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特許異議申立

2023-700562

屋根延焼防止構造及び屋根延焼防止構造の施工方法

審判番号
2023-700562
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-083860
登録番号
7188266
請求日
2023年05月31日
審決日
2024年08月30日
公報発行日
2024年12月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】積水ハウス株式会社
  • 【権利者代理人】渡辺 三彦
  • 【権利者代理人】水内 龍介
  • 【異議申立人】シャープエネルギーソリューション 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 立澤 正樹
分類
P1651.16 -YAA(E04D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第4項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7188266号発明「屋根延焼防止構造及び屋根延焼防止構造の施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7188266号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7188266号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7188266号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成31年4月25日に出願され、令和4年12月5日にその特許権の設定登録がされ、同月13日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。 令和5年 5月31日 特許異議申立人シャープエネルギーソリューション株式会社(以下「申立人」という。)による請求項1~5に係る発明の特許に対する特許異議の申立て 同年 8月31日付け 取消理由通知 同年10月31日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年12月 6日 特許権者による手続補正書の提出 令和6年 1月18日 申立人による意見書の提出 同年 3月15日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 5月14日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 申立人に対し、令和6年5月24日付けで特許権者より提出された訂正の請求について期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは何らの応答もなかった。 なお、令和6年5月14日に訂正請求書が提出されたことにより、令和5年10月31日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和6年5月14日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第7188266号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであって、その内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部を有することを特徴とする屋根延焼防止構造。」と記載されているのを「前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置されることを特徴とする屋根延焼防止構造。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記延焼防止金属板は、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有することを特徴とする請求項1に記載の屋根延焼防止構造。」と記載されているのを 「 瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であり、 前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成されることを特徴とする屋根延焼防止構造。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、「前記延焼防止金属板は、前記嵌合部と前記下地材被覆部とによって形成される第1入り隅部、及び前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴を形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋根延焼防止構造。」と記載されているのを、 「 瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記延焼防止金属板は、前記嵌合部と前記下地材被覆部とによって形成される第1入り隅部、及び前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成されることを特徴とする屋根延焼防止構造。」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「前記延焼防止金属板の前記嵌合部を上方から前記瓦桟木に嵌め込むとともに、前記下地材被覆部によって隣り合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆し、」と記載されているのを「前記延焼防止金属板の前記嵌合部を上方から前記瓦桟木に嵌め込むとともに、前記下地材被覆部によって隣り合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆して、前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とを重ねて前記延焼防止金属板を配置し、」に訂正する。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項1~5について、訂正前の請求項2~5は直接又は間接的に請求項1を引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項の有無 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、延焼防止金属板を「前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有」するものに特定して限定するとともに、屋根延焼防止構造を「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置される」ものと特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0023】には、「延焼防止金属板5は、・・・嵌合部51の一方の下端から嵌合部51と反対の方向へ水平に延出する下地材被覆部52と、嵌合部51の他方の下端から嵌合部51と反対の方向へ水平に延出する返し片53と、を有している」と記載され、同段落【0009】には「隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部」と記載されている。また、【図10】には、以下の図が示され、「下地材被覆部52の端が、水下側に隣合う延焼防止金属板5の嵌合部51の他方の下端に突き当たるように、下地材被覆部52と返し片53とが重なって延焼防止金属板5、5が配置される様子が看て取れる。 [図:0001417609000001.jpg] したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用していたところ、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項に改めるとともに、「前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であり、前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成される」ことを特定して限定するものであるから、訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア)「前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であ」る点について、本件明細書の段落【0023】には、「嵌合部51は、瓦桟木3の形状に合わせて形成されており、・・・」と記載され、同段落【0026】には、「嵌合部51を瓦桟木3に嵌め込む・・・」と記載され、また、図10からは、嵌合部51の軒先方向の幅の長さと、瓦桟木3の軒先方向の幅の長さとが、同一である様子が看て取れる。 (イ)「前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成される」点について、本件明細書の段落【0023】には「嵌合部51と下地材被覆部52とによって形成される第1入り隅部51b、及び嵌合部51と返し片53とによって形成される第2入り隅部51cには、それぞれ板厚方向へ貫通する水抜き穴51dが500mm程度間隔で形成されており、延焼防止金属板5上に流れ落ちてきた雨水を板上に溜めることなく、水下側へ効果的に流れ落とすことができる」と記載されている。 (ウ)よって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2に係る訂正の目的は、上記のとおりであるから、訂正事項2は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が「請求項1又は請求項2」の記載を引用していたところ、そのうちの訂正前の請求項2の記載を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項に改めるとともに、「水抜き穴を形成される」と記載されていたものについて助詞を正して「水抜き穴が形成される」とするものであるから、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、誤記の訂正を目的とするものである。 訂正事項3に係る訂正の目的は上記のとおりであるから、訂正事項3は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4に係る訂正は、屋根延焼防止構造の施工方法において、「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とを重ねて前記延焼防止金属板を配置」するものに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 訂正事項4は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、上記(1)イにおいて訂正事項1について検討したのと同様の理由により、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~5について、訂正前の請求項2~5は直接又は間接的に請求項1を引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、2号及び4号に掲げる事項を目的とし、同法120条の5第9項により準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正請求は認められるから、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、請求項番号に対応して「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置されることを特徴とする屋根延焼防止構造。 【請求項2】 瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であり、 前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成されることを特徴とする屋根延焼防止構造。 【請求項3】 瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記延焼防止金属板は、前記嵌合部と前記下地材被覆部とによって形成される第1入り隅部、及び前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成されることを特徴とする屋根延焼防止構造。 【請求項4】 前記嵌合部の高さは、前記瓦桟木の高さよりも低いことを特徴とする請求項3に記載の屋根延焼防止構造。 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載の屋根延焼防止構造を用いた屋根延焼防止構造の施工方法であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に前記瓦桟木を配設し、 前記延焼防止金属板の前記嵌合部を上方から前記瓦桟木に嵌め込むとともに、前記下地材被覆部によって隣り合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆して、前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように、前記下地材被覆部と前記返し片とを重ねて前記延焼防止金属板を配置し、 前記太陽電池モジュールを前記嵌合部の上部に配置するとともに、前記嵌合部の上面を挟んで前記瓦桟木にビス固定することを特徴とする屋根延焼防止構造の施工方法。 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 令和5年10月31日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項2に係る発明に対して、令和6年3月15日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 本件特許の請求項2に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特願2019-73289号(特開2020-172742号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定に違反して特許されたものである。 第5 当審の判断 1 証拠の記載 (1)甲第1号証について ア 甲第1号証の記載 本件特許に係る出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもない、特願2019-73289号(特開2020-172742号)(甲第1号証。以下「甲1」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様)。 (ア)「【0034】 続いて、本実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの構造および敷設手順、すなわち、太陽電池モジュール1の屋根取付構造および設置手順を、図3ないし図9を参照して説明する。 ・・・ 【0036】 複数枚の太陽電池モジュール1を水流れ方向Aに沿って設置するときには、軒側から棟側に向かって順に設置される。このため、以下の説明では、住宅用太陽光発電システムにおいて最も軒側に設置される太陽電池モジュール1を1列目とし、棟側に向かって2列目、3列目…と数えるものとする。 【0037】 住宅用太陽光発電システムが敷設される屋根は、野地板6の上にルーフィング7が敷かれ、ルーフィング7の上に瓦5や太陽電池モジュール1を引っ掛けるための桟木8が所定間隔で配置されている。 【0038】 住宅用太陽光発電システムの敷設作業の第1段階では、図3に示すように、屋根の最も軒側に瓦5が取り付けられる。具体的には、瓦5の後端が桟木8に引っ掛けられ、桟木8に木ねじ等により固定される。このとき、瓦5の上面5aの後端部分には、前固定金具91が載置され、前固定金具91は木ねじ等により瓦5と共締めされる。瓦5と共締めされた前固定金具91は、瓦5の上面5aとの間に軒側が開放された隙間を形成し、この隙間に前枠31の第1係合部312を係合するようになっている。 【0039】 瓦5および前固定金具91が設置されると、同じく図3に示すように、瓦5の棟側に軒用不燃板41が載置される。軒用不燃板41は、1列目の太陽電池モジュール1の下方に配置されるものであり、太陽電池モジュール1のモジュールやケーブルから発火したときに、屋根への延焼を防ぐためもの防火用不燃板である。軒用不燃板41は、不燃性であればその材料は特に限定されるものではないが、鋼板等が好適に使用できる。」 (イ)「【0040】 図4は、軒用不燃板41の平面図および断面図である。軒用不燃板41の前端(軒側端部)には、上方に立設され、さらに軒側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の屈曲部411が形成されている。軒用不燃板41の後端(棟側端部)には、上方に凸形状であり、断面略コ字形状の凸部412が形成されている。凸部412のさらに後方(棟側)には、平板部413が繋がって形成されている。また、軒用不燃板41には、軒用不燃板41上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられていてもよい。 【0041】 軒用不燃板41は、屈曲部411を瓦5の後端に載せ、凸部412を桟木8に載せるように載置される。こうして載置された軒用不燃板41は、ルーフィング7との間にある程度の空間を設けて(すなわち、ルーフィング7と離隔して)設置することが可能となっている。さらに、凸部412が桟木8に引っ掛かることにより、施工途中に軒用不燃板41が勾配屋根において重力により滑り落ちることを防止して施工性を向上させる効果もある。 ・・・ 【0043】 軒用不燃板41が載置されると、図5に示すように、その上に1列目の太陽電池モジュール1が設置される。このとき、1列目の太陽電池モジュール1から引き出されるケーブル11やコネクタ12も、軒用不燃板41の上に載置される。尚、ここでは、ケーブル11やコネクタ12が特許請求の範囲に記載のケーブル部材に相当する。 【0044】 1列目の太陽電池モジュール1の設置には後固定金具92が使用される。図6は、後固定金具92を示す図であり、(a)が平面図、(b)が(a)のA-A断面図である。 【0045】 後固定金具92の前端(軒側端部)には、上方に立設され、さらに棟側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の第4係合部921が形成されている。尚、第4係合部921には、図6(a)に示すように、複数の切欠きが形成されていてもよい。後固定金具92の後端(棟側端部)には、下方に立設した係合片922が形成されている。係合片922は、後固定金具92の後端に複数のスリット状の切込みを入れ、この切込みに挟まれた箇所を下方に折り曲げることによって形成される。 【0046】 太陽電池モジュール1の設置の前段階として、図5に示すように、太陽電池モジュール1に後固定金具92が取り付けられる。具体的には、後枠32の第3係合部323に後固定金具92の第4係合部921を係合させることによって、太陽電池モジュール1に後固定金具92が取り付けられる。 【0047】 後固定金具92が取り付けられた太陽電池モジュール1は、前枠31の第1係合部312を前固定金具91に係合させ、かつ、後固定金具92を桟木8に載せるようにして配置される。このとき、後固定金具92の係合片922は桟木8の棟側に位置し、配置された太陽電池モジュール1が重力によって滑り落ちることを防止する。配置された太陽電池モジュール1は、後固定金具92を先に載置されていた軒用不燃板41と共に、木ねじ等により桟木8に共締めすることで設置(固定)される。このため、軒用不燃板41には複数のねじ穴414が所定間隔で形成されており(図4参照)、後固定金具92には複数のねじ穴923が所定間隔で形成されている(図6参照)。」 (ウ)「【0048】 1列目の太陽電池モジュール1が設置されると、図7に示すように、1列目の太陽電池モジュール1の棟側に一般用不燃板42が載置される。一般用不燃板42は、2列目以降の太陽電池モジュール1の下方に配置されるものであり、太陽電池モジュール1のモジュールやケーブルから発火したときに、屋根への延焼を防ぐための防火用不燃板である。一般用不燃板42は、軒用不燃板41と同様に、不燃性であればその材料は特に限定されるものではないが、鋼板等が好適に使用できる。 【0049】 図8は、一般用不燃板42の平面図および断面図である。一般用不燃板42の後端(棟側端部)には、上方に凸形状であり、断面略コ字形状の凸部421が形成されている。凸部421のさらに後方(棟側)には、平板部422が繋がって形成されている。また、一般用不燃板42においても、一般用不燃板42上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられていてもよい。また、一般用不燃板42においても、複数のねじ穴423が所定間隔で形成されている。 【0050】 一般用不燃板42は、その前端(軒側端部)を軒用不燃板41の平板部413に載せ、凸部421を桟木8に載せるように載置される。こうして載置された一般用不燃板42は、ルーフィング7との間にある程度の空間を設けて設置することが可能となっている。さらに、凸部421が桟木8に引っ掛かることにより、施工途中に一般用不燃板42が勾配屋根において重力により滑り落ちることを防止して施工性を向上させる効果もある。 ・・・ 【0052】 一般用不燃板42が載置されると、図9に示すように、その上に2列目の太陽電池モジュール1が設置される。尚、太陽電池モジュールから引き出されるケーブルやコネクタは、当該モジュールの下側(裏側)に配置されることもあれば、モジュール棟側に引き上げられる(つまり当該モジュールの下側には配置されない)場合もある。このとき、ケーブル11やコネクタ12が太陽電池モジュール1の下側(裏側)に配置されるものであれば、2列目の太陽電池モジュール1から引き出されるケーブル11やコネクタ12も、一般用不燃板42の上に載置することができる。」 (エ)「【0055】 以上のように、本実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムでは、太陽電池モジュール1の下方に防火用不燃板である軒用不燃板41または一般用不燃板42が配置されており、これらの防火用不燃板は太陽電池モジュール1とは別部材であり、かつ太陽電池モジュール1とは離隔されている。そして、これらの防火用不燃板の上にはケーブル11やコネクタ12も載置できるようになっている。図11は、太陽電池モジュール1と防火用不燃板との重なり具合を示す平面図である。尚、図11では、防火用不燃板(ここでは一般用不燃板42)を斜線ハッチングにて示している。図11に示すように、これらの防火用不燃板は、太陽電池モジュール1の配置領域を全面的に覆うようにして太陽電池モジュール1と屋根との間に介在する。 【0056】 このため、太陽電池モジュール1が「鋼板等なし型」である場合に、モジュールやケーブルから発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる。尚、ケーブル11やコネクタ12は、必ずしも防火用不燃板の上に載置されていなくてもよく、太陽電池モジュール1と防火用不燃板との間に配置されていればよい。この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。」 (オ)【図3】、【図4】、【図8】、【図9】、【図11】は以下のとおり。 【図3】 「 [図:0001417609000002.jpg] 」 【図4】 「 [図:0001417609000003.jpg] 」 【図8】 「 [図:0001417609000004.jpg] 」 【図9】 「 [図:0001417609000005.jpg] 」 【図11】 「 [図:0001417609000006.jpg] 」 (カ)上記(ア)の「ルーフィング7の上に瓦5や太陽電池モジュール1を引っ掛けるための桟木8が所定間隔で配置されている。」(段落【0037】)との記載を踏まえると、上記(オ)の【図3】、【図9】、【図11】からは、桟木8はルーフィング7の上に所定間隔で平行に配設される長尺な部材であることが看取される。 (キ)上記(ア)の記載を踏まえると、上記(オ)の【図9】からは、太陽電池モジュール1は桟木8上部に敷設されることが看取される。 (ク)上記(ア)ないし(ウ)の記載を踏まえると、上記(オ)の【図9】、【図11】からは、軒用不燃板41及び一般用不燃板42は、桟木8と、太陽電池モジュール1と、の間に配置され、隣り合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面及びルーフィング7上に露出する桟木8の露出面全体を被覆するものであることが看取される。 (ケ)上記(イ)の記載を踏まえると、上記(オ)の【図3】及び【図4】からは、凸部412の軒側には、軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分が繋がって形成されていることが看取される。 (コ)上記(ウ)の記載を踏まえると、上記(オ)の【図8】及び【図9】からは、凸部421の軒側には、軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分が繋がって形成されていることが看取される。 (サ)上記(イ)及び(ウ)の記載を踏まえると、上記(オ)の【図9】からは、凸部412及び凸部421の軒先方向の幅の長さは、桟木8の軒先方向の幅の長さよりも長いことが看取される。 イ 甲1発明 上記アによれば、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。(当審注:便宜のために関連する段落番号、図番号を付した。) (甲1発明) 野地板6の上にルーフィング7が敷かれ、ルーフィング7の上に瓦5や太陽電池モジュール1を引っ掛けるための桟木8が所定間隔で配置されている、住宅用太陽光発電システムが敷設される屋根の太陽電池モジュール1の屋根取付構造であって、(【0034】、【0037】) 屋根に瓦5が取り付けられ、(【0038】) 桟木8はルーフィング7の上に所定間隔で平行に配設される長尺な部材であり、(【図11】等) 太陽電池モジュール1は桟木8上部に敷設され、(【図9】等) 軒用不燃板41及び一般用不燃板42は、桟木8と、太陽電池モジュール1と、の間に配置され、隣り合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面及びルーフィング7上に露出する桟木8の露出面全体を被覆するものであり、鋼板等が好適に使用でき、(【0039】、【0048】、【図9】、【図11】) 軒用不燃板41の棟側端部には、断面略コ字形状の凸部412が形成され、凸部412のさらに棟側には、平板部413が繋がって形成され、凸部412の軒側には、軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分が繋がって形成され、また、軒用不燃板41上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられ、屈曲部411を瓦5の後端に載せ、凸部412を桟木8に載せるように載置され(【0040】、【0041】、【図3】、【図4】) 一般用不燃板42の棟側端部には、断面略コ字形状の凸部421が形成され、凸部421のさらに棟側には、平板部422が繋がって形成され、凸部421の軒側には、軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分が繋がって形成され、また、一般用不燃板42においても、一般用不燃板42上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられ、一般用不燃板42は、その前端(軒側端部)を軒用不燃板41の平板部413に載せ、凸部421を桟木8に載せるように載置され(【0049】、【0050】、【図8】、【図9】) 凸部412及び凸部421の軒先方向の幅の長さは、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さよりも長く、(【0041】、【0050】、【図9】) 太陽電池モジュール1の下方に防火用不燃板である軒用不燃板41または一般用不燃板42が配置され、これらの防火用不燃板は、太陽電池モジュール1の配置領域を全面的に覆うようにして太陽電池モジュール1と屋根との間に介在し、このため、モジュールやケーブルから発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる、(【0055】、【0056】) 太陽電池モジュール1の屋根取付構造。 ウ 上記アによれば、甲1には以下の発明(以下「甲1方法発明」という。)が記載されている。 (甲1方法発明) 甲1発明の太陽電池モジュール1の設置手順。 (2)参考資料5について ア 参考資料5の記載 申立人が令和6年 1月18日提出の意見書に添付して提出した参考資料5(特開2009-150186号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。)。 (ア)「【背景技術】 【0002】 野地板などの屋根下地材1の上に屋根材2を葺く施工を行なうにあたっては、軒側端部から棟側へと屋根材2を葺き並べて行なわれるが、軒棟方向に隣り合う屋根材2は、軒側に位置する屋根材2の棟側端部の上に棟側に位置する屋根材2の軒側端部を重ねるようにして接続されている。このように、各屋根材2は軒側端部が他の屋根材2の上に載置された状態で傾斜しているが、軒側の端部に位置する屋根材2の傾斜を他の屋根材2と同じ傾斜にするために、図7に示すように、屋根下地材1の軒側端部の上に軒先受桟Aを取り付け、この軒先受桟Aの上に屋根材2の軒側端部を載置するようにしている。 【0003】 ここで、屋根材2の下側に雨水が浸入しても、この雨水は屋根下地材1の上を屋根傾斜に沿ってa矢印のように軒側へと流れ、軒先から排出されるが、屋根下地材1の軒側端部に取り付けた軒先受桟Aでこの雨水が堰き止められると、雨水は軒先受桟Aの棟側の部分(イ矢印で示す)に滞留し、屋根下地材1へと雨水が漏水するおそれがある。 【0004】 そこで、図8に示すような軒先受桟Aが提案されている。この軒先受桟Aは、下向き開口の断面コ字型に形成される本体部5の軒側と棟側の各側片4,4の下端に接地片6をそれぞれ外方へ突出して形成してある。そして棟側と軒側の各側片4,4の下端部にそれぞれ水抜き孔7,8が穿設してある(特許文献1参照)。 (イ)図8は以下のとおり。 「 [図:0001417609000007.jpg] 」 (3)参考資料6について ア 参考資料6の記載 申立人が令和6年 1月18日提出の意見書に添付して提出した参考資料6(特許第5073437号公報)には、以下の記載がある。 (ア)「【0026】 7は、縦フレーム4上にこれと直交して固定される、市販サイズのハット形鋼からなる横フレームである。横フレーム7は、横フレーム7上に乗せられたフランジ7Aを、縦フレーム4にボルト8により固定される固定板9により押え付けることによって、縦フレーム4上に固定される。横フレーム7の屋根勾配方向上流側コーナー部には、水抜き孔7Bが形成され、雨水等が横フレーム7の前記コーナー部に溜まらないようになっている。横フレーム7の高さは、ソーラーパネル(P)の厚さと略等しい。」 (イ)図1は以下のとおり。 「 [図:0001417609000008.jpg] 」 2 当審の判断 (1)対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「瓦5が取り付けられ」る「屋根」及び「太陽電池モジュール1」は、それぞれ、本件発明2の「瓦屋根」及び「太陽電池モジュール」に相当し、甲1発明の「野地板6」及び「野地板6の上」に「敷かれ」た「ルーフィング7」は、本件発明2の「屋根下地材」に相当する。 イ 甲1発明の「ルーフィング7の上に所定間隔で平行に配設される長尺な部材であ」る「桟木8」は、本件発明2の「屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木」に相当する。 ウ 甲1発明において「太陽電池モジュール1は桟木8上部に敷設され」ることは、本件発明2の「太陽電池モジュール」が「瓦桟木上部に敷設される」ことに相当する。 エ 甲1発明の「桟木8と、太陽電池モジュール1と、の間に配置され、隣り合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面及びルーフィング7上に露出する桟木8の露出面全体を被覆するものであ」り、「鋼板等」が「使用」される、「防火用不燃板である」、「軒用不燃板41及び一般用不燃板42」は、「防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され」るものであるから、本件発明2の「前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板」に相当する。 オ 上記エの対比を踏まえると、「軒用不燃板41」及び「一般用不燃板42」に、「桟木8に載せるように載置され」る「凸部412」及び「凸部421」がそれぞれ「形成され」ることは、本件発明2の「前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部を有する」ことに相当する。 カ 甲1発明の「太陽電池モジュール1の屋根取付構造」は、「太陽電池モジュール1の下方に防火用不燃板である軒用不燃板41または一般用不燃板42が配置され、これらの防火用不燃板は、太陽電池モジュール1の配置領域を全面的に覆うようにして太陽電池モジュール1と屋根との間に介在し、このため、モジュールやケーブルから発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる」ものであるから、本件発明2の「瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造」に相当するといえる。 キ 甲1発明の「軒用不燃板41」に「凸部412の軒側」に「繋がって」「軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分」が「形成され」、「一般用不燃板42」に「凸部412の軒側」に「繋がって」「軒側に水平に延出し、隣合う桟木8間に位置するルーフィング7の上面を被覆する部分」が「形成され」ることは、本件発明2の「前記延焼防止金属板は、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部」「を有する」ことに相当する。 ク 甲1発明の「軒用不燃板41」の「凸部412のさらに棟側には、平板部413が繋がって形成され」、「一般用不燃板42」の「凸部421のさらに棟側には、平板部422が繋がって形成され」ることは、本件発明2の「前記延焼防止金属板」は、「前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片」「を有する」ことに相当する。 ケ 本件発明2の「延焼防止金属板」は、「前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部に、水抜き穴が形成される」ことと、甲1発明の「軒用不燃板41上を流れる雨水等を排水する」「排水孔が適宜設けられ」、「一般用不燃板42においても、一般用不燃板42上を流れる雨水等を排水する」「「排水孔が適宜設けられ」ることとは、「延焼防止金属板」は、「水抜き穴が形成される」ことで共通する。 コ 以上を総合すると、本件発明2と甲1発明とは、 「瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 水抜き穴が形成される屋根延焼防止構造。」の点で一致し、以下の点で相違ないし一応相違する。 (相違点2A) 本件発明2は「前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であ」るのに対し、甲1発明は凸部412及び凸部421(本件発明2「嵌合部」に相当)の軒先方向の幅の長さは、桟木8(同「瓦桟木」に相当)の軒先方向の幅の長さよりも長い点。 (相違点2B) 水抜き穴が形成される位置が、本件発明2は「前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部」とされるのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点2Aについて 本件発明2は、「前記嵌合部の軒先方向の幅の長さと、前記瓦桟木の軒先方向の幅の長さと、が同一であ」ることにより、水抜き穴を有することで、通常時は雨水を排水しつつも、嵌合部と瓦桟木との間に隙間が形成されないものとなり、空気や火災時の火炎の流通を抑制するものであるから、相違点2Aは実質的な相違点である。 イ 相違点2Bについて 甲1発明において「排水孔」は、「軒用不燃板41上を流れる雨水等を排水する」ものであるから、排水に好適な位置に設けることは当然である。 そして、勾配のある屋根において、水下側に立ち上がりがある「入り隅」が雨水が滞留する部分であることは自明であって、勾配のある屋根において、入り隅となり雨水が滞留する部分に水抜き穴を設けることは、参考資料5、参考資料6等に示されるように周知技術である。 そうすると、甲1発明において水抜き穴が形成される位置が「前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部」であるとは特定されていないという上記相違点は、甲1発明に周知技術を付加したのみのものであって新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差であり、一応相違点として検討したが、実質的な相違点ではない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1発明と同一ではない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 異議申立理由の概要 本件訂正前の請求項1、3~5に係る発明に対する異議申立理由は以下のとおりである。 本件特許の請求項1、3~5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2019-73289号(特開2020-172742号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定に違反して特許されたものである。 2 当審の判断 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)上記第5の2(1)ア~クにおける本件発明2と甲1発明との対比は、本件発明1と甲1発明とについても同様である。 (イ)第5の2(1)クの対比を踏まえると、甲1発明の「平板部」は本件発明1の「返し片」に相当する。そして、甲1発明の「一般用不燃板42は、その前端(軒側端部)を軒用不燃板41の平板部413に載せ」るものであり、「一般用不燃板42」の「前端(軒側端部)」と「平板部413」とが重なって一般用不燃板42が配置されるといえる。 よって、甲1発明の「一般用不燃板42は、その前端(軒側端部)を軒用不燃板41の平板部413に載せ」るものであることは、本件発明1の、「前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置される」ことに相当する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)から、本件発明1と甲1発明とは、 「瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置される、屋根延焼防止構造。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本件発明1は、「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように」配置されるのに対し、甲1発明は「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように」配置されるか不明である点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点1について 本件発明1は「前記下地材被覆部と前記返し片とが重なって前記延焼防止金属板が配置される」にあたり、「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たるように」配置されることにより、密封性が向上するという効果を奏するものであり、相違点1は実質的な相違点である。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明と同一ではない。 (2)本件発明3 ア 対比 本件発明3と甲1発明とを対比する。 (ア)上記第5の2(1)ア~ケにおける本件発明2と甲1発明との対比は、本件発明3と甲1発明とについても同様である。 (イ) そうすると、本件発明3と甲1発明とは、 「瓦屋根に設置した太陽電池モジュールの延焼を防止する屋根延焼防止構造であって、 屋根下地材上に互いに間隔を空けて平行に配設される長尺な瓦桟木と、 前記瓦桟木上部に敷設される太陽電池モジュールと、 前記瓦桟木と、前記太陽電池モジュールと、の間に配置され、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面、及び当該屋根下地材上に露出する前記瓦桟木の露出面全体を被覆する延焼防止金属板と、を備え、 前記延焼防止金属板は、前記瓦桟木の前記露出面に上方から嵌め込まれる凹溝型の嵌合部と、前記嵌合部の一方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出し、隣合う前記瓦桟木間に位置する前記屋根下地材の上面を被覆する下地材被覆部と、前記嵌合部の他方の下端から前記嵌合部と反対の方向へ水平に延出する返し片と、を有し、 水抜き穴が形成される屋根延焼防止構造。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点3) 水抜き穴が形成される位置が、本件発明3は「前記嵌合部と前記下地材被覆部とによって形成される第1入り隅部、及び前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部」とされるのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点3について 本件発明3は、雨水滞留防止のための水抜き穴を、延焼防止金属板において「前記嵌合部と前記下地材被覆部とによって形成される第1入り隅部」及び「前記嵌合部と前記返し片とによって形成される第2入り隅部」の2箇所に設けることにより、延焼防止金属板の表面の雨水を、当該2箇所から水抜きをできるようにしたものであるから、相違点3は、実質的な相違点である。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明3は、甲1発明と同一ではない。 (3)本件発明4 本件発明4は、本件発明3を引用して特定するものであって、本件発明3の発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明3について検討したのと同様の理由により、甲1発明と同一ではない。 (4)本件発明5 ア 対比 本件発明5と甲1方法発明とを対比する。 本件発明5は、前記下地材被覆部と前記返し片とを重ねて前記延焼防止金属板を配置するにあたり、「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たる」ように、延焼防止金属板を配置するものである。 そうすると、本件発明5と甲1方法発明とは、少なくとも「前記下地材被覆部の端が、水下側に隣合う前記延焼防止金属板の前記嵌合部の他方の下端に突き当たる」点(以下「相違点4」という。)で相違する。 イ 判断 上記相違点4について検討する。 上記相違点4は、本件発明1と甲1発明との相違点である相違点1と同様の点であり、本件発明1について検討したのと同様の理由により、本件発明5は甲1方法発明と同一ではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1~5に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700562

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