特許拒絶査定不服審判
2018-002672
フレキソ印刷コーティングユニットを清浄するための清浄用装置および方法
- 審判番号
- 2018-002672
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-507496外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月26日
- 審決日
- 2019年07月18日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】トレス アクティーゼルスカブ
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】伊藤 公一
- 【請求人代理人】伊藤 健太郎
- 分類
- P18 .121-WZ (B41F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-507496「フレキソ印刷コーティングユニットを清浄するための清浄用装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月31日国際公開、WO2013/160288、平成27年 5月21日国内公表、特表2015-514613〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年4月24日、フィンランド)を国際出願日とする出願であって、平成26年10月24日付けで手続補正がなされ、平成29年3月10日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月17日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされ、同年10月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成30年2月26日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、当審において、同年9月6日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、平成31年3月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成31年3月11日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
プレートシリンダ(101)を含むコーター用の清浄用装置(401)であって、
- 清浄用表面と背面を有する清浄用ウェブと、
- 前記清浄用ウェブにより画定される平面内で少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された接線方向移動機構と、
- 前記平面外の少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された半径方向移動機構と、
- プレートシリンダー(101)の外側表面と接触状態に入る前に清浄用ウェブを湿潤化するための湿潤化ノズルと、
- 前記接線方向移動機構と半径方向移動機構に結合され、受信した入力信号にしたがって前記清浄用ウェブの移動を制御するように構成されているコントローラと、
- 前記清浄用表面が面している空間の方に向けられた動作方向を有する1つ以上のブロワノズル(402)と、
を含み、
- 1つ以上のブロワノズル(402)がプレートシリンダー(101)の動作方向で清浄用装置の近くに配置されると同時に、プレートシリンダー(101)の動作方向で清浄用装置の前に配置されており、
- 前記半径方向移動機構が
前記清浄用ウェブの背面側の膨張可能なエアクッション(205)と、
前記エアクッション(205)を膨張および収縮させるための加圧空気計量用装置の制御可能なバルブ(206)と、
前記1つ以上のブロワノズル(402)と、を含み、
- 前記エアクッション(205)が、膨張させられた場合に、前記エアクッション(205)がプレートシリンダー(101)の外側表面に対して清浄用ウェブの清浄用表面を押し付けるように構成され、
前記清浄用装置は、更に、
前記清浄用ウェブに向かう動作方向を有する1つ以上の湿潤化ノズル(303)と、
前記清浄用ウェブに向かって前記1つ以上の湿潤化ノズル(303)を通って湿潤化液体を制御可能な形で送出するように構成されている湿潤化液体計量装置(304)と、
を含み、
前記接線方向移動機構は、
フィードローラー(203)と、
該フィードローラー(203)に対し平行なスプール(204)と、
該フィードローラー(203)から巻き出された清浄用ウェブを前記スプール(204)上に巻き取るために少なくとも前記スプール(204)を回転させるように構成されたモーター(207)と、
前記フィードローラー(203)を回転するように構成されたモータ(301)と、を含み、
1つ以上の湿潤化ノズル(303)が、前記フィードローラー(203)と前記スプール(204)の間で引締された前記清浄用ウェブの平面的部分(202)に向かう前記動作方向を伴って、前記フィードローラー(203)とスプール(204)との間に配置されている、
ことを特徴とする清浄用装置。」(以下「本願発明」という。)
第3 引用刊行物等
1.引用刊行物等の記載
(1)引用例1
当審の拒絶の理由に引用した、本願の優先日前である平成20年10月30日に頒布された刊行物である特開2008-260285号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、被転写体(シート状物やウェブ)に転写(コーティングまたは印刷)を行う転写装置(コーティング装置または印刷装置)における胴の洗浄を行う洗浄装置に関するものである。」
イ.「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の洗浄装置においては、例えば印刷機の稼動時間が長くなると、コーティング中に上ゴム胴のコーティング開始部分、すなわち紙のくわえ側端部側に対応する箇所に徐々にニスが堆積する、いわゆるニス溜りが発生することがある。このニス溜りが発生すると、ゴム圧胴によって搬送される紙のくわえ側端部がこのニス溜りに接着して、ゴム圧胴の周面から剥離するように引っ張られることがある。このようなことが起きると、ゴム圧胴から紙の裏面に転移されたニスにむらが発生し、コーティングの品質が低下するという問題があった。このような問題は、粘度の高いインキを使用して印刷する印刷装置においても同様に起きる。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、コーティング中または印刷中にニス溜りを発生させることなく、コーティングまたは印刷の品質を向上させた洗浄装置を提供するところにある。」
ウ.「【0031】
〔洗浄ユニット〕
次に、図2および図5を用いて、洗浄装置100を構成する洗浄ユニット50について説明する。この洗浄ユニット50は、図2に示すように上ゴム胴25とゴム圧胴26とが対向する対向位置Cよりも上ゴム胴25の回転方向の下流側であって、かつ上ゴム胴25と上版胴21の対向する対向位置D、すなわち上版胴21からニスを受け取る受取位置Dよりも上ゴム胴25の回転方向の上流側において、上ゴム胴25の周面に近接して設けられている。そして、洗浄ユニット50は上ゴム胴25が紙にニスを転写した後、新たに上版胴21からニスを受け取るまでの範囲において、上ゴム胴25の周面に接触するように配設されている。図5に示すように接触部材としてのステー51に互いに平行となるように取り付けられた左右一対のフレーム52,52(一方のフレームは図示せず)を備えている。
【0032】
53は駆動レバーであって、下端部がフレーム35間に回動自在に支持された軸54に固着されており、この駆動レバー53に、ステー51や左右のフレーム52,52を含む洗浄ユニットフレーム55が着脱自在に固定されている。ステー51には、上ゴム胴25と略同幅の断面コ字状に形成された接触部材としての洗浄プレート56aが上ゴム胴25と略平行に取り付けられているとともに、断面コ字状にけい(審決注:「形成」の誤記と認める。)された接触部材としての案内部材56bが取り付けられている。また、ステー51には第3洗浄液供給手段としての洗浄ノズル57が設けられており、この洗浄ノズル57からは溶剤と水とが吐出される。なお、洗浄ノズル57から吐出される洗浄液は、溶剤と水との混合液でもよいし、溶剤単体または水単体でもよい。
【0033】
左右のフレーム52,52の略中央部には、円筒状の芯材(巻出軸)58と、この芯材58に予め巻き付けられた洗浄ウェブ59とからなる供給ロール60が回転自在かつ着脱可能に軸支されている。また、左右のフレーム52,52には、円柱状の芯材(巻取軸)61と、この芯材61上に巻き取られる洗浄ウェブ59とからなる巻取りロール62が回転自在かつ着脱可能に軸支されている。洗浄ウェブ59は、図5にも示されるようにステー51の端面および洗浄プレート56aならびに案内部材56bの端面に案内されて巻取りロール62に巻き取られる。ここで、ステー51の端面は、本発明の接触部材であり案内部材として機能する。
【0034】
63は略V字状に形成されカム面63aを有する洗浄布巻取り用のレバーであって、一端部にころ64が枢着されており、中央部が一方向クラッチ(図示せず)を介して巻取り軸61に連結され、巻取り軸61はこの一方向クラッチによってレバー63が洗浄ウェブ59を巻き取る方向、すなわち図中時計方向への回動のみが伝達されるように構成されている。また、レバー63は引張りコイルばね65の引張力によってころ64が後述するピン70に接近する方向に付勢されている。
【0035】
66は定寸送り用のレバーであって、一端部に軸67を介してころ68が枢着されており、他端部が一方のフレーム52に回動自在に軸支されている。ころ68は引張りコイルばね69の引張力によって巻取りロール62に圧接され、軸67がレバー63のカム面63aに係合している。このような構成において、巻取軸61に洗浄ウェブ59が巻き取られ巻取りロール62の径が大きくなるにしたがって、ころ68が下方に移動し、レバー66が反時計方向に回動する。したがって、軸67とレバー63のカム面63aとの係合位置が変わり、レバー63に枢着されているころ64とピン70との対向間隔が拡がる。この結果、後述するエアシリンダ71の作動ロッド72の1回の前進動作によるレバー63の回動角度が巻取りロール62の外径に応じて変化することになるため、巻取り軸61に巻き取られる洗浄ウェブ59の巻取り量、すなわち洗浄ウェブ59の送り量は、巻取りロール62の外径にかかわらず常に一定となる。
【0036】
70はフレーム35に植設された洗浄布巻取り用のレバー作動用のピンである。71は洗浄ウェブ59を上ゴム胴25に対して接触および離間させる接離手段として機能するとともに、洗浄ユニットフレーム55を上ゴム胴25に対して着脱させる洗浄ユニット着脱手段として機能するエアシリンダであり、先端部が駆動レバー53の上端部に枢着された進退自在な作動ロッド72を備えている。エアシリンダ71は2つのポートPa、Pbを備えており、ポートPaにエアが供給されることにより作動ロッド72が前進し、ポートPbにエアが供給されることにより作動ロッド72が後退する。このエアシリンダ71は、洗浄装置による洗浄/非洗浄を切替える切替手段を構成する。
【0037】
同図(A)に示す非洗浄の状態から、作動ロッド72が前進すると、駆動レバー53が軸54を回動中心として反時計方向に回動し、洗浄ユニットフレーム55が上ゴム胴25側に移動し、同図(B)に示すように洗浄ウェブ59が洗浄プレート56aによって上ゴム胴25の周面に押し付けられる。この作動ロッド72の前進動作時、洗浄ユニットフレーム55では、ころ64がピン70に当たり、レバー63を時計方向に回動させるため巻取軸61が時計方向に回動し、洗浄ウェブ59が巻き取られる。
【0038】
したがって、エアシリンダ71、レバー63、ころ64およびピン70が洗浄ウェブ59を走行させる送り手段73を構成している。なお、ポートPaに供給するエアの供給量を制御することにより、洗浄ウェブ59が上ゴム胴25の周面に接触する直前に洗浄ユニットフレーム55を停止させることもできる。
【0039】
同図(B)に示す洗浄の状態から、作動ロッド72を後退させると、駆動レバー53が軸54を回動中心として時計方向に回動し、同図(A)に示すように洗浄ウェブ59が上ゴム胴25の周面から離間する。この作動ロッド72の後退動作時に、洗浄ユニットフレーム55では、レバー63が引張りコイルばね65の引張力によって反時計方向に回動する。したがって、ころ64が元の位置に戻り、ころ64とピン70との間に隙間が形成される。
【0040】
〔洗浄液供給手段〕
次に、図2および図6を用いて洗浄装置100を構成する上版胴21の周面に洗浄液を供給する第1洗浄液供給手段75Aとゴム圧胴26の周面に洗浄液を供給する第2洗浄液供給手段75Bとについて説明する。これら両洗浄液供給手段75A,75Bは共に同じ構造を有しているので、ここでは第1洗浄液供給手段75Aについてのみ説明し、必要に応じて第2洗浄液供給手段75Bについても説明する。
【0041】
第1洗浄液供給手段75Aは、図6に示すように上版胴21と互いの軸線方向が平行となるように左右のフレーム35,35間に横架された配管76を備えており、この配管76に複数の上スプレー77Aが上版胴21の軸線方向に全体にわたって対向するように設けられている。これら上スプレー77Aにより霧状の洗浄液78が上版胴21の周面に吹き付けられる。
【0042】
第2洗浄液供給手段75Bは、ゴム圧胴26と互いの軸線方向が平行となるように左右のフレーム35,35間に横架された配管を備えており、この配管に複数の下スプレー77Bがゴム圧胴26の軸線方向に全体にわたって対向するように設けられている。これら下スプレー77Bにより霧状の洗浄液78がゴム圧胴26の周面に吹き付けられる。
【0043】
〔本発明の構成〕
次に、図7を用いて本発明の構成について説明する。本実施の形態による洗浄装置100は、上述した上ゴム胴着脱手段33A、下版胴着脱手段33B、上アニロックスローラ着脱手段45A、および下アニロックスローラ着脱手段45Bに加えて、洗浄ユニット着脱用電磁弁55a、洗浄スイッチ80、本機駆動装置81、ロータリーエンコーダ82、紙厚入力手段83、スプレー回数設定手段84、初期布送り回数設定手段85、布送り回数設定手段86、洗浄後布送り回数設定手段87、乾燥時間設定手段88、洗浄ユニット着時間設定手段89、タイマー90、上スプレー用電磁弁91、下スプレー用電磁弁92、センサー101、コーティング開始スイッチ102、コーティング前スプレー回数設定手段103、ニス溜り除去回数設定手段104、ニス溜り除去開始枚数設定手段105、コーティング枚数設定手段106、カウンター107、ニス溜り除去スイッチ108、ニス溜り自動除去スイッチ109、および上述した各エレメントが接続された制御装置93を備える。洗浄スイッチ80は洗浄を開始するためのスイッチ、本機駆動装置81は印刷機(以下、本機という)を駆動するための装置、本機位相検出手段82は本機の位相を検出するためのロータリーエンコーダである。83は紙厚を入力する厚さ入力手段としての紙厚入力手段、84は上スプレー77Aと下スプレー77Bとによる洗浄液78の吹き付け回数を設定するスプレー回数設定手段である。」
エ.「【0051】
また、制御装置93は、ニス溜まり自動除去スイッチ109によりニス溜まりの自動除去が設定されているときにカウンター107によって計数されたコーティング枚数がニス溜り除去開始枚数設定手段104によって設定された枚数に達することにより、コーティング中に洗浄ユニット50による洗浄動作を開始させるように制御する。また、制御装置93は、カウンター107によって計数されたコーティング枚数がコーティング枚数設定手段106によって設定された枚数に達することにより、給紙動作を停止させるように制御する。」
オ.「【0054】
〔洗浄動作〕
次に、図8~図14を用いて、このように構成された洗浄装置による洗浄動作を説明する。最初に、制御装置93は洗浄スイッチ80をONを検出する(ステップS1:YES)。次に、制御装置93は本機駆動装置81によって予め定めた洗浄速度で印刷機を運転する(ステップS2)。次に、制御装置93は現状の紙厚設定値を記憶する(ステップS3)。次に、制御装置93は紙厚入力手段83に紙厚を洗浄用紙厚値に設定(入力)する(ステップS4)。」
カ.「【0066】
〔洗浄ユニットによる洗浄〕
次に、洗浄ユニットによる洗浄を行う(ステップS23)。ステップS23の詳細を図11に示す。まず、洗浄ユニット50の洗浄ノズル57から洗浄液78が洗浄ウェブ59に噴射される(ステップS24)。
【0067】
〔1回目の初期布送り〕
次に、初期布送りが行われる(ステップS25)。ステップS25の詳細を図12に示す。まず、布送り回数「k」がk=0と設定される(ステップS26)。次に、「k」に「1」が加算(k=k+1)される(ステップS27)。次に、エアシリンダ71がONとなる(ステップS28)。すなわち、電磁弁55aが切り替えられると、図5Bに示すように、エアシリンダ71のポートPaへのエアの供給により作動ロッド72が前進し、洗浄プレート56aが上ゴム胴25の周面に接近する。
【0068】
次に、タイマー90によって計時された洗浄ウェブ59が上ゴム胴25の周面に接触する以前にエアシリンダ71をOFFさせるまでの時間(エアシリンダ71による着動作時間)が、所定時間に達しているか否かが判定される(ステップS29)。エアシリンダ71による着動作時間が所定時間に達していない場合(ステップS29:NO)、所定時間になるまで待ち合わせる。エアシリンダ71による着動作時間が所定時間に達した場合(ステップS29:YES)、エアシリンダ71がOFFとなる(ステップS30)。
【0069】
すなわち、電磁弁55aが切り替えられると、図5Aに示すように、エアシリンダ71のポートPbにエアが供給され作動ロッド72が後退し、洗浄プレート56aが上ゴム胴25の周面から離間する。次に、設定値「k」が初期布送り回数設定手段85によって設定された設定値(この場合は溶剤の設定値「k1」)に達していない場合は(ステップS31:NO)、ステップS27~S30を繰り返す。一方、k=設定値となった場合(ステップS31:YES)、初期布送りが終了し、溶剤が付着した洗浄ウェブ59が洗浄プレート56a上に送り出される。
【0070】
ステップS25の初期布送りによれば、ステップS24において胴周面に接触させることなく洗浄ウェブ59が走行し、洗浄ウェブ59のうち洗浄液78が供給された部分が胴の周面に対向する。これにより、洗浄開始時に洗浄ウェブ59の洗浄液がしみこんでいない部分が胴周面に接触して、胴周面に接着することが防止される。」
キ.図5より、洗浄ノズル57が、供給ロール60と巻取りロール62の間で引締された洗浄ウェブ59の平面的部分に対向し、供給ロール60と巻取りロール62との間に配置されている、ことが看取できる。
上記ア乃至キの記載から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「上ゴム胴25が紙にニスを転写した後、新たに上版胴21からニスを受け取るまでの範囲において、上ゴム胴25の周面に接触するように配設されている、洗浄ユニット50であって、
接触部材としてのステー51に互いに平行となるように取り付けられた左右一対のフレーム52,52を備え、
駆動レバー53に、ステー51や左右のフレーム52,52を含む洗浄ユニットフレーム55が着脱自在に固定され、
ステー51には、上ゴム胴25と略同幅の断面コ字状に形成された接触部材としての洗浄プレート56aが上ゴム胴25と略平行に取り付けられているとともに、断面コ字状に形成された接触部材としての案内部材56bが取り付けられ、
ステー51には第3洗浄液供給手段としての洗浄ノズル57が設けられており、
左右のフレーム52,52の略中央部には、円筒状の芯材(巻出軸)58と、この芯材58に予め巻き付けられた洗浄ウェブ59とからなる供給ロール60が回転自在かつ着脱可能に軸支され、また、左右のフレーム52,52には、円柱状の芯材(巻取軸)61と、この芯材61上に巻き取られる洗浄ウェブ59とからなる巻取りロール62が回転自在かつ着脱可能に軸支され、洗浄ウェブ59は、ステー51の端面および洗浄プレート56aならびに案内部材56bの端面に案内されて巻取りロール62に巻き取られ、
洗浄ノズル57が、供給ロール60と巻取りロール62の間で引締された洗浄ウェブ59の平面的部分に対向し、供給ロール60と巻取りロール62との間に配置され、
洗浄ウェブ59を上ゴム胴25に対して接触および離間させる接離手段として機能するとともに、洗浄ユニットフレーム55を上ゴム胴25に対して着脱させる洗浄ユニット着脱手段として機能するエアシリンダ71であり、先端部が駆動レバー53の上端部に枢着された進退自在な作動ロッド72を備え、エアシリンダ71は2つのポートPa、Pbを備えており、ポートPaにエアが供給されることにより作動ロッド72が前進し、ポートPbにエアが供給されることにより作動ロッド72が後退し、このエアシリンダ71は、洗浄装置による洗浄/非洗浄を切替える切替手段を構成し、
制御装置93は、コーティング中に洗浄ユニット50による洗浄動作を開始させるように制御し、
洗浄動作は、最初に、制御装置93は洗浄スイッチ80のONを検出するステップ、洗浄ユニット50の洗浄ノズル57から洗浄液78が洗浄ウェブ59に噴射されるステップ、初期布送りが行われるステップ、エアシリンダ71のポートPaへのエアの供給により作動ロッド72が前進し、洗浄プレート56aが上ゴム胴25の周面に接近するステップ、を含むものである、洗浄ユニット50。」
(2)引用例2
当審の拒絶の理由に引用した、本願の優先日前である平成2年2月13日に頒布された刊行物である特公平2-6629号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が示されている。
ア.「7 印刷機のブランケツトシリンダを洗浄布帛で洗浄するための装置であつて、
(a)洗浄布帛供給ロールと、
(b)洗浄布帛巻取ロールとを備え、前記洗浄布帛は前記供給ロールと前記巻取ロール間で前記ブランケツトシリンダに近接して配置され、
(c)水を前記洗浄布帛に導くための第1導管と、
(d)水以外の溶媒を前記洗浄布帛に導くための第2導管と、
(e)圧縮空気によつて膨張させることができる膨張部材とを備え、前記ブランケツトシリンダの反対側で前記膨張部材が前記洗浄布帛と係合しており、前記膨張部材を膨張させたとき、前記洗浄布帛を移動させ、前記ブランケツトシリンダと接触させることができ、さらに、
(f)乾燥空気を前記ブランケツトシリンダに導き、これを乾燥させるための第3導管と、
(g)前記巻取ロールを間欠的に回転させ、前記巻取ロール上の洗浄布帛の量に関係なく同一長さの洗浄布帛を前記ブランケツトシリンダに送るための送り制御機構とを備えたことを特徴とする装置。
」(2頁右欄41行~3頁左欄18行参照。)
イ.「マニホルド22は適当な方法で導管41から供給される圧縮空気の供給源に接続される。圧縮空気の供給源は代表的には工場で使用されているものからなる。第2図及び第3図を対比して参照すると明らかなように、マニホルド22に圧縮空気を満たすことによつて、ゴム膨脹手段38の下面40は第2図の非作用位置から第3図の作用位置に移動し、布帛Cはブランケツトシリンダ2の面に係合し、これを洗浄する。」(7頁右欄27~36行)
ウ.「長さ方向に沿つて配置された複数の噴出口、すなわち開口部56を有する第3チユーブ状部材54が設けられている。噴出口、すなわち開口部は、ブランケツトシリンダ2の面に向かつて配置され、圧縮空気をチユーブ状部材54内においてブランケツトシリンダの面に送り、布帛が退避した後に、ブランケツトに残されている水又は非水性、すなわち炭化水素溶媒を乾燥させる。」(8頁左欄33~40行)
エ.「作業時にバルブ118が開かれ、バルブ120が閉じられると、液体はピストン114の両側に供給され、面積の差異によつてピストンは調節可能なねじストツパ123がピストンロツド121に係合するまで左に移動する。調節可能なねじの位置は、散布される流体の量を決定する。流体システムはこれによつて負荷される。」(10頁右欄22~28行参照。)
オ.「空気を膨脹手段に供給してこれを膨脹させるためのシステムが第9B図に示されている。このシステムでは供給源100から工業空気がレギユレタ102を通り、三方向ソレノイドバルブ112が開いている場合には空気膨脹手段に送られる。制御された空気は取付部41(第1図)(審決注:「導管41」の誤記)を介して膨脹手段に導通される。さらにその他のユニツトに接続するに適した導管101が設けられる。」(10頁右欄37~末行)
カ.「2 水又は炭化水素溶媒のためのソレノイドが動作し、測定された量の流体がチユーブ42又は46の噴出口を通つて布帛にスプレーされる。流体の測定量を決定する方法は前述した通りである。」(11頁右欄11~15行参照。)
キ.「さらに、第4発明によれば、導管41によつて圧縮空気が膨張部材に導かれ、膨張部材を膨張させることができ、圧縮空気を膨張部材から解放し、膨張部材をしぼませることもできる。」(13頁左欄14~17行)
ク.上記ア乃至ウより、工業空気と乾燥空気とは、共通の圧縮空気の供給源より、膨脹部材(ゴム膨脹手段)とブランケツトシリンダを乾燥させるための第3導管(チユーブ状部材)とに供給されるものといえる。
上記ア乃至クの記載から、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「印刷機のブランケツトシリンダを洗浄布帛で洗浄するための装置であつて、
(a)洗浄布帛供給ロールと、
(b)洗浄布帛巻取ロールとを備え、前記洗浄布帛は前記供給ロールと前記巻取ロール間で前記ブランケツトシリンダに近接して配置され、
(c)水を前記洗浄布帛に導くための第1導管と、
(d)水以外の溶媒を前記洗浄布帛に導くための第2導管と、
(e)供給源から工業空気がレギユレタを通り、三方向ソレノイドバルブが開いている場合に、制御された空気は導管を介して膨脹手段に導通され、送られる圧縮空気によつて膨張させることができる膨張部材とを備え、前記ブランケツトシリンダの反対側で前記膨張部材が前記洗浄布帛と係合しており、前記膨張部材を膨張させたとき、前記洗浄布帛を移動させ、前記ブランケツトシリンダと接触させることができ、圧縮空気を膨張部材から解放し、膨張部材をしぼませることもでき、さらに、
(f)乾燥空気を前記ブランケツトシリンダに導き、これを乾燥させるための第3導管と、
(g)前記巻取ロールを間欠的に回転させ、前記巻取ロール上の洗浄布帛の量に関係なく同一長さの洗浄布帛を前記ブランケツトシリンダに送るための送り制御機構とを備え、
調節可能なねじの位置により量が決定された水又は溶媒である流体がチユーブの噴出口を通つて洗浄布帛にスプレーされ、
上記工業空気と乾燥空気とは、共通の圧縮空気の供給源より、膨脹部材(ゴム膨脹手段)とブランケツトシリンダを乾燥させるための第3導管(チユーブ状部材)とに供給されるものである、装置。」
第4 対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、
1.後者の「上ゴム胴25」、「洗浄ユニット50」、「洗浄ウェブ59」、「洗浄ノズル57」、「供給ロール60」及び「巻取りロール62」は、それぞれ、前者の「プレートシリンダ(101)」、「清浄用装置(401)」、「清浄用ウェブ」、「湿潤化ノズル(303)」、「フィードローラー(203)」及び「スプール(204)」に相当する。
(1)後者の「洗浄ユニット50」は、「上ゴム胴25が紙にニスを転写した後、新たに上版胴21からニスを受け取るまでの範囲において、上ゴム胴25の周面に接触するように配設されている」ものであって、上記「第3 1.(1)イ.」に示されているように、「コーティング中または印刷中にニス溜りを発生させることなく、コーティングまたは印刷の品質を向上させた洗浄装置を提供する」ことを課題とすることから、前者の「清浄用装置(401)」と、後者の「洗浄ユニット50」とは、「コーター用」である点でも相当する。
(2)後者の「洗浄ウェブ59」は、回転自在かつ着脱可能に軸支された供給ロール60から、ステー51の端面、および上ゴム胴25と略平行に取り付けられ、上ゴム胴25と略同幅の断面コ字状に形成された接触部材としての洗浄プレート56a、ならびに案内部材56bの端面に案内されて、回転自在かつ着脱可能に軸支された巻取りロール62に巻き取られるものであるから、洗浄ウェブ59は平面状で、上ゴム胴25に対して接している、すなわち、ウエブで画定される平面内で接線方向に移動するものといえる。
そうすると、後者の「供給ロール」及び「巻取りロール」は、「清浄用ウェブにより画定される平面内で少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された接線方向移動機構」を構成するといえる。
また、後者の「巻取りロール62」は、洗浄ウェブ59を巻き取るものであるから、「回転させるように構成されたモーター」を備えることは、技術的に自明の事項である。そうすると、後者の後者の「巻取りロール62」は、「フィードローラー(203)から巻き出された清浄用ウェブを前記スプール(204)上に巻き取るために少なくとも前記スプール(204)を回転させるように構成されたモーター(207)」を備えるといえる。
(3)後者の「洗浄ウェブ59」は、その形状から表面及び背面を有するものであることは自明であって、前者の「清浄用表面と背面を有する清浄用ウェブ」に相当する。
そして、後者の「洗浄ウェブ59」は、供給ロール60と巻取りロール62の間で平面的部分が形成されるものであるから、後者の「巻取りロール62」は、前者の「フィードローラー(203)に対し平行なスプール(204)」に相当する。
(4)後者の「エアシリンダ71」は、「洗浄ウェブ59を上ゴム胴25に対して接触および離間させる接離手段として機能するとともに、洗浄ユニットフレーム55を上ゴム胴25に対して着脱させる洗浄ユニット着脱手段として機能する」ものであって、上述のとおり、「洗浄ウェブ59は、上ゴム胴25に対して接線方向に移動するもの」であるから、清浄ウェブ59が上ゴム胴25と接離する方向は、上ゴム胴25の半径方向となることは、幾何学的に自明の事項である。
そうすると、後者の「エアシリンダ71」は、前者の「平面外の少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された半径方向移動機構」に相当する。
2.後者の「制御装置93」は、「コーティング中に洗浄ユニット50による洗浄動作を開始させるように制御し」、「洗浄スイッチ80のONを検出するステップ、洗浄ユニット50の洗浄ノズル57から洗浄液78が洗浄ウェブ59に噴射されるステップ、初期布送りが行われるステップ、エアシリンダ71のポートPaへのエアの供給により作動ロッド72が前進し、洗浄プレート56aが上ゴム胴25の周面に接近するステップ」からなる洗浄動作を制御するものであるから、前者の「コントローラ」と後者の「制御装置93」とは、「前記接線方向移動機構と半径方向移動機構に結合され、受信した入力信号にしたがって前記清浄用ウェブの移動を制御するように構成されている」点で共通する。
3.後者の「洗浄ノズル57」は、洗浄液78を洗浄ウェブ59に噴射するものであって、その作用機能からして、上ゴム胴25の外側表面と接触状態に入る前に洗浄ウェブ59を湿潤化するものであることは明らかである。
後者の「洗浄ノズル57」からは「洗浄液78が洗浄ウェブ59に噴射される」のであって、洗浄液78は洗浄ウェブ59方向に噴射されるのであるから、前者の「湿潤化ノズル(303)」と後者の「洗浄ノズル57」とは、「清浄用ウェブに向かう動作方向を有する」点で共通する。
後者の「洗浄ノズル57」は、「供給ロール60と巻取りロール62の間で引締された洗浄ウェブ59の平面的部分に対向し、供給ロール60と巻取りロール62との間に配置され」ているものであるから、前者の「湿潤化ノズル(303)」と後者の「洗浄ノズル57」とは、「フィードローラー(203)とスプール(204)の間で引締された清浄用ウェブの平面的部分(202)に向かう動作方向を伴って、フィードローラー(203)とスプール(204)との間に配置されている」点で共通する。
したがって、両者は、
「プレートシリンダを含むコーター用の清浄用装置であって、
- 清浄用表面と背面を有する清浄用ウェブと、
- 前記清浄用ウェブにより画定される平面内で少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された接線方向移動機構と、
- 前記平面外の少なくとも1つの方向に前記清浄用ウェブを制御可能な形で移動させるように構成された半径方向移動機構と、
- プレートシリンダーの外側表面と接触状態に入る前に清浄用ウェブを湿潤化するための湿潤化ノズルと、
- 前記接線方向移動機構と半径方向移動機構に結合され、受信した入力信号にしたがって前記清浄用ウェブの移動を制御するように構成されているコントローラと、
を含み、
前記清浄用装置は、更に、
前記清浄用ウェブに向かう動作方向を有する1つ以上の湿潤化ノズルと、
を含み、
前記接線方向移動機構は、
フィードローラーと、
該フィードローラーに対し平行なスプールと、
該フィードローラーから巻き出された清浄用ウェブを前記スプール上に巻き取るために少なくとも前記スプールを回転させるように構成されたモーターと、
を含み、
1つ以上の湿潤化ノズルが、前記フィードローラーと前記スプールの間で引締された前記清浄用ウェブの平面的部分に向かう前記動作方向を伴って、前記フィードローラーとスプールとの間に配置されている、
ことを特徴とする清浄用装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明が、「清浄用表面が面している空間の方に向けられた動作方向を有する1つ以上のブロワノズル(402)」を含み、「1つ以上のブロワノズル(402)」がプレートシリンダー(101)の動作方向で清浄用装置の近くに配置されると同時に、プレートシリンダー(101)の動作方向で清浄用装置の前に配置されて」いるのに対し、引用発明1は、そのような「1つ以上のブロワノズル(402)」を有していない点。
[相違点2]
半径方向移動機構が、本願発明では、「清浄用ウェブの背面側の膨張可能なエアクッション(205)と、前記エアクッション(205)を膨張および収縮させるための加圧空気計量用装置の制御可能なバルブ(206)と、前記1つ以上のブロワノズル(402)と、を含み、前記エアクッション(205)が、膨張させられた場合に」、「半径方向移動機構」により、「前記エアクッション(205)がプレートシリンダー(101)の外側表面に対して清浄用ウェブの清浄用表面を押し付けるように構成され」ているのに対し、引用発明1は、洗浄ウェブ59を上ゴム胴25に対して接触および離間させる接離手段として機能するとともに、洗浄ユニットフレーム55を上ゴム胴25に対して着脱させる洗浄ユニット着脱手段として機能するエアシリンダ71であり、先端部が駆動レバー53の上端部に枢着された進退自在な作動ロッド72を備え、エアシリンダ71は2つのポートPa、Pbを備えており、ポートPaにエアが供給されることにより作動ロッド72が前進し、ポートPbにエアが供給されることにより作動ロッド72が後退し、このエアシリンダ71は、洗浄装置による洗浄/非洗浄を切替える切替手段を構成するものである点。
[相違点3]
本願発明が、清浄用ウェブに向かって1つ以上の湿潤化ノズル(303)を通って「湿潤化液体を制御可能な形で送出するように構成されている湿潤化液体計量装置(304)」を有するのに対し、引用発明1は、そのようなものを有するのか否かが定かでない点。
[相違点4]
本願発明が、「フィードローラー(203)を回転するように構成されたモータ(301)」を有するのに対し、引用発明1は、そのような「モータ(301)」を有していない点。
第5 判断
上記各相違点について検討する。
1.[相違点1]について
当該技術分野において、ドラム表面と排出される記録紙とで作られる空間に向けられた吐出方向を有する吐出制御可能なエアノズルは、周知の技術手段である(例えば、特開2007-15183号公報(【0041】、図1参照。)、特開2007-225846号公報(【0044】、図2参照。)以下、「周知技術1」という。)。
ここで、上記周知技術1の「エアノズル」は、本願発明の「ブロワノズル(402)」に相当する。
そして、上記周知技術1の「ドラム」と本願発明の「プレートシリンダー(101)」とは、転写ローラとの概念で共通し、ワークが転写ローラを通過したら、速やかに離間させることが必要であるのは技術常識といえることであって、そのために、上記周知技術1の「エアノズル」を用いることは常套手段といえる。
そうすると、引用発明1に、上記周知技術1を適用することは、何ら困難性のないことである。
そして、引用発明1に、前記周知技術1を適用すると、エアノズルは、その吐出方向が、上ゴム胴25表面が面している空間の方に向けられ、エアノズルが、上ゴム胴25の動作方向で洗浄ユニット50の近くに配置されると同時に、上ゴム胴25の動作方向で洗浄ユニット50の前に配置されることとなるから、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明1及び上記周知技術1より、当業者が容易に想到し得るものである。
2.[相違点2]について
引用発明2の「洗浄布帛」、「膨張させることができる膨張部材」、「三方向ソレノイドバルブ」、「ブランケツトシリンダ」は、それぞれ、本願発明の「清浄用ウェブ」、「膨張可能なエアクッション(205)」、「バルブ(206)」、「プレートシリンダー(101)」に相当する。
引用発明2の「洗浄布帛」は、「ブランケツトシリンダの反対側で膨張部材」と係合するものであるから、「洗浄布帛」の膨脹部材との係合する側を背面側とすれば、「洗浄布帛」の「背面側」がブランケットシリンダの外側表面に接触することは明らかであって、本願発明の「エアクッション(205)」と、引用発明2の「膨脹部材」とは、「エアクッション(205)が、膨張させられた場合に、エアクッション(205)がプレートシリンダー(101)の外側表面に対して清浄用ウェブの清浄用表面を押し付けるように構成され」る点で共通する。
引用発明2の「三方向ソレノイドバルブ」が、開いている場合に、制御された空気を導管を介して膨脹手段に導通し、送られる圧縮空気によつて膨脹部材が膨張するのであるから引用発明2の「三方向ソレノイドバルブ」は、「エアクッション(205)を膨脹させるための制御可能なバルブ」といえる。
また、引用発明2の「膨脹部材」は、導管、三方向ソレノイドバルブ、レギュレタ、供給源と接続されるものであるから、圧縮空気を膨脹部材から解放し、膨脹部材をしぼませる際には、三方向ソレノイドバルブを、膨脹部材をしぼませるよう制御していることは明らかである。そうすると、引用発明2の「三方向ソレノイドバルブ」は、「エアクッション(205)を収縮させるための制御可能なバルブ」ともいえる。
ここで、本願発明の「半径方向移動機構」について、願書に添付した明細書等を参酌すると、その【0018】、【0028】及び【0035】には、「清浄用ウェブの背面側のエアクッション205」及び「エアクッション205を膨張および収縮させるため制御可能なバルブ206」が含まれることが記載されているものの、「半径方向移動機構」と「ブロワノズル(402)」との関係については何ら記載されていない。
これに対し、本願発明は、「前記半径方向移動機構が 前記清浄用ウェブの背面側の膨張可能なエアクッション(205)と、 前記エアクッション(205)を膨張および収縮させるための加圧空気計量用装置の制御可能なバルブ(206)と、 前記1つ以上のブロワノズル(402)と、を含み、」と特定されていることから、以下の2つの場合について検討する。
(その1)「半径方向移動機構」が、「エアクッション(205)」と、「バルブ(206)」と、「ブロワノズル(402)」と、を含むもの(特許請求の範囲の記載どおりのもの)である場合。
上記「1.[相違点1]について」のとおり、「ブロワノズル(402)」を設けることは周知技術である。
また、印刷装置において、共通の加圧空気供給源から複数の加圧空気吐出先に対して加圧空気を供給することは、周知の技術手段である(例えば、特開2000-177870号公報(【0012】、【0013】参照。)、特開昭60-144775号公報(2頁右下欄16行~3頁左上欄10行参照。)以下、「周知技術2」という。)ことからすれば、一の機構に、加圧空気の吐出先である「エアクッション(205)」と「ブロワノズル(402)」とを設けることは、当業者にとって何ら困難性のないことである。
そして、「エアクッション(205)」に対して、供給する空気量を調節することも、「ブロワノズル(402)」に対して、供給する空気量を調節することも周知の技術手段であるから(前者については、特開2000-318136(【0020】~【0024】参照。)、特開平5-345410号公報(【0014】~【0018】参照。)(以下、「周知技術3」という。)。後者については、特開2011-186189号公報(【0048】、【0049】参照。)、特開平7-157122号公報(【0035】~【0042】参照。)、特開平6-87541号公報(【0029】、【0030】参照。)(以下、「周知技術4」という。)。)、引用発明2の「三方向ソレノイドバルブ」に計量機能を持たせることも何ら困難性のないことである。
以上のことからすると、引用発明1に、引用発明2を適用するに際し、上記周知技術1乃至4を参酌することにより、上記相違点2に係る本願発明とすることは、当業者が容易になし得ることである。
(その2)「半径方向移動機構」が、「エアクッション(205)」と、「バルブ(206)」と、「バルブ(403)」と、を含むもの(願書に添付した明細書等には、ブロワノズル402が移動機構を構成することは記載も示唆もされておらず、また、【0039】には、「バルブ206」と「バルブ403」とが、共通の機構(加圧空気計量用装置)を構成すると記載されていることから、「半径方向移動機構」には、「バルブ(206)」と「バルブ(403)」とが含まれるものと認定する)である場合。
上記周知技術2のことからすれば、一の機構に、加圧空気の各吐出先を制御するバルブを設けることは、当業者にとって何ら困難性のないことである。
そして、上記(その1)のとおり、「エアクッション(205)」に対して、供給する空気量を調節することも、「ブロワノズル(402)」に対して、供給する空気量を調節することも周知の技術手段であるから、引用発明2の「三方向ソレノイドバルブ」に計量機能を持たせることも何ら困難性のないことである。
以上のことからすると、引用発明1に、引用発明2を適用するに際し、上記周知技術1乃至4を参酌することにより、上記相違点2に係る本願発明とすることは、当業者が容易になし得ることである。
以上のことから、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものである。
3.[相違点3]について
引用発明2の洗浄布帛にスプレーされる「水又は溶媒」は、本願発明の「湿潤化液体」に相当し、引用発明2の「水又は溶媒」は、測定された量が洗浄布帛にスプレーされるものであるから、量に関して制御された形で送出されるといえる。
そうすると、引用発明2の「装置」には、明記はないものの、実質的に「清浄用ウェブに向かって1つ以上の湿潤化ノズル(303)を通って「湿潤化液体を制御可能な形で送出するように構成されている湿潤化液体計量装置(304)」を有するものといえる。
そして、引用発明1と引用発明2とは、印刷装置に関する技術分野に属する点で共通し、胴(シリンダ)の付着物を除去することを課題とする点でも共通するから、引用発明1に、引用発明2の湿潤化液体計量装置を適用することにより、当業者が容易に想到し得るものである。
4.[相違点4]について
当該技術分野において、フィードローラを回転するようモータを設けることは、周知の技術手段である(例えば、特開2000-71428号公報(【0018】、図1参照。)、特開2000-71427号公報(【0012】、図1参照。)以下、「周知技術5」という。)。
そうすると、引用発明1に、前記周知技術5を適用し、相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、引用発明2、上記周知技術1乃至5から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
よって、本願発明は、引用発明1、引用発明2、上記周知技術1乃至5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、引用発明2、上記周知技術1乃至5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-002672