特許訂正審判
2017-390120
電動工具
- 審判番号
- 2017-390120
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-160502外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月10日
- 審決日
- 2018年02月23日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日立工機 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人筒井国際特許事務所
- 分類
- P141 .852-Y (B25F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第6項、特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4953170号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4953170号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判請求に係る特許第4953170号(以下「本件特許」という)は,平成14年2月22日に出願した特願2002-046928号の一部を平成17年7月28日に特願2005-218188号として新たに出願し,更にその一部を平成21年7月7日に特願2009-160502号として新たに特許出願したものであって,平成24年3月23日に特許権の設定登録がなされ,平成29年11月10日に本件訂正審判の請求がなされた後,同年12月15日付けで訂正拒絶理由が通知され,これに対して,平成30年1月19日に意見書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1.請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第4953170号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。
2.訂正の内容
本件訂正の内容は,次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す)。
(1) 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に,「前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーをハンマケースから取外すことができるように構成したことを特徴とする電動工具。」と記載されているのを,「前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーを前記ケースから取外すことができるように構成したことを特徴とする電動工具。」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項3,4も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項2に,「前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーをハンマケースから取外すことができるように構成したことを特徴とする電動工具。」と記載されているのを,「前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーを前記ケースから取外すことができるように構成したことを特徴とする電動工具。」に訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項3,4も同様に訂正する。)
(3) 訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0026】および【0027】に記載された「ハンマケース」を「前記ケース」及び「ケース」に訂正する。
第3 訂正拒絶理由通知の概要
当審からの平成29年12月15日付け訂正拒絶理由通知の概要は,以下のとおりである。
訂正事項1ないし3の「ハンマケース」を「前記ケース」又は「ケース」とする訂正は,「ハンマ」を削除することにより,ハンマとして用いられるケースから,ハンマ以外にも用いることができるケースとなることから,実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものである。
したがって,特許法第126条第6項の規定に適合していない。
第4 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
本件特許請求の範囲の請求項1全体をみると,「ケース」とまず書かれ,これを受けて「前記ケース」と書かれた箇所が5箇所あった上で,最後だけ「前記ケース」とされずに「ハンマケース」と記載されており,全体として用語の使用が統一されていないことが確認できるので,「ケース」あるいは「ハンマケース」のいずれかが誤った記載でることは明らかである。そして,本件訂正審判請求人は,審判請求書の(3)訂正の理由において,「『ハンマケース』は『前記ケース』の誤記」であると主張している。
これらの記載及び主張を踏まえると,「ハンマケース」が「前記ケース」の誤記であることは明らかである。
よって,訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる,誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項1は,上記1.の「(1)訂正の目的の適否について」で示したように,「ケース」とまず書かれ,これを受けて「前記ケース」と書かれた箇所が5箇所あった上で,最後だけ「前記ケース」とされずに「ハンマケース」と記載されており,全体として用語の使用が統一されていなかったものを,用語が統一されるよう「ハンマケース」を「前記ケース」とする訂正であるから,「ハンマケース」を本件特許請求の範囲の請求項1に記載される「ケース」を受ける「前記ケース」と訂正することは,本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものと認められる。
よって,訂正事項1は,当初明細書等に記載した範囲内の訂正であり,特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
平成29年12月15日付け訂正拒絶理由にも示したとおり,「ハンマケース」を「前記ケース」とする訂正は,「ハンマ」を削除することにより,ハンマとして用いられるケースから,「ハンマ以外にも用いることができるケースとなる」ことで電動工具の種別自体が変更となり,実質上特許請求の範囲を拡張・変更するようにも思える。また,本件特許出願には,取下げられた出願を除き,本件以外に,(A)特願2002-046928号(本件特許の原出願),(B)特願2004-309445号(上記(A)の出願の一部を分割した出願),(C)特願2005-218170号(上記(A)の出願の一部を分割した出願)及び(D)特願2005-218188号(上記(A)の出願の一部を分割した出願)の関連出願がある。これらの関連出願は,いずれの特許請求の範囲にも「ハンマケース」という記載が用いられている。
これに対して本件訂正審判請求人は,平成30年1月19日の意見書で,「2)訂正拒絶理由に対する反論」の(3)において,「さらに、明細書の段落【0001】には『本発明は、作業者の腰ベルト等に掛止可能なフック部を有するインパクトドライバ及びインパクトレンチ等の電動工具に関するものである。』と記載されています(下線は審判請求人において付しました。)。・・・このように、本件明細書には、本件特許発明の対象がインパクト工具に限られないことが明記されています。」と主張している。
当該主張を踏まえると,本件特許請求の範囲の請求項1並びに請求項1を引用する請求項3及び4に係る発明は,インパクトドライバ及びインパクトレンチだけでなく,それ以外の電動工具にも用いられることから,請求項1並びに請求項1を引用する請求項3及び4に係る発明のケースは,ハンマ以外にも用いるものも含むといえ,ハンマという用語を削除して単なる「ケース」を指す「前記ケース」としたとしても,訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないことから,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
ア 本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1並びに請求項1を引用する請求項3及び4に係る発明(以下「訂正発明1」,「訂正発明3-1」及び「訂正発明4-1」という。)は,訂正特許請求の範囲に記載された請求項1,3及び4に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 文献
特許第4953170号公報に参考文献として記載された文献は,以下のとおりである。
(イ-1)特開2000-334682号公報
(イ-2)特開平8-141943号公報
(イ-3)特開2001-88052号公報
(イ-4)特開2005-342890号公報
(イ-5)特開2003-245865号公報
(イ-6)特開昭64-16383号公報
ウ 判断
訂正発明1における,「ハウジングの前方に設けられ、動力伝達部を収容し、金属により構成されるケースと、前記ケースの前方より突出し、前記動力伝達部に接続される先端工具保持部と、前記ハウジングに前記ケースを設けるための締付けネジと、を有する電動工具において、前記締付けネジの頭部を覆う突出部を有し、樹脂により構成されるカバーを、前記ケースの外周に設け、前記ケースに係合し、弾性ゴムにより構成されるストッパを、前記カバーよりも前方側に設け、前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーを前記ケースから取外すことができるように構成した」との発明特定事項は,上記各文献のいずれにも記載されていない。そして,訂正発明1は,当該発明特定事項を備えることにより,締付けネジの外周を覆うカバーを,ケースの外周に設けることで,被削材に傷を付けてしまうことを防ぐことができ,作業性及び操作性に優れた安価な電動工具を提供することができる,という顕著な効果を奏する。
してみれば,訂正発明1は,上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また,他に訂正発明1について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
訂正発明3-1及び4-1は,いずれも訂正発明1を引用し,さらに特定事項を付したものであるから,訂正発明1と同様に,上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできず,また,他に本件訂正発明3-1及び4-1について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって,本件訂正発明1,3-1及び4-1について,特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから,訂正事項1は,特許法第126条第7項の規定に適合する。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
本件特許請求の範囲の請求項2全体をみると,「ケース」とまず書かれ,これを受けて「前記ケース」と書かれた箇所が4箇所あった上で,最後だけ「前記ケース」とされずに「ハンマケース」と記載されており,全体として用語の使用が統一されていないことが確認できるので,「ケース」あるいは「ハンマケース」のいずれかが誤った記載でることは明らかである。そして,本件訂正審判請求人は,審判請求書の(3)訂正の理由において,「『ハンマケース』は『前記ケース』の誤記」であると主張している。
これらの記載及び主張を踏まえると,「ハンマケース」が「前記ケース」の誤記であることは明らかである。
よって,訂正事項2は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる,誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項2は,上記2.の「(1)訂正の目的の適否について」で示したように,「ケース」とまず書かれ,これを受けて「前記ケース」と書かれた箇所が4箇所あった上で,最後だけ「前記ケース」とされずに「ハンマケース」と記載されており,全体として用語の使用が統一されていなかったものを,用語が統一されるよう「ハンマケース」を「前記ケース」とする訂正であるから,「ハンマケース」を本件特許請求の範囲の請求項2に記載される「ケース」を受ける「前記ケース」と訂正することは,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものと認められる。
よって,訂正事項2は,当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は,上記「1.訂正事項1について」の(3)の判断と同様に,本件訂正審判請求人の平成30年1月19日の意見書の主張を踏まえると,本件特許請求の範囲の請求項2,3及び4に係る発明は,インパクトドライバ及びインパクトレンチだけでなく,それ以外の電動工具にも用いられることから,請求項2,3及び4に係る発明のケースは,ハンマ以外にも用いるものも含むといえ,ハンマという用語を削除して単なる「ケース」を指す「前記ケース」としたとしても,訂正事項2は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,訂正事項2は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないことから,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
ア 本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2並びに請求項2を引用する請求項3及び4に係る発明(以下「訂正発明2」,「訂正発明3-2」及び「訂正発明4-2」という。)は,訂正特許請求の範囲に記載された請求項2,3及び4に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 文献
特許第4953170号公報に参考文献として記載された文献は,以下のとおりである。
(イ-1)特開2000-334682号公報
(イ-2)特開平8-141943号公報
(イ-3)特開2001-88052号公報
(イ-4)特開2005-342890号公報
(イ-5)特開2003-245865号公報
(イ-6)特開昭64-16383号公報
ウ 判断
訂正発明2における,「ハウジングと、前記動力伝達部を収容し、締付けネジにより前記ハウジングの第1の端部に固定される金属製のケースと、前記ハウジングの第2の端部に設けられる蓄電池と、前記ハンドル部に設けられ、作業者により操作可能なトリガスイッチと、前記ケースの前方より突出し、前記動力伝達部に接続される先端工具保持部と、を有する電動工具であって、前記締付けネジの頭部を覆う突出部を有し、樹脂により構成されるカバーを、前記ケースの外周に設け、前記ケースに係合する弾性ゴムにより構成されるストッパを、前記カバーよりも前方側に設け、前記ストッパを前記ケースから取外すことにより、前記カバーをハンマケースから取外すことができる」との発明特定事項は,上記各文献のいずれにも記載されていない。そして,訂正発明2は,当該発明特定事項を備えることにより,締付けネジの外周を覆うカバーを,ケースの外周に設けることで,被削材に傷を付けてしまうことを防ぐことができ,作業性及び操作性に優れた安価な電動工具を提供することができる,という顕著な効果を奏する。
してみれば,訂正発明2は,上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また,他に訂正発明2について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
訂正発明3-2及び4-2は,いずれも訂正発明2を引用し,さらに特定事項を付したものであるから,訂正発明2と同様に,上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできず,また,他に本件訂正発明3-2及び4-2について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって,本件訂正発明2,3-2及び4-2について,特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから,訂正事項2は,特許法第126条第7項の規定に適合する。
3.訂正事項3について
(1)訂正の目的の適否について
上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴って,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため,当初明細書等の段落【0026】及び【0027】の「ハンマケース」を「前記ケース」及び「ケース」に訂正するものであり,訂正事項1及び2において既に示したとおり,本件に関し「ハンマケース」と記載した箇所の一部は,「前記ケース」又は「ケース」の誤記としたのであるから,訂正事項3も同様に誤記の訂正を目的とした訂正であることは明らかである。
よって,訂正事項3は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる,誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項3は,上記3.の「(1)訂正の目的の適否について」で示したように,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため,当初明細書等の段落【0026】及び【0027】の「ハンマケース」を「前記ケース」及び「ケース」に訂正するものであり,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものと認められる。
よって,訂正事項3は,当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3は,上記「1.訂正事項1について」の(3)の判断と同様に,本件訂正審判請求人の平成30年1月19日の意見書の主張を踏まえると,本件特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は,インパクトドライバ及びインパクトレンチだけでなく,それ以外の電動工具にも用いられることから,請求項1ないし4に係る発明のケースは,ハンマ以外にも用いるものも含むといえ,ハンマという用語を削除して単なる「ケース」を指す「前記ケース」としたとしても,訂正事項3は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,訂正事項3は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「1.訂正事項1について」の(4)及び「2.訂正事項2について」の(4)の判断と同様に,訂正発明1ないし4が,特許出願の際独立して特許を受けることができない理由は見いだせない。
よって,訂正事項3は,特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって,結論のとおり審決する。
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