意匠拒絶査定不服審判
2018-013800
湯水混合水栓
- 審判番号
- 2018-013800
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-011650
- 登録番号
- 1632418
- 請求日
- 2018年10月17日
- 審決日
- 2019年03月27日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社タカギ
- 【請求人代理人】小谷 悦司
- 【請求人代理人】小谷 昌崇
- 【請求人代理人】川瀬 幹夫
- 【請求人代理人】並川 鉄也
- 【請求人代理人】上田 知恵
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 裕和
- 審判官 内藤 弘樹
- 審判官 宮田 莊平
- 分類
- D18 .113-WY (M2-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2017- 11650「湯水混合水栓」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)5月31日の意匠登録出願であって、平成30年(2018年)3月28日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月17日に意見書が提出されたが、同年8月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の意匠
本願は、意匠法第14条第1項の規定により本願に係る意匠を3年間秘密にすることを請求し、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「湯水混合水栓」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「黄色で着色された部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年9月4日に受け入れた
「ハンスグローエ ダイジェストカタログ 2015」
第2頁所載
「給水栓」の意匠の当該部分の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC27014603号)(別紙第2参照)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「湯水混合水栓」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「給水栓」であって、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、給水管の先端に取り付けて水道水の開閉を行うための家庭用の水栓であるから、共通するものである。
(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分を「両部分」という。)の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲については、吐水部の先端部周辺であるから一致する。
(3)両部分の形態
両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。(本審決において、引用意匠の向きを本願意匠の図面の向きに合わせるものとする。)
ア 共通点
両部分は、本体部が、本体径を1とすると長さは約2.2の略倒円柱形であって、その底面部略中央に本体径より若干小径の略円筒形の突出部を垂直に取り付けて吐水用の開口部(以下「吐水用開口部」という。)としている。
イ 相違点
(イ-1)本体部の先端部周辺の態様について、本願部分は、先端部から全長の約1/4の位置に周側面に沿って凹陥状でやや太幅の溝部を形成しているのに対し、引用部分は、先端部から全長の約1/9までを本体部よりわずかに縮径した略短円柱形としている。
(イ-2)吐水用開口部について、本願部分は、本体部の径の約1/10の高さの略短円筒形としているのに対し、引用部分は、本体部の径の約6/10の高さの略円筒形とし、その先端部を階段状に2段縮径している。
(イ-3)本願部分は、終端部に周側面に沿って分割線を形成しているのに対し、引用部分は、終端部に分割線は形成していない。
(イ-4)本願部分は、本体部の先端部の面には模様等は施していないのに対し、引用部分は、本体部の先端部の面中央に略円形模様を施している。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、共通している。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致している。
(3)両部分の形態
以下、両部分の形態について検討する。
ア 共通点の評価
この種物品の分野において、水栓の吐水口を略倒円柱形とし、その先端部寄りの底面部に略円筒形の吐水用開口部を垂直に取り付けたものは両部分の他にも普通に見られるありふれた態様といえるものであり、また、両部分の径に対する長さの比率もごく一般的な比率のものであって、両部分のみに共通する態様とはいえないものであることから、これらの共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
まず、(イ-1)について、本願部分の本体部は、段差等のない円柱形のやや先端部寄りに周側面に沿って凹陥状のやや太幅の溝部を形成したものであって、この溝部によって、本体部が、先端部から約1/4の位置で分断され、表情の少ないなかで大きなアクセントとなっている。一方、引用部分の本体部は、先端部から全長の約1/9までを本体部よりわずかに縮径した略短円柱形としたものであるから、両者は、一見して需要者に異なる美感をもたらしており、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
次に、(イ-2)について、本願部分は、本体部から若干突出した程度のごく高さの低い略短円筒形の吐水用開口部を、前記の溝部に近接した位置に設けたものであって、これが、溝部と相まって独特な視覚的効果を発揮しているものであるのに対し、引用部分は、本体径に対する高さの比率が本願部分の当該比率の約6倍で非常に目立つうえ、その先端部を階段状に2段縮径していることから、需要者に異なる美感を与えるものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
一方、(イ-3)及び(イ-4)については、いずれも、さほど目立つものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
以上のとおり、相違点のうち、(イ-3)及び(イ-4)が、両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、(イ-1)及び(イ-2)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通し、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲が一致するが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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