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特許異議申立

2024-701155

階段の段板取付構造

審判番号
2024-701155
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-105956
登録番号
7577032
請求日
2024年11月28日
審決日
2025年07月25日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】朝日ウッドテック株式会社
  • 【権利者代理人】清水 義仁
  • 【権利者代理人】清水 久義
  • 【権利者代理人】高田 健市
  • 【異議申立人】原田 和也
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 藤脇 沙絵
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P1651.121-Y (E04F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7577032号発明「階段の段板取付構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7577032号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7577032号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、令和3年6月25日に出願され、令和6年10月24日にその特許権の設定登録がされ、同年11月1日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和6年11月28日に、特許異議申立人原田和也(以下、「申立人」という。)より特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし10に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1ないし10に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし10に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の、請求項1ないし10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 間隔をおいて配置される一対の側板と、前記側板に設けられた水平部に設置される段板とを備えた階段の段板取付構造であって、 前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、 軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていることを特徴とする階段の段板取付構造。 【請求項2】 前記側板における前記先孔の下端側に対応して座ぐり凹部が設けられ、その座ぐり凹部に前記固定具の頭部が配置されるとともに、 前記座ぐり凹部の座面に、前記頭部が当接係止している請求項1に記載の階段の段板取付構造。 【請求項3】 前記座ぐり凹部内に前記固定具の頭部が収納されている請求項2に記載の階段の段板取付構造。 【請求項4】 前記座ぐり凹部の座面に、前記固定具の頭部が面接触状態に配置されている請求項2または3に記載の階段の段板取付構造。 【請求項5】 前記先孔の内径が、前記固定具の軸部の外径よりも大きく形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。 【請求項6】 前記固定具がビスによって構成され、 前記先孔の上端部が前記側板の水平部に開口している請求項5に記載の階段の段板取付構造。 【請求項7】 前記側板における前記水平部の後端に上方に延びる垂直部が設けられ、 前記先孔がその上端部が下端部に対し前方に傾斜するように形成されている請求項6に記載の階段の段板取付構造。 【請求項8】 前記垂直部の前面に沿ってけこみ板が配置されるとともに、そのけこみ板の下端部が前記段板の後端面および前記垂直部との間に介在されている請求項7に記載の階段の段板取付構造。 【請求項9】 直階段に適用される請求項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。 【請求項10】 廻り階段に適用される請求項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。」 第3 特許異議申立理由の概要及び証拠方法 1 特許異議申立理由の概要 申立書の記載からみて、申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。 (1)甲1を主引用例とした進歩性欠如 本件発明1~10は、甲1に記載された発明、甲2~5に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1~10に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲2を主引用例とした進歩性欠如 本件発明1~10は、甲2に記載された発明、甲1、3~5に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1~10に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 証拠方法 申立人が提示する証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証等を、「甲1」等という。 甲1:特開2000-356017号公報 甲2:特開2014-66059号公報 甲3:特開2016-145450号公報 甲4:実願平1-61173号(実開平3-845号)のマイクロフィル ム 甲5:特開昭50-86818号公報 第4 当審の判断 1 証拠の記載事項 (1)甲1 ア 甲1に記載された事項 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲1には、次の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は階段踏板を階段桁板に固定するための階段踏板取付具に関する。」 (イ)「【0005】 【発明の作用・効果】本発明に係る取付具を使って階段踏板を階段桁板に固定するには、第1受け面を階段踏板の左端面又は右端面に当ててビスを第1受け面の通孔に通して第1受け面を階段踏板に固着する。そして、階段内側から作業できる場合は、第2受け面の通孔にビスを通して第2受け面を階段桁板の上端部裏面に固着する。階段内側からの作業ができない場合には、テーパ溝に釘を通して打ち込む。すると釘がテーパ溝に沿って埋入し、連結面の通孔を通って階段桁板の上端面に打ち込まれ、これにより階段踏板が階段桁板に固着される。このように本発明に係る階段踏板取付具によれば、階段の内側からだけでなく、外側からも取付具を階段桁板に固着できるので、階段踏板の取付作業が容易になる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1には本発明の一実施形態に係る階段踏板取付金具10が示されている。当該取付金具10は、鉄板のプレス成形により第1受け面11と第2受け面12及び第1受け面11の下端部と第2受け面12の上端部を連結する連結面13が一体に形成されている。 【0007】第1受け面11にはその内外を連通する通孔14と断面U字形のテーパ溝15が形成されている。連結面13の第1受け面11との連接部分にU字形の通孔16が形成されている。また、第2受け面12にはその内外を連通する通孔17が形成されている。 【0008】テーパ溝15はその上端開口15aが第1受け面11の外側に配置され、上端開口15aから挿入した釘が連結面13のU字形の通孔16に導かれるように、第1受け面11の上端部から中間部にかけて所要のテーパが付与されている。 【0009】本実施形態に係る階段踏板取付金具10の構造は以上の通りであって、次にその使用方法を説明する。階段外側から施工する場合は、図2及び図3に示すように、取付金具10の第1受け面11を階段踏板20の左端面又は右端面に当接し、第1受け面11の通孔14にビス21を通して取付金具10を階段踏板20に固着する。次に、階段踏板20を階段桁板22に載置し、取付金具10の連結面13を桁板22の上端面に当接すると共に取付金具10の第2受け面12を桁板22の上端部裏面に当接する。そして、テーパ溝15の上端部開口15aから釘23を挿入して打ち付ける。すると、釘23がテーパ溝15に沿って進入し、連結面13の通孔16を通して桁板22の上端面に打ち込まれる。これにより、階段踏板20が桁板22に固定される。 【0010】階段内側から施工する場合は、図4及び図5に示すように、取付金具10の第1受け面11をビス21で階段踏板20の左端面又は右端面に固着し、次に階段踏板20を階段桁板22に載置し、階段内側から第2受け面12の通孔17にビス24を通して取付金具10を桁板22に固着する。」 (ウ)【図1】 「 [図:0001425768000001.jpg] 」 (エ)【図4】 「 [図:0001425768000002.jpg] 」 (オ)【図5】 「 [図:0001425768000003.jpg] 」 上記(イ)をふまえると、上記【図1】、【図4】及び【図5】から以下の点が看取できる。 a 階段踏板20を階段桁板22に取付けた構造。 b 上記構造において、階段桁板22の上端の略水平となっている部位に、取付金具10を用いて階段踏板20が設置されている点。 イ 甲1発明 上記アをふまえると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲1発明> 「階段踏板20を階段桁板22に取付けた構造において(上記ア(オ))、 階段桁板22の上端の略水平となっている部位に、取付金具10を用いて階段踏板20が設置されており(上記ア(オ))、 取付金具10は、鉄板のプレス成形により第1受け面11と第2受け面12及び第1受け面11の下端部と第2受け面12の上端部を連結する連結面13が一体に形成され、第1受け面11にはその内外を連通する通孔14と断面U字形のテーパ溝15が形成され、連結面13の第1受け面11との連接部分にU字形の通孔16が形成され、また、第2受け面12にはその内外を連通する通孔17が形成されていて、テーパ溝15はその上端開口15aが第1受け面11の外側に配置され、上端開口15aから挿入した釘が連結面13のU字形の通孔16に導かれるように、第1受け面11の上端部から中間部にかけて所要のテーパが付与されており(【0006】~【0008】)、 階段内側から施工する場合において、取付金具10の第1受け面11をビス21で階段踏板20の左端面又は右端面に固着し、次に階段踏板20を階段桁板22に載置し、階段内側から第2受け面12の通孔17にビス24を通して取付金具10を桁板22に固着する(【0010】)、 上記構造。」 (2)甲2 ア 甲2に記載された事項 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲2には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 この発明は、木質製の階段等に適用される段板取付構造および段板取付方法に関する。」 (イ)「【0034】 図1に示すように、このひな壇階段は、一対の側板1,1と、一対の側板1,1に支持される複数の段板2および複数の蹴込板3とを基本的な構成要素として備えている。そして本実施形態の階段においては、各段板2を一対の側板1,1に組み付けるに際して、接着剤と、後に詳述する特有構成の連結具4とを併用して段板2を側板1に組み付けるものである。 【0035】 一対の側板1,1は、左右方向(階段巾方向)に間隔をおいて互いに平行に、かつ斜め上方に向けて延びるように配置された状態で、家屋の構造材に固定されている。言うまでもなく、側板1は、組立予定の屋内階段の傾斜角度(勾配)に対応する傾斜角度に配置される。 【0036】 側板1の上側縁部には、その上側縁部が階段状に切り欠かれることによって、水平な切り口と、垂直な切り口とが交互に並んで配置されるように形成されている。このうち、水平な切り口が段板取付用木口11として構成されるとともに、垂直な切り口が蹴込板取付用木口12として構成されている。 【0037】 図2および図3に示すように、各段板取付用木口11の前後2箇所の位置には、連結具取付部としての連結具取付凹部15が形成されている。 【0038】 この連結具取付凹部15は、上側部によって構成される入口部16と、下側部によって構成される奥部17とを備えている。入口部16は、側板1の段板取付用木口11と、内側面との双方に開口しており、木口11側の開口と内面側の開口とが連通連続されている。奥部17は、側板1の内側面に開口しており、入口部16と連通接続されている。 【0039】 側板1の内面側から見た状態において、入口部16は矩形状に形成されるとともに、奥部17は入口部16に対し前後方向のサイズが大きく形成されており、同方向に長い長円形状に形成されている。 【0040】 なお、連結具取付凹部15は、後述する連結具4の固定部6に対応する形状に形成されている。 【0041】 また、連結具取付凹部15は、側板1の厚さ方向(階段巾方向)に対し直交する平面で切断した際の断面形状が、側板1の厚さ方向の位置にかかわらず同じ形状に形成されるものである。従ってこの連結具取付凹部15は、側板1の厚さ方向に連続して延び、かつ段板取付用木口12に開口する溝(連結具取付溝)として捉えることができる。 【0042】 本実施形態においては、この連結具取付凹部15を、側板1の内面側からの溝付加工によって形成するようにしている。このため、側板1の外形仕上げ加工と、溝状の連結具取付凹部15の溝付加工とを、1度の切削加工処理で連続して行うことができるため、側板1の外形仕上げ加工と、溝状の連結具取付凹部15の溝付加工とを別々の異なる種類の加工方法で行う場合と比較して、溝付加工を効率良くスムーズに行うことができる。従って、側板1、ひいては階段構成部材の製作を容易に行うことができる。 【0043】 一方、図1および図4に示すように、段板2は、その裏面側(下面側)における両側端部が、一対の側板1,1間において対応する段板取付用木口11,11に取り付けられるものである。この段板2の裏面21における両側端部の前後2箇所には、段板取付用木口11の連結具取付凹部15にそれぞれ対応して、連結具被覆凹部25がそれぞれ形成されている。 【0044】 この連結具被覆凹部25は、段板2の側端面と、裏面21との双方に開口しており、側端面の開口と裏面21の開口とが連通接続されている。図4および図5Bに示すように連結具被覆凹部25は、裏面側開口から上方(奥部)に向かうに従って、次第に前後寸法が大きくなるようなアリ溝状に形成されている。換言すれば、段板2の外側面から見た状態において、連結具被覆凹部25は、逆向きの略等脚台形の形状に形成されている。 【0045】 なお連結具被覆凹部25の断面形状は、後述する連結具4の突出部7が拡開変形した際の断面形状に対応する形状に形成されている。 【0046】 また連結具被覆凹部25は、段板2の長さ方向(階段巾方向)に対し直交する平面で切断した際の断面形状が、段板2の長さ方向の位置にかかわらず同じ形状に形成されるものである。従って連結具被覆凹部25は、段板2の長さ方向に連続して延び、かつ段板裏面側に開口する溝(連結具被覆溝)として捉えることができる。」 (ウ)「【0050】 図6は実施形態のひな壇階段に適用された連結具4を示す内側面図、図7A~図7Cはその連結具4の連結具本体5を示す図、図8A、図8Bは連結具4のインサートピン8を示す図である。なお以下の説明において、連結具4(連結具本体5およびインサートピン8)の軸方向とは、図6の紙面に向かって上下方向であり、径方向とは、軸方向に対し直交する方向である。 【0051】 これらの図に示すように、この連結具4は、段板2を側板1に仮固定するのに用いられるものであって、POM(ポリアセタール)等の硬質合成樹脂の一体成形品によって構成される連結具本体5と、同じくPOM等の硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されるインサートピン8とを備えている。 【0052】 なお本実施形態において、連結具4の素材は、特に限定されるものではないが、量産性等を考慮すると、本実施形態のような合成樹脂によって構成するのが好ましい。 【0053】 連結具本体5は、先端(上端)が開口され、かつ基端(下端)が閉塞された略有底筒状の形状を基本形状としている。 【0054】 すなわち連結具本体5は、基端側(下部側)に配置される固定部6と、先端側(上部側)に配置される突出部7とを備え、これらが一体に形成されている。 【0055】 連結具本体5には、突出部7の先端(上端)において開口するピン押込孔51が軸心に沿って形成されている。 【0056】 突出部7は、ピン押込孔51を筒孔とする略筒状に形成されている。この突出部7は、軸方向のスリット70,70によって周方向に2分割された一対の縦割り半筒状の分割片71,71によって構成されている。 【0057】 そして突出部7は、図5Aに示すように一対の半筒状分割片71,71が互いに相反する方向(外径方向)に弾性変形(撓み変形)可能に構成されており、その弾性変形によって、突出部7の特に先端側(上端側)が径方向に拡開変形できるようになっている。 【0058】 各半筒状分割片71,71の外周面には、周方向に連続し、かつ軸方向に所定の間隔おきに複数の抜け止め突片72がそれぞれ一体に形成されている。 【0059】 一対の分割片71,71におけるスリット70,70を挟んだ対向縁部には、その上下方向(軸心方向)の中間位置および下端位置に、互いに対向する初期状態保持用凹部73,73および押込状態保持用凹部74,74がそれぞれ形成されている。後に詳述するが、この保持用凹部73,74は、インサートピン8を初期状態や押込状態(ロック状態)に保持するためのものである。」 (エ)「【0073】 以上の構成の連結具4は、図6に示す初期状態に組み立てておき、この初期状態の連結具4を側板1に組み付ける。 【0074】 すなわち図3等に示すように、初期状態の連結具4の固定部6における外側、つまり叩き付け部63が形成されていない側を、側板1の連結具取付凹部15における内面側の開口に対向させて配置し、その状態で、連結具4の固定部6を連結具取付凹部15内にその内面側の開口から押し込んで凹部15内に嵌め込む。この場合、木槌等によって、連結具4の叩き付け部63を叩いて、連結具4の固定部6を嵌め込むことにより、連結具4の固定部6を連結具取付凹部15内に確実に嵌め込むことができる。 【0075】 こうして連結具4を嵌め込んだ状態では、図4および図5Bに示すように連結具4の突出部7が側板1の段板取付用木口12から上方に突出した状態に配置されている。さらに嵌め込まれた連結具4は、初期状態であるため、インサートピン8である押込操作部を突出部7内に押込可能となっている。 【0076】 また連結具取付凹部15に嵌め込まれた連結具4の固定部6は、その外周に設けられた抜け止めフィン62によって、連結具取付凹部15の内面側の開口から内側に抜け出すのが防止される。さらにこの嵌め込み状態においては、連結具4の抜け止め膨出部61が連結具取付凹部15の奥部17の内周面に係合するため、連結具4の固定部6が、連結具取付凹部15の段板取付用木口11側の開口から上方に抜け出すのが防止される。さらに膨出部61が連結具取付凹部15の奥部17における内周側面に係合することによって、連結具4の軸回り方向(周方向)の回転も確実に防止することができる。こうして連結具4が側板1の連結具躯定凹部15に安定状態に確実に取り付けられる。 【0077】 ここで、本実施形態において、連結具4を連結具取付凹部15内に確実に嵌め込んだ状態では図7Aの想像線に示すように、連結具4の叩き付け部63の先端面が側板1の内側面よりも少し内側に飛び出すように配置されている。このため、叩き付け部63を叩き付けて連結具4を連結具取付凹部15内に嵌め込む際に、叩き付け部63が連結具取付凹部15の内側にめり込んでしまうことがなく、連結具4を所定位置まで嵌り込むまで、叩き付け部63を確実に叩き付けることができる。 【0078】 こうして組付予定の一対の側板1の各連結具取付凹部15に連結具4をそれぞれ装着した後、その側板1を用いて、以下に示すように階段を組み立てるものである。 【0079】 なお、本実施形態において、連結具4を一対の側板1に装着する作業は、階段を組み立てる前に予め現場で行っても良いし、現場に機材を搬入する前に予め工場等で行っておいても良い。さらに連結具4を側板1に装着する際には、上記したようにインサートピン8を連結具本体5に挿入して連結具4を組み立てた後、その連結具4を側板1に装着するようにしても良いし、連結具本体5を側板1に装着した後、その本体5にインサートピン8を挿入して連結具4を組み立てるようにしても良い。 【0080】 こうして連結具4を装着した一対の側板1,1を家屋構造体の所定の位置に固定する。なお本実施形態においては、階段組立前に、連結具4を側板1の装着するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、階段の組立作業と並行して適宜、連結具4を側板1に装着するようにしても良い。 【0081】 次に一対の側板1,1に、蹴込板3と、段板2とを下側から順に交互に組み付けていく。すなわち1段目の蹴込板3を一対の側板1,1における最下端の蹴込板取付用木口12,12に取り付ける。この場合例えば、最下端の蹴込板取付用木口12,12間において床面上に受け材としての桟木を固定しておき、その桟木に1段目の蹴込板3の裏面側下端縁を接着剤によって固定する。さらに必要に応じて、かくし釘やフィニッシュネイル等で1段目の蹴込板3を側板1,1の蹴込板取付用木口12,12等に固定する。 【0082】 次に1段目の段板2を一対の側板1,1における1段目の段板取付用木口12,12に固定する。すなわち、段板取付用木口12,12に接着剤を塗布した後、段板2の裏面両側縁部に設けられた連結具被覆凹部25内に、側板1側の連結具4の突出部7がそれぞれ収容されるようにして、段板2の裏面両側縁部を段板取付用木口12,12上に載置して押さえ込む。このとき図5Aに示すように、連結具4におけるインサートピン8のヘッド部85が、段板2における連結具被覆凹部25の天井面(奥壁面)に押し込まれて、インサートピン8が連結具本体5のピン押込孔51内に押し込まれる。これにより、インサートピン8の押し開き部82によって、連結具本体5の一対の半筒状分割片71が外径方向に押し曲げられて外側に弾性変形することにより、突出部7が拡開変形する。 【0083】 こうして拡開した突出部7の抜け止め突片72が連結具被覆凹部25の内周側面に食い込み、連結具4の突出部7が連結具被覆凹部25に強固に固定されて抜け止めされ、段板2の裏面両側端部が段板取付用木口12に密着した状態に配置される。従って、段板2の両側縁部が浮き上がる等の不具合を確実に防止でき、接着剤が養生硬化するまで、段板2を側板1,1に密着させた状態に維持でき、接着剤によって段板2を側板1,1に確実に固定することができる。 【0084】 なお、1段目の蹴込板3の上端縁部は、1段目の段板2の蹴込板取付溝22内に収容するように配置されている。 【0085】 また本実施形態においては、インサートピン8のヘッド部85を径大に形成して、ヘッド部の上端面(押込面)を大きく形成しているため、インサートピン8のヘッド部85が、段板2の連結具被覆凹部25の天井面(奥壁面)に押し込まれる際に、ヘッド部85が連結具被覆凹部25の天井面における広い範囲に接触する。このため、ヘッド部85が連結具被覆凹部25の天井面に押し込まれる際の応力が、天井面の広い範囲に分散するため、応力の局部集中を回避することができる。従って、連結具被覆凹部25の天井面の一部が破損したり、凹んだりするような不具合を確実に防止することができて、連結具被覆凹部25の天井面によるヘッド部85の押込操作を確実に行うことができる。 【0086】 さらに本実施形態においては、インサートピン8が連結具本体5に押し込まれた際に、インサートピン8の係合突起83が連結具本体5の押込状態保持用凹部74に係合することによって、インサートピン8が挿入された状態、つまり連結具本体4の突出部7が拡開した状態に維持される。このため、インサートピン8が不用意に抜け出て突出部7が縮径し、連結具4による段板2の側板1への連結が解除してしまうという不具合を確実に防止でき、良好な連結状態を維持することができる。 【0087】 一方、1段目の段板2を組み付けた後は、2段目の蹴込板3を組み付ける。すなわち側板1,1における2段目の蹴込板取付用木口12,12の前面側に、2段目の蹴込板3を配置して、その蹴込板3の下端縁部を1段目の段板2の前端面に差し込む。そして必要に応じて、かくし釘やフィニッシュネイルを2段目の蹴込板3の裏面側から1段目の段板2に打ち込むとともに、かくし釘やフィニッシュネイルを蹴込板3の表面側から側板1,1の蹴込板取付用木口12に打ち込んで固定する。 【0088】 こうして2段目の蹴込板3を組み付けた後、上記と同様にして、2段目の段板2を組み付ける。 【0089】 以下同様にして、蹴込板3と段板2とを交互に組み付ける一方、必要に応じて、巾木等の化粧部材(図示省略)や、手摺(図示省略)を取り付けることにより、本実施形態のひな壇階段が組み立てられる。」 (オ)【図1】 「 [図:0001425768000004.jpg] 」 (カ)【図3】 「 [図:0001425768000005.jpg] 」 (キ)【図4】 「 [図:0001425768000006.jpg] 」 (ク)【図5A】 「 [図:0001425768000007.jpg] 」 イ 甲2発明 上記アをふまえると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、明細書の段落【0082】に記載の「段板取付用木口12,12」は、「段板取付用木口11,11」と記載すべきところの誤記と認め、以下これをふまえて整理する。 <甲2発明> 「階段に適用される段板取付構造において(【0001】)、 一対の側板1,1と、一対の側板1,1に支持される複数の段板2および複数の蹴込板3とを基本的な構成要素として備えていて、接着剤と、連結具4とを併用して段板2を側板1に組み付けるものであって(【0034】)、 一対の側板1,1は、左右方向(階段巾方向)に間隔をおいて互いに平行に、かつ斜め上方に向けて延びるように配置された状態で、家屋の構造材に固定されていて(【0035】)、 側板1の上側縁部には、その上側縁部が階段状に切り欠かれることによって、水平な切り口と、垂直な切り口とが交互に並んで配置されるように形成されていて、このうち、水平な切り口が段板取付用木口11として構成されるとともに、垂直な切り口が蹴込板取付用木口12として構成されており(【0036】)、 各段板取付用木口11の前後2箇所の位置には、連結具取付部としての連結具取付凹部15が形成されていて(【0037】)、 連結具取付凹部15は、上側部によって構成される入口部16と、下側部によって構成される奥部17とを備え、入口部16は、側板1の段板取付用木口11と、内側面との双方に開口しており、木口11側の開口と内面側の開口とが連通連続されており、奥部17は、側板1の内側面に開口しており、入口部16と連通接続されていて(【0038】)、 連結具4は、段板2を側板1に仮固定するのに用いられるものであって、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成される連結具本体5と、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されるインサートピン8とを備えていて(【0051】)、 連結具本体5は、基端側(下部側)に配置される固定部6と、先端側(上部側)に配置される突出部7とを備え、これらが一体に形成されていて(【0054】)、 初期状態の連結具4の固定部6における外側を、側板1の連結具取付凹部15における内面側の開口に対向させて配置し、その状態で、連結具4の固定部6を連結具取付凹部15内にその内面側の開口から押し込んで凹部15内に嵌め込み(【0074】)、 連結具4を装着した一対の側板1,1を家屋構造体の所定の位置に固定し(【0080】)、 1段目の蹴込板3を一対の側板1,1における最下端の蹴込板取付用木口12,12に取り付け(【0081】)、 次に1段目の段板2を一対の側板1,1における1段目の段板取付用木口11,11に固定し(【0082】)、 1段目の蹴込板3の上端縁部は、1段目の段板2の蹴込板取付溝22内に収容するように配置され(【0084】)、 1段目の段板2を組み付けた後は、2段目の蹴込板3を組み付け(【0087】)、 2段目の蹴込板3を組み付けた後、同様にして、2段目の段板2を組み付け、以下同様にして、蹴込板3と段板2とを交互に組み付ける(【0088】、【0089】)、 段板取付構造。」 (3)甲3 ア 甲3に記載された事項 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲3には、次の記載がある。 (ア)「【請求項1】 一対の表面板と、これら表面板の辺部間に介在される枠材と、を具備するパネルの接合構造であって、 上記枠材における他のパネルとの接合面に、互いに嵌合可能な嵌合用凸条部又は嵌合用凹条部を設け、 接合される一方の上記パネルの一方の上記表面板に当接する固定部材に、該固定部材の当接面に対して傾斜するねじ導入孔を設け、 上記ねじ導入孔に挿通される固定ねじを、上記一方のパネル及び上記嵌合用凸条部と嵌合用凹条部の接合部を貫通して他方の上記パネルにねじ結合する、 ことを特徴とするパネルの接合構造。」 (イ)「【0001】 この発明は、例えばプレハブ式の冷蔵庫や冷凍庫、クリーンルームあるいは建築物の天井、壁あるいは間仕切等に使用されるパネルの接合構造に関するものである。」 (ウ)「【0031】 上記冷蔵庫10は、図1に示すように、床部13と、天井部12と、床部13と天井部12とを連結する壁部11とを具備し、壁部11には図示しない出入り用の開口部が設けられ、開口部には断熱パネルからなる扉体(図示せず)が開閉可能に装着されている。壁部11、天井部12及び床部13は、それぞれこの発明に係る複数の断熱パネル1,1A ,1B同士を、接合される一方の断熱パネル1に当接される固定部材50に設けられたねじ導入孔56を挿通される固定ねじ60を他方の断熱パネル1A又は1Bにねじ結合により接合してなる。ここでは、断熱パネル1は壁部11を構成し、断熱パネル1Aは天井部12を構成し、断熱パネル1Bは床部13を構成している。」 (エ)【図1】 「 [図:0001425768000008.jpg] 」 (オ)【図3】 「 [図:0001425768000009.jpg] 」 イ 甲3記載技術 上記アをふまえると、甲3には次の技術的事項(以下「甲3記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲3記載技術> 「一対の表面板と、これら表面板の辺部間に介在される枠材と、を具備する建築物の天井、壁あるいは間仕切等に使用されるパネルの接合構造であって、 上記枠材における他のパネルとの接合面に、互いに嵌合可能な嵌合用凸条部又は嵌合用凹条部を設け、 接合される一方の上記パネルの一方の上記表面板に当接する固定部材に、該固定部材の当接面に対して傾斜するねじ導入孔を設け、 上記ねじ導入孔に挿通される固定ねじを、上記一方のパネル及び上記嵌合用凸条部と嵌合用凹条部の接合部を貫通して他方の上記パネルにねじ結合する、 ことを特徴とするパネルの接合構造。(【請求項1】、【0001】)」 (4)甲4 ア 甲4に記載された事項 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲4には、次の記載がある。 (ア)「(産業上の利用分野) 本考案はシステム家具において、下部ボックス上の天板上に載置される上部ユニットであって、取付位置の自由度を高めるとともに確実に固定できるものに関する。」(明細書1頁10-14行) (イ)「第1図に示すように、本考案の上部ユニット1、1’が下部ボックス2、2’上の天板3に載置されている。上部ユニット1、1’は底板が設けられてない箱体で、相対向する側板4、4および4’、4’の内面側4a、4a’の下部近傍に第2図、第3図に示す半貫通孔5、5が前面と背面寄りの2箇所に設けられている。 半貫通孔5の内側面下部5aには、側板4の底面4bに向かって細孔6が設けられている。 半貫通孔5としたのは上部ユニット1、1’の側板4、4’の外側面4c、4c’から孔が見えないことにより飾り棚側面からの外観が良好なだけでなく、固定するために半貫通孔5からネジや釘を挿入し細孔6に打ち込む際に、ネジや釘が万一外面方向にずれても側板4、4’の外側面4c、4c’を膨出させたり傷つけないという利点がある。 尚、本実施例では半貫通孔5の深さは側板4の厚さの略1/2としてある。 一方、細孔6はネジまたは釘7を側板底面4bの略中央から案内されて突出する方向に穿設してあり、実施例では貫通しているか半貫通でもよい。 細孔6の穿設角度は側板底面4bに対して斜めにすることで側板内側面4aからドライバーや金づちによりネジや釘7を埋入することができる。その穿設角度は半貫通孔5の径の大きさで変わるが、実施例のように半貫通孔5が10 15mmの場合、60°前後が好ましい。 本実施例の飾り棚の組み立てについて述べると、所望のボックス2、2’を並列しその上部に一枚の長尺の天板3を載置する。 ・・・ 天板3は、上面がなんら穴加工などがされてないフラットな化粧面を有する長尺な一枚板であるから、下部ボックス2、2’に天板3を取り付けたものをローキャビネットとしてそのまま用いることもでき、システム家具としての使用の自由度を高め、部品数の低減が図れるという利点がある。 次に、上部ユニット1をさい所望の位置に配し側板4の内側面4a下端近傍の半貫通孔5からネジまたは釘7を細孔6へ埋入し、側板底面4Cから突出させて天板3に固定する。」(明細書4頁16行-7頁3行) (ウ)第1図 「 [図:0001425768000010.jpg] 」 (エ)第2図 「 [図:0001425768000011.jpg] 」 上記第2図から、細孔6の穿孔の方向が、側板4の底面4bに対して外側に向かって斜め下方となるように形成されている点が看取できる。 イ 甲4記載技術 上記アをふまえると、甲4には次の技術的事項(以下「甲4記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲4記載技術> 「下部ボックス2、2’上の天板3上に載置し上部ユニット1、1’を固定できるシステム家具において(上記ア(ア))、 上部ユニット1、1’は底板が設けられてない箱体で、相対向する側板4、4および4’、4’の内面側4a、4a’の下部近傍に半貫通孔5、5が前面と背面寄りの2箇所に設けられ(上記ア(イ))、 半貫通孔5の内側面下部5aには、側板4の底面4bに向かって細孔6が、貫通して、設けられており、細孔6の穿孔の方向が、側板4の底面4bに対して外側に向かって斜め下方にすることで側板内側面4aからドライバーや金づちによりネジや釘7を埋入することができ(上記ア(イ)及び(エ))、 上部ユニット1を所望の位置に配し側板4の内側面4a下端近傍の半貫通孔5からネジまたは釘7を細孔6へ埋入し、側板底面4Cから突出させて天板3に固定すること(上記ア(イ))。」 (5)甲5 ア 甲5に記載された事項 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲5には、次の記載がある。 (ア)「本発明は足音を減じるためのコンクリート階段に関するものである。」(1頁左欄15-16行) (イ)「階段は例えば約60センチメートルの中央の広い主要部1と「浮き上がつている」段部2とを含む。弾性材料のようなネオプレンの敷物3,4上に保持された主要部材は、骨組が仕上げられるとすぐ適所に置かれ、引続く建設作業中に階段として役立つ。概略の作業が仕上げられたとき、組立式の段部22が弾性材料のようなネオプレンの敷物5,5′上に据えつけられる。図の実施例によれば段部はボルト締めされまたネオプレンの敷物8はボルト6の頭部7と階段の主要部1との間に挿入される。ボルト6と主要部1との間にはかなりの間隙9があり、またボルト6は段部を良好な接触にもたらすため及びボルトを通して伝達される力の垂直成分を減じるために故意にある角度で据えつけられる。 段部はその上面を柔軟な材料10、例えば弾性下張りを持つポリ塩化ビニル(P.V.C)で被うのが望ましい。 段は次のように都合良く作られる。段の1つの長い側部と両方の短い側部に沿つて延びている上方の玉縁は始めに型で取られる。ある丈夫な材料で作られた弾性上面カバー10と段先端部11は次に型に挿入され、その後型は段の最終的な形成のために補強材料及びコンクリートで満される。段の先端部が挿入されるとき、型に取られるとき先端部を保持するリベツトその他12も又配置される。先端部も又コンクリート内に突出している玉縁を埋込むことによつて保持され得る。 段の型入れの間、ボルトを締付けるためのブシュ13が適所に入れられる。」(1頁右欄17行-2頁右上欄6行)) (ウ)「4.図面の簡単な説明 第1図は本発明による階段の1つの段部のみを拡大して示す断面図であり、また第2図は本発明による階段の断面図である。」(2頁左下欄10-13行) (エ)第1図 「 [図:0001425768000012.jpg] 」 (オ)第2図 「 [図:0001425768000013.jpg] 」 (カ)上記(ウ)には、第1図が階段の1つの段部のみを拡大して示す断面図であることが示され、第2図が、階段の断面図であることが示されている。 そうすると、上記第1図の主要部1に載置されるものが板状の段部2であると認められるともに、下記の点が認められる。 a 中央の広い主要部1内にボルト6の頭部7が配置されている点 b 板状の段部2に、ボルトを締付けるためのブッシュ13が入れられている点 イ 甲5記載技術 上記アをふまえると、甲5には次の技術的事項(以下「甲5記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲5記載技術> 「コンクリート階段において、中央の広い主要部1に板状の段部2を取り付ける際、伝達される力の垂直成分を減じるために、中央の広い主要部1内にボルト6の頭部が配置され、板状の段部2に、ボルトを締付けるためのブッシュ13が入れられており、ボルト6と中央の広い主要部1との間にはかなりの間隙9があって、ボルト6がある角度で据えつけられること(上記ア(ア)(イ)(エ)(カ)。」 2 進歩性(特許法第29条第2項)について (1)甲1を主引用例として検討 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 a 甲1発明の「階段桁板22」及び「階段踏板20」は、本件発明1の「側板」及び「段板」に、それぞれ相当する。 甲1発明の「階段桁板22」と、本件発明1の「間隔をおいて配置される一対の側板」とは、「側板」の点で共通する。 甲1発明の「階段桁板22の上端の略水平となっている部位」に「設置」される「階段踏板20」は、本件発明1の「側板に設けられた水平部に設置される段板」に相当する。 甲1発明の「階段踏板20を階段桁板22に取付けた構造」は、本件発明1の「階段の段板取付構造」に相当する。 b 甲1発明の「ビス21」及び「ビス24」は、いずれも、軸部を有し、また一端側に頭部が設けられていることは明らかである。そうすると、甲1発明の「ビス21」及び「ビス24」は、いずれも、本件発明1の「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」に相当する。 c 甲1発明の「階段踏板20」が、「取付金具10」、「ビス21」及び「ビス24」を用いて「階段桁板22」に取り付けられていることと、本件発明1の「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていること」とは、「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」を用いて「前記段板が前記側板に固定されていること」で共通する。 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「側板と、前記側板に設けられた水平部に設置される段板とを備えた階段の段板取付構造であって、 軸部の基端側に頭部が設けられた固定具を用いて前記段板が前記側板に固定されている階段の段板取付構造。」 <相違点1> 「側板」について、本件発明1では、「間隔をおいて配置される一対の側板」であるのに対して、甲1発明では、そのような特定がされていない点。 <相違点2> 「段板」が「側板に固定されている」ことについて、 本件発明1では、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、 軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定され」ているのに対して、 甲1発明では、「第1受け面11と第2受け面12及び第1受け面11の下端部と第2受け面12の上端部を連結する連結面13が一体に形成され」る「取付金具10の第1受け面11をビス21で階段踏板20の左端面又は右端面に固着し、次に階段踏板20を階段桁板22に載置し、階段内側から第2受け面12の通孔17にビス24を通して取付金具10を桁板22に固着する」点。 (イ)判断 上記相違点について検討する。 事案に鑑み、相違点2から検討する。 a 甲4記載技術について (a)甲4記載技術の「側板4、4および4’、4’」及び「ネジまたは釘7」は、本件発明1の「側板」及び「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」に相当し、 甲4記載技術の「細孔6」は、「ネジまたは釘7」の埋入に先だって設けられるものであるから、本件発明1の「先孔」に相当する。 また、甲4記載技術の「ネジ」や「釘」は直線状に延びるものであり、「細孔6」は、前記「ネジ」や「釘」を埋入するから、直線状に延びるものであるといえる。 また、甲4記載技術において、「側板4、4および4’、4’」を有する「上部ユニット1、1’」が、「下部ボックス2、2’上の天板3上」に「載置」されるところ、「天板3」の上面は略水平であることが明らかであるから、前記「側板4」の「底面4b」は、水平部を有しているといえる。 (b)上記(a)をふまえると、甲4記載技術の「相対向する側板4、4および4’、4’の内面側4a、4a’の下部近傍」に設けられた「半貫通孔5、5」の「内側面下部5a」において、「側板4の底面4bに向かって」、「細孔6の穿孔の方向が、側板4の底面4bに対して外側に向かって斜め下方」になるように「細孔6」が「貫通」している構成と、相違点2に係る本件発明1の「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され」ている構成とは、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ」「外側に傾斜する先孔が形成され」ている点で共通する。 また、甲4記載技術の「側板4の内側面4a下端近傍の半貫通孔5」から「ネジまたは釘7」が「細孔6へ埋入」され、「側板底面4Cから突出させて天板3に固定」されることと、相違点2に係る本件発明1の「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定され」る構成とは、「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」が「前記先孔」に配置されて「前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側」が「固定され」る点で共通する。 したがって、甲4記載技術は、相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ」「外側に傾斜する先孔が形成され」ている構成、及び、「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」が「前記先孔」に配置されて「前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側」が「固定され」る構成を有している。 (c)しかしながら、甲4記載技術は、「細孔6の穿孔の方向が、側板4の底面4bに対して外側に向かって斜め下方」であることから、相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「先孔」に係る「上端側が下端側に対し外側に傾斜する」との構成を有していない。 また、甲4記載技術の「ネジや釘7」は、「上部ユニット1、1’」を上から「下部ボックス2、2’上の天板3上」に固定するから、相違点2に係る本件発明1の構成とは上下関係が逆である。 そうすると、甲4記載技術は、相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「固定具」の「頭部が前記先孔の下端側に配置」されていて、「軸部の先端側」が「段板の下面側に固定されること」との構成を有していない。 (d)甲1発明に甲4記載技術を適用できるかについて検討するに、甲1発明の「階段踏板20」を「階段桁板22」に固定する固定構造は、「第1受け面11と第2受け面12及び第1受け面11の下端部と第2受け面12の上端部を連結する連結面13が一体に形成され」る「取付金具10の第1受け面11をビス21で階段踏板20の左端面又は右端面に固着し、次に階段踏板20を階段桁板22に載置し、階段内側から第2受け面12の通孔17にビス24を通して取付金具10を桁板22に固着する」もの、要するに、上記「取付金具10」、「ビス21」及び「ビス24」がセットとなって機能する固定構造である。 これに対して、甲4記載技術の固定構造は、上記(b)のとおり、「ネジまたは釘7」が「細孔6へ埋入」され、「側板底面4Cから突出させて天板3に固定」されるものである。 そうすると、両者は、固定するための仕組みが異なるとともに、軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の作用・機能が異なっており、甲1発明に甲4記載技術を適用する動機付けはない。 よって、甲1発明に甲4記載技術を適用することはできない。 (e)仮に、甲1発明に甲4記載技術を適用しても、甲4記載技術は、上記(c)のとおり、相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「固定具」の「頭部が前記先孔の下端側に配置」されていて、「軸部の先端側」が「段板の下面側に固定されること」との構成を有していないから、相違点2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 b 甲3記載技術について (a)甲3記載技術は、「固定ねじを、上記一方のパネル及び上記嵌合用凸条部と嵌合用凹条部の接合部を貫通して他方の上記パネルにねじ結合する」にあたり「ねじ導入孔」を利用しているが、当該「ねじ導入孔」は、「パネル」の「表面板に当接する固定部材」に「固定部材の当接面に対して傾斜する」ように設けるものであって、「パネル」において、固定ねじのために前もって形成されるものではないから、相違点2に係る本件発明1の構成のうち「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔」の構成を有していない。 (b)また、甲3記載技術は、「取付金具10」の「第1受け面11」と「第2受け面12」に「ビス21」と「ビス24」を通す甲1発明とは、固定の仕組みが異なり、甲1発明に甲3記載技術を適用する動機付けがない。 (c)よって、甲1発明に甲3記載技術を適用する動機付けはなく、仮に適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 c 甲5記載技術について (a)甲5記載技術は、そもそも、コンクリートの「中央の広い主要部1」に「板状の段部2」を取り付ける際、伝達される力の垂直成分を減じるための技術であり、「板状の段部2」を「側板」に取り付けるものではなく、基本構成が全て異なっており、相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び」て「先孔が形成され」るとの構成も、「先孔」において、「上端側が下端側に対し外側に傾斜する」との構成も有さないし、甲1発明に甲5記載技術を適用する動機付けもない。 (b)よって、甲1発明に甲5記載技術を適用する動機付けはなく、仮に、適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 d 甲2に記載された技術について 上記相違点2に係る本件発明1の構成は、後記(2)ア(ア)の対比で示される、甲2発明との相違点1aに係る本件発明1の構成と同様であることから、甲1が、相違点2に係る本件発明1の構成を開示していないように、甲2も、相違点2に係る本件発明1の構成を開示していないことは明らかである。 よって、甲1発明に対して、甲2に記載された技術を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 (ウ)申立人の主張について 申立人の、甲1を主引用例とした進歩性についての主張は、以下のとおりと認められる。 a ビスなどの固定具を挿通させる箇所にあらかじめ導入孔を形成しておくことにより、固定具の打ち込みを容易且つ確実に行うようにすることも、当業界において周知慣用されている事項であり、甲4の細孔6が本件特許発明1の特定事項Aに係る「側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔」に相当し、これによって、本件特許発明1の特定事項C(合議体注:特定事項Bと記載すべき所の誤記と認める。)に係る「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の頭部が先孔の下端側に配置されて軸部が先孔を通して側板を貫通した状態で軸部の先端側が段板の下面側に固定されることによって、段板が側板に固定されていること」を充足することも明らかである。 b 部材A(側板)と部材B(段板)を直交状態にして入隅側からビスなどの固定具を打ち込んで固定する場合には、固定具は部材Aの上端近くの内側面から部材A、Bの当接面に向けて斜めに打ち込むしか他に方法がないのであるから、明示されてはいないものの、甲5においても、特定事項Bの「側板の内面から」水平部に向けて直線状に延びる点、および、「上端側が下端側に対し外側に」傾斜する点を充足していると理解せざるを得ない。 c 本件特許発明1は、甲1に記載の公知階段構造において、2部材を直交状態に連結して入隅側から固定具で固定する取付構造として、前記周知慣用技術ないし甲3~甲5記載の発明を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性の要件を満たさない。 (申立書6頁9行-7頁24行) 申立人の主張について検討する。 上記主張aについて 上記(イ)aで示したとおり、甲4記載技術の「細孔6の穿孔の方向が、側板4の底面4bに対して外側に向かって斜め下方」であることから、「細孔6」は、その下端側が上端側に対し外側に傾斜していることとなり、また、甲4記載技術の「ネジや釘7」は、「上部ユニット1、1’」を上から「下部ボックス2、2’上の天板3上」に固定している。 よって、甲4記載技術の「細孔6」は、本件特許発明1の特定事項Aに係る「側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔」に相当しないし、本件特許発明1の特定事項Bに係る「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の頭部が先孔の下端側に配置されて軸部が先孔を通して側板を貫通した状態で軸部の先端側が段板の下面側に固定されることによって、段板が側板に固定されていること」を充足しない。 上記主張bについて 上記(イ)cで示したとおり、甲5記載技術は、相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「先孔」に相当する構成はあるものの、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び」て「先孔が形成され」るとの構成も、「先孔」において、「上端側が下端側に対し外側に傾斜する」との構成も有していない。 よって、甲5記載技術において、特定事項Bの「先孔」について「側板の内面から」水平部にかけて直線状に延びる点、及び、「上端側が下端側に対し外側に」傾斜する点を充足しているとは理解できない。 上記主張cについて 上記1(3)イ、及び(4)イで示すとおり、単に、2部材を直交状態に連結して入隅側から固定具で固定する取付構造は、一応、周知慣用技術といえる。 しかしながら、甲4記載技術、甲3記載技術、甲5記載技術については、上記(イ)a~cのとおりであるから、上記周知慣用技術とともに、甲4記載技術、甲3記載技術、甲5記載技術を、甲1発明に適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成に想到することはできない。 以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。 (エ)小括 よって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明及び、甲2~5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~10について 本件発明2~10は、本件発明1を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記アで検討した理由と同じ理由により、甲1発明及び甲2~5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲2を主引用例として検討 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明を対比する。 a 甲2発明の「一対の側板1,1」は、「左右方向(階段巾方向)に間隔をおい」たものであるから、本件発明1の「間隔をおいて配置される一対の側板」に相当する。 甲2発明の「側板1の上側縁部」に形成された「水平な切り口」で構成された「段板取付用木口11」に取り付けられる「段板2」は、本件発明1の「側板に設けられた水平部に設置される段板」に相当する。 甲2発明の「階段に適用される段板取付構造」は、本件発明1の「階段の段板取付構造」に相当する。 b 甲2発明の「連結具4」は、「一対の側板1,1」に「段板2」を仮固定するものであるから、本件発明1の「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」とは、「固定具」である点で共通する。 c 甲2発明の「接着剤と、連結具4とを併用」し、「段板2」が「一対の側板1,1」に組み付けられることと、本件発明1の「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていること」とは、「前記段板が前記側板に固定されていること」で共通する。 そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「間隔をおいて配置される一対の側板と、前記側板に設けられた水平部に設置される段板とを備えた階段の段板取付構造であって、 前記段板が前記側板に固定されている階段の段板取付構造。」 <相違点1a> 「段板」が「側板に固定されている」ことについて、 本件発明1では、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、 軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されること」で固定されているのに対して、 甲2発明では、「接着剤と、連結具4とを併用して段板2を側板1に組み付けるものであって」、「側板1の上側縁部には、その上側縁部が階段状に切り欠かれることによって」形成された「水平な切り口」が、「水平な切り口が段板取付用木口11として構成され」、「各段板取付用木口11の前後2箇所の位置には、連結具取付部としての連結具取付凹部15が形成されていて」、「連結具4は、段板2を側板1に仮固定するのに用いられるものであって、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成される連結具本体5と、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されるインサートピン8とを備えて」いるものである点。 (イ)判断 上記相違点1aについて検討する。 相違点1aに係る本件発明1の構成は、上記(1)ア(ア)の対比において示した、甲1発明との相違点2に係る本件発明1の構成と同様である。 a 甲4記載技術について 上記相違点1aに係る本件発明1の構成は、上記相違点2に係る本件発明1の構成と同様であること、また、上記(1)ア(イ)a(a)~(c)で検討したことをふまえれば、以下のとおりである。 甲4記載技術は、相違点1aに係る本件発明1の構成のうち、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ」「外側に傾斜する先孔が形成され」ている構成、及び、「軸部の基端側に頭部が設けられた固定具」が「前記先孔」に配置されて「前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側」が「固定され」る構成を有している。 しかしながら、甲4記載技術は、相違点1aに係る本件発明1の構成のうち、「先孔」に係る「上端側が下端側に対し外側に傾斜する」との構成を有していない。 また、甲4記載技術は、相違点1aに係る本件発明1の構成のうち、「固定具」の「頭部が前記先孔の下端側に配置」されていて、「軸部の先端側」が「段板の下面側に固定されること」との構成を有していない。 甲2発明に甲4記載技術を適用できるかについて検討するに、甲2発明の「段板2」を「側板1,1」に固定する固定構造は、「接着剤と、連結具4とを併用して段板2を側板1に組み付けるものであって」、「側板1の上側縁部には、その上側縁部が階段状に切り欠かれることによって」形成された「水平な切り口」が、「水平な切り口が段板取付用木口11として構成され」、「各段板取付用木口11の前後2箇所の位置には、連結具取付部としての連結具取付凹部15が形成されていて」、「連結具4は、段板2を側板1に仮固定するのに用いられ」、「段板2を一対の側板1,1における1段目の段板取付用木口11,11に固定」するもの、要するに、「接着剤」と、「連結具取付凹部15」に配置する「連結具4」とを併用する固定構造である。これに対して、甲4記載技術の固定構造は、「ネジまたは釘7」が「細孔6に埋入」され、「側板底面4Cから突出させて天板3に固定」されるものである。 そうすると、両者は、固定するための仕組みが異なるとともに、固定具の作用・機能が異なっており、甲2発明に甲4記載技術を適用する動機付けはない。 よって、甲2発明に甲4記載技術を適用することはできない。 仮に、甲2発明に甲4記載技術を適用しても、甲4記載技術は、上記のとおり、相違点1aに係る本件発明1の構成のうちの「固定具」の「頭部が前記先孔の下端側に配置」されていて、「軸部の先端側」が「段板の下面側に固定されること」との構成を有していないから、相違点1aに係る本件発明1の構成とすることはできない。 b 甲3記載技術について 相違点1aに係る本件発明1の構成は、上記相違点2に係る本件発明1の構成と同様であること、また、上記(1)ア(イ)b(a)~(c)で検討したことをふまえれば、以下のとおりである。 甲3記載技術は、相違点1aに係る本件発明1の構成のうち「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔」の構成を有していない。 また、甲3記載技術は、「取付金具10」の「第1受け面11」と「第2受け面12」に「ビス21」と「ビス24」を通す甲1発明とは、固定の仕組みが異なり、甲1発明に甲3記載技術を適用する動機付けがない。 よって、甲1発明に甲3記載技術を適用する動機付けはなく、仮に適用しても、相違点1aに係る本件発明1の構成とすることはできない。 c 甲5記載技術について 相違点1aに係る本件発明1の構成は、上記相違点2に係る本件発明1の構成と同様であること、また、上記(1)ア(イ)c(a)及び(b)で検討したことをふまえれば、以下のとおりである。 甲5記載技術は、そもそも、コンクリートの「中央の広い主要部1」に「板状の段部2」を取り付ける際、伝達される力の垂直成分を減じるための技術であって、「側板」に取り付けるものではなく、基本構成が全て異なっており、相違点1aに係る本件発明1の構成のうち、「前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び」て「先孔が形成され」るとの構成も、「先孔」において、「上端側が下端側に対し外側に傾斜する」との構成も有さないし、甲2発明に甲5記載技術を適用する動機付けもない。 よって、甲2発明に甲5記載技術を適用する動機付けはなく、仮に、適用しても、相違点1aに係る本件発明1の構成とすることはできない。 d 甲1に記載された技術について 上記相違点1aに係る本件発明1の構成は、上記(1)ア(ア)の対比で示される、甲1発明との相違点2に係る本件発明1の構成と同様であることから、甲2が、相違点1aに係る本件発明1の構成を開示していないように、甲1も、相違点1aに係る本件発明1の構成を開示していないことは明らかである。 よって、甲2発明に対して、甲1に記載された技術を適用しても、相違点1aに係る本件発明1の構成とすることはできない。 (ウ)申立人の主張について 申立人の、甲2を主引用例とした進歩性についての主張は、上記(1)ア(ウ)a~cの主張における「甲1」を、「甲2」に換えたものであると認められる。 申立人の主張について検討する。 申立人が主張する「主張a」及び「主張b」に対しては、上記(1)ア(ウ)において示した「上記主張aについて」及び「上記主張bについて」の「相違点2」を「相違点1a」に換えたものである。 上記主張cについて 上記1(3)イ、及び(4)イで示すとおり、2部材を直交状態に連結して入隅側から固定具で固定する取付構造は、一応、周知慣用技術といえる。 しかしながら、甲4記載技術、甲3記載技術、甲5記載技術については、上記(イ)a~cのとおりであるから、上記周知慣用技術とともに、甲4記載技術、甲3記載技術、甲5記載技術を、甲2発明に適用しても、相違点1aに係る本件発明1の構成に想到することはできない。 以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。 (エ)小括 よって、本件発明1は、甲2発明及び、甲1、3~5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~10について 本件発明2~10は、本件発明1を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記アで検討した理由と同じ理由により、甲2発明及び甲1、3~5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701155

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