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特許拒絶査定不服審判

2018-006497

閉塞性睡眠時無呼吸を治療する頚に対する負圧

審判番号
2018-006497
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-515626外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年05月11日
審決日
2019年05月30日
公報発行日
2019年11月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-515626号「閉塞性睡眠時無呼吸を治療する頚に対する負圧」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月12日国際公開、WO2013/182978、平成27年8月6日国内公表、特表2015-522325号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年6月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年6月5日 US(アメリカ合衆国))を国際出願日とする出願であって、平成26年12月9日に手続補正書が提出され、平成29年4月14日付けで拒絶理由が通知され、同年7月12日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、平成30年5月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成30年5月11日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年5月11日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成30年5月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、請求項7について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 (1)補正前の請求項7 「 【請求項7】 被験者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供するよう構成されるシステムであって、 前記被験者は、前側を含む頚を有し、 キャビティの開口を形成するための手段と、 前記キャビティの内部と前記頚との間にチャンバが形成されるように、前記被験者の前記前側の内側部分を係合するための手段と、 前記チャンバを負圧源と流体的に連絡させるための手段と、 前記被験者の軟組織が前記形成される開口を通じて前記キャビティ内に引き込まれ、一時的気道閉塞を減少させるように、前記チャンバに負圧を適用するための圧力手段とを含み、 前記頚の周囲に沿う前記係合の領域の円弧長は、約60度~約120度の間に及び、 前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段並びに前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含み、 前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段並びに前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む、 システム。」 (2)補正後の請求項7 「 【請求項7】 被験者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供するよう構成されるシステムであって、 前記被験者は、前側を含む頚を有し、 キャビティの開口を形成するための手段と、 前記キャビティの内部と前記頚との間にチャンバが形成されるように、前記被験者の前記前側の内側部分を係合するための手段と、 前記チャンバを負圧源と流体的に連絡させるための手段と、 前記被験者の軟組織が前記形成される開口を通じて前記キャビティ内に引き込まれ、一時的気道閉塞を減少させるように、前記チャンバに負圧を適用するための圧力手段とを含み、 前記頚の周囲に沿う前記係合の領域の円弧長は、約60度~約120度の間に及び、 前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段、前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段、並びに前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含み、 前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段、前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段、並びに前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む、 システム。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「システム」が「前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段並びに前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含」むことに関して、上記のとおり「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段」を含むという限定事項を付加し、「システム」が「前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段並びに前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む」ことに関して、上記のとおり「前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段」を含むという限定事項を付加するものであって、補正前の請求項7に記載された発明と補正後の請求項7に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の請求項7に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 特表2011-522577号公報(以下「引用文献1」という。) ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用され本願の優先日前に頒布された、上記引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審が付した。以下、同様である。)。 (1a) 「【請求項1】 気道の閉塞を緩和する器械において、 前記上気道を覆っている前記咽喉の外部区域と嵌め合い、それによって前記咽頭の外部区域を密封するように構成されている周辺表面を備えている治療器具であって、嵌め合わされると、前記治療器具は、前記治療器具の前記内面と、8.193532cm3(0.5in3)及び196.644768cm3(12in3)の間の密封された容積を有する前記咽喉と、の間に位置する空間充填室を提供する、治療器具と、 前記室に作動可能に接続されており、40dB SPL未満の騒音水準を発生させながら、水柱7.6cm及び61cmの間の水準で前記室内部の部分真空を維持するように構成されている空気ポンプと、を備えている器械。」 (1b) 「【0012】 本発明は、個人の上気道の開存性を改良することを支援する装置及び方法を提供する。」 (1c) 「【0043】 気道閉塞を改善する治療器具の最小設計は、使用者に嵌めた時に器具の内面と咽喉の皮膚の間の空間充填室であって、当該構造は空間内部に作られる所望の部分真空に耐え得る十分な剛性を有する空間充填室を提供するように、及び当該室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁を提供するように構成された構造である。十分な部分真空は、室内部に作り出されると、上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間へ動かし、それによって気道の開存性が高められる。」 (1d) 「【0051】 空気ポンプへの接続は、治療器具によって形成される室への進入手段を提供する管又は延長コネクタを通じて行われ得る。空気ポンプによって抜き出される必要がある空気の容積を最小化し且つ設計の小型化をより進めるために、真空源は直接的に室と嵌め合うことが好適である。器具の接続口は、ルアー型接続に類似したやり方で源と室の必要な連絡を提供するために、空気ポンプ側の対応するコネクタと嵌め合うことが可能である。 【0052】 好適な実施形態では、器具は、必要な単数又は複数の電子的及び機械的モジュールを使用者側に位置付ける支持材としての役割を果たしている。特に好適な実施形態では、1つ又はそれ以上のモジュールは、図1で図示するように器具の下側前部で中心に位置付けられている。この構造は、単数又は複数のモジュール102を首の近くに配置するように、単数又は複数のモジュール102の追加的な重量を器具101上に位置付け、これは、低真空水準の器具を取り除く傾向を最小化する。単数又は複数のモジュールが、器具の側部にも位置付けられる場合、その様な構成は、睡眠を邪魔する可能性がある。代替的な実施形態では、モジュールの1つ又はそれ以上は、器具から物理的に分離され、例えば腕の下側で使用者に装着されてもよい。そのような構成は、小型化においては劣るものの、設計の歩行可能な特質をなおも保持している。 【0053】 図1及び図2では、電子的及び機械的モジュール102及び202は、器具の外部から保持されているように図示されており、この事例では3点スナップ103及び203を備えているが、当業者には周知の他のファスナシステムを使用することもできる。そのような取り付け構造は、治療器具を単数又は複数の電子的及び機械的モジュールの物理的な剛性から隔絶することができ、それによって器具は屈曲してそれぞれの使用者の解剖学的な構造に適合することができるようになっている。この外部取り付けは、更に、単数又は複数の電子的及び機械的モジュール内部で発生し器具の中へ伝搬される振動を最小化することができる。有利なことに、スナップ点の1つは、それを用いて真空モジュールが密封された室から空気を抜き出す、器具を貫通する接続口への進入手段を提供することができる。更に、モジュールは、緩衝構成要素を物理的に覆い、結果的に保護するように配置され得る。」 (1e) 「【0065】 本明細書で使用されるような用語「空気ポンプ」は、部分真空を残すためにガス分子をシールされた室から除去する装置を指している。」 (1f) 「【0080】 好適な電子的/機械的真空制御機構は、真空又は圧力センサー及びモーター制御回路構成と連結されるマイクロ制御要素を備えていてもよい。図3は、例示的な機械的/電子的モジュールをブロック形態で図示している。この好適な実施形態は、全てが1つのハウジングの中に入っている、モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールと、電池パックモジュール306と、圧力/真空センサー304、制御要素回路構成301及びドライバ回路構成302を備えている制御モジュールと、を含んでいる。例示的な実施形態では、ハウジングは、大きさが約1.90500×4.44500×7.62センチメートル(0.75×1.75×3.00インチ)である。」 (1g) 「【0081】 典型的な制御モジュールを図4で図示している。これは、とりわけ、システムに電力を供給する電池モジュール404、真空及び電子システム用のオン/オフ切り替え制御403及び治療的に効果的な真空を維持するために真空システムに指令を出す制御電子機器を含んでいる。入力装置402は、所望の部分真空水準をマイクロ制御要素405に入力するために設けられている。適切なマイクロ制御要素405は、Atmel ATmega48、ATmega88又はATmega168を含む。それぞれは、演算論理ユニット、フラッシュメモリ及び/又はI/O機能を含む8ビットマイクロ制御要素である。ブラシレスDCモーターの場合、Texus Instruments L293のような4倍半Hドライバが適している。最も小型の形態では、電子制御回路は、モータードライバ407と同じ回路基板に統合されてもよい。室401内部で真空安定性を維持するために、マイクロ制御要素は、真空/圧力センサー406及びPID(比例、積文及び微分)ループを使用して、目標真空に対する現在の真空を比較する。制御要素は、その後ポンプ409/モーター408に適宜指示を出すであろう。この目的の例示的な制御流れ図を図19で提供している。逆止め弁410は、ポンプから室401への漏れを防ぎながら、室から空気を除去することを可能にするために設けることができる。 【0082】 装置の性能及び制御を改善するために、数多くの任意の構成要素を採用することが可能である。例えば、器具及び使用者の皮膚によって密封される容積は、おおよそ分かっているので、部分真空を実現する時間を計算することができる。真空又は圧力センサーは、ポンプ及びモーターを活性化するのに必要な真空の降下を検出する。部分真空が或る適切な時間内に実現されなかったと判定されると、真空源を停止し、随意的に警報状態を示すことができる。適切な警報は、視覚的(例えば光)、音響的(例えば発信音)及び/又は触感的(例えば振動)表示を含み得る。 【0083】 更に、上文で検討したように、部分真空は、使用者の皮膚に接触する皮膚における力の負荷を変えるために、治療期間の少なくとも一部の間、より低い水準までサイクル化される。このサイクル化は、吸気/呼気サイクルと一致するように同期化され得るので、部分真空は吸気の間増進されることになる。このために、制御回路構成が吸気/呼気を検出するセンサーと通信すること、及び器具によって形成される室が部分真空に迅速に変化することができること、が必要である。これは、気動内圧水準を呼吸作用の吸気及び呼気位相と同期させる「2相性CPAP」として知られる型の持続的気道陽圧法(CPAP)治療法と似ている。 【0084】 別の実施形態では、真空は快適性を改善し、睡眠中の覚醒を減らすために使用者の睡眠サイクルと何らかの方法で一致するように調整され得る。1つの可能な方法は、睡眠段階3又はそれ以上の間ではより大きい部分真空水準を、使用者がより覚醒させられ易い段階1又は2では下げられた真空水準を作ることである。或いは、より大きい部分真空水準は、約5時間の睡眠迄作られ、それを過ぎると、使用者は標準的にはより覚醒し易い状態になるであろう。別の代替案では、低めの部分真空水準は、騒音が標準的には睡眠サイクルに最も大きく中断させる影響を有する時である睡眠の最初及び最後の2時間の間に提供され得る。 【0085】 真空は、更に、いびき又は無呼吸が始まるなどの事象の間又はその直後に増進された真空を実現するように制御され得る。歩行可能な装置の機械的要素のそのようなより低い使用水準は、器具が作り出す音及び振動水準を最小化することができ、気道が閉塞されていない期間では使用者に付加的な快適性を提供し得る。無呼吸事象は、心臓内拍動時間間隔測定、呼吸測定、パルス酸素測定などから検出することができ、いびき事象は、振動測定などで音響的に測定することができる。呼吸気流温度を測定するために使用されるサーミスタ、呼吸音及びいびきを測定するために使用される音響センサー、血中酸素水準を測定するために使用される酸素濃度計、呼吸誘発振動を測定するために使用される振動センサーなど、のような数多くのセンサーの型は、呼吸サイクル、無呼吸事象及びいびき事象を感知するものとして技術的に知られている。 【0086】 制御要素は、更に、システム制御を強化し、真空システムを変化する患者の状況に合わせるためにそのようなセンサーから受け取る情報をフィルタリングするようにプログラムすることができる。例えば、制御要素は、嚥下又は咳嗽事象のような身体の動きが瞬間的に室内部の真空を高めたことを示すセンサーデータを認識し、真空が標準的な水準以上に戻るまで空気ポンピングシステムを休止するようにプログラムすることができる。制御要素は、身体位置(例えば横向き対後ろ向き対直立)を示すセンサーデータ(例えば加速度計、姿勢検出装置などから)を更に認識することができる。 【0087】 別の実施例では、制御要素は、無呼吸又はいびき事象を示すセンサーデータを認識するようにプログラムすることができる。真空は、センサーデータが事象は終了したことを示すまで、事象の間は事前設定された治療水準から増進されてもよい。事象の後、真空は、事象前水準まで戻されてもよい。或いは、真空はより高い水準で維持され、制御要素に記憶される治療真空水準をこの新しいより高い水準に設定し得るので、器具のその後の使用は、この新しい事前設定治療水準から開始されることになるであろう。更に別の実施例では、制御要素は、許容可能と考えられる一晩当たりの無呼吸又はいびき事象の数でプログラムされてもよく、制御要素は、事象の数を数える又は事象の長さを計算し得、それらが或る閾値数を超える場合、事象が数又は期間に関して20%又はそれ以上だけ減少するまで真空を上方に調整してもよい。この方法では、システムは、単数又は複数のセンサーから受信されたフィードバックに基づいて自動調整されてもよい。」 (1h) 図1~3は、以下のとおりである。 イ 引用文献1に記載された発明 (ア) 摘記(1a)~(1g)に記載の「治療器具」、「器具101」及び「器具」は、同じ構成を意味していることが明らかであるから、引用発明の認定においては用語を統一し、これらを「治療器具101」とする。 摘記(1c)に記載の「空間充填室」及び「室」についても、同様に用語を統一し、「空間充填室」とする。 (イ) 摘記(1d)の段落【0053】の「電子的及び機械的モジュール102」は、図1及び図2に示され、摘記(1f)の記載内容及び図3から、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」を含むといえるから、摘記(1e)を参照すると、実質的に「空気ポンプ」の構造を備えているものと理解できる。 そうすると、摘記(1a)の「空気ポンプ」は、実質的に、「電子的及び機械的モジュール102」の一部を意味していることが明らかである。 このことと、摘記(1a)の「気道の閉塞を緩和する器械において、」「治療器具と、」「空気ポンプと、を備えている器械。」という記載、上記(ア)及び図1~3(特に図1)を併せると、引用文献1には、「気道の閉塞を緩和する器械において、」「治療器具101と、」「電子的及び機械的モジュール102と、を備えている器械。」が記載されている。 (ウ) 摘記(1c)について、「空間内部に作られる所望の部分真空に耐え得る十分な剛性を有する空間充填室」と記載されていることから、「十分な部分真空は、室内部に作り出される」ことは、「十分な部分真空は、空間充填室の空間内部に作り出される」ことを意味していると理解できる。 (エ) 摘記(1d)の段落【0053】の「図1及び図2では、電子的及び機械的モジュール102及び202は、器具の外部から保持されているように図示されており、この事例では3点スナップ103及び203を備えている」という記載と、図1及び図2(特に図1)とを併せると、電子的及び機械的モジュール102が3点スナップ103で治療器具101の外部に保持されていることが、明らかである。 (オ) 摘記(1d)の段落【0053】の「真空モジュール」は、「密封された室から空気を抜き出す」ことから、摘記(1f)の「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」と同じものを意味していることが明らかであり、当該「真空モジュール」は、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」といえる。 (カ) 上記(ア)~(オ)、摘記(1a)~(1g)及び図1~3(摘記(1h))を総合し、本件補正発明の発明特定事項に倣うと、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明] 「治療器具101と電子的及び機械的モジュール102とを備えている気道の閉塞を緩和する器械において、 治療器具101は、使用者に嵌めた時に治療器具101の内面と咽喉の皮膚の間の空間充填室であって、空間内部に作られる所望の部分真空に耐え得る十分な剛性を有する空間充填室を提供するように、当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁を提供するように構成された構造であり、 十分な部分真空は、空間充填室の空間内部に作り出されると、上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間へ動かし、それによって気道の開存性が高められ、 電子的及び機械的モジュール102は、ハウジングの中に入っている、モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールと、電池パックモジュール306と、圧力/真空センサー304、制御要素回路構成301及びドライバ回路構成302を備えている制御モジュールと、を含み、 電子的及び機械的モジュール102が3点スナップ103で治療器具101の外部に保持され、スナップ点の1つは、モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す、治療器具101を貫通する、接続口への進入手段を提供することができる、 気道の閉塞を緩和する器械。」 (3)対比 ア 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア) a 引用発明の「使用者」は、本件補正発明の「被験者」に相当する。 b 引用発明の「気道の閉塞を緩和する」ことは、「使用者」の「気道の閉塞を緩和する」ことを意味し、「使用者」の「閉塞性睡眠時無呼吸」を改善することができるといえる(摘記(1g)の段落【0085】を参照。)。 このことと上記aを踏まえると、 引用発明の「気道の閉塞を緩和する」ことは、本件補正発明の「被験者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供する」ことに相当する。 c そうすると、引用発明の「治療器具101と電子的及び機械的モジュール102とを備えている気道の閉塞を緩和する器械」は、本件補正発明の「被験者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供するよう構成されるシステム」に相当する。 (イ) 引用発明の「使用者」(「被験者」、上記(ア)a)が、本件補正発明の「前側を含む頚を有し」ていることは、自明な事項である。 (ウ) a 引用発明の「空間」及び「空間充填室」は、それぞれ、本件補正発明の「キャビティ」及び「チャンバ」に相当する。 引用発明の「咽喉の皮膚」は、「使用者」の頚の前側の内側部分の皮膚といえるから、上記(ア)aを踏まえると、本件補正発明の「前記被験者の前記前側の内側部分」に相当する。 b 引用発明の「治療器具101は、使用者に嵌めた時に治療器具101の内面と咽喉の皮膚の間の空間充填室であって、空間内部に作られる所望の部分真空に耐え得る十分な剛性を有する空間充填室を提供するように、当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁を提供するように構成された構造」の「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁」は、「治療器具101」の「空間充填室」の「空間」の開口を形成する「縁」といえるから、本願の明細書の段落【0014】の「縁186」及び上記aを踏まえると、本件補正発明の「キャビティの開口を形成するための手段」に相当する。 c 引用発明の「治療器具101は、使用者に嵌めた時に治療器具101の内面と咽喉の皮膚の間の空間充填室であって、空間内部に作られる所望の部分真空に耐え得る十分な剛性を有する空間充填室を提供するように、当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁を提供するように構成された構造」の「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁」は、「使用者に嵌めた時に治療器具101の内面と咽喉の皮膚の間の空間充填室」「を提供するように」、「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る」ことから、「空間内部」と「咽喉の皮膚の間」に「空間充填室」が形成されるように、「使用者」の「咽喉の皮膚」を「シール状態」で係合するといえる。 したがって、本願の明細書の段落【0014】の「シール183」及び上記aを踏まえると、引用発明の上記bの「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁」は、本件補正発明の「前記キャビティの内部と前記頚との間にチャンバが形成されるように、前記被験者の前記前側の内側部分を係合するための手段」にも相当する。 (エ) a 引用発明において、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す」から、引用発明の「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」は、本件補正発明の「負圧源」に相当する。 b 引用発明の「電子的及び機械的モジュール102が3点スナップ103で治療器具101の外部に保持され、スナップ点の1つは、モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す、治療器具101を貫通する、接続口への進入手段を提供することができる」構成の「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す、治療器具101を貫通する、接続口への進入手段」は、「空間充填室」を「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」に流体的に連絡させているといえる。 したがって、上記(ウ)a及び上記aを踏まえると、引用発明の上記「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す、治療器具101を貫通する、接続口への進入手段」は、本件補正発明の「前記チャンバを負圧源と流体的に連絡させるための手段」に相当する。 (オ) a 引用発明の「十分な部分真空は、空間充填室の空間内部に作り出されると、上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間へ動かし、それによって気道の開存性が高められ」る構成の「十分な部分真空は、空間充填室の空間内部に作り出される」ことは、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモ」の「モーター303」が制御され、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出す」ことにより「作り出される」ことが明らかである。 そうすると、引用発明の「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」は、「上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間(空間充填室の空間)へ動かし、それによって気道の開存性が高められ」るように、「空間充填室の空間内部に」「十分な部分真空」を「作り出」すための、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」であるといえる。 b 引用発明の「上気道の一部を覆っている軟組織」は、本件補正発明の「被験者の軟組織」に相当する。 上記(ウ)aを踏まえると、引用発明の「当該空間へ動か」す構成は、本件補正発明の「形成される開口を通じて前記キャビティ内に引き込まれ」る構成に相当する。 引用発明の「それによって気道の開存性が高められ」る構成は、本件補正発明の「一時的気道閉塞を減少させる」構成に相当する。 上記(ウ)aを踏まえると、引用発明の「空間充填室の空間内部に」「十分な部分真空」を「作り出」す構成は、本件補正発明の「チャンバに負圧を適用する」構成に相当する。 c 上記bの相当関係を踏まえると、上記aで述べた、引用発明の「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」は、本件補正発明の「前記被験者の軟組織が前記形成される開口を通じて前記キャビティ内に引き込まれ、一時的気道閉塞を減少させるように、前記チャンバに負圧を適用するための圧力手段」にも相当する。 イ 一致点及び相違点 以上を総合すると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「被験者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供するよう構成されるシステムであって、 前記被験者は、前側を含む頚を有し、 キャビティの開口を形成するための手段と、 前記キャビティの内部と前記頚との間にチャンバが形成されるように、前記被験者の前記前側の内側部分を係合するための手段と、 前記チャンバを負圧源と流体的に連絡させるための手段と、 前記被験者の軟組織が前記形成される開口を通じて前記キャビティ内に引き込まれ、一時的気道閉塞を減少させるように、前記チャンバに負圧を適用するための圧力手段とを含む、 システム。」 <相違点1> 本件補正発明は、「前記頚の周囲に沿う前記係合の領域の円弧長は、約60度~約120度の間に及」ぶのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 本件補正発明は、「システム」が、「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段、前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段、並びに前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含み、前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段、前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段、並びに前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 (4)判断 (4-1)相違点についての検討 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について (ア) 引用発明は、「個人の上気道の開存性を改良することを支援する装置及び方法を提供する」(摘記(1b))ことを課題としている。 (イ) 当該課題を踏まえると、引用発明において、「十分な部分真空」が、「空間充填室の空間内部に作り出され」、「上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間へ動かし、それによって気道の開存性が高められ」るように、「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁」の範囲を設定する必要があるといえる。 (ウ) 頚の後ろ側や横側の軟組織を動かしても、気道の開存性が高められないことは、自明な事項であり、頚の前側に位置している軟組織を動かすと、気道の開存性が高められることも、自明な事項である。 (エ) 以上のことを総合すると、引用発明において、「当該空間充填室を密封するために使用者の皮膚に対してシール状態を作る周辺縁」の範囲を、「上気道の一部を覆っている軟組織を当該空間へ動かし、それによって気道の開存性が高められ」る適切な範囲となるように、頚の後ろ側や横側を除く、頚の前側の約60度~約120度の間に設定し、上記相違点1に係る「前記頚の周囲に沿う前記係合の領域の円弧長は、約60度~約120度の間に及」ぶ構成を想到することは、当業者であれば、適宜になし得たといえる。 イ 相違点2について (ア)引用発明の「制御モジュール」について a 引用発明は、「電子的及び機械的モジュール102」の「制御要素回路構成301及びドライバ回路構成302を備えている制御モジュール」が、「モーター303」を制御することで、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュール」すなわち負圧源(上記(3)ア(エ)a)を制御し、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された空間充填室から空気を抜き出し」、「十分な部分真空」が、「空間充填室の空間内部に作り出される」といえる。 したがって、引用発明の「電子的及び機械的モジュール102」の「制御モジュール」は、負圧を制御する手段である。 b そして、引用発明の「電子的及び機械的モジュール102」が、「圧力/真空センサー304」を含むことを踏まえると、引用発明の「電子的及び機械的モジュール102」の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段(上記a)は、このようなセンサーからの情報に基づき負圧を制御することができる手段であることが明らかである(摘記(1g)の段落【0081】も参照。)。 (イ)相違点2の整理 相違点2に係る本件補正発明の構成を、符号を付して整理すると、次のとおりである。 A1:前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段、 B1:前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段、 C1:前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含み、 A2:前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段、 B2:前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段、並びに C2:前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む、 システム。 上記A1及びA2の構成を事項A(流体パラメータ関連の事項)、上記B1及びB2の構成を事項B(位置ないし向き関連の事項)、上記C1及びC2の構成を事項C(気道関連の事項)として、以下検討する。 (ウ)事項A(流体パラメータ関連の事項)について a 引用文献1には、「室401内部で真空安定性を維持するために、マイクロ制御要素は、真空/圧力センサー406及びPID(比例、積文及び微分)ループを使用して、目標真空に対する現在の真空を比較」し、「制御要素は、その後ポンプ409/モーター408に適宜指示を出す」こと、及び、「真空/圧力センサーは、ポンプ及びモーターを活性化するのに必要な真空の降下を検出する」こと(摘記(1g)の段落【0081】及び【0082】)が記載されている。 b 引用文献1の上記aの「真空/圧力センサー406」は、本件補正発明の「負圧源によってもたらされるチャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段」(A1の構成)に相当する。 このことについて、以下、補足して説明する。 b1 本件補正発明の「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体」は、「前記チャンバ」内の「負圧」すなわち圧力に関連する流体であるから、本件補正発明の「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータ」は、「前記チャンバ」内の圧力に関連している。 そうすると、本件補正発明の「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報」には、「前記チャンバ」内の圧力に関連する情報も該当するものと理解できる。 b2 一方、上記aの「真空/圧力センサー406」は、「室401内部」の「真空の降下を検出する」ことが明らかであり、「室401内部」の圧力すなわちチャンバ内の圧力を検出しているといえる。 b3 そうすると、上記aの「真空/圧力センサー406」は、上記b2のとおり、「室401内部」の圧力すなわちチャンバ内の圧力を検出するから、チャンバ内の圧力に関連する情報を検出し、上記b1を踏まえると、負圧源によってもたらされるチャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を検出するセンサーであるといえることから、上記aの「真空/圧力センサー406」は、負圧源によってもたらされるチャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するよう構成されているといえる。 したがって、上記bの相当関係がいえる。 c 上記aには、「室401内部で真空安定性を維持するために、マイクロ制御要素は、真空/圧力センサー406及びPID(比例、積文及び微分)ループを使用して、目標真空に対する現在の真空を比較」し、「制御要素は、その後ポンプ409/モーター408に適宜指示を出す」ことが記載されているから、引用文献1には、「真空/圧力センサー406」からの情報に基づき負圧を制御することが示唆されているといえる。 d 上記cと、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段が、センサーからの情報に基づき負圧を制御することができる手段であること(上記(ア)b)を踏まえると、引用発明において、引用文献1の上記bの「真空/圧力センサー406」すなわちA1の構成を採用し、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段を、前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段(A2の構成)として構成することで、上記事項A(流体パラメータ関連の事項)を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではない。 (エ)事項B(位置ないし向き関連の事項)について a 引用文献1には、「制御要素は、更に、システム制御を強化し、真空システムを変化する患者の状況に合わせるためにセンサーから受け取る情報をフィルタリングするようにプログラムすることができ」、「制御要素は、加速度計、姿勢検出装置などから、身体位置(例えば横向き対後ろ向き対直立)を示すセンサーデータを更に認識する」こと(摘記(1g)の段落【0086】)が記載されている。 b 引用文献1の上記aの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」は、本件補正発明の「被験者の頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段」(B1の構成)に相当する。 このことについて、以下、補足して説明する。 b1 上記aの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」は、「身体位置(例えば横向き対後ろ向き対直立)を示すセンサーデータを」「認識する」ものであるから、実質的に、身体位置を検出するセンサーである。 b2 そして、身体位置が変われば、頚の位置ないし向きが変わることは、自明な事項であるから、上記b1の「身体位置を示すセンサーデータ」は、間接的に、頚の位置ないし向きに関係する情報を示しているといえる。 b3 そうすると、上記aの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」は、「身体位置(例えば横向き対後ろ向き対直立)を示すセンサーデータを」「認識する」、身体位置を検出するセンサーであり(上記b1)、実質的に、人の頚の位置及ないし向きに関係する情報(上記b2)を検出するセンサーであるといえることから、上記aの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」は、被験者の頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成するように構成されているといえる。 したがって、上記bの相当関係がいえる。 c 上記aには、「制御要素は、加速度計、姿勢検出装置などから、身体位置(例えば横向き対後ろ向き対直立)を示すセンサーデータを更に認識」し、「制御要素は、更に、システム制御を強化し、真空システムを変化する患者の状況に合わせるためにセンサーから受け取る情報をフィルタリングするようにプログラムすることができ」ることが記載されているから、引用文献1には、「加速度計」ないし「姿勢検出装置」からの情報に基づき負圧を制御することが示唆されているといえる。 d 上記cと、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段が、センサーからの情報に基づき負圧を制御することができる手段であること(上記(ア)b)を踏まえると、引用発明において、引用文献1の上記bの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」すなわちB1の構成を採用し、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段を、前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段(B2の構成)として構成することで、上記事項B(位置ないし向き関連の事項)を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではない。 (オ)事項C(気道関連の事項)について a 引用文献1には、「部分真空は、使用者の皮膚に接触する皮膚における力の負荷を変えるために、治療期間の少なくとも一部の間、」「サイクル化され」、「このサイクル化は、吸気/呼気サイクルと一致するように同期化され得るので、部分真空は吸気の間増進されることにな」り、「制御回路構成が吸気/呼気を検出するセンサーと通信」し、「器具によって形成される室が部分真空に迅速に変化することができることが必要であ」り、「真空は、更に、」「無呼吸が始まるなどの事象の間に増進された真空を実現するように制御され得る」ものであり、「無呼吸事象は、」「呼吸測定」「などから検出することができ、」「数多くのセンサーの型は、呼吸サイクル、無呼吸事象及びいびき事象を感知するものとして技術的に知られている」こと(摘記(1g)の段落【0083】、【0085】)が記載されてる。 b 引用文献1の上記aの「吸気/呼気を検出するセンサー」は、本件補正発明の「被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段」(C1の構成)に相当する。 このことについて、以下、補足して説明する。 b1 本願の段落【0031】には、「呼吸又は気道機構パラメータは」、「呼吸周期」「を含み得る」と記載されていることから、本件補正発明の「被験者の気道機構に関係する情報」には、「呼吸周期」も該当する。 b2 上記aの「吸気/呼気を検出するセンサー」は、その具体例として、「呼吸サイクル」すなわち呼吸周期を検出するセンサーであってもよいものと理解できる。 b3 したがって、上記aの「吸気/呼気を検出するセンサー」は、上記b2のとおり、「呼吸サイクル」すなわち呼吸周期を検出するセンサーであり、上記b1を踏まえると、被験者の気道機構に関係する情報を検出するセンサーであるといえることから、上記aの「吸気/呼気を検出するセンサー」は、被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を生成するように構成されているといえる。 したがって、上記bの相当関係がいえる。 c 上記aには、「制御回路構成が吸気/呼気を検出するセンサーと通信」し、「器具によって形成される室が部分真空に迅速に変化することができることが必要であ」ることが記載されているから、引用文献1には、「吸気/呼気を検出するセンサー」からの情報に基づき負圧を制御することが示唆されているといえる。 d 上記cと、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段が、センサーからの情報に基づき負圧を制御することができる手段であること(上記(ア)b)を踏まえると、引用発明において、上記bの「吸気/呼気を検出するセンサー」すなわちC1の構成を採用し、引用発明の「制御モジュール」すなわち負圧を制御する手段を、前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段(C2の構成)として構成することで、上記事項C(気道関連の事項)を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではない。 (カ) 以上を総合すると、引用発明は、上記事項A~Cを具備してシステム(気道の閉塞を緩和する器械)を構成することが予定されているというべきであるから、引用発明に引用文献1に記載された上記技術事項を適用し、上記(ウ)bの「真空/圧力センサー406」(A1の構成)、上記(エ)bの「加速度計」ないし「姿勢検出装置」(B1の構成)及び上記(オ)bの「吸気/呼気を検出するセンサー」(C1の構成)を採用して、引用発明の「制御モジュール」を、それら各センサーからの情報に基づき負圧源ないし負圧を制御する手段として構成することで、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を想到することは、当業者が容易になし得たといえる。 (キ) 以上のとおりであるが、念のため、以下の事項についても検討しておくこととする。 a 仮に、本件補正発明の「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段」の構成が、「導管182」に設けられる「センサ142」の構成を意味しているとしても、引用発明の「電子的及び機械的モジュール102」は、「ハウジングの中に入っている」、「モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールと」、「圧力/真空センサー304と」、「を含み」、「電子的及び機械的モジュール102が3点スナップ103で治療器具101の外部に保持され、スナップ点の1つは、モーター303及びポンプ要素305を備えている真空ポンプモジュールが密封された室から空気を抜き出す、治療器具101を貫通する、接続口への進入手段を提供することができる」こと、及び、「空気ポンプへの接続は、治療器具によって形成される室への進入手段を提供する管又は延長コネクタを通じて行われ得る」こと(摘記(1d))から、引用発明において、「圧力/真空センサー」を「接続口への進入手段」に設けることで、本件補正発明の当該構成とすることは、当業者が適宜になし得たことにすぎない。 b また、仮に、本件補正発明の「前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段」の構成が、頚の位置及び/又は向きの情報を直接検出する「センサ142」の構成を意味しているとしても、引用発明の「加速度計」ないし「姿勢検出装置」を、身体位置の情報の1つである、頚の位置及び/又は向きの情報を直接検出するようにして、本件補正発明の当該構成とすることも、当業者が適宜になし得たことにすぎない。 (4-2)審判請求人の主張について 審判請求書の5.1(2)において、審判請求人は、「引用文献1は、『1つ又はそれよりも多くのセンサ』が『前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するよう構成され』るという請求項1に係る発明の特徴的な構成及び『1つ又はそれよりも多くのプロセッサ』が『前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御するよう構成され』るという請求項1に係る発明の更なる特徴的な構成を何ら開示も示唆もしていません。」と主張している。 しかしながら、上記(4-1)イ(ア)~(カ)で述べたとおり、引用発明において、上記事項A~Cを具備してシステム(気道の閉塞を緩和する器械)を構成することが記載ないし示唆されているから、引用発明において、上記の「特徴的な構成」を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではない。 したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。 (4-3)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年7月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1およびその記載事項等は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「システム」が「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段、前記被験者の前記頚の位置及び/又は向きの一方又は両方に関係する情報を伝達する出力信号を生成する手段、並びに前記被験者の気道機構に関係する情報を伝達する出力信号を更に生成する手段を含」むことに関して、「前記負圧源によってもたらされる前記チャンバからの流体の流体パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する手段」を含むという限定事項を省き、さらに、「システム」が「前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段、前記出力信号によって伝達される前記被験者の前記頚の前記位置及び/又は前記向きの一方又は両方に関係する前記情報に基づき前記負圧を制御する手段、並びに前記出力信号によって伝達される前記気道機構に関係する前記情報に更に基づき前記負圧を制御する手段を含む」ことに関して、「前記出力信号によって伝達される前記流体パラメータに関係する情報に基づき負圧源を制御する手段」を含むという限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-006497

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