特許拒絶査定不服審判
2018-012125
調光積層体及び調光積層体用調光材料
- 審判番号
- 2018-012125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-541120外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年09月10日
- 審決日
- 2019年09月24日
- 公報発行日
- 2019年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】積水化学工業株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-541120「調光積層体及び調光積層体用調光材料」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日国際公開、WO2018/016378〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)7月11日(優先権主張 平成28年7月19日)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
平成29年12月 7日:手続補正書の提出
平成30年 2月 7日:拒絶理由の通知
平成30年 4月18日:意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月 6日:拒絶査定
平成30年 9月10日:審判請求書、手続補正書の提出
令和 元年 6月10日:拒絶理由の通知
令和 元年 8月 8日:意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和元年8月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
第1の透明基材と、第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材との間に配置された調光層とを備え、
前記調光層が、複数の樹脂スペーサを含み、
前記樹脂スペーサが、球状であり、
前記樹脂スペーサの粒子径のCV値が、2.0%以上、30%以下であり、
前記樹脂スペーサの10%K値が、10000N/mm2以下であり、
前記樹脂スペーサが、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサである、調光積層体。」
第3 拒絶の理由
令和元年6月10日付けで当審が通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
[理由1](新規性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2](進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)について
・請求項 1、5、6
・引用文献等 1
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1、5、6
・引用文献等 1-3
●理由2(進歩性)について
・請求項 2-4
・引用文献等 1-4
●理由1(新規性)について
・請求項 6
・引用文献等 5
<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2003-238622号公報
引用文献2.特開2013-228646号公報(周知技術を示す文献、特に、【0029】-【0041】、【0057】-【0065】、【0092】、図3、図7、図14参照。)
引用文献3.特開2014-89361号公報(周知技術を示す文献、特に、【0016】-【0020】、【0068】-【0076】、【0101】-【0104】、図1、図11、図18参照。)
引用文献4.特開2000-258758号公報(周知技術を示す文献、特に、【0012】、【0022】参照。)
引用文献5.特開2013-222139号公報
第4 引用文献について
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。
「【請求項1】高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体定形粒子の主ポリマー質を形成する重合性モノマーが、下記(1)式
【化1】
・・・
で表される多官能モノマーであって、且つ重量基準で表わす全重合性モノマー中50~100%の範囲にあることを特徴とする高弾力性定形粒子。
【請求項2】前記(メタ)アクリル系架橋重合体粒子が定形粒子であって、下記(2)式
【数1】
・・・
で表される粒子径の10%圧縮変位をした時の圧縮弾性率(10%K値)が500~2500N/mm2で、且つ圧縮率が50%以上において、圧縮荷重の解除後の圧縮変形回復率が20~45%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の高弾力性定形粒子。
【請求項3】前記定形粒子が球状粒子で、その平均粒子径が0.5~1000μmの範囲にあって、且つ粒子径の均斉度を表すCv値が10%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高弾力性定形粒子。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮応力の解除後に優れた復元力を有する高弾力性の重合体粒子に関し、より詳細にはLCD用間隙部材、タッチパネル用間隙部材、導電性間隙部材、光拡散部材用フィラー等の各種の電子部品に用いられるスペーサー等の微小間隙をコントロール及び接着(又は応接)させる間隙部材又は光学部品の各種フィルターのフィラー等に有効に用いられる高弾力性の定形粒子及びその製造方法に関する。」
「【0023】また、本発明による(メタ)アクリル系架橋重合体粒子は、好ましくは球状で、更に好ましくは真球状の定形粒子であることが好適である。本発明において、他の定形粒子として、例えば、卵状、角の取れたサイコロ状、円柱状又は例えば24面体等の多面体等の定形粒子を挙げることができる。また、本発明における粒子径とは、体積基準で表される平均粒子径であって、粒子形状が球状、サイコロ状、多面体においては直径又は長径を表し、卵状、円柱状では短径を表す。そこで、本発明によれば、粒子径0.5~1000μmの範囲にあり、好ましくは1~100μmの範囲で、更に好ましくは2~20μmの範囲にある(メタ)アクリル系架橋重合体の高弾力性定形粒子を適宜提供することができる。また、必要において好ましくは球状であって、更に好ましくは真球状であって、その粒子径の均斉度を表すCv値が、10%以下で、好ましくは5%以下の高弾力性定形粒子を提供することができる。」
「【0025】すなわち、後述する実施例の事実から明らかなように、粒子径の10%圧縮変位をした時の圧縮弾性率(10%K値)が500~2500N/mm2の範囲にあることから、硬くない柔軟性に優れていることが判る。また、特に本発明にあっては、その上限値が2500N/mm2を超えないことから、より柔軟性の傾向にある高弾力性の架橋重合体粒子である。また、本発明にあっては、その圧縮率が50%以上において、その圧縮荷重を解除された後に表される圧縮変形回復率が20~45%の範囲にあることから、柔軟性であって、より優れる復元力のある高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体の定形粒子である。」
「【0027】また、本発明による高弾力性定形粒子は、粒子形状が定形で、その平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下の微細粒子として提供できるので、フィラー性にも優れる高弾力性定形粒子であることから、光拡散用フィルム部材や、調光フィルム部材等のフィラーとしても適宜好適に使用される。
【0028】また、高弾力性で、柔軟性である定形粒子は、各種の表示デバイスにおける互いに対向するパネル間(又はセル間、基板間)の間隙部材として好適に用いられる。このような対向する応接面としては、例えば、ガラス面、金属面、セラッミクス面、プラスチック面、樹脂フィルム面、透明電極面、偏光面、配向膜面、ブラックマトリックス面等が挙げられ、特に透明なパネル面として、透明性のガラス基板や、ポリカーボネート(PC)、非晶質ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック面が挙げられる。従って、本発明による高弾力性定形粒子を、これらの対向する面間に圧縮荷重下に間隙部材として適宜好適に使用されることから、本発明による高弾力性定形粒子を、間隙部材として使用されてなる液晶表示デバイスである、例えば、フラットパネルディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、各種の看板パネルディスプレイ及びプロジェクター等の表示デバイスを提供することができる。
【0029】そこで、本発明において全重合性モノマー中に、重量基準で0~50%の範囲で併用させて共重合させる(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アリールエステル類、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類、多価アクリル酸エステル類、脂環式アルコールのメタクリル酸エステル類、エポキシ基含有ビニル単量体、不飽和カルボン酸又はその部分エステル化合物及びその無水物、アミド基含有ビニル単量体、有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体等が挙げられる。本発明においては、原料として比較的に低廉で、しかも、モノマー種が多く、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の単独又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を主成分にして、その他のモノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができる。このその他のモノマーを、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類に組合わせて使用する場合、その配合割合は特に限定する必要がなく使用され、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の100重量部に対して、その他のモノマーの少なくとも1種を0.1~100重量部の範囲で適宜用いることができる。」
「【0053】そこで、表1に示す弾力性の評価値から明らかなように、本発明による高弾力性定形粒子は、その(メタ)アクリル系架橋重合体の定形粒子を形成させる主モノマーが、EO-TMPTA及び/又はPO-TMPTAなる変性多官能モノマーを全重合性モノマー中に、重量基準で表して50~100%の範囲で重合させてなる重合体粒子であることが判る。しかも、圧縮率から明らかなように柔軟性の粒子であって、しかも、10%K値が比較的に低い値であることから、比較的に低圧縮荷重下に容易に圧縮変位することから間隙部材として、容易にギャップを調整できる粒子であり、しかも、その回復率からするとその圧縮変位は、充分に粒子内部復元力で支えられて、その圧縮変位によるギャップは、持続して安定に保持させる粒子であると理解される。なお、実施例1~4で調製された本発明による高弾力性定形粒子である重合体粒子は、略真球状の粒子径が5.0μmで、CV値が略4%の単分散粒子であった。」
2 引用発明
したがって、引用文献1には、以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体定形粒子が、調光フィルム部材のフィラーとして使用され、
前記定形粒子が球状粒子で、粒子径の均斉度を表すCv値が10%以下であり、粒子径1~100μmの範囲で、更に好ましくは2~20μmの範囲であり、又は、略真球状の粒子径が5.0μmで、CV値が略4%の単分散粒子であり、
高弾力性で、柔軟性である定形粒子は、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、その他のモノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができ、
粒子径の10%圧縮変位をした時の圧縮弾性率(10%K値)が500~2500N/mm2であり、10%K値が比較的に低い値であることから、比較的に低圧縮荷重下に容易に圧縮変位することから間隙部材として、容易にギャップを調整できる粒子である調光フィルム部材。」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 調光フィルムが、透明基材の間に調光層を配置したものであることは、技術常識(必要ならば、上記引用文献2、3を参照されたい。)であるので、引用発明の「調光フィルム部材」は、本願発明の「『第1の透明基材と、第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材との間に配置された調光層とを備え』た『調光積層体』」に、相当する。
2 引用発明の「高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体定形粒子」は、調光フィルム部材に複数用いることが自然であるので、引用発明の「高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体定形粒子」と、本願発明の「複数の樹脂スペーサ」は、「複数の樹脂粒子」である点で一致する。
3 引用発明の「『球状』、『略真球状』」は、本願発明の「球状」に、相当する。
4 引用発明の「『粒子径の均斉度を表すCv値が10%以下であり、』『粒子径が5.0μmで、CV値が略4%の単分散粒子であり』」と、本願発明の「粒子径のCV値が、2.0%以上、30%以下であり」は、「粒子径のCV値が、2.0%以上、10%以下であり」の点で一致する。
5 引用発明の「粒子径の10%圧縮変位をした時の圧縮弾性率(10%K値)が500~2500N/mm2であり、10%K値が比較的に低い値であることから、比較的に低圧縮荷重下に容易に圧縮変位することから間隙部材として、容易にギャップを調整できる粒子である」と、本願発明の「10%K値が、10000N/mm2以下であり」は、「10%K値が、500~2500N/mm2であり」の点で一致する。
6 そうすると、本願発明と引用発明は、以下の構成において一致し、また、相違する。
(一致点)
「第1の透明基材と、第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材との間に配置された調光層とを備え、
前記調光層が、複数の樹脂粒子を含み、
前記樹脂粒子が、球状であり、
前記樹脂粒子の粒子径のCV値が、2.0%以上、10%以下であり、
前記樹脂粒子の10%K値が、500~2500N/mm2である、調光積層体。」
(相違点1)
樹脂粒子について、本願発明では「スペーサ」であるのに対して、引用発明ではそのようなものか明らかでない点で一応相違する。
(相違点2)
樹脂粒子について、本願発明では「ジビニルベンゼンを重合させて得られる」のに対して、引用発明では「『高弾力性で、柔軟性である定形粒子は、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、その他のモノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができ』る『高弾力性の(メタ)アクリル系架橋重合体定形粒子』」である点で相違する。
第6 判断
1 相違点1について
(1)引用文献1の【0001】には「本発明は、圧縮応力の解除後に優れた復元力を有する高弾力性の重合体粒子に関し、より詳細にはLCD用間隙部材、タッチパネル用間隙部材、導電性間隙部材、光拡散部材用フィラー等の各種の電子部品に用いられるスペーサー等の微小間隙をコントロール及び接着(又は応接)させる間隙部材又は光学部品の各種フィルターのフィラー等に有効に用いられる高弾力性の定形粒子及びその製造方法に関する。」と記載されている。
そうすると、引用文献1の高弾力性の重合体粒子は、
1.LCD用間隙部材、
2.タッチパネル用間隙部材、
3.導電性間隙部材、
4.光拡散部材用フィラー等の各種の電子部品に用いられるスペーサー等の微小間隙をコントロール及び接着(又は応接)させる間隙部材
又は
5.光学部品の各種フィルターのフィラー、
に有効に用いられると解される。
上記4の場合には、引用発明の「フィラー」は、本願発明の「スペーサ」に相当するので、相違点1は、実質的な相違点にならない。
(2)仮に、調光フィルム部材のフィラーがスペーサであると引用文献1に明記されていないとしても、当該フィラーは、以下のとおり実質的にスペーサとしての役割を果たすから、相違点1は、実質的な相違点にならない。
すなわち、調光フィルムにおいて、充填空間及び両板間の距離は4μm以上100μm以下である旨、上記引用文献2、3にも記載されているように、調光層の間隙は、一般的に数μmから数十μmである。
そうすると、引用文献1の高弾力性定形粒子は調光フィルム部材のフィラーに使用され(【0027】参照。)、高弾力性定形粒子の粒径は、好ましくは1~100μmの範囲で、更に好ましくは2~20μmの範囲(【0023】参照。)にあり、また、一般的な調光層の間隙が数μmから数十μmであることから、両者の大きさを考え合わせれば、調光フィルム部材のフィラーが、スペーサとしての機能も有していると考えるのが自然である。
2 相違点2について
(1)本願発明の「樹脂スペーサが、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサである」との特定事項は、その文言上、ジビニルベンゼンのみを重合させて得られるとの特定ではなく、樹脂スペーサがジビニルベンゼン共重合体を含むことを排除していないと認められる。
そして、本願明細書の段落【0048】にも「・・・ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂スペーサの硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂スペーサを形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。」と記載されており、樹脂スペーサとしてジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合が挙げられていることが理解できる。
(2)調光素子に関する技術において、樹脂スペーサとして、ジビニルベンゼン共重合体を用いることは、周知技術(必要であれば、特開平7-13136号公報(特に、【0027】参照。)特開平7-56147号公報(特に、【0024】参照。)、特開平7-128646号公報(特に、【0034】-【0038】参照。)を参照されたい。)である。
(3)また、引用発明において「高弾力性で、柔軟性である定形粒子は、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、その他のモノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができ」と特定され、高弾力性である定形粒子は、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、その他のモノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができることが示唆されている。そして、粒子の強度を調整するために、単量体としてジビニルベンゼンを用いて重合させることは、一般に行われていること(必要であれば、特開平8-239406号公報(特に、【0015】、【0017】参照。)、国際公開第2016/088664号(特に、[0076]参照。)を参照されたい。)である。
(4)そうすると、引用発明において、高弾力性で、柔軟性である定形粒子を、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、上記周知技術を考慮し、ジビニルベンゼンを適宜好適に組合わせて使用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 効果について
そして、相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
すなわち、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサを用いることで格別の効果があることは、本願の明細書には記載されていない。
実際、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサを用いた調光積層体(実施例1、実施例4)は、「△」色むらがごくわずかに発生している。また、審判請求人が、平成30年9月10日付けの審判請求書において、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサを用いた調光積層体(追加比較例3、追加比較例4)は、「×」色むらが発生していることを記載している。
よって、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサを用いることで格別の効果があるということはできない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、引用発明に上記周知技術を適用して、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
第7 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和元年8月8日付けの意見書において、「引用文献1には、『前記樹脂スペーサが、ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂スペーサである』という本願発明の構成は何ら記載されておらず、かつ何ら示唆されていないことは明らかであると思料致します。」と主張している。
しかしながら、上記第6の2に記載したとおりである。
以上のとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-012125