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特許異議申立

2017-700157

防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置

審判番号
2017-700157
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-150873外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月21日
審決日
2017年10月30日
公報発行日
2018年01月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(G02B) / P1651.537-YAA(G02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5976602号発明「防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5976602号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第5976602号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許異議申立事件に係る特許第5976602号(請求項の数10。以下「本件特許」という。)は、平成25年7月19日に出願され、平成28年7月29日にその特許権の設定登録がされたものである。 その後、平成28年8月23日に本件特許の特許掲載公報が発行されたところ、平成29年2月21日に特許異議申立人により特許異議の申立てがされ、平成29年5月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年7月21日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正の請求に対し、平成29年8月29日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正請求の内容 平成29年7月21日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)は、一群の請求項の全てに対して請求されたものであって、その訂正の内容は以下の(1)ないし(3)のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 明細書の段落【0030】の「表面形状を測定する装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡が好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。」との記載を「表面形状を測定する装置としては、非接触式の表面粗さ計であるZygo社製の白色干渉顕微鏡「New View6300」が使用される。」に訂正する。 (2)訂正事項2 明細書の段落【0185】の「実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面(低屈折率層が無い場合には防眩層の表面、低屈折率層がある場合には低屈折率層の表面)において、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzを測定した。」との記載を「実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面(低屈折率層が無い場合には防眩層の表面、低屈折率層がある場合には低屈折率層の表面)において、Sm、θa、Ry、およびRzを測定した。」に訂正する。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0185】の「Sm、Ra、RyおよびRzの定義は、JIS B0601-1994に従うものとし、θaは表面粗さ測定器:SE-3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。」との記載を「Sm、RyおよびRzの定義は、JIS B0601-1994に従うものとし、θaは表面粗さ測定器:SE-3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 本件特許の明細書の段落【0178】ないし【0180】には、「<Ra(100)およびRa(100-1000)の測定>」との表題の下、Ra(100)及びRa(100-1000)の測定方法が記載されている。具体的には、「白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社製)を用いて」、「カットオフ値100μmと1000μmのフィルタが設定される」条件にて、「防眩フィルムの表面形状の測定・解析を行」い、「解析ソフト(MetroPro ver8.3.2-Advanced Texture Application)にてThree Band Mapを表示させた」ときの「表示画面の「High Band」におけるRaがRa(100)に相当し、「Mid Band」におけるRaがRa(100-1000)に相当する」ことが記載されている。すなわち、本件特許の明細書の段落【0178】ないし【0180】には、Ra(100)及びRa(100-1000)は、「白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社製)を用いて」、「カットオフ値100μmと1000μmのフィルタが設定される」条件にて、「防眩フィルムの表面形状の測定・解析を行」い、「解析ソフト(MetroPro ver8.3.2-Advanced Texture Application)にてThree Band Mapを表示させた」ときの「表示画面の「High Band」におけるRa」及び「「Mid Band」におけるRa」と定義されている。 これに対し、本件特許の明細書の段落【0030】には、Ra(100)及びRa(100-1000)の測定装置に関し、「表面形状を測定する装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡が好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。」と記載され、上記段落【0178】ないし【0180】に記載されたRa(100)及びRa(100-1000)の定義とは異なる測定装置も挙げられているところ、本件特許の明細書には、これら異なる測定装置を用いた場合のRa(100)及びRa(100-1000)の定義が記載されていないため、Ra(100)及びRa(100-1000)の定義が不明瞭であった。 訂正事項1は、上記段落【0030】の記載において、「表面形状を測定する装置」を、上記段落【0178】ないし【0180】に記載された「Zygo社製の白色干渉顕微鏡「New View6300」」に特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2及び3について 本件特許の明細書の段落【0178】ないし【0180】、【0185】及び【0186】には、実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面粗さの測定について記載されているところ、段落【0178】ないし【0180】には、「<Ra(100)およびRa(100-1000)の測定>」との表題の下、白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社製)を用いたRa(100)及びRa(100-1000)の測定方法が具体的に記載されている。 他方、段落【0185】及び【0186】には、「<Sm、θa、Ry、およびRzの測定>」との表題の下、Sm、θa、RyおよびRzの測定方法が具体的に記載されているが、Raに関しては、「実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面……において、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzを測定した。Sm、Ra、RyおよびRzの定義は、JIS B0601-1994に従う……」と記載されているのみであって、具体的な測定方法は開示されていない。 加えて、本件特許の明細書の段落【0027】には、「なお、JIS B0601-1994には、算術平均粗さを測定する際のカットオフ値が規定されているが、JIS B0601-1994で規定されているカットオフ値は0.08mm等であるので、本発明のカットオフ波長とは全く異なるものである。」と記載され、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601-1994で規定されるものと異なる旨が記載されている。事実、JIS B0601-1994には、算術平均粗さ(Ra)を求めるときのカットオフ値(カットオフ波長)の標準値として、100μmや1000μmは規定されておらず、当該JISの定義に従って算術平均粗さ(Ra)を算出することはできない(甲第4号証を参照。)。 以上を勘案すると、本件特許の明細書の段落【0185】及び【0186】の記載は、Sm、θa、Ry、およびRzの測定方法を開示したものであって、「実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面……において、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzを測定した。Sm、Ra、RyおよびRzの定義は、JIS B0601-1994に従う……」との記載における「Ra」は錯誤により記載されたものと解するのが相当である。 よって、訂正事項2及び3は、誤記の訂正を目的とするものである。 そして、訂正事項2及び3は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正明細書のとおり訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件特許の請求項1ないし10に係る発明(以下「本件発明1ないし10」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、 前記防眩フィルムの表面が凹凸面となっており、 前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、 長波長カットオフ波長を100μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100-1000)[μm]としたとき、下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とし、 Ra(100)/Ra(100-1000)≦0.5    …(1) 0.04μm≦Ra(100-1000)≦0.12μm  …(2) 前記防眩層が、バインダ樹脂と無機酸化物微粒子とを含んでなり、 前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が、1nm以上100nm以下である、防眩フィルム。 【請求項2】 前記Ra(100)が下記式(3)を満たす、請求項1に記載の防眩フィルム。 Ra(100)≦0.03μm  …(3) 【請求項3】 前記防眩層の前記凹凸面が前記防眩フィルムの前記表面となっている、請求項1または2に記載の防眩フィルム。 【請求項4】 前記防眩層上に設けられた機能層をさらに備え、前記機能層の表面が前記防眩フィルムの前記表面となっている、請求項1または2に記載の防眩フィルム。 【請求項5】 前記無機酸化物微粒子は、表面が疎水化処理された無機酸化物微粒子である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の防眩フィルム。 【請求項6】 前記無機酸化物微粒子が前記防眩層内で凝集体を形成しており、前記凝集体の平均粒子径が100nm以上2.0μm以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。 【請求項7】 前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上1%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が実質的に0%である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の防眩フィルムと、 前記防眩フィルムの前記光透過性基材における前記防眩層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板。 【請求項9】 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の防眩フィルム、または請求項8に記載の偏光板を備える、液晶表示パネル。 【請求項10】 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の防眩フィルム、または請求項8に記載の偏光板を備え、かつ水平画素数が3000以上である、画像表示装置。」 2 特許異議申立ての理由の概要 (1)本件発明1ないし9は、甲第1号証(国際公開第2013/099931号)及び甲第2号証(特開2008-145499号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明10は、甲第1号証ないし甲第3号証(特開2011-48310号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)本件発明1ないし10は明確とはいえないから、その特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 取消理由の概要 本件訂正請求による訂正前の請求項1ないし10に係る特許に対して平成29年5月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 請求項1ないし10に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 4 甲号証の記載 (1)本件特許出願前に電気通信回線を通じて利用可能となった甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 ア 「[0006]特に、近年においては、家庭でも、映画等の高度な画質を表示したディスプレイを鑑賞する機会が増えたため、高いコントスラトに対する要求が高まっている。かかる要求を解決する方法として、例えば、ハードコート層と防眩層とをそれぞれ積層形成してなる防眩性フィルムが知られている(例えば、特許文献3参照)。このような層構成の反射防止フィルムは、防眩層表面の細かな凹凸形状をハードコート層の樹脂によりスムージングすることで滑らかな、凸部と凸部の間隔が大きく、凸部高さが従来よりも低い凹凸に変換させて、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ、面ギラ及び白ぼけの発生の抑制を図ることができるものであったが、膜厚が10μm以上になるなど厚くなってしまい、近年の防眩性フィルムの薄膜化の要請に充分応えることができなかった。 また、有機微粒子或いは無機微粒子を単独で用いて層表面に凹凸形状を形成する場合、防眩性フィルムの薄膜化を図ると、微粒子が防眩層の上部に存在しすぎたり、微粒子が高さ方向に凝集したりすることがあるため、表面凹凸が高くなってしまい、面ギラ或いは白ぼけが発生していた。この欠点を解消すべく、有機微粒子或いは無機微粒子の平均粒径を小さくして、表面凹凸の高さを低くしようとすると、反対に表面凹凸の高さが低くなりすぎて、防眩性がなくなってしまいやすく、安定して良好な製品を得ることはできなかった。このため、滑らかな凹凸表面を有する防眩層であって、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ、面ギラ及び明室での白ぼけを充分に抑制でき、かつ暗室でのコントラストが優れる一層構成の防眩層を備えた防眩性フィルムが望まれていた。」 イ 「発明が解決しようとする課題 [0008]本発明は、上記現状に鑑みて、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ薄膜化でき、面ギラの発生と、白ぼけの発生とを極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる防眩性フィルム、該防眩性フィルムを用いてなる偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。」 ウ 「課題を解決するための手段 [0009]本発明は、光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムであって、上記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、上記シリカ微粒子は、凝集体を形成して上記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、上記シリカ微粒子の凝集体は、上記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、その一部が上記有機微粒子の表面に付着及び/又は上記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸していることを特徴とする防眩性フィルムである。 [0010]本発明の防眩性フィルムにおいて、上記防眩層は、表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとしたとき、上記Sm、θa、Ra及びRzが以下の式を満たすことが好ましい。 50μm<Sm<600μm 0.1°<θa<1.5° 0.02μm<Ra<0.25μm 0.30μm<Rz<2.00μm また、本発明の防眩性フィルムは、上記防眩層の厚さが2.0~7.0μmであることが好ましく、上記有機微粒子の平均粒子径が、防眩層の厚さに対して20~60%であることが好ましい。 また、上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましく、上記シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm~1μmであることが好ましい。 また、上記バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。 また、上記有機微粒子は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン#アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子であることが好ましく、表面親水化処理されていることが好ましい。 また、上記防眩層は、有機微粒子、シリカ微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有する防眩層用組成物を用いて形成されてなることが好ましい。 …… [0011]本発明はまた、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光板は、偏光素子表面に上述の防眩性フィルムを備えることを特徴とする偏光板でもある。 本発明は、上述の防眩性フィルム、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。 以下に、本発明を詳細に説明する。 [0012]本発明者らは、光透過性基材上に表面に凹凸形状を有する防眩層を備えた防眩性フィルムについて、鋭意検討した結果、防眩層中にシリカ微粒子と有機微粒子とを特定の分散状態となるように含有させることで、単一の微粒子(例えば、有機微粒子)により防眩層表面の凹凸形状を形成した場合と比較して、より滑らかな凹凸形状とすることができ、その結果、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ薄膜化でき、面ギラの発生と、白ぼけの発生とを充分に抑制した防眩性フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」 エ 「[0024]上記シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1~100nmであることが好ましい。1nm未満であると、有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあり、100nmを超えると、上記有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は50nmである。 なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。」 オ 「[0031]このような特定の状態でシリカ微粒子の数珠状に連なった凝集体と有機微粒子とが防眩層に含有されていることで、本発明の防眩性フィルムにおける防眩層は、単一の微粒子又はその凝集体により形成された凹凸形状よりも、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。この結果、本発明の防眩性フィルムは、防眩性を維持しつつコントラストを向上させることができる。上記防眩層の表面に形成される凹凸形状の凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状を有することで、上記防眩層の表面に映り込んだ映像のエッジ部分のみ鮮明に見えなくすることができるため防眩性が担保される。更に、このような凹凸形状を有する防眩層は、大きな拡散を無くすことができるため迷光発生を防ぐことができるとともに、正透過する部分を適度に持たせることもできるため、輝きを持つ映像で、かつ、明室及び暗室でのコントラストに優れたものとすることができる。……」 カ 「[0062]また、上記防眩層の凹凸形状は、上記観点からより好ましくは、下記式を満たすことである。 100μm<Sm<400μm 0.1°<θa<1.2° 0.02μm<Ra<0.15μm 0.30μm<Rz<1.20μm 上記防眩層の凹凸形状は、更に好ましくは、下記式を満たすことである。 120μm<Sm<300μm 0.1°<θa<0.5° 0.02μm<Ra<0.12μm 0.30μm<Rz<0.80μm なお、本明細書において、上記Sm、Ra及びRzは、JIS B 0601-1994に準拠する方法で得られる値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE-3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義により得られる値であり、図1に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h1+h2+h3+・・・+hn)のアークタンジェントθa=tan-1{(h1+h2+h3+・・・+hn)/L}で求めることができる。なお、本防眩性フィルムが上記防眩層上に後述するような低屈折率層を有する場合、該低屈折率層の表面に形成された凹凸形状が上述したSm、θa、Ra及びRzの範囲を満たすことが好ましい。 このようなSm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE-3400/株式会社小坂研究所製により、以下の条件で測定して求めることができる。 基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm 評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm 触針の送り速さ:0.5mm/s」 キ 「[0064]また、本発明の防眩性フィルムは、ヘイズが15%未満であることが好ましい。上記防眩層は、含有する微粒子による内部拡散による内部ヘイズ及び最表面の凹凸形状による外部ヘイズからなってよく、内部拡散による内部ヘイズは、0%以上10%未満の範囲であることが好ましく、0%以上7%未満の範囲であることがより好ましく、0%以上5%未満の範囲であることが更に好ましい。最表面の外部ヘイズは、0%以上5%未満の範囲であることが好ましく、0%以上3%未満の範囲であることがより好ましく、0%以上1%未満の範囲であることが更に好ましい。なお、反射及び/又は透過において、1.0度以上2.5度未満の拡散角での強度を有する場合、上記内部ヘイズ及び/又は外部ヘイズは0%であることが最も好ましい。上記防眩層が、表面凹凸による拡散角が1.0度以上の拡散を有さないと防眩効果が見られず、内部拡散による拡散が1.0度以上の拡散を有さないと面ギラが強くなるためである。ここで、「1.0度以上2.5度未満の拡散角での強度を有する場合」とは、拡散角0度から2.4度まで0.1度毎の拡散光の強度を測定したときの総和に対する、拡散角1.0度から2.4度の拡散光の強度の総和が10%以上であることを言う。 …… 上記ヘイズは、JIS K7136に従い、村上色彩技術研究所社製「HM#150」等で測定できる。 また、上記内部ヘイズは、以下のように求められる。 防眩性フィルムの防眩層の表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか屈折率差が0.02以下である樹脂をワイヤーバーで乾燥膜厚が8μm(完全に表面の凹凸形状がなくなり、表面が平坦とできる膜厚とする)となるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、100mJ/cm2の紫外線を照射して硬化する。これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となったフィルムが得られる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、上記防眩層の表面に塗布する樹脂がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩層の表面をケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液で55℃、3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)等で水滴を完全に除去した後、50℃オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。 この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸をもたないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このフィルムのヘイズを、JIS K-7136に従ってヘイズと同様な方法で測定することで、内部ヘイズを求めることができる。 また、上記外部ヘイズは、(ヘイズ-内部ヘイズ)として求めることができる。」 ク 上記アないしキによれば、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムであって、 防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、シリカ微粒子は、凝集体を形成して防眩層中に粗密に含有されたものを有し、シリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の周囲に密に分布しており、有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、その一部が有機微粒子の表面に付着及び/又は凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸しており、 防眩層は、表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとしたとき、Sm、θa、Ra及びRzが以下の式を満たし、 120μm<Sm<300μm 0.1°<θa<0.5° 0.02μm<Ra<0.12μm 0.30μm<Rz<0.80μm Sm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE-3400/株式会社小坂研究所製により、以下の条件で測定して求めることができ、 基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm 評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm 触針の送り速さ:0.5mm/s シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1~100nmであり、 防眩性フィルムの内部ヘイズは、0%以上5%未満の範囲であり、外部ヘイズは、0%以上1%未満の範囲である防眩性フィルム。」 (2)本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 透明基材上に、バインダマトリックスと粒子を含んでなる防眩層を有する防眩性光拡散部材であって、 前記防眩層がJIS-B0601-1994で規定される2種の算術表面粗さ(Ra1、Ra2)のうち、カットオフ波長λcが0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)が0.008未満であり、カットオフ波長λcが0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)が0.1~0.5μmであり、且つ、内部ヘイズが1~7%であることを特徴とする防眩性光拡散部材。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、窓やディスプレイなどの表面に設けられる防眩性光拡散部材に関する。特に、液晶ディスプレイ(LCD)、CRTディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などのディスプレイの表面に設けられる防眩性光拡散部材に関する。 【背景技術】 【0002】 液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、ELディスプレイ、および、プラズマディスプレイなどのディスプレイは、視認性の観点で下記の幾つかの問題がある。 ・視聴時に外光が写りこむ。 ・ディスプレイからの表示光によりディスプレイ表面で面ぎら(シンチレーション)が発生する。 ・ディスプレイから拡散されずに直接くる表示光の眩しさ、などにより視認性がよくない。 ・輝度むらなどの欠陥によっても視認性が悪化する。 このような視認性の低下、悪化を解決するために、防眩性光拡散部材をディスプレイの前面に設けることが知られている。 【0003】 防眩性光拡散部材としては、例えば、下記の技術が知られている。 ・ディスプレイの表面に、エンボス加工を施した防眩層を有する防眩性光拡散部材を設ける。 ・ディスプレイの表面に、バインダマトリックスに粒子を混入することによって表面に凹凸が形成された防眩層を有する防眩性光拡散部材を設ける。 このような防眩性光拡散部材においては、表面の凹凸による光の散乱現象(表面拡散)が利用される。 さらに、バインダマトリックスにバインダマトリックスと屈折率の異なる粒子を混入することによって、バインダマトリックスと粒子の屈折率差による光の内部散乱(内部拡散)を利用する防眩性光拡散部材も知られている。 【0004】 エンボス加工により表面に凹凸が形成されている防眩性光拡散部材は、表面凹凸を完全に制御できる。そのため、再現性が良い。しかし、エンボスロールに欠陥または異物付着があるとロールのピッチで延々欠陥が出る。そのため、大量生産の場合、全ての製品に欠陥が生じる。また、表面での散乱のみ利用するので、下記の問題がある。 ・耐擦傷性 ・コントラストの低下 ・ギラツキ発生 【0005】 バインダマトリックスと粒子を用いた防眩性光拡散部材は前記エンボス加工を用いた防眩性光拡散部材よりも工程数が少ない。よって、安価に製造できる。そのため、様々な態様の防眩性光拡散部材が知られている(特許文献1)。 【0006】 例えば、以下の防眩性光拡散部材が知られている。 外光の写りこみ、シンチレーションなどを防止することによって視認性を高める必要がある。そのため、以下の方法が考えられている。 ・表面の凹凸形状を大きくすることによって、光の散乱性能を向上させる。 ・添加する粒子の量を増やすことによって、光の散乱性能を向上させる。 しかし、上記方法では透過像鮮明度が低下してしまうという問題がある。光の散乱性能等を低下させることなく、視認性を向上させる方法として、下記の技術が知られている。 ・バインダマトリックス樹脂と球形粒子と不定形粒子を併用する技術(特許文献2) ・バインダマトリックス樹脂と複数の粒径の異なる粒子を用いる技術(特許文献3) ・表面凹凸を有し、凹部の断面積を規定した技術(特許文献4) 【0007】 また、光の散乱性能等を低下させることなく、視認性を向上させるために、防眩性光拡散部材内部の散乱と防眩性光拡散部材表面の散乱を併用する技術も知られている。防眩性光拡散部材内部の散乱(内部拡散)は、防眩性光拡散部材を樹脂などのバインダマトリックス内部に該バインダマトリックスと屈折率が異なる粒子を分散させることによって生じる。十分な光拡散性能を発揮するためにある程度の表面凹凸を防眩性光拡散部材表面に形成する必要がある。しかし、下記の問題がある。 ・コントラストの低下 ・表面凹凸のレンズ効果に起因するギラツキの発生 ・耐擦傷性の低下 内部の散乱と表面の散乱と併用すると、表面の散乱のみを用いる防眩性光拡散部材に比べ、表面凹凸が小さくて済む。よって、以下の利点がある。 ・コントラストの向上 ・表面凹凸のレンズ効果に起因するギラツキの低減 ・耐擦傷性の向上 例えば、内部の散乱と表面の散乱を併用する技術として、以下の技術が知られている。 ・内部ヘイズ(曇度)が1~15%であり、表面ヘイズ(曇度)が7~30%である技術(特許文献5、特許文献6) ・バインダー樹脂と粒径0.5~5μmの粒子を用い、樹脂と粒子の屈折率差が0.02~0.2である技術(特許文献7) ・バインダー樹脂と粒径1~5μmの粒子を用い、樹脂と粒子の屈折率差を0.05~0.15である技術。さらに、用いる溶媒、表面粗さなどを規定した技術(特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12) ・バインダー樹脂と複数の粒子を用い、樹脂と粒子の屈折率差が0.03~0.2である技術(特許文献13、特許文献14) 【0008】 また視野角を変化させたときのコントラストの低下、色相変化等を低減する下記の技術も知られている。この技術においては、表面ヘイズ(曇度)が3以上である。また、法線方向のヘイズ値と±60°方向のヘイズ値の差が4以下である。(特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18)また、中心線平均粗さ(Ra)が0.2μm以下である技術も知れている。(特許文献19)中心線平均粗さ(Ra)が0.02~1μmであり、十点平均粗さ(Rz)/Raが30以下である技術も知られている。(特許文献20、特許文献21) 【0009】 また、防眩性光拡散部材は主にディスプレイの前面に設けるため、耐擦傷性が要求される。耐擦傷性を向上させるためには、防眩性光拡散部材の硬度を向上する必要がある。そこで、ディスプレイの表示画質を低下させずに高硬度を有する防眩性光拡散部材を作成するために、電離放射線硬化樹脂バインダーとシリカ粒子、シリコーン粒子を用いる技術が知られている。(特許文献21) 【0010】 このように様々な目的で様々な構成の防眩性光拡散部材が開示されている。 防眩性光拡散部材に求められる性能は、ディスプレイの前面に用いる場合、ディスプレイによって異なる。例えば、ディスプレイの解像度や使用目的などにより最適な防眩性光拡散部材は異なる。目的により多様な防眩性光拡散部材が求められる。 【0011】 一般に防眩性光拡散部材は、主として表面拡散の度合いを示す表面ヘイズ値、主として内部拡散の度合いを示す内部ヘイズ値、像鮮明度、光沢度などの物性が重要である。また、防眩性光拡散部材をディスプレイの前面に用いる場合、硬度などの物性も重要である。 さらに、生産時の塗工適性、コスト、カールなども考慮しなくてはならない。そのため、膜厚など制限される要素は多い。限られた範囲内で表面ヘイズ、内部ヘイズなどを制御することが困難である。 …… 【発明が解決しようとする課題】 【0013】 本発明はこの問題点を鑑みてなされたものであり、ディスプレイに用いる際、十分な外光の写り込み防止性と高いコントラストを有し、ぎらつきのない視認性良好な防眩性光拡散部材を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0014】 上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、透明基材上に、バインダマトリックスと粒子を含んでなる防眩層を有する防眩性光拡散部材であって、前記防眩層がJIS-B0601-1994で規定される2種の算術表面粗さ(Ra1、Ra2)のうち、カットオフ波長λcが0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)が0.008未満であり、カットオフ波長λcが0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)が0.1~0.5μmであり、且つ、内部ヘイズが1~7%であることを特徴とする防眩性光拡散部材とした。」 ウ 「【発明を実施するための最良の形態】 【0022】 本発明の防眩性光拡散部材について説明する。 図1に本発明の防眩性光拡散部材の断面模式図を示した。本発明の防眩性光拡散部材(1)は、透明基材(11)上に防眩層(12)を有する。防眩層(12)はバインダマトリックス(120)中に粒子(12A)を含有する。そして、本発明の防眩性光拡散部材(1)は、JIS-B0601-1994で規定される2種の算術表面粗さ(Ra1、Ra2)のうち、カットオフ波長λcが0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)が0.008未満であり、カットオフ波長λcが0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)が0.1~0.5μmであり、且つ、内部ヘイズが1~7%であることを特徴とする。 【0023】 λcは表面粗さ評価において断面曲線から粗さ曲線を得る際のカットオフ波長である。すなわち、λcは断面曲線から除去する表面凹凸成分の波長範囲を決定するパラメータである。算術平均粗さRa等の各種表面形状パラメータはλcで異なる。λcが小さいほど、波長の短い成分をより反映した粗さ曲線が得られる。よって、λcが小さいほど、得られる算術平均粗さRaは微細な凹凸成分を反映したものとなる。逆に、λcが大きいほど、得られる算術平均粗さRaは大きな凹凸成分を反映したものとなる。 【0024】 本発明者らは、微細な表面な凹凸を反映したカットオフ波長λc0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)と、大きな凹凸を反映したカットオフ波長λc0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)の2つ表面の凹凸ののパラメーターと内部ヘイズを制御することにより、十分な外光の写り込み防止性と高いコントラストを有する防眩性光拡散部材を得ることができた。 【0025】 本発明者らは、防眩性光拡散材がRa1で示される微細な表面凹凸を有すると、防眩性光拡散部材が白っぽくなり、ディスプレイに備えた際のコントラストを低下させることを発見した。そこで、微細な表面な凹凸を反映したカットオフ波長λc0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)を0.008μm未満とし、より大きな凹凸を反映したカットオフ波長λc0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)を0.1~0.5μmとすることにより、防眩層表面の微細な凹凸を極力排除し、より大きな凹凸を防眩層表面に形成することにより、十分な外光写り込み性と高いコントラストを有する防眩性光拡散部材とした。しかしながら、Ra2が0.1~0.5μmで表されるより大きな凹凸を反映した表面を有する防眩層を有する防眩性光拡散部材は、防眩層内部で内部ヘイズを持たないと干渉によるぎらつきが発生する。そこで、内部ヘイズ値を1~7%とすることにより、ぎらつきを抑え、高い視認性を有する防眩性光拡散部材とすることができた。」 (3)本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、次の事項が記載されている。 「【0135】 本発明の液晶表示装置は、LEDバックライトや有機ELバックライトのテレビとしても好適に用いられる。また、プロジェクター用液晶パネルとして用いるのにも好適である。また、本発明は、フルハイビジョンや4K2Kのような解像度の高い液晶表示装置にも好適である。 また、本発明の液晶表示装置には、色再現の向上を狙った4色以上のカラーフィルタや光源を組み合わせて用いることも有効である。 また、本発明の液晶表示装置を、デジタルカメラ用やカーナビ用、携帯電話用、PDA用などに用いることも、有効である。」 5 判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 本件訂正請求により訂正された訂正明細書の段落【0030】には、「Ra(100)およびRa(100-1000)の測定」に「Zygo社製の白色干渉顕微鏡「New View6300」が使用される」ことが記載され、段落【0178】ないし【0180】には、当該白色干渉顕微鏡を使用したRa(100)及びRa(100-1000)の測定方法が具体的に記載されている。 そうすると、本件発明1ないし10において、Ra(100)及びRa(100-1000)の定義は明確であるから、本件発明1ないし10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 イ なお、特許異議申立人は、平成29年8月29日付けの意見書(4頁3ないし22行)において、訂正明細書には白色干渉顕微鏡「New View6300」を用いてRa(100)及びRa(100-1000)を測定する際の領域の大きさが記載されていない旨主張する。 しかし、訂正明細書の段落【0031】には、「測定面積は広い方が好ましく、少なくとも500μm×500μm以上、より好ましくは2mm×2mm以上の領域で測定されるのがよい。」と記載されている。また、訂正明細書の段落【0178】ないし【0180】に記載された、白色干渉顕微鏡「New View6300」を用いたRa(100)及びRa(100-1000)の測定方法においても「データ点数:992×992点 解像度(1点当たりの間隔):2.2μm」(段落【0180】)と記載され、約2mm×2mmの領域で測定されることが理解できるから、特許異議申立人の主張は採用できない。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。 a 甲1発明の「光透過性基材」、「防眩層」及び「防眩性フィルム」は、本件発明1の「光透過性基材」、「防眩層」及び「防眩フィルム」にそれぞれ相当し、甲1発明の「光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルム」は、「光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルム」に相当する。また、甲1発明の「防眩層」が「凹凸面を有する」ことは、本件発明1の「前記防眩フィルムの表面が凹凸面となって」いることに相当する。 b 甲1発明は、「防眩性フィルムの内部ヘイズは、0%以上5%未満の範囲であ」るから、本件発明1の「前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であ」るとの構成を備えている。また、甲1発明の防眩性フィルムの「内部ヘイズ」と「外部ヘイズ」を足し合わせたものが、本件発明1の「前記防眩フィルムの全ヘイズ値」に相当することは、技術常識に照らし明らかであるから、甲1発明は、本件発明1の「前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であ」るとの構成を備えている。 c 甲1発明の「基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc)」は、本件発明1の「長波長カットオフ波長」に相当する。また、甲1発明の「基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm」の条件で測定した「『凹凸の算術平均粗さ』『Ra』」と本件発明1の「『長波長カットオフ波長を100μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さ』『Ra(100)[μm]』」及び「『短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さ』『Ra(100-1000)[μm]』」とは、「防眩フィルムの表面の算術平均粗さRa」である点で共通する。 d 甲1発明の「シリカ微粒子」及び「バインダー樹脂」は、本件発明1の「無機酸化物微粒子」及び「バインダ樹脂」にそれぞれ相当し、甲1発明の「防眩層は、シリカ微粒子」「及びバインダー樹脂を含有」することは、本件発明1の「前記防眩層が、バインダ樹脂と無機酸化物微粒子とを含んでな」ることに相当する。 e 甲1発明の「シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1~100nmであ」ることは、本件発明1の「前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が、1nm以上100nm以下である」ことに相当する。 f 以上によれば、両者は以下の点で一致する。 <一致点> 「光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、 前記防眩フィルムの表面が凹凸面となっており、 前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、 前記防眩層が、バインダ樹脂と無機酸化物微粒子とを含んでなり、 前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が、1nm以上100nm以下である、防眩フィルム。」 g 他方、両者は以下の点で相違する。 <相違点> 防眩フィルムの表面の算術平均粗さRaに関し、 本件発明1では、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100-1000)[μm]としたとき、下記式(1)及び式(2)を満たすのに対し、 Ra(100)/Ra(100-1000)≦0.5    …(1) 0.04μm≦Ra(100-1000)≦0.12μm  …(2) 甲1発明では、基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc)を2.5mmとしたときの算術平均粗さRaが以下の式を満たすが、Ra(100)[μm]とRa(100-1000)[μm]の比及びRa(100-1000)[μm]の値が不明である点。 0.02μm<Ra<0.12μm (イ)判断 a 相違点について 甲第2号証には、ディスプレイに用いる際、十分な外光の写り込み防止性と高いコントラストを有し、ぎらつきのない視認性良好な防眩性光拡散部材を提供することを目的として、透明基材上に、バインダマトリックスと粒子を含んでなる防眩層を有する防眩性光拡散部材において、防眩層のJIS-B0601-1994で規定される2種の算術表面粗さ(Ra1、Ra2)のうち、カットオフ波長λcが0.008mmのときの算術平均粗さ(Ra1)を0.008未満とし、カットオフ波長λcが0.8mmのときの算術平均粗さ(Ra2)を0.1~0.5μmとし、且つ、内部ヘイズを1~7%とすることが記載されている。ここで、甲第2号証に記載された「透明基材」、「バインダマトリックス」、「防眩層」、「防眩性光拡散部材」、「カットオフ波長λc」及び「算術表面粗さ」は、本件発明1の「光透過性基材」、「バインダ樹脂」、「防眩層」、「防眩フィルム」、「長波長カットオフ波長」及び「算術平均粗さ」にそれぞれ相当する。 しかし、甲第2号証には、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの算術平均粗さRa(100)[μm]、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの算術平均粗さRa(100-1000)[μm]を上記相違点に係る本件発明1の構成のように上記式(1)及び(2)を満たすようにすることは記載も示唆もされていない。 してみると、甲第2号証に記載された事項を踏まえても、甲1発明において上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たとすることはできない。 b 申立人の主張について 申立人は、本件発明1において、Ra(100)は微細な表面凹凸を反映したカットオフ波長の算術平均粗さと解釈でき、Ra(100-1000)は大きな凹凸を反映したカットオフ波長の算術粗さであると解釈できるから、その趣旨に沿って、甲第2号証に記載された2種の算術表面粗さ(Ra1、Ra2)を計算すれば、本件発明1の上記式(1)及び(2)を満たす旨主張する。 しかし、本件発明1は、1000μmより長い波長を有する凹凸は光学的特性とは直接関係なく、防眩性は100μm~1000μmの波長を有する凹凸によって決まり、また100μm未満の波長を有する凹凸はギラツキの原因となることを見出してなされたものであって(段落【0027】を参照。)、防眩フィルムの表面の算術平均粗さを測定する際のカットオフ波長として100μmないしは1000μmを採用したことに技術的意義が認められる。そして、カットオフ波長が異なれば、算術平均粗さの値も異なることは、技術常識に照らし明らかである。よって、上記請求人の主張は採用できない。 c 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 よって、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 イ 本件発明2ないし10について 本件発明2ないし9は、本件発明1を引用してさらに限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本件特許発明10は、本件特許発明1を引用してさらに限定したものであるところ、甲第3号証は4K2Kのような解像度の高い液晶表示装置の水平画素数は3000以上であることを示すために引用されたものであって、甲1発明において上記相違点に係る構成とすることを教示するものではないから、上記特許発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 よって、本件発明2ないし10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 第4 むすび 以上のとおりであって、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、本件発明1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700157

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  • 2025-700471異議申立 / 2026-03-24 / 訂正認容防眩性ハードコートフィルム、防眩性ハードコートフィルムの製造方法、光学部材および…
    共通の審決分類: 121・G02B、537・G02B
  • 2025-700999異議申立 / 2026-02-16 / 維持光学フィルムおよび画像表示装置
    共通の審決分類: 121・G02B、537・G02B
  • 2024-701111異議申立 / 2026-01-27 / 維持反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置
    共通の審決分類: 121・G02B、537・G02B
  • 2024-700176異議申立 / 2026-01-27 / 訂正認容フォトクロミック化合物、フォトクロミック組成物、フォトクロミック物品及び眼鏡
    共通の審決分類: 121・G02B、537・G02B

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