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特許拒絶査定不服審判

2018-008105

取り出し方法及びガンマ線検出器

審判番号
2018-008105
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-206569外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年06月13日
審決日
2019年07月04日
公報発行日
2019年10月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (G01T)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-206569「取り出し方法及びガンマ線検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月24日出願公開、特開2014- 74715〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年10月1日(パリ条約による優先権主張2012年(平成24年)10月2日、米国)の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 平成29年 9月25日付け:拒絶理由通知書(同年10月3日発送) 平成29年12月 1日  :意見書・手続補正書 平成30年 3月 8日付け:拒絶査定(同年3月13日送達) 平成30年 6月13日  :審判請求書 平成31年 2月26日付け:拒絶理由通知書 (最初、同年3月5日発送) 平成31年 4月24日  :意見書・手続補正書 以上に加えて、請求人は、当審からの電話による問い合わせ(令和元年5月15日付け)に対する回答を、令和元年6月7日に送信したFAXにより行った。 第2 平成31年2月26日付け拒絶理由通知の概要 当審が通知した上記拒絶理由は、概要、次のものを含む。 本願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではないから、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第3 当審の判断 1 本願発明の認定 本願の請求項1~13に係る発明は、平成31年4月24日に提出された手続補正書により補正された請求項1~13に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「ガンマ線検出器内で、シンチレータからの光を取り出す取り出し方法であって、 前記シンチレータの発光面上に、柱形状の構造体、円柱形状の構造体、円錐形状の構造体、又は、角錐形状の構造体を有する粗化処理された層を形成する形成ステップ、 を含み、 前記形成ステップは、 前記シンチレータの前記発光面上に、薄膜、又は、散乱粒子を含む、前記シンチレータが有する屈折率よりも高い屈折率を有する第1の薄層を堆積する第1ステップと、 前記第1の薄層上に、粗化処理された表面を有する第2の薄層を堆積する第2ステップと、 を含む、取り出し方法。」 2 本願発明についての実施可能要件違反 当審は、本願の発明の詳細な説明の記載が、本願発明について実施可能要件を満たしていないと判断する。その理由は、次のとおりである。 (1)本願の発明の詳細な説明及び図面(以下「本願明細書等」という。)の記載 本願明細書等には、次の記載がある。 ア 「【技術分野】」、 「本発明の実施形態は、取り出し方法及びガンマ線検出器に関する。」(【0001】) イ 「【背景技術】」、 「光収率を増やすために、シンチレーション材料の固有性能を向上する目的で種々の方法が使用されてきた。また、シンチレータの発光面を改変することによって光取り出しを増大させる目的でも、種々の方法が使用されてきた。例えば、半導体レーザ及びLEDからの光出力は、発光面を粗化処理することによって、高められてきた。シンチレータでは、従来、シンチレータ表面をラップ仕上げ(lapping)することによって得られた「粗化処理された表面」を使って、シンチレータからより多くの光を取り出している。更に、シンチレーション材料表面上にフォトニック結晶構造(photonic crystal structure)を作製することにより、シンチレーション材料からより多くの光を取り出すために、リソグラフィ(lithography)の方法も使用されてきた。」(【0006】)、 「従来、シンチレータをフォトセンサ(例えば、PMTやフォトダイオード)と結合するために、光学用接着剤が使用されている。しかし、光学用接着剤は、適切な屈折率を有しておらず、このため、シンチレータが発光した光は、全反射によって一部が反射され、シンチレータの中に戻される。従って、シンチレータからの光の取り出しが非効率的となり、このため、検出信号パルスの立ち上がりが低速になり、結果として、タイミング分解能が悪化する。」(【0007】) ウ 「【発明が解決しようとする課題】」、 「本発明が解決しようとする課題は、シンチレータが発光した光の取り出しを効率的に向上することができる取り出し方法及びガンマ線検出器を提供することである。」(【0009】) エ 「【課題を解決するための手段】」、 「実施形態の取り出し方法は、ガンマ線検出器内で、シンチレータからの光を取り出すための方法であり、形成ステップを含む。形成ステップでは、前記シンチレータの発光面上に、柱形状の構造体、円柱形状の構造体、円錐形状の構造体、又は、角錐形状の構造体を有する粗化処理された層を形成する。前記形成ステップは、第1ステップと、第2ステップと、を含む。第1ステップでは、前記シンチレータの前記発光面上に、薄膜、又は、散乱粒子を含む第1の薄層を堆積する。第2ステップでは、前記第1の薄層上に、粗化処理された表面を有する第2の薄層を堆積する。」(【0010】) オ 「【図面の簡単な説明】」、 「【図1】図1は、本実施形態の一形態に従って、シンチレータの発光面上に作製された粗化処理された層であり、円錐形状の微細構造体を有する層を示す図である。 【図2】図2は、シンチレータからの光の取り出しを向上する方法であって、本実施形態に係る第1の方法のフローチャートである。 【図3】図3は、シンチレータからの光の取り出しを向上する方法であって、本実施形態に係る第2の方法のフローチャートである。 【図4】図4は、ガンマ線検出器の一例を示すブロック図である。」(【0011】) カ 「【発明を実施するための形態】」、 「以下、添付図面を参照して、取り出し方法及びガンマ線検出器の実施形態を詳細に説明する。本明細書に記載の実施形態、及び、それに付随する諸利点の多くは、添付図面と併せて考察すれば、以下の詳細な説明を参照することによって理解がより深まり、より完全に把握することが容易である。」(【0012】)、 「一実施形態によれば、シンチレータの発光面上に、柱形状の構造体、円柱形状の構造体、円錐形状の構造体、又は、角錐形状の構造体を有する粗化処理された層を形成することによって、ガンマ線検出器内のシンチレータからの光の取り出しを向上する方法が説明される。」(【0013】)、 「一実施形態によれば、シンチレータの発光面上に、薄膜、又は、散乱粒子を含む第1の薄層を堆積し、第1の薄層上に、粗化処理された表面を有する第2の薄層を堆積することによって、ガンマ線検出器内のシンチレータからの光の取り出しを向上する方法が説明される。」(【0014】)、 「一実施形態によれば、シンチレータの前記発光面上に第1の薄層を堆積し、第1の薄層上に第2の薄層を堆積し、第2の薄層に粗化処理を施すことによって、ガンマ線検出器内のシンチレータからの光の取り出しを向上する方法が説明される。」(【0015】)、 「一実施形態によれば、ガンマ線検出器の一例であるPET検出器内のシンチレータ上に粗化処理された層を付設する。これによって、早い段階でシンチレータからより多くの光が放射されるようになり、上記検出器のタイミング分解能が向上する。タイミング分解能がこのように向上すれば、PET画像の画質が向上し、小さな病変を検出すること、及び、大柄な患者を診断することが容易になる。」(【0016】)、 「フォトニック結晶法では、表面は一部しか粗化処理されず、従って、光の取り出しは、あまり効率的ではない。しかも、フォトニック結晶法には数多くのステップが伴うため、製造コストが高くなる。」(【0017】)、 キ 「一実施形態によれば、シンチレータからより多くの光を取り出すために、シンチレータの発光面上に、微細構造体を有する粗化処理された層を形成する。」(【0018】)、 「図面を参照するにあたり、同様の参照番号は、複数の図面にわたり同一、又は、対応するパーツを表している。図1は、本実施形態の一形態に従って、シンチレータの発光面上に作製された粗化処理された層であり、円錐形状の微細構造体を有する層を示す図である。図1では、本実施形態の一形態に従って、シンチレータの発光面上に作製された、円錐形状の微細構造体を有する粗化処理された層の一例を示している。図1では、「粗化処理された層」を「薄膜」として示している。図1に示すように、発光面は、ガンマ線が入射する入射面と反対側の面である。図1に示すように、シンチレータの発光面は、シンチレータからの光が入射するフォトセンサの入射面に対向する。この発光面上に、高屈折率及び良好な透過性を有する第1の薄膜が、適切な温度で堆積される。一実施形態によれば、第1の薄膜は、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOで作製され、250度~850度の温度で堆積され、屈折率が1.7~2.1の範囲であり、シンチレータのシンチレーション波長領域において光学的透過性を有し、厚さは0.3μm~15μmの範囲である。」(【0019】)、 「次いで、所望の性質を有する第2の薄膜が堆積される。一実施形態によれば、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、ZnO、又は他の適切な材料で作製された第2の薄膜が、250度~850度の温度で堆積される。一実施形態によれば、第2の薄膜は、厚さが0.3~15μmの範囲であり、無害であり、低い処理温度である。」(【0020】)、 「一実施形態によれば、上記の処理で得られた粗化処理された層の表面は、柱形状の構造体、円柱形状の微細構造体、円錐形状の微細構造体、又は、別の同様の微細構造体(例えば、角錐形状の微細構造体)を有している。すなわち、粗化処理された層の表面は、シンチレータが発光した光を発光面からフォトセンサへ効率的に伝達するために、発光面での全反射が回避可能なように、凹凸の形状を有している。第1の薄層は、第2の薄層を粗化する台座の働きをする。一実施形態によれば、第1の薄層の働きで、第2の薄層は異なる場所で異なる速度で成長することになり、その結果、成長後の第2の薄層は、粗面を有する。」(【0021】) ク 「或いは、上記の微細構造体は、微細加工方法(micro-fabrication method)を使って、後で得ることができる。一実施形態によれば、微細構造体は、第2の薄層に直接的に化学エッチングを施すことによって得ることができる。別の実施形態によれば、微細構造体は、マスクの働きをするように第2の薄層上に散乱微小粒子を堆積し、次いで、化学エッチング、及び/又は、イオンミリングによって、又は、不要材料を除去できる他の方法によって、第2の薄層の表面に粗化処理を施すことで、得ることができる。」(【0022】) ケ 「図2は、シンチレータからの光の取り出しを向上する方法であって、本実施形態に係る第1の方法のフローチャートである。」(【0023】)、 「ステップS201において、シンチレータの発光面上に第1の薄層が堆積される。その第1の薄層は、高い屈折率及び良好な透過性を有するものである。第1の薄層は、適切な温度、例えば250度~850度で堆積される。一実施形態によれば、第1の薄層は、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOで作製される。第1の薄層は、屈折率が1.7~2.1の範囲であり、シンチレータのシンチレーション波長領域において光学的透過性を有し、厚さが0.3μm~15μmの範囲である。」(【0024】)、 「或いは、ステップS201では、小さいサイズの粒子をシンチレータの発光面上に堆積しても良い。すなわち、ステップS201では、発光面上に、薄膜、又は、散乱粒子を含む第1の薄層が堆積される。」(【0025】)、 「ステップS203において、第1の薄層上に、所望の性質を有する粗化処理された第2の薄層が堆積される。その第2の薄層は、適切な温度、例えば、250度~850度で堆積される。一実施形態によれば、第2の薄層は、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOで作製され、250度~850度の温度で堆積される。第2の薄層は、厚さが0.3~15μmの範囲であり、無害であり、処理温度が低い。」(【0026】) コ 「図3は、シンチレータからの光の取り出しを向上する方法であって、本実施形態に係る第2の方法のフローチャートである。」(【0027】)、 「ステップS301において、シンチレータの発光面上に第1の薄層が堆積される。」(【0028】)、 「ステップS303において、その第1の薄層上に第2の薄層が堆積される。」(【0029】)、 「ステップS305において、その第2の薄層に粗化処理が施される。本粗化処理ステップは、物理的プロセス、又は、化学的プロセスによって実施することができる。粗化処理後の第2の薄層は、柱形状の構造体、円柱形状の微細構造体、円錐形状の微細構造体、又は、別の同様の微細構造体(例えば、角錐形状の微細構造体)を有する。本粗化処理ステップは、微細加工方法によって実施することができる。一実施形態によれば、本微細構造体は、第2の薄層に直接的に化学エッチングを施すことによって実現することができる。別の実施形態によれば、微細構造体は、マスクの働きをするように第2の薄層上に散乱微小粒子を堆積し、次いで、化学エッチング及びイオンミリングのうちの少なくとも一方を実施することによって第2の薄層表面に粗化処理を施すことで、実現することができる。本実施形態では、第1方法や第2方法により「粗化処理された層」が発光面上に形成されることで、シンチレータの内部からフォトセンサに光が伝達する際に、光の全反射を防ぐことができる。その結果、本実施形態では、シンチレータが発光した光を効率よくフォトセンサに入射させることができる。従って、本実施形態では、シンチレータが発光した光の取り出しを効率的に向上することができる。」(【0030】) (2)認定事実 本願発明は、その特定事項からみて、本願明細書等における、主に、【0018】~【0021】・図1(上記(1)キ)及び【0023】~【0026】・図2(上記(1)ケ)に説明されているものと認められる。 そして、上記各記載によれば、本願発明について以下の事実が認められる。 ア 本願発明の「第1の薄層」は、「薄膜」又は「散乱粒子」を含む。(【0025】・請求項1) イ 本願発明の「第1の薄層」が「薄膜」からなる場合、その薄膜は、適切な温度、例えば250度~850度で、シンチレータの発光面上に、堆積される。その薄膜は、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOで作製される。その薄膜は、屈折率が1.7~2.1の範囲であり、シンチレータのシンチレーション波長領域において光学的透過性を有し、厚さが0.3μm~15μmの範囲である。(【0019】・【0024】) ウ 本願発明の「第1の薄層」が「散乱粒子」からなる場合、小さいサイズの粒子がシンチレータの発光面上に堆積される。(【0025】) エ 本願発明の「第2の薄層」は、適切な温度、例えば、250度~850度で、第1の薄層上に、堆積される。第2の薄層は、例えば、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOで作製され、250度~850度の温度で堆積される。第2の薄層は、厚さが0.3~15μmの範囲であり、無害であり、処理温度が低い。(【0020】・【0026】) オ 本願発明の「第2の薄層」は、第1の薄層上に、所望の性質を有する粗化処理された状態で、堆積される。すなわち、第1の薄層は、第2の薄層を粗化する台座の働きをするところ、第1の薄層の働きで、第2の薄層は異なる場所で異なる速度で成長することになり、その結果、成長後の第2の薄層は、粗面を有する。(【0021】・【0026】) カ 本願発明の「第2の薄層」における粗化処理された層の表面は、柱形状の構造体、円柱形状の微細構造体、円錐形状の微細構造体、又は、別の同様の微細構造体(例えば、角錐形状の微細構造体)を有している。すなわち、粗化処理された層の表面は、シンチレータが発光した光を発光面からフォトセンサへ効率的に伝達するために、発光面での全反射が回避可能なように、凹凸の形状を有している。(【0021】) (3)判断 ア 上記(2)オのとおり、本願発明の「第2の薄層」は、第1の薄層上に、所望の性質を有する粗化処理された状態で、堆積されるものである。そして、そのような堆積を可能とするメカニズムは、第1の薄層の働きで、第2の薄層は異なる場所で異なる速度で成長することにあるとされている。 イ しかるところ、本願明細書等は、「第1の薄層」が「薄膜」からなる場合は、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOといった材料を、250℃~850℃の温度で、0.3μm~15μmの範囲で堆積することしか記載していない(上記(2)イ)。このような薄膜は、本願明細書等では「膜」と位置づけられているのであって、しかも、0.3μm~15μmの範囲の厚さという、原子オーダーのサイズよりも充分に大きな厚さで堆積されているのだから、場所における物性の不均一性があるとは解されない。 そして、本願明細書等は、「第2の薄層」が、Al2O3、SixNy、ZrO2、TiO2、ZnS、又はZnOといった材料を、250℃~850℃の温度で、0.3μm~15μmの範囲で堆積されたものというのである(上記(2)エ)。このような「第2の薄層」は、「第1の薄層」が「薄膜」からなる場合の「第1の薄層」と、特段変わるところがない。 以上を踏まえると、「第2の薄層」を「第1の薄層」に堆積しても、第2の薄層が異なる場所で異なる速度で成長するとは、解されない。 また、本願明細書等は、「第1の薄膜」が「散乱粒子」であってもよいとする(上記(2)ア・ウ)けれども、それ以上の具体的な事項、例えば、サイズや材質、形状等がどうなっているのかを開示しない。 さらに、本願明細書等は、実施例を一切開示しない。 ウ そうすると、当業者といえども、本願発明をどのように実施すればよいのかを理解することはできないというべきである。 エ これに対し、請求人は、平成31年4月24日に提出した意見書において、本願明細書等の【0030】からみて、粗化処理を行う主体は、物理的プロセス又は化学的プロセスである旨主張する。 しかしながら、同【0030】の当該記載は、「第2の方法」(【0027】)に係るものであって、本願発明に対応する記載であるとは認められない。 請求人の主張は、失当である。 オ さらに、請求人は、令和元年6月7日に送信したFAXにおいて、概要、 (i) 第1の薄層は、基板に薄層を堆積する一般的な堆積プロセスのうち、「Nucleation」から「Island Formation」の段階まで進んだものであって、「Island Coalescence」には進んでいないものであること、 (ii) 第2の薄層は、第1の薄層をシンチレータに堆積させる際の条件(例えば、温度)とは異なる条件で堆積させており、その条件は、1つ1つの第2の薄層の島が、垂直方向に延びるような形状、又は、円錐形の形状となるように成長するための条件であること、 を主張する。 (ア)しかしながら、(i)については、本願明細書等は、そのような記載を有さないと認められる。かえって、本願明細書等の【0019】・【0024】は、「第1の薄層」の厚さが、「0.3μm~15μmの範囲」という原子オーダーのサイズよりも充分に大きな厚さであることを記載するのであり、そのような厚さにおいて、「第1の薄層」が「Island Coalescence」に進んでいないとは考えがたい。そして、本願明細書等は、実施例による裏付けも示さない。 請求人の主張は、本願明細書等の記載に根拠がないものである。 (イ)(ii)について、本願明細書等は、第2の薄層を堆積させる条件として、材質、堆積温度及び厚さを記載する(【0020】・【0026】)けれども、これらの条件が、1つ1つの第2の薄層の島が、垂直方向に延びるような形状、又は、円錐形の形状となるように成長するための条件であることを記載していない。また、本願明細書等の記載からは、第2の薄層を堆積させる条件が、第1の薄層を堆積させる条件と異なるのかも、判然としない。 かえって、上記イで説示したとおり、「第2の薄層」は、「第1の薄層」とは特段変わるところがないし、しかも、「第2の薄層」の厚さも、「0.3μm~15μmの範囲」という原子オーダーのサイズよりも充分に大きな厚さであるのだから、第2の薄層が、1つ1つの島となって、垂直方向に延びるような形状、又は、円錐形の形状となるように成長するとは考えがたい。そして、本願明細書等は、実施例による裏付けを示さない。 請求人の主張は、本願明細書等の記載に根拠がないものである。 カ したがって、本願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-008105

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