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特許異議申立

2017-700713

発泡性スチレン系樹脂粒子とその製造方法、スチレン系樹脂発泡成形体

審判番号
2017-700713
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-229313外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月24日
審決日
2017年09月27日
公報発行日
2017年11月24日
結論
維持
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (C08J) / P1651.121-Y (C08J) / P1651.536-Y (C08J) / P1651.537-Y (C08J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6068920号発明「発泡性スチレン系樹脂粒子とその製造方法、スチレン系樹脂発泡成形体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6068920号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6068920号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成24年10月16日の出願であって、平成29年1月6日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、同年7月24日付け(受理日:同年7月25日)で特許異議申立人 一條 淳(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、および、ラジカル発生剤を0.05~1.0重量部を押出機で溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法であって、 発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 【請求項2】 スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、さらに、臭素系難燃剤100重量部に対して、熱安定剤を0.1~10重量部を押出機で溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法であって、 発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 【請求項3】 スチレン系樹脂100重量部に対して輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部を押出機で溶融混練し、小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断することによりスチレン系樹脂粒子を得た後、該スチレン系樹脂粒子を水中に懸濁させるとともに炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3~10重量部含有させる量を供給して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法であって、 発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 【請求項4】 スチレン系樹脂100重量部に対して、さらに、ラジカル発生剤を0.05~1.0重量部を押出機で溶融混練することを特徴とする、請求項2または3に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 【請求項5】 さらに、臭素系難燃剤100重量部に対して、熱安定剤を0.1~10重量部を押出機で溶融混練することを特徴とする、請求項1または3に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 【請求項6】 請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて予備発泡粒子を得た後、成型キャビティ内に充填して型内発泡成形することを特徴とする、発泡成形体の製造方法。」 第3 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、証拠方法として、以下の甲第1ないし5号証を提出し、おおむね次の取消理由(以下、順に、「取消理由1」ないし「取消理由4」という。)を主張している。 ・取消理由1(新規性) 本件特許発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである下記の文献に記載された発明であるから、本件特許発明1は特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、本件特許の請求項1に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ・取消理由2(進歩性) 本件特許発明1ないし6は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである下記の文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1ないし6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 甲第1号証.国際公開第2011/073141号 (なお、抄訳文も併せて提出されている。) 甲第2号証.特開2006-316251号公報 甲第3号証.難燃剤・難燃材料の活用技術 西澤仁著 発行所:株式会社 シーエムシー株式会社 発行日:2010年5月21日 普及版 P77、表紙、奥付(写し) 甲第4号証.12695の化学商品 発行所:化学工業日報社 1995年1月25日 P969、表紙、奥付(写し) 甲第5号証.発泡ポリスチレンのすべて-技術とビジネスの基礎知識- 久布白兼三著 発行所:マーテック株式会社 発行日:1995年5月1日 P27~P33、表紙、奥付(写し) ・取消理由3(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 ・取消理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 第4 特許異議申立理由についての判断 1 取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について (1)甲第1号証に記載された事項及び甲第1号証に記載された発明 ア 甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、次の記載がある(以下、順に「記載事項1-1」のようにいう。) なお、甲第1号証は、ドイツ語の文献であり、抄訳文が提出されているので、原文の摘記は省略し、記載箇所に続いて訳文として、段落番号を除き抄訳文の記載を摘記する。 ・記載事項1-1 第13ページ第1ないし4行: 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 難燃剤として少なくとも1つのハロゲン化ポリマーを含む、難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-2 第13ページ第11ないし24行: 「【請求項3】 熱重量分析(TGA)における前記ハロゲン化ポリマーの重量減少が、250℃以上の温度において5重量%である、請求項1または2に記載の難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-3 第13ページ第16ないし19行: 「【請求項4】 前記ハロゲン化ポリマーの臭素含有量が、10~80重量パーセントの範囲内であり、その塩素含有量が、1~25重量パーセントの範囲内である、請求項1から3のいずれかに記載の難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-4 第13ページ第21ないし24行 「【請求項5】 使用される難燃剤が、40~80重量%の範囲内の臭素含有量を有する、臭素化ポリスチレンまたは臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体を含む、請求項1から3のいずれかに記載の難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-5 第13ページ第35ないし37行: 「【請求項8】 三酸化アンチモン、ジクミルまたは過酸化ジクミルを難燃相乗剤として含む、請求項1から7のいずれかに記載の難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-6 第13ページ第39ないし41行: 「【請求項9】 前記ポリマー発泡体に基づいて1~10重量パーセントの赤外吸収体を含む、請求項1から4のいずれかに記載の難燃性ポリマー発泡体。」 ・記載事項1-7 第2ページ第17ないし40行: 「熱重量分析(TGA)におけるハロゲン化ポリマーの重量減少は、250℃以上、好ましくは、270~370℃の範囲内の温度において5重量%である。 好ましいハロゲン化ポリマーの臭素含有量は、0~80重量パーセント、好ましくは、10~75重量パーセントの範囲内であり、その塩素含有量は、ハロゲン化ポリマーに基づいて0~50重量パーセント、好ましくは、1~25重量パーセントの範囲内である。【0014】 難燃剤として好ましいハロゲン化ポリマーは、40~80重量%の範囲内の臭素含有量を有する臭素化ポリスチレンまたは臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体である。 難燃剤として好ましい他のハロゲン化ポリマーは、テトラブロモビスフェノールA単位を有するポリマー(TBBPA)、例えば、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル化合物(CAS番号68928-70-1または135229-48-0)である。 本発明の難燃性ポリマー発泡体は、通常、ポリマー発泡体に基づいて、0.2~25重量%の範囲内、好ましくは、1~15重量%の範囲内の量のハロゲン化ポリマーを含む。 ポリマー発泡体に基づく5~10重量%の量は、特に、発泡性ポリスチレンから製造された発泡体に対して、適切な難燃性を保証する。」 ・記載事項1-8 第3ページ第1ないし6行: 「上記ハロゲン化ポリマーの有効性は、好適な難燃相乗剤を加えることによってなおもさらに改善することができ、その例は、熱フリーラジカル発生剤である、過酸化ジクミル、ジ-tert-ブチルペルオキシドまたはジクミルである。亜鉛化合物または三酸化アンチモンは、好適な難燃相乗剤である。この場合、難燃相乗剤の使用量は、通常、ハロゲン化ポリマーに加えて0.05~5重量部である。」 ・記載事項1-9 第5ページ第1ないし9行: 「発泡剤を含むスチレンポリマー溶融物は、通常、発泡剤を含むスチレンポリマー溶融物に基づいて、2~10重量%、好ましくは、3~7重量%の総割合の、均一に分布した1種以上の発泡剤を含む。好適な発泡剤は、EPSにおいて通常使用される物理的発泡剤、例えば、2~7個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテルまたはハロゲン化炭化水素である。イソブタン、n-ブタン、イソペンタンまたはn-ペンタンを使用することが好ましい。XPSの場合、CO2、またはアルコールもしくはケトンとの混合物を使用することが好ましい。」 ・記載事項1-10 第5ページ第34ないし38行: 「上記スチレンポリマーは、通常かつ公知の補助剤および添加剤を含むことができ、それらの例は、難燃剤、充填剤、造核剤、UV安定剤、連鎖移動剤、発泡剤、可塑剤、酸化防止剤、可溶性および不溶性の無機および/または有機の染料および色素、例えば、赤外(IR)吸収体、例えば、カーボンブラック、グラファイトまたはアルミニウム末である。・・・(略)・・・」 ・記載事項1-11 第6ページ第13ないし15行: 「・・・(略)・・・スチレンポリマー内に含められるグラファイト粒子の量は、好ましくは、0.05~8重量%、特に、0.1~5重量%である。」 ・記載事項1-12 第6ページ第17ないし23行: 「グラファイト粒子の使用上の問題は、グラファイト粒子を含む成形ポリスチレン発泡体の高可燃性にある。建設業での用途に求められる燃焼試験(DIN4102に従ったB1およびB2)に合格するために、本発明では発泡性スチレンポリマーに上述の難燃剤を加える。驚くべきことに、前記難燃剤は、カーボンブラックまたはグラファイトを含む成形ポリスチレン発泡体の力学的特性のいかなる種類の障害も引き起こさない。」 ・記載事項1-13 第6ページ第36ないし37行: 「様々な方法を用いることにより、特に好ましい発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造することができる。」 ・記載事項1-14 第7ページ第10ないし12行: 「不透熱性粒子を含むスチレンポリマーに発泡剤を加えるための別個の工程を用いることも可能である。そして、ここでは、水性懸濁液中のペレットが発泡剤に含浸されていることが好ましい。」 ・記載事項1-15 第9ページ第1ないし19行: 「上記発泡性スチレンポリマーを生成するために、発泡剤は、ポリマー溶融物に混合することによって組み込むことができる。1つの可能性のあるプロセスは、a)溶融物の生成、b)混合、c)冷却、d)運搬、およびe)ペレット化の段階を含む。これらの段階の各々は、プラスチック加工から公知の装置または装置の組み合わせを使用することによって実行されてもよい。混合による組み込みのプロセスに適した装置は、スタティックミキサーまたはダイナミックミキサー、例えば、押出機である。ポリマー溶融物は、重合反応器から直接取り出すことができるか、またはポリマーペレットの溶融によって混合押出機もしくは別個の溶融押出機において直接生成することができる。溶融物の冷却は、混合アセンブリにおいて行われてもよいし、別個の冷却器において行われてもよい。使用され得るペレッタイザーの例は、加圧水中ペレッタイザー、回転ナイフおよび温度制御液のスプレーミストによる冷却装置を備えたペレッタイザー、または噴霧化装置を備えたペレッタイザーである。そのプロセスを行うための装置の好適な配置の例は: a)重合反応器-スタティックミキサー/冷却器-ペレッタイザー b)重合反応器-押出機-ペレッタイザー c)押出機-スタティックミキサー-ペレッタイザー d)押出機-ペレッタイザー である。」 ・記載事項1-16 第9ページ第41行ないし第10ページ第10行: 「難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法が特に好ましく、その方法は、a)混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%の本発明において使用されるハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込む工程、 b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程 を含む。」 ・記載事項1-17 第11ページ第7ないし13行: 「発泡性ポリスチレンビーズは、8~200kg/m3、好ましくは、10~50kg/m3の密度のポリスチレン発泡体を得るために加工することができる。このために、発泡性ビーズが予備発泡される。これは、たいてい、予備発泡機として知られるものにおいて水蒸気を用いてそのビーズを加熱することによって達成される。次いで、結果として生じた予備発泡ビーズを融解することにより、成形物が得られる。このために、予備発泡ビーズを、閉鎖されたときに気密性でない型に入れ、水蒸気で処理する。冷却後に、成形物を取り出すことができる。」 イ 甲第1号証に記載された発明 記載事項1-1ないし1-17(特に記載事項1-16)を整理すると、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 「a)混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込む工程、 b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程 を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1について (ア)対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明における「有機発泡剤」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「発泡剤」に相当し、以下、同様に、「ハロゲン化ポリマー」は「難燃剤」に、「ポリマー溶融物」及び「スチレンポリマー溶融物」は「スチレン系樹脂」に、「難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)」は「発泡性スチレン系樹脂粒子」に、それぞれ相当する。 そして、上記相当関係を踏まえると、甲1発明における「a)混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込む工程」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、および、ラジカル発生剤を0.05~1.0重量部を押出機で溶融混練し」と、「スチレン系樹脂に対して発泡剤及び難燃剤を溶融混練し」という限りにおいて一致する。 また、甲1発明における「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」と、「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、次の点で一致する。 「スチレン系樹脂に対して発泡剤を溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法。」 そして、次の点で相違する。 <相違点1-1> 「スチレン系樹脂に対して発泡剤及び難燃剤を溶融混練し」に関して、本件特許発明1においては、「スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、および、ラジカル発生剤を0.05~1.0重量部を押出機で溶融混練し」ているのに対し、甲1発明においては、「混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込」んでいる点。 <相違点1-2> 「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」に関して、本件特許発明1においては、「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」であるのに対し、甲1発明においては、「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法」である点。 <相違点1-3> 本件特許発明1においては、「発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0である」のに対し、甲1発明においては、そのようなものか不明な点。 (イ)判断 そこで、上記相違点について検討する。 記載事項1-1ないし1-15及び1-17によると、甲第1号証には、一般記載としては、次の事項(以下、「一般記載事項」という。)が記載されているといえる。 ・炭素数2~7個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素であるイソブタン、n-ペンタン、イソペンタンまたはnーペンタンの一種以上の発泡剤をスチレン系樹脂に2~10重量%含ませること。 ・赤外線吸収体であるカーボンブラック、グラファイトをスチレン系樹脂に1~10重量%含ませること。 ・熱重量分析における5%重量減少温度が250℃以上で、臭素含有量40~80重量%の範囲内である臭素系難燃剤をスチレン系樹脂に0.2~25重量%含ませること。 ・熱フリーラジカル発生剤をスチレン系樹脂に0.05~5重量分含ませること。 ・加圧水中ペレッタイザー又は回転ナイフおよび温度制御液のスプレーミストによる冷却装置を備えたペレッタイザーを使用すること。 しかし、甲第1号証には、相違点1-1ないし1-3に係る本件特許発明1の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせたものは記載されていないし、そうする動機付けとなる記載も示唆もない。 また、甲第2ないし4号証は、熱安定剤を含ませること及びその量に関する文献であり、甲第5号証は、発泡剤を加えるタイミングに関する文献であって、甲第2ないし5号証の何れにも、相違点1-1ないし1-3に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載されていないし、相違点1-1ないし1-3に係る本件特許発明1の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせる動機付けとなる記載はなく、示唆もない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明ではないし、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件特許発明2について (ア)対比 本件特許発明2と甲1発明を対比する。 甲1発明における「有機発泡剤」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明2における「発泡剤」に相当し、以下、同様に、「ハロゲン化ポリマー」は「難燃剤」に、「ポリマー溶融物」及び「スチレンポリマー溶融物」は「スチレン系樹脂」に、「難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)」は「発泡性スチレン系樹脂粒子」に、それぞれ相当する。 上記相当関係を踏まえると、甲1発明における「a)混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込む工程」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明2における「スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、さらに、臭素系難燃剤100重量部に対して、熱安定剤を0.1~10重量部を押出機で溶融混練し」と、「スチレン系樹脂に対して発泡剤及び難燃剤を溶融混練し」という限りにおいて一致する。 また、甲1発明における「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法。」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明2における「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」と、「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、次の点で一致する。 「スチレン系樹脂に対して発泡剤を溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法。」 そして、次の点で相違する。 <相違点2-1> 「スチレン系樹脂に対して発泡剤及び難燃剤を溶融混練し」に関して、本件特許発明2においては、「スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、さらに、臭素系難燃剤100重量部に対して、熱安定剤を0.1~10重量部を押出機で溶融混練し」ているのに対し、甲1発明においては、「混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込」んでいる点。 <相違点2-2> 「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、押出し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」に関して、本件特許発明2においては、「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」であるのに対し、甲1発明においては、「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法」である点。 <相違点2-3> 本件特許発明2においては、「発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0である」のに対し、甲1発明においては、そのようなものか不明な点。 (イ)判断 そこで、上記相違点について検討する。 記載事項1-1ないし1-15及び1-17によると、甲第1号証には、上記第4 1(2)ア(イ)のとおりの一般記載事項が記載されているといえる。 しかし、甲第1号証には、相違点2-1ないし2-3に係る本件特許発明2の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせたものは記載されていないし、そうする動機付けとなる記載も示唆もない。 また、甲第2ないし4号証は、熱安定剤を含ませること及びその量に関する文献であり、甲第5号証は、発泡剤を加えるタイミングに関する文献であって、甲第2ないし5号証の何れにも、相違点2-1ないし2-3に係る本件特許発明2の発明特定事項は記載されていないし、相違点2-1ないし2-3に係る本件特許発明2の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせる動機付けとなる記載はなく、示唆もない。 したがって、本件特許発明2は、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件特許発明3について (ア)対比 本件特許発明3と甲1発明を対比する。 甲1発明における「有機発泡剤」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明3における「発泡剤」に相当し、以下、同様に、「ハロゲン化ポリマー」は「難燃剤」に、「ポリマー溶融物」及び「スチレンポリマー溶融物」は「スチレン系樹脂」に、「難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)」は「発泡性スチレン系樹脂粒子」に、それぞれ相当する。 上記相当関係を踏まえると、甲1発明における「a)混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込む工程」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明3における「スチレン系樹脂100重量部に対して輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部を押出機で溶融混練し」と、「スチレン系樹脂に対して難燃剤を溶融混練し」という限りにおいて一致する。 また、甲1発明における「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明3における「小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断することによりスチレン系樹脂粒子を得た後、該スチレン系樹脂粒子を水中に懸濁させるとともに炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3~10重量部含有させる量を供給して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」と、「小孔を有するダイスを通じて押出した後、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、次の点で一致する。 「スチレン系樹脂に対して発泡剤を溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて押出した後、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法。」 そして、次の点で相違する。 <相違点3-1> 「スチレン系樹脂に対して発泡剤及び難燃剤を溶融混練し」に関して、本件特許発明3においては、「スチレン系樹脂100重量部に対して輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部を押出機で溶融混練し」ているのに対し、甲1発明においては、「混合のために少なくとも150℃の温度においてスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを使用して、有機発泡剤および1~25重量%のハロゲン化ポリマーをポリマー溶融物に組み込」んでいる点。 <相違点3-2> 「所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて押出した後、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」に関して、本件特許発明3においては、「小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断することによりスチレン系樹脂粒子を得た後、該スチレン系樹脂粒子を水中に懸濁させるとともに炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3~10重量部含有させる量を供給して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法」であるのに対し、甲1発明においては、「b)発泡剤を含むそのスチレンポリマー溶融物を120°~200℃の温度に冷却する工程、 c)ホールを有するダイプレート(そのダイの排出口の直径は大きくても1.5mmである)を通して流出する工程、および d)発泡剤を含む溶融物を、1~20barの範囲内の水圧下でダイプレートの下流において直接ペレット化する工程を含む難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法」である点。 <相違点3-3> 本件特許発明3においては、「発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が0.15~2.0である」のに対し、甲1発明においては、そのようなものか不明な点。 (イ)判断 そこで、上記相違点について検討する。 記載事項1-1ないし1-15及び1-17によると、甲第1号証には、上記第4 1(2)ア(イ)のとおりの一般記載事項が記載されているといえる。 しかし、甲第1号証には、相違点3-1ないし3-3に係る本件特許発明3の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせたものは記載されていないし、そうする動機付けとなる記載も示唆もない。 また、甲第2ないし4号証は、熱安定剤を含ませること及びその量に関する文献であり、甲第5号証は、発泡剤を加えるタイミングに関する文献であって、甲第2ないし5号証の何れにも、相違点3-1ないし3-3に係る本件特許発明3の発明特定事項は記載されていないし、相違点3-1ないし3-3に係る本件特許発明3の発明特定事項となるように、一般記載事項を組み合わせる動機付けとなる記載はなく、示唆もない。 したがって、本件特許発明3は、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件特許発明4について 本件特許発明4は、請求項2又は3を引用するものであるので、本件特許発明2及び3と同様に、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 本件特許発明5について 本件特許発明5は、請求項1又は3を引用するものであるので、本件特許発明1及び3と同様に、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 カ 本件特許発明6について 本件特許発明6は、請求項1ないし5のいずれか1項を引用するものであるので、本件特許発明1ないし5と同様に、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 キ まとめ したがって、本件特許発明1は、甲1発明、すなわち甲第1号証に記載された発明とはいえないし、本件特許発明1ないし6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)についてのむすび よって、取消理由1及び取消理由2は理由がない。 2 取消理由3(実施可能要件)について 取消理由3は、具体的には、次のとおりである。 本件特許の請求項1においては、本件特許の請求項2とは異なり、溶融混合物中に熱安定剤を含むことが記載されていない。他方、実施例では、溶融混合物中に熱安定剤を含むものしか記載されておらず、熱安定剤を併用せずにラジカル発生剤のみを含むものについては何ら記載されていない。してみると、熱安定剤を含むことが規定されていない本件特許発明1は、実施例においてその作用効果が裏付けられたものとはいえない。 以上から、本件特許発明1は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。また、本件特許の請求項1を引用する本件特許発明5及び6についても同様である。 物を生産する方法の発明について、実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法の使用をすることができる程度の記載を要する。 そこで、検討する。 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 ・「【0008】 本発明は、上記問題点を鑑みて、グラファイトのような輻射伝熱抑制剤を添加した際の難燃性の低下に対する課題を解決すると共に、環境適合性の高い難燃剤を用いた断熱性と難燃性を両立するスチレン系樹脂発泡成形体を得ることのできる発泡性スチレン系樹脂粒子および、その製造方法、当該発泡性スチレン系樹脂粒子を用いたスチレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、輻射伝熱抑制剤とともに特定の特性を有する臭素系難燃剤を用いるとともに、輻射伝熱抑制剤含有量と臭素系難燃剤に由来する臭素含有量の重量比を特定の範囲となるように含有させることにより、断熱性と難燃性を両立し、環境適合にも優れる発泡性スチレン系樹脂粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 ・・・(略)・・・ 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば輻射伝熱抑制剤を用いた場合でも難燃性の低下がみられず、環境適合性にも優れた難燃剤を使用していると共に、輻射伝熱抑制剤も含有しているため低い熱伝導率を有する、高い難燃性と断熱性を両立する発泡性スチレン系樹脂粒子および製造方法、当該発泡性スチレン系樹脂粒子を用いたスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。」 ・「【0013】 本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂100重量部に対して、炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部含有する発泡性スチレン系樹脂粒子である。」 ・「【0014】 本発明で用いられるスチレン系樹脂はスチレン単独重合体(ポリスチレンホモポリマー)のみならず、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレンと共重合可能な他の単量体またはその誘導体が共重合されていてもよい(ただし、後述する臭素化スチレン・ブタジエン共重合体は除く)。」 ・「【0018】 本発明で用いられる発泡剤としての炭素数が3~6の炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。 これらの発泡剤は単独または2種以上を混合して使用できる。 これら発泡剤の中でも、目的とする発泡倍率に制御しやすいなどの点から、炭素数4または5の炭化水素が好ましいく、発泡性、成形性の点から 、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンが特に好ましい。 【0019】 本発明における発泡剤の発泡性スチレン系樹脂粒子中の含有量、および、製造時に用いられる添加量は、目的とする発泡倍率に制御しやすいなどの点から、スチレン系樹脂100重量部に対して、3重量部以上10重量部以下であることが好ましく、4重量部以上9重量部以下であることがより好ましく、5重量部以上8重量以下であることがさらに好ましい。」 ・「【0020】 本発明において、「輻射伝熱抑制剤」とは、発泡成形体中を伝わる伝熱機構のうち輻射伝熱を抑制することができる物質であって、同一の樹脂、発泡剤、セル構造、密度の発泡成形体において、輻射伝熱抑制剤を添加することによって、無添加系に比較して、熱伝導率を低くする効果を有する物質を言う。 【0021】 本発明で用いられる輻射伝熱抑制剤としては、近赤外または赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質であれば特に限定されるものではない。 ・・・(略)・・・ 【0024】 本発明における輻射伝熱抑制剤の発泡性スチレン系樹脂粒子中の含有量、および、製造時に用いられる添加量は、目的とする発泡倍率に制御しやすいと共に、熱伝導率低減効果、難燃性などのバランスの点から、スチレン系樹脂100重量部に対して、1重量部以上6重量部以下であることが好ましく、1.5重量部以上5.5重量部以下であることがより好ましく、2重量部以上5重量以下であることがさらに好ましい。」 ・「【0025】 本発明で用いられる、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤としては、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモ-2-メチルプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン(別名 テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル))、2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン(別名 テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル))などの臭素化ビスフェノール系化合物; トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素化イソシアヌレート系化合物; 臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、臭素化スチレン・ブタジエングラフと共重合体などの臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、特表2009-516019号公報に開示されている)などが挙げられる。 これら臭素系難燃剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。 【0026】 ここで、熱重量分析における1重量%減少温度は、熱重量分析装置[(株)島津製作所製、DTG-60A]を用いて、秤量された5mgの試料 を、10℃/minの昇温速度で30℃から350℃まで加熱して測定した値である。 ・・・(略)・・・ 【0028】 本発明における臭素系難燃剤の発泡性スチレン系樹脂粒子中の含有量、および、製造時に用いられる添加量は、目的とする発泡倍率に制御しやすいと共に、輻射伝熱抑制剤添加時の難燃性などのバランスの点から、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上6重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下であることがより好ましく、1.5重量部以上4重量以下であることがさらに好ましい。 ただし、臭素系難燃剤の含有量は、後述する、ラジカル発生剤、熱安定剤の添加有無、添加量などによっても異なる。 【0029】 本発明では、輻射伝熱抑制剤を添加した際の難燃性の低下に関する課題を環境適合性の高い臭素系難燃剤を用いて解決する為、臭素系難燃剤として熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を用いると共に、発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射抑制剤含有量に対する臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量の比率である臭素原子含有量/輻射伝熱抑制剤含有量が1/0.15~1/2.0とすることが重要である。 すなわち、発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤の含有量を1とした場合、臭素系難燃剤に由来する臭素原子含有量比は、0.15以上、2.0以下が好ましく、0.20~1.5がより好ましく、0.30~1.0がさらに好ましい。 輻射伝熱抑制剤に対する臭素原子含有量比が0.15未満であると、難燃性効果が発現しにくくなる傾向があり、2.0超以上の場合、難燃性効果は発現されるものの、スチレン系樹脂の劣化などを誘発しやすくなり、しいては得られた発泡成形体の機械的特性などの低下を招く可能性があるとともにコスト的にも不利である。」 ・「【0036】 本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子においては、ラジカル発生剤をさらに含有することにより、臭素系難燃剤と併用することで臭素系難燃剤の熱重量分析における1%重量減少温度を制御することができ、用いるスチレン系樹脂、発泡剤種および含有量、輻射伝熱抑止剤種および含有量、臭素系難燃剤種および含有量に応じて適宜組み合わせて用いることができる。ラジカル発生剤としてはたとえば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、等が挙げられる。 【0037】 本発明におけるラジカル発生剤の発泡性スチレン系樹脂粒子中の含有量および添加量はスチレン系樹脂100重量部に対して0.05重量部以上、1.0重量部以下が好ましい。」 ・「【0040】 すなわち、第1の製造方法として、 スチレン系樹脂100重量部に対して炭素数が3~6の炭化水素の少なくとも1種からなる発泡剤を3~10重量部、輻射伝熱抑制剤を1~6重量部、熱重量分析における1%重量減少温度が210℃~280℃であり、かつ、臭素含有率が60重量%以上、70重量%未満である臭素系難燃剤を0.5~6重量部、必要に応じて、ラジカル発生剤を0.05~1.0重量部、熱安定剤を臭素系難燃剤100重量部に対して0.1~10重量部、さらには必要に応じて他の添加剤を押出機で溶融混練し、所定の温度に冷却した後、小孔を有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に押出し、押出し直後から、回転カッターにより切断すると共に、加圧循環水により冷却固化して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る製造方法であって、発泡性スチレン系樹脂粒子中の輻射伝熱抑制剤含有量と臭素系難燃剤に由来する臭素含有量との重量比が1/0.15~1/2.0であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が挙げられる。」 ・「【0066】 (実施例3) [スチレン系樹脂粒子の作製] スチレン系樹脂(A2)89.98重量部に対して、臭素系難燃剤と熱安定剤との混合物のマスターバッチ(I1)6.7重量部、輻射伝熱抑制剤マスターバッチ(J1)10重量部、タルク(H1)0.2重量部をφ90mm単軸押出機に供給し、押出機内で溶融混錬し、押出機先端に取り付けられた直径1.4mmの小穴が140個設けられたダイスを通して吐出335kg/時間で押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後ストランドカッターでスチレン系樹脂粒子を得た。このとき押出機先端部での樹脂の温度が245℃、押出機内滞留時間3分であった。 [発泡性スチレン系樹脂粒子の作製] 次いで,容積が6Lの撹拌装置付きオートクレーブに,得られたスチレン系樹脂粒子100重量部に対して脱イオン水200重量部、リン酸三カルシウム1重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03重量部、塩化ナトリウム1重量部を投入し圧力容器を密閉した。その後1時間で105℃まで加温し、発泡剤として混合ペンタン(ノルマルペンタン80%とイソペンタン20%の混合物)8重量部を30分かけて圧力容器内に添加した後、115℃まで10分かけて昇温し、そのまま4時間保持した。保持後室温まで冷却し、オートクレーブから発泡剤の含浸された樹脂粒子を取り出し、塩酸での酸洗、水洗し、遠心分離機で脱水後、気流乾燥機で樹脂粒子表面に付着している水分を乾燥させた。[発泡スチレン系樹脂粒子の作製] 得られた発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対してステアリン酸亜鉛0.1重量部をドライブレンドした後、予備発泡機[大開工業株式会社製、BHP-300]に投入し、0.08MPaの水蒸気を予備発泡機に導入して発泡させ、発泡倍率70倍の発泡スチレン系樹脂粒子を得た。 [発泡成形体の作製] 得られた発泡スチレン系樹脂粒子を、発泡スチロール用成形機[ダイセン工業株式会社製、KR-57]に取り付けた型内成形用金型(445mm×295mm×25mm)内に充填して、0.06MPaの水蒸気を導入し、外観美麗な直方体状のスチレン系発泡成形体を得た。 得られた発泡成形体の評価結果を表1に示した。」 ・「【0069】 (実施例6) [スチレン系樹脂粒子の作製]において、スチレン系樹脂(A2)100重量部に対して、臭素系難燃剤と熱安定剤の混合物(G1)を2重量部、輻射伝熱抑制剤(C1)2重量部、輻射伝熱抑制剤(C2)2重量部、タルク(H1)0.2重量部、ラジカル発生剤(F1)0.5重量部以外は用いた以外は、実施例3と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡スチレン系樹脂粒子、発泡成形体を作製し、外観美麗な直方体状のスチレン系発泡成形体を得た。 得られた発泡成形体の評価結果を表1に示した。」 ・「【0070】 (実施例7) [スチレン系樹脂粒子の作製]において、スチレン系樹脂(A2)100重量部に対して、臭素系難燃剤(D3)を3重量部、輻射伝熱抑制剤(C1)4重量部、タルク(H1)0.2重量部以外は用いた以外は、実施例3と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡スチレン系樹脂粒子、発泡成形体を作製し、外観美麗な直方体状のスチレン系発泡成形体を得た。 得られた発泡成形体の評価結果を表1に示した。 【0071】 (実施例8) [スチレン系樹脂粒子の作製]において、スチレン系樹脂(A2)100重量部に対して、臭素系難燃剤(D4)を3重量部、輻射伝熱抑制剤(C1)4重量部、タルク(H1)0.2重量部を用いた以外は、実施例3と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡スチレン系樹脂粒子、発泡成形体を作製し、外観美麗な直方体状のスチレン系発泡成形体を得た。 得られた発泡成形体の評価結果を表1に示した。」 ・「【0072】 【表1】 」 上記記載によると、明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明1の発明特定事項である「発泡剤」、「輻射伝熱抑制剤」、「臭素系難燃剤」及び「ラジカル発生剤」等について、それぞれ、どのようなものであり、どの程度の量使用するか明確かつ十分に記載されているといえる。 したがって、本件特許発明1の方法の発明について、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法の使用をすることができる程度の記載があるといえ、実施可能要件を充足する。 また、請求項1を引用する本件特許発明5及び6についても同様である。 よって、取消理由3は理由がない。 3 取消理由4(サポート要件)について 取消理由4は、具体的には、次のとおりである。 本件特許の請求項1においては、溶融混練物中にラジカル発生剤が0.5~1.0重量部含まれると規定されている。しかしながら、実施例は、溶融混練物中に熱安定剤とラジカル発生剤とが併用されているただ1つの実施例(実施例6は、熱安定剤を0.1重量部、ラジカル発生剤を0.5重量部含む)のみ開示され、熱安定剤が併用されずにラジカル発生剤のみを含むものについては、何ら記載されていない。したがって、ラジカル発生剤を0.5~1重量部含み、熱安定剤を含まない本件特許発明1は、発明の課題を解決し得るとはいえず、出願時の技術常識に照らしても発明の詳細な説明の開示された内容を拡張ないし一般化できるものではない。 よって、本件特許発明1並びに請求項1を引用する本件特許発明5及び6は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、上記第4 2のとおりの記載があり、それによると、本件特許発明1の課題は、グラファイトのような輻射伝熱抑制剤を添加した際の難燃性の低下に対する課題を解決すると共に、環境適合性の高い難燃剤を用いた断熱性と難燃性を両立するスチレン系樹脂発泡成形体を得ることのできる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供することである(本件特許の明細書の【0008】)。 そして、本件特許の明細書の【0009】には、「輻射伝熱抑制剤とともに特定の特性を有する臭素系難燃剤を用いるとともに、輻射伝熱抑制剤含有量と臭素系難燃剤に由来する臭素含有量の重量比を特定の範囲となるように含有させることにより、断熱性と難燃性を両立し、環境適合にも優れる発泡性スチレン系樹脂粒子が得られる」と記載され、【0072】の【表1】(特に実施例7及び8の欄には、熱安定剤及びラジカル発生剤を含まない実施例の効果が記載されている。)には、輻射伝熱抑制剤とともに本件特許の請求項1に記載された特定特定の特性を有する臭素系難燃剤を用いるとともに、輻射伝熱抑制剤含有量と臭素系難燃剤に由来する臭素含有量の重量比を本件特許の請求項1に記載された特定の範囲となるように含有させることによって、環境適合性の高い難燃剤を用いた断熱性と難燃性を両立できることが、具体的な実施例によって示されている。 そして、臭素含有率が60重量%以上70重量%未満である臭素系難燃剤は、従来利用されていたヘキサブロモシクロドデカン等の環境に悪影響を及ぼす有機臭素化合物を包含しないものであることは、当業者の技術常識である。 そうすると、本件特許発明1は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものであるというべきであり、特許請求の範囲の記載は、明細書のサポート要件に適合する。 また、請求項1を引用する本件特許発明5及び6についても同様である。 よって、取消理由4は理由がない。 第5 結語 したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700713

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