意匠拒絶査定不服審判
2026-001193
給水栓
- 審判番号
- 2026-001193
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-016178外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1828284
- 請求日
- 2026年01月27日
- 審決日
- 2026年04月07日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (M2-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 16178「給水栓」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年(2024年)8月5日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和7年(2025年) 5月29日付け 拒絶理由の通知
同年 7月10日 意見書の提出
同年 10月17日付け 拒絶査定
令和8年(2026年) 1月27日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
この意匠登録出願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「給水栓」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
令和7年(2025年)5月29日付けの原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、としたものであって、具体的には以下のとおりである。
記
引用意匠
特許庁総合情報館が1998年 7月17日に受け入れた外国カタログ
Lux
第2頁所載
水栓用ハンドルの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD10019062号)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「給水栓」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「水栓用ハンドル」であって、表記は異なるが、いずれも給水栓の開閉や水量調節等に使用されるものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等を比較すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして認定する。
ア 共通点
(共通点ア)
全体の基本構成が、略短円筒状の幹部と、平面視、先端側がやや細い略長円形状で、側面視、幹部と略倒「L」字状をなす板状の手掛け部(以下「手掛け部」という。)からなるハンドル、及び略円錐台状の本体で構成される点、
(共通点イ)
平面視における、手掛け部上面の縦横の長さの比率が、約3:1である点、
(共通点ウ)
平面視、手掛け部の下方寄りに、略長円形状の孔を設け、手掛け部の孔の基端側には、上面から底面にかけて、略半楕円形状の傾斜面を形成している点、
(共通点エ)
平面視における、手掛け部に設けた孔の大きさについて、長手方向、短手方向(略中央)ともに、上面全長の約7割である点、
において共通する。
イ 相違点
(相違点ア)
手掛け部の孔の形状について、平面視、本願意匠は上下対称であるのに対し、引用意匠は下方がやや窄まった上下非対称の形状である点、
(相違点イ)
手掛け部の孔上端から手掛け部先端までの、周側面の形状について、本願意匠は傾斜面からなる裾広がり状であるのに対し、引用意匠はほぼ垂直面からなる環状であり、また、厚みについては、側面視、本願意匠は手掛け部先端下面の三日月状の膨出部を除きほぼ同一であるのに対し、引用意匠は不明である点、
(相違点ウ)
幹部下端の形状について、本願意匠は側面視において斜めに削いだ形状としているのに対し、引用意匠は略水平である点、
(相違点エ)
本体について、本願意匠は段差を設けた略円錐台形状であるのに対し、引用意匠は周側面がほぼ垂直に近い略円筒形状である点、
において相違する。
2 類否判断
両意匠は、いずれも給水栓の開閉や水量及び温度調節に使用されるものであって、需要者は、主に、水洗の使用者や、水洗取付などを行う業者も含まれるから、形状等の類否判断に当たり、実際に本物品を扱う際に使用感や取付に影響を及ぼす、手掛け部の側面及び底面における形状や、本体の形状の態様を含めて、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(共通点ア)は、例を挙げるまでもなく、この種物品分野ではありふれた態様であり、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点イ)から(共通点エ)についても、この種物品分野において一般的に見られる形態であって、いずれも両意匠の格別の特徴というほど顕著なものとはいえないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
(相違点ア)及び(相違点イ)の、平面視における手掛け部の形状について、需要者が水洗を取り扱う際に、特に目につきやすく、また、使用時や清掃時に手を触れる可能性が高い部分であるから、関心を持って観察する部位の形状に係る相違といえ、これらの相違が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点ウ)について、幹部の形状の相違は、使用感や稼動域に関する需要者の印象にも影響することから、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点エ)について、本体の形状は、両意匠の全体の印象をも左右することから、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、(共通点ア)から(共通点エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対し、(相違点ア)から(相違点エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。
したがって、形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点よりも相違点が両意匠の類否判断に与える影響が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
3 小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は一致するが、形状等については、共通点は両意匠の類否判断に与える影響が小さいのに対し、相違点は類否判断に与える影響が大きく、需要者に別異の印象を起こさせるものであるから、両意匠は、類似しない。
第5 むすび
したがって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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