特許拒絶査定不服審判
2025-009086
放射線診断装置及び放射線診断方法
- 審判番号
- 2025-009086
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-008503
- 請求日
- 2025年06月11日
- 審決日
- 2026年04月01日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 萩田 裕介
- 審判官 遠藤 直恵
- 分類
- P18 .121-Z (G01T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 8503「放射線診断装置及び放射線診断方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月30日出願公開、特開2021-124503〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 3年 1月22日(優先権主張 令和 2年 1月31日)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 6年 9月24日付け 拒絶理由通知書
同年12月 2日 意見書・手続補正書の提出
令和 7年 3月12日付け 拒絶査定
同年 6月11日 審判請求書の提出
以下では、令和 7年 3月12日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 本願発明について
本願の請求項1~14に係る発明は、令和 6年12月 2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおり特定されるとおりのものである
「【請求項1】
放射線が通過する際に発生するチェレンコフ光を検出する第1の検出器と、
前記第1の検出器に対して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して設けられ、前記放射線のエネルギー情報を検出する第2の検出器と、
を備える、放射線診断装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
理由2(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献2:特開2005-114367号公報
引用文献3:特開2005-300232号公報(周知技術を示す文献)
第4 本願発明の分節
本願発明は、前記第2に記載した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成A~構成Cに分説する。(A~Cは、各構成単位毎に分説するために当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について、該分説番号を用いて「構成A」などということがある。引用発明等についても同様である。)
「【請求項1】
A 放射線が通過する際に発生するチェレンコフ光を検出する第1の検出器と、
B 前記第1の検出器に対して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して設けられ、前記放射線のエネルギー情報を検出する第2の検出器と、
を備える、
C 放射線診断装置。」
第5 引用文献の記載事項、引用発明及び周知技術
1 引用文献2
(1) 引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された特開2005-114367号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付与した。以下同様。)。
ア 「【0036】
この発明の放射線検出器およびRIイメージング装置の実施例について図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明する実施例は、この発明の放射線検出器の一実施例を装備したRIイメージング装置の一実施例に係る装置であって、PET装置にX線CT装置が一体的に合体された複合型RIイメージング装置である。図1は実施例の複合型RIイメージング装置の構成を示すブロック図であり、図2は実施例の装置の撮影台を縦に破断して示す斜視図である。」
イ 「【0037】
実施例の装置は、図1および図2に示すように、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1と、被検体Mにコーンビーム状のX線を照射するX線管4とを備えるとともに、放射線検出器1の高空間分解能型検出部3がX線検出機能を有しており、被検体Mに投与されたRIのポジトロンの消滅に伴って放射される消滅γ線を放射線検出器1の高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3とで検出して後段で被検体MのRI分布像を得るのに加え、X線管4から照射されて被検体Mを透過したX線を放射線検出器1の高空間分解能型検出部3で検出して後段で被検体MのX線CT像を得る複合装置である。なお、図2では破断した片側だけを図示しているために高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3が被検体Mを半周巡るだけの図示状態となっているが、高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3は被検体Mを全周巡る配置となっている。以下、実施例の装置の各部構成を具体的に説明する。」
ウ 「【0038】
放射線検出器1の高時間分解能型検出部2は、シンチレータの後にシンチレータから放出される光を受光して光電変換信号を出力するフォトマルチプライヤを配置した放射線検出デバイスを用いて構成してあり、この放射線検出デバイスが高時間分解能適性に優れるので、高時間分解能型検出部2は十分な高時間分解能力を有する。具体的には、例えば、図3および図4に示すように、幾本ものシンチレータ5を縦横に並ぶかたちで束ねたシンチレータブロック6の後に複数本のフォトマルチプライヤ7を配置した放射線検出デバイス8が用いられている。シンチレータブロック6におけるシンチレータ5の配置間隔は、例えば数ミリ程度である。シンチレータ5の材料は例えばBGOクリスタルである。」
エ 「【0041】
放射線検出器1の高空間分解能型検出部3は、多数の放射線検出素子が2次元状マトリックス配置で並べられているフラットパネル型放射線検出デバイス(FPD)を用いて構成してあり、このFPDが高空間分解能適性に優れるので、高空間分解能型検出部3は十分な高空間分解能力を有する。具体的には、図5および図6に示すように、極めて多数個の放射線検出素子9がフラット基板10の放射線検出面に縦と横のラインに沿って整列配置されているFPD11が用いられている。FPD11は、γ線およびX線のいずれでも直に電気信号に変換する放射線感応膜12と、放射線感応膜12の放射線入射側に設けられたバイアス電圧印加用の共通電極13と、放射線感応膜12の放射線入射側とは反対側に素子と同じ2次元状マトリックス配置で設けられた画素電極用の収集電極14とを有しており、放射線検出素子9が収集電極14の配置間隔で縦横に並んでいる。放射線感応膜12としては例えばCdTe等の半導体膜が挙げられる。放射線検出素子9の配置間隔としては、例えば0.1mm程度が挙げられる。」
オ 「【0063】
さらに、放射線検出器1の場合、高空間分解能型検出部3では放射線感応膜12がγ線を検出する時はなだれ増幅領域(GM領域ないし放電領域)でγ線検出動作を行い、X線を検出する時は非増幅領域(電離箱領域ないし電荷収集領域)ないし比例増幅領域(比例計数管領域)でX線検出動作を行う。」
カ 「【0076】
(3)実施例では、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の内側に配置されていたが、例えば、X線CT撮影機能を備えないPET専用装置などの場合には、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の外側に配置されていてもよい。同じくPET専用装置などの場合には、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2よりも空間分解能が低くてもよいし、高時間分解能型検出部2が高空間分解能型検出部3よりも時間分解能が低くてもよい。いずれの場合においても、高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3とが同一のγ線を検出するので、高時間分解能型検出部2または高空間分解能型検出部3のいずれか一方で空間分解能に優れた(すなわち高空間分解能の)検出部2,3でγ線を検出することができ、高時間分解能型検出部2または高空間分解能型検出部3のいずれか他方で検出効率に優れた(すなわち高検出効率の)検出部2,3でγ線を検出することができる。その結果、二重リング状の配置で設置する程度であるので、検出器の構成が複雑化することもない。」
キ 「図1
[図:0001436027000001.jpg]
」
(2) 引用文献2に記載された発明
上記ア~カの記載事項及び図面を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1を備え、(【0037】)
放射線検出器1の高時間分解能型検出部2は、シンチレータの後にシンチレータから放出される光を受光して光電変換信号を出力するフォトマルチプライヤを配置した放射線検出デバイスを用いて構成してあり、(【0038】)
放射線検出器1の高空間分解能型検出部3は、多数の放射線検出素子が2次元状マトリックス配置で並べられているフラットパネル型放射線検出デバイス(FPD)を用いて構成してあり、(【0041】)
FPD11は、γ線およびX線のいずれでも直に電気信号に変換する放射線感応膜12を有しており、(【0041】)
放射線感応膜12はγ線を検出する時はなだれ増幅領域(GM領域ないし放電領域)でγ線検出動作を行い、(【0063】)
X線CT撮影機能を備えないPET専用装置であって、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の外側に配置されて、
高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3とが同一のγ 線を検出するので、複雑化することなく、空間分解能に優れ、検出効率に優れた検出器の構成とできる、(【0076】)
RIイメージング装置。(【0036】)」
2 引用文献3
(1) 引用文献3の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す文献である引用文献3として引用された特開2005-300232号公報(以下「引用文献3」という。)には図面とともに次の記載がある。
ア 「【0023】
本発明の請求項1に係る陽電子放出断層撮像装置によれば、屈折率が1.155より大きく1.25未満であるエアロゲルと、このエアロゲルを通過する電子によって生じるチェレンコフ光を検出する検出器を備えてγ線検出手段が形成されているために、光電効果事象をコンプトン散乱事象から有効に識別することができ、光電効果により発生した荷電粒子による発光(チェレンコフ光)のみを検出することができるものであり、この結果、位置精度良く癌細胞などの異常組織の位置を発見することができるものである。しかも応答時間が速く時間分解能が高いために、データ収集及び解析機構を簡素化することができるものである。」
(2) 周知技術
上記(1)の記載事項に例示されるように、以下の技術的事項は、本願優先日前における周知技術であると認められる(以下「周知技術1」という。)。
「陽電子放出断層撮像装置において、γ線検出手段としてチェレンコフ光を検出する検出器を用いることで応答時間が速く時間分解能が高くなること。」
第6 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 構成Aについて
引用発明は「被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1を備え、放射線検出器1の高時間分解能型検出部2は、シンチレータの後にシンチレータから放出される光を受光して光電変換信号を出力するフォトマルチプライヤを配置した放射線検出デバイスを用いて構成」するものである。
ここで、引用発明の「被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2」は、「シンチレータ」を有しており、当該「シンチレータから放出される光を受光して」γ線を検出する構成であるから、当該シンチレータは「被検体Mから放射されるγ線」が通過する際に発生するシンチレーション光を検出していると認められ、引用発明の「高時間分解能型検出部2」は、本願発明の「第1の検出器」に相当する。
してみると、引用発明の「被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1を備え、放射線検出器1の高時間分解能型検出部2は、シンチレータの後にシンチレータから放出される光を受光して光電変換信号を出力するフォトマルチプライヤを配置した放射線検出デバイスを用いて構成」するものは、本願発明の「放射線が通過する際に発生するチェレンコフ光を検出する第1の検出器」と、「放射線が通過する際に発生する」「光を検出する第1の検出器」である点で共通する。
2 構成Bについて
引用発明は「被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1を備え」、「放射線検出器1の高空間分解能型検出部3は、多数の放射線検出素子が2次元状マトリックス配置で並べられているフラットパネル型放射線検出デバイス(FPD)を用いて構成してあり、FPD11は、γ線およびX線のいずれでも直に電気信号に変換する放射線感応膜12を有しており、放射線感応膜12はγ線を検出する時はなだれ増幅領域(GM領域ないし放電領域)でγ線検出動作を行い、X線CT撮影機能を備えないPET専用装置であって、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の外側に配置されて、空間分解能に優れ、検出効率に優れた検出器の構成とする」ものである。
ここで、引用発明の「高空間分解能型検出部3は、」「フラットパネル型放射線検出デバイス(FPD)を用いて構成してあり、FPD11は、」「放射線感応膜12を有しており、放射線感応膜12はγ線を検出する時はなだれ増幅領域(GM領域ないし放電領域)でγ線検出動作を行」うから、当該「高空間分解能型検出部3」は、「放射線感応膜12」において、「γ線」のエネルギーに応じて出力が変化すると認められる。そうすると、引用発明の「高空間分解能型検出部3」は、本願発明の「放射線のエネルギー情報を検出する」機能を有しているといえ、本願発明の「第2の検出器」に相当する。
また、引用発明は、「高時間分解能型検出部2と、」「高時間分解能型検出部2」「で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3」「とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されて」おり、「高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の外側に配置されている」から、「高時間分解能型検出部2」に対して、「高空間分解能型検出部3」は、放射線の発生源である被写体Mから遠い側に対向して設けられると認められる。
してみると、引用発明の「被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、被検体Mから放射されるγ線を高い時間分解能で検出する高時間分解能型検出部2と、被検体Mの周りを巡るかたちで配備され、高時間分解能型検出部2(第1検出手段)で検出されるγ線と同一のγ線を高い空間分解能で検出する高空間分解能型検出部3(第2検出手段)とが例えば同心的二重リング状の配置で設置されている放射線検出器1を備え」、「放射線検出器1の高空間分解能型検出部3は、多数の放射線検出素子が2次元状マトリックス配置で並べられているフラットパネル型放射線検出デバイス(FPD)を用いて構成してあり、FPD11は、γ線およびX線のいずれでも直に電気信号に変換する放射線感応膜12を有しており、放射線感応膜12はγ線を検出する時はなだれ増幅領域(GM領域ないし放電領域)でγ線検出動作を行い、X線CT撮影機能を備えないPET専用装置であって、高空間分解能型検出部3が高時間分解能型検出部2の外側に配置されて、空間分解能に優れ、検出効率に優れた検出器の構成とする」ものは、本願発明の「前記第1の検出器に対して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して設けられ、前記放射線のエネルギー情報を検出する第2の検出器」という構成を備える。
3 構成Cについて
引用発明の「RIイメージング装置」は、本願発明の「放射線診断装置」に相当する。
4 一致点、相違点
上記1~3のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、下記(1)の点で一致し、下記(2)の点で相違する。
(1) 一致点
「A’ 放射線が通過する際に発生する光を検出する第1の検出器と、
B 前記第1の検出器に対して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して設けられ、前記放射線のエネルギー情報を検出する第2の検出器と、
を備える、
C 放射線診断装置」
(2) 相違点(構成Aについて)
本願発明の第1の検出器は、「チェレンコフ光」を検出すると特定されているが、引用発明の高時間分解能型検出部2は、シンチレーション光を検出する点。
第7 判断
1 相違点について
引用発明は、「高時間分解能型検出部2と高空間分解能型検出部3とが同一のγ線を検出するので、複雑化することなく、空間分解能に優れ、検出効率に優れた検出器の構成とできる」との効果を有するものであって、当該効果は、「高時間分解能型検出部2」に関しては、その検出原理によらず、高時間分解能であれば発揮できるものであることは明らかであるから、引用発明において、「高時間分解能型検出部2」として具体的にどのような検出部を用いるかは、高時間分解能を有する公知の検出部の中から、当業者が適宜選択して決定することができるものといえる。
そうすると、引用発明において、「高時間分解能型検出部2」として、「シンチレーション光を検出する検出器」に代えて、周知技術1のとおり、時間分解能が高いことが知られているチェレンコフ光を検出する検出器を選択して用いるものとし、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 効果について
本願発明により奏される効果も、引用発明及び周知技術1から当業者が予測し得るものであり、格別顕著なものではない。
3 請求人の主張について
請求人は、令和 7年 6月11日提出の審判請求書において、
「 しかしながら、引用文献2は、あくまで同一のガンマ線(段落0073)を、時間分解能/空間分解能の異なる2種類の検出器を用いて検出する場合に、一方の検出器は他方の検出器の外側でも内側でもよい(すなわち、一方の検出器と他方の検出器との空間的配置において特に制約がない)旨を記載しているにすぎず、本願のように、チェレンコフ光(第1の検出器)とシンチレーション光(第2の検出器)といった、「発生機序の異なる光」をそれぞれの光に特化した検出器で検出する場合において、第2の検出器が、第1の検出器と比較して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して配置されるべきである旨の示唆を与えるものではありません。」との主張をしているので、検討する。
引用発明は、高時間分解能型検出部2を高空間分解能型検出部3の内側に配置するものであり、上記1で示したとおり、周知技術1を適用して高時間分解能型検出部2をチェレンコフ光を検出するものとし、相違点に係る本願発明の構成とすることは容易に想到できることである。
したがって、引用文献2が、「チェレンコフ光(第1の検出器)とシンチレーション光(第2の検出器)といった、「発生機序の異なる光」をそれぞれの光に特化した検出器で検出する場合において、第2の検出器が、第1の検出器と比較して、前記放射線の発生源から遠い側に対向して配置されるべきである旨の示唆を与えるものでは」ないことをもって、本願発明の構成とすることは、容易に想到できないとはいえない。
また、内側の検出器をチェレンコフ光を検出する検出器とすることで、当業者の予測を超える顕著な効果があるともいえない。
よって、審判請求人の上記主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-009086