」に相当する。
したがって、引用発明の「絶縁リード本体」に連結された「第1コイル206」であって、「第1電極205」の「第1コイル206」を除く部分と電気的に接続され、「第1電極205」の「第1コイル206」を除く部分は、それによって、「高周波生成器326」が生成する高周波刺激による電界を標的組織に送達する電気回路の一部を形成し、「第1リード202の周囲に配置される第1コイル206」は、本願発明の「前記リード本体に連結された第一の電極であって、前記第一の導電体に電気的に接続され、前記第一の導電体は、それによって前記電界発生回路からの前記電界が前記がん性組織の前記部位へと送達される電気回路の一部を形成し、前記リード本体の周囲に配置された導電性コイル糸条を含む第一の電極」に相当する。
キ 引用発明の「論理制御回路302」が、「制御下にある出力スイッチ328によって高周波生成器326を第1電極205に接続する」することで、「高周波生成器326」は「第1電極205の一部に約20Vから約200Vの振幅を持つ高周波刺激を生成」する。
したがって、引用発明の「論理制御回路302」が、「高周波生成器326」に約20Vから約200Vの電圧を第1コイル206を含む第1電極205に印加させることと、本願発明の「前記制御回路構成」が、「前記電界発生回路に所定の電圧を前記第一の電極に印加させ、該電圧は10kHzから1MHzの範囲から選択される周波数を有しており、送達される電流は1mAmpから1000mAmpの範囲である」こととは、前記制御回路構成は、前記電界発生回路に所定の電圧を前記第一の電極に印加させることの限りで一致する。
そうすると、本願発明と引用発明は、
「がん性組織を治療するための医療機器システムであって、
前記がん性組織の部位に、又はその付近に、1つ又は複数の電極に所定の電圧を印加することにより1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、
前記電界発生回路と通信する制御回路構成であって、前記1つ又は複数の電界の前記電界発生回路から前記がん性組織の前記部位への送達を制御するように構成される制御回路構成と、
植込み型リードであって、
基端部と先端部を含むリード本体であって、第一の導電体を含むリード本体と、
前記リード本体に連結された第一の電極であって、前記第一の導電体に電気的に接続され、前記第一の導電体は、それによって前記電界発生回路からの前記電界が前記がん性組織の前記部位へと送達される電気回路の一部を形成し、
前記リード本体の周囲に配置された導電性コイル糸条を含む第一の電極と、
を含む植込み型リードと、
を有し、
前記制御回路構成は、前記電界発生回路に所定の電圧を前記第一の電極に印加させる、医療機器システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明の「第一の導電体」は、「前記リード本体内に配置され」るのに対し、引用発明の「第1電極205」の「第1コイル206」を除く部分は、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本願発明は、「前記導電性コイル糸条は不規則表面を含んでおり、該不規則表面を含む前記導電性コイル糸条は、前記不規則表面を含むこと以外は同じで平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して2倍~10倍の表面積を有しており、実質的に平滑な表面を有する前記導電性コイル糸条の各々の表面積は式、表面積=2πrlによって計算でき、rは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の半径であり、lは前記実質的に平滑な表面を有する導電性コイル糸条の各々の長さであ」るのに対し、引用発明は、「第1コイル206」がそのように特定されていない点。
<相違点3>
前記制御回路構成は、前記電界発生回路に所定の電圧を前記第一の電極に印加させることについて、本願発明では、「該電圧は10kHzから1MHzの範囲から選択される周波数を有しており、送達される電流は1mAmpから1000mAmpの範囲である」のに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。
(3)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献3には、リード本体10の周りに巻き付けられたコイル電極26に結合された第3の導体16が、長尺状絶縁リード本体10内に配置されることが記載されている(上記(1)ウ(ア)~(ウ)を参照)。
そして、引用文献1には、引用文献3に記載されたリードの構成を採用できる旨が記載されているから(上記(1)ア(ア)の段落[0041]を参照)、引用発明の第1リード202の構成として、引用文献3のリード本体10の構成を採用し、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
イ 相違点2について
身体組織に電極を接触させて電気的な刺激を印加する際、電極の表面を粗面化し表面積を増やすことで、電極と身体組織の接触面のインピーダンスが低減され、電界強度・電流密度・電荷注入量が増加し、必要な電圧や消費電力を低減できることは物理法則上明らかであり、引用文献4(上記(1)エ(ア)、(イ)を参照)や引用文献5(同オ(ア)~(エ)を参照)に記載されるように、医療機器一般において周知である。
引用発明において、当該周知技術を適用して、第1コイル206の表面積を増やすことは、当業者が容易に想到できたことである。そして、当該周知技術の適用に際し、どの程度まで表面積を増やすかは、表面積の増加による性能の向上と加工コスト等のバランス等を踏まえて、当業者が適宜選択し得たことであり、また、上記(1)オ(ウ)に記載されるように第1コイル206の表面積を表面処理前に比べて4.3倍とすることは、通常行っていた程度である。
そして、上記1で指摘したとおり、本願発明の「平滑な表面を有する導電性コイル糸条と比較して2倍~10倍の表面積を有」する点について、平滑な表面を有する導電性コイル糸条の円形断面の直径がどのように規定されるか明確ではないが、引用発明において、導電性コイル糸条の円形断面の直径がどのように決定されるにせよ、上記周知の事項を参照して、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
ウ 相違点3について
引用発明の高周波(HF)生成器326が生成する高周波刺激の周波数は、100kHz~5MHzである。このうち、下限の100kHzとすることは、当業者が適宜選択し得た範囲のことであり、それによる格別の作用効果も認められない。
また、引用発明では、標的組織に供給される電流の範囲が特定されていないものの、電界が印加される体内組織の抵抗値は、人体組織の部位にもよるが、約200~400Ω程度とされているから(上記(1)イを参照)、印加される電圧の範囲(約20Vから約200V)を踏まえると、標的組織に供給される供給される電流の範囲は、約50mAmp~約1000mAmpと概算でき、本願発明の電界発生回路から供給される電流の範囲内となる。仮に体内組織の抵抗値が上記値と異なるとしても、人体の安全性等を踏まえ供給される電流を決定することは、当業者が当然考慮する事項にすぎない。
したがって、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、本願発明の効果も、引用発明、引用文献2、3に記載された事項及び引用文献4、5に例示される周知技術から当業者が予測し得る以上のものではない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2、3に記載された事項及び引用文献4、5に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第36条第6項第2号及び同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-007189