意匠拒絶査定不服審判
2018-006447
水栓用ハンドル
- 審判番号
- 2018-006447
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-025344外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月10日
- 審決日
- 2018年08月20日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社タカギ
- 分類
- D18 .113-WY (M2-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 25344「水栓用ハンドル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,意匠法第14条第1項の規定により本願の意匠(以下「本願意匠」という。)を3年間秘密にすることを請求する,平成28年11月22日の意匠登録出願であって,平成29年9月22日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年11月1日に意見書が提出されたが,平成30年2月8日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「水栓用ハンドル」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する,というものである。
引用意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成20年7月14日)に記載された,意匠登録第1335568号(意匠に係る物品,湯水混合水栓用グリップ)の意匠であり,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,「水栓用ハンドル」と「湯水混合水栓用グリップ」であって表記は相違するが,いずれも湯水混合水栓に取り付けて水量や湯水混合の調整のために使用されるものであるから一致する。
2 形態の対比
形態の対比にあたり,図の表示は引用意匠を基準とし,本願意匠の図の向きはこれとあわせたものとし,本願意匠の,正面図を右側面図,左側面図を正面図,右側面図を背面図,平面図は左に90度,底面図は右に90度回転させたものとする。
(1)形態の共通点
(共通点1)全体の基本構成が,略円筒形の土台部と舌片状板体の把持部からなり,把持部は土台部と上面を面一にして一体的に形成されている点。
(共通点2)平面視形状は,両端部が半円形の略角丸長方形状である点。
(共通点3)把持部は,正面側上方に向かって傾斜している点。
(共通点4)土台部は,背面下部を斜状に切り欠いている点。
(2)形態の相違点
(相違点1)平面視形状の構成比は,本願意匠が,全体の縦横を約2.5対1,背面側と正面側の半円の径を約1対0.7としているのに対し,引用意匠は,それぞれ約3対1,約1対0.8とし,本願意匠は引用意匠に比べて正面側が窄まった形態である点。
(相違点2)一体的に形成された把持部と土台部の上面は,本願意匠が,中央がやや膨らんだ湾曲面で形成されているのに対して,引用意匠は,平坦面で形成されている点。
(相違点3)側面視した把持部の厚みは,本願意匠が,全体に肉薄で,土台部近傍と先端部を除いてほぼ均一な厚みで,土台部を除いた把持部の長さと把持部中央付近の厚みの比が約15対1であるのに対して,引用意匠は,全体に肉厚で,先端にかけて徐々に肉薄となり,把持部の長さと中央付近の厚みの比は約9対1である点。
(相違点4)把持部の下面は,本願意匠が凹部を形成しており,当該凹部は外形状に沿って細幅に縁部を残した略角丸長方形状で,湾曲面状に中央が深く,中央は把持部の厚みの約4分の3の深さがあるのに対して,引用意匠は,凹部が形成されていない点。
(相違点5)側面視した土台部は,本願意匠が,径と背面側の高さの比を約1対0.5としているのに対して,引用意匠は約1対0.85としている点。
(相違点6)底面視した土台部は,本願意匠は背面側が肉厚で内部に略正方形状の筒状部材とX字状のリブが看取されるのに対して,引用意匠は底面視して肉厚は均一で内部に帯状部材を介して背面に接する角丸台形状の部材が看取される点。
(相違点7)本願意匠の土台部は正面に小円孔を有するのに対して,引用意匠は背面に小円孔を有する点。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。
2 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は,湯水混合水栓の水量や湯水混合の調整のために使用されるハンドルであって,洗面台等に取り付けられるものであり,使用時においては,頻繁に手に触れる部位であることから,ハンドル全体のうち板状体の把持部が需要者の注意を強く惹く部分であって,部材の厚みや丸みなど使用感に影響を及ぼす態様についても注意を惹く部分であるということができる。
(1)形態の共通点
共通点1ないし共通点4は,いずれも両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点であり,平面視形状を略角丸長方形状とする形態や,把持部が正面側上方に傾斜する形態,及び土台部背面下部の切り欠きは,この種物品分野における給水栓ハンドルの形態として,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この種物品分野においてはごく一般的な形態であるから,これらが意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(2)形態の相違点
相違点1及び相違点2は,需要者に観察されやすい上面の形態に係るものであって,本願意匠は上面が湾曲面を形成し,先端側が窄まっており,平面から底面にかけての丸みのある縁部に加え,これに相違点3の肉薄な態様が相まって,曲面的な印象があるのに対して,引用意匠は上面が平坦で,相違点3の肉厚な態様が相まって,縁部の角が強調されており,平面的な印象であるから,両意匠は上面の美感には大きな差異がある。
相違点4における底面の形態は,把持部が頻繁に手に触れる部位であることを考慮すれば,需要者が注視する部分といえることから,その態様の相違は,意匠全体の美感に影響を与えるものといえる。
相違点5は,通常の使用時には手に触れることの少ない土台部の相違ではあるものの,その視覚的印象は,本願意匠が太く短いものであるのに対して引用意匠は細長いものであるから,その態様の相違は,意匠全体の美感に一定程度の影響を与えるものといえる。
相違点6及び相違点7は,使用時において目に付かない底面側の態様の相違,または部分的な小円孔の位置の相違であることから,意匠全体の美感に与える影響は小さい。
3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,上記2の前文のとおり,把持部の態様が需要者の注意を強く惹く部分であり,上記2(2)のとおり,把持部の美感には大きな差異があり,需要者に異なる美感を与えるものである。そうすると,全体の基本構成が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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