特許拒絶査定不服審判
2018-001213
遊技機
- 審判番号
- 2018-001213
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-187440外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年01月30日
- 審決日
- 2018年12月06日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】特許業務法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-187440号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018- 50705号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、平成28年9月26日の出願であって、平成29年3月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月10日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成30年1月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成29年9月14日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(記号A~Fは、分説するため合議体が付した。)。
「A 特定演出を構成する演出要素として、複数種の演出要素のうちのいずれかが設定される遊技機であって、
B 前記特定演出が実行されるよりも前に、当該特定演出を構成する前記演出要素として設定されるものを所望の選択肢のうちから選択することが可能な選択演出が実行され、
C 前記複数種の演出要素は、前記選択演出において選択肢として選択不可能な第一状態または選択可能な第二状態にあり、
D 新たに発生した前記選択演出の状態として、
D1 前回発生した選択演出においては前記第一状態にあった演出要素が新たに前記第二状態とされて選択肢として追加される選択肢増加状態と、
D2 前記選択肢増加状態を経て発生する状態であって、前回発生した選択演出と選択肢として示される演出要素が変わらない選択肢維持状態と、
が設定されており、
E 前記選択演出にて、選択肢として示される前記第二状態にある演出要素のうちから、遊技者が所望のものを選択しなかった場合、
E1 前記選択肢増加状態であるときには、新たに選択肢として追加された演出要素がその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される一方、
E2 前記選択肢維持状態であるときには、前回発生した前記特定演出の演出要素を除いた複数の演出要素のうちのいずれかがその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される
E3 ようにすることで、前記選択肢増加状態および前記選択肢維持状態のいずれの状態にある場合であっても、前記選択演出にて遊技者が所望のものを選択しなかったときには、当該選択演出後に実行される前記特定演出の演出要素として設定されるものが、前回発生した前記特定演出の演出要素として設定されるものとは異なるものとなるように構成されている
F ことを特徴とする遊技機。」
3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
記
1.特許4896179号公報
2.特開2014-36737号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2008-229257号公報(周知技術を示す文献)
4 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特許4896179号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。
(1) 「【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の実施形態をパチンコ遊技機を例にして説明する。」
(2) 「【0037】
上記大当り遊技は、上記図柄変動表示ゲームにて大当りを示す図柄が確定表示されてから開始される。大当りが開始すると、最初に大当り開始ファンファーレによるオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、大入賞口40が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。また、ラウンド遊技中では、対応するラウンド演出が行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当り終了ファンファーレによるエンディング演出が行われ、大当りが終了する。
【0038】
さらに、大当り中演出として、大当り中はBGMが音響制御部(演出制御基板24:図3参照)を通して再生演奏されて音響発生装置46aのスピーカ46から出力される。このBGMは、連荘大当りしたという条件(選択演出の発動条件)が達成されたことで発動される選択演出において、複数のBGM種(演出種)の中から遊技者が選択可能に構成している。この選択演出のため、大当り遊技の所定のタイミング、たとえば、1ラウンド目において、液晶表示装置36の表示画面に、BGM種の選択肢およびその指定をするカーソルを含んだ演出選択画面361(図10、図15参照)が表示される。ここでのカーソルは、図10ではBGM種の選択肢が選択状態になっていることで現れる仮想的なカーソルである。しかし、図15に示すように、実際に画像として表示される三角マークからなるカーソル363であってもよい。ここで遊技者が演出用操作手段である枠演出ボタン13を操作してカーソル位置を移動させると、表示された複数のBGM種の選択肢の中から所望するBGM種の選択肢にカーソル位置を合わせることができるようになっている。
【0039】
大当り遊技に入って選択演出が発動されて演出選択画面361が表示された場合、カーソルは、その初期位置として、選択演出の発動のたびに、つまり連荘大当りのたびに追加される最新のBGM種の選択肢を指定する位置に在り、これにより当該追加されたBGM種が自動的に予設定される。その後、カーソルの選択位置の変更をせずに選択演出の演出時間(演出変更可能時間)が経過することにより、カーソルによるBGM種の選択状態が最終的に選択されたものとして確定し、遊技者の所望する曲のBGMが選択設定される。したがって、常に新しく追加されたBGMを聴きたいと欲する遊技者は、1ラウンド目においてそのBGM種を選択する切り替え操作をする必要が無く、また選択する操作タイミングを失わないように注意を払っている必要がない。」
(3) 「【0089】
また演出制御CPU241は、上記選択演出の演出時間の経過または枠演出ボタン13(演出用操作手段)の操作に基づき、上記予設定手段または手操作設定手段により現に選択状態にある選択肢の演出種を、最終的に選択されたものとして確定するとともに確定された演出種に関連する情報を記憶する演出確定手段として機能する。選択演出では、遊技者が枠演出ボタン13を操作せずに何もしないで放置しておくと、予設定手段により初期の選択状態として予め設定された新規追加の演出種(BGM種)についての選択肢が、自動的に確定された演出種(BGM種)として設定される。しかし演出用操作手段が選択スイッチ部と確定スイッチ部の2部分からなる手操作スイッチにより構成し、選択スイッチ部で演出種を選択した後に確定スイッチ部を押すことによっても、最終的な設定として確定する形態とすることもできる。上記選択演出の演出時間は、本実施形態の場合、1ラウンド遊技が終了するまでの期間であるが、大当り開始ファンファーレが行われる期間内とすることもできる。」
(4) 「【0122】
この15R系大当りの場合に選択される演出種(演出シナリオ)は、連荘回数に応じて複数の演出種を含む一連の選択演出区分(選択画面群)が用意されており(図8参照)、その一連の選択演出区分の中から連荘回数に対応した選択演出区分が選択される。図8に示す本実施形態の場合、一連の選択演出区分は、連荘回数が進むにつれてBGM種(楽曲数)を増加させて行く一連のBGM選択演出区分であり、この一連のBGM選択演出区分(図8の縦方向の区分)の中から、連荘回数に対応したBGM選択演出区分が選択される。たとえば、連荘回数が2回であれば、その連荘回数2回に対応するBGM選択演出として、図8中の2段目のBGM選択演出区分に属するBGM種群(BGM1~BGM3から成るBGM種群)が選択される。図8の例では、連荘1回から連荘9回までは連荘回数が増す毎に、BGM選択演出区分におけるBGM種の選択肢の範囲(図8の横方向の範囲)に新しくBGM種が1つ追加され、連荘10回以降のBGM選択演出区分においては、連荘9回のBGM選択演出区分と同じ内容のBGM種群が繰り返し提示されるという構成となっている。つまり、連荘10回以降は、図示してない発動抑制手段(演出制御CPU241)によって、選択演出の発動条件が達成された場合であっても、その発動が抑制される。」
(5) 「【0130】
演出制御CPU241は、上記連荘カウンタの値Nが1加算してN+1とされるたびに(ステップS203)、選択演出を発動させるべく、図8に示す大当り中演出選択テーブルを参照して、現在の連荘回数に応じた大当り中演出(演出シナリオ)を選択する(ステップS204)。連荘1回目はBGM1とBGM2を含む選択演出区分を、連荘2回目はBGM1~BGM3を含む選択演出区分を、連荘3回目はBGM1~BGM4を含む選択演出区分を、そして連荘4回目はBGM1~BGM5を含む選択演出区分を、それぞれ大当り中演出(演出シナリオ)として選択する。同様にして、連荘5回目から連荘9回目まではBGM6、BGM7、BGM8、BGM9、BGM10と、1つずつBGM種の選択肢が増えたBGM種を含む選択演出区分の大当り中演出(演出シナリオ)を選択する。そして連荘10回目以降は、選択対象としてBGM1~BGM10を含む同じ選択演出区分の大当り中演出(演出シナリオ)を繰り返し選択する。」
(6) 「【0142】
図11は、上記した図10(b)の連荘大当り2回目の演出選択画面361において、枠演出ボタン13を押下した場合のBGM種の選択推移状況を示す。最初は図11(a)のように、最前面にBGM3が、その裏側に順次にBGM2、BGM1が位置する。この状態において、手動演出選択スイッチである枠演出ボタン13を1回押下すると、図11(b)に示すように、最前面に位置していたBGM3は最背面に移動し、BGM3の裏側に位置していたBGM2が最前面(カーソル位置)に移行する。さらに枠演出ボタン13を1回押下すると、図11(c)に示すように、最前面に位置していたBGM2は最背面に移動し、BGM2の裏側に位置していたBGM1が最前面(カーソル位置)に移行する。このように枠演出ボタン13を押すたびに最前面に位置するBGMの位置が循環式に入れ替わる。遊技者は希望するBGM種の選択肢を最前面に位置させて指定することで該BGM種を選択し、その状態のまま放置して、選択演出の演出時間が経過することにより、希望するBGMを最終的に確定されたものとして選択設定することができる。」
(7) 「【0146】
次いで、インターバル演出を実行した後(ステップS308)、次の2ラウンド目から、図6のステップS204で選択された演出区分に属するBGM種(演出シナリオ)のうち、上記カーソルの初期位置によりまたは枠演出ボタン13の操作により最終的に設定されたBGM種について、その楽曲の再生演奏を実行する(ステップS309)。ここで再生演奏されるBGMは、連荘1回目においてはBGM1またはBGM2のいずれか一方である。遊技者が枠演出ボタン13を操作しないまま選択演出の演出時間が経過した場合は、カーソルの初期位置で選択状態とされたBGM2の再生演奏が開始され、また選択演出の演出時間が経過する前に枠演出ボタン13を操作してBGM1の選択肢を指定した状態にカーソル位置を切り替えた場合は、上記選択演出の演出時間が経過した第2ラウンド目から、切り替え後のカーソル位置で指定したBGM1の再生演奏が開始される。そして図5のステップS119に進む。」
(8) 「【0181】
<変形例4>
上記実施形態では、連荘回数の増加に伴い新しく大当り中演出の演出種が追加された場合、必ずその追加された演出種の選択肢がカーソル初期位置として選択状態になる構成としたが、追加された演出種を選択した過去の選択履歴を演出制御RAM243に保存して管理し、演出制御CPU241によって、その選択済みの演出種の選択優先度を低くするように構成することもできる。
【0182】
このようにすると、連荘回数の増加に伴って新しく演出種(たとえば、BGM種)が追加されて行く過程において、新しい演出種であるBGM種を聴いてみたい遊技者の場合、その嗜好に合致して、まだ聴いていないBGMの中から自己の聴きたいBGMを選択しようとするときに、カーソル初期位置として当該BGMが既に自動的に選択されている可能性が高くなり、遊技者がそのBGMを選択する選択操作頻度を軽減することができる。また、上記した回を重ねるごとにストーリーが展開していく場合には、まだ見ていないストーリー画像の中から自己の見たいストーリー画像を選択しようとするときに、カーソル初期位置として当該ストーリー画像が既に自動的に選択されている可能性が高くなり、遊技者がそのストーリー画像を選択する選択操作頻度を軽減することができる。
【0183】
たとえば、図8に例示したように、連荘回数に対応する演出区分が、ある有限の最大区分(図8の場合は連荘回数9回目)以降においては同じ演出区分の内容を繰り返す構成になっている場合に、その最大区分より多く連荘回数が継続するケースが考えられる。かかるケースにおいて、連荘1回目で複数のBGM種のうちの一つが選択されたとき、(たとえば図10のように連荘1回目においてBGM1とBGM2のうちのBGM2が自動選択されたとき)、まだ聴いていない残りのBGM種(連荘1回目のBGM1)を選択して聴くことができる、という効果が得られるものである。」
(9) 上記記載事項(1)~(7)からみて、引用例には、実施の形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。なお、a~fについては本願発明のA~Fに対応させて付与した。
「a ラウンド遊技中では、対応するラウンド演出が行われ(【0037】)、連荘回数に応じて複数の演出種(BGM種)を含む一連の選択演出区分(選択画面群)が用意されており、その一連の選択演出区分の中から連荘回数に対応した選択演出区分が選択され(【0089】、【0122】)、2ラウンド目から、選択された演出区分に属するBGM種のうち、カーソルの初期位置によりまたは枠演出ボタン13の操作により最終的に設定されたBGM種について、その楽曲の再生演奏を実行する(【0146】)パチンコ遊技機であって(【0022】)、
b 1ラウンド目において、液晶表示装置36の表示画面に、BGM種の選択肢およびその指定をするカーソルを含んだ演出選択画面361が表示され(【0038】)、演出選択画面361において、枠演出ボタン13を押すたびに最前面に位置するBGMの位置が循環式に入れ替わるようになっており、遊技者は希望するBGM種の選択肢を最前面に位置させて指定することで該BGM種を選択し、その状態のまま放置して、選択演出の演出時間が経過することにより、希望するBGMを最終的に確定されたものとして選択設定することができ(【0142】)、
c、d、d1 連荘カウンタの値が加算されるたびに、選択演出が発動され(【0130】)、連荘1回から連荘9回までは連荘回数が増す毎に、BGM選択演出区分におけるBGM種の選択肢の範囲に新しくBGM種が1つ追加され(【0122】)、
d2 連荘10回以降のBGM選択演出区分においては、連荘9回のBGM選択演出区分と同じ内容のBGM種群が繰り返し提示され(【0122】)、
e、e1、e3 大当り遊技に入って選択演出が発動されて演出選択画面361が表示された場合、カーソルは、その初期位置として、選択演出の発動のたびに、つまり連荘大当りのたびに追加される最新のBGM種の選択肢を指定する位置に在り、これにより当該追加されたBGM種が自動的に予設定され、その後、カーソルの選択位置の変更をせずに選択演出の演出時間が経過することにより、カーソルによるBGM種の選択状態が最終的に選択されたものとして確定し、遊技者の所望する曲のBGMが選択設定される(【0039】)、
f パチンコ遊技機。」
5 周知の事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-36737号公報には、次の事項が記載されている。
「【0113】
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、遊技者に演出パターンを選択させるものとしたが、これに限られず、遊技者に演出パターンを選択させないものとしてもよい。この場合、前回に実行した演出パターンを除いた演出パターンの中から抽選処理により演出パターンを決定するものとしたり、各演出パターンを順番に設定するものなどとすればよい。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-229257号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0008】
[パチンコ遊技機の全体構成]
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はパチンコ遊技機であって、該パチンコ遊技機1は、パチンコ島に固定される外枠2に対して、開閉自在に取り付けられている。パチンコ遊技機1の側方隣接位置には、台間玉貸し機3が並設され、この台間玉貸し機3に、現金又はプリペイドカードを投入することにより、台間玉貸し機3又はパチンコ遊技機1から遊技球が貸し出され、遊技球を用いたパチンコ遊技が可能になる。」
イ 【0023】
また、本発明に係る複数回物語処理(演出図柄表示制御基板メイン)には、前回、大当りとなった際に実行された物語を記憶する前回大当り物語記憶手段が含まれており、大当り物語決定手段は、実行される複数の物語の中から、その物語終了時に大当りを示す画像が表示される物語を決定するにあたり、前回、大当りとなった際に実行された物語を除外する。このようにすると、前回の大当り時と同じ物語で再び大当りになることがないので、遊技者に対して、「また同じ物語か」といった損をしたような感覚を与えることがない。」
(3)平成29年3月22日付けで通知された拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2016-120242号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0011】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。なお、以下では、パチンコ遊技機1を、単に、遊技機1という場合がある。」
イ 「【0418】
ステップS1308において、CPU501は、演出ボタン37の押下操作に応じて選択演出を選択する際の選択モードを切り替える。ここで、選択モードとは、1つの選択演出(演劇演出)が終了したときに、遊技者による選択演出の選択がない場合に、追加更新演出の中から次の選択演出(演劇演出)を自動的に選択するモードのことを示し、例えば、同一カテゴリ内順次選択モード、同一カテゴリ内ランダム選択モード、全カテゴリ内ランダム選択モードがある。なお、同一カテゴリ内順次選択モードは、現在実行されている(RAM503に記憶されている)選択演出と同一のカテゴリ(カテゴリA~Dのいずれか)である追加更新演出を順次選択する(RAM503に設定する)モードであり、例えば現在「A-5」が実行されていると、次の順番である「A-6」が実行されるモードである。また、同一カテゴリ内ランダム選択モードは、現在実行されている選択演出と同一のカテゴリである追加更新演出をランダムに実行するモードであり、例えば現在「A-5」が実行されていると、次に「A-2」が実行されるモードである。また、全カテゴリ内ランダム選択モードは、現在実行されている選択演出のカテゴリにかかわらず、追加更新演出をランダムに実行するモードであり、例えば現在「A-5」が実行されていると、次に「B-3」が実行されるモードである。このように、本実施形態では、演出選択画面が表示されていないときに演出ボタン37の操作を行うことで、選択モードを切り替えることができる。そして、演出選択処理は終了して、次のタイマ割り込み処理のタイミングによって再び図46に示す処理を繰り返し実行する。」
(4)本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-194514号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0022】
以下に、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、弾球遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本実施形態ではこれに限らず、コイン遊技機等のその他の弾球遊技機であってもよく、遊技者によって遊技球を発射して遊技が行なわれる遊技機であればすべて対象となる。」
イ 「【0241】
また、演出選択遊技が開始される以前のゲームモードが「野球編」であったのに対し、左の選択肢に「テニスモード」と右の選択肢には「野球モード」の表示がなされている。これは、遊技者が選択を行なわなかった場合に、前述した図30のSQ04において選択フラグに左領域選択値=0の設定がなされるため、強制的にゲームモードが「テニスモード」に切換わるように設定されている。これにより、演出選択遊技が行なわれるたびに異なるゲームモードに切換わるため、飽きが生じ難く興趣が向上する。また、制御負担の軽減がなされている。」
(5)本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-16087号公報には、次の事項が記載されている。
「【0136】
以後、上記法則に従って、電源投入の度にキャラクター識別情報バックアップ領域に記憶された識別番号の読み込み、読み込んだ識別情報への加算、キャラクター種別記憶領域に対する加算後の識別番号の書き込み(記憶)処理が実行されることにより、前日(断電直前)にキャラクター種別記憶領域に記憶されていた識別情報と、電源投入後にキャラクター種別記憶領域に記憶される識別情報とを異なる識別情報とすることが可能となり、結果として前日(断電直前)に遊技者選択キャラクターPとして決定されていたキャラクターと、本日(投入直後)に遊技者選択キャラクターPとして決定されるキャラクターとを常に異なるキャラクターに変更することが可能となる。
よって、パチンコ機1の電源投入直後、所謂朝一(アサイチ)の状態で遊技を開始する遊技者が当該遊技の開始前に、あえて前述のキャラクター選択演出を通じた遊技者選択キャラクターPの決定を行わずとも、略毎回異なるキャラクターが遊技者選択キャラクターPとしてパチンコ機1側で決定されることとなるため、遊技者選択キャラクターPの相違に基づく前述の各演出における演出表示の態様を毎回異なる態様とすることが可能となり、例えばパチンコ機1の電源投入直後からの遊技を複数日に渡って繰り返すたびに、演出の目新しさを感じながら遊技を進行することができる。」
(6)上記(1)~(5)からみて、「遊技機により演出の選択が行われる場合に、前回実行した演出とは異なる演出が選択されるようにすること。」(以下「周知技術」という。)との技術が周知であったと認められる。また、上記(2)、(4)、(5)からみて、上記周知技術が、飽きが生じないようにするといった効果を奏することが明らかである。
6 対比
本願発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A~Fと引用発明の構成a~fについて、それぞれ(a)~(f)の見出しを付して行った。)。
(a) 引用発明の「設定されたBGM種について、その楽曲の再生演奏」が「実行」される「2ラウンド目」以降に行われる「ラウンド演出」は、本願発明の「特定演出」に相当する。
また、引用発明において、「設定されたBGM種について、その楽曲の再生演奏」が「実行」される演出は、「2ラウンド目」以降の「ラウンド遊技中」に行われるものであるから、上記「ラウンド演出」の一部を構成する演出であることが明らかである。そして、当該一部を構成する演出は、「設定されたBGM種について、その楽曲の再生演奏」することにより実現されるのであるから、引用発明の「BGM種」は、「ラウンド演出」を構成する要素であり、本願発明の「特定演出を構成する演出要素」に相当する。
また、引用発明において、「複数の演出種(BGM種)を含む一連の選択演出区分」「の中から連荘回数に対応した選択演出区分が選択され」、「選択された演出区分に属するBGM種」から「BGM種」が「設定され」ることは、本願発明において、「複数種の演出要素のうちのいずれかが設定される」ことに相当する。
そして、引用発明の「パチンコ機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
(b) 引用発明においては、「2ラウンド目から」、「楽曲の再生演奏」が「実行」されるから、引用発明の「1ラウンド目」は、本願発明の「前記特定演出が実行される前」に相当する。
また、引用発明の「希望するBGM種の選択肢を最前面に位置させて指定することで該BGM種を選択」する「選択演出」は、本願発明の「当該特定演出を構成する前記演出要素として設定されるものを所望の選択肢のうちから選択することが可能な選択演出」に相当する。
(c) 引用発明の各連荘回において、「選択肢の範囲」に属さない「BGM種」の状態と属する「BGM種」の状態は、それぞれ本願発明の「前記選択演出において選択肢として選択不可能な第一状態」と「選択可能な第二状態」に相当する。
(d)、(d1) 引用発明において、「連荘1回から連荘9回まで」「連荘回数が増す毎に、BGM選択演出区分におけるBGM種の選択肢の範囲に新しくBGM種が1つ追加され」て行われる「選択演出」の状態は、本願発明の「新たに発生した前記選択演出の状態」及び「前回発生した選択演出においては前記第一状態にあった演出要素が新たに前記第二状態とされて選択肢として追加される選択肢増加状態」に相当する。
(d)、(d2) 引用発明において、「連荘10回以降のBGM選択演出区分において」、「連荘9回のBGM選択演出区分と同じ内容のBGM種群が繰り返し提示され」て行われる「選択演出」の状態は、本願発明の「新たに発生した前記選択演出の状態」及び「前記選択肢増加状態を経て発生する状態であって、前回発生した選択演出と選択肢として示される演出要素が変わらない選択肢維持状態」に相当する。
(e) 引用発明において、「カーソルの選択位置の変更をせずに選択演出の演出時間が経過すること」は、本願発明の「前記選択演出にて、選択肢として示される前記第二状態にある演出要素のうちから、遊技者が所望のものを選択しなかった場合」に相当する。
(e1)、(e3) 引用発明の構成e、e1、e3において、「カーソルは、その初期位置として、選択演出の発動のたびに、つまり連荘大当りのたびに追加される最新のBGM種の選択肢を指定する位置に在り、これにより当該追加されたBGM種が自動的に予設定され」、「カーソルによるBGM種の選択状態が最終的に選択されたものとして確定し、遊技者の所望する曲のBGMが選択設定される」ことは、本願発明の構成E1において、「前記選択肢増加状態であるときには、新たに選択肢として追加された演出要素がその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される」ことに相当する。したがって、引用発明の構成e、e1、e3は、本願発明の構成E1に相当する。
また、引用発明の構成e、e1、e3において、「カーソルの選択位置の変更をせずに選択演出の演出時間が経過する」場合に、「追加される最新のBGM種」が「選択設定」されることになるが、当該「追加される最新のBGM種」は、前回の「連荘大当り」では選択肢として存在しなかったものであるから、本願発明の構成E3の「前回発生した前記特定演出の演出要素として設定されるものとは異なるもの」に相当する。したがって、引用発明の構成e、e1、e3と、本願発明の構成E1及びE3とは、「前記選択肢増加状態であるときには、新たに選択肢として追加された演出要素がその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される」「ようにすることで、前記選択肢増加状態において、前記選択演出にて遊技者が所望のものを選択しなかったときには、当該選択演出後に実行される前記特定演出の演出要素として設定されるものが、前回発生した前記特定演出の演出要素として設定されるものとは異なるものとなるように構成されている」点で共通する。
(f) 引用発明の「パチンコ機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
上記(a)ないし(f)から、本願発明と引用発明とは、
「A 特定演出を構成する演出要素として、複数種の演出要素のうちのいずれかが設定される遊技機であって、
B 前記特定演出が実行されるよりも前に、当該特定演出を構成する前記演出要素として設定されるものを所望の選択肢のうちから選択することが可能な選択演出が実行され、
C 前記複数種の演出要素は、前記選択演出において選択肢として選択不可能な第一状態または選択可能な第二状態にあり、
D 新たに発生した前記選択演出の状態として、
D1 前回発生した選択演出においては前記第一状態にあった演出要素が新たに前記第二状態とされて選択肢として追加される選択肢増加状態と、
D2 前記選択肢増加状態を経て発生する状態であって、前回発生した選択演出と選択肢として示される演出要素が変わらない選択肢維持状態と、
が設定されており、
E 前記選択演出にて、選択肢として示される前記第二状態にある演出要素のうちから、遊技者が所望のものを選択しなかった場合、
E1 前記選択肢増加状態であるときには、新たに選択肢として追加された演出要素がその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される
E3’ ようにすることで、前記選択肢増加状態において、前記選択演出にて遊技者が所望のものを選択しなかったときには、当該選択演出後に実行される前記特定演出の演出要素として設定されるものが、前回発生した前記特定演出の演出要素として設定されるものとは異なるものとなるように構成されている
F 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点(構成E2、E3):
本願発明は、「前記選択肢維持状態であるときには、前回発生した前記特定演出の演出要素を除いた複数の演出要素のうちのいずれかがその後実行される前記特定演出の演出要素として設定される」ものであり、それにより、「前記選択肢増加状態および前記選択肢維持状態のいずれの状態にある場合であっても、前記選択演出にて遊技者が所望のものを選択しなかったときには、当該選択演出後に実行される前記特定演出の演出要素として設定されるものが、前回発生した前記特定演出の演出要素として設定されるものとは異なるものとなるように構成されている」のに対して、
引用発明は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
7 判断
(1)相違点について
「4 引用例の記載事項 (8)」の【0182】には、「連荘回数の増加に伴って新しく演出種(たとえば、BGM種)が追加されて行く過程において、新しい演出種であるBGM種を聴いてみたい」との「嗜好」を有し、「まだ聴いていないBGMの中から自己の聴きたいBGMを選択しようとする」遊技者についての記載が存在する。
一般に同じ演出が連続すれば飽きが生じるものであるから、そのような遊技者は、同じ演出(同じBGM種について再生演奏が実行されること)が続けば、当該演出に飽きてしまうものと認められる。
そこで、引用発明において、「連荘10回以降」、同じBGM種について再生演奏が実行されることにより飽きが生じないようにするために、遊技者がBGM種の選択を行わなかった場合のパチンコ機の動作として、「5 周知の事項 (6)」に記載した周知技術を適用することとし、連荘大当たりのたびにカーソルの初期位置が異なる位置となるようにすることで、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)効果について
本願発明が奏する、「同じ種類の演出要素が設定され続けることによる趣向性の低下を抑制することが可能である」という効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、当業者が予測できた程度のものである。
(3)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、審判請求書の「3-2)(イ)について」において、 以下のとおり主張している。
「審査においては、引用文献1の段落0181~0183の記載について『新たな選択肢の追加がなくなった連荘回数となったときに既に選択されたBGM種でないものが選択されるということが把握できる』としているが、これらの段落の記載から、なぜ『新たな選択肢の追加がなくなったとき』に『既に選択されたBGM種でないものが選択される』と断定できるのか不明である。
また、『既に選択されたBGM種の重複した再生を避けようとする課題があることは当業者に明らかである。』としているが、このようなことを断定することはできない。
…
このように、引用文献1の変形例4の記載は、明らかに不明確であり、具体的にどのような構成を特定しているのか断定することはできないはずであるし、明確な記載のみを参照したとすれば、審査においてなされたような断定はできないはずである。」
上記主張の根拠として、審判請求人は下記(ア)~(エ)に記載のとおり主張している。しかしながら、以下述べるように、いずれも十分な根拠とは認められない。
ただし、引用例(引用文献1)の変形例4の記載に不明確なところがあり、仮に、審判請求人が主張するとおり、「審査においてなされたような断定」はできないとしても、本願発明は、上記(1)に記載のとおり、引用発明と周知技術から当業者が容易に想到し得たものである。つまり、審判請求人の上記主張にかかわらず、本願発明は引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(ア) 「引用文献1の段落0182の記載は、新たな選択肢(選択種)が追加された場合の制御であることは明らかであり、『新たな選択肢の追加がなくなった』ときの制御であるとはいえない。」との主張について
引用例において、【0182】の次の【0183】には、「たとえば」との語に続き、「図8に例示したように、連荘回数に対応する演出区分が、ある有限の最大区分(図8の場合は連荘回数9回目)以降においては同じ演出区分の内容を繰り返す構成になっている場合に、その最大区分より多く連荘回数が継続するケースが考えられる。」と記載されている。このように、例示として、「ある有限の最大区分(図8の場合は連荘回数9回目)以降」が挙げられていることからすれば、【0182】の記載は、「新たな選択肢の追加がなくなった」ときの制御も想定した記載であると認められる。
(イ) 「「残りのBGM種(連荘1回目のBGM1)を選択して聴くことができる」における「選択」とは「自動的に選択される」という意味であるのか、「遊技者が選択行動をとることで選択することができる」という意味であるのか不明である。「選択して聴くことができる」という文章(「選択して」という能動態を用いた文章)をそのままの意味で捉えれば、後者の意味であると解釈するしかできない。」との主張について
【0023】~【0154】に記載される「第1の実施形態」においても、「残りのBGM種(連荘1回目のBGM1)を」遊技者が「選択」すること自体は可能である。「残りのBGM種(連荘1回目のBGM1)を選択して聴くことができる」との効果が、「まだ聴いていないBGMの中から自己の聴きたいBGMを選択しようとするときに、カーソル初期位置として当該BGMが既に自動的に選択されている可能性が高く」(【0182】)なるようにした変形例4の効果として記載されている点を考慮すれば、上記記載における「選択」とは「自動的に選択される」という意味に解釈されるものである。
(ウ) 「このように、連荘回数9回目以降においてBGM1が自動選択されるのは極めて限られたケースであると想定されるが、引用文献1の記載が不明確であるから、具体的にどのような制御がなされるのか不明である。」との主張について
審判請求人の主張するとおり、「極めて限られたケース」における制御しか記載がないとしても、該「極めて限られたケース」における制御自体は理解可能であって、理解可能な制御内容に基づき、「新たな選択肢の追加がなくなったとき」に「既に選択されたBGM種でないものが選択される」との認定をすることに誤りがあるとは認められない。
(エ) 「引用文献1に記載に明確な記載がないため想定になるが、優先度合に差がない場合、いずれのBGMも自動選択されうる設定であると仮定すれば、連荘回数9回目と連荘回数10回目において自動選択される場合、全く同じBGM1が選択される可能性は排除されていないといえる。したがって、審査においてなされた『既に選択されたBGM種の重複した再生を避けようとする課題があることは当業者に明らかである。』とした点は明らかに誤りである。」との主張について
たしかに、「連荘回数9回目と連荘回数10回目において自動選択される場合、全く同じBGM1が選択される可能性は排除されて」いないことから、「既に選択されたBGM種の重複した再生を避けようとする課題」は、あらゆる連荘回において完全に解決されているとはいえない。しかしながら、課題が完全に解決されているか否かと、課題があるか否かとは別の事項であって、引用例の変形例4において「既に選択されたBGM種の重複した再生を避けようとする課題」が完全に解決されていないことから、そのような課題がないとまではいえない。
イ 審判請求人は、審判請求書の「3-3)(ロ)について」において、 以下のとおり主張している。
「このように、引用文献2、3に記載される技術は、「遊技者自らが好みの演出を選択することができない構成(自動選択されることが決まっている構成)において、前回に実行した演出を除いた演出の中から選択すること」であると認定することはできるかもしれないが、単に「前回に実行した演出を除いた演出の中から選択すること」であると認定することはできない。つまり、審査においてなされた引用文献2、3に記載される技術の認定は、これらの文献に明確に記載されている前提条件を除いてなされた解釈であるから、認められるべきものではないと思料する。」
上記主張について検討する。
周知技術を認定する際に、当該周知技術が記載されている特定の文献において前提としている事項をすべて付加しなければ認定が誤っているとされるものではないことは明らかである。周知技術の認定は、ひとまとまりの技術として認識できる範囲で行えばよいものであり、引用文献2、3にから把握される周知技術は、「遊技者自らが好みの演出を選択することができない構成(自動選択されることが決まっている構成)」という前提がなければ意味をなさない技術でもない。
なお、仮に上記周知技術を認定する際に、「遊技者自らが好みの演出を選択することができない構成(自動選択されることが決まっている構成)」との前提事項は付加するべきであったとしても、以下の「ウ」の検討から明らかなとおり、そのような前提事項を付加するか否かにより、引用発明に周知技術を適用することにより本願発明が想到容易とする判断が左右されるものではない。
さらに付言するに、「5 周知の事項」の(3)~(5)に例示したように、「遊技者自らが好みの演出を選択することができ」る構成を前提とするものも周知である。
ウ 審判請求人は、審判請求書の「3-4)(ハ)について」において、 以下のとおり主張している。
「しかし、引用文献1に記載の発明に記載されるものは、あくまで「遊技者自らが好みの演出を選択する」ことが前提であり、自動的に決定されるのは「遊技者自らが好みの演出を選択しなかったとき」である一方、引用文献2、3に記載の技術は、そもそも「遊技者自らが好みの演出を選択することができない」ものである。つまり、遊技者自らが好みの演出を選択することができるにも拘わらず選択しなかった状況における自動選択と、好みの演出を全く選択することができない状況における自動選択とは「共通の場面」であるとはいえない。そして、「遊技者自らが好みの演出を選択することができない構成」においては、その都度実行される演出が変化しなければ常に同じ演出が発生しうることになるから、引用文献2、3のように制御することは当然であるといえ、このような技術を遊技者自らが好みの演出を選択することができるにも拘わらず選択しなかった状況に適用することが当然であるとはいえない。
既に実行された演出を実行しないという機能・作用の面でも共通するという点については、上記(イ)で述べた通り引用文献1の不明瞭な記載を除いて当該文献に記載の発明を解釈したとすれば、引用文献1に記載の発明(変形例4)については既に実行された演出であっても発生しうる(連続して発生しうる)ものであると解釈されるから、引用文献2に記載の技術と機能・作用が共通するものであるともいえない。」
上記主張について検討する。
引用発明と周知技術とは、「遊技者自らが好みの演出を選択することができるにも拘わらず選択しなかった状況における自動選択」であるか、「好みの演出を全く選択することができない状況における自動選択」であるかという点では相違するとしても、いずれも「自動選択」という場面で用いられるという点では共通しているから、「共通する場面」で用いられるものということに誤りはない。そして、引用発明においては、「遊技者自らが好みの演出を選択することができる」といっても、「BGMの選択肢を指定するカーソル位置を、初期値の指定位置から追加BGMの指定位置へと切り替える必要があり、非常に煩わし」(引用例の【0005】)く、実際に遊技者が「切り替え」操作を行わない状況も想定されるのであって、そのような状況においても同じBGM種について再生演奏が実行されることにより遊技者を飽きさせることがないようにするため、上記周知技術を適用することは、ごく自然な考えである。
また、引用発明と周知技術とは、機能・作用が全く同一というわけではないものの、引用発明は、少なくとも、連荘9回まで(変形例4では連荘10回まで)自動選択が行われる場合には、「既に実行された演出を実行しないという機能・作用」を有するのであるから、一部において機能・作用の共通性はあるものと認められるのであり、そのようなことを動機付けの一つとして引用発明に周知技術を適用することが容易であるとする判断が誤っているとは認められない。
8 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-001213