特許異議申立
2024-701148
光源モジュール
- 審判番号
- 2024-701148
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-535444
- 登録番号
- 7491930
- 請求日
- 2024年11月27日
- 審決日
- 2025年09月22日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社小糸製作所
- 【権利者代理人】森下 賢樹
- 【権利者代理人】村田 雄祐
- 【権利者代理人】三木 友由
- 【異議申立人】宮本 弘敏
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 高橋 学
- 審判官 稲垣 彰彦
- 分類
- P1652.113-YAA(B60Q) / P1652.121-YAA(B60Q) / P1652.537-YAA(B60Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7491930号発明「光源モジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7491930号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4~6〕、3について訂正することを認める。
特許第7491930号の請求項3に係る特許を維持する。
特許第7491930号の請求項1、2、4~6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7491930号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)7月30日(優先権主張 令和元年8月1日)を国際出願日とする出願であって、令和6年5月20日にその特許権の設定登録がされ、同年5月28日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人宮本弘敏(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。
本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年11月27日 :特許異議の申立て(請求項1~6)
令和7年 3月25日付け:取消理由通知書
同年 5月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、当審において令和7年6月9日付けで、申立人に対して意見書提出の期間を指定して、同年5月22日提出の訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、当該期間内に申立人から意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年5月22日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記第1光源は、第1半導体発光素子および第2半導体発光素子を含み、
前記第2光源は、第3半導体発光素子を含み、
前記第1光学系は、
前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より下側の領域の配光を形成する第1レンズと、
前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、
を含み、
前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光源モジュール。」と記載されているのを、
「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、
前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給し、
前記第1光源および前記第2光源は、地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、
前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、
前記第1光源は、第1半導体発光素子および第2半導体発光素子を含み、
前記第2光源は、第3半導体発光素子を含み、
前記第1光学系は、
前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、
前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、
を含み、
前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含むことを特徴とする光源モジュール。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するというものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するというものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3に対して本件訂正前の請求項1及び2に記載された全ての発明特定事項を追加し、本件訂正前の請求項3の「を特徴とする請求項1または2に記載の光源モジュール。」との記載を「を特徴とする光源モジュール。」に訂正(以下「訂正事項3-1」という。)するとともに、本件訂正前の請求項3の「前記ロービーム領域のエルボー点より下側の領域の配光を形成する第1レンズ」との記載を「前記ロービーム領域のエルボー点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズ」に訂正(以下「訂正事項3-2」という。)するものである。
そして、訂正事項3-1は、本件訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であるところ、請求項1との引用関係を解消し、請求項2を引用するものについて独立形式請求項に改めるものであるので、引用先の請求項の数を減少させるもの、及び削除された請求項1又は2の引用という不明瞭な状態を解消するものである。
また、訂正事項3-2は、「第1レンズ」が「形成する」「前記ロービーム領域のエルボー点より下側の領域の配光」が「前記ロービーム領域のエルボー点より下側の端から端にわたる全領域の配光」であることを特定するものである。
そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3は、本件特許の特許請求の範囲の【請求項1】及び【請求項2】、並びに本件特許の明細書の段落【0058】及び図5の記載に基づくものであるので、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4を削除するというものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、本件訂正前の請求項5を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項5は、本件訂正前の請求項5を削除するというものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、本件訂正前の請求項6を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項6は、本件訂正前の請求項6を削除するというものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、それぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~6に対応する本件訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であるところ、本件訂正請求において、訂正後の請求項3について、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがされている。
4 小括
以上のとおり、訂正事項1~6に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、また、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
そして、訂正後の請求項3について、別の訂正単位とする求めがされている。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4~6〕、3について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
前記「第2」で説示したように本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給し、
前記第1光源および前記第2光源は、地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、
前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、
前記第1光源は、第1半導体発光素子および第2半導体発光素子を含み、
前記第2光源は、第3半導体発光素子を含み、
前記第1光学系は、
前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、
前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボー点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、
を含み、
前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含むことを特徴とする光源モジュール。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
その出射光が前記第1光学系によって前記ロービーム領域に照射されるように配置される第3光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記点灯回路は、前記ロービームの点灯指示に応答して、前記第3光源に前記駆動電流を供給するよう構成され、
前記点灯回路は、
前記ロービームの点灯指示に応答してオンとなる第1スイッチと、
前記ハイビームの点灯指示に応答してオンとなる第2スイッチと、
前記駆動電流を生成する駆動回路と、
を含み、
前記第1光源、前記第3光源および前記第1スイッチは直列に接続され、
前記第2光源と前記第2スイッチは、前記第3光源および前記第1スイッチと並列に接続されることを特徴とする光源モジュール。
【請求項8】
前記第1光源および前記第3光源は、地面と平行な第1面に実装され、
前記第2光源は、第1面の裏面の第3面に実装され、
前記第1光学系は、前記第1面側に設けられた第1リフレクタを含み、
前記第2光学系は、前記第3面側に設けられた第2リフレクタを含むことを特徴とする請求項7に記載の光源モジュール。
【請求項9】
前記第1光源および前記第3光源は、地面と平行な第1面に実装され、
前記第2光源は、地面と垂直な第2面に実装され、
前記第1光学系は、反射光学系を含み、
前記第2光学系は、透過光学系を含むことを特徴とする請求項7に記載の光源モジュール。
【請求項10】
前記第1光源および前記第3光源は、水平方向に隣接して配置される複数の発光素子を含むことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項11】
前記第2光源は水平方向に隣接して配置される複数の発光素子を含むことを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の光源モジュール。」
第4 取消理由通知で通知した取消理由について
本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審において令和7年3月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
以下、申立人の提出した甲第○号証を甲○という。
理由1:(明確性要件)本件特許の請求項4~6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
[理由1]
請求項2に記載された発明特定事項(「前記第1光源」、「前記第2光源」、「前記第1光学系」、及び「前記第2光学系」)と請求項2を引用する請求項4に記載された発明特定事項(「前記第1光源」、「前記第2光源」、「前記第1光学系」、及び「前記第2光学系」)の関係が明確でない。
同様に、請求項2に記載された発明特定事項(「前記第1光源」、「前記第2光源」、「前記第1光学系」、及び「前記第2光学系」)と請求項2を引用する請求項5に記載された発明特定事項(「前記第1光源」、「前記第2光源」、「前記第1光学系」、及び「前記第2光学系」)の関係が明確でない。
よって、請求項4、5に係る発明及び請求項4を引用する請求項6に係る発明は、明確でない。
[理由2]
<引用文献一覧>
甲1.特開2018-37237号公報
甲2.特開2018-170255号公報
甲3.特開2018-165089号公報
甲4.特開2017-33892号公報
甲5.特開2014-197495号公報
甲6.国際公開第2018/043663号
甲7.特開2014-107049号公報
甲8.特開2015-54555号公報
<請求項と引用文献の関係>
・請求項 1~6
引用文献 甲1及び甲6~甲8、又は甲1及び甲5~甲8
・請求項 1~6
引用文献 甲2又は甲3又は甲4、及び甲5~甲8
第5 当審の判断
1 理由1(明確性要件)について
本件訂正により、請求項4~6が削除されたので、取消理由の理由1(明確性要件)の対象が存在しないものとなった。
2 理由2(進歩性)について
(1)引用文献
(1-1)甲1
ア 甲1の認定事項
甲1の段落【0012】、【0021】、【0055】、【0084】、【0085】、【0087】、【0090】~【0093】、及び図4から、甲1には、以下の事項が認められる。
(ア)段落【0012】、【0084】、【0085】、【0087】、【0092】、及び【0093】から、点灯装置1と光源ユニット100A、100Bを備えたものが車両用の光源モジュールを構成する。
(イ)段落【0087】から、車両用の光源モジュールは、ハイビームとロービームを切替可能である。
(ウ)段落【0021】、【0084】、【0085】、【0087】、【0090】~【0093】、及び図4から、点灯装置1内の回路が電流出力部10、マイクロコンピュータ31、負荷特性取込部20、及びスイッチ素子Q4を備える。
(エ)段落【0055】及び図4から、光源ユニット100Aは、光源110Aと負荷情報出力部120Aを備え、光源ユニット100Bは、光源110Bと負荷情報出力部120Bを備える。
イ 甲1発明
甲1の段落【0012】、【0021】、【0055】、【0084】、【0085】、【0087】、【0090】~【0093】、図4、及び前記アから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内に、根拠箇所を示した。以下同様。)。
「ハイビームとロービームを切替可能である、点灯装置1と光源ユニット100A、100Bを備えた車両用の光源モジュールであって(前記ア(ア)、(イ))、
前記光源ユニット100Aは、複数のLEDが直列に接続された光源110Aと負荷情報出力部120Aを備え(段落【0055】、前記ア(エ))、
前記光源ユニット100Bは、複数のLEDが直列に接続された光源110Bと負荷情報出力部120Bを備え(段落【0055】、前記ア(エ))、
前記光源110Aがロービームであり(段落【0087】)、
前記光源110Bがハイビームであり(段落【0087】)、
前記点灯装置1内の回路は、電流出力部10、マイクロコンピュータ31、負荷特性取込部20、及びスイッチ素子Q4を備え(前記ア(ウ))、
前記光源110A、110Bは、前記電流出力部10の出力端子間に直列に接続され(段落【0087】)、
前記光源110Bと並列に前記スイッチ素子Q4が接続され(段落【0087】)、
前記マイクロコンピュータ31は、前記負荷情報出力部120A、120Bから負荷情報を読み込み、前記光源110A、110Bの光束ランクを判定し、前記光束ランクに応じた目標電圧を設定し、前記電流出力部10の出力は、前記目標電圧に基づいて制御され(段落【0090】、【0092】、【0093】)、
前記マイクロコンピュータ31は、スイッチSW2がオフのとき、前記スイッチ素子Q4をオンさせ、前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ、前記スイッチSW2がオンのとき、前記スイッチ素子Q4をオフさせ、前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる(段落【0092】、【0093】)、車両用の光源モジュール。」
(1-2)甲2
ア 甲2の認定事項
甲2の【請求項1】、【請求項8】、段落【0017】~【0019】、【0102】、及び図1から、甲2には、以下の事項が認められる。
(ア)【請求項1】、【請求項8】、段落【0102】、及び図1から、点灯装置と照明負荷を備えたものが車両用前照灯の光源モジュールを構成し、当該車両用前照灯の光源モジュールは、ハイビームとロービームを切り替え可能である。
(イ)図1から、点灯装置1内の回路が電力変換回路11と、切換回路12と、制御回路13とを有する。
(ウ)【請求項1】及び段落【0102】から、第1光源ブロック21は、ロービームとして機能し、第2光源ブロック22は、ハイビームとして機能する。
(エ)【請求項1】、【0102】、及び図1から、スイッチ素子は、ハイビームの点灯操作の時にオフとなり、ロービームの点灯操作の時にオンとなるものである。
(オ)【請求項1】及び段落【0017】~【0019】から、照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続されている。
イ 甲2発明
甲2の【請求項1】、【請求項8】、段落【0017】~【0019】、【0102】、図1、及び前記アから、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「ハイビームとロービームを切替可能である、点灯装置と照明負荷を備えた車両用前照灯の光源モジュールであって(前記ア(ア))、
前記照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され(前記ア(オ))、
前記点灯装置は、前記照明負荷に直流の負荷電流を供給する電力変換回路と(【請求項1】、段落【0017】、図1)、
スイッチ素子と抵抗とを直列接続したスイッチユニットを有して、当該スイッチユニットが前記第2光源ブロックに並列接続されている切換回路と(【請求項1】)、
前記スイッチ素子をオンオフする制御回路とを有する点灯装置内の回路を備え(【請求項1】、前記ア(イ))、
前記第1光源ブロックは、ロービームとして機能し(前記ア(ウ))、
前記第2光源ブロックは、ハイビームとして機能し(前記ア(ウ))、
前記スイッチ素子は、ハイビームの点灯操作の時にオフとなり、ロービームの点灯操作の時にオンとなり(前記ア(エ))、
前記制御回路は、前記スイッチ素子をオフして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロックの両方が点灯している第1状態とし、前記スイッチ素子をオンして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロックが点灯して前記第2光源ブロックが消灯している第2状態とする(【請求項1】)、車両用前照灯の光源モジュール。」
(1-3)甲3
ア 甲3の認定事項
甲3の段落【0010】~【0012】、【0018】、【0019】、及び図1から、甲3には、以下の事項が認められる。
(ア)段落【0010】~【0012】及び図1から、車載用光源点灯装置3とハイビーム用LED4Hおよびロービーム用LED4Lを備えたものが前照灯1の光源モジュールを構成する。
(イ)段落【0010】~【0012】から、前照灯1の光源モジュールは、ハイビームとロービームを切替可能である。
(ウ)図1から、車載用光源点灯装置3内の回路が、昇圧DC/DCコンバータ5、LED点灯用出力制御部7、コンバータ用スイッチング素子Q2、点灯LED制御部8、及びLED用スイッチング素子Q1を備えている。
(エ)段落【0010】~【0012】、【0018】、及び【0019】から、昇圧DC/DCコンバータ5は、LED点灯用出力制御部7がコンバータ用スイッチング素子Q2をスイッチングさせることにより、LED点灯用出力電圧を出力する。
イ 甲3発明
甲3の段落【0010】~【0012】、【0018】、【0019】、図1、及び前記アから、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「ハイビームとロービームを切替可能である、車載用光源点灯装置3とハイビーム用LED4Hおよびロービーム用LED4Lを備えた前照灯1の光源モジュールであって(前記ア(ア)、(イ))、
前記車載用光源点灯装置3内の回路は、昇圧DC/DCコンバータ5、LED点灯用出力制御部7、コンバータ用スイッチング素子Q2、点灯LED制御部8、及びLED用スイッチング素子Q1を備え(前記ア(ウ))、
4つのLEDが直列に接続され、高電圧側の2つが前記ハイビーム用LED4Hを構成し、低電圧側の2つが前記ロービーム用LED4Lとして用いられ、前記ハイビーム用LED4Hには前記LED用スイッチング素子Q1が並列に接続され(段落【0011】)、
前記昇圧DC/DCコンバータ5は、前記LED点灯用出力制御部7が前記コンバータ用スイッチング素子Q2をスイッチングさせることにより、LED点灯用出力電圧を出力し(前記ア(エ))、
走行灯を点灯することを示す信号が前記LED点灯用出力制御部7および前記点灯LED制御部8に入力された場合、前記LED点灯用出力制御部7は、前記コンバータ用スイッチング素子Q2をオン・オフ動作させ、前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオフさせ、前記ハイビーム用LED4Hの端子間を開放状態にし、前記ハイビーム用LED4Hおよび前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電されて点灯し(段落【0018】)、
すれ違い灯を点灯することを示す信号が前記LED点灯用出力制御部7および前記点灯LED制御部8に入力された場合、前記LED点灯用出力制御部7は、前記コンバータ用スイッチング素子Q2をオン・オフ動作させ、前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオンさせ、前記ハイビーム用LED4Hの端子間を短絡状態にし、前記ハイビーム用LED4Hは、消灯し、前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電されて点灯する(段落【0019】)、前照灯1の光源モジュール。」
(1-4)甲4
ア 甲4認定事項
甲4の段落【0011】、【0012】、【0014】~【0016】、【0020】、【0025】、及び図1から、甲4には、以下の事項が認められる。
(ア)段落【0011】、【0012】、【0025】、及び図1から、車両用灯具1は、ロービームとハイビームを切替可能である。
(イ)段落【0025】から、LED30-1は、ロービーム配光のための光源であり、LED30-2は、ハイビーム配光のための光源である。
イ 甲4発明
甲4の段落【0011】、【0012】、【0014】~【0016】、【0020】、【0025】、図1、及び前記アから、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「ロービームとハイビームを切替可能である車両用灯具1であって(前記ア(ア))、
前記車両用灯具1は、点灯回路2と光源部3を有し(段落【0012】)、
前記光源部3は、LED30-1、30-2の2個のLED30が直列接続され(段落【0014】)、
前記LED30-1は、ロービーム配光のための光源であり、前記LED30-2は、ハイビーム配光のための光源であり(前記ア(イ))、
前記点灯回路2は、DC/DCコンバータ12、制御部14を有し(段落【0015】)、
前記点灯回路2には、前記LED30-2に対して並列となるバイパススイッチ15が設けられ(段落【0020】)、
前記DC/DCコンバータ12は、前記光源部3に駆動電流Idを供給する電圧変換部であり(段落【0016】)、
前記制御部14は、ECU22からロービーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオンすることで前記LED30-2を消灯させ、前記LED30-1によるロービーム配光の照明を実行させ、前記ECU22からハイビーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオフすることで前記LED30-1、30-2の両方を点灯させ、ハイビーム配光を加えた照明を実行させる(段落【0025】)、車両用灯具1。」
(1-5)甲5
ア 甲5の認定事項
甲5の段落【0014】、【0016】、【0019】、【0022】、【0024】、【0025】、【0034】、及び図1から、甲4には、以下の事項が認められる。
(ア)
図1の一部を拡大した以下の参考図1に示すように、バイパススイッチ110-2~110-Nは、ハイビームLED群を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して並列に接続された複数のバイパススイッチからなるバイパススイッチ群を構成する(図1に当審で部材名を付した。)。
[参考図1]
[図:0001430009000001.jpg]
(イ)段落【0022】、【0024】、【0025】、及び前記(ア)から、車両の前照灯は、ロービームLED群のみでの点灯状態と、ロービームLED群及びハイビームLED群での点灯状態が、バイパススイッチ群のバイパスイッチの全てのオン、全てのオフで切り替えられる。
(ウ)段落【0022】、【0024】、【0025】、及び前記(ア)から、ロービームLED群のみでの点灯状態では、バイパススイッチ群の全バイパススイッチがオンとなり、ロービームLED群を構成するLEDとバイパススイッチ群の全バイパススイッチに駆動電流が流れ、ロービームLED群及びハイビームLED群での点灯状態では、バイパススイッチ群の全バイパススイッチがオフとなり、ロービームLED群及びハイビームLED群を構成するLEDに駆動電流が流れる。
(エ)段落【0016】から、ハイビームLED群を構成する複数のLEDの定格電流値は、ロービームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さい。
(オ)段落【0024】、【0025】、及び前記(ウ)から、ロービームLED群のみでの点灯状態のときの電流目標値は、ロービームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さくなるように設定され、ロービームLED群及びハイビームLED群での点灯状態のときの電流目標値は、ハイビームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さく設定され、また、ロービームLED群のみでの点灯状態のときの電流目標値よりも小さい。
イ 甲5に示された技術事項
甲5の段落【0014】、【0016】、【0019】、【0022】、【0024】、【0025】、【0034】、図1、及び前記アから、甲5には、車両の前照灯におけるロービームLED群のみでの点灯状態と、ロービームLED群及びハイビームLED群での点灯状態の切替えに関して、以下の技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が示されていると認められる。
「ロービームLED群及びハイビームLED群を構成する直列に接続された複数のLEDと、前記ハイビームLED群を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して並列に接続された複数のバイパススイッチからなるバイパススイッチ群を備えた車両の前照灯であって、
前記ロービームLED群のみでの点灯状態と、前記ロービームLED群及び前記ハイビームLED群での点灯状態が、前記バイパススイッチ群の前記バイパススイッチの全てのオン、全てのオフで切り替えられ、
前記ロービームLED群のみでの点灯状態では、前記バイパススイッチ群の全バイパススイッチがオンとなり、前記ロービームLED群を構成するLEDと前記バイパススイッチ群の全バイパススイッチに駆動電流が流れ、前記ロービームLED群及び前記ハイビームLED群での点灯状態では、前記バイパススイッチ群の全バイパススイッチがオフとなり、前記ロービームLED群及び前記ハイビームLED群を構成するLEDに駆動電流が流れるものにおいて、
前記ハイビームLED群を構成するLEDの定格電流値は、前記ロービームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さく、前記ロービームLED群のみでの点灯状態のときの電流目標値は、前記ロービームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さくなるように設定され、前記ロービームLED群及び前記ハイビームLED群での点灯状態のときの電流目標値は、前記ハイビームLED群を構成するLEDの定格電流値よりも小さくなるように設定され、また、前記ロービームLED群のみでの点灯状態のときの電流目標値よりも小さく、より少ない電力で良好な配光を実現すること。」
(1-6)甲6
ア 甲6の認定事項
甲6の段落[0018]、[0021]、[0022]、[0031]、[0034]~[0036]、[0042]、[0044]、[0046]、[0049]、図4、5、7、及び8から、甲6には、ロービーム配光領域用の第一導光レンズ(70a~70e)、該第一導光レンズを構成する第一レンズ部分(70c~70e)及び第二レンズ部分(70a、70b)、並びにハイビーム配光領域用の第二導光レンズ(80a~80e)に関し、以下の参考図2に示す事項が認められる(図7に当審で部材名を付した。)。
[参考図2]
[図:0001430009000002.jpg]
イ 甲6に示された技術事項
甲6の段落[0018]、[0021]、[0022]、[0031]、[0034]~[0036]、[0042]、[0044]、[0046]、[0049]、図4、5、7、8、及び前記アから、甲6には、ハイビームとロービームの切替可能な車両用灯具における光源の配置と光学系に関して、以下に示す(ア)、(イ)の技術事項(以下、それぞれを「甲6技術事項1」、「甲6技術事項2」という。)が示されていると認められる。
(ア)甲6技術事項1
「車両用灯具において、LEDからなるロービーム配光領域用の第一光源及びLEDからなるハイビーム配光領域用の第二光源を地面と垂直な基板面に実装して、ロービーム配光領域用の第一導光レンズ及びハイビーム配光領域用の第二導光レンズの後方に配置すること、及び前記第一光源及び前記第二光源を左右方向に並列に配置された複数のLEDとし、前記第一光源及び前記第二光源のそれぞれの複数のLEDを左右方向に等間隔で配置し、前記第一導光レンズに第一レンズ部分と第二レンズ部分を設け、前記第一レンズ部分とその後方に配置された前記第一光源のLEDの光によってロービーム配光領域のエルボ点の下側領域部分を形成し、前記第二レンズ部分とその後方に配置された前記第一光源のLEDの光によってロービーム配光領域のエルボ点の上側領域部分と下側領域部分を形成し、前記第二導光レンズとその後方に配置された第二光源の複数のLEDによってハイビーム配光領域を形成すること。」
(イ)甲6技術事項2
「車両用灯具において、LEDからなるロービーム配光領域用の第一光源及びLEDからなるハイビーム配光領域用の第二光源を左右方向に並列に配置された複数のLEDとし、前記第一光源及び前記第二光源のそれぞれの複数のLEDを左右方向に等間隔で配置すること。」
(1-7)甲7
・甲7に示された技術事項
甲7の段落【0012】、【0019】、【0021】、【0022】、及び図1から、甲7には、ハイビームとロービームの切替可能な車両用前照灯における光源の配置と光学系に関して、以下の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が示されていると認められる。
「車両用前照灯において、LEDからなるロービーム用の第一光源を地面と平行な支持板の上面に配置し、LEDからなるハイビーム用の第二光源を前記支持板の上面の裏面の下面に配置し、ロービーム用の光学系を前記上面に設けられた第一リフレクタとし、ハイビーム用の光学系を前記下面に設けられた第二リフレクタとすること。」
(1-8)甲8
・甲8に示された技術事項
甲8の段落【0019】、【0020】、【0074】、及び図12から、甲8には、ハイビームとロービームの切替可能な車両用前照灯における光源の配置と光学系に関して、以下の技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が示されていると認められる。
「車両用前照灯において、灯体の地面と平行な面にLEDからなるロービーム用の第1光源部を配置し、灯体の地面と垂直な面にLEDからなるハイビーム用の第2光源部を配置し、ロービーム用の光学系をレンズ及び反射板とし、ハイビーム用の光学系をレンズとすること。」
(2)本件発明1、2、及び4~6について
本件訂正により、請求項1、2、及び4~6が削除されたので、取消理由の理由2の対象となった本件発明1、2、及び4~6は、存在しないものとなった。
(3)本件発明3について
(3-1)甲1を主引用文献とした場合
ア 対比
(ア)本件発明3と甲1発明とを対比すると、後者の「ハイビーム」が前者の「ハイビーム」に相当し、以下同様に、後者の「ロービーム」が前者の「ロービーム」に、後者の「車両用の光源モジュール」が前者の「車両用の光源モジュール」に、後者の「複数のLEDが直列に接続された光源110A」が前者の「第1光源」に、後者の「複数のLEDが直列に接続された光源110B」が前者の「第2光源」に、後者の「点灯装置1内の回路」が前者の「点灯回路」に、後者の「電流出力部10」が前者の「駆動回路」に、後者の「出力電流」が前者の「駆動電流」に、後者の「スイッチ素子Q4」が前者の「バイパススイッチ」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)後者の「ハイビームとロービームを切替可能である」「車両用の光源モジュール」は、前者の「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュール」に相当する。
(ウ)後者の「光源ユニット100A、100Bを備え」、「前記光源ユニット100Aは、複数のLEDが直列に接続された光源110A」「を備え、」「前記光源ユニット100Bは、複数のLEDが直列に接続された光源110B」「を備え、」「前記光源110Aがロービームであり、」「前記光源110Bがハイビームであ」ることは、「光源110A」は、その光が「ロービーム」領域に照射されるように配置され、「光源110B」は、その光が「ハイビーム」領域に照射されるように配置されることは明らかなので、前者の「その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることとは、「その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることで共通する。
(エ)後者の「前記マイクロコンピュータ31は、スイッチSW2がオフのとき、」「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ、前記スイッチSW2がオンのとき、」「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことにおいて、前記(ウ)から、「前記光源ユニット100Aのみを点灯させ」ることは「ロービーム」の点灯であり、「前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことはハイビームの点灯であり、また、「スイッチSW2がオフのとき」はロービームの点灯指示であり、「前記スイッチSW2がオンのとき」はハイビームの点灯指示であり、更に、「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ」ることは、「光源110A」に駆動電流を供給することであり、「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことは、「光源110A」と「光源110B」に駆動電流を供給することであるのは、明らかである。
そうすると、後者の「点灯装置1」「を備え」、「前記点灯装置1内の回路は、電流出力部10、マイクロコンピュータ31」「を備え、」「前記マイクロコンピュータ31は、スイッチSW2がオフのとき、」「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ、」「前記スイッチSW2がオンのとき、」「前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことは、前者の「前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路」「を備え」ることに相当する。
(オ)後者の「前記光源110A、110Bは、前記電流出力部10の出力端子間に直列に接続され」ることは、前者の「前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され」ることに相当する。
(カ)後者の「前記点灯装置1内の回路は、」「スイッチ素子Q4を備え、」「前記光源110Bと並列に前記スイッチ素子Q4が接続され」ることは、前者の「前記点灯回路は、」「前記第2光源と並列に設けられ」る「バイパススイッチ」「を含」むことに相当する。
(キ)前記(エ)から、後者の「スイッチSW2がオフのとき、前記スイッチ素子Q4をオンさせ、」「前記スイッチSW2がオンのとき、前記スイッチ素子Q4をオフさせ」ることは、ロービームの点灯指示のときオンとなり、ハイビームの点灯指示のときオフとなる「前記スイッチ素子Q4」であることなので、前者の「前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチ」であることに相当する。
(ク)後者の「前記点灯装置1内の回路は、電流出力部10」「を備え、」「前記光源110A、110Bは、前記電流出力部10の出力端子間に直列に接続され、」「前記マイクロコンピュータ31は、前記負荷情報出力部120A、120Bから負荷情報を読み込み、前記光源110A、110Bの光束ランクを判定し、前記光束ランクに応じた目標電圧を設定し、前記電流出力部10の出力は、前記目標電圧に基づいて制御され」ることは、「前記マイクロコンピュータ31」が「設定し」た「目標電圧に基づいて」「前記電流出力部10」から「前記光源110A、110B」に出力される駆動電流が「制御され」ることなので、前者の「前記点灯回路は、」「前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路」「を含」むことに相当する。
(ケ)前記(オ)、(カ)から、後者の「前記スイッチ素子Q4をオンさせ、前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ、」「前記スイッチ素子Q4をオフさせ、前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことにおいて、「前記スイッチ素子Q4をオンさせ、」「前記光源ユニット100Aのみを点灯させ」ることは、「前記電流出力部10」が「前記光源110A」及び「前記スイッチ素子Q4」を含む経路に駆動電流を供給することであり、「前記スイッチ素子Q4をオフさせ、」「前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことは、「前記電流出力部10」が「前記光源110A」及び「前記光源110B」を含む経路に駆動電流を供給することである。
そうすると、後者の「前記スイッチ素子Q4をオンさせ、電流出力部10の出力電流の設定値を前記光源ユニット100Aのみを点灯させる場合の設定値として、前記光源ユニット100Aのみを点灯させ、」「前記スイッチ素子Q4をオフさせ、前記電流出力部10の出力電流の設定値を、前記光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、前記光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の電流値として、前記光源ユニット100A、100Bを点灯させる」ことと、前者の「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給」することは、「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、第2電流量の前記駆動電流を供給」することで共通する。
そうすると、本件発明3と甲1発明は、
「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、第2電流量の前記駆動電流を供給する光源モジュール。」
である点で、一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
第1光源及び第2光源、並びに第1光学系及び第2光学系に関して、本件発明3では、第1光源の出射光が、「第1光学系によって」ロービーム領域に照射され、第2光源の出射光が、「第2光学系によって」ハイビーム領域に照射され、前記第1光源および前記第2光源は、「地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、」前記第1光源は、「第1半導体発光素子および第2半導体発光素子」を含み、前記第2光源は、「第3半導体発光素子」を含み、「前記第1光学系は、前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、を含み、前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含む」のに対して、甲1発明では、光学系、並びに光源110A及び光源110Bの配置について特定されておらず、光源110Aと光源110BのそれぞれのLEDと光学系の関係も特定されていない点。
[相違点2]
バイパススイッチがオフのときに、第1光源および第2光源を含む経路に供給される第2電流量に関して、本件発明3では、「前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に流れる第1電流量よりも小さい」第2電流量であるのに対して、甲1発明では、「光源ユニット100Aを点灯させる場合の設定値と、光源ユニット100Bを点灯させる場合の設定値とのうち小さい方の」電流値である点。
イ 相違点についての検討
相違点1について検討する。
前記(1)(1-6)イ(ア)で示した甲6技術事項1、前記(1)(1-7)で示した甲7技術事項、前記(1)(1-8)で示した甲8技術事項から、ハイビームとロービームの切替可能な車両用前照灯において、ロービーム用の第1光源及びハイビーム用の第2光源のそれぞれに対応させたレンズからなる配光用の光学系を用いることは、周知技術にすぎないと認められる。
そして、前記(1)(1-6)イ(ア)で示した甲6技術事項1には、ハイビームとロービームの切替可能な車両用灯具における光源の配置と光学系に関して、以下のことも示されている。
「車両用灯具において、LEDからなるロービーム配光領域用の第一光源及びLEDからなるハイビーム配光領域用の第二光源を地面と垂直な基板面に実装して、ロービーム配光領域用の第一導光レンズ及びハイビーム配光領域用の第二導光レンズの後方に配置すること、及び前記第一光源及び前記第二光源を左右方向に並列に配置された複数のLEDとし、前記第一光源及び前記第二光源のそれぞれの複数のLEDを左右方向に等間隔で配置し、前記第一導光レンズに第一レンズ部分と第二レンズ部分を設け、前記第一レンズ部分とその後方に配置された前記第一光源のLEDの光によってロービーム配光領域のエルボ点の下側領域部分を形成し、前記第二レンズ部分とその後方に配置された前記第一光源のLEDの光によってロービーム配光領域のエルボ点の上側領域部分と下側領域部分を形成し、前記第二導光レンズとその後方に配置された第二光源の複数のLEDによってハイビーム配光領域を形成すること。」
しかしながら、甲6の段落[0031]、[0034]~[0036]、[0042]、[0044]、[0046]、[0049]、図5、及び7の記載、並びに前記(1)(1-6)アの参考図2の記載を踏まえると、甲6技術事項1における第一レンズ部分が形成するロービーム配光領域のエルボ点の下側領域部分は、ロービーム配光領域のエルボ点の下側領域の一部であって、ロービーム配光領域のエルボ点の下側領域の全領域であるとは認められない。
また、甲6の段落[0031]、[0034]~[0036]、[0042]、図3、及び5から、甲6には、第一導光レンズ5によって、ロービーム配光領域の全領域であるロービーム用配光パターンPLを形成する実施例も示されているが、当該実施例は、1つのレンズである第一導光レンズ5によって、エルボ点の下側領域部分及びエルボ点の上側領域部分を含むロービーム配光領域の全領域を形成するものであるので、本件発明3における「ロービーム領域のエルボー点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズ」及び「前記ロービーム領域のエルボー点より上側の領域の配光を形成する第2レンズ」を有するものではない。
そして、甲7及び8においても、ロービーム領域の配光の形成において、ロービーム領域のエルボ点の下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1のレンズとロービーム領域のエルボ点の上側の領域の配光を形成する第2のレンズを用いることについては、記載も示唆もされていない。
更に、申立人が提出した他の証拠においても、ロービーム領域の配光の形成において、ロービーム領域のエルボ点の下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1のレンズとロービーム領域のエルボ点の上側の領域の配光を形成する第2のレンズを用いることについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明において、甲5~8に記載された事項を踏まえ、相違点1に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲5~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3-2)甲2を主引用文献とした場合
ア 対比
(ア)本件発明3と甲2発明とを対比すると、後者の「ハイビーム」が前者の「ハイビーム」に相当し、以下同様に、後者の「ロービーム」が前者の「ロービーム」に、後者の「車両用前照灯の光源モジュール」が前者の「車両用の光源モジュール」に、後者の「第1光源ブロック」が前者の「第1光源」に、後者の「第2光源ブロック」が前者の「第2光源」に、後者の「点灯装置内の回路」が前者の「点灯回路」に、後者の「負荷電流」が前者の「駆動電流」に、後者の「電力変換回路」が前者の「駆動回路」に、後者の「スイッチ素子」が前者の「バイパススイッチ」に、後者の「ロービームの点灯操作」が前者の「ロービーム」「の点灯指示」及び「ロービームの点灯指示」に、後者の「ハイビームの点灯操作」が前者の「ハイビーム」「の点灯指示」及び「ハイビームの点灯指示」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)後者の「ハイビームとロービームを切替可能である」「車両用前照灯の光源モジュール」は、前者の「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュール」に相当する。
(ウ)後者の「照明負荷を備え」、「前記照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され、」「前記第1光源ブロックは、ロービームとして機能し、前記第2光源ブロックは、ハイビームとして機能」することは、「第1光源ブロック」は、その光が「ロービーム」領域に照射されるように配置され、「第2光源ブロック」は、その光が「ハイビーム」領域に照射されるように配置されることは明らかなので、前者の「その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることとは、「その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることで共通する。
(エ)後者の「前記照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され、」「前記点灯装置は、前記照明負荷に直流の負荷電流を供給する電力変換回路」「を有する点灯装置内の回路を備え」ることは、前者の「前記点灯回路は、」「前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路」「を含」むことに相当する。
(オ)後者の「1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され」ることは、前者の「前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され」ることに相当する。
(カ)後者の「スイッチ素子と抵抗とを直列接続したスイッチユニットを有して、当該スイッチユニットが前記第2光源ブロックに並列接続されている切換回路」「を有する点灯装置内の回路を備え、」「前記スイッチ素子は、ハイビームの点灯操作の時にオフとなり、ロービームの点灯操作の時にオンとな」ることは、前者の「前記点灯回路は、前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチ」「を含」むことに相当する。
(キ)後者の「前記照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され、」「前記点灯装置は、前記照明負荷に直流の負荷電流を供給する電力変換回路と、」「前記スイッチ素子をオンオフする制御回路とを有する点灯装置内の回路を備え、」「前記スイッチ素子は、ハイビームの点灯操作の時にオフとなり、ロービームの点灯操作の時にオンとなり、前記制御回路は、前記スイッチ素子をオフして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロックの両方が点灯している第1状態とし、前記スイッチ素子をオンして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロックが点灯して前記第2光源ブロックが消灯している第2状態とする」ことにおいて、「ハイビームの点灯操作」に応じて「前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロックの両方」に「負荷電流」が「供給」され、「ロービームの点灯操作」に応じて「第1光源ブロック」に「負荷電流」が「供給」されることは明らかである
そうすると、後者の「点灯装置と照明負荷を備え」、「前記照明負荷は、1つ以上のLEDを有する第1光源ブロックと1つ以上のLEDを有する第2光源ブロックが直列接続され、」「前記点灯装置は、前記照明負荷に直流の負荷電流を供給する電力変換回路と、」「前記スイッチ素子をオンオフする制御回路とを有する点灯装置内の回路を備え、」「前記スイッチ素子は、ハイビームの点灯操作の時にオフとなり、ロービームの点灯操作の時にオンとなり、前記制御回路は、前記スイッチ素子をオフして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロックの両方が点灯している第1状態とし、前記スイッチ素子をオンして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロックが点灯して前記第2光源ブロックが消灯している第2状態とする」ことは、前者の「前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路」「を備え」ることに相当する。
(ク)前記(キ)から、後者の「前記点灯装置は、」「スイッチ素子と抵抗とを直列接続したスイッチユニットを有して、当該スイッチユニットが前記第2光源ブロックに並列接続されている切換回路と、前記スイッチ素子をオンオフする制御回路とを有する点灯装置内の回路を備え、」「前記制御回路は、前記スイッチ素子をオフして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロックの両方が点灯している第1状態とし、前記スイッチ素子をオンして、前記照明負荷の状態を前記第1光源ブロックが点灯して前記第2光源ブロックが消灯している第2状態とする」ことは、「前記スイッチ素子」が「オフ」のときに「負荷電流」は「前記第1光源ブロック及び前記第2光源ブロック」を含む経路に流れ、「前記スイッチ素子」が「オン」のときに「負荷電流」は「前記第1光源ブロック」と「スイッチユニット」を含む経路に流れることは明らかなので、前者の「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給」することとは、「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給」することで共通する。
そうすると、本件発明3と甲2発明とは、
「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給する光源モジュール。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点3]
第1光源及び第2光源、並びに第1光学系及び第2光学系に関して、本件発明3では、第1光源の出射光が、「第1光学系によって」ロービーム領域に照射され、第2光源の出射光が、「第2光学系によって」ハイビーム領域に照射され、前記第1光源および前記第2光源は、「地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、」前記第1光源は、「第1半導体発光素子および第2半導体発光素子」を含み、前記第2光源は、「第3半導体発光素子」を含み、「前記第1光学系は、前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、を含み、前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含む」のに対して、甲2発明では、光学系、並びに第1光源ブロック及び第2光源ブロックの配置について特定されておらず、第1光源ブロック及び第2光源ブロックのそれぞれのLEDと光学系との関係も特定されていない点。
[相違点4]
バイパススイッチがオフのときに、第1光源および第2光源を含む経路に供給される駆動電流に関して、本件発明3では、「前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に流れる第1電流量よりも小さい第2電流量」であるのに対して、甲2発明では、負荷電流の電流量に、かかる特定がない点。
イ 相違点についての検討
相違点3について検討するに、前記(3-1)イの相違点1の検討で述べたように、甲5~8のいずれにも、ロービーム領域の配光の形成において、ロービーム領域のエルボ点の下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1のレンズとロービーム領域のエルボ点の上側の領域の配光を形成する第2のレンズを用いることについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲2発明において、甲5~8に記載された事項を踏まえ、相違点3に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲2発明及び甲5~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3-3)甲3を主引用文献とした場合
ア 対比
(ア)本件発明3と甲3発明とを対比すると、後者の「ハイビーム」及び「走行灯」が前者の「ハイビーム」に相当し、以下同様に、後者の「ロービーム」及び「すれ違い灯」が前者の「ロービーム」に、後者の「前照灯1の光源モジュール」が前者の「車両用の光源モジュール」に、後者の「ロービーム用LED4L」が前者の「第1光源」に、後者の「ハイビーム用LED4H」が前者の「第2光源」に、後者の「車載用光源点灯装置3内の回路」が前者の「点灯回路」に、後者の「LED用スイッチング素子Q1」が前者の「バイパススイッチ」に、後者の「昇圧DC/DCコンバータ5」が前者の「駆動回路」に、後者の「所望の電流」が前者の「駆動電流」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)後者の「ハイビームとロービームを切替可能である」「前照灯1の光源モジュール」は、前者の「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュール」に相当する。
(ウ)後者の「ハイビーム用LED4Hおよびロービーム用LED4Lを備え」、「高電圧側の2つが前記ハイビーム用LED4Hを構成し、低電圧側の2つが前記ロービーム用LED4Lとして用いられ」ることは、「ハイビーム用LED4H」は、その光がハイビーム領域に照射されるように配置され、「ロービーム用LED4L」は、その光がロービーム領域に照射されるように配置されることは明らかであるので、前者の「その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることとは、「その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と」「を備え」ることで共通する。
(エ)後者の「4つのLEDが直列に接続され、高電圧側の2つが前記ハイビーム用LED4Hを構成し、低電圧側の2つが前記ロービーム用LED4Lとして用いられ」ることは、前者の「前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され」ることに相当する。
(オ)後者の「走行灯を点灯することを示す信号」は、前者の「前記ロービーム」「の点灯指示」及び「前記ロービームの点灯指示」に相当する。
(カ)後者の「すれ違い灯を点灯することを示す信号」は、前者の「前記ハイビーム」「の点灯指示」及び「前記ハイビームの点灯指示」に相当する。
(キ)前記(オ)、(カ)から、後者の「前記車載用光源点灯装置3内の回路は、」「点灯LED制御部8、及びLED用スイッチング素子Q1を備え、」「前記ハイビーム用LED4Hには前記LED用スイッチング素子Q1が並列に接続され、」「走行灯を点灯することを示す信号が」「前記点灯LED制御部8に入力された場合、」「前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオフさせ、」「すれ違い灯を点灯することを示す信号が」「前記点灯LED制御部8に入力された場合、」「前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオンさせ」ることは、前者の「前記点灯回路は、前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチ」「を含」むことに相当する。
(ク)後者の「前記車載用光源点灯装置3内の回路は、昇圧DC/DCコンバータ5、LED点灯用出力制御部7、コンバータ用スイッチング素子Q2」「を備え、」「前記昇圧DC/DCコンバータ5は、前記LED点灯用出力制御部7が前記コンバータ用スイッチング素子Q2をスイッチングさせることにより、LED点灯用出力電圧を出力」することは、「LED点灯用出力電圧」の「出力」によって、「前記ハイビーム用LED4H」、「前記ロービーム用LED4L」に「所望の電流が通電され」るので、前者の「前記点灯回路は、」「前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路」「を含」むことに相当する。
(ケ)前記(オ)、(カ)から、後者の「車載用光源点灯装置3」「を備え」、「前記車載用光源点灯装置3内の回路は、昇圧DC/DCコンバータ5、LED点灯用出力制御部7、コンバータ用スイッチング素子Q2、点灯LED制御部8、及びLED用スイッチング素子Q1を備え、」「走行灯を点灯することを示す信号が前記LED点灯用出力制御部7および前記点灯LED制御部8に入力された場合、前記LED点灯用出力制御部7は、前記コンバータ用スイッチング素子Q2をオン・オフ動作させ、前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオフさせ、」「前記ハイビーム用LED4Hおよび前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電されて点灯し、すれ違い灯を点灯することを示す信号が前記LED点灯用出力制御部7および前記点灯LED制御部8に入力された場合、前記LED点灯用出力制御部7は、前記コンバータ用スイッチング素子Q2をオン・オフ動作させ、前記点灯LED制御部8は、前記LED用スイッチング素子Q1をオンさせ、」「前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電されて点灯する」ことは、「走行灯を点灯することを示す信号」の「入力」又は「すれ違い灯を点灯することを示す信号」の「入力」で「前記ロービーム用LED4L」は「点灯」し、「走行灯を点灯することを示す信号」の「入力」で「前記ハイビーム用LED4H」が「点灯」するので、前者の「前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路」「を備え」ることに相当する。
(コ)後者の「前記昇圧DC/DCコンバータ5は、前記LED点灯用出力制御部7が前記コンバータ用スイッチング素子Q2をスイッチングさせることにより、LED点灯用出力電圧を出力し、」「前記LED用スイッチング素子Q1をオフさせ、前記ハイビーム用LED4Hの端子間を開放状態にし、前記ハイビーム用LED4Hおよび前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電され」、「前記LED用スイッチング素子Q1をオンさせ、前記ハイビーム用LED4Hの端子間を短絡状態にし、前記ハイビーム用LED4Hは、消灯し、前記ロービーム用LED4Lは、前記LED点灯用出力電圧が印加され所望の電流が通電され」ることは、「前記LED用スイッチング素子Q1」が「オフ」のとき、「前記ハイビーム用LED4Hおよび前記ロービーム用LED4L」の経路に「所望の電流が通電」し、「前記LED用スイッチング素子Q1」が「オン」のとき、「前記ロービーム用LED4L」と「前記LED用スイッチング素子Q1」を含む経路に「所望の電流が通電」されることなので、前者の「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給」することとは、「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給」することで共通する。
そうすると、本件発明3と甲3発明とは、
「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給する光源モジュール。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点5]
第1光源及び第2光源、並びに第1光学系及び第2光学系に関して、本件発明3では、第1光源の出射光が、「第1光学系によって」ロービーム領域に照射され、第2光源の出射光が、「第2光学系によって」ハイビーム領域に照射され、前記第1光源および前記第2光源は、「地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、」前記第1光源は、「第1半導体発光素子および第2半導体発光素子」を含み、前記第2光源は、「第3半導体発光素子」を含み、「前記第1光学系は、前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、を含み、前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含む」のに対して、甲3発明では、光学系、並びにハイビーム用LED4H及びロービーム用LED4Lの配置が特定されておらず、ハイビーム用LED4H及びロービーム用LED4LのそれぞれのLEDと光学系との関係も特定されていない点。
[相違点6]
バイパススイッチがオフのときに、第1光源および第2光源を含む経路に供給される駆動電流に関して、本件発明3では、「前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に流れる第1電流量よりも小さい第2電流量」であるのに対して、甲3発明では、所望の電流の電流量に、かかる特定がない点。
イ 相違点についての検討
相違点5について検討するに、前記(3-1)イの相違点1の検討で述べたように、甲5~8のいずれにも、ロービーム領域の配光の形成において、ロービーム領域のエルボ点の下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1のレンズとロービーム領域のエルボ点の上側の領域の配光を形成する第2のレンズを用いることについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明において、甲5~8に記載された事項を踏まえ、相違点5に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲3発明及び甲5~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3-4)甲4を主引用文献とした場合
ア 対比
(ア)本件発明3と甲4発明とを対比すると、後者の「ハイビーム」が前者の「ハイビーム」に相当し、以下同様に、後者の「ロービーム」が前者の「ロービーム」に、後者の「車両用灯具1」が前者の「車両用の光源モジュール」に、後者の「LED30-1」が前者の「第1光源」に、後者の「LED30-2」が前者の「第2光源」に、後者の「点灯回路2」が前者の「点灯回路」に、後者の「バイパススイッチ15」が前者の「バイパススイッチ」に、後者の「DC/DCコンバータ12」が前者の「駆動回路」に、後者の「駆動電流Id」が前者の「駆動電流」に、後者の「ロービーム点灯指示」が前者の「ロービーム」「の点灯指示」及び「ロービームの点灯指示」に、後者の「ハイビーム点灯指示」が前者の「ハイビーム」「の点灯指示」及び「ハイビームの点灯指示」に、相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)後者の「ロービームとハイビームを切替可能である車両用灯具1」は、前者の「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュール」に相当する。
(ウ)後者の「前記車両用灯具1は、」「光源部3を有し、前記光源部3は、LED30-1、30-2の2個のLED30が直列接続され、前記LED30-1は、ロービーム配光のための光源であり、前記LED30-2は、ハイビーム配光のための光源であ」ることは、「ロービーム配光のための光源であ」る「LED30-1」は、その光がロービーム領域に照射されるように配置され、「ハイビーム配光のための光源であ」る「LED30-2」は、その光がハイビーム領域に照射されるように配置されるのは明らかなので、前者の「その出射光が、第1光学系によってロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、第2光学系によってハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、」「を備え」ることとは、「その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と」「を備え」ることで共通する。
(エ)後者の「LED30-1、30-2の2個のLED30が直列接続され」ることは、前者の「前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され」ることに相当する。
(オ)後者の「前記点灯回路2には、前記LED30-2に対して並列となるバイパススイッチ15が設けられ、」「ロービーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオン」し、「ハイビーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオフする」ことは、前者の「前記点灯回路は、前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチ」「を含」むことに相当する。
(カ)後者の「前記光源部3は、LED30-1、30-2の2個のLED30が直列接続され、」「前記点灯回路2は、DC/DCコンバータ12」「を有し、」「前記DC/DCコンバータ12は、前記光源部3に駆動電流Idを供給する電圧変換部であ」ることは、前者の「前記点灯回路は、」「前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路」「を含」むことに相当する。
(キ)前記(カ)から、後者の「前記車両用灯具1は、点灯回路2」「を有し、」「前記点灯回路2は、DC/DCコンバータ12、制御部14を有し、」「前記点灯回路2には、」「バイパススイッチ15が設けられ、」「ECU22からロービーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオンすることで前記LED30-2を消灯させ、前記LED30-1によるロービーム配光の照明を実行させ、前記ECU22からハイビーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオフすることで前記LED30-1、30-2の両方を点灯させ、ハイビーム配光を加えた照明を実行させる」ことは、「ロービーム点灯指示」、「ハイビーム点灯指示」によって「前記LED30-1」に「駆動電流Idを供給」し、「ハイビーム点灯指示」によって「前記LED30-2」に「駆動電流Idを供給」することなので、前者の「前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路」「を備え」ることに相当する。
(ク)後者の「前記点灯回路2には、前記LED30-2に対して並列となるバイパススイッチ15が設けられ、前記DC/DCコンバータ12は、前記光源部3に駆動電流Idを供給する電圧変換部であり、前記制御部14は、ECU22からロービーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオンすることで前記LED30-2を消灯させ、前記LED30-1によるロービーム配光の照明を実行させ、前記ECU22からハイビーム点灯指示があった場合は、前記バイパススイッチ15を継続的にオフすることで前記LED30-1、30-2の両方を点灯させ、ハイビーム配光を加えた照明を実行させる」ことは、「前記バイパススイッチ15を継続的にオンする」と「前記LED30-1」と「前記バイパススイッチ15」を含む経路に「駆動電流Id」が「供給」され、「前記バイパススイッチ15を継続的にオフする」と「前記LED30-1、30-2の両方」を含む経路に「駆動電流Id」が「供給」されるので、前者の「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、第1電流量の前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記第1電流量よりも少ない第2電流量の前記駆動電流を供給」することとは、「前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給」することで共通する。
そうすると、本件発明3と甲4発明とは、
「ハイビームとロービームを切替可能な車両用の光源モジュールであって、
その出射光が、ロービーム領域に照射されるように配置される第1光源と、
その出射光が、ハイビーム領域に照射されるように配置される第2光源と、
前記ハイビーム、前記ロービームいずれかの点灯指示に応答して前記第1光源に駆動電流を供給するとともに、前記ハイビームの点灯指示に応答して前記第2光源に前記駆動電流を供給するように構成される点灯回路と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は直列に接続され、
前記点灯回路は、
前記第2光源と並列に設けられ、前記ハイビームの点灯指示の間オフ、前記ロービームの点灯指示の間オンとなるバイパススイッチと、
前記第1光源と前記第2光源の直列接続回路に前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を含み、
前記駆動回路は、前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に、前記駆動電流を供給し、前記バイパススイッチがオフの状態において、前記第1光源および前記第2光源を含む経路に、前記駆動電流を供給する光源モジュール。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点7]
第1光源及び第2光源、並びに第1光学系及び第2光学系に関して、本件発明3では、第1光源の出射光が、「第1光学系によって」ロービーム領域に照射され、第2光源の出射光が、「第2光学系によって」ハイビーム領域に照射され、前記第1光源および前記第2光源は、「地面と垂直な面に所定方向に並べて実装され、前記第1光学系および前記第2光学系は、レンズ光学系であり、」前記第1光源は、「第1半導体発光素子および第2半導体発光素子」を含み、前記第2光源は、「第3半導体発光素子」を含み、「前記第1光学系は、前記第1半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1レンズと、前記第2半導体発光素子の出射光を受け、前記ロービーム領域のエルボ点より上側の領域の配光を形成する第2レンズと、を含み、前記第2光学系は、前記第3半導体発光素子の出射光を受け、前記ハイビーム領域を照射する第3レンズを含む」のに対して、甲4発明では、光学系、並びにLED30-1、30-2の配置が特定されておらず、LED30-1、30-2と光学系との関係も特定されていない点。
[相違点8]
バイパススイッチがオフのときに、第1光源および第2光源を含む経路に供給される駆動電流に関して、本件発明3では、「前記バイパススイッチがオンの状態において、前記第1光源および前記バイパススイッチを含む経路に流れる第1電流量よりも小さい第2電流量」であるのに対して、甲4発明では、駆動電流Idの電流量に、かかる特定がない点。
イ 相違点についての検討
相違点7について検討するに、前記(3-1)イの相違点1の検討で述べたように、甲5~8のいずれにも、ロービーム領域の配光の形成において、ロービーム領域のエルボ点の下側の端から端にわたる全領域の配光を形成する第1のレンズとロービーム領域のエルボ点の上側の領域の配光を形成する第2のレンズを用いることについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲4発明において、甲5~8に記載された事項を踏まえ、相違点7に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲4発明及び甲5~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3-5)小括
以上とおりであるから、本件発明3は、甲1発明、甲2発明、甲3発明、又は甲4発明、及び甲5~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件特許の請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
よって、取消理由の理由2(進歩性)によって、本件特許の請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
1 申立理由
請求項1に係る発明の新規性について(甲1を主たる証拠とした場合)[特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)]。
本件発明1は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由についての検討
本件訂正により、請求項1は削除されたので、申立理由の対象が存在しないものとなった。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項1、2、4~6に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正により請求項1、2、4~6が削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-701148