審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2017-700497

チェーンブロック

審判番号
2017-700497
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-262616外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年05月19日
審決日
2017年07月25日
公報発行日
2017年09月29日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.537-Y (B66D) / P1651.112-Y (B66D) / P1651.113-Y (B66D) / P1651.121-Y (B66D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第4号、特許法第29条第1項第2号、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6029955号発明「チェーンブロック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6029955号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6029955号の請求項1ないし9に係る特許(以下、「請求項1ないし9に係る特許」又は「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成24年11月30日に特許出願され、平成28年10月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年5月19日に特許異議申立人 井上由美(以下、単に「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 請求項1ないし9に係る特許に係る発明(以下、各発明毎に「本件発明1」などという。)は、それぞれ、本件出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「特許明細書等」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ロードチェーンが掛け回されるロードシーブ部材を回転自在に支持すると共に、および前記ロードシーブ部材とは別体的に回転する駆動軸を回転自在に支持する第1フレームと、 前記第1フレームに対向配置され、この第1フレームと共に、前記ロードシーブ部材を回転自在に支持し、かつ前記駆動軸を回転自在に支持する第2フレームと、 ハンドチェーンが掛け回されるハンドホイールおよびそのハンドホイールを覆うホイルカバーを含み、前記第1フレームとは反対側であって前記第2フレームよりも離れる向きに存在するホイルカバー側構造体と、 前記ハンドホイールからの回転力を前記駆動軸を介して前記ロードシーブ部材に伝達するための複数のギヤ部材と、前記ギヤ部材を覆うギヤケースを含み、前記第2フレームとは反対側であって前記第1フレームよりも離れる向きに存在するギヤケース側構造体と、 を有し、 前記第1フレームおよび前記第2フレームには、これらが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、前記第1フレームおよび前記第2フレームの外周に沿った転動を規制して、前記ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を前記起立姿勢または前記傾斜姿勢に維持する転動規制部が設けられている、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項2】 請求項1記載のチェーンブロックであって、 前記転動規制部は、前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方の外周縁部に対し所定の転動防止距離だけ離れた位置で、当該外周縁部と共に前記設置部位に接触するように構成されている、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項3】 請求項1または2記載のチェーンブロックであって、 前記ホイルカバー側構造体は、前記ギヤケース側構造体よりも質量が大きい、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項に記載のチェーンブロックであって、 前記ギヤケースは、前記ギヤ部材が収納されるギヤ収納部を備え、 前記ギヤ収納部は、前記転動規制部での前記第1フレームおよび前記第2フレームの転動が規制された状態で前記ギヤ収納部側が下になるように傾いた際に、それ以上傾いて前記ギヤ収納部が下になるように倒れるのを防止する程度の高さに設けられていて、 そのギヤ収納部の前記設置部位への接触により、当該ギヤケースは転倒防止部として機能する、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載のチェーンブロックであって、 前記ホイルカバーは、前記転動規制部での前記第1フレームおよび前記第2フレームの転動が規制された状態で前記ホイルカバー側が下になるように傾いた際に、それ以上傾いて前記ホイルカバーが下になるように倒れるのを防止する程度の高さに設けられていて、 そのホイルカバーの前記設置部位への接触により、当該ホイルカバーは転倒防止部として機能する、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項に記載のチェーンブロックであって、 前記第1フレームは、前記ギヤケースよりも外周側に突出する状態で当該ギヤケースを取り付けていて、 前記第1フレームには、円弧状の外周縁部を有する円形状部と、その円形状部から外周側に突出するフレーム突出部とを有し、このフレーム突出部が前記転動規制部として機能する、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項7】 請求項6記載のチェーンブロックであって、 前記第1フレームを平面視した場合に、前記第1フレームには、当該第1フレームの外周縁部の前記ギヤケースの外周縁部に対する突出量が前記フレーム突出部側よりも大きい張出部が設けられている、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項に記載のチェーンブロックであって、 前記第2フレームは、前記ホイルカバーよりも外周側に突出する状態で当該ホイルカバーを取り付けていて、 前記第2フレームには、円弧状の外周縁部を有する円形状部と、その円形状部から外周側に突出するフレーム突出部とを有し、このフレーム突出部が前記転動規制部として機能する、 ことを特徴とするチェーンブロック。 【請求項9】 請求項1から8のいずれか1項に記載のチェーンブロックであって、 前記起立姿勢のときの重心位置は、前記ホイルカバーが下になるような転倒姿勢の重心位置および前記ギヤケースが下になるような転倒姿勢の重心位置よりも低い位置に存在している、 ことを特徴とするチェーンブロック。」 第3 特許異議申立ての理由 特許異議申立人は、証拠方法として、次に示す甲第1及び2号証を提出し、概ね以下の理由を主張している。 1 証拠方法 (1)甲第1号証:「象印 C-21型チェーンブロック」のカタログ(写し),象印チェンブロック株式会社 (2)甲第2号証:「季刊 ザ・ユーザー THE USER THE MACHINE&TOOL NEWS」の1ページ及び12ページの写し,ザ・ユーザー会,日本物流新聞社,2010年夏 第25号 2 理由の概要 (1)理由1 本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものである。さらに、請求項2ないし請求項9の記載は、いずれも、請求項1に従属するものであるから、同様に、特許法第36条第6項第2号の規定に違反する。 よって、本件特許は、全ての請求項について、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである(特許異議申立書8ページ1ないし6行を参照。以下、「理由1」という。)。 (2)理由2 本件発明1ないし本件発明9は、引用発明(甲第1号証に記載されている「象印C-21型 チェーンブロック」、又は甲第1号証に記載された発明)と同一であるか、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものである。したがって、本件特許は、全ての請求項について、特許法第29条第1項第2号及び第3号又は同条第2項に違反して特許されたものである。よって、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである(特許異議申立書17ページ6ないし10行を参照。以下、「理由2」という。)。 第4 当審の判断 1 理由1について (1)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は、「特許請求の範囲の請求項1には、「前記第1フレームおよび前記第2フレームには、これらが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、前記第1フレームおよび前記第2フレームの外周に沿った転動を規制して、前記ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を前記起立姿勢または前記傾斜姿勢に維持する転動規制部が設けられている」ことが記載されており、ここで、「転動規制部」については、「これらが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、前記第1フレームおよび前記第2フレームの外周に沿った転動を規制して、前記ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を前記起立姿勢または前記傾斜姿勢に維持する」という機能のみが記載され、具体的な構成が記載されていない。」(申立書4ページ10ないし20行)として、本件発明1の外延が不明確であると主張する。 (2)検討 そこで、特許異議申立人の主張を踏まえて、理由1の検討を以下に行う。 請求項1の「転動規制部」との用語の技術的意味は一義的ではないので、特許明細書等における明細書及び図面を参酌する。 まず、「転動」とは、段落【0005】の「ところで、チェーンブロックを動かしたり、搬送する際には、チェーンブロックが引き摺られてしまう場合がある。そのような引き摺りは、一般的にはロードチェーン側を把持して行われることが多い。チェーンブロックが引き摺られると、たとえチェーンブロックの2つのフレームが地面に接するような立てた姿勢に設置していても、チェーンブロックは、第1主フレームおよび第2主フレームの弧状の輪郭に従って転がる。」との記載からみて、第1主フレームおよび第2主フレームの弧状の輪郭に従って転がることである。 また、請求項1の「転動規制」とは、明細書の段落【0022】ないし【0028】、【0106】ないし【0114】及び【0115】ないし【0119】の記載からみて、「第1フレームおよび第2フレームが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、第1フレームおよび第2フレームの外周に沿った転動を規制して、ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を起立姿勢または傾斜姿勢に維持する」ことである。 また、明細書の段落【0106】ないし【0114】、【0115】ないし【0119】及び【0127】ないし【0130】の記載によれば、「転動規制」するための構造や形状等の構成が1つに特定されるものではない。 そうすると、請求項1に記載された「転動規制部が設けられている」とは、「第1フレームおよび第2フレームが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、第1フレームおよび第2フレームの外周に沿った転動を規制して、ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を起立姿勢または傾斜姿勢に維持する」部分が設けられていることであると明確に理解できる。 よって、本件発明1の外延が不明確であるということはできない。 (3)まとめ したがって、本件出願の特許明細書等における特許請求の範囲の請求項1の記載及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし9の記載は、特許を受けようとする発明が明確であり、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではないから、特許法第113条第4号に該当するものではなく、理由1によって取り消すものとすることはできない。 2 理由2について (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載 異議申立人によって提出された甲第1号証には、図と共に次の記載がある。 (ア)「ELEPHANT 手動式チェーンブロック」(1ページ) (イ)「象印 C-21型チェーンブロック」(1ページ) (ウ)「0.5t~5tまでラインナップ」(1ページ) (エ)「表面硬化強力チェーン搭載 ドイツ安全機関が認めた最小破断応力105kgf/mm2のロードチェーンを採用。また、チェーン表面を硬化したことで耐摩耗性も飛躍的に向上し、長寿命・安全設計を実現。」(1ページ) (オ)「高強度熱処理チェーンメーカーが開発した世界最小最軽量チェーンブロック!」(1ページ) (カ)「特長 Point1 超小型・軽量 0.5tで自重6.1kg 重量21%減量(当社製品比) Point2 最高の操作感 巻下げ時のカミコミがない Point3 最新型上下安全フック 先端側を短く、横ずれ防止の外れ止めを装備 Point4 GSマークが示す高い信頼性」(2ページ) (キ)「高強度熱処理チェーン専門メーカー 象印チェンブロック株式会社」(1ページ、2ページ) (ク)「2010.6.30.000○M(当審注:○付きのMを改めた。以下、同様。)」(2ページ右下) イ 上記アの記載及び写真並びに技術常識から分かること (ア)上記ア(ア)ないし(カ)の記載及び写真によれば、甲第1号証には、チェーンブロックが記載されていることが分かる。 (イ)1ページの側面及び全体の写真において、チェーンブロックが、左側の第1フレームと、第1フレームに対向配置された右側の第2フレームとを有することが看取できる。 (ウ)上記ア(エ)における「ロードチェーン」との記載と、1ページの側面及び全体の写真から、チェーンブロックが、ロードチェーンが掛け回されるロードシーブ部材を有することが分かる。 そして、1ページの側面及び全体の写真から、第1フレームと第2フレームは共に、ロードシーブ部材を回転自在に支持することが分かる。 (エ)上記ア(カ)における「最高の操作感 巻下げ時のカミコミがない」との記載と、1ページの側面の写真から、チェーンブロックが、ハンドチェーンが掛け回されるハンドホイールおよびそのハンドホイールを覆うホイルカバーを含み、第1フレームとは反対側であって第2フレームよりも離れる向きに存在するホイルカバー側構造体を有することが分かる。 (オ)チェーンブロックが、人力により重量物を吊り上げ又は吊り下げするために、ハンドホイールからの回転力を駆動軸を介してロードシーブ部材に伝達するための複数のギヤ部材を有することは技術常識からみて明らかである。 そして、1ページの正面、側面及び全体の写真において、チェーンブロックが、ギヤ部材を覆うギヤケースを含み、第2フレームとは反対側であって第1フレームよりも離れる向きに存在するギヤケース側構造体を有することが分かる。 (カ)上記(ア)ないし(オ)によれば、ハンドチェーンが掛け回されるハンドホイールの回転力が、駆動軸及び複数のギヤを介してロードシーブ部材に伝達されるところ、第1フレームにおいて、ロードシーブ部材とは別体的に回転する駆動軸を回転自在に支持すること、及び第2フレームにおいて、ロードシーブ部材を回転自在に支持し、かつ駆動軸を回転自在に支持することは技術常識からみて明らかである。 ウ 甲1発明 上記ア及びイを総合して、本件発明1の表現に倣って整理すると、甲第1号証から、象印C-21型チェーンブロックに関して、次の事項からなる発明(以下、「甲1発明」)が把握できる。 「ロードチェーンが掛け回されるロードシーブ部材を回転自在に支持すると共に、および前記ロードシーブ部材とは別体的に回転する駆動軸を回転自在に支持する第1フレームと、 前記第1フレームに対向配置され、この第1フレームと共に、前記ロードシーブ部材を回転自在に支持し、かつ前記駆動軸を回転自在に支持する第2フレームと、 ハンドチェーンが掛け回されるハンドホイールおよびそのハンドホイールを覆うホイルカバーを含み、前記第1フレームとは反対側であって前記第2フレームよりも離れる向きに存在するホイルカバー側構造体と、 前記ハンドホイールからの回転力を前記駆動軸を介して前記ロードシーブ部材に伝達するための複数のギヤ部材と、前記ギヤ部材を覆うギヤケースを含み、前記第2フレームとは反対側であって前記第1フレームよりも離れる向きに存在するギヤケース側構造体と、 を有するチェーンブロック。」 (2)甲第2号証 異議申立人によって提出された甲第2号証には、次の記載がある。 ア 「浜田ニュース」(表紙の左上) イ 「季刊 ザ・ユーザー THE USER THE MACHINE& TOOL NEWS」(表紙の中央上) ウ 「2010年夏 第25号 発行所 ザ・ユーザー会 編集 日本物流新聞社」(表紙の右上) エ 「手動式チェーンブロック「象印C21型」 従来機比21%の軽量化 ドイツ安全審査機関が認めた最小破断応力105kgf/mm2のロードチェーンを採用。また、チェーン表面を硬化したことで耐摩耗性も飛躍的に向上し、長寿命・安全設計を実現しました。手動式チェーンブロックの中では世界最小クラスで、定格荷重0.5トンで自重6.1kgと従来製品に比較して約21%も軽量化しました。巻き上げ時のカミコミがなく、操作感は最高。横ずれ防止のはずれ止めを装備した最新型上下安全フックも採用しました。」(12ページ左中欄) (3)検討1 甲1発明が、本件出願前に日本国内又は外国において公然実施された発明又は本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明に該当するかを検討する。 甲第1号証において、1ページには「象印 C-21型チェーンブロック」と記載され、1ページ及び2ページには「象印チェンブロック株式会社」と記載されていることから、甲第1号証が、象印チェンブロック株式会社によって作成された、象印C-21型チェーンブロックについてのカタログであることは分かる。 しかしながら、甲第1号証の「2010.6.30.000○M」との記載は、それ自体では日付であるか不明であり、また、カタログの性質上、頒布された事実を裏付ける他者の受入印等が示されていない以上、甲第1号証が、日本国内又は外国において何時の時点で頒布されたかは不明である。 次に、甲第2号証において、上記(2)に示したとおりの記載があり、甲第2号証が、THE USERと題する季刊の刊行物であって、2010年(平成22年)の夏にザ・ユーザー会によって発行され、象印C-21型チェーンブロックの製品説明をしたものであることは分かる。 そして、甲第2号証の「ドイツ安全審査機関が認めた最小破断応力105kgf/mm2のロードチェーンを採用。」との記載が甲第1号証にも記載されていることからみて、象印チェンブロック株式会社が、2010年夏頃に象印C-21型チェーンブロックを取り扱っていたことが分かるが、甲第2号証には、象印C-21型チェーンブロックが開発、販売予告、販売開始のいずれの段階にあるものか示されていないことから、甲第2号証の記載を考慮したとしても、甲第1号証が、日本国内又は外国において何時の時点で頒布されたかは不明であり、また、甲第1号証の象印C-21型チェーンブロックが、日本国内又は外国において何時の時点で公然と実施されたものであるかも不明である。 そうすると、甲1発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然と実施された発明ということはできないし、また、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明ということはできない。 (4)検討2 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は、 「ロードチェーンが掛け回されるロードシーブ部材を回転自在に支持すると共に、および前記ロードシーブ部材とは別体的に回転する駆動軸を回転自在に支持する第1フレームと、 前記第1フレームに対向配置され、この第1フレームと共に、前記ロードシーブ部材を回転自在に支持し、かつ前記駆動軸を回転自在に支持する第2フレームと、 ハンドチェーンが掛け回されるハンドホイールおよびそのハンドホイールを覆うホイルカバーを含み、前記第1フレームとは反対側であって前記第2フレームよりも離れる向きに存在するホイルカバー側構造体と、 前記ハンドホイールからの回転力を前記駆動軸を介して前記ロードシーブ部材に伝達するための複数のギヤ部材と、前記ギヤ部材を覆うギヤケースを含み、前記第2フレームとは反対側であって前記第1フレームよりも離れる向きに存在するギヤケース側構造体と、 を有するチェーンブロック。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本件発明1においては、「第1フレームおよび第2フレームには、これらが同時に設置部位に接する起立姿勢またはこれらのうちの一方が設置部位に接する傾斜姿勢のときに、第1フレームおよび第2フレームの外周に沿った転動を規制して、ロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢を起立姿勢または傾斜姿勢に維持する転動規制部が設けられている」のに対して、 甲1発明においては、第1フレームおよび第2フレームに、そのような転動規制部が設けられているか否か不明である点。 (イ)判断 上記相違点について検討すると、本件発明1は、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を備えることにより、「従来のチェーンブロックのように、チェーンブロックが比較的長く転がることで、勢いがつく等によってギヤケース13が下になったり、ホイルカバー14が下になるように倒れるのを防止することができ、起立姿勢のままチェーンブロック10を引き摺ることが可能となる。 【0117】 そのため、ギヤケース13が下になってチェーンブロック10が引き摺られる場合のように、ネームプレート132を取り付けているリベット133の頭部が傷付いて、リベット133が取れてしまうのを防止可能となる。それにより、ギヤケース13のリベット孔から埃等が侵入し、各種のギヤの噛合に影響を与えるのを防止可能となる。 【0118】 また、ホイルカバー14が下になってチェーンブロック10が引き摺られる場合のように、ステイボルトSBの先端側やナットNが傷付いてしまい、ナットNやステイボルトSBが取れて、ホイルカバー14が外れてしまうのを防止可能となる。」(段落【0116】ないし【0118】)との格別な効果を奏するものであるから、上記相違点は、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は、甲1発明と同一ではない。 また、甲第1号証及び甲第2号証には、象印C-21型チェーンブロックがロードチェーンを介して引き摺られる際の姿勢について何ら記載されていない。 そうすると、甲1発明において、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。 したがって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2ないし9について 請求項2ないし9は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件発明2ないし9は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記アの検討を踏まえると、本件発明2ないし9は、甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 小括 以上のとおり、本件発明1ないし9は、甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)まとめ 上記(3)及び(4)のとおりであって、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号に該当するものではなく、理由2によって取り消すことができない。 第5 結語 上記第4のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700497

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決4件(井上 由美、株式会社キトー)
  • 2021-700088異議申立 / 2021-12-28 / 訂正認容共重合体ラテックス
    同じ当事者: 井上 由美
  • 2018-700994異議申立 / 2019-08-08 / 訂正認容塗工白板紙
    同じ当事者: 井上 由美
  • 2023-018474拒絶査定不服審判 / 2024-11-07 / 請求不成立
    同じ当事者: 株式会社キトー
  • 2016-018958拒絶査定不服審判 / 2017-09-19 / 請求不成立チェーンブロックおよびロードチェーン
    同じ当事者: 株式会社キトー
同じ根拠条文の審決7,914件(特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項)
  • 2026-700149異議申立 / 2026-06-29 / 維持野菜含有調味料、及び野菜含有調味料の製造方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項
  • 2025-700704異議申立 / 2026-06-17 / 請求成立(取消)車載器、解析装置、及び解析システム
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項
  • 2025-700690異議申立 / 2026-04-10 / 請求成立(取消)二重容器、及びその分別方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項
  • 2024-700591異議申立 / 2026-03-26 / 請求成立(取消)エポキシ樹脂組成物
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項
  • 2024-700744異議申立 / 2026-03-25 / 訂正認容繊維補強モルタルの押出積層方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項、特許法29条2項
同じ論点・分野の審決(審決分類)3件(112・B66D、113・B66D、121・B66D ほか)
  • 2020-007674拒絶査定不服審判 / 2021-11-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)ケーブル通過型ウインチ
    共通の審決分類: 121・B66D、537・B66D
  • 2022-014666拒絶査定不服審判 / 2023-06-26 / 請求不成立昇降装置
    共通の審決分類: 121・B66D
  • 2016-018958拒絶査定不服審判 / 2017-09-19 / 請求不成立チェーンブロックおよびロードチェーン
    共通の審決分類: 121・B66D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存