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特許異議申立

2017-700361

船舶の液化ガス処理システム

審判番号
2017-700361
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-535578
登録番号
特許第6005870号(P6005870)
請求日
2017年04月12日
審決日
2018年11月28日
公報発行日
2019年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】デウ シップビルディング アンド マリーン エンジニアリング カンパニー リミテッド
  • 【権利者代理人】特許業務法人青莪
  • 【異議申立人】遠藤 雅子
審判長/審判官
  • 審判長 氏原 康宏
  • 審判官 尾崎 和寛
  • 審判官 和田 雄二
分類
P1651.121-YAA(B63B) / P1651.537-YAA(B63B) / P1651.55 -YAA(B63B) / P1651.851-YAA(B63B) / P1651.852-YAA(B63B) / P1651.857-YAA(B63B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第2項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6005870号発明「船舶の液化ガス処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6005870号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、〔2、11~14、17〕、3、4、〔5、6〕、7~10、〔15、16〕、18について訂正することを認める。 特許第6005870号の請求項2、5、6及び11~18に係る特許を維持する。 特許第6005870号の請求項1、3、4及び7~10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6002330号の請求項1~18に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)10月24日を国際出願日(優先権主張 2012年(平成24年)10月24日 2012年(平成24年)12月11日 2013年(平成25年)6月26日 韓国(KR))として出願された。その後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年3月7日付け :拒絶理由通知 平成28年7月13日  :意見書及び手続補正書の提出 平成28年8月25日付け:特許査定 平成28年9月16日  :特許権の設定登録 平成28年10月12日 :特許掲載公報が発行 平成29年4月12日  :特許異議申立人遠藤雅子(以下、「特許異議              申立人」という。)による、請求項1~18              に係る特許に対する特許異議の申立て 平成29年7月10日  :特許権者による上申書の提出 平成29年8月2日付け :取消理由通知書 平成29年10月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成29年12月7日付け:訂正拒絶理由通知書 平成30年1月18日  :特許権者による意見書及び手続補正書の提出 平成30年4月23日付け:取消理由通知書(決定の予告) 平成30年7月24日  :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成30年9月20日付け:特許法第120条の5第5項の通知 平成30年10月23日 :特許異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 平成30年7月24日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 なお、平成30年7月24日にされた訂正の請求により、平成29年10月30日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次圧縮されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次圧縮させるための高圧ポンプとを含むことを特徴とする請求項1に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを「貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含み、前記LNG主供給ラインに、二次加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料して主エンジンに供給されることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記LNG副供給ラインは、前記気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含み、 前記LNG副供給ラインは、前記高圧ポンプの上流側で前記LNG主供給ラインから分岐され、 前記LNG副供給ラインは、燃料のメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるためにLNGから重炭化水素成分を分離する気液分離器と、前記気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器とを含み、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「前記LNG副供給ラインは、前記気液分離器でメタン価が合わせられた燃料の温度を前記副エンジンで要求する値に調節するヒータをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記LNG副供給ラインは、前記気液分離器でメタン価が合わせられた燃料の温度を前記副エンジンで要求する値に調節するヒータをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に「前記主エンジンはMEGIエンジンであって、前記副エンジンはDFエンジンであることを特徴とする請求項1に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記主エンジンはMEGIエンジンであって、前記副エンジンはDFエンジンであることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12に「前記減圧手段は、膨張バルブまたは膨脹機であることを特徴とする請求項1に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記減圧手段は、膨張バルブまたは膨脹機であることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に「前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されて液化されたBOGが供給されて気体成分と液体成分とに分離する気液分離器を含み、 前記気体成分を、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送されるBOGに合流させることを特徴とする請求項1に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されて液化されたBOGが供給されて気体成分と液体成分とに分離する気液分離器を含み、 前記気体成分を、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送されるBOGに合流させることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する(請求項13の記載を引用する請求項14も同様に訂正する。)。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項15に「前記圧縮機に含まれた複数個の前記圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたボイルオフガスは、オイルフィルタを経て移送されることを特徴とする請求項7に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み、前記貯蔵タンクで発生したBOGを、前記複数個の圧縮シリンダを全部通過して150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含み、前記圧縮機に含まれた複数個の前記圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたBOGは、オイルフィルタを経て移送されることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項16に「前記圧縮機は、圧縮されながら温度が上昇したボイルオフガスを冷却させるための1つ以上の中間冷却機を含むことを特徴とする請求項7に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記圧縮機は、圧縮されながら温度が上昇したBOGを冷却させるための1つ以上の中間冷却機を含むことを特徴とする請求項15に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項17に「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGは、前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されることで、別途の冷媒を使用する再液化装置を使わないで液化されることを特徴とする請求項1に記載の船舶の液化ガス処理システム。」と記載されているのを、「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGは、前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されることで、別途の冷媒を使用する再液化装置を使わないで液化されることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。」に訂正する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項18に「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムによって前記液化ガスを処理する方法であって、 前記液化ガス処理システムは、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ラインと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって圧縮して前記エンジンに燃料として供給するポンプラインとを含み、 前記ポンプラインを介してLNGを前記エンジンに供給する時、LNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記エンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含み、 前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記超臨界状態となったBOGのうち前記エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含むことを特徴とする船舶の液化ガス処理方法。」と記載されているのを、「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムによって前記液化ガスを処理する方法であって、 前記液化ガス処理システムは、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ラインと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記エンジンに燃料として供給するポンプラインとを含み、 前記エンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと前記主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されると共に、前記副エンジンはDFエンジンであり、前記主エンジンはMEGIエンジンであり、 前記ポンプラインを介してLNGを前記エンジンに供給する時、LNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含み、前記メタン価調整ステップは、前記副エンジンにLNGを供給するポンプラインに設置されたメタン価調節用の気化器と、前記メタン価調節用の気化器で加熱されて部分的に気化したLNGが供給されるメタン価調節用の気液分離機とを含んで、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせ、 前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含むことを特徴とする船舶の液化ガス処理方法。」に訂正する。 (18)訂正事項18 明細書の段落【0015】、【0016】、【0027】、【0028】、【0128】、【0141】及び【0155】に「LNG・・・圧縮」と記載されいるのを、「LNG・・・加圧」に訂正する。 また、明細書の段落【0016】、【0141】、【0143】、【0158】及び【0162】に「圧縮されたLNG」と記載されているのを、「加圧されたLNG」に訂正する。 さらに、明細書の段落【0047】に「LNG及びBOGをそれぞれ圧縮させる」と記載されているのを、「LNG及びBOGをそれぞれ加圧・圧縮させる」に訂正する。 加えて、明細書の段落【0143】、【0144】及び【0151】に「高圧ポンプ・・・圧縮」と記載されているのを「高圧ポンプ・・・加圧」に訂正する。 2.一群の請求項及び明細書の訂正について 訂正前の請求項1~17について、請求項2~17はそれぞれ請求項1を直接又は間接に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~17に対応する訂正後の請求項1~17は一群の請求項であるところ、訂正後の請求項2及び訂正後の請求項2の記載を引用する訂正後の請求項11~14及び17と、訂正後の請求項5及び訂正後の請求項5の記載を引用する訂正後の請求項6と、訂正後の請求項15及び訂正後の請求項15の記載を引用する訂正後の請求項16とについては、当該請求項について訂正が認められる場合には、それぞれ別の訂正単位として扱われることを求めており、後記3.のとおり当該請求項については訂正が認められるので、本件訂正請求は、一群の請求項〔2、11~14、17〕、〔5、6〕、〔15、16〕及び請求項18ごとに請求されている。 また、訂正事項18は、訂正後の請求項2、11~14及び17と、訂正後の請求項5及び6と訂正後の請求項15及び16と訂正後の請求項18について行う訂正である。 3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1、3、4及び7~10について 訂正事項1、3、4及び7~10は、それぞれ請求項1、3、4及び7~10を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項1、3、4及び7~10は、それぞれ請求項1、3、4及び7~10を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的 (ア)訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 (イ)また、訂正事項2は、訂正前の請求項2が引用していた訂正前の請求項1の「LNGをポンプによって圧縮して」及び「排出ポンプで一次圧縮されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次圧縮させるための高圧ポンプ」との記載に関し、明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載及び当業者における技術常識からすれば、当該記載の「圧縮」は「加圧」の誤りであることが明らかであるのを、上記(ア)にともなって訂正後の請求項2で、「LNGをポンプによって加圧して」及び「排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプ」との記載により、訂正前の請求項1の誤記を訂正するものである。 したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものである。 (ウ)さらに、訂正事項2によって、訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用し、「LNGを貯蔵している貯蔵タンク」との記載により、貯蔵タンクにLNGが貯蔵されることを特定していたのを、訂正後の請求項2は、「貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンク」との記載により、貯蔵タンクに貯蔵されるLNGが貨物であることを具体的に特定している。 同じく、訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用し、「貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン」との記載により、LNG主供給ラインが貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって圧縮して主エンジンに燃料として供給することを特定していたのを、訂正後の請求項2は、「前記LNG主供給ラインに、二次加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料して前記主エンジンに供給される」との記載により、LNG主供給ラインは二次加圧されたLNGを気化器で気化して燃料として主エンジンに供給するという具体的な構成を特定している(なお、訂正後の請求項2の「燃料して」は「燃料として」の意味であることが明らかである。この点に関しては、後記「第4 1.」のなお書きも参照のこと。)。 したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 イ.新規事項の追加の有無 (ア)訂正事項2のうち、上記ア.(ア)の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (イ)訂正事項2のうち、上記ア.(イ)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (ウ)訂正事項2のうち、上記ア.(ウ)前段の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0165】の「LNG運搬船の貨物(すなわち、LNG)」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 訂正事項2のうち、上記ア.(ウ)後段の訂正は、願書に添付した図面の【図6】及び願書に添付した明細書の段落【0143】の「液化ガスを貯蔵する貯蔵タンク11から排出ポンプ12を介して排出されたLNGは、LNG主供給ラインL23に沿って移送されて高圧ポンプ43に供給される。さらに、LNGは高圧ポンプ43で高圧に圧縮された後、気化器44に供給されて気化される。気化されたLNGは燃料として高圧天然ガス噴射エンジン、例えば、MEGIエンジンに供給される。」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、訂正前の請求項2について請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めつつ誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、当該訂正事項により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。 したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項5について ア.訂正の目的 (ア)訂正事項5は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1~4を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1~4の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 (イ)また、訂正事項5は、訂正前の請求項5が引用していた訂正前の請求項1の「LNGをポンプによって圧縮して」及び「排出ポンプで一次圧縮されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次圧縮させるための高圧ポンプ」との記載に関し、明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載及び当業者における技術常識からすれば、当該記載の「圧縮」は「加圧」の誤りであることが明らかであるのを、上記(ア)にともなって訂正後の請求項5で、「LNGをポンプによって加圧して」及び「排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプ」との記載により、訂正前の請求項1の誤記を訂正するものである。 したがって、訂正事項5は、誤記の訂正を目的とするものでもある。 (ウ)さらに、訂正事項5によって訂正前の請求項5は、「前記LNG副供給ラインは、前記気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器をさらに含む」との記載により、LNG副供給ラインが気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器を含むことを特定していたのを、訂正後の請求項5は、「前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせる」との記載により、LNG副供給ラインに含まれる気化器の加熱温度を調節することで、メタン価を副エンジンで要求する値に合わせるという具体的な構成を特定している。 したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 イ.新規事項の追加の有無 (ア)訂正事項5のうち、上記ア.(ア)の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (イ)訂正事項5のうち、上記ア.(イ)の訂正は、上記ア.(イ)で述べたように、願書に添付した明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (ウ)訂正事項5のうち、上記ア.(ウ)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0146】の「LNG副供給ラインL24には気化器45、気液分離器46及びヒータ47が設置され、燃料として供給されるLNGのメタン価及び温度をDFエンジンで要求する値に調節できる。」との記載、及び段落【0149】の「LNGに含まれていた炭化水素成分の比率及びエンジンで要求するメタン価などを勘案して、適切なメタン価を得るために、気化器45での加熱温度を調節できる。」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5は、訂正前の請求項5について請求項間の引用関係を解消し、請求項1~4の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるとともに、誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、当該訂正事項により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。 したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項4を引用する記載であったものを、訂正事項4(請求項4の削除)に伴って、訂正後の請求項5を引用する記載へ改めるための訂正である。そして、請求項5に関する訂正事項5の内容(上記(3))を踏まえると、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものである。 また、上記(3)を踏まえると、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項11~13及び16 訂正事項11~13及び16は、訂正前の請求項11~13及び16が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、訂正事項1(請求項1の削除)に伴って、訂正後の請求項2を引用する記載へ改めるための訂正である。そして、請求項2に関する訂正事項2の内容(上記(2))を踏まえると、訂正事項11~13は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものである。 また、上記(2)を踏まえると、訂正事項11~13及び16は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項14 ア.訂正の目的 (ア)訂正事項14は、訂正前の請求項15が訂正前の請求項1及び訂正前の請求項7を間接又は直接に引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1及び請求項7の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 (イ)また、訂正事項14は、訂正前の請求項2が引用していた訂正前の請求項1の「LNGをポンプによって圧縮して」及び「排出ポンプで一次圧縮されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次圧縮させるための高圧ポンプ」との記載に関し、明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載及び当業者における技術常識からすれば、当該記載の「圧縮」は「加圧」の誤りであることが明らかであるのを、上記(ア)にともなって訂正後の請求項2で、「LNGをポンプによって加圧して」及び「排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプ」との記載により、訂正前の請求項1の誤記を訂正するものである。 したがって、訂正事項14は、誤記の訂正を目的とするものである。 (ウ)さらに、訂正前の請求項15の「ボイルオフガス」は、明細書の段落【0007】の「ボイルオフガス(BOG;Boil-Off Gas)」という記載からすれば、特許請求の範囲で使用されている「BOG」のことであるといえる。 訂正事項14は、訂正前の請求項15の「ボイルオフガス」との記載の存在により、本来同じことを示す「BOG」との記載と「ボイルオフガス」との記載が混在していたため、特許請求の範囲の記載が不明瞭であったものを、「ボイルオフガス」を「BOG」と訂正することにより明瞭とすることを目的とするものである。 したがって、訂正事項14は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもある。 (エ)加えて、訂正前の請求項15は、訂正前の請求項7を引用し、「前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含む」との記載により、圧縮機が複数個の圧縮シリンダを含むことを特定している。それに対して、訂正後の請求項15は、「前記複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含み、」との記載により、圧縮機に含まれる複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含むという具体的な構成を特定している。 したがって、訂正事項14は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 イ.新規事項の追加の有無 (ア)訂正事項14のうち、上記ア.(ア)の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (イ)訂正事項14のうち、上記ア.(イ)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (ウ)訂正事項14のうち、上記ア.(ウ)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0007】の「ボイルオフガス(BOG;Boil-Off Gas)」という記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (ウ)訂正事項14のうち、上記ア.(エ)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0081】の「特に、5つのシリンダを含み、前段の3つのシリンダはオイルフリー(oil-free)方式で動作し、後段の2つのシリンダは潤滑油(oil-lubricated)方式で動作する」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項14は、訂正前の請求項15について請求項間の引用関係を解消し、請求項1及び請求項7の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるとともに、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、当該訂正事項により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。 したがって、訂正事項14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項15 訂正事項15は、訂正前の請求項16が訂正前の請求項7を引用する記載であったものを、訂正事項7(請求項7の削除)に伴って、訂正後の請求項15を引用する記載へ改めるための訂正である。そして、請求項15に関する訂正事項14の内容(上記(6))を踏まえると、訂正事項15は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正前の請求項15で、「圧縮されながら温度が上昇したボイルオフガス」と記載されていたのを、訂正後の請求項16で、「圧縮されながら温度が上昇したBOG」とする訂正は、上記(6)ア.(ウ)を踏まえれば、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記(6)をも踏まえると、訂正事項15は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)訂正事項17 ア.訂正の目的 (ア)訂正事項17は、訂正前の請求項18の「LNGをポンプによって圧縮して」との記載に関し、明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載及び当業者における技術常識からすれば、当該記載の「圧縮」は「加圧」の誤りであることが明らかであるので、訂正後の「LNGをポンプによって加圧して」との記載により、訂正前の請求項18の誤記を訂正するものである。 したがって、訂正事項17は、誤記の訂正を目的とするものである。 (イ)また、訂正事項17によって、訂正前の請求項18は、「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶」との記載により、船舶がLNGを供給されて燃料として使用するエンジンを備えることを特定していたのを、訂正後の請求項18は、「前記エンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと前記主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されると共に、前記副エンジンはDFエンジンであり、前記主エンジンはMEGIエンジンであり、」との記載により、LNGを燃料として使用するエンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されるという具体的な構成を特定するとともに、副エンジンはDFエンジンであり、主エンジンはMEGIエンジンであるという具体的な構成を特定するものである。 同様に、訂正前の請求項18は、「LNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記エンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含み、」との記載により、LNGから重炭化水素成分を分離することでLNGのメタン価をエンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含むことを特定していたのを、訂正後の請求項18は、「前記メタン価調整ステップは、前記副エンジンにLNGを供給するポンプラインに設置されたメタン価調節用の気化器と、前記メタン価調節用の気化器で加熱されて部分的に気化したLNGが供給されるメタン価調節用の気液分離機とを含んで、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせ、」との記載により、メタン価調節ステップは、副エンジンに供給するポンプラインに設置されたメタン価調節用の気化器とメタン価調節用の気化器で加熱されて部分的に気化したLNGが供給されるメタン価調節用の気液分離機とにより、気化器での加熱温度を調節することでメタン価を副エンジンで要求する値に合わせるという具体的な構成を特定するものである。 したがって、訂正事項17は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 イ.新規事項の追加の有無 (ア)訂正事項17のうち、上記ア.(ア)の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して」という記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (イ)訂正事項17のうち、上記ア.(イ)前段の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0124】の「図13に示す本発明の船舶の液化ガス処理システムは、主エンジンとして高圧天然ガス噴射エンジン、例えば、MEGIエンジンを含み、副エンジンとしてDFエンジン(DF Generator;DFDG)を含む。」との記載、段落【0142】の「上記のように、MEGIエンジンで要求する燃料ガスの圧力は150~400bara(絶対圧)程度の高圧である。本明細書における「高圧」とは、MEGIエンジンで要求する圧力、例えば150~400bara(絶対圧)程度の圧力を意味するものであ」との記載、及び、段落【0160】の「しかし、上記の本発明の実施形態は、船舶に高圧に燃料を供給される高圧エンジン(例えば、ME-GIエンジン、約150~400bara)と低圧に燃料を供給される低圧エンジン(例えば、DFエンジン、約6~10bara)とが共に装着されている」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 訂正事項17のうち、上記ア.(イ)後段の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0027】の「前記貯蔵タンクに貯蔵された液化天然ガスを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ライン;前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって圧縮して前記エンジンに燃料として供給するポンプライン;及びLNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記エンジンで要求する値に合わせるために前記ポンプラインに設置される気液分離器;を含む船舶用燃料ガス供給システムが提供され得る。」との記載、段落【0146】の「LNG副供給ラインL24には気化器45、気液分離器46及びヒータ47が設置され、燃料として供給されるLNGのメタン価及び温度をDFエンジンで要求する値に調節できる」との記載、及び、段落【0149】の「LNGに含まれていた炭化水素成分の比率及びエンジンで要求するメタン価などを勘案して、適切なメタン価を得るために、気化器45での加熱温度を調節できる。」との記載に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項17は、誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、当該訂正事項により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。 したがって、訂正事項17は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項18 訂正事項18は、訂正事項18で特定される、訂正前の各段落の「圧縮」は「加圧」の誤りであることが、明細書の段落【0118】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して推進システムに燃料として供給するライン」というの記載や技術常識から明らかであるといえるから、これら訂正前の各段落の「圧縮」を「加圧」と訂正することにより、正しい記載とすることを目的とするものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 そして、訂正事項18は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。 さらに、訂正事項18は、明細書の段落【0122】の「高圧ポンプ120によってLNGを加圧して推進システムに燃料として供給するライン」という、記載に基づいているから、新規事項の追加に該当しない。 4.小括 上記のとおり、訂正事項1~18は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項1、〔2、11~14、17〕、3、4、〔5、6〕、7~10、〔15、16〕及び18について訂正することを認める。 第3 取消理由の概要 訂正前の請求項1~18に係る特許に対して、当審が平成30年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。 [取消理由1]本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~18の記載が不備のため特許法第36条第2項に規定する要件を満たしていないから、取り消されるべきものである。 [取消理由2]本件特許の請求項1~18に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1~9に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、取り消されるべきものである。 記 [刊行物] 引用文献1:LNG as fuel for 2-stroke propulsion of Merchant ships. Sept.2012 MAN Diesel&Turbo 引用文献2:永田良典,田ノ上聖,木田隆之,川合崇,「LNG燃料船用I HI-SPBタンク」,IHI技報,株式会社IHI技術開発本       部管理部,平成24年9月1日, 第52巻,第3号,p. 36-41 引用文献3:国際公開2012/128447号 引用文献4:韓国公開特許第10-2012-0049731号公報 引用文献5:特表2009-504838号公報 引用文献6:特表2008-528882号公報 引用文献7:特表2011-517749号公報 引用文献8:Roberto Chellini,”LABY-GI COMPRESSOR DEVELOPED FOR LNG CARRIER SERVICE”,COMPRESSORTechTwo,(米), Diesel Gas Turbine Publications,2008,Vol. 13, No. 7,p. 58, 60-63 引用文献9:米国特許第3919852号明細書 上記引用文献1は特許異議申立人の提出した甲第1号証であり、以下同様に、引用文献2~引用文献9は、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証、甲第10号証、甲第9号証及び甲第11号証である。 第4 当審の判断 1.本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求が認められるので、訂正後の請求2、5、6及び11~18に係る発明は、以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明2」、「本件発明5」、「本件発明6」及び「本件発明11」~「本件発明18」という。)。 「【請求項2】 貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含み、前記LNG主供給ラインに、二次加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料して主エンジンに供給されることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。 【請求項5】 LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含み、 前記LNG副供給ラインは、前記高圧ポンプの上流側で前記LNG主供給ラインから分岐され、 前記LNG副供給ラインは、燃料のメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるためにLNGから重炭化水素成分を分離する気液分離器と、前記気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器とを含み、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。 【請求項6】 前記LNG副供給ラインは、前記気液分離器でメタン価が合わせられた燃料の温度を前記副エンジンで要求する値に調節するヒータをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項11】 前記主エンジンはMEGIエンジンであって、前記副エンジンはDFエンジンであることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項12】 前記減圧手段は、膨張バルブまたは膨脹機であることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項13】 前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されて液化されたBOGが供給されて気体成分と液体成分とに分離する気液分離器を含み、 前記気体成分を、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送されるBOGに合流させることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項14】 前記熱交換器から前記気液分離器に供給される液化されたBOGを、前記気体成分によって冷却させる冷却器を含むことを特徴とする請求項13に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項15】 LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み、前記貯蔵タンクで発生したBOGを、前記複数個の圧縮シリンダを全部通過して150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含み、前記圧縮機に含まれた複数個の前記圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたBOGは、オイルフィルタを経て移送されることを特徴とする船舶の液化ガス処理システム。 【請求項16】 前記圧縮機は、圧縮されながら温度が上昇したBOGを冷却させるための1つ以上の中間冷却機を含むことを特徴とする請求項15に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項17】 前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGは、前記熱交換器及び前記減圧手段を通過しながら熱交換及び減圧されることで、別途の冷媒を使用する再液化装置を使わないで液化されることを特徴とする請求項2に記載の船舶の液化ガス処理システム。 【請求項18】 LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムによって前記液化ガスを処理する方法であって、 前記液化ガス処理システムは、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ラインと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記エンジンに燃料として供給するポンプラインとを含み、 前記エンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと前記主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されると共に、前記副エンジンはDFエンジンであり、前記主エンジンはMEGIエンジンであり、 前記ポンプラインを介してLNGを前記エンジンに供給する時、LNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含み、前記メタン価調整ステップは、前記副エンジンにLNGを供給するポンプラインに設置されたメタン価調節用の気化器と、前記メタン価調節用の気化器で加熱されて部分的に気化したLNGが供給されるメタン価調節用の気液分離機とを含んで、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせ、 前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含むことを特徴とする船舶の液化ガス処理方法。」 なお、請求項2に関し、「燃料して」は「燃料として」の誤記であることが明らかであるから、以下では、「燃料として」としたうえで検討した。 2.[取消理由1]について 平成30年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由1は、具体的には、(i)請求項1及び18の「LNGをポンプによって圧縮して」という文言は、技術的に不明確であるというもの、及び、(ii)請求項8の「圧縮機」の圧縮シリンダの全部がオイルフリー方式で作動するものである場合、請求項15の「オイルフィルタ」を設ける技術的意味が不明であるというものである。 そして、上記(i)の点については、上記第2の1.の訂正事項2、5、14及び17により解消された。 また、上記(ii)の点については、上記第2の1.の訂正事項14により解消された。 したがって、平成30年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由1によっては本件請求項2、5、6、11~18に係る発明の特許を取り消すことはできない。 3.[取消理由2]について (1)引用文献1の記載事項及び引用発明 本件特許に係る出願の優先日前に頒布された(「Japanese Shipyards' Technical Seminar from 2nd September to 8th September 2012 in Copenhagen」におけるTuesday 4th September 12:30~15:45のセッションで配布された。)刊行物である引用文献1には以下の事項が記載されている。 ※引用文献1の各頁右下には<>内にスライド番号が付された付されていないものがあるので、以下では、便宜的に引用文献1の表紙を第1頁とし、最終頁を第42頁とした。 なお、引用文献1について、引用文献1の記載内容に一貫性があり、特別不自然な点もないことからみて、引用文献1が、「Japanese Shipyards' Technical Seminar from 2nd September to 8th September 2012 in Copenhagen」におけるTuesday 4th September 12:30~15:45のセッションで配布されたものと推認できることを付言する。 (訳は、異議申立人の訳を参考にして当審で付した。訳の後の()内は原文。) ア.「商業船の2ストローク推進用燃料としてのLNG」(LNG as fuel for 2-stroke propulsion of Merchant Ships.)(第1頁) イ.第21頁(スライド番号<21>)には以下の図が示されている。 ウ.引用文献1には、上記イ.のとおり、ME-GIエンジン(ME-GI)の燃料ガス供給システムが図示されているところ、かかる図面の他、引用文献1の他の各頁及び当業者における技術常識を踏まえると、以下の事項が認定できる。 (ア)LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)。(LNG運搬船(LNG Carrier)については、第15、16頁、参照。) (イ)LNG運搬船には、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(DF Gensete)が備えられている。 ここで、DF Gensete(DF Gensete)とは、二元燃料ディーゼルエンジンと発電機のセットである(第12、13頁(スライド番号<12>、<13>)、参照。) (ウ)LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)、及び、この燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)によってLNGを処理する方法。 なお、燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)については、第13頁(スライド番号<13>)、参照。 (エ)BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)は5つ(5段(5-stage))の圧縮シリンダを持ち(この点については第17~18頁、参照)、下記(カ)での経路は、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の第1段の後から分岐していること。 (オ)LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路。 (カ)LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路。 (キ)LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1~3段目のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路。 (ク)LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路。 (ケ)上記(キ)の経路は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)であって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)を経由したBOG(BOG)のうち、ME-GIエンジン(ME-GI)と、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)とに供給されない、BOG(BOG)をLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給するものであること。 (コ)上記(キ)の経路の熱交換器(Heat Exchanger)は、これによって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前に、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換すること。 (サ)上記(キ)の経路の膨張弁(Expansion Valve)は、これによって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とするものであること。 (シ)上記(ク)の経路において、LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給し、高圧気化器(HP Vaporiser)で気化されたものが、300bar、45℃の燃料としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給されること。 エ.したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)であって、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路と、 を含み、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路の、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とし、 LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給し、高圧気化器(HP Vaporiser)で気化されたものが、300bar、45℃の燃料としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給される、 LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)。」 オ.また、引用文献1には、上記引用発明1と共に次の発明(以下、「引用発明2」という。)も記載されているといえる。 「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)によってLNGを処理する方法であって、 前記燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)は、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路と、 を含み、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路の、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とする、 LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)によってLNGを処理する方法。」 (2)対比・判断 ア.本件発明2について (ア)対比 本件発明2と引用発明1とを対比する。 a.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)」は、本件発明2の「貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンク」に相当する。 また、同じく機能的、構造的にみて、引用発明1の「ME-GIエンジン(ME-GI)」及び「DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)」の「ディーゼルエンジン」は、本件発明2の「主エンジン」及び「副エンジン」に相当する。 そして、引用発明1の「LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、船舶であるLNG運搬船の液化ガスといえるLNGを燃料ガスとして供給して処理するシステムといえる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、本件発明2の「船舶の液化ガス処理システム」に相当するとともに、本件発明2の「貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンを備えた船舶の液化ガス処理システム」に相当する。 b.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明2の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン」に相当する。 c.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路」は、本件発明2の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン」に相当する。 d.同じく、機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明2の「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン」に相当する。 e.本件発明2で使用されている圧力の単位baraは引用発明1のbarを、特に、絶対圧であることをと明記したものであるので、本件発明2の「bara」と引用発明1の「bar」は実質的に同じ単位である。 また、LNGおいては、その組成の8割程度がメタンからなることが技術常識であり、メタンの臨界圧力がおよそ46bara、臨界温度がおよそ-83℃であることからすれば、引用発明1において、Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)にいおて圧縮された後のLNGが、300bar、45℃であることは、当該LNGは超臨界状態となっているとえいえる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃と」することは、機能的に、本件発明2の「前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態と」することに相当する。 f.引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路」は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)であって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)を経由したBOG(BOG)のうち、ME-GIエンジン(ME-GI)と、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)とに供給されない、BOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前に、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、さらに、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路である。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路の、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とする」ことは、本件発明2の「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」こととの対比において、「BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」という限度で一致する。 g.引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」では、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給」されるものであるから、引用発明1のLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)の内部に設置されてLNGをLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)の外部に排出させる排出ポンプであるといえ、また、引用発明1の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGをME-GIエンジン(ME-GI)で要求する圧力まで加圧するための高圧ポンプであるといえる。したがって、引用発明1の「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)」は、本件発明2の「排出ポンプ」に相当し、引用発明1の「高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)」は、本件発明2の「高圧ポンプ」に相当する。また、引用発明1の「高圧気化器(HP Vaporiser)」は、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)によって加圧・供給されたLNGを気化させ300bar、45℃の燃料としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給するものであるから、引用発明1の「高圧気化器(HP Vaporiser)」は、本件発明2の「気化器」に相当する。 よって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」において、LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出するものであり、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)は、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給するものであり、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給し、高圧気化器(HP Vaporiser)で気化されたものが、300bar、45℃の燃料としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給される」ことは、本件発明2の「前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含み、前記LNG主供給ラインに、二次加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料として主エンジンに供給される」こととの対比において、「前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで排出されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで加圧させるための高圧ポンプとを含み、前記LNG主供給ラインに、加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料として主エンジンに供給される」ことの限度で一致する。 以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおり。 <一致点1> 「貨物としてのLNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで排出されたLNGを前記主エンジンで要求される圧力まで加圧させるための高圧ポンプとを含み、前記LNG主供給ラインに、加圧されたLNGを気化させる気化器を更に含み、前記気化器で気化されたものが燃料として主エンジンに供給される船舶の液化ガス処理システム。」 <相違点1> 本件発明2は、「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ラインを含」むものであるのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 <相違点2> 本件発明2は、「前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる」「前記主エンジンに供給されていないBOG」が「前記超臨界状態となったBOG」であるのに対し、引用発明1では、「熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとし」た「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)」である点。 <相違点3> LNG主供給ラインの高圧ポンプに関し、本件発明2は、「高圧ポンプ」が「前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための」ものであるのに対し、引用発明1は、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給」するものである点。 (イ)判断 a.相違点1について LNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンを有する船舶において、主エンジンと同様に、副エンジンについても、貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを加圧して副エンジンに燃料として供給するラインを供給ラインを設けることは、従来周知の技術事項(以下、「従来周知の技術事項1」という。)である(必要であれば、引用文献2の図6(b)、引用文献3の【図9a】、【図9b】、【図10b】、引用文献4の図1~4、参照。)。 したがって、引用発明1において、相違点1に係る本件発明2の構成となすことは、上記従来周知の技術事項1に基いて当業者が容易に想到し得たものといえる。 b.相違点2について (a)引用文献1の第16頁には、5段の圧縮シリンダを持つLNG運搬船用のLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)が記載されており、続く第17~18頁で、Laby-GI圧縮機としてブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sが記載されている(Labyはブルクハルト社の登録商標)。第17~18頁の記載(第17頁の「Stages 1 to 3 labyrinth sealing,oil-free」、「Stages 4 to 5 ring sealing,lubricated」という記載、及び、第18頁(スライド番号<18>)の右図の「Labyrinth 1st to 3rd stage」、「Ring sealed 4th to 5th stage」という記載)から、このブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sは、5段の圧縮シリンダを持ち、前3段がオイルフリー方式(ラビリンスシール)で作動するものあり、後2段が潤滑油方式で作動するものあることが看て取れる。 (b)そして、引用文献1の第21頁(スライド番号<21>)には、5段の圧縮シリンダを持つLNG運搬船用のLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)のオプションNo.2(Option No.2)として、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段を経由して39barとし、その後、熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する構成をもつものが記載されている。 引用文献1における、上記第16頁~21頁の記載内容からすれば、引用文献1の第21頁(スライド番号<21>)に記載のLNG運搬船用の5段の圧縮シリンダを持つLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)のオプションNo.2(Option No.2)のBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)は、第17頁~18頁に記載されたブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sであると解するのが自然である。 そうすると、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39bar」となったBOG(BOG)は、オイルフリー方式で作動する圧縮シリンダを経由し、超臨界状態まで圧縮されていない39barとなり、かつ、潤滑油を含まないBOG(BOG)であるといえる。 (c)ここで、引用発明1は、LNG運搬船のLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を処理する(再液化する(Reliquefaction))方法であって、かかる引用発明によって処理(再液化)された、LNGはLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に戻される、すなわち、貨物として戻されるものである。ここで、貨物として戻されるLNGにオイルが含まれると貨物としての品質が低下することになるから、処理(再液化)されたLNGにはオイルが含まれないことが要求されることは当業者には明らかである。そうすると引用発明1において、「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39bar」とし、オイルを含まないBOG(BOG)を、「さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する」構成を採用したのは、引用発明によって処理(再液化)され貨物として戻されるLNGにオイルが含まれないようにすることを目的の一つとしていると理解できる。 (d)ところで、メタンのモリエル線図から、当業者であれば、熱交換器を流れる流体の圧力が高圧になると熱交換器の熱伝達係数が改善され、また、膨張機の冷却性が改善されるという技術事項が認識できるとともに、超臨界流体は、熱容量や熱伝導度が大きく、高い熱移動速度が得られることが技術常識である。これらのことからすれば、引用発明1において、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを通して、39barより高圧の超臨界圧に圧縮すれば、その後に経由される熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)での効率が上がることが当業者には予測可能であるともいえる。 しかしながら、例えば、引用発明1にも採用されているブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sにも示されるように、ガスを圧縮する多段の高圧圧縮機の後段部分には、ガス圧や圧縮効率を考慮して潤滑油方式で作動する圧縮シリンダを採用することが一般的であり、仮に、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を再液化処理するに当たり、再液化処理における熱交換器及び膨張弁での効率を考え、熱交換器及び膨張弁へ導入するLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を超臨界状態まで圧縮するには、多段の高圧圧縮機の潤滑油方式で作動する圧縮シリンダを経由させることとなるが、そうすると、再液化処理され貨物として戻されるLNGにオイルが含まれることとなり、このオイルを除去する手段を講じる必要が生じることとなる、また、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、より高圧に圧縮するには、より多くの動力が要求されることになることは当業者であれば容易に認識しうる。 したがって、引用発明1において、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして分岐させる手段に代えて、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して、超臨界状態まで圧縮して分岐させる手段を採用することには、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由させると、再液化処理され貨物として戻されるLNGにオイルが含まれてしまうし、より多くの動力が要求されることになる、というその手段の採用を阻害する要因があるというべきである。 また、引用発明1において、「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39bar」とすることには、上記(c)で述べたように技術的合理性ないしメリットがあり、たとえ、メタンのモリエル線図から、当業者であれば、熱交換器を流れる流体の圧力が高圧になると熱交換器の熱伝達係数が改善され、また、膨張機の冷却性が改善されるという技術事項が認識できるとともに、超臨界流体は、熱容量や熱伝導度が大きく、高い熱移動速度が得られることが技術常識であり、引用発明1において、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを通して、39barより高圧の超臨界圧に圧縮すれば、その後に経由される熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)での効率が上がることが当業者には予測可能であるとしても、上記技術的合理性ないしメリットに反して、Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを通して、39barより高圧の超臨界圧に圧縮する技術を採用することの起因ないし契機となることは、引用文献1には、記載も示唆もない。 よって、引用発明1において、相違点2に係る本件発明2の構成となすことは、当業者が容易になし得たということはできない。 引用文献5は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を再液化処理してLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に戻す船舶の液化ガス処理システムに関する技術ではないし、また、液化対象である供給ガス流から分流したものを冷媒として用いる冷凍サイクルを利用して供給ガスを液化する装置を前提として、供給ガス流を超臨界圧を含む高圧に圧縮する技術を開示しているものであり(段落【0013】)、供給ガス流(LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG))から分流したものを冷媒として用いる冷凍サイクルを利用しない引用発明1とは技術的前提が異なることから、引用文献5に記載の供給ガス流を液化前に超臨界圧を含む高圧に圧縮するという技術事項を引用発明1に適用することは、当業者であっても容易には想到し得ない。 なお、その他の引用文献6~9にも、相違点2に係る本件発明2の構成を示唆する記載はない。 c.相違点3について LNGの主供給ラインに関し、引用発明1は、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給」するという構成を採用しているため、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)が、LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって一次加圧されたLNGを直接二次加圧する構成となっていないものである。 ここで、貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して主エンジンに燃料として供給するLNG供給ラインにおいて、排出ポンプで一次加圧されたLNGを高圧ポンプによって主エンジンで要求する圧力まで二次加圧し、その後気化器に供給する構成は、従来周知の技術事項(以下、「従来周知の技術事項2」という。)である(必要であれば、引用文献2の第6図(b)、引用文献3の【図9a】、【図9b】、【図10b】、引用文献4の図1~4、参照。)。 そして、装置の簡略化という一般的、普遍的な課題からすれば、引用発明1に上記従来周知の技術事項2を応用し、引用発明1のLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によってLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)とは別のタンクに一度排出し、さらに、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)によって加圧するという構成において、別のタンクに排出する経路を省略し、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)のLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって一次加圧し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)によって、一次加圧されたLNGを二次加圧する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たものというべきである。 d.小活 以上のとおりであるから、本件発明2は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ.本件発明11~14及び17について 本件発明11~13及び17は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに請求項11~13及び17に記載の発明特定事項を追加したものであり、本件発明14は、本件発明13の発明特定事項を全て含み、さらに請求項14に記載の発明特定事項を追加したものである。 したがって、本件発明11~14及び17と引用発明との間には、少なくとも上記ア.(ア)で指摘した相違点2が存在することとなる。そうすると、上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、本件発明11~14及び17は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ.本件発明5について (ア)対比 本件発明5と引用発明1とを対比する。 a.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)」は、本件発明5の「LNGを貯蔵している貯蔵タンク」に相当する。 また、同じく機能的、構造的にみて、引用発明1の「ME-GIエンジン(ME-GI)」及び「DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)」の「ディーゼルエンジン」は、本件発明5の「主エンジン」及び「副エンジン」に相当する。 そして、引用発明1の「LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、船舶であるLNG運搬船の液化ガスといえるLNGを燃料ガスとして供給して処理するシステムといえる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、本件発明5の「船舶の液化ガス処理システム」に相当するとともに、本件発明5の「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンを備えた船舶の液化ガス処理システム」に相当する。 b.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明5の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン」に相当する。 c.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路」は、本件発明5の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン」に相当する。 d.同じく、機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明5の「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン」に相当する。 e.本件発明5で使用されている圧力の単位baraは引用発明1のbarを、特に、絶対圧であることをと明記したものであるので、本件発明5の「bara」と引用発明1の「bar」は実質的に同じ単位である。 また、LNGおいては、その組成の8割程度がメタンからなることが技術常識であり、メタンの臨界圧力がおよそ46bara、臨界温度がおよそ-83℃であることからすれば、引用発明1において、Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)にいおて圧縮された後のLNGが、300bar、45℃であることは、当該LNGは超臨界状態となっているとえいえる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃と」することは、機能的に、本件発明5の「前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態と」することに相当する。 f.引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路」は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)であって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)を経由したBOG(BOG)のうち、ME-GIエンジン(ME-GI)と、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)とに供給されない、BOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前に、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、さらに、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路である。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路の、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とする」ことは、本件発明5の「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」こととの対比において、「BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」という限度で一致する。 g.引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」では、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給」されるものであるから、引用発明1のLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)の内部に設置されてLNGをLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)の外部に排出させる排出ポンプであるといえ、また、引用発明1の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGをME-GIエンジン(ME-GI)で要求する圧力まで加圧するための高圧ポンプであるといえる。したがって、引用発明1の「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)」は、本件発明2の「排出ポンプ」に相当し、引用発明1の「高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)」は、本件発明2の「高圧ポンプ」に相当する。 よって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」において、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出するものであり、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)は、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し、タンク外の高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)に供給するものであり、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)は、LNGを高圧気化器(HP Vaporiser)に供給し、高圧気化器(HP Vaporiser)で気化されたものが、300bar、45℃の燃料としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給される」ことは、本件発明5の「前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで二次加圧させるための高圧ポンプとを含」むこととの対比において、「前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで加圧させるための高圧ポンプとを含」むという限度で一致する。 以上のとおりであるから、本件発明5と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおり。 <一致点2> 「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン; 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、 前記BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み、 前記LNG主供給ラインの前記ポンプは、前記貯蔵タンクの内部に設置されてLNGを前記貯蔵タンクの外部に排出させる排出ポンプと、前記排出されたLNGを前記主エンジンで要求する圧力まで加圧させるための高圧ポンプとを含む船舶の液化ガス処理システム。」 <相違点A> 本件発明5は、「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ラインを含み」、「前記LNG副供給ラインは、前記高圧ポンプの上流側で前記LNG主供給ラインから分岐され」るものであり、しかも、「前記LNG副供給ラインは、燃料のメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるためにLNGから重炭化水素成分を分離する気液分離器と、前記気液分離器に供給されるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる気化器とを含み、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせる」ものであるのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 <相違点B> 本件発明5は、「前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる」「前記主エンジンに供給されていないBOG」が「前記超臨界状態となったBOG」であるのに対し、引用発明1では、「熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとし」た「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)」である点。 <相違点C> 本件発明5は、「高圧ポンプ」が「前記排出ポンプで一次加圧されたLNGを」「二次加圧させるための」ポンプであるのに対し、引用発明1は、「LNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGを別のタンクに排出し、LNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)によって、別のタンクに排出されたLNGを昇圧し」、タンク外の「高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)」は、当該別のタンクに排出されたLNGを昇圧するものである点。 (イ)判断 a.相違点Aについて LNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンを有する船舶において、貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを加圧して主エンジンに燃料として供給供給するラインの高圧ポンプの上流側から副エンジンに燃料として供給するラインを分岐させることによって設けることは、従来周知の技術事項(以下、「従来周知の技術事項3」という。)である(必要であれば、引用文献2の第6図(b)、引用文献3の【図9a】、【図9b】、【図10b】、引用文献4の図1~4、参照。)。 したがって、引用発明1において、上記従来周知の技術事項3を応用し、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)について、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されたLNGを加圧してDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に燃料として供給するラインを、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されたLNGを加圧してME-GIエンジン(ME-GI)(主エンジン)に燃料として供給するラインの高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)(高圧ポンプ)の上流側から分岐させて設けることが当業者にとって格別困難であるということはできない。 ここで、引用文献6には、LNGを燃料として使用するエンジンを動力源とする船舶において、エンジンのノッキングの防止のために、LNG燃料のメタン価をエンジンで要求する値に合わせるためにLNGから重炭化水素成分を分離する位相セパレータ42と、位相セパレータ42に供給させるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる強制蒸発器36であって、強制蒸発器36の加熱温度を調節することで燃料のメタン価をエンジンで要求する値に合わせる強制蒸発器36とを、エンジンへの燃料供給ラインに設けた技術が記載されている(引用文献6の段落【0015】、【0017】~【0023】、【図1】)。 引用発明1のDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)についても、エンジンのノッキング防止という課題は内在しているといえるから、引用発明1において、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)について、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されたLNGを加圧してDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に燃料として供給するラインを、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されたLNGを加圧してME-GIエンジン(ME-GI)(主エンジン)に燃料として供給するラインの高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)(高圧ポンプ)の上流側から分岐させて設けた場合、この分岐されたDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)への燃料供給ラインに上記引用文献6に記載の技術を適用する動機は十分にあるといえるし、適用を阻害する特段の要因も見当たらないから、当該分岐されたDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)への燃料供給ラインに上記引用文献6に記載の技術を適用することは当業者が容易に想到し得たものといえる。 よって、引用発明1において、相違点Aに係る本件発明5の構成となすことは、従来周知の技術事項3及び引用文献6に記載された技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 b.相違点Bについて 相違点Bは、上記ア.(ア)の相違点2と実質的に同じである。 したがって、上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、引用発明1において、相違点Bに係る本件発明5の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 c.相違点Cについて 貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して主エンジンに燃料として供給するLNG供給ラインにおいて、排出ポンプで一次加圧されたLNGを高圧ポンプで主エンジンで要求する圧力まで二次加圧し、その後気化器に供給する構成は、上記ア.(イ)c.で述べたとおり従来周知の技術事項2である。 そして、装置の簡略化という一般的、普遍的な課題からすれば、上記従来周知の技術事項2を参考に、引用発明1のLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によってLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)とは別のタンクに一度排出し、さらに、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)によって加圧するという構成において、別のタンクに排出する経路を省略し、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)のLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)によって一次加圧し、高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)によって、一次加圧されたLNGを二次加圧する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たものというべきである。 d.小活 以上のとおりであるから、本件発明5は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ.本件発明6について 本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含み、さらに請求項6に記載の発明特定事項を追加したものである。 したがって、本件発明6と引用発明1との間には、少なくとも上記ウ.(ア)で指摘した相違点Bが存在することとなる。そうすると、上記ウ.(イ)b.で引用している上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、本件発明6は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ.本件発明15について (ア)対比 本件発明15と引用発明1とを対比する。 a.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)」は、本件発明15の「LNGを貯蔵している貯蔵タンク」に相当する。 また、同じく機能的、構造的にみて、引用発明1の「ME-GIエンジン(ME-GI)」及び「DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)」の「ディーゼルエンジン」は、本件発明15の「主エンジン」及び「副エンジン」に相当する。 そして、引用発明1の「LNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、船舶であるLNG運搬船の液化ガスといえるLNGを燃料ガスとして供給して処理するシステムといえる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、 LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」は、本件発明15の「船舶の液化ガス処理システム」に相当するとともに、本件発明15の「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンを備えた船舶の液化ガス処理システム」に相当する。 b.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明15の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン」に相当する。 c.機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路」は、本件発明15の「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン」に相当する。 d.同じく、機能的、構造的にみて、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路」は、本件発明15の「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン」に相当する。 e.本件発明15で使用されている圧力の単位baraは引用発明1のbarを、特に、絶対圧であることをと明記したものであるので、本件発明15の「bara」と引用発明1の「bar」は実質的に同じ単位である。 また、LNGおいては、その組成の8割程度がメタンからなることが技術常識であり、メタンの臨界圧力がおよそ46bara、臨界温度がおよそ-83℃であることからすれば、引用発明1において、Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)にいおて圧縮された後のLNGが、300bar、45℃であることは、当該LNGは超臨界状態となっているとえいえる。 ここで、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃と」することは、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、複数個の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の複数個の圧縮シリンダを全部通過させて300bar、45℃とすることとえいる。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃と」することは、機能的に、本件発明15の「前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み、前記貯蔵タンクで発生したBOGを、前記複数個の圧縮シリンダを全部通過して150~400baraに圧縮して超臨界状態と」することに相当する。 f.引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路」は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)であって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)を経由したBOG(BOG)のうち、ME-GIエンジン(ME-GI)と、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)とに供給されない、BOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前に、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、さらに、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路である。 したがって、引用発明1の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路の、熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とする」ことは、本件発明15の「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」こととの対比において、「BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」という限度で一致する。 以上のおとりであるから、本件発明15と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおり。 <一致点3> 「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されているLNGを燃料として使用する主エンジン及び副エンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムであって、 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン; 前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記副エンジンに燃料として供給するBOG副供給ライン;及び 前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記主エンジンに燃料として供給するLNG主供給ライン; を含み、 前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み、前記貯蔵タンクで発生したBOGを、前記複数個の圧縮シリンダを全部通過して150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記BOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む船舶の液化ガス処理システム。」 <相違点X> 本件発明15は、「前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記副エンジンに燃料として供給するLNG副供給ラインを含」むものであるのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 <相違点Y> 本件発明15は、「前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる」「前記主エンジンに供給されていないBOG」が「前記超臨界状態となったBOG」であるのに対し、引用発明1では、「熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとし」た「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)」である点。 <相違点Z> 本件発明15は、「前記複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含み、前記圧縮機に含まれた複数個の前記圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたBOGは、オイルフィルタを経て移送される」ものであるのに対し、引用発明1は、このような限定がされていない点。 (イ)判断 a.相違点Xについて 相違点Xは、上記ア.(ア)の相違点1と実質的に同じである。 したがって、上記ア.(イ)a.で述べた理由と同様の理由により、引用発明1において、相違点Xに係る本件発明15の構成となすことは、上記従来周知の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たものといえる。 b.相違点Yについて 相違点Yは、上記ア.(ア)の相違点2と実質的に同じである。 したがって、上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、引用発明1において、相違点Yに係る本件発明15の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 c.相違点Zについて 引用文献1の第16頁には、5段の圧縮シリンダを持つLNG運搬船用のLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)が記載されており、続く第17~18頁で、Laby-GI圧縮機としてブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sが記載されている(Labyはブルクハルト社の登録商標)。第17~18頁の記載(第17頁の「Stages 1 to 3 labyrinth sealing,oil-free」、「Stages 4 to 5 ring sealing,lubricated」という記載、及び、第18頁(スライド番号<18>)の右図の「Labyrinth 1st to 3rd stage」、「Ring sealed 4th to 5th stage」という記載)から、このブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sは、5段の圧縮シリンダを持ち、前3段がオイルフリー方式(ラビリンスシール)で作動するものあり、後2段が潤滑油方式で作動するものあることが看て取れる。 そして、引用文献1の第21頁(スライド番号<21>)には、5段の圧縮シリンダを持つLNG運搬船用のLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)のオプションNo.2(Option No.2)として、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段を経由して39barとし、その後、熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liquid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する構成をもつものが記載されている。 引用文献1における、上記第16頁~21頁の記載内容からすれば、引用文献1の第21頁(スライド番号<21>)に記載のLNG運搬船用の5段の圧縮シリンダを持つLaby-GI圧縮機手段(The Laby-GI Compressor Solution for LNG Carriers)のオプションNo.2(Option No.2)のBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)は、第17頁~18頁に記載されたブルクハルト社(Burchardt Compression)のLaby-GI 6LP250-5Sであると解するのが自然である。 そうすると、引用発明1の「5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)」は、複数個の圧縮シリンダをもち、前記複数個の圧縮シリンダの中に、潤滑油方式で動作するものとオイルフリー方式で動作するものとを含んでいるもということができる。 そして、複数個の圧縮シリンダをもち、その内の一部が潤滑油方式で動作する圧縮機の圧縮シリンダを全部通過して圧縮したLNGは、当該潤滑油によって汚染されており、汚染が忌避される場合当該潤滑油を除去するオイルフィルタを使用することの示唆が、例えば、引用文献7の段落【0017】に示されているように当業者にとって周知・慣用の手段といえることから、引用発明1において、5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全ての圧縮シリンダを通過し圧縮したLNGから、潤滑油を除去するオイルフィルタを設けることは、圧縮したLNGに求められる品質などに応じて当業者が必要に応じて適宜なしうるものであるといえる。 d.小活 以上のとおりであるから、本件発明15は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 カ.本件発明16について 本件発明16は、本件発明15の発明特定事項を全て含み、さらに請求項16に記載の発明特定事項を追加したものである。 したがって、本件発明16と引用発明1との間には、少なくとも上記オ.(ア)で指摘した相違点Yが存在することとなる。そうすると、上記オ.(イ)b.で引用している上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、本件発明16は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 キ.本件発明18について (ア)対比 本件発明18と引用発明2とを対比する。 上記ア.(ア)での説示をも踏まえると、 a.引用発明2の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)と、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)によってLNGを処理する方法」は、本件発明18の「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムによって前記液化ガスを処理する方法」に相当する。 b.同じく、引用発明2の「前記燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)は、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路と、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と」「を含み」は、本件発明18の「前記液化ガス処理システムは、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ラインと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記エンジンに燃料として供給するポンプラインとを含み」に相当する。 c.引用発明2は、「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路と、」をもつから、引用発明の「ME-GIエンジン(ME-GI)」は、300baraの高圧の燃料が供給される主エンジンであり、「DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)」は、主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンであるといえる。 したがって、引用発明2の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に貯蔵されているLNGを燃料として使用するME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)を備えるLNG運搬船(LNG Carrier)のME-GIエンジン(ME-GI)とDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)のための燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System)」であって、「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の全てのシリンダを経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する経路と、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の1段目のシリンダを経由して4-6barとしてDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)に供給する経路と」含むとの構成により、本件発明18の「前記エンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと前記主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されると共に、前記副エンジンはDFエンジンであり、前記主エンジンはMEGIエンジンで」あるに相当する構成を有するといえる。 d.さらにまた、引用発明2の「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)を、熱交換器(Heat Exchanger)と5段の圧縮シリンダを持つBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)の前3段のシリンダを経由して39barとして、さらに前記熱交換器(Heat Exchanger)と膨張弁(Expansion Valve)を経由し気液混合状態(Liauid and Flash Gas)としてLNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)に供給する経路と」、この経路の「熱交換器(Heat Exchanger)によって、BCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)に導入される前の、LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)と熱交換し、膨張弁(Expansion Valve)によって、熱交換器(Heat Exchanger)を経由した後のBOG(BOG)を、減圧して気液混合状態(Liauid and Flash Gas)とする」ことは、本件発明18の「前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含む」こととの対比において、「前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記BOGのうち前記エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含む」という限度で一致する。 e.以上のとおりであるから、本件発明18と引用発明2との一致点及び相違点は次のとおりとなる。 <一致点> 「LNGを貯蔵している貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを供給されて燃料として使用するエンジンとを備えた船舶の液化ガス処理システムによって前記液化ガスを処理する方法であって、 前記液化ガス処理システムは、前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記エンジンに燃料として供給する圧縮機ラインと、前記貯蔵タンクに貯蔵されたLNGをポンプによって加圧して前記エンジンに燃料として供給するポンプラインとを含み、 前記エンジンは、150~400baraの高圧の燃料が供給される主エンジンと前記主エンジンより低圧の燃料が供給される副エンジンとで構成されると共に、前記副エンジンはDFエンジンであり、前記主エンジンはMEGIエンジンであり、 前記圧縮機によって前記貯蔵タンクで発生したBOGを150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記BOGのうち前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含む船舶の液化ガス処理方法。」 <相違点α> 本件発明18は、「前記ポンプラインを介してLNGを前記エンジンに供給する時、LNGから重炭化水素成分を分離することによってLNGのメタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせるメタン価調節ステップを含み、前記メタン価調整ステップは、前記副エンジンにLNGを供給するポンプラインに設置されたメタン価調節用の気化器と、前記メタン価調節用の気化器で加熱されて部分的に気化したLNGが供給されるメタン価調節用の気液分離機とを含んで、前記気化器での加熱温度を調節することで前記メタン価を前記副エンジンで要求する値に合わせ」ているのに対し、引用発明2は、「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)からLNGをLNG供給ポンプ(LNG Supply Pump)とLNG昇圧ポンプ(LNG Booster Pump)と高圧LNGポンプ(HP LNG Pump)及び高圧気化器(HP Vaporiser)を経由して300bar、45℃としてME-GIエンジン(ME-GI)に供給する」時、そのようなメタン価調整ステップを含んでいるか否かが規定されていない点。 <相違点β> 本件発明18は、「前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる工程」で使用される「前記主エンジンに供給されていないBOG」が「前記超臨界状態となったBOG」であるのに対し、引用発明2では、「熱交換器(Heat Exchanger)とBCA Laby-GI圧縮機(BCA Laby-GI compressor)を経由して39barとし」た「LNG貨物タンク(LNG Cargo Tanks)で発生したBOG(BOG)」である点。 (イ)判断 a.相違点αについて 引用文献6には、LNGを燃料として使用するエンジンを動力源とする船舶において、エンジンのノッキングの防止のために、LNG燃料のメタン価をエンジンで要求する値に合わせるためにLNGから重炭化水素成分を分離する位相セパレータ42と、位相セパレータ42に供給させるLNGに熱を加えることによってLNGを部分的に気化させる強制蒸発器36であって、強制蒸発器36の加熱温度を調節することで燃料のメタン価をエンジンで要求する値に合わせる強制蒸発器36とを、エンジンへの燃料供給ラインに設けた技術が記載されている(引用文献6の段落【0015】、【0017】~【0023】、【図1】)。 引用発明2のDF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)についても、エンジンのノッキング防止という課題は内在しているといえるから、引用発明2において、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)への燃料供給ラインに上記引用文献6に記載の技術を適用する動機は十分にあるといえ、DF Gensete(ディーゼルエンジンと発電機のセット)(DF Gensete)(副エンジン)への燃料供給ラインに上記引用文献6に記載の技術を適用することは当業者が容易に想到し得たものといえる。 よって、引用発明2において、相違点αに係る本件発明18の構成となすことは、引用文献6に記載された技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 b.相違点βについて 相違点βは、上記ア.(ア)の相違点2と実質的に同じである。 したがって、上記ア.(イ)b.で述べた理由と同様の理由により、引用発明2において、相違点βに係る本件発明18の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 c.小括 以上のとおりであるから、本件発明18は、引用文献1~引用文献9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ク.「取消理由2]についてのまとめ 上記ア.~キ.のとおりであるから、平成30年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由2によっては、本件請求項2、5、6、11~18に係る発明の特許を取り消すことはできない。 4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許異議申立人は、特許異議申立書において、平成28年7月13日にされた手続補正により補正された、請求項1の「前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含む」という補正事項、及び、請求項18の「前記主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化する工程を含む」という補正事項は、船舶の液化ガス処理方法における処理の順番として「熱交換させた」後、「減圧して液化させる」ことを要件としているが、熱交換後に液化させること、しかも、減圧して液化させることは、願書に最初に添付した明細書には記載されておらず、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではないから特許法第17条の2第3項に違反する旨主張する。 しかしながら、願書に最初に添付した図面の【図2】、【図5】、【図6】、【図9】、【図10】及び【図13】には、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGのうち主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、熱交換器21を通過させ、さらに、膨張機25、52を通過させるボイルオフガス復帰ラインL3が示されているとともに、願書に最初に添付した明細書の段落【0065】~【0067】、【0070】、【0096】~【0098】、及び、【0101】には、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGのうち主エンジンに燃料として供給されていないBOGが、熱交換器21を通過し、さらに、膨張機25、52を通過することが記載されている。そして、これらの明細書及び図面の記載から、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGのうち主エンジンに燃料として供給されていないBOGが、熱交換器21を通過することによって熱交換され、その後、膨張機25、52を通過することによって膨張され、最終的に液化されることが記載されているといえる。 したがって、願書に最初に添付した明細書及び図面には、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGのうち主エンジンに燃料として供給されていないBOGを、熱交換器21を通過させ熱交換した後、膨張機25、52を通過させ減圧して、液化させるという事項が記載されているといえ、平成28年7月13日にされた手続補正により補正された、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるといえる。 (2)特許異議申立人は、特許異議申立書において、請求項15に関し概ね次のように主張する。 (i)平成28年7月13日にされた手続補正により補正された、請求項15の「前記高圧圧縮機に含まれた複数個の前記圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたボイルオフガスをオイルフィルタを経て移送する」という補正事項は、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGの分岐を前提とせずオイルフィルタを使用することも含まれるが、高圧圧縮機によって圧縮されたBOGの分岐を前提とせずオイルフィルタを使用することは、願書に最初に添付した明細書には記載されていない。 (ii)上記補正事項によって、高圧圧縮機の2段や3段でBOGを分岐させるとき、ボイルオフガスをオイルフィルタを経て移送することも含まれることとなるが、この点は、願書に最初に添付した明細書には記載されていない。 (3)上記特許異議申立人の主張に対する当審の判断は以下のとおりである。 (i)について 訂正後の請求項15に係る発明は、「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン」と、「前記BOG主供給ラインの前記圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み、前記貯蔵タンクで発生したBOGを、前記複数個の圧縮シリンダを全部通過して150~400baraに圧縮して超臨界状態とし、前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含み」という発明特定事項を含んでいるから、「前記貯蔵タンクで発生したBOGを圧縮機によって圧縮して前記主エンジンに燃料として供給するBOG主供給ライン」から「前記超臨界状態となったBOGのうち前記主エンジンに供給されていないBOGを、前記貯蔵タンクから排出されて前記圧縮機に移送される前のBOGと熱交換させた後、減圧して液化させる熱交換器及び減圧手段を含」むラインが分岐していることは明らかである。 したがって、訂正後の請求項15に係る発明は、分岐を前提としてオイルフィルタを使用するものとなっている。 なお、この点は、訂正前の請求項15に係る発明においても同様である。 (ii)について 訂正後の請求項15に係る発明は、「前記高圧圧縮機は、複数個の圧縮シリンダを含み」、「前記高圧圧縮機に含まれる複数個の圧縮シリンダを全部通過して圧縮されたBOGをオイルフィルタを経て移送すること」という発明特定事項を含んでいるから、そもそも、高圧圧縮機の2段や3段でBOGを分岐させるという態様を想定していないものといえる。 なお、請求項15に関する訂正事項14が新規事項の追加にならないことは、上記第2の3.(6)イ.を参照されたい。 (4)小括 上記(1)~(3)のとおりであるから、取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立人の上記主張は採用することはできない。 第5 むすび 以上のとおり、本件請求項2、5、6及び11~18に係る発明の特許については、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、特許を取り消すことができない。さらに、他に本件請求項2、5、6及び11~18に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件請求項1、3、4及び7~10に係る発明の特許は、上記のとおり訂正によって削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立について、本件請求項1、3、4及び7~10に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700361

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