特許拒絶査定不服審判
2017-018128
自動車用触媒後処理システム
- 審判番号
- 2017-018128
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-546635外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月06日
- 審決日
- 2019年02月18日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WZ (F01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-546635「自動車用触媒後処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年6月20日国際公開、WO2013/088152、平成27年3月19日国内公表、特表2015-508468〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)12月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年(平成23年)12月14日(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願であって、その手続は以下のとおりである。
平成29年1月10日(発送日) :拒絶理由通知書
平成29年7月10日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年8月8日(発送日) :拒絶査定
平成29年12月6日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成30年5月25日 :上申書の提出
平成30年6月26日(発送日) :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。)
平成30年12月26日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成30年12月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「ディーゼル酸化触媒(DOC)の下流に位置する後処理装置の能動的熱処理事象中の前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の消失を回避する方法であって、200~375℃の排気ガス温度で、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)上に炭化水素(HC)エンリッチ排気ガスを通すことによるものであり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)は直径が2.5~15インチ(63.5~381.0mm)であり、長さが2.5~15インチ(63.5~381.0mm)であり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)は上流ゾーンおよび触媒組成物を含み、前記触媒組成物は白金(Pt)とパラジウム(Pd)と、基材ユニットに担持されたアルミナ、シリカ-アルミナ、セリア、セリア-ジルコニアおよびチタニアから選択された1種類以上の担持材を含み、前記上流ゾーンは白金(Pt)とパラジウム(Pd)から成る白金族元素を含む上流触媒組成物を含み、前記上流ゾーンの白金(Pt)の濃度が前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部の白金(Pt)の濃度より高く、前記上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり、炭化水素(HC)に対する酸化活性は前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部よりも高く、前記上流ゾーンの長さは0.5~1.5インチ(12.7~38.1mm)であり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)はPt:Pdの重量比が1:3~5:1であり、前記基材ユニットはフロースルーモノリスである、方法。」
第3 当審における拒絶の理由
当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
(進歩性)本願の請求項1ないし14に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1 特表2008-520895号公報
2 米国特許出願公開第2008/0045405号公報
第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1
平成30年6月25日付け(発送日:平成30年6月26日)の当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献1(特表2008-520895号公報)には、「発熱触媒を備えてなる排気機構」に関して、図面(特に図3Aを参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。
ア 「【0001】
本発明は、圧縮点火エンジン、例えばディーゼルエンジン、用の排気機構に関し、特に実質的に触媒からなる発熱手段及び排ガス中に炭化水素を注入し、該触媒上で燃焼させる手段を備えてなる排気機構に関する。
【0002】
ディーゼル酸化触媒(DOC)は、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)及び粒子状物質(PM)の可溶性有機画分(SOF)の化学的酸化を促進するように設計されている。その他の利点には、ある種の規制されていない、HCに由来する放出物、例えばアルデヒドまたは多環式芳香族炭化水素(PAH)、の酸化、ならびにディーゼル排気の臭気を軽減または排除することが挙げられる。HCは、酸化されて二酸化炭素(CO2)及び水蒸気を形成し、COはCO2に酸化される。一般的に、DOCは、活性白金族金属(PGM)、典型的には白金、を含んでなる。」
イ 「【0005】
圧縮点火エンジン、特に軽負荷ディーゼル車両(関連する規則で決められている)用ディーゼルエンジン、の排ガス温度は、比較的低く、例えば約300℃であり、そのため、触媒開発者が直面している問題の一つは、耐久性のある低温活性触媒を開発することである。燃料に由来する硫黄は、欧州連合諸国では下げることになる(2005年1月1日から、Euro 4(型式認証)ディーゼル燃料における最大硫黄含有量は、350ppmから50ppmになり、このレベルは、2010年までに恐らく10ppmに低下するであろうる)が、米国では、2007年まで、現在のレベル350ppmから下げる必要はない。」
ウ 「【0010】
ここで我々は、非常に驚くべきことに、白金とパラジウムの組合せが、PtまたはPdのどちらかを単独で等しい量で使用するよりも、発熱に対する活性がより高いことを見出した。すなわち、白金とパラジウムの間には、炭化水素燃料から発熱させるための、以前には確認されていない相乗作用がある。この発見により、白金-パラジウム触媒を電気的加熱なしに使用することができるので、排気機構がより簡潔になり、触媒を電気的に加熱するための燃料損失が節約される。我々はさらに、硫黄被毒に対する耐性がより高いか、または炭化水素燃料の燃焼による発熱を利用してより簡単に脱硫できる、特定の実施態様を確認した。
【0011】
一態様により、本発明は、圧縮点火エンジン及び該エンジン用の排気機構を備えてなる装置であって、該排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品及び該少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、該発熱手段が、実質的に触媒、及び排ガス中に炭化水素を注入し、該触媒上で燃焼させるための手段からなり、該触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる、装置を提供する。
【0012】
Pt成分及びPd成分は、多くの配置のいずれかで構成することができる。第一の配置では、Pt及びPd成分が単一のウォッシュコート層中にある。第一配置の一実施態様では、Pd成分及びPt成分の両方が同じ担体材料上に担持される。第二の実施態様では、Pd成分が第一担体材料上に担持され、Pt成分が第二担体材料上に担持される。第三の実施態様では、Pt成分が、基材モノリスの上流末端上の区域に配置され、Pd成分が、基材モノリスの下流末端上に配置される。」
エ 「【0014】
Pt成分及びPd成分が密に関連している配置、例えばPd及びPt成分が同じ担体材料上にある第一配置、では、Pt及びPd成分が合金を形成することができる。一般的に、これによって、両成分の特性を受け持つ活性成分が得られる。例えば、この合金は、Pt自体よりも金属性が低い。これは、この合金がPt自体よりも焼結に対する耐性が高いので、触媒を高温に露出する用途に有利な場合がある。Pdは、Ptと比べて、比較的劣ったNO酸化触媒であり、従って、この合金は、Pd単独よりもNO酸化を促進することができる。従って、この合金は、焼結させたPtよりも優れたHC及びCO酸化活性を有する。」
オ 「【0017】
酸化触媒中のPt:Pdの好適な重量比は、6:1~1:6、所望により4:1~1:2でよい。酸化触媒中に典型的なPtとPdの総装填量は、10~200gft-3、所望により40~100gft-3である。」
カ 「【0022】
典型的には、該または各担体材料は、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される。しかし、特別な実施態様では、我々は、硫黄耐性がより高い担体材料を、発熱触媒のPd及びPt成分に、基材モノリスの前部の後方で、また、より耐熱性の高い担体材料を、Pt及びPd成分に、基材モノリスの後部の前方で使用するのが有利であることを見出した。この実施態様は、HCを発熱触媒の上流で排ガス中に注入した時に、基材モノリスの前面から後方、ほぼ最初の3分の1における温度が、一般的に比較的低いままである、という我々の観察から得たものである。従って、この区域における温度を増加して関連する触媒を脱硫するのがより困難であるので、硫黄耐性がより高い触媒をこの区域に配置するのが有利である。」
キ 「【0027】
少なくとも一個の排気機構部品は、所望により触媒作用を付与した粒子状物質フィルター、NOx吸収材、選択的接触還元(SCR)触媒またはリーンNOx触媒を備えてなることができる。NOx吸収材、一般的にアルカリ土類金属、例えばBa、CaまたはSr、の酸化物、あるいはアルカリ金属、例えばKまたはCs、の酸化物、は、典型的にはフロースルーモノリス基材モノリス上に被覆されたPt酸化触媒及びロジウム還元触媒を含んでなるNOxトラップの一部を形成することができる。あるいは、上記のNOx吸収材は、粒子状物質フィルター上に載せることができる。フィルターが、NOx吸収材、酸化触媒及びNOxトラップの還元触媒を包含する場合、そのような配置は、「4元触媒」またはFWCと呼ばれることが多い。」
ク 「【0029】
代表的な実施態様では、基材モノリスは、少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたセラミックまたは金属フロースルーモノリスである。そのような配置では、触媒を、発熱と発熱との間でCO及びHCを処理するためのDOCとして処方することができる。しかし、無論、触媒は、発熱触媒としてのその主要機能を果たすために、低温活性HC用に調整する。一実施態様では、少なくとも一個の排気機構部品はフィルターであり、発熱手段が、予め選択された規則的な間隔で、またはセンサー入力、例えばフィルターを横切る背圧、に応答して、フィルター再生を促進する。」
ケ 「【0033】
HCを排ガス中に注入する手段は、HCを排ガス中に、発熱触媒のすぐ上流で注入する注入装置、またはエンジンの一個以上のシリンダーにおける注入装置を備えてなることができる。
【0034】
一実施態様では、圧縮点火エンジンはディーゼルエンジン、所望により軽負荷ディーゼルでよい。
【0035】
第二の態様により、本発明は、圧縮点火エンジンの排気機構中にある少なくとも一個の部品を加熱する方法であって、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる触媒を、通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させることにより、少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための熱を発生させることを含んでなる、方法を提供する。
【0036】
本発明をより深く理解できるようにするために、下記の例を、例示のためにのみ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0037】
図3に関して、10は、全体的に本発明の圧縮点火エンジン用排気機構を示し、12は、排ガスをエンジンから、排気機構の、排ガス後処理用の、及び/または排ガスが大気中に放出される前にエンジン騒音を消すための様々な部品に運ぶためのパイプを示す。矢印は、機構中の排ガスの流れ方向を示し、「上流」及び「下流」はそれに応じて解釈すべきである。
【0038】
図3Aで、13は、Pt成分及びPd成分の両方を担持する粒子状物質担体材料の単一ウォッシュコート層を特徴とする触媒被覆14を含んでなるフロースルーモノリス基材を示す。あるいは、触媒被覆14は、それぞれ別の、及び所望により単一ウォッシュコート層中で相互に異なった担体材料上に担持された、Pt成分及びPd成分を含んでなることができる。14の配置は、第一ウォッシュコート層中の担持されたPt成分を含んでなり、該第一ウォッシュコート層の上に、担持されたPd成分の第二ウォッシュコート層が施されるか、またはPd成分はPt成分層の下の層中に配置することもできる。15で示す特徴は、燃焼可能なHCを13の上流で排ガスに送るための注入装置であり、該注入装置は、適切にプログラム化された制御手段、所望によりエンジン管理装置(ECU)の一部、により制御される。番号16は、少なくとも一個の排気機構部品、例えば所望により触媒作用を付与した粒子状物質フィルター、SCR触媒、NOxトラップ、4元触媒またはリーンNOx触媒、である。
【0039】
図3B、3C及び3Dは、フロースルーモノリス基材13の別の実施態様を示す。図3Bで、18は、発熱触媒のPt成分を示し、20は、そのPd成分を示す。図3Cは、比較的大量の硫黄を含む燃料で使用する別の配置を示し、そこでは、成分18及び20に加えて、実質的にPdを含まず、Pt装填量が18より高いPt触媒22の「縞」がフロースルー基材モノリス13の上流末端に配置されている。無論、図3Bは、実質的にPdを含まず、発熱触媒のPt成分と実質的に同じPt装填量を有するPt触媒を特徴とすること、すなわちPt成分18の上流側にある、実質的にPdを含まないPt触媒の「縞」がPt成分18と連続しており、Pt装填量が22≧18である複合材料実施態様も代表することができる。図3Dは、実質的にPdを含まないPt触媒22が、上記14の全ての実施態様の上流側に位置する実施態様を例示する。
【0040】
図4Aに関して、図3A~Dと同じ番号を有する事項は上記と同じ特徴を表す。番号23は、粒子状物質フィルター基材モノリスを表し、図3A~Dにおける特徴14に関して説明したものと類似の単相または2相ウォッシュコート配置24で被覆されている。図4Bは、図4Aの一実施態様を例示し、そこでは、実質的にPdを含まず、Pt装填量が14より高いPt触媒22の「縞」が、フィルター基材モノリス23の発熱触媒24の上流末端に配置されている。フィルター基材23が、発熱触媒のPt及びPd成分、NOx吸収材、例えば酸化バリウム、及びロジウム還元触媒を含んでなる組成物で被覆されている場合、その触媒組成物は4元触媒26と呼ばれる。
【0041】
例1
寸法が直径267mm(10.5インチ)x長さ152mm(6インチ)であり、容積8.5リットル(519in3)、セル密度62セルcm-2(400セルin-2)、壁厚0.15mm(0.06in)を有するセラミックフロースルー基材モノリス上にそれぞれ担持された一連の触媒試料を調製した。触媒試料の処方は、(i)Ptのみ、(ii)Pdのみ、(iii)Pt:Pd2:1、(iv)Pt:Pd1:1、及び(v)Pt:Pd1:2である。それぞれの場合、Pt及び/またはPdはアルミナ系担体材料上に担持され、総PGM装填量は、触媒試料(i)~(v)の全てで同等であった。試験の前に、これらの触媒試料を空気中、700℃で200時間、続いてやはり空気中、750℃でさらに200時間エージングした。試験には、触媒試料を、試験台上の、10リットル、ターボチャージャを備えたエンジンの排気ラインに配置し、熱電対を入口面の前方25mm及び出口面の後方25mmに取り付けた。エンジンを一定速度で作動させ、触媒への入口温度275℃を毎時ガス空間速度(GHSV)45,000hrで発生させるために負荷を調節した。独立したディーゼル燃料注入装置を排気ライン中の触媒上流に、触媒試料の前面に一様で十分に配分される燃料スプレーを確保できる所に配置した。」
以上から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「発熱触媒及びディーゼル酸化触媒(DOC)として処方する触媒の下流に位置させられた排気機構部品16を加熱する方法であって、入口温度275℃で、触媒を通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させるものであり、前記触媒は直径が10.5インチ(267mm)であり、長さが6インチ(152mm)であり、前記触媒は白金(Pt)とパラジウム(Pd)を坦持する単一ウォッシュコート層である触媒被覆14と、基材モノリス上13に配置されたアルミナ、シリカ、セリア、ジルコニアおよびチタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される担体材料からなり、PtとPdの総装填量は、10~200gft-3であり、前記触媒はPt:Pdの重量比が1:6~6:1であり、前記基材モノリスはフロースルーモノリスである、方法。」
2 引用文献2
平成30年6月25日付け(発送日:平成30年6月26日)の当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献2(米国特許出願公開第2008/0045405号公報)には、図面(特に、Fig.3及びFig.4を参照。)とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0012] As is well-known in the art, catalysts used to treat the exhaust of internal combustion engines are less effective during periods of relatively low temperature operation, such as the initial cold-start period of engine operation, because the engine exhaust is not at a temperature sufficiently high for efficient catalytic conversion of noxious components in the exhaust. To this end, it is known in the art to include an adsorbent material, which may be a zeolite, as part of a catalytic treatment system in order to adsorb gaseous pollutants, usually hydrocarbons, and retain them during the initial cold-start period. As the exhaust gas temperature increases, the adsorbed hydrocarbons are driven from the adsorbent and subjected to catalytic treatment at the higher temperature. In this regard, see for example U.S. Pat. No. 5,125,231 which discloses (columns 5-6) the use of platinum group metal-doped zeolites as low temperature hydrocarbon adsorbents as well as oxidation catalysts.
[0013] As discussed hereinabove, oxidation catalysts comprising a platinum group metal dispersed on a refractory metal oxide support are known for use in treating exhaust gas emissions from diesel engines. Platinum (Pt) remains the most effective platinum group metal for oxidizing CO and HC in a DOC, after high temperature aging under lean conditions and in the presence of fuel sulfur. Nevertheless, one of the major advantages of using Pd based catalysts is the lower cost of Pd compared to Pt. However, Pd based DOCs typically show higher light-off temperatures for oxidation of CO and HC, especially when used with HC storage materials, potentially causing a delay in HC and or CO light-off. Pd containing DOCs may poison the activity of Pt to convert paraffins and/or oxidize NO and may also make the catalyst more susceptible to sulfur poisoning. These characteristics have typically prevented the use of Pd as an oxidation catalyst in lean burn operations especially for light duty diesel applications where engine temperatures remain below 250℃. for most driving conditions.」
当審仮訳は以下のとおりである。
「[0012]当技術分野で周知のように、エンジンの冷間始動時のような比較的低温運転の期間、エンジン排気は排気内の有害成分を有効に触媒変換するための十分な高い温度ではないから、内燃機関の排気ガスの処理するための触媒はあまり効果的ではない。
このためには、冷間始動期間中のガス状の汚染物質、通常炭化水素を吸着し、保持するためにゼオライトのような吸着材を触媒処理系の一部に含むことが、当技術分野で知られている。排気ガス温度が上昇すると、吸着された炭化水素は吸着材からはなれ、高温で触媒処理される。この点について、たとえば、酸化触媒とともに、低温時の炭化水素吸着材として白金族金属をドープしたゼオライトを開示するU.S. Pat. No. 5,125,231 (欄5-6)を参照されたい。
[0013]上述したように、耐熱性金属酸化物支持体上に分散した白金族金属を含む酸化触媒は、ディーゼルエンジンからの排気ガスの処理のための使用が知られている。希薄条件下かつ及び燃料中の硫黄の存在下での高温エージングの後、白金(Pt)は、DOC中のCO及びHCを酸化する最も有効な白金族金属として残留する。それにもかかわらず、Pdベースの触媒の利用の最も有利な点の一つは、Ptに較べてPdのコストが低いことである。しかしながら、PdベースのDOCsは、典型的には、COおよびHCの酸化のためのライトオフ温度が高く、特にHC貯蔵材料と共に使用する時、HCおよび/またはCOのライトオフ遅延の原因となる可能性がある。DOCs中のPdは、炭化水素の浄化及び/又はNOの酸化をするPtの活性を害し、及び触媒が硫黄被毒により敏感になる。これらの特性は、特に大部分の走行条件でのエンジン温度が250℃以下の軽負荷ディーゼル機関のための、希薄燃焼運転における酸化触媒におけるPdの使用を妨げてきた。」
イ 「[0031] Preferably, the novel oxidation catalyst washcoat composition of the present invention is disposed on a substrate. The substrate may be any of those materials typically used for preparing catalysts, and will preferably comprise a ceramic or metal honeycomb structure. Any suitable substrate may be employed, such as a monolithic substrate of the type having fine, parallel gas flow passages extending therethrough from an inlet or an outlet face of the substrate, such that passages are open to fluid flow therethrough (referred to herein as flow-through substrates). The passages, which are essentially straight paths from their fluid inlet to their fluid outlet, are defined by walls on which the catalytic material is coated as a washcoat so that the gases flowing through the passages contact the catalytic material. The flow passages of the monolithic substrate are thin-walled channels, which can be of any suitable cross-sectional shape and size such as trapezoidal, rectangular, square, sinusoidal, hexagonal, oval, circular, etc.」
当審仮訳は以下のとおりである。
「[0031]好ましくは、本発明の新規の酸化触媒ウォッシュコート組成物は、基材上に配置されている。基材は、触媒製造に通常用いられる材料のいずれであってもよく、好ましくはセラミックまたは金属ハニカム構造を含む。平行なガス流通路が基材の入口又は出口から通り、通路は流れに開かれるタイプのモノリス基材のような好適な基材が採用される(ここでは、フロースルー基材を参照。)。
実質的にその流体入口から流体の出口に直線的に延びる流路である通路は、ウォッシュコートが被覆される触媒材料である壁によって画定され、流路を通過するガスがこの触媒材料と接触するようになっている。モノリス基材の流路は薄壁の流路は、台形、長方形、正方形、正弦形、六角形、楕円形、円形等のような任意の好適な断面形状およびサイズのものであることができる。」
ウ 「[0047] The catalyst composition of this embodiment may be more easily understood by reference to FIG.3. As shown in FIG.3 a diesel oxidation catalyst 20 is coated with a novel washcoat composition comprising a carrier member or substrate 22, for example a honeycomb monolith, which contains two separate zone coated washcoated layers, an upstream washcoat layer 24 and a downstream washcoat layer 26. The upstream layer 24 contains a high-surface area support material, one or more zeolites, and a precious metal catalyst containing platinum (Pt) and palladium (Pd) in a Pt:Pd ratio of at least about 2:1. The downstream washcoat layer 26 may contain a high-surface area support material and a precious metal catalyst containing platinum (Pt) and palladium (Pd) in a Pt:Pd ratio of less than about 2:1. In accordance with the present invention it is essential that the downstream washcoat layer does not contain a silica support material, and does not contain a hydrocarbon storage component. Both the upstream washcoat layer 24 and downstream washcoat layer 26, respectively, generally contain a precious metal loading of from about 5 to 500 g/ft3. Loadings of precious metal from 25 to 250 g/ft3 and 60 to 150 g/ft3 are also exemplified.
[0048] In this embodiment, the upstream 24 and downstream 26 washcoat layers, respectively, are each zone coated only over a portion of the substrate 23. A typical substrate being from about 3 to about 10 inches in length, substrates having a length of about 5 inches or about 7 inches are also exemplified. However, the combination of the upstream 24 and downstream 26 washcoat layers, respectively, cover the entire length of the substrate 23. The upstream washcoat layer 24 can be coated over at least 0.5 inch, and up to 5 inches, of the upstream portion of the substrate 23. An upstream washcoat layer 24 having a length of at least about 1.0 inch, and up to 3.5 inches, or from at least 1.5 inches and up to 2.5 inches, from the upstream edge of the catalytic member, are also exemplified. With the downstream washcoat portion 26 covering the remaining downstream portion of the substrate 23.
[0049] The length of the upstream washcoat layer 24 can also be described as a percentage of the length of the catalytic member from the upstream to downstream edge. Typically, the upstream washcoat layer 24 will comprise from about 5 to about 70% of the upstream length of the catalytic member. Also exemplified is an upstream washcoat layer 24 of up to about 20%, up to about 40%, and up to about 60% of the upstream length of the diesel oxidation catalyst 20. With the downstream washcoat portion 26 covering the remaining downstream portion of the substrate 22. Thus, the downstream washcoat portion 26 may comprise 95 to about 30% of the downstream portion 30 of the substrate 23.」
当審仮訳は以下のとおりである。
「[0047]この実施形態の触媒成分は、FIG.3の参照によってより容易に理解することができる。図3に示すようにディーゼル酸化触媒20は、例えばハニカムモノリスのような保持部材又は基材22から構成され、2つの分離されたウォッシュコート層で被覆された部分である上流ウォッシュコート層24と下流ウォッシュコート層26からなる新規のウォッシュコート組成物で被覆される。上流ウォッシュコート層24は、高い表面積の支持体材料、1種以上のゼオライトと、少なくとも約2:1のPt:Pd比である白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含有する貴金属触媒を含む。下流ウォッシュコート層26は、高表面積の支持材料と、約2:1未満のPt:Pd比で白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含む貴金属触媒を含む。本発明によれば、下流ウォッシュコート層は、シリカ担体材料を含有しておらず、炭化水素を保持する構成を含まないことが必須である。上流ウォッシュコート層24と下流ウォッシュコート層26の両方は、それぞれ、一般に、約5~500g/ft3の貴金属充填量を含む。25~250g/ft3及び60~150g/ft3の貴金属充填量も例示される。
[0048]この実施形態では、上流ウォッシュコート層24及び下流ウォッシュコート層26は、それぞれ基材23の一部分上のみにコートされた部分である。典型的な基板は、長さが約3インチ~約10インチであり、約5インチまたは約7インチの長さの基材もある。しかしながら、上流ウォッシュコート層24及び下流ウォッシュコート層26の組合せは、基材23の全長に及ぶ。上流ウォッシュコート層24は、基材23の上流部分の少なくとも0.5インチ、最大5インチにコートされる。触媒部材の上流端から、少なくとも約1.0インチ、そして最大3.5インチ、または少なくとも1.5インチから2.5インチまでの上流ウォッシュコート層24も例示される。下流ウォッシュコート部分26は、基材23の残りの下流部分を覆う。
[0049]上流ウォッシュコート層24の長さは、上流端から下流端までの触媒部材の長さの百分率としても記載することができる。典型的には、上流ウォッシュコート層24は、触媒部材の上流長の約5~約70%を含むであろう。また例として、ディーゼル酸化触媒20の上流側の長さの約20%まで、約40%まで、約60%までの上流ウォッシュコート層24も例示される。基材22の残りの下流部分を覆う下流ウォッシュコート部分26と、下流ウォッシュコート部分26は、基材23の下流部分30の約95~約30%を構成することができる。このように、下流ウォッシュコート部分26は基材23の下流部分の95から約30%を構成する。」
エ 「[0052] In addition to treating the exhaust gas emissions via use of an oxidation catalyst the present invention may employ a soot filter for removal of particulate matter. The soot filter may be located upstream or downstream from the DOC, but is preferably located downstream from the diesel oxidation catalyst. In a preferred embodiment, the soot filter is a catalyzed soot filter (CSF). The CSF of the present invention comprises a substrate coated with a washcoat layer containing one or more catalysts for burning off trapped soot and or oxidizing exhaust gas stream emissions. In general, the soot burning catalyst can be any known catalyst for combustion of soot. For example, the CSF can be coated with a one or more high surface area refractory oxides (e.g., alumina, silica, silica alumina, zirconia, and zirconia alumina) and/or an oxidation catalyst (e.g., a ceria-zirconia) for the combustion of unburned hydrocarbons and to some degree particulate matter. However, preferably the soot burning catalyst is an oxidation catalyst comprising one or more precious metal (PM) catalysts (platinum, palladium, and/or rhodium).」
当審仮訳は以下のとおりである。
「[0052]酸化触媒の使用を介して排ガス放出物を処理することに加え、本発明は、粒子状物質の除去用の煤煙フィルタを使用することができる。煤煙フィルターは、DOCの上流または下流に位置してもよいが、ディーゼル酸化触媒の下流に位置することが好ましい。好ましい実施形態において、煤煙フィルタは、触媒煤煙フィルタ(CSF)である。本発明のCSFは、トラップされたすすを燃焼させるか排気ガス流排出物を酸化するための1種以上の触媒を含有するウォッシュコート層で被覆された基板を含む。一般的に、煤燃焼触媒は、煤の燃焼用として公知の触媒であってもよい。例えば、CSFは、未燃焼の炭化水素とある程度の粒子状物質を燃焼するための高い表面積部分が1種以上の高面積耐熱性酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、及びジルコニアアルミナ)及び/又は酸化触媒(例えば、セリア-ジルコニア)で被覆される。しかしながら、好ましくは、煤燃焼触媒は、1種以上の貴金属(PM)触媒(白金、パラジウム、及び/又はロジウム)からなる酸化触媒である。」
オ 上記アにおける、「DOCs中のPdは、炭化水素の浄化及び/又はNOの酸化をするPtの活性を害し、及び触媒が硫黄被毒により敏感になる。これらの特性は、特に大部分の走行条件でのエンジン温度が250℃以下の軽負荷ディーゼル機関のための、希薄燃焼運転における酸化触媒におけるPdの使用を妨げてきた。」との記載からみて、DOCs中、Pt及びPdを含有する貴金属触媒において、Pdに対しPtの含有量が高いほど炭化水素の浄化に対する活性は高いと理解できる。
カ 上記オの理解、上記アの「白金(Pt)は、DOC中のCO及びHCを酸化する最も有効な白金族金属として残留する。」との記載及び上記ウの「上流ウォッシュコート層24は、高い表面積の支持体材料、1種以上のゼオライトと、少なくとも約2:1のPt:Pd比である白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含有する貴金属触媒を含む。下流ウォッシュコート層26は、高表面積の支持材料と、約2:1未満のPt:Pd比で白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含む貴金属触媒を含む。」との記載から、上流ウォッシュコート層24の炭化水素に対する酸化活性は、下流ウォッシュコート層26よりも高いといえる。
以上から、上記引用文献2には次の技術(以下「引用文献2の記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ディーゼル酸化触媒20は、上流ウォッシュコート層24と下流ウォッシュコート層26からなる新規のウォッシュコート組成物で被覆される基材23から構成され、上流ウォッシュコート層24は少なくとも約2:1のPt:Pd比である白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含有する貴金属触媒を含み、下流ウォッシュコート層26は約2:1未満のPt:Pd比で白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含む貴金属触媒を含み、上流ウォッシュコート層24は、約5~500g/ft3の貴金属充填量を含み、上流ウォッシュコート層24は、下流ウォッシュコート層26よりも炭化水素(HC)に対する酸化活性が高く、上流ウォッシュコート層24は、基材23の上流部分の少なくとも0.5インチ、最大5インチにコートされること。」
第5 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「発熱触媒及びディーゼル酸化触媒(DOC)として処方する触媒」及び「触媒」は、その機能、構成および技術的意義からみて前者の「ディーゼル酸化触媒(DOC)」に相当し、以下同様に「排気機構部品16」は「後処理装置」に、「加熱」は「能動的熱処理」に、「触媒を通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させる」は「ディーゼル酸化触媒(DOC)上に炭化水素(HC)エンリッチ排気ガスを通すことによる」に、「基材モノリス13」は「基材ユニット」にそれぞれ相当する。
また、後者の「白金(Pt)とパラジウム(Pd)を坦持する単一ウォッシュコート層である触媒被覆14」は前者の「白金(Pt)とパラジウム(Pd)」に相当し、後者の「アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニアおよびチタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される担体材料からなり」は前者の「アルミナ、シリカ-アルミナ、セリア、セリア-ジルコニアおよびチタニアから選択された1種類以上の担持材を含み」に相当する。
そして、後者の「白金(Pt)とパラジウム(Pd)を坦持する単一ウォッシュコート層である触媒被覆14」及び「基材モノリス上13に配置されたアルミナ、シリカ、セリア、ジルコニアおよびチタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される担体材料」を合わせたものは、前者の「触媒組成物」に相当する。
さらに、前者の「入口温度275℃で」と後者の「200~375℃の排気ガス温度で」とは、「275℃の排気ガス温度で」という限りで一致し、同様に「PtとPdの総装填量は、10~200gft-3であり」と「上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり」とは「PGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり」という限りで一致し、「直径が10.5インチ(267mm)」と「直径が2.5~15インチ(63.5~381.0mm)」とは「直径が10.5インチ(267mm)」である限りで一致し、「長さが6インチ(152mm)」と「長さが2.5~15インチ(63.5~381.0mm)」とは「長さが6インチ(152mm)」である限りで一致し、「Pt:Pdの重量比が1:6~6:1」と「Pt:Pdの重量比が1:3~5:1」とは「Pt:Pdの重量比が1:3~5:1」である限りで一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「ディーゼル酸化触媒(DOC)の下流に位置する後処理装置の方法であって、275℃の排気ガス温度で、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)上に炭化水素(HC)エンリッチ排気ガスを通すことによるものであり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)は直径が10.5インチ(267mm)であり、長さが6インチ(152mm)であり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)は触媒組成物を含み、前記触媒組成物は白金(Pt)とパラジウム(Pd)と、基材ユニットに担持されたアルミナ、シリカ-アルミナ、セリア、セリア-ジルコニアおよびチタニアから選択された1種類以上の担持材を含み、PGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり、前記ディーゼル酸化触媒(DOC)はPt:Pdの重量比が1:3~5:1であり、前記基材ユニットはフロースルーモノリスである、方法。」である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
前者は「後処理装置の能動的熱処理事象中のディーゼル酸化触媒(DOC)の消失を回避する」方法であるのに対し、後者の「加熱する方法」がかかる事項を備えるかが不明な点。
[相違点2]
前者のディーゼル酸化触媒(DOC)は、「上流ゾーン」を含み、この「上流ゾーン」に関し、「上流ゾーンは白金(Pt)とパラジウム(Pd)から成る白金族元素を含む上流触媒組成物を含み、前記上流ゾーンの白金(Pt)の濃度が前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部の白金(Pt)の濃度より高く、上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり、炭化水素(HC)に対する酸化活性は前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部よりも高く、前記上流ゾーンの長さは0.5~1.5インチ(12.7~38.1mm)」であるのに対し、後者の触媒は、かかる構成を備えない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
相違点1について検討する。
引用文献1の段落【0029】には「基材モノリスは、少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたセラミックまたは金属フロースルーモノリスである。そのような配置では、触媒を、発熱と発熱との間でCO及びHCを処理するためのDOCとして処方することができる。しかし、無論、触媒は、発熱触媒としてのその主要機能を果たすために、低温活性HC用に調整する。」と記載されている(「第4」「1」「ク」参照。)。すなわち、引用発明は、発熱(能動的熱処理)とCO及びHCを処理するためのDOC(ディーゼル酸化触媒(DOC))の機能を果たすためのものであるから、発熱の時にCO及びHCを処理するためのDOCの機能が消失しないようにすることは、引用発明に示唆されているといえる。
また、引用文献2の段落[0013]には「希薄条件下かつ及び燃料中の硫黄の存在下での高温エージングの後、白金(Pt)は、DOC中のCO及びHCを酸化する最も有効な白金族金属として残留する。」とも記載されている(「第4」「2」「ア」参照。)。そうすると、ディーゼル酸化触媒(DOC)の下流に位置する後処理装置の能動的熱処理事象中のディーゼル酸化触媒(DOC)の消失を回避することも含め、ディーゼル酸化触媒(DOC)において、その消失を回避するようにすることは、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜行い得ることといえる。
そうすると、引用発明において、当業者の通常の創作能力の範囲で、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、容易に想到し得たことである。
相違点2について検討する。
引用文献2の記載事項は、
「ディーゼル酸化触媒20は、上流ウォッシュコート層24と下流ウォッシュコート層26からなる新規のウォッシュコート組成物で被覆される基材23から構成され、上流ウォッシュコート層24は少なくとも約2:1のPt:Pd比である白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含有する貴金属触媒を含み、下流ウォッシュコート層26は約2:1未満のPt:Pd比で白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含む貴金属触媒を含み、上流ウォッシュコート層24は、約5~500g/ft3の貴金属充填量を含み、上流ウォッシュコート層24は、下流ウォッシュコート層26よりも炭化水素(HC)に対する酸化活性が高く、上流ウォッシュコート層24は、基材23の上流部分の少なくとも0.5インチ、最大5インチにコートされること。」である。
ここで、本願発明と引用文献2の記載事項を対比すると、後者の「ディーゼル酸化触媒20」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ディーゼル酸化触媒(DOC)」に相当し、同様に「上流ウォッシュコート層24」は「上流ゾーン」に、「基材23」は「基材ユニット」に、「上流ウォッシュコート層24は少なくとも約2:1のPt:Pd比である白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含有する貴金属触媒を含み、下流ウォッシュコート層26は約2:1未満のPt:Pd比で白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含む貴金属触媒を含み」は「上流ゾーンは白金(Pt)とパラジウム(Pd)から成る白金族元素を含む上流触媒組成物を含み、前記上流ゾーンの白金(Pt)の濃度が前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部の白金(Pt)の濃度より高く」に、「上流ウォッシュコート層24は、下流ウォッシュコート層26よりも炭化水素(HC)に対する酸化活性が高く」は「炭化水素(HC)に対する酸化活性は前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部よりも高く」に、「上流ウォッシュコート層24は、基材23の上流部分の少なくとも0.5インチ、最大5インチにコートされる」は「上流ゾーンの長さは0.5~1.5インチ(12.7~38.1mm)」に、それぞれ相当する。
また、後者の「上流ウォッシュコート層24は、約5~500g/ft3の貴金属充填量を含み」と前者の「上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり」とは「上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり」という限りで一致する。
してみると、引用文献2の記載事項は、本願発明の用語を用いて整理すると、以下のものということができる。
「ディーゼル酸化触媒(DOC)は、上流ゾーンを含み、上流ゾーンは白金(Pt)とパラジウム(Pd)から成る白金族元素を含む上流触媒組成物を含み、前記上流ゾーンの白金(Pt)の濃度が前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部の白金(Pt)の濃度より高く、上流ゾーンのPGM濃度は10~150gft-3(353~5297gm-3)であり、炭化水素(HC)に対する酸化活性は前記ディーゼル酸化触媒(DOC)の残部よりも高く、前記上流ゾーンの長さは0.5~1.5インチ(12.7~38.1mm)とすること。」
そして、引用文献2の段落[0012]及び[0013]の記載(「第4」「2」「ア」参照。)からみて、引用文献2の記載事項と引用発明とは、軽負荷ディーゼルの排気処理の技術であること及び比較的低い排ガス温度での活性触媒の技術である点で共通する。さらに、引用文献2の段落[0052]には、DOC下流に煤煙フィルタを位置してもよいことが記載され(「第4」「2」「エ」を参照。)ているから、発熱触媒及びディーゼル酸化触媒(DOC)として処方する触媒の下流に位置させられた排気機構部品16からなる引用発明の「発熱触媒及びディーゼル酸化触媒(DOC)として処方する触媒」に引用文献2の記載事項を適用することに格別な困難性もない。ここで、DOC下流に煤煙フィルタを配置した場合において、DOCが煤煙フィルタの能動的熱処理を行うことは、当業者の通常の知識の範囲で理解し得たことである。
そうすると、引用発明において、引用文献2の記載事項から、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2の記載事項の記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-018128