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特許拒絶査定不服審判

2021-017187

シート状の基材を連続的に加工する印刷装置を備える機械構造物

審判番号
2021-017187
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-182078
請求日
2021年12月14日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ケーニッヒ ウント バウアー アー・ゲー
  • 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
審判長/審判官
  • 審判長 吉村 尚
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 佐藤 海
分類
P18 .121-Z (B41F) / P18 .575-Z (B41F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-182078「シート状の基材を連続的に加工する印刷装置を備える機械構造物」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月12日出願公開、特開2020- 37268〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年7月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年8月10日(以下「優先日」という。)、2017年3月7日、独国)を国際出願日とする特願2018-568883号の一部を令和1年10月2日に新たな特許出願としたものであって、令和1年10月18日に手続補正書が提出され、令和2年11月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和3年3月4日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年12月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年12月14日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年12月14日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであって、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年3月4日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至22を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至22へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。) (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 シート状の基材を連続的に加工する機械構造物であって、 複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)を備え、 複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれ基材ガイドユニット(24)と基材加工ユニット(26)とを有し、前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)のうちの2つの加工ステーションは、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し、少なくとも1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションは、印刷胴(22;38)を有し、各々の前記ノンインパクト印刷装置(06;37)は、それぞれ前記印刷胴(22;38)の周に配置されており、それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)は、3倍胴または4倍胴の大きさに構成されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)が配置されている、かつ/または各々の前記印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)が配置されており、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ吸着胴として構成されており、該当する前記印刷胴(22;38)への吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられるまたは少なくとも切換え可能であり、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ該印刷胴(22;38)の外周面に、周方向で相前後して、それぞれ1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有し、 前記基材の搬送方向(T)において、前記基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に乾燥機(09)が設けられており、前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており、 前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている機械構造物。 【請求項2】 それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)は、それぞれ前記渡しドラム(43)または前記供給胴(43)の周に、それぞれ1つの弾性的な上張りを有し、該上張りでもって、前記渡しドラム(43)または前記供給胴(43)は、該当する前記印刷胴(22;38)の外周面に当接されているまたは少なくとも当接可能であることを特徴とする、請求項1記載の機械構造物。 【請求項3】 それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)は、それぞれ周方向で位置調整可能な複数の胴面(29)を有しており、それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)の前記胴面(29)は、それぞれ位置変化可能に支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の機械構造物。 【請求項4】 回転方向において各吸着胴の各区分(51;52;53;54)の前方の端部にそれぞれグリッパおよび/またはサッカ(58)が配置されており、回転方向において各吸着胴の各区分(51;52;53;54)の後方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2または3記載の機械構造物。 【請求項5】 該当する前記印刷胴(22;38)に関して、前記印刷胴(22;38)の回転方向において、第1の区分(51;52;53;54)の後方の端部の回転角度位置は、前記印刷胴(22;38)の回転方向において該当する第1の区分(51;52;53;54)の直後に配置された第2の区分(51;52;53;54)の前方の端部に対して相対的に、前記第1の区分(51;52;53;54)において保持されるべき基材の判型に依存して可変に調整可能であることを特徴とする、請求項1または2または3または4記載の機械構造物。 【請求項6】 それぞれ前記区分(51;52;53;54)のうちの1つの区分において終端する複数の通路(56)が、各々の前記区分(51;52;53;54)において前記該当する印刷胴(22;38)の外周面に吸着孔区分を形成し、各々の前記吸着孔区分の大きさは、保持されるべき基材の判型に依存して調整されるまたは少なくとも調整可能であることを特徴とする、請求項5記載の機械構造物。 【請求項7】 前記区分(51;52;53;54)において、吸着された基材が載置可能である周方向に延びるウェブ(59)が形成されており、前記吸着された基材は、隣接するウェブ(59)の間で作用する吸気により前記該当する吸着胴の外周面に保持されることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5記載の機械構造物。 【請求項8】 各々の前記区分(51;52;53;54)の、各前記印刷胴(22;38)の回転方向で少なくとも前方の端部にまたは前方の端部にだけ、それぞれ1つの歯列(57)が設けられており、前記歯列(57)の歯部の領域に、それぞれ1つのまたは複数のサッカ(58)が配置されている、または前記歯列(57)の歯部の領域に、1つのサッカ(58)列が配置されていることを特徴とする、請求項4または5または6または7記載の機械構造物。 【請求項9】 少なくとも1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションに対して、別の基材加工ユニット(26)を有しておらず純粋な搬送モジュールとして形成された基材ガイドユニット(24)が前置または後置されており、前記搬送モジュールは、独自のフレーム内に配置されているかつ/または横方向スペースとして形成されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8記載の機械構造物。 【請求項10】 該当する基材加工ユニット(26)を有する加工ステーションの前記印刷胴(22;38)の回転軸線と、直後に配置された渡しドラム(44)または直後に配置された搬送胴(44)の回転軸線とを通って延在する直線が、水平線に対して鋭角(α1)を形成し、かつ/または該当する基材加工ユニット(26)を有する加工ステーションの前記印刷胴(22;38)の回転軸線と、直前に配置された渡しドラム(43)または直前に配置された供給胴(43)の回転軸線とを通って延在する直線が、水平線に対して鋭角(α2)を形成し、水平線は、それぞれ該当する前記渡しドラム(43;44)の回転軸線または該当する前記搬送胴(44)または該当する前記供給胴(43)の回転軸線を通って延在することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9記載の機械構造物。 【請求項11】 後置された前記渡しドラム(44)または後置された前記搬送胴(44)に関して向けられた角度(α1)は、前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)の1倍~2倍の範囲にある、または前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)の1.3倍~1.7倍の範囲にある、または前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)の1.5倍であり、かつ/または前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)は、15°~30°の範囲にある、または20°~25°の範囲にある、または22.5°であることを特徴とする、請求項10記載の機械構造物。 【請求項12】 前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれモジュールとして構成されており、各々のモジュールは、独立して製作された機械ユニットまたは機能性構成群であり、各々の前記モジュールは、独自のフレーム内に配置されており、隣り合うモジュールは、該モジュールの接合箇所に、略鉛直の接合面を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11記載の機械構造物。 【請求項13】 前記基材ガイドユニット(24)および前記基材加工ユニット(26)は、該基材ガイドユニット(24)および該基材加工ユニット(26)の接合箇所に、それぞれ略水平の接合面を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12記載の機械構造物。 【請求項14】 前記印刷胴(22;38)の直後に配置された前記渡しドラム(44)または直後に配置された前記搬送胴(44)の下方に、かつ/または前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または前記印刷胴(22;38)の直前に配置された供給胴(43)の下方に、それぞれ、その都度搬送されるべき基材を支持するために、それぞれガイドプレート(42)を有するコーム型サッカ(33)が配置されており、前記基材は、その都度該当する前記コーム型サッカ(33)の前記ガイドプレート(42)に沿って、該ガイドプレート(42)に擦過して搬送され、前記コーム型サッカ(33)は、少なくとも1つの吸着装置(34)を有し、該吸着装置(34)により、前記ガイドプレート(42)に支持されるべき基材が、該ガイドプレート(42)の方向へ吸着される、かつ/または搬送されるべき基材を支持する前記コーム型サッカ(33)の前記ガイドプレート(42)は、搬送されるべき基材の搬送方向(T)において相互に平行に配置された複数の櫛歯(36)を具備する載設部を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13記載の機械構造物。 【請求項15】 3倍胴または4倍胴の大きさに構成された前記印刷胴(22;38)は各々、前記印刷胴(22;38)の周に、前後して3つまたは4つの基材がそれぞれ力結合によりかつ/または形状結合により保持されるように配置されているまたは少なくとも配置可能である数の保持要素を有しており、かつ/または2倍胴または3倍胴の大きさに構成された前記渡しドラム(43;44)または相応の供給胴(43)または相応の搬送胴(44)は、前記渡しドラム(43;44)または相応の供給胴(43)または相応の搬送胴(44)の各周に2つまたは3つの基材を前後して保持することができるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14記載の機械構造物。 【請求項16】 前記各吸着胴に関して、前記吸着胴の回転方向において該当する第1の区分(51;52;53;54)の直後に配置された第2の区分(51;52;53;54)の前記前方の端部に対して相対的な、前記第1の区分(51;52;53;54)の前記後方の端部の回転角度位置は、前記第1の区分(51;52;53;54)に保持される前記基材の判型に依存して、前記吸着胴の外周面の部分の機械的な位置調整により可変に調整される又は少なくとも調整可能であることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15記載の機械構造物。 【請求項17】 前記吸着胴はそれぞれ、該当する保持される基材の最小の判型の領域において前記吸着胴の内側に向けられた通路(56)用の開口を有する吸着孔区分により形成されており、判型に関して可変な区分にウェブ(59)を有することを特徴とする、請求項7または8または9または10または11または12または13または14または15または16記載の機械構造物。 【請求項18】 前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)の手前に、第1のプライマ塗布装置(02)および該第1のプライマ塗布装置(02)の後方に第1の乾燥機(07)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17記載の機械構造物。 【請求項19】 前記基材は、前記反転装置(23)から到来して、まず前記基材の裏面を処理する第2のプライマ塗布装置(02)に供給され、次いで他の乾燥機(07)に供給され、前記他の乾燥機(07)の後方に、前記基材の裏面にその都度印刷を行う前記第2のノンインパクト印刷装置(37)の印刷胴(38)が続く、ことを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18記載の機械構造物。 【請求項20】 該当する乾燥機(07;09)は、UV乾燥機としてまたはIR乾燥機としてまたはマイクロ波乾燥機として構成されている、ことを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19記載の機械構造物。 【請求項21】 前記乾燥機(07;09)は、熱風乾燥機と組み合わせて構成されている、ことを特徴とする請求項20記載の機械構造物。 【請求項22】 前記各UV乾燥機または前記IR乾燥機は、それぞれLED乾燥機として構成されている、ことを特徴とする請求項20または21記載の機械構造物。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 シート状の基材を連続的に加工する機械構造物であって、 複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)を備え、 複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれ基材ガイドユニット(24)と基材加工ユニット(26)とを有し、前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)のうちの2つの加工ステーションは、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し、少なくとも1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションは、印刷胴(22;38)を有し、各々の前記ノンインパクト印刷装置(06;37)は、それぞれ前記印刷胴(22;38)の周に配置されており、それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)は、3倍胴または4倍胴の大きさに構成されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)が配置されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)が配置されており、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ吸着胴として構成されており、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ該印刷胴(22;38)の外周面に、周方向で相前後して、それぞれ1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有し、 各々の区分(51;52;53;54)の、前記各々の吸着胴の回転方向において前方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されており、少なくとも前記供給胴(43)から前記基材を引き渡すために、該当する前記印刷胴(22;38)への前記サッカ(58)の吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられており、前記吸着胴の前記サッカ(58)には、前記吸着胴の、前記供給胴(43)により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて、前記供給胴(43)から前記吸着胴への基材の引渡しは、専ら前記サッカ(58)の起動により可能であり、 前記基材の搬送方向(T)において、前記基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に乾燥機(09)が設けられており、前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており、 前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている機械構造物。 【請求項2】 それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)は、それぞれ前記渡しドラム(43)または前記供給胴(43)の周に、それぞれ1つの弾性的な上張りを有し、該上張りでもって、前記渡しドラム(43)または前記供給胴(43)は、該当する前記印刷胴(22;38)の外周面に当接されているまたは少なくとも当接可能であることを特徴とする、請求項1記載の機械構造物。 【請求項3】 それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)は、それぞれ周方向で位置調整可能な複数の胴面(29)を有しており、それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または直前に配置された前記供給胴(43)の前記胴面(29)は、それぞれ位置変化可能に支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の機械構造物。 【請求項4】 回転方向において各吸着胴の各区分(51;52;53;54)の前方の端部にそれぞれグリッパおよびサッカ(58)が配置されており、回転方向において各吸着胴の各区分(51;52;53;54)の後方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2または3記載の機械構造物。 【請求項5】 該当する前記印刷胴(22;38)に関して、前記印刷胴(22;38)の回転方向において、第1の区分(51;52;53;54)の後方の端部の回転角度位置は、前記印刷胴(22;38)の回転方向において該当する第1の区分(51;52;53;54)の直後に配置された第2の区分(51;52;53;54)の前方の端部に対して相対的に、前記第1の区分(51;52;53;54)において保持されるべき基材の判型に依存して可変に調整可能であることを特徴とする、請求項1または2または3または4記載の機械構造物。 【請求項6】 それぞれ前記区分(51;52;53;54)のうちの1つの区分において終端する複数の通路(56)が、各々の前記区分(51;52;53;54)において前記該当する印刷胴(22;38)の外周面に吸着孔区分を形成し、各々の前記吸着孔区分の大きさは、保持されるべき基材の判型に依存して調整されるまたは少なくとも調整可能であることを特徴とする、請求項5記載の機械構造物。 【請求項7】 前記区分(51;52;53;54)において、吸着された基材が載置可能である周方向に延びるウェブ(59)が形成されており、前記吸着された基材は、隣接するウェブ(59)の間で作用する吸気により前記該当する吸着胴の外周面に保持されることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5記載の機械構造物。 【請求項8】 各々の前記区分(51;52;53;54)の、各前記印刷胴(22;38)の回転方向で少なくとも前方の端部にまたは前方の端部にだけ、それぞれ1つの歯列(57)が設けられており、前記歯列(57)の歯部の領域に、それぞれ1つのまたは複数のサッカ(58)が配置されている、または前記歯列(57)の歯部の領域に、1つのサッカ(58)列が配置されていることを特徴とする、請求項4または5または6または7記載の機械構造物。 【請求項9】 少なくとも1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションに対して、別の基材加工ユニット(26)を有しておらず純粋な搬送モジュールとして形成された基材ガイドユニット(24)が前置または後置されており、前記搬送モジュールは、独自のフレーム内に配置されているかつ/または横方向スペースとして形成されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8記載の機械構造物。 【請求項10】 該当する基材加工ユニット(26)を有する加工ステーションの前記印刷胴(22;38)の回転軸線と、直後に配置された渡しドラム(44)または直後に配置された搬送胴(44)の回転軸線とを通って延在する直線が、水平線に対して鋭角(α1)を形成し、かつ/または該当する基材加工ユニット(26)を有する加工ステーションの前記印刷胴(22;38)の回転軸線と、直前に配置された渡しドラム(43)または直前に配置された供給胴(43)の回転軸線とを通って延在する直線が、水平線に対して鋭角(α2)を形成し、水平線は、それぞれ該当する前記渡しドラム(43;44)の回転軸線または該当する前記搬送胴(44)または該当する前記供給胴(43)の回転軸線を通って延在することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9記載の機械構造物。 【請求項11】 後置された前記渡しドラム(44)または後置された前記搬送胴(44)に関して向けられた角度(α1)は、前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)の1.3倍~1.7倍の範囲にある、または前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)の1.5倍であり、かつ/または前置された前記渡しドラム(43)または前置された前記供給胴(43)に関して向けられた角度(α2)は、15°~30°の範囲にある、または20°~25°の範囲にある、または22.5°であることを特徴とする、請求項10記載の機械構造物。 【請求項12】 前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれモジュールとして構成されており、各々のモジュールは、独立して製作された機械ユニットまたは機能性構成群であり、各々の前記モジュールは、独自のフレーム内に配置されており、隣り合うモジュールは、該モジュールの接合箇所に、略鉛直の接合面を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11記載の機械構造物。 【請求項13】 前記基材ガイドユニット(24)および前記基材加工ユニット(26)は、該基材ガイドユニット(24)および該基材加工ユニット(26)の接合箇所に、それぞれ略水平の接合面を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12記載の機械構造物。 【請求項14】 前記印刷胴(22;38)の直後に配置された前記渡しドラム(44)または直後に配置された前記搬送胴(44)の下方に、かつ/または前記印刷胴(22;38)の直前に配置された前記渡しドラム(43)または前記印刷胴(22;38)の直前に配置された供給胴(43)の下方に、それぞれ、その都度搬送されるべき基材を支持するために、それぞれガイドプレート(42)を有するコーム型サッカ(33)が配置されており、前記基材は、その都度該当する前記コーム型サッカ(33)の前記ガイドプレート(42)に沿って、該ガイドプレート(42)に擦過して搬送され、前記コーム型サッカ(33)は、少なくとも1つの吸着装置(34)を有し、該吸着装置(34)により、前記ガイドプレート(42)に支持されるべき基材が、該ガイドプレート(42)の方向へ吸着される、かつ/または搬送されるべき基材を支持する前記コーム型サッカ(33)の前記ガイドプレート(42)は、搬送されるべき基材の搬送方向(T)において相互に平行に配置された複数の櫛歯(36)を具備する載設部を有することを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13記載の機械構造物。 【請求項15】 3倍胴または4倍胴の大きさに構成された前記印刷胴(22;38)は各々、前記印刷胴(22;38)の周に、前後して3つまたは4つの基材がそれぞれ力結合によりかつ/または形状結合により保持されるように配置されているまたは少なくとも配置可能である数の保持要素を有しており、かつ/または2倍胴または3倍胴の大きさに構成された前記渡しドラム(43;44)または相応の供給胴(43)または相応の搬送胴(44)は、前記渡しドラム(43;44)または相応の供給胴(43)または相応の搬送胴(44)の各周に2つまたは3つの基材を前後して保持することができるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14記載の機械構造物。 【請求項16】 前記各吸着胴に関して、前記吸着胴の回転方向において該当する第1の区分(51;52;53;54)の直後に配置された第2の区分(51;52;53;54)の前記前方の端部に対して相対的な、前記第1の区分(51;52;53;54)の前記後方の端部の回転角度位置は、前記第1の区分(51;52;53;54)に保持される前記基材の判型に依存して、前記吸着胴の外周面の部分の機械的な位置調整により可変に調整される又は少なくとも調整可能であることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15記載の機械構造物。 【請求項17】 前記吸着胴はそれぞれ、該当する保持される基材の最小の判型の領域において前記吸着胴の内側に向けられた通路(56)用の開口を有する吸着孔区分により形成されており、判型に関して可変な区分にウェブ(59)を有することを特徴とする、請求項7または8または9または10または11または12または13または14または15または16記載の機械構造物。 【請求項18】 前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)の手前に、第1のプライマ塗布装置(02)および該第1のプライマ塗布装置(02)の後方に第1の乾燥機(07)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17記載の機械構造物。 【請求項19】 前記基材は、前記反転装置(23)から到来して、まず前記基材の裏面を処理する第2のプライマ塗布装置(02)に供給され、次いで他の乾燥機(07)に供給され、前記他の乾燥機(07)の後方に、前記基材の裏面にその都度印刷を行う前記第2のノンインパクト印刷装置(37)の印刷胴(38)が続く、ことを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18記載の機械構造物。 【請求項20】 該当する乾燥機(07;09)は、UV乾燥機としてまたはIR乾燥機としてまたはマイクロ波乾燥機として構成されている、ことを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19記載の機械構造物。 【請求項21】 前記乾燥機(07;09)は、熱風乾燥機と組み合わせて構成されている、ことを特徴とする請求項20記載の機械構造物。 【請求項22】 前記各UV乾燥機または前記IR乾燥機は、それぞれLED乾燥機として構成されている、ことを特徴とする請求項20または21記載の機械構造物。」 2 補正の適否について (1)本件補正により、本件補正前の請求項1の「機械構造物」の発明特定事項である「印刷胴」の構成について、「各々の区分(51;52;53;54)の、前記各々の吸着胴の回転方向において前方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されており、」と具体的に補正し(以下「補正事項1」という。)、「基材」の搬送について、「少なくとも前記供給胴(43)から前記基材を引き渡すために、該当する前記印刷胴(22;38)への前記サッカ(58)の吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられており、前記吸着胴の前記サッカ(58)には、前記吸着胴の、前記供給胴(43)により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて、前記供給胴(43)から前記吸着胴への基材の引渡しは、専ら前記サッカ(58)の起動により可能であり、」と具体的に補正(以下「補正事項2」という。)するものである。 (2)そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3)そうすると、請求項1に係る補正である補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (4)また、補正事項1は、願書の最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0063】に「図16は、図15の吸着胴の部分拡大斜視図を示しており、この図では、外周面において終端する通路56のたとえばマトリックス状の配置が、つまり各々の吸着孔区分が示されている。各々の区分51;52;53;54の、吸着胴の回転方向で少なくとも前方の端部にまたは前方の端部にだけ歯列57が設けられており、この場合、特に歯列57の各々の歯に関して、たとえばサッカ58として構成されたそれぞれ1つの保持手段が設けられており、この場合、それぞれサッカ58として構成された保持手段は、好適には歯列57の歯部の領域に配置されていて、この歯列57の歯溝の領域には配置されていない。」の記載に基づいており、補正事項2は、段落【0065】の「図18は、基材が供給胴43から吸着胴へ引渡し可能である、吸着胴および供給胴43の回転角度位置を示している。供給胴43および吸着胴の各々の胴溝62とグリッパとは、供給胴43から吸着胴へ基材を引き渡すための各々の回転角度位置および動作位置において、相互に同期化されている。吸着胴への、つまり吸着胴のサッカ58および/または吸着孔区域へのその都度の吸着空気の供給は、たとえば吸着胴の回転角度位置に依存して切り換えられるまたは少なくとも切換え可能である。したがって、供給胴43から吸着胴への基材の引渡しは、専らサッカ58の起動により可能であるが、供給胴43のグリッパだけでなく吸着胴のグリッパであるグリッパと関連付けても可能である。」の記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について 上記2(3)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(令和3年12月14日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】乃至【請求項22】(以下、それぞれ「本 件補正発明1」乃至「本件補正発明22」という。))における本件補正発明1が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正発明1は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載された事項により特定されるものと認められる。 (2)引用例 (2-1)引用例1 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である平成27年4月9日に頒布された刊行物である特開2015-63398号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、搬送体及びこの搬送体を備える画像形成装置に係り、特に、円筒部の外周面に形成された複数の溝部からエアを吸引することで記録媒体を吸着させて搬送する搬送体及びこの搬送体を備える画像形成装置に関する。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 搬送ドラムで記録媒体を吸着搬送する場合、厚みが0.2mm以上、特に0.3mm以上の記録媒体は、コシが強い、すなわち、剛性が高いため、搬送ドラムの曲率に沿い難く、記録媒体の後端部が搬送ドラムから剥離しやすい。 【0007】 したがって、コシの強い、すなわち、剛性の高い記録媒体を吸着穴によるドラム搬送により密着搬送する場合、記録媒体の後端部を剥離なく吸着搬送させるためには、記録媒体の後端部への高い吸着圧力が必要である。 【0008】 また、複数種類の記録媒体のサイズに対応するために、最大サイズに合わせて多数の吸着穴を設け、多数の吸着穴を共通のポンプで吸引する場合には、小さいサイズの記録媒体を使用するときには開放となる吸着穴が存在してしまい、開放となった吸着穴からエアもれが起こり、吸着圧力の不足による記録媒体の固定不良を招いてしまう。 【0009】 すなわち、特許文献1や特許文献2の構成では、小さいサイズの記録媒体を使用するときに、必ず開放となる吸着穴が存在するので、吸着時に記録媒体にかかる吸着圧力が必要な吸着圧力まで到達せず、記録媒体の後端部が剥離してしまうという問題がある。 【0010】 本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、記録媒体のサイズに依らず、記録媒体を搬送体に密着させるために十分な吸着圧力を記録媒体に付与することができ、記録媒体の後端部の搬送体からの剥離を防止することができる搬送体及びこの搬送体を備える画像形成装置を提供することを目的とする。」 ウ 「【0032】 同図に示すインクジェット記録装置10は、枚葉の用紙Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録する記録装置である。インクジェット記録装置10は、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの記録面に所定の処理液を付与する処理液付与部30と、を備える。また、インクジェット記録装置10は、用紙Pの記録面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40を備える。さらに、インクジェット記録装置10は、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70と、を備える。 【0033】 処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61が備えられている。用紙Pは、この処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61によって、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60の各部を搬送される。すなわち、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61は、搬送ドラムとして機能する。… 【0035】 また、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61の周面には、多数の吸着穴が形成されており、用紙Pは、この吸着穴から裏面(記録面の反対側の面)を真空吸着されて、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61の各々の外周面上に保持される。 … 【0037】 各渡し胴80、90、100は、枠体で構成された渡し胴本体81、91、101と、その渡し胴本体81、91、101に備えられたグリッパGとで構成されている。渡し胴本体81、91、101は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転)。これにより、グリッパGが同一円周上を回転する。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、一対のグリッパGが回転軸を挟んで対称位置に配置されており、1回転で2枚の用紙を保持して搬送できるように構成されている。 … 【0040】 給紙部20から給紙された用紙Pは、処理液付与部30の搬送ドラムである処理液付与ドラム31に受け渡され、処理液付与ドラム31から渡し胴80を介して画像記録部40の搬送ドラムである画像記録ドラム41に受け渡される。そして、画像記録ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラムであるインク乾燥ドラム51に受け渡され、インク乾燥ドラム51から渡し胴100を介して定着部60の搬送ドラムである定着ドラム61に受け渡される。そして、定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。この一連の搬送過程で用紙Pは、所要の処理が施されて、記録面に画像が形成される。」 エ「【0053】 <画像記録部> 画像記録部40は、用紙Pの記録面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの記録面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、用紙Pを搬送する搬送ドラムとしての画像記録ドラム41と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの記録面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとを備える。 … 【0055】 用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されている。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。 【0056】 4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。 …」 オ 「【0109】 画像記録ドラム41には回転軸(不図示)が備えられており、該回転軸には円筒状のドラム(円筒部)85が固定されている。このドラム85の両端部は、図3に示すように、側板86、88によって閉塞され、側板86、88の中心部を回転軸(不図示)が貫通している。 …」 カ 「【0122】 以上のように本実施形態に係る画像記録ドラム41を制御することで、用紙のサイズが小さい場合でも、高い吸着圧力を用紙Pに付与することができるので、用紙Pの後端部140がドラム85から剥離することを防止することができる。なお、本実施形態では、2枚の用紙を保持して搬送できる構成について説明したが、用紙は2枚に限ることはなく、3枚以上の用紙をドラム85により保持しながら搬送してもよい。 」 上記ア乃至カの記載事項及び図面から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「枚葉の用紙Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録するインクジェット記録装置10であって、 用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの記録面に所定の処理液を付与する処理液付与部30と、を備え、 また、用紙Pの記録面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40を備え、 さらに、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70と、を備え、 処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61が備えられ、 給紙部20から給紙された用紙Pは、処理液付与部30の搬送ドラムである処理液付与ドラム31に受け渡され、処理液付与ドラム31から渡し胴80を介して画像記録部40の搬送ドラムである画像記録ドラム41に受け渡され、画像記録ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラムであるインク乾燥ドラム51に受け渡され、インク乾燥ドラム51から渡し胴100を介して定着部60の搬送ドラムである定着ドラム61に受け渡され、定着ドラム61から回収部70へと受け渡され、この一連の搬送過程で用紙Pは、所要の処理が施されて、記録面に画像が形成され、 渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着され、 インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出し、 画像記録ドラム41には回転軸が備えられており、該回転軸には円筒状のドラム(円筒部)85が固定され、3枚以上の用紙をドラム85により保持しながら搬送し、 画像記録ドラム41の周面には、多数の吸着穴が形成され、グリッパGが備えられており、用紙Pは、この吸着穴から裏面(記録面の反対側の面)を真空吸着されて、画像記録ドラム41の外周面上に保持され、 各渡し胴80、90、100は、1回転で2枚の用紙Pを保持して搬送できるように構成されている、 インクジェット記録装置10。」 (2-2)引用例2 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である2009年4月1日に頒布された刊行物である欧州特許第01440351号明細書(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(括弧内の訳文は、当審が作成した。以下同じ。なお、ウムラウトa、ウムラウトo、ウムラウトuは、それぞれae、oe、ueと表記する。) ア 「[0020] In dem erfinderischen Maschinenkonzept wird die Besonderheit des beruuehrungslosen direkten Digitaldruck, z. B. beim Inkjetverfahren innovativ ausgenuetzt, dass die nicht mit der Drucklaenge uebereinstimmen muss.」(本発明の機械の概念では、非接触ダイレクトデジタル印刷の特別な機能、例えば 例えば、インクジェット方式では、印刷長に合わせる必要がないという工夫がなされている。) イ 「[0038] In Figur 1 ist eine mit 1 bezeichnete Satellitendruckmaschine dargestellt, die zwei Transportzylinder 2a und 2b aufweist, mit einem Reinigungssystem R und sechs Satellitendruckwerke S fuer den mehrfarbigen Schoendruck. Dargestellt ist auch eine nachgeschaltete Finishingkassetteneinheit 13.」(図1は、2つの搬送シリンダ2aおよび2bを有し、クリーニングシステムRと、多色印刷用の6つのサテライト印刷ユニットSとを有するサテライト印刷機1を示す。下流仕上げカセットユニット13も示されている。) ウ 「[0054] Fig. 11 ist eine Prinzipdarstellung, wie Figur 10 , jedoch in Zwillingsanordnung mit bekannten Wendevorrichtungen 56, 57, 58 aus Figur 9 .」(図11は、図10と同様の概略図を示す。しかしながら、図9は、従来のシート反転システム56、57、58である。) エ 「[0055] Fig. 12 ist eine Prinzipdarstellung, wie Figur. 7 , jedoch mit Wendevorrichtung 56, 57, 58 aus Figur 9 .」(図12は、図7と同様の概略図を示す。しかしながら、図9は、従来のシート反転システム56、57、58である。) オ 「[0065] … 11. : Trockner」(11:乾燥機) カ 「 [図:0001400971000001.jpg] 」 キ 「 [図:0001400971000002.jpg] 」 ク上記ア及びイより、FIGURE 9の付番1は、それぞれ、インクジェット印刷機を示すものと認められる。また、印刷機における反転とは、基材を反転することを意味することは、技術常識といえる。そうすると、FIGURE 9より、2つのインクジェット印刷機間に基材の反転システムが設けられていること、各インクジェット印刷機の搬送方向下流に乾燥機が設けられていることが看取できる。 上記ア乃至クの記載事項及び図面から、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められ。 「搬送方向下流に乾燥機が設けられた2つのインクジェット印刷機間に設けられた基材反転システム。」 (2-3)引用例3 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である平成26年12月15日に頒布された刊行物である特開2014-234262号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、シートに対して処理を施すシート処理装置に関する。」 イ 「【0102】 さらに、上述した実施の形態においては、処理胴として3倍胴でなる印刷胴33を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2倍胴、4倍胴、6倍胴等でなる印刷胴を用いるようにしてもよい。」 (2-4)引用例4 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である平成28年4月27日に頒布された刊行物である特許第5911619号公報(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【図1】 [図:0001400971000003.jpg] 」 (3)対比 本件補正発明1と引用発明1とを対比する。 ア 後者の「枚葉の用紙P」、「インクジェット記録装置10」、「処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60」、「用紙Pの搬送手段として、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61」、「『3枚以上の用紙をドラム85により保持しながら搬送』する『画像記録ドラム41』」、「『1回転で2枚の用紙を保持して搬送できる』『渡し胴80』」、「『1回転で2枚の用紙を保持して搬送できる』『渡し胴90』」及び「吸着穴」は、それぞれ、前者の「シート状の基材」、「連続的に加工する機械構造物」、「複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)」、「基材ガイドユニット(24)」、「『3倍胴または4倍胴の大きさに構成され』た『印刷胴(22;38)』」、「印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)」、「印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)」、「サッカ(58)」に相当する。 なお、3倍胴または4倍胴の大きさに構成された印刷胴は、引用例3に示されているように、当該印刷装置の技術分野において、技術常識といえる事項であるし、また、2倍胴渡しドラムは、引用例4に示されているように、当該印刷装置の技術分野において、技術常識といえる事項である。 イ 後者の「処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60の各部」は、「用紙Pの搬送手段として、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61」を備えることからすると、後者の「処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、及び、定着部60の各部」における「用紙Pの搬送手段として、処理液付与ドラム31、画像記録ドラム41、インク乾燥ドラム51、及び、定着ドラム61」以外の部分は、前者の「『複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)」の『基材加工ユニット(26)』」に相当する。 ウ 後者の「用紙P」は、「裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着され」、「インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出」するものであるから、後者の「インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K」は、「画像記録ドラム41」の「周に配置されて」いるといえる。 エ 後者の「画像記録ドラム41の周面には、多数の吸着穴が形成されており、用紙Pは、この吸着穴から裏面(記録面の反対側の面)を真空吸着されて、画像記録ドラム41の外周面上に保持され」るのであるから、前者の「印刷胴(22;38)」と後者の「画像記録ドラム41」とは、「吸着胴」との概念で共通する。 オ 後者の「画像記録ドラム41」は、「周面には」「グリッパGが備えられ」ており、「3枚以上の用紙」を「保持しながら搬送」するものであるから、3枚以上の各用紙を保持する位置(領域)は当然、特定されているものと推認できることから、前者の「印刷胴(22;38)」と後者の「画像記録ドラム41」とは、「外周面に、周方向で相前後して、それぞれ1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有」するものとの概念で共通する。 そして、後者の「画像記録ドラム41」は、「枚葉の用紙P」を保持するのであるから、回転方向において前方の端部においても吸着穴が形成されているといえる。 キ 後者の「インクジェット記録装置10」において、「枚葉の用紙P」は「画像記録部40の搬送ドラムである画像記録ドラム41に受け渡され、画像記録ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラムであるインク乾燥ドラム51に受け渡され」るのであるから、前者の「乾燥機(09)」と後者の「インク乾燥部50」とは、「基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に設けられて」いる点で共通する。 そうすると、本件補正発明1と引用発明1とは、 【一致点】 「シート状の基材を連続的に加工する機械構造物であって、 複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)を備え、 複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれ基材ガイドユニット(24)と基材加工ユニット(26)とを有し、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し、1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションは、印刷胴(22;38)を有し、前記ノンインパクト印刷装置(06;37)は、前記印刷胴(22;38)の周に配置されており、前記印刷胴(22;38)は、3倍胴または4倍胴の大きさに構成されており、前記印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)が配置されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)が配置されており、 前記印刷胴(22;38)は、吸着胴として構成されており、 前記印刷胴(22;38)は、該印刷胴(22;38)の外周面に、周方向で相前後して、1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有し、 各々の区分(51;52;53;54)の、前記各々の吸着胴の回転方向において前方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されており、 前記基材の搬送方向(T)において、前記基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に乾燥機(09)が設けられており、前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており、 前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている機械構造物。」 で一致し、以下の点で相違する。 【相違点1】 本件補正発明1が、「前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)のうちの2つの加工ステーションは、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し」、「前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており」、「前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている」のに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。 【相違点2】 本件補正発明1が、「少なくとも前記供給胴(43)から前記基材を引き渡すために、該当する前記印刷胴(22;38)への前記サッカ(58)の吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられており、前記吸着胴の前記サッカ(58)には、前記吸着胴の、前記供給胴(43)により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて、前記供給胴(43)から前記吸着胴への基材の引渡しは、専ら前記サッカ(58)の起動により可能であ」るのに対し、引用発明1は、そのような構成を備えているのか否か不明である点。 (4)判断 上記各相違点について、以下、検討する。 ア [相違点1]について 引用発明2の「インクジェット印刷機」、「基材」及び「基材反転システム」は、それぞれ、本件補正発明1の「ノンインパクト印刷装置」、「基材」及び「反転装置(23)」に相当する。 そうすると、引用発明2には、上記相違点1に係る本件補正発明1の構成が示されているといえる。 ここで、引用発明1と引用発明2とは、インクジェット記録装置の技術分野に属するもので共通する。 また、記録装置において、裏面に記録することは、通常、想定されているところ、引用発明1においても、当然、裏面に記録することも想定しており、排除される技術事項とはいえない。そうすると、引用発明1において、裏面に記録することの動機付けがあるものといえるから、引用発明1に、引用発明2を適用する動機付けがあるといえる。 してみると、引用発明1に、引用発明2を適用し、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 イ [相違点2]について 引用発明1において、画像記録ドラム41の周面には、多数の吸着穴が形成され、用紙Pは、この吸着穴から裏面(記録面の反対側の面)を真空吸着されて、画像記録ドラム41の外周面上に保持されているところ、画像記録ドラム41から、渡し胴90へ用紙を受け渡す場合には、用紙に対する吸引が停止されることは、技術常識といえる(例えば、特開平9-123402号公報(【0053】等参照。)、特開平9-131855号公報(【0038】、【0054】等参照。)、特開2008-213181号公報(【0062】等照。))。 してみると、上記相違点2に係る本件補正発明1の構成は、引用発明1に明記はないものの、引用発明1において、当然備えているものと認められる。 そうすると、上記相違点2は実質的な相違点ではないか、少なくとも、引用発明1から、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 そして、本件補正発明1の効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測し得る程度のものといえる。 (5)請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、“引用発明1においては、用紙Pのサイズに応じて画像記録ドラム41への吸着空気の供給が行われているのであり、渡し胴80から用紙Pが引き渡される画像記録ドラム41の回転角度位置に応じて吸着空気の供給は切り換えられません。また、引用発明1においては、用紙Pのサイズに応じた範囲において画像記録ドラム41への吸着空気の供給が行われており、画像記録ドラム41の、渡し胴80により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて吸引がトリガーとなって渡し胴80から画像記録ドラム41への基材の引渡しが可能になっておらず、画像記録ドラム41の回転角度位置において吸着空気の供給は切り換えられません。”及び“引用発明1においては、用紙Pのサイズに応じて画像記録ドラム41への吸着空気の供給が行われているのであり、本願発明1において実施されているように、画像記録ドラム41の、渡し胴80により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて吸引が始まることで可能になる渡し胴80から画像記録ドラム41への基材の引渡しは引用発明1においては実施されておらず、また、引用発明1においては、画像記録ドラム41の回転角度位置における吸着空気の供給の切り換えは行われません。”旨、主張する。 しかし、上記(4)判断イのとおり、用紙を受け渡す場合には、用紙に対する吸引が停止されることは、技術常識といえることからすれば、上記請求人の主張は採用できない。 (6)独立特許要件についての検討のまとめ 以上検討したように、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件補正発明1は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、上記において検討したように、本件補正発明1は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本件補正は上記第2のとおり却下された。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年3月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 シート状の基材を連続的に加工する機械構造物であって、 複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)を備え、 複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれ基材ガイドユニット(24)と基材加工ユニット(26)とを有し、前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)のうちの2つの加工ステーションは、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し、少なくとも1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションは、印刷胴(22;38)を有し、各々の前記ノンインパクト印刷装置(06;37)は、それぞれ前記印刷胴(22;38)の周に配置されており、それぞれ、各々の前記印刷胴(22;38)は、3倍胴または4倍胴の大きさに構成されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)が配置されている、かつ/または各々の前記印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)が配置されており、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ吸着胴として構成されており、該当する前記印刷胴(22;38)への吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられるまたは少なくとも切換え可能であり、 各々の前記印刷胴(22;38)は、それぞれ該印刷胴(22;38)の外周面に、周方向で相前後して、それぞれ1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有し、 前記基材の搬送方向(T)において、前記基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に乾燥機(09)が設けられており、前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており、 前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている機械構造物。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の理由とされた、令和2年11月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下のものを含むものである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-63398号公報 2.特開2014-234262号公報 3.特許第5911619号公報 3 引用例 令和2年11月30日付けの拒絶理由通知書で引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3(2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 上記「第2 2(1)」のとおり、本願発明は、本件補正発明1から「各々の区分(51;52;53;54)の、前記各々の吸着胴の回転方向において前方の端部にそれぞれサッカ(58)が配置されており」、「少なくとも前記供給胴(43)から前記基材を引き渡すために」及び「前記吸着胴の前記サッカ(58)には、前記吸着胴の、前記供給胴(43)により形成された接点の直前に吸着空気が加えられて、前記供給胴(43)から前記吸着胴への基材の引渡しは、専ら前記サッカ(58)の起動により可能であり、」との事項を削除したものである。 そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、上記「第2 3(3)対比」での検討を勘案すると、両者は、 【一致点】 「シート状の基材を連続的に加工する機械構造物であって、 複数の様々な加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)を備え、 複数の加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)は、それぞれ基材ガイドユニット(24)と基材加工ユニット(26)とを有し、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し、1つの前記ノンインパクト印刷装置(06;37)を有する該当する前記加工ステーションは、印刷胴(22;38)を有し、前記ノンインパクト印刷装置(06;37)は、前記印刷胴(22;38)の周に配置されており、前記印刷胴(22;38)は、3倍胴または4倍胴の大きさに構成されており、前記印刷胴(22;38)の直前に、それぞれ、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(43)または相応の供給胴(43)が配置されており、各々の前記印刷胴(22;38)の直後に、2倍胴または3倍胴の大きさに構成された渡しドラム(44)または相応の搬送胴(44)が配置されており、 前記印刷胴(22;38)は、吸着胴として構成されており、 前記印刷胴(22;38)は、該印刷胴(22;38)の外周面に、周方向で相前後して、1つの基材を保持する複数の、特に2つ、3つ、又は4つの区分(51;52;53;54)を有し、 前記基材の搬送方向(T)において、前記基材の表面に印刷を行う第1のノンインパクト印刷装置(06)の後方に乾燥機(09)が設けられており、前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており、 前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている機械構造物。」 で一致し、以下の点で相違する。 【相違点1】 本願発明が、「前記加工ステーション(01;02;03;04;06;07;08;09;11;12)のうちの2つの加工ステーションは、基材加工ユニット(26)として、それぞれ基材にその都度印刷を行う少なくとも1つのノンインパクト印刷装置(06;37)を有し」、「前記基材の搬送方向(T)において前記乾燥機(09)の後方に、第2のノンインパクト印刷装置(37)が後続の経路において前記基材の裏面にも印刷することを可能にする反転装置(23)が設けられており」、「前記反転装置(23)は、前記基材の搬送方向(T)において、前記第1のノンインパクト印刷装置(06)を備えた加工ステーションと、前記第2のノンインパクト印刷装置(37)を備えた加工ステーションとの間に配置されている」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。 【相違点2’】 本願発明が、「該当する前記印刷胴(22;38)への吸着空気の供給は、その都度前記印刷胴(22;38)の回転角度位置に依存して切り換えられるまたは少なくとも切換え可能であ」るのに対し、引用発明1は、そのような構成を備えているのか否か不明である点。 そして、上記相違点2は、上記相違点2’の構成を実質的に全て包含するものである。 そうすると、上記「第2 2(4)判断」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-017187

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