特許拒絶査定不服審判
2018-008704
表示操作装置、その制御方法及び画像処理装置
- 審判番号
- 2018-008704
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-174524外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年06月26日
- 審決日
- 2019年06月20日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-174524「表示操作装置、その制御方法及び画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開、特開2017- 40927〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本件出願は、平成22年7月22日(以下、「原出願日」という。)に出願された特願2010-164731号の一部を新たな特許出願とした特願2012-256131号の一部をさらに新たな特許出願とした特願2016-74846号の一部を平成28年9月7日に新たな特許出願としたものであって、平成29年6月30日付けで拒絶理由が通知され、同年9月1日に手続補正がされ、同年12月6日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月20日付けで拒絶の査定(発送日:同年3月27日、以下「原査定」という。)がされ、同年6月26日に拒絶査定に対する審判の請求がされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成29年9月1日にされた手続補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項によって特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「表示面を有する表示一体型操作パネルと、
前記表示面上に、ユーザによる操作を受付けることが可能な第1のユーザインターフェイス(UI)部品の画像を表示するための第1のUI部品表示手段と、
前記第1のUI部品表示手段により前記表示面上に表示された前記第1のUI部品がユーザの操作を検知したことに応答して、当該第1のUI部品に対応付けられた処理を起動するための処理起動手段と、
前記処理起動手段により起動されるべき処理の障害となる事象の発生を検知したことに応答して、前記表示面上に、当該障害となる事象に関するメッセージを含む第2のUI部品を表示する第2のUI部品表示手段と、
前記障害となる事象が解消されたことを受けて、ユーザによる操作を受けることなく、前記第2のUI部品を消去する第2のUI部品消去手段とを含む、表示操作装置。」
3.引用文献に記載された事項
(1)原査定の拒絶理由おいて引用した特開2005-229644号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、強調のために当審で付与した。以下同じ。)
ア.「【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る画像読取装置の一実施形態を示す概略構成図である。図示した画像読取装置1は、CPU(中央演算装置)2、スキャナ3、ROM(リード・オンリー・メモリ)4、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)5、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)6、操作表示部7、ハードディスク(HD)8から構成され、これらの機能部がアドレス・データバス9を介して接続されている。また、画像読取装置1は、複数(図例では2台)の画像出力装置10,11とともにネットワーク12に接続されている。
【0010】
スキャナ3は、図示せぬ原稿台にセットされた原稿の画像を読み取るものである。ROM4は、スキャナ3で読み取った画像データの送信先装置で使用する機能のデフォルト値、及びCPU2の処理動作に必要な各種の制御プログラムやデータを格納している。RAM5は、プログラム実行時のワークメモリや、ネットワークインタフェースの通信用バッファとして使用される。ネットワークインタフェース6は、ネットワーク12に接続された画像出力装置10,11との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0011】
操作表示部7は、ユーザに対して各種の操作メニューを表示する一方、スキャナ3による原稿画像の読み取り開始をユーザ側で操作指示したり、これに表示された各種の操作メニューにしたがって、ユーザが画像データの送信先装置及びその送信先装置での処理内容を選択するためのものである。画像出力装置10,11は、プリンタやファクス送信等の機能を備え、画像読取装置1から指示された処理内容(様式)に従って所定の処理(画像のプリント出力、画像データのファクス送信等)を行うものである。ハードディスク8は、スキャナ3で読み取った原稿の画像データを蓄積するためのものである。
【0012】
CPU2は、ROM4から読み出された制御プログラムに従って処理動作を行い、画像読取装置1全体の処理動作を制御するものである。例えば、操作表示部7を介してユーザにより選択された処理内容を、画像データの送信先装置で直ちに実行可能であるか否かの判定処理を行う。また、その判定処理の結果に基づいて、スキャナ3により読み取られた画像データの送信処理や、送信先装置に対する画像データの送信モードの変更処理を行う。さらに、送信先装置での障害の発生を検知し、その検知結果に基づいてスキャナ3の読み取り動作を制御する。
【0013】
次に、CPU2の処理動作に従った画像読取装置の動作手順につき、図2及び図3のフローチャートを用いて説明する。先ず、CPU2は、スキャナ3によって読み取られる画像データの送信先装置が選択表示部7を介してユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS1)。ここで、操作表示部7における選択メニューには、ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置(10,11,…)の一覧が、例えば装置名や設置場所情報とともに表示される。そしてユーザ側では、操作表示部7に表示された情報を基に、所望の画像出力装置をボタン操作等により選択することになる。
【0014】
次に、ユーザによって画像データの送信先装置が選択されると、CPU2は、ユーザにより選択された送信先装置、例えば画像出力装置10に対して装置情報を問い合わせ、これに応答した画像出力装置10からの装置情報を取得する(ステップS2)。ここで取得した装置情報には、紙詰まりなどの障害発生やオフライン等の装置の状態情報とともに、画像データのスプール蓄積が可能かどうか、さらにはカラー出力が可能かどうかの能力情報などが記述されている。
【0015】
次いで、先ほど取得した装置情報内に記述された状態情報を調べて、データ送信先となる画像出力装置10に紙詰まりなどの障害が発生していないかどうかを判定する(ステップS3)。このとき、画像出力装置10で障害が発生していれば、ユーザにより選択された送信先装置、即ち画像出力装置10に障害が発生している旨のコメントやコード等を操作表示部7に表示したのち、画像の読み取り開始を指示するスタートボタン(図示せず)をロック状態(又は無効)にして、スキャナ3による画像の読み取りを禁止する(ステップS11,S12)。
【0016】
これにより、送信先装置となる画像出力装置10で障害が発生している状況下においては、スキャナ3による画像の読み取りが実行されることがなくなる。したがって、画像出力装置10が復旧するまでの間、画像読取装置1または画像出力装置10の蓄積手段に画像データが蓄積されることで、蓄積手段を利用する他の処理に悪影響を与えることもなくなる。」
イ.引用文献1の上記「【0015】・・・このとき、画像出力装置10で障害が発生していれば、ユーザにより選択された送信先装置、即ち画像出力装置10に障害が発生している旨のコメントやコード等を操作表示部7に表示したのち、・・・」との記載からみて、上記「送信先」の「装置」と「画像出力装置」は、同じものであるので、語句の統一のために「送信先装置」は「送信先の画像出力装置」とする。
前記の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。
「画像読取装置1は、CPU2、スキャナ3、ROM4、RAM5、ネットワークインタフェース6、操作表示部7、ハードディスク8から構成され、操作表示部7は、ユーザに対して各種の操作メニューを表示する一方、スキャナ3による原稿画像の読み取り開始をユーザ側で操作指示したり、これに表示された各種の操作メニューにしたがって、ユーザが画像データの送信先の画像出力装置及びその送信先の画像出力装置での処理内容を選択するためのものであり、画像出力装置10,11は、画像読取装置1から指示された処理内容に従って所定の処理を行うものであり、操作表示部7における選択メニューには、ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧が、表示され、ユーザ側では、操作表示部7に表示された情報を基に、所望の画像出力装置をボタン操作等により選択し、CPU2は、ユーザにより選択された画像出力装置10に対して装置情報を問い合わせ、これに応答した画像出力装置10からの装置情報を取得し、画像出力装置10で障害が発生していれば、ユーザにより選択された画像出力装置10に障害が発生している旨のコメントやコード等を操作表示部7に表示したのち、画像の読み取り開始を指示するスタートボタンをロック状態にして、スキャナ3による画像の読み取りを禁止する画像読取装置1。」
4.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「ユーザに対して各種の操作メニューを表示する一方、スキャナ3による原稿画像の読み取り開始をユーザ側で操作指示したり、これに表示された各種の操作メニューにしたがって、ユーザが画像データの画像出力装置及びその画像出力装置での処理内容を選択するためのもの」である「操作表示部7」は、操作のための選択メニューを表示するものであり、そのような「操作表示部」は板状(パネル状)のものが一般的であるから、本願発明の「表示面を有する表示一体型操作パネル」と引用発明1の「操作表示部7」とは、「操作のための選択メニューを表示する表示操作パネル」である点で共通するものである。
(2)引用発明1の「操作表示部7における選択メニュー」に「表示され」る「ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧」は、「ユーザ側で」、「操作表示部7に表示された情報を基に、所望の画像出力装置をボタン操作等により選択」するために用いられるものであるから、本願発明の「前記表示面上に、ユーザによる操作を受付けることが可能な第1のユーザインターフェイス(UI)部品」と、引用発明1の「操作表示部7における選択メニュー」に「表示され」る「ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧」は、「操作のための選択メニューを表示する表示操作パネルの表示画面上に、ユーザによる操作により選択可能に表示される第1のユーザインターフェイス部品」である点において共通し、引用発明1の「操作表示部7」が、「ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧」を「表示する」ことは、本願発明1の「第1のUI部品表示手段」により「第1のユーザインターフェイス(UI)部品の画像」を表示することに相当するものである。
(3)引用発明1は、「操作表示部7」に「表示された各種の操作メニューにしたがって、ユーザが画像データの送信先の画像出力装置及びその送信先の画像出力装置での処理内容を選択する」ものであり、「操作表示部7における選択メニューには、ネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧が、表示され、ユーザ側では、操作表示部7に表示された情報を基に、所望の画像出力装置をボタン操作等により選択」するものであるから、引用発明1は「操作表示部7」に表示された「利用可能な画像出力装置の一覧」から「所望の画像出力装置をボタン操作等により選択」する画像出力装置の選択処理を実行するものといえるし、選択処理を実行する以上、「そのような処理を起動する手段」を有することも技術常識に照らせば明らかというべきである。
してみると、引用発明1の当該そのような処理を起動する手段、すなわち「操作表示部7に表示されたネットワーク12上で利用可能な画像出力装置の一覧から、所望の画像出力装置をボタン操作等により選択」し、その選択された画像出力装置を選択する処理を起動する手段と、本願発明の「前記第1のUI部品表示手段により前記表示面上に表示された前記第1のUI部品がユーザの操作を検知したことに応答して、当該第1のUI部品に対応付けられた処理を起動するための処理起動手段」とは、「前記第1のUI部品表示手段により前記表示画面上に表示された前記第1のUI部品がユーザの操作により選択されたことに応答して、当該第1のUI部品に対応付けられた処理を起動するための処理起動手段」である点で共通するものといえる。
(4)引用発明1の「ユーザにより選択された画像出力装置10に対して装置情報を問い合わせ、これに応答した画像出力装置10からの装置情報を取得し、画像出力装置10で障害が発生していれば、ユーザにより選択された画像出力装置10に障害が発生している旨のコメントやコード等を操作表示部7に表示」することは、本願発明1の「第1のUI部品に対応付けられた処理」に相当する。
引用発明1の「画像出力装置の選択処理」により選択しようとする「画像出力装置」に「障害が発生している」旨のコメントやコード等が表示されることは、当該画像出力装置を選択する上での障害となる事象が発生していることにほかならないし、ここでの「画像出力装置」に「障害が発生している」旨の「コメントやコード等を操作表示部に表示」することは、本願発明1の「障害となる事象に関するメッセージを含む第2のUI部品」を「表示する」ことに相当する。
(5)引用発明1は、「ユーザにより選択された画像出力装置に対して装置情報を問い合わせ、これに応答した画像出力装置10からの装置情報を取得し」て障害が発生しているか否かを判断しているから、本願発明1と引用発明1とは、「処理起動手段により起動されるべき処理の障害となる事象の発生を」「検知」している点で共通するものといえる。
以上のことより、両者は、
〈一致点〉
「操作のための選択メニューを表示する一操作パネルと、
前記操作パネルの表示画面上に、ユーザによる操作により選択可能に表示される第1のユーザインターフェイス(UI)部品の画像を表示するための第1のUI部品表示手段と、
前記第1のUI部品表示手段により前記表示画面上に表示された前記第1のUI部品がユーザの操作により選択されたことに応答して、当該第1のUI部品に対応付けられた処理を起動するための処理起動手段と、
前記処理起動手段により起動されるべき処理の障害となる事象の発生を検知したことに応答して、前記表示画面上に、当該障害となる事象に関するメッセージを含む第2のUI部品を表示する第2のUI部品表示手段と、
を含む、表示操作装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
相違点1:本願発明の「表示面を有する表示一体型操作パネル」は、「表面上」に「ユーザによる操作を受付けることが可能なユーザインターフェイス部品の画像を表示する」ものであり、「当該ユーザインターフェース部品」が「ユーザの操作を検知」するものであるのに対して、引用発明1の「操作表示部」は、「選択メニュー」が「表示され、ユーザ側」が「操作表示部に表示された情報を基に」「ボタン操作等により選択」するものである点。
相違点2:本願発明が「障害となる事象が解消されたことを受けて、ユーザによる操作を受けることなく」、「第2のUI部品を消去する第2のUI部品消去手段」を備えているのに対して、引用発明1が当該手段を備えているか否かが不明である点。
5.判断
(1)相違点1について検討する。
タッチパネル上に表示されたボタンなどのユーザインターフェイス部品をユーザがタッチしたことを検知することで、当該ボタンが操作されたことを検知することは、GUI画像などとして、原出願日前に従来周知の技術(以下、「周知技術1」という。なお、必要であれば、特開2010-88006号公報の「【0021】・・・複合機1のフロント部には、入力操作部47が設けられている。入力操作部47には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー471と、・・・を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示パネル473と、・・・が備えられている。」との記載、及び、特開2010-93417号公報の「【0104】図4は、図2及び図3で説明したデジタル複合機の標準画面の例を示す図である。図4では、標準画面として、デジタル複合機1においてタッチパネル32に表示されるGUI画像の一例(GUI画像40とする)を示している。標準画面のGUI画像40は、デジタル複合機1の電源がONになったりリセットされたときにタッチパネル32に表示される。このGUI画像40では、デジタル複合機1の動作モードを選択するために、コピーモード選択キー41、イメージ送信モード選択キー42、ドキュメントファイリングモード選択キー43が表示されており、GUI画像40ではコピーモードが選択されている状態を示す。」との記載を参照されたい。)であり、上記周知技術1を適用して、引用発明1の「操作表示部」を「ネットワーク上で利用可能な画像出力装置の一覧」をGUI画像として表示するようにして、相違点1に係る本願発明の発明特定事項の如く構成することに、格別の困難性はない。
(2)相違点2について検討する。
例えば、特開2008-62479号公報には「【0028】・・・表示(3)は、エラー発生時の表示「エラーが発生しました」を表している。更に、画面下部に(エラー有り)と表示されエラーが回復するまで表示が継続され、エラーが回復すると消滅する。・・・」、特開2002-351628号公報には「【0028】次・・・各操作端末は受け取ったエラーメッセージをモニタ22又は34に表示する(#36)。トラブルが解消されると、一時格納モジュール54のエラーメッセージが消去されるので、操作端末でのエラーメッセージの表示が中止される(#37)。」と記載されているように、障害が発生した場合に、障害を報知するメッセージを表示し、障害が解消した場合に、そのメッセージを自動的に消去することは、原出願日前において周知の技術事項(以下、「周知技術2」という。)であると認められるから、上記周知技術2を採用して、引用発明1の「ユーザにより選択された画像出力装置10に障害が発生している旨のコメントやコード等を操作表示部7に表示した」後に、当該障害が解消した場合に、「操作表示部7に表示したコメントやコード等」を消去するようにして、相違点2に係る本願発明の発明特定事項の如く構成することは、当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明1、上記周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、上記周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
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