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特許異議申立

2017-700550

車両用灯具

審判番号
2017-700550
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-157132
登録番号
特許第6039947号(P6039947)
請求日
2017年05月31日
審決日
2018年01月31日
公報発行日
2018年04月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社小糸製作所
  • 【権利者代理人】森下 賢樹
  • 【権利者代理人】村田 雄祐
  • 【権利者代理人】三木 友由
  • 【異議申立人】小宮 邦彦
審判長/審判官
  • 審判長 氏原 康宏
  • 審判官 平田 信勝
  • 審判官 尾崎 和寛
分類
P1652.113-YAA(F21S) / P1652.121-YAA(F21S) / P1652.16 -YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6039947号発明「車両用灯具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6039947号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、4〕、3について訂正することを認める。 特許第6039947号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6039947号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成24年7月13日に特許出願され、平成28年11月11日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許の請求項1に係る特許について、特許異議申立人 小宮邦彦により特許異議の申立てがされ、当審において平成29年8月17日付けで取消理由を通知し、同年10月20日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 なお、当審において、平成29年11月16日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をし、特許異議申立人に、期間を指定して前記訂正の請求に対して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答もなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 平成29年10月20日の訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。 なお、下線部は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 開口部を有するランプボディと、 前記開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材及び前記保護部材は、前記ランプボディと前記透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、 前記レーザ光源は、前記光路が前記ランプボディと交わるように設定され、 前記保護部材は、前記光路上における前記ランプボディよりも上流側に設けられることを特徴とする車両用灯具。」 とあるのを、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタと、 前記レーザ光源、前記発光部材及び前記リフレクタを支持する共通のブラケットと、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 開口部を有するランプボディと、 前記開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材、前記リフレクタ、前記ブラケット及び前記保護部材は、前記ランプボディと前記透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、 前記レーザ光源は、前記光路が前記ランプボディと交わるように設定され、 前記保護部材は、前記光路上における前記ランプボディよりも上流側に設けられ、 前記リフレクタは、前記光路と交わらないように、且つ前記保護部材よりも前記レーザ光源の近傍に位置するように設定され、 前記ブラケットは、前記ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられることを特徴とする車両用灯具。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記保護部材は、レーザ光を受けて発光する発光部材を含む請求項1に記載の車両用灯具。」 とあるのを、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 開口部を有するランプボディと、 前記開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材及び前記保護部材は、前記ランプボディと前記透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、 前記レーザ光源は、前記光路が前記ランプボディと交わるように設定され、 前記保護部材は、前記光路上における前記ランプボディよりも上流側に設けられ、 前記保護部材は、レーザ光を受けて発光する発光部材を含むことを特徴とする車両用灯具。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記保護部材は、エクステンション部材を兼ねる請求項1又は2に記載の車両用灯具。」 とあるうち、請求項1を引用するものを、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 開口部を有するランプボディと、 前記開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材及び前記保護部材は、前記ランプボディと前記透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、 前記レーザ光源は、前記光路が前記ランプボディと交わるように設定され、 前記保護部材は、前記光路上における前記ランプボディよりも上流側に設けられ、 前記保護部材は、エクステンション部材を兼ねることを特徴とする車両用灯具。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記保護部材は、エクステンション部材を兼ねる請求項1又は2に記載の車両用灯具。」 とあるうち、請求項2を引用するものを新たな請求項4として、 「前記保護部材は、エクステンション部材を兼ねる請求項2に記載の車両用灯具。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0006】を、 「【0006】 上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、レーザ光源と、レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタと、レーザ光源、発光部材及びリフレクタを支持する共通のブラケットと、発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、開口部を有するランプボディと、開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、を備え、レーザ光源、発光部材、リフレクタ、ブラケット及び保護部材は、ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、レーザ光源は、光路がランプボディと交わるように設定され、保護部材は、光路上におけるランプボディよりも上流側に設けられ、リフレクタは、光路と交わらないように、且つ保護部材よりもレーザ光源の近傍に位置するように設定され、ブラケットは、ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられる。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0008】を、 「【0008】 本発明の他の態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、レーザ光源と、レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、開口部を有するランプボディと、開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、を備え、レーザ光源、発光部材及び保護部材は、ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、レーザ光源は、光路がランプボディと交わるように設定され、保護部材は、光路上におけるランプボディよりも上流側に設けられ、保護部材は、レーザ光を受けて発光する発光部材を含む。この態様によれば、発光部材の全部又は一部が本来あるべき位置から消失したことを発見しやすくすることができる。上記態様において、保護部材は、エクステンション部材を兼ねてもよい。 また、本発明のさらに他の態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、レーザ光源と、レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、開口部を有するランプボディと、開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、を備え、レーザ光源、発光部材及び保護部材は、ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、レーザ光源は、光路がランプボディと交わるように設定され、保護部材は、光路上におけるランプボディよりも上流側に設けられ、保護部材は、エクステンション部材を兼ねる。」 に訂正する。 2.訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明に「リフレクタ」及び「ブラケット」を車両用灯具の構成として追加するとともに、「リフレクタ」の配置及び「ブラケット」の取り付け態様を追加するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 本件特許の願書に添付した明細書には、 「【0013】 灯具ユニット10は、・・・ブラケット部12と、発光部材搭載部14と、発光部材16と、レーザ光源18と、リフレクタ20と、シェード部22と、投影レンズ24と、放熱フィン26と、保護部材28とを備える。」 「【0023】 発光部材16の上側露出面16bから出射された白色光Wは、リフレクタ20の反射面20aで反射され、・・・投影レンズ24に入射する。投影レンズ24に入射した光は、投影レンズ24から略平行な光として灯具前方に照射される。・・・」 「【0025】 ・・・しかしながら、発光部材16の全部又は一部が本来あるべき位置から消失すると、紫外レーザ光が発光部材16で波長変換されることなく、発光部材16の先の光路Pを進行してランプボディ2や透光カバー4等の部材に照射されてしまい、これらの部材が損傷してしまうおそれがある。」 と記載されている。 段落【0013】、【0023】の上記記載は、「発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタ」との事項を示しているといえ、また、段落【0025】の上記記載は【図1】を併せみれば、「リフレクタは、光路と交わらないように、且つ保護部材よりもレーザ光源の近傍に位置するように設定され」ているとの事項を示しているといえる。 また、本件特許の願書に添付した明細書には、 「【0014】 ・・・ブラケット部12の灯具前方側の主表面には、発光部材搭載部14が固定されている。・・・ブラケット部12は、辺縁部の所定位置に螺孔を有し、ランプボディ2を貫通して前方に延出するエイミングスクリュー30がこの螺孔に螺合している。これにより、ブラケット部12がランプボディ2に取り付けられている。車両用灯具1は、エイミングスクリュー30によって、灯具ユニット10の光軸を水平方向あるいは鉛直方向に調整することができる。・・・」 「【0016】 ・・・発光部材16は、枠状の支持部材32を介して発光部材搭載部14に固定されている。・・・」 「【0017】 ・・・レーザ光源18は、ブラケット部12に設けられた開口12aに挿通されて、ブラケット部12に固定されている。・・・」 「【0020】 リフレクタ20は、・・・発光部材16の上方に配置されて発光部材搭載部14に固定されている。・・・」 と記載されている。 上記の段落の記載は、「レーザ光源、発光部材及びリフレクタを支持する共通のブラケット」との事項、「ブラケットは、ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられる」との事項を示しているといえる。 そして、段落【0013】の上記記載及び【図1】は、「リフレクタ」及び「ブラケット」を備えた「灯具ユニット10」がランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容されていることを示しているといえる。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明に発明特定事項を付加するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する記載であった訂正前の請求項2の記載を、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。 (3)訂正事項3、4について ア 訂正の目的 訂正前の請求項3の記載は、訂正前の請求項1または2を引用する記載であった。 (ア) 訂正事項3は、訂正前の請求項3のうちの、訂正前の請求項1を引用する記載であった訂正前の請求項3の記載を、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。 (イ) 訂正事項4は、訂正前の請求項3のうちの、訂正前の請求項2を引用する記載であった訂正前の請求項3の記載を、訂正後の請求項2を引用する請求項の記載に改める訂正である。 訂正事項4は、訂正前の請求項3に対して、訂正事項3により訂正前の請求項1を引用する部分が独立形式請求項に改められたことに伴い、残された請求項2を引用する部分について訂正の前後において整合を図るためになされた訂正といえる。 そうすると、訂正事項4は、訂正事項3による訂正に伴いなされた、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。 訂正事項4は、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3を、訂正後の請求項2を引用する請求項4とするものである。 ここで、訂正事項2による請求項2の訂正は、訂正の前後において内容の変更を伴うものではないので(上記「(2)イ」を参照)、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3と、訂正後の請求項2を引用する請求項4との間に、内容の変更はない。 よって、訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。 (4)訂正事項5、6 ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正事項1により特許請求の範囲が訂正されたことに伴い、対応する明細書の記載を整合させるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 訂正事項6は、訂正事項2~4により特許請求の範囲が訂正されたことに伴い、対応する明細書の記載を整合させるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1~4は、上記「(1)イ」、「(2)イ」、「(3)イ」で述べたとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであるので、訂正事項5、6も同様であることは明らかといえる。 よって、訂正事項5、6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。 (5)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正前の請求項1について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。 訂正事項2~6は、それらの訂正の目的からみて、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。 (6)一群の請求項 訂正前の請求項2、3は訂正前の請求項1を引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるので、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項〔1~4〕は、一群の請求項である。 よって、訂正事項1~4は、一群の請求項ごとに請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正事項5、6は、訂正事項1~4の訂正に伴いなされた明細書の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する (7)別の訂正単位とする求め 特許権者は、訂正事項2~4による訂正後の請求項2~4についての訂正が認められる場合には、請求項2~4は、請求項1とは別途訂正することを求めており(訂正請求書15頁5~9行)、これを認め、訂正後の請求項〔2、4〕及び訂正後の請求項3を訂正後の請求項1とは別の訂正単位とすることを認める。 (8)小括 以上のとおりであるので、訂正事項1~6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1、〔2、4〕、3について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタと、 前記レーザ光源、前記発光部材及び前記リフレクタを支持する共通のブラケットと、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 開口部を有するランプボディと、 前記開口部を覆うように取り付けられた透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材、前記リフレクタ、前記ブラケット及び前記保護部材は、前記ランプボディと前記透光カバーとにより形成される灯室内に収容され、 前記レーザ光源は、前記光路が前記ランプボディと交わるように設定され、 前記保護部材は、前記光路上における前記ランプボディよりも上流側に設けられ、 前記リフレクタは、前記光路と交わらないように、且つ前記保護部材よりも前記レーザ光源の近傍に位置するように設定され、 前記ブラケットは、前記ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられることを特徴とする車両用灯具。」 2.取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して平成29年8月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [取消理由1]本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [取消理由2]本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の引用文献1~5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [取消理由3]本件特許の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開がされた下記の特許出願(先の出願6)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2012-119170号公報 引用文献2:特開2012-99279号公報 引用文献3:特開2007-294203号公報 引用文献4:特開2010-218728号公報 引用文献5:特開2007-59075号公報 先の出願6:特願2011-245923号(特開2013-101887号 参照) 3.引用文献等に記載の事項及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項及び引用発明1 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付したものである。以下同様。 ア 「【請求項1】 半導体発光素子と、 前記半導体発光素子から出射された励起光を受けて可視光を出射する蛍光体と、 前記蛍光体から出射された可視光を反射させる反射面を有するリフレクタと、 を備える車両用灯具において、 前記リフレクタの反射面は、前記蛍光体から当該反射面に入射した前記励起光を拡散させるか、当該励起光を前記蛍光体へ反射させるか、又は当該励起光を当該反射面の後方へ透過させる光学構造を有することを特徴とする車両用灯具。」 イ 「【0001】 本発明は、車両用灯具に関する。 【0002】 従来、自動車用ヘッドライトなどの車両用灯具として、光源に半導体発光素子と蛍光体を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の車両用灯具では、半導体発光素子から蛍光体へ励起光(例えば青色光)を照射することによって、蛍光体が励起されて発する光(例えば黄色光)と励起光とを混色させて可視光(例えば白色光)を出射させ、この可視光を投影レンズ等の光学系によって車両前方へ投影している。 ・・・ 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記従来の車両用灯具では、一部の励起光が蛍光体で正反射されるなどして、所定の色に混色されることなくそのまま投影レンズ等から出射されてしまうため、投影像に部分的な色ムラが生じてしまう。 【0005】 本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、投影像の色ムラを抑制することのできる車両用灯具の提供を課題とする。」 ウ 「【0010】 本発明によれば、リフレクタの反射面が、蛍光体から当該反射面に入射した励起光を拡散させるか、当該励起光を蛍光体へ反射させるか、又は当該励起光を当該反射面の後方へ透過させる光学構造を有するので、蛍光体で可視光とされなかった一部の励起光が反射面に入射すると、当該励起光は光学構造によって拡散されるか、蛍光体へ反射されるか、又は後方へ透過される。したがって、励起光が半導体発光素子から出射された強度のまま灯具外へ出射されることを防止でき、ひいては投影像の色ムラを抑制することができる。」 エ 「【0014】 図2に示すように、車両用灯具1は、レーザーダイオード(以下、LDという)11と、蛍光体12と、リフレクタ13と、シェード14と、投影レンズ15とを備えている。 このうち、LD11は、本発明に係る半導体発光素子であり、蛍光体12の励起光としての青色のレーザー光を上方へ向けて出射する。また、LD11は、左右方向(図2の紙面垂直方向)に長尺なレーザー出射口を有しており、左右方向に幅広なレーザー光を出射する。」 オ 「【0032】 [2 第二の実施形態] 続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、上記第一の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。 【0033】 図1に示すように、車両用前照灯100は、透光カバー101で前方を覆われた灯室内に本第二の実施形態における複数の車両用灯具2,…を備えており、これら複数の車両用灯具2,…から照射される光によって車両前方にすれ違い配光パターンを形成する。 【0034】 図6は、車両用灯具2の側断面図である。 この図に示すように、車両用灯具2は、上記第一の実施形態と同様に構成されたLD11,シェード14及び投影レンズ15の他、蛍光体22と、リフレクタ23と、集光レンズ27とを備えており、青色光を蛍光体22の下面から上面へ透過させるように構成されている点で上記第一の実施形態における車両用灯具1と異なっている。 ・・・ 【0036】 蛍光体22は、上記第一の実施形態における蛍光体12と同様の蛍光材料であり、上面及び下面を露出させた状態で集光レンズ27の上方に配置されている。この蛍光体22は、集光レンズ27によって集光されたLD11からの青色光を下方から受けて白色光を上方へ放射状に出射するように構成されており、上面及び下面の面積が青色光の集光スポット径の面積と略同一となるように形成されている。 【0037】 リフレクタ23は、下方斜め前方に開口する湾曲板状に形成され、蛍光体22の上方を覆うように配設されている。リフレクタ23の下面は、蛍光体22の上面に対向する反射面231を構成している。 【0038】 反射面231は、蛍光体22の位置を第1焦点とする回転楕円面が基調とされた自由曲面であり、離心率が鉛直断面から水平断面に向かって徐々に大きくなるように形成されている。この反射面231は、蛍光体22から上方へ出射された白色光を、鉛直断面ではシェード14のやや前方に集光させ、水平断面に向かうにつれて徐々に前方に集光させるように反射させる。 また、反射面231には、表面に荒らし加工が施された拡散部Dが形成されている。拡散部Dは、反射面231のうち、集光レンズ27で集光されて蛍光体22を上方へ透過した青色光が照射される部分に形成されている(図7(a)参照)。この拡散部Dは、本発明に係る光学構造であり、蛍光体22で白色光とされずに当該蛍光体22を透過して反射面231に入射した青色光を拡散させる。 【0039】 以上の構成を具備する車両用灯具2では、図7(a)に示すように、LD11から出射された青色光(励起光)が集光レンズ27によって蛍光体22に集光され、その殆どが白色光とされて上方へ出射される。このとき、蛍光体22に集光された青色光の一部が白色光とされずに蛍光体22を透過して反射面231に向かうものの、反射面231の拡散部Dに入射して拡散されるため、青色光がLD11から出射された強度のまま投影レンズ15から出射されることを防止できる。 蛍光体22から出射された白色光は、図7(b)に示すように、リフレクタ23の反射面231で反射されて投影レンズ15から車両前方へ照射され、上記第一の実施形態と同様にすれ違い配光パターンが形成される。 【0040】 以上の車両用灯具2によれば、上記第一の実施形態における車両用灯具1と同様の効果を奏することができる。すなわち、蛍光体22で白色光とされずに当該蛍光体22を透過した青色光が拡散部Dによって拡散されるので、青色光がLD11から出射された強度のまま投影レンズ15から灯具外へ出射されることを防止でき、ひいては投影像(すれ違い配光パターン)の色ムラを抑制することができるとともに、人体に対する安全性を確保することができる。」 カ 【図6】から、リフレクタ23の反射面231におけるレーザーダイオード11の励起光の光路上に拡散部Dが設けられていることを看取しうる。 以上のア~カの記載事項及び【図6】、【図7】の記載からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明1〕 「レーザーダイオード11と、 前記レーザーダイオード11から出射された励起光を受けて可視光を出射する蛍光体22と、 前記蛍光体22から出射された可視光を反射させるリフレクタ23の反射面231における前記レーザーダイオード11から出射された励起光の光路上に、前記蛍光体22を透過して当該反射面231に入射した前記励起光を拡散させる拡散部Dを設けた車両用灯具2を、 透光カバー101で前方を覆われた灯室内に備えた、車両用前照灯100。」 (2)先の出願6の当初明細書等に記載された事項及び引用発明2 先の出願6の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。 キ 「【請求項1】 一方向に励起光を発光する励起光源と、 上記励起光を受けて非励起光を発光する発光部と、 上記非励起光を、上記励起光の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させる反射部と、 を備えることを特徴とする照明装置。 【請求項2】 上記発光部を介して上記励起光源と対向する位置に、上記励起光を終端させる励起光終端部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。 ・・・」 ク 「【0001】 本発明は、半導体レーザ等の励起光源と蛍光体等の発光部とを組み合わせた照明装置およびこの照明装置を備えた車両用前照灯に関する。」 ケ 「【0006】 しかしながら、特許文献1および2では、何らかの拍子で発光部が所定の場所からずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなると、励起光源からの励起光が装置外部に放出され、その励起光が人の目に照射されると、人の目を害する場合がある。 【0007】 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、励起光源からの励起光を発光部に照射することで発光部から非励起光を放出させ、その非励起光を照明光として利用する照明装置であって、発光部がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなっても、励起光源からの励起光が装置外部に放出されることを防止することができる照明装置およびこの照明装置を備えた車両用前照灯を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の課題を解決するために、本発明に係る照明装置は、一方向に励起光を発光する励起光源と、上記励起光を受けて非励起光を発光する発光部と、上記非励起光を、上記励起光の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させる反射部と、を備えることを特徴とする。 【0009】 上記の構成によれば、励起光源からの励起光が発光部によって非励起光に変換され、その非励起光が照明光として放出される。よって、励起光源を用いて輝度の高い照明光を得ることできる。 【0010】 また、励起光の発光方向は、照明光の照明方向と異なる方向に設定される。よって、発光部の位置または励起光の発光方向がずれて、励起光が発光部から外れても、励起光が照明方向に出射されること(すなわち、励起光が照明光として放出されること)を防止できる。 【0011】 上記発光部を介して上記励起光源と対向する位置に、上記励起光を終端させる励起光終端部をさらに備えることが望ましい。 【0012】 上記の構成によれば、発光部を介して励起光源と対向する位置に励起光終端部が配置されるので、発光部の位置がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光が発光部から外れると、励起光源からの励起光は、励起光終端部に入射して終端される。 【0013】 よって、発光部の位置がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光が発光部から外れても、励起光が当該照明装置の外部に放出されることを防止できる。」 コ 「【0041】 (1.構成) 本発明の照明装置に関する実施の一形態について、図1および図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。 【0042】 本発明の照明装置1は、例えば自動車用の走行用前照灯(ハイビーム)の配光特性基準を満たすヘッドランプに利用可能である。ただし、本発明の照明装置は、自動車用のすれ違い用前照灯(ロービーム)の配光特性基準を満たすヘッドランプ、・・・として実現されてもよい。・・・ 【0043】 この照明装置1は、図1に示すように、励起光C1を発光する励起光源3と、励起光C1を受けて非励起光C3を発光する発光部5と、補助照明光C2を発光する補助照明光源7と、非励起光C3および補助照明光C2からなる照明光C4を所定の照明方向Hに照射させるリフレクタ(反射部)9と、励起光源3からの励起光C1を終端させる励起光終端部11と、励起光C1が照明装置1の外部に漏れることを防止するための励起光カットフィルタ13とを備えている。 ・・・ 【0045】 (発光部5) 発光部5は、リフレクタ9の内部(例えば焦点位置)に配置される。発光部5は、例えば、励起光源3からの励起光C1を受けて励起されて蛍光(非励起光)C3を発する蛍光体(不図示)と、上記蛍光体を封止する蛍光体保持物質(不図示)とから構成される。上記蛍光体保持物質は、無機材料であることが好ましい。 ・・・ 【0047】 上記蛍光体は、例えば、酸窒化物系、または窒化物系のものであり、青色、緑色および赤色の蛍光体が低融点ガラスに分されている。励起光源3は、後述のように例えば半導体レーザとして構成されており、405nm(青紫色)のレーザ光を発振するため、発光部5に当該レーザ光が照射されると白色光が発生する。それゆえ、発光部5は、波長変換材料であるといえる。」 サ 「【0074】 励起光終端部11は、励起光源3から出射されて発光部5で吸収されずに通過した励起光C1を終端させるものである。 【0075】 なお、終端とは、有効な光路の末端において、適切な反射率および適切な熱特性を有する拡散反射体または吸収体で励起光C1を終端させることを指す。ここで、適切な反射率とは、励起光C1が反射しても、その反射した励起光C1の出力が人に対して害を及ぼさない程度の出力になるような反射率のことであり、適切な熱特性とは、励起光C1を吸収した際に発生する局所的な熱が励起光終端部11を破壊しない程度に拡散されうる熱伝導率を有することを指す。 【0076】 (励起光終端部11) 励起光終端部11は、リフレクタ9の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置に配設される。リフレクタ9の当該配設位置には、励起光排出用開口部9dが形成されている。」 以上のキ~サの記載事項及び【図1】の記載からみて、先の出願6の当初明細書等には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明2〕 「一方向に励起光C1を発光する半導体レーザとして構成された励起光源3と、 上記励起光C1を受けて非励起光C3を発光する発光部5と、 上記非励起光C3を、上記励起光C1の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させるリフレクタ9と、 上記リフレクタ9の、上記発光部5を介して上記励起光源3と対向する位置に、上記励起光源3から出射されて上記発光部5で吸収されずに通過した上記励起光C1を拡散反射体または吸収体で終端させる励起光終端部11を備える照明装置1を備えた車両用前照灯。」 4.判断 (1)取消理由1及び2について 本件発明と引用発明1とを対比する。 後者の「レーザーダイオード11」は、前者の「レーザ光源」に相当し、後者の「レーザーダイオード11から出射された励起光」は、前者の「レーザ光源からのレーザ光」に相当する。 後者の「レーザーダイオード11から出射された励起光を受けて可視光を出射する蛍光体22」は、前者の「レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材」に相当する。 後者の「蛍光体22から出射された可視光を反射させるリフレクタ23」は、その機能からみて、前者の「発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタ」に相当する。 後者の「蛍光体22を透過して反射面231に入射した励起光を拡散させる拡散部D」は、前者の「レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材」に相当する。 後者の「透光カバー101」は、前者の「透光カバー」に相当し、後者の「透光カバー101で前方を覆われた灯室」は、前者の「ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室」と、「透光カバーにより形成される灯室」である限りにおいて一致する。 後者の「レーザーダイオード11」、「蛍光体22」、「リフレクタ23」、「拡散部D」を設けた「車両用灯具2」を「透光カバー101で前方を覆われた灯室内に備え」ることは、前者の「レーザ光源、発光部材、リフレクタ、ブラケット及び保護部材は、ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容され」ることと、「レーザ光源、発光部材、リフレクタ及び保護部材は、透光カバーにより形成される灯室内に収容され」る限りにおいて一致する。 後者の「車両用前照灯100」は、前者の「車両用灯具」に相当する。 そうすると、両者は、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタと、 レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 透光カバーと、 を備え、 前記レーザ光源、前記発光部材、前記リフレクタ及び前記保護部材は、前記透光カバーにより形成される灯室内に収容された、車両用灯具。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 〔相違点1〕 本件発明は、「保護部材」が「発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ」るものであるのに対して、引用発明1は、「拡散部D」が「蛍光体22から出射された可視光を反射させるリフレクタ23の反射面231における前記レーザーダイオード11から出射された励起光の光路上に」設けたものである点。 〔相違点2〕 本件発明は、「開口部を有するランプボディ」を有し、「透光カバー」がその「開口部を覆うように取り付けられ」、レーザ光源、発光部材、リフレクタ及び保護部材は、「ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室」内に収容されたものであり、「レーザ光源は、光路がランプボディと交わるように設定され、保護部材は、光路上におけるランプボディよりも上流側に設けられる」との事項を有しているのに対して、引用発明1は、ランプボディを有するとは特定されておらず、「レーザーダイオード11から出射された励起光の光路」は「蛍光体22から出射された可視光を反射させるリフレクタ23の反射面231」と交わり、当該「反射面231におけるレーザーダイオード11から出射された励起光の光路上に」「拡散部D」が設けられている点。 〔相違点3〕 本件発明は、「レーザ光源、発光部材及びリフレクタを支持する共通のブラケット」を有し、「ブラケットは、ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられる」ものであるのに対して、引用発明1は、レーザーダイオード11,蛍光体22及びリフレクタ23が、そのような共通のブラケットに支持されるとは特定されていない点。 〔相違点4〕 本件発明は、「リフレクタは、」レーザ光の「光路と交わらないように、且つ保護部材よりもレーザ光源の近傍に位置するように設定され」ているのに対して、引用発明1は、リフレクタ23の反射面231におけるレーザーダイオード11から出射された励起光の光路上に、励起光を拡散させる拡散部Dを設けている点。 事案に鑑み、相違点4について検討する。 〔相違点4について〕 引用文献1には、半導体発光素子から蛍光体へ励起光(例えば青色光)を照射することによって、蛍光体が励起されて発する光(例えば黄色光)と励起光とを混色させて可視光(例えば白色光)を出射させる車両用灯具において、一部の励起光が蛍光体で正反射されるなどして、所定の色に混色されることなくそのまま投影レンズ等から出射され、投影像に部分的な色ムラが生じることを、発明が解決しようとする課題とし(上記「3.(1)イ」を参照。)、リフレクタの反射面が、蛍光体から当該反射面に入射した励起光を拡散させることで、励起光が半導体発光素子から出射された強度のまま灯具外へ出射されることを防止でき、ひいては投影像の色ムラを抑制することができるとの作用効果を得るものである(上記「3.(1)ウ」を参照。)。 そうすると、引用発明1において、レーザーダイオード11から出射された励起光の光路上にリフレクタ23が存在するとの構成は、発明の前提となる構成といえ、これを相違点4に係る本件発明の構成とすることは、動機付けもなく、設計事項ともいえない。 また、引用文献2~5は、透光カバーとランプボディから灯室を形成することを示すに過ぎず、本件発明の「保護部材」について何ら示唆するものではない。 したがって、引用発明1を相違点4に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明1)とはいえず、引用発明1及び引用文献2~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (2)取消理由3について 本件発明と引用発明2とを対比する。 後者の「半導体レーザとして構成された励起光源3」は、前者の「レーザ光源」に相当し、後者の励起光源3が発する「励起光C1」は、前者の「レーザ光源からのレーザ光」に相当する。 後者の「励起光C1を受けて非励起光C3を発光する発光部5」は、前者の「レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材」に相当する。 後者の「非励起光C3を、励起光C1の発光方向と異なる方向である照明方向に反射させるリフレクタ9」は、前者の「発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタ」に相当する。 後者は、先の出願6の当初明細書等の段落【0007】(上記「3.(2)ケ」参照)に記載されているように、励起光を非励起光とする発光部が励起光源の光軸からずれ、励起光が発光部に当たらずにそのまま装置外に放出されることを防止することを目的とするものである。そうすると、後者の「リフレクタ9の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置」は、その技術的意味からみて、前者の「発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上」に相当し、後者の前記の対向する位置に備えられる「励起光源3から出射されて発光部5で吸収されずに通過した励起光C1を拡散反射体または吸収体で終端させる励起光終端部11」は、前者の前記光路上に設けられる「レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材」に相当する。 後者の「照明装置1を備えた車両用前照灯」は、前者の「車両用灯具」に相当する。 そうすると、両者は、 「レーザ光源と、 前記レーザ光源からのレーザ光を受けて発光する発光部材と、 前記発光部材から出射される光を、当該光が灯具前方に照射されるように反射するリフレクタと、 前記発光部材の少なくとも一部が本来あるべき位置から消失した場合に、レーザ光が進行する光路上又はレーザ光の光量が増大する光路上に設けられ、レーザ光を吸収又は散乱させる保護部材と、 を備えた、車両用灯具。」 である点で一致し、次の点で相違する。 〔相違点5〕 本件発明は、「開口部を有するランプボディ」と、「開口部を覆うように取り付けられた透光カバー」とを備え、「レーザ光源、発光部材、リフレクタ、ブラケット及び保護部材は、ランプボディと透光カバーとにより形成される灯室内に収容され」、「レーザ光源は、光路が前記ランプボディと交わるように設定され」、「保護部材は、光路上におけるランプボディよりも上流側に設けられる」と特定されているのに対して、引用発明2は、そのように特定されていない点。 〔相違点6〕 本件発明は、「レーザ光源、発光部材及びリフレクタを支持する共通のブラケット」を有し、「ブラケットは、ランプボディに対して姿勢を調整可能に取り付けられる」ものであるのに対して、引用発明2は、励起光源3、発光部5及びリフレクタ9が、そのような共通のブラケットに支持されるとは特定されていない点。 〔相違点7〕 本件発明は、「リフレクタは、」レーザ光の「光路と交わらないように、且つ保護部材よりもレーザ光源の近傍に位置するように設定され」ているのに対して、引用発明2は、リフレクタ9の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置に、励起光終端部11が設けられるものである点。 事案に鑑み、相違点7について検討する。 〔相違点7について〕 先の出願6の当初明細書等には、励起光源からの励起光を発光部に照射することで発光部から非励起光を放出させ、その非励起光を照明光として利用する照明装置において、発光部がずれる、あるいは励起光源の光軸がずれて励起光源からの励起光が発光部に当たらなくなっても、励起光源からの励起光が装置外部に放出されることを防止することができる照明装置を備えた車両用前照灯を提供することを目的とし(上記「3.(2)ケ」を参照)、リフレクタ9の、発光部5を介して励起光源3と対向する位置に、励起光終端部11を設けるものといえる。 そうすると、引用発明2は、励起光源3の光路上にリフレクタ9が位置していることを前提としており、相違点7に係る本件発明の構成とすることが設計上の微差ということはできない。 よって、相違点5、6について検討するまでもなく、本件発明は、先の出願6の当初明細書等に記載された発明(引用発明2)と同一であるとはいえない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由に実質的に等しい取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700550

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