特許異議申立
2017-700305
目地構造を有する壁、及び目地施工方法
- 審判番号
- 2017-700305
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-051132
- 登録番号
- 特許第5999464号(P5999464)
- 請求日
- 2017年03月27日
- 審決日
- 2017年09月12日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】セメダイン株式会社
- 【権利者代理人】今 智司
- 【権利者】積水ハウス株式会社
- 【権利者代理人】今 智司
- 【異議申立人】森谷 晴美
- 【異議申立人】中嶋 はな代
- 審判長/審判官
- 審判長 小野 忠悦
- 審判官 井上 博之
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1651.121-YAA(E04F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5999464号発明「目地構造を有する壁、及び目地施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5999464号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、5について、訂正することを認める。
特許第5999464号の請求項3ないし4に係る特許を維持する。
特許第5999464号の請求項1ないし2、5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5999464号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成28年3月15日(優先権主張平成28年1月29日)に特許出願され、平成28年9月9日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人森谷晴美(以下「申立人A」という。)より請求項1ないし2、5に対して、中嶋はな代(以下「申立人B」という。)より請求項1ないし5に対して特許異議の申立てがされ、平成29年6月7日付けで取消理由(発送日同年6月14日)が通知され、その指定期間内である同年8月10日に意見書の提出及び訂正請求がなされれたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
2 訂正の適否
訂正事項1~3は、それぞれ請求項1、2、5を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正前の請求項1、2は、請求項2が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。
3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1、2、5について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の請求項3、4に係る発明
上記訂正請求による訂正の内容は、請求項1、2、5を削除するものであるため、請求項3、4に係る発明(以下、「本件発明3」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、訂正前後で変更はなく、その特許請求の範囲の請求項3、4に記載された、以下のとおりのものである。
本件発明3
「【請求項3】
構造物の目地構造を有する壁であって、
第1の被着体と、
前記第1の被着体との間に間隙を挟んで隣り合う位置に配置される第2の被着体と、
前記間隙にプライマーを介して充填される一液常温湿気硬化型シーリング材であって、前記一液常温湿気硬化型シーリング材が、
(A1成分)主鎖骨格が、数平均分子量20,000以上のアクリル酸ブチル単量体単位から構成される重合体と、
(A2成分)主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体であり末端に架橋性ケイ素基を有する重合体と、
(B)単官能エポキシ化合物と、
(C)水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物とを含有し、
前記(A1成分)と前記(A2成分)との合計100質量部に対し、前記(A1成分)が30質量部以上90質量部以下の範囲内である一液常温湿気硬化型シーリング材組成物を硬化させて得られる目地構造を有する壁。」
本件発明4
「【請求項4】
前記(A1成分)が、少なくともアクリル酸ブチルと、ジエチル2,5-ジブロモアジペートとを反応させてなる重合体である請求項3に記載の目地構造を有する壁。」
2 取消理由の概要
請求項3、4に係る特許に対して平成29年6月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項3、4に係る発明は、刊行物3及び刊行物2に記載された発明、並びに刊行物10記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。したがって、本件特許の請求項3、4に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
刊行物1:経済産業省委託平成21年度基準認証研究開発委託費「住宅用外装材の長期耐久性評価手法に関する標準化成果報告書」、財団法人建材試験センター、平成22年3月、表紙、目次、p.1、11、66、121、122、127-129、147、151(申立人Aの甲第1号証)
刊行物2:特開2007-100378号公報(申立人Aの甲第2号証、申立人Bの甲第2号証)
刊行物3:特開平10-219960号公報(申立人Aの甲第3号証、申立人Bの甲第1号証)
刊行物4:「NPO法人住宅外装テクニカルセンター規格JTCS-0001窯業系サイディング用シーリング材」、NPO法人住宅外装テクニカルセンター、平成16年9月1日、表紙、p.1-12(申立人Aの甲第4号証、申立人Bの甲第6号証)
刊行物5:「建築用シーリング材1成分形変成シリコーン系ボンド変成シリコーンコークLM<窯業系サイディング用>」、コニシ株式会社、1996年9月、p.1、3-6(申立人Aの甲第5号証)
刊行物6:「SEALANTボンドシーリング材」、コニシ株式会社、2002年8月、表紙、p.9、10、裏表紙(申立人Aの甲第6号証)
刊行物7:「低モジュラス1成分形ポリウレタンシーリング材ALCコーク」、オート化学工業株式会社、表紙、p.1-3(申立人Aの第7号証)
なお、2枚目右下の写真「昭和52年施工 JR常磐線荒川沖駅」によれば、本件特許の出願前に頒布されていたと推認される。
刊行物8:特開2010-248366号公報(申立人Bの甲第3号証)
刊行物9:特開2003-3034号公報(申立人Bの甲第4号証)
刊行物10:特開2015-183037号公報(申立人Bの甲第5号証)
刊行物11:「JIS建築用シーリング材の試験方法JIS A 1439 日本工業標準調査会審議」、日本規格協会、1997年、表紙、p.5-8、20、21(申立人Bの甲第7号証)
3 特許法第29条第2項について(進歩性の欠如違反)
(1)刊行物
ア 刊行物3の記載
刊行物3には、申立人Bが主張するとおり、以下の発明(以下「刊3発明」という。)が記載されている(申立人Bの申立書8頁17行~23行)。
刊3発明
「構造物の目地構造を有する壁であって、
第1の被着体と、
前記第1の被着体との間に間隙を挟んで隣り合う位置に配置される第2の被着体と、
前記間隙にプライマーを介して充填される、50%伸長時の引張応力が0.5~3.0Kgf/cm2の低モジュラスな弾性体であるシーリング材と
を備える目地構造を有する壁。」
イ 刊行物2の記載
刊行物2には、申立人Bが主張するとおり、以下の発明(以下「刊2発明」という。)が記載されている(申立人Bの申立書12頁1行~7行)。
刊2発明
「構造物の目地構造を有する壁であって、
第1の被着体と、
前記第1の被着体との間に間隙を挟んで隣り合う位置に配置される第2の被着体と、
前記間隙にプライマーを介して充填される、低モジュラス、高伸びでゴム弾性に優れている一液常温湿気硬化型シーリング材と
を備える目地構造を有する壁。」
ウ 刊行物10の記載
刊行物10には、申立人Bが主張するとおり、以下の記載事項(以下「刊10記載事項」という。)が記載されている(申立人Bの申立書18頁13行~14行)。
刊10記載事項
「単官能エポキシ化合物を添加した硬化性組成物は、熱暴露後の破断時伸びも改善されている」
(2)判断
ア 本件発明3
(ア)本件発明3と刊3発明、刊2発明の対比
本件発明3と、刊3発明又は刊2発明を対比すると、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
「構造物の目地構造を有する壁であって、
第1の被着体と、
前記第1の被着体との間に間隙を挟んで隣り合う位置に配置される第2の被着体と、
前記間隙にプライマーを介して充填される一液常温湿気硬化型シーリング材を
備える目地構造を有する壁」
<相違点>
一液常温湿気硬化型シーリング材について、本件発明3が
「(A1成分)主鎖骨格が、数平均分子量20,000以上のアクリル酸ブチル単量体単位から構成される重合体と、
(A2成分)主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体であり末端に架橋性ケイ素基を有する重合体と、
(B)単官能エポキシ化合物と、
(C)水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物とを含有し、
前記(A1成分)と前記(A2成分)との合計100質量部に対し、前記(A1成分)が30質量部以上90質量部以下の範囲内である一液常温湿気硬化型シーリング材組成物を硬化させて」いるのに対し、
刊3発明、又は刊2発明はそのような特定がなされていない点
(イ)相違点について
相違点について検討するに、刊10記載事項において、シーリング材に関して、「単官能エポキシ化合物を添加した硬化性組成物は、熱暴露後の破断時伸びも改善されている」ことが開示されているものの、本件発明3における(A1成分)、(A2成分)及び両成分の混合比(以下「A1A2構成」という。)については開示されていない。また、刊行物1、4~9、11にも、上記A1A2構成について開示されていない。
そして、本件発明3は、上記相違点に係る上記A1A2構成及び構成(B)、(C)によって、「加熱後のモジュラスの変化率が低く、柔軟性を保つ」という効果を実現したものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明3は、刊行物1~刊行物11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明4
本件発明4は、本件発明3を減縮したものであり、本件発明3と同様の理由(上記ア参照)で、刊行物1~刊行物11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 請求項1、2、5に対する特許異議の申立てについて
上記第2のとおり、請求項1、2、5を削除する本件訂正が認められたので、請求項1、2、5に対する本件特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。
したがって、請求項1、2、5に対する本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項3、4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項3、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1、2、5に対する本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-700305