特許拒絶査定不服審判
2018-012834
造花と造花の製作方法、造花を用いた装飾品
- 審判番号
- 2018-012834
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-212451外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年09月27日
- 審決日
- 2019年09月17日
- 公報発行日
- 2019年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】佐谷 静玲
- 【請求人代理人】アイアット国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (A41G) / P18 .572-Z (A41G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-212451「造花と造花の製作方法、造花を用いた装飾品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 82358〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年10月29日の出願であって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。
平成30年1月18日付け:拒絶理由通知書
平成30年4月11日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年6月26日付け:拒絶査定
平成30年9月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成30年9月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「装飾用帯体が一端部から他端部にかけて螺旋状に巻き付けられて接着されることにより装飾された針金の中央部を、花弁の外形形状に曲げて成形された花弁枠を備え、
前記花弁枠にシート状物が張設された複数個の花弁が前記針金のそれぞれの端部で束ねられ、これら花弁が組み合わせされて形成されていることを特徴とする造花。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成30年4月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「装飾用帯体が螺旋状に巻き付けられて接着されることにより装飾された針金の中央部を花弁の外形形状に曲げて成形された花弁枠を備え、
前記花弁枠にシート状物が張設された複数個の花弁が前記針金のそれぞれの端部で束ねられ、これら花弁が組み合わせされて形成されていることを特徴とする造花。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「装飾用帯体が螺旋状に巻き付けられて接着される」という事項について、その対象箇所が、針金の「一端部から他端部にかけて」であるという限定を付加するとともに、その限定を付加することにともない、読点を付すものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、実願昭52-135967号(実開昭54-63786号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「柔軟性に富み、指先による整形を自在とした整形用金属芯線を内蔵し、光線乱反射性の良好な金属薄片製組紐状縁取部材を、任意形状に裁断した花弁、葉片等の布帛材縁部表面に接着し、さらに縁取部材の両端を布帛材端部から張出して形成した構成片の所要数を結束し、各構成片の縁取部材を所望形状に屈曲してなる造花。」(実用新案登録請求の範囲)
(イ)「本案はこれに鑑み、高い品位と豪華な雰囲気をもち、ときには華麗に、又、ときには憂愁をたたえて胸、肩、腰等を飾ることができる造花を提供するもので、所望形状に裁断した布帛材の縁部表面に、指先で形を整えられる整形用芯線を内蔵した金属薄片製組紐状縁取部材を接着した構成片を結束し、各構成片を花弁状に屈曲成形した点に特徴がある。」(明細書第2ページ第10行~第17行)
(ウ)「構成片1は布帛材2の縁部表面に縁取部材3を接着したものである。」(明細書第3ページ第4行~第5行)
(エ)「縁取部材3は、沿線その他指先で屈曲するとそのままの形状になつている金属芯線4を化学繊維のフイラメント5等でくるみさらに外層をアルミ箔線条、錫箔線条その他光線乱反射性の良好な金属薄片6で組紐状に組上げた製品であつて、布帛材2の縁部表面に接着されたとき、両端部をある程度の長さに張出しておくものである。」(明細書第3ページ第10行~第16行)
(オ)「上記のようにして形成した構成片1は適宜配置で10乃至20片程度を結束する。その際、数片ずつを縁取部材3の張出部3aと布帛材2の基端2aにおいて束ね、さらに数束を一つに結束する。」(明細書第3ページ第18行~第4ページ第1行)
(カ)「上述の構成からなる本案造花は、結束された構成片1群を、縁取部材3の整形により例えば第5図に示されるように折曲げ、あるいは外向きに突出した構成片1であれば先端の両側部を前後方向に波打つように折曲げるなどして、順次整形してゆき、第1図に示されるような製品とする。」(明細書第4ページ第5行~第10行)
(キ)前記記載事項(エ)によると、金属芯線4は、化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられていることが理解できる。
(ク)前記記載事項(ア)~(カ)、並びに第1図、第2図及び第5図の図示内容によると、構成片1は、縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着したものであることが理解できる。
また、縁取部材3は、最終的に、花弁状に屈曲成形されており、この縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着した構成片1は、数片ずつが縁取部材3の張出部3aと布帛材2の基端2aにおいて束ねられるものである。そして、縁取部材3の張出部3aとは、縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着したとき、布帛材2からある程度の長さ、張出した縁取部材3の両端部であると解される(記載事項(エ)参照)から、縁取部材3はその両端部における張出部3aで束ねられ、その中央部で折り曲げられているといえる。その際、縁取部材3に内蔵された金属芯線4についても、張出部3aに対応するその両端部で束ねられ、その中央部が折り曲げられて屈曲成形されていると解されるから、縁取部材3は、金属芯線4の中央部を、折り曲げて花弁状に屈曲成形したものであること、構成片1の数片ずつが前記縁取部材3の両端部における張出部3aと布帛材2の基端2aにおいて束ねられ、さらに数束が一つに結束されることが理解できる。
イ 引用発明
引用文献1の前記記載事項(前記ア(ア)~(ク))及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている金属芯線4の中央部を、折り曲げて花弁状に屈曲成形した縁取部材3を備え、
前記縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着した構成片1の数片ずつが前記縁取部材3の両端部における張出部3aと前記布帛材2の基端2aにおいて束ねられ、さらに数束が一つに結束された造花。」
ウ 引用文献2の記載事項
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-328569号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】本発明は、造花材および造花に関する。」
(イ)「【0026】なお、本発明においては、ワイヤーが露出して見苦しくならないように、ワイヤーの上に、ワイヤーを覆うようにフローラルテープが巻回されていることが好ましい。」
(ウ)「【0035】上記のようにして引き締められたワイヤー21の周囲に、ワイヤー21を覆い隠すように、フローラルテープ22を巻き付ける。フローラルテープ22は、フラワーアレンジメント等に使用される紙、布、不織布等からなる帯状のテープであり、一面に粘着剤または接着剤が塗布(付着)されていて、任意の場所に貼り付けることのできるテープである。なお、フローラルテープ22は、緑色、淡緑色、茶色等、様々な色のものが入手可能であり、所望の造花材のイメージに合わせて好みの色を用いることができる。例えば、桜をイメージするのであれば、濃い茶色のフローラルテープを巻き付けて桜の枝を模した支持構造とする。」
エ 引用文献3の記載事項
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった登録実用新案第3146909号公報(以下、「引用文献3」という。)には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】本考案は、生花に特殊な処理を施すことによって得られるプリザーブドフラワーを用いた加工花に関する。」
(イ)「【0015】続いて、上部花部材2の下方に下部花部材3を配置し、その状態で、上部花部材2の針金8の下部と、下部花部材3の針金12の巻き付け部分とを、例えば合成樹脂製の棒体16の上端部に添え、針金17で巻きつけて固着した。そして、針金17の巻き付け部分の外周に、ガクとして肉付けするための綿18を巻きつけた。更に、綿18の外周から棒体16全体にフラワーテープ10を巻きつけた。このフラワーテープ10は薄緑色の紙テープの裏面に粘着剤が塗布されたもので手芸用に多用されており、棒体や針金の外周に巻くと植物の茎や枝を模したものとなる。・・・」
(3)本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「金属芯線4」、「縁取部材3」及び「布帛材2」は、それぞれ本件補正発明の「針金」、「花弁枠」及び「シート状物」に相当する。
そして、引用発明の「化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている金属芯線4の中央部を、折り曲げて花弁状に屈曲成形した縁取部材3」と、本件補正発明の「装飾用帯体が一端部から他端部にかけて螺旋状に巻き付けられて接着されることにより装飾された針金の中央部を、花弁の外形形状に曲げて成形された花弁枠」とは、「装飾された針金の中央部を、花弁の外形形状に曲げて成形された花弁枠」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「前記縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着した構成片1」は、本件補正発明の「前記花弁枠にシート状物が張設された」「花弁」に相当する。そして、引用発明の「構成片1の数片ずつが前記縁取部材3の両端部における張出部3aと前記布帛材2の基端2aにおいて束ねられ、さらに数束が一つに結束された」という事項において、縁取部材3の両端部における張出部3aが束ねられるから、縁取部材3に内蔵された金属芯線4についても、張出部3aに対応するその両端部で束ねられていると解されるから、引用発明の「前記縁取部材3を布帛材2の縁部表面に接着した構成片1の数片ずつが前記縁取部材3の両端部における張出部3aと前記布帛材2の基端2aにおいて束ねられ、さらに数束が一つに結束された」という事項は、本件補正発明の「前記花弁枠にシート状物が張設された複数個の花弁が前記針金のそれぞれの端部で束ねられ、これら花弁が組み合わせされて形成されている」という事項に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、
「装飾された針金の中央部を、花弁の外形形状に曲げて成形された花弁枠を備え、
前記花弁枠にシート状物が張設された複数個の花弁が針金のそれぞれの端部で束ねられ、これら花弁が組み合わせされて形成されている造花。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
針金の装飾について、本件補正発明は、「装飾用帯体が一端部から他端部にかけて螺旋状に巻き付けられて接着されることによ」るのに対し、引用発明は、化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている点。
(4)判断
ア 相違点について
以下、相違点について検討する。
造花の技術分野において、針金等の棒状体が露出して見苦しくなることを防止するべく、針金等の棒状体に帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着し、植物を模した自然な装飾を施すことは、引用文献2(前記(2)ウの記載事項(ア)~(ウ)を参照)及び引用文献3(前記(2)エの記載事項(ア)~(イ)を参照)に記載されているように本願の出願前から周知の事項である。
引用発明と前記周知の事項とは、造花に関するものである点で技術分野が共通する上、引用発明の組紐状に組上げられた光線乱反射性の良好な金属薄片6と、前記周知の事項における螺旋状に巻き付けて接着される帯状のテープ部材とは、棒状体の露出を防ぎ、装飾を施すものである点で作用・機能が共通する。
また、引用発明の造花において、金属芯線4に装飾を施すにあたり、どのような装飾が望ましいかは、造花を用いる目的や状況、造花の製作者、使用者、鑑賞者等の嗜好にもよるところ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)であれば、造花を製作する目的等に応じて、華美な印象を与える装飾が望ましいか、生花に近い自然な装飾が望ましいか等、どのような装飾が望ましいかを、当然に考慮するものである。
さらに、引用発明の造花において、金属芯線4に装飾を施すにあたり、製作のためのコストの低減、製作手順の簡易化という課題は当然に内在し、当然に考慮されるべきものといえるところ、引用発明の「化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている」という装飾に比べ、前記周知の事項における、帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着する装飾の方が、金属芯線を低コストかつ簡易に装飾できることは明らかである。
そうすると、引用発明において、どのような装飾が望ましいかを考慮するとともに、製作のためのコストの低減、製作手順の簡易化という課題を考慮して、金属芯線4への「化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている」という装飾に代えて、より低コストかつ簡易に製作が可能な前記周知の事項である帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着する装飾を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用文献1の第2図、第3図及び第5図を参酌すると、引用発明の金属芯線4の先端には、金属薄片6が組紐状に組上げられていないとも解されるが、引用文献1には、金属芯線4の先端に、金属薄片6を組紐状に組上げないことによる作用や機能について、何ら記載されておらず、金属芯線4のどの範囲に金属薄片6を組紐状に組上げるかは、任意の事項であると解される。すると、前記したように、金属芯線4への「化学繊維のフイラメント5等でくるまれ、さらに外層に光線乱反射性の良好な金属薄片6が組紐状に組上げられている」という装飾に代えて、前記周知の事項である帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着する装飾を採用する際、帯状のテープ部材を金属芯線4のどの範囲に螺旋状に巻き付けて接着するかは、造花の見栄え等も考慮して、当業者が適宜、決定し得るものであって、金属芯線4の一端部から他端部にかけて巻き付けて接着することにも格別の困難性はない。
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び前記周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
イ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張
請求人は、平成30年9月27日に提出した審判請求書において、次のように主張している。
a 装飾用帯体の接着について
「いずれにせよ、金属芯線4は組紐状の金属薄片6による外層に内蔵されているものであって、これらは接着されているものではなく、接着されている旨の記載も引用文献1には存しない。
一方、本願発明では、(a)項または(c)項に示すように、針金に装飾用帯体が螺旋状に巻き付けられて接着されて装飾されているものである。このため、針金は装飾用帯体に対して移動することなく、製品化された後であっても移動することがないので、万一変形等した場合であっても、見栄えが損なわれることがないものである。」(審判請求書第8ページ第5行~第12行)
「引用文献1に記載された造花は、前述のとおり、金属薄片6による外層の内部で金属芯線4が移動可能とされたものである。
ところで、引用文献1の第4頁5行目から10行目にかけて、「上述の構成からなる本案造花は、結束された構成片1群を、縁取部材3の整形により例えば第5図に示されるように折曲げ、あるいは外向きに突出した構成片1であれば先端の両側部を前後方向に波打つように折曲げるなどして、順次整形してゆき、第1図に示されるような製品とする。」とある。金属薄片6による外層は組紐状で筒状であるため、縁取部材3を折曲して整形する際には、金属芯線4が外層に対して移動することで、整形作業が容易で簡便なものとなる。しかも、この整形作業の際には、布帛材2が縁取部材3に接着されていると共に、第3頁19行目から第4頁1行目にかけて、「数片ずつを縁取部材3の張出部3aと布帛材2の基端2aにおいて束ね、」とあるので、縁取部材3の移動が規制された状態にあり、このため金属芯線4が移動することが要求される。
すなわち、指先による整形を自在とした整形用金属芯線4が金属薄片製組紐状縁取部材3に対してずれることで、金属薄片製組紐状縁取部材3の整形が容易となるものである。 」(審判請求書第12ページ第2行~第17行)
b 引用文献2及び引用文献3について
「すなわち、フローラルテープ22は、基材11を保持させた後のワイヤー21の束に接着施工されるものであり、ワイヤー21同士を束ねるものとして用いられている。
これに対して本願発明では、前記(a)項または(c)項に示すように、造花の製作に先立って針金に装飾用帯体を接着施工するものである。この装飾用帯体は針金を装飾するものであって、造花を製作する際に、造花の背面でまとめられた針金(この針金には装飾用帯体による装飾が施されている。)同士を束ねるものではない。」(審判請求書第9ページ第16行~第23行)
「すなわち、本願発明に係る装飾用帯体と引用文献2の発明に係るフローラルテープとはその使用目的や機能が異なるものである。
このため、本願発明に係る装飾用帯体を、引用文献2に開示されたフローラルテープを引き合いにして従来周知の技術と認めることは至当ではない。」(審判請求書第10ページ第13行~第16行)
「すなわち、フラワーテープ10は、針金8と針金12、綿18とを棒体16に保持させるために巻き付けられるものである。
また、「このフラワーテープ10は、……中略……、棒体や針金の外周に巻くと植物の茎や枝を模したものとなる。」とあり、このフラワーテープ10を巻き付けられた棒体16は茎や枝を模したものであって、花弁枠や葉枠等を構成するものではない。
これに対して本願発明では、前記(a)項または(c)項に示すように、造花の製作に先立って針金に装飾用帯体を接着施工するものである。この装飾用帯体は針金を装飾するものであって、装飾された針金の中央部で花弁枠や葉枠を形成するものである。また、この装飾用帯体は造花の背面でまとめられた針金(この針金には装飾用帯体による装飾が施されている。)同士を束ねるものではない。
すなわち、本願発明に係る装飾用帯体と引用文献3の発明に係るフラワーテープとはその使用目的や機能が異なるものである。
このため、本願発明に係る装飾用帯体を、引用文献3に係るフラワーテープを引き合いにして従来周知の技術と認めることは至当ではない。」(審判請求書第11ページ第11行~第25行)
「引用文献2、3のそれぞれに係る発明にあってはいずれも、花弁やガク等の枠に針金が用いられているものではないので、本願発明のように、針金を装飾するとの思想は存しない。しかも、本願発明と同様に針金自体を装飾するものであるならば、引用文献2に係る造花材にあっては、ワイヤー21のそれぞれにフローラルテープ22が巻き付けられる構成が対応し、引用文献3に係る加工花にあっては、針金8や針金12のそれぞれにフラワーテープ10が巻き付けられる構成が対応するが、引用文献2、3のいずれにも、このような構成に関する記載は存しない。
このため、引用文献1に記載された造花に、引用文献2のフローラルテープ22や引用文献3のフラワーテープ10の構成を結合させた場合には、造花を構成する布帛材2の縁部表面に接着され張出した状態となる縁取部材3であって、構成片1群のそれぞれの縁取部材3を束ねる状態に巻き付けられるものとなる。」(審判請求書第13ページ第3行~第14行)
(イ)当審の判断
a 装飾用帯体の接着について
請求人は、引用発明の金属芯線4は組紐状の金属薄片6による外層に内蔵されているものであって、金属薄片6による外層の内部で移動可能とされている旨、主張しているが、引用文献1には、金属芯線4を外層の内部で移動可能にすることにより生じる作用や機能について、何ら記載されておらず、また、縁取部材3の張出部3aが束ねられ、縁取部材3の移動が規制された状態において、仮に、金属芯線4が外層の内部で固定されていたとしても、外層自体の伸縮により、縁取部材3を折り曲げることは可能と考えられるから、引用発明の縁取部材3を、金属芯線4の中央部を、折り曲げて花弁状に屈曲成形する上で、金属芯線4を外層の内部で移動可能にすることが必須の事項であるとはいえない。
したがって、引用発明の金属芯線4が、金属薄片6による外層の内部で移動可能とされているか否かは、必ずしも明確ではないが、仮に、請求人が主張するように、引用発明の金属芯線4が、金属薄片6による外層の内部で移動可能とされているとしても、引用発明の金属芯線4への装飾として、前記周知の事項である帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着する装飾を採用することが妨げられるものではない。
b 引用文献2及び引用文献3について
請求人は、引用文献2に記載されたフローラルテープ22は、ワイヤー21同士を束ねるものであり、また、引用文献3に記載されたフラワーテープ10は、針金8、針金12、綿18を棒体16に保持させるためのものであり、ともに本件補正発明の装飾用帯体とは、その使用目的や機能が異なるものである旨、主張している。
しかしながら、引用文献2に記載されたフローラルテープ22は、単にワイヤー21同士を束ねるためのものではなく、ワイヤー21が露出しないようにワイヤー21を覆い隠すものであって、緑色、淡緑色、茶色等、様々な色のものから所望の造花材のイメージに合わせて好みの色を用いることができるものであるから、ワイヤー21の露出を防止し、植物を模した自然な装飾を施す機能を把握できる。また、引用文献3に記載されたフラワーテープ10は、単に、針金8、針金12、綿18を棒体16に保持させるためのものではなく、棒体16や、針金8、針金12、綿18等が露出しないように、薄緑色の紙テープを外周に巻いて、植物の茎や枝を模したものにするものであるから、棒体16等の露出を防止し、植物を模した自然な装飾を施す機能を把握できる。
すると、引用文献2及び引用文献3からは、前記した周知の事項である、造花の技術分野において、針金等の棒状体が露出して見苦しくなることを防止するべく、針金等の棒状体に帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着し、植物を模した自然な装飾を施すという事項を把握することができる。
そして、前記アで示したように、引用発明の組紐状に組上げられた光線乱反射性の良好な金属薄片6と、前記周知の事項における螺旋状に巻き付けて接着される帯状のテープ部材とは、棒状体の露出を防ぎ、装飾を施すものである点で作用・機能が共通するものでもあって、引用発明の金属芯線4への装飾として、前記周知の事項である帯状のテープ部材を螺旋状に巻き付けて接着する装飾を採用することの動機付けは存在するといえる。
ウ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び前記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年9月27日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年4月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、3に記載されるような周知の事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:実願昭52-135967号(実開昭54-63786号)のマイクロフィルム
引用文献2:特開2006-328569号公報
引用文献3:登録実用新案第3146909号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「装飾用帯体が螺旋状に巻き付けられて接着される」という事項について、針金の「一端部から他端部にかけて」であるという限定事項を削除するとともに、それにともない、読点も削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び前記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び前記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-012834