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特許拒絶査定不服審判

2023-008884

統合された排出制御システム

審判番号
2023-008884
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-554836
請求日
2023年05月31日
審決日
2024年01月23日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ビーエーエスエフ コーポレーション
  • 【請求人代理人】江藤 聡明
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 青木 良憲
分類
P18 .121-Z (F01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-554836「統合された排出制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日国際公開、WO2018/185666、令和2年5月28日国内公表、特表2020-515766〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年4月3日の出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年4月4日(US)米国特許商標庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年4月22日付け:拒絶理由通知書(発送日:同4年5月10日) 令和4年10月28日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年2月2日付け :拒絶査定(発送日:同年2月7日) 令和5年5月31日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年5月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年5月31日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 【請求項1】 軸方向長さL、直径D、及び体積を有し、軸方向長さを規定する前部、上流端及び後部、下流端、約2から約20のL/Dで規定されるアスペクト比を含む基材、及び 前記基材上に配置され、第一の吸着剤組成物、酸化触媒組成物、及び任意に第二の吸着剤組成物を含む機能性コーティング組成物 を含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び前記卑金属は、前記分子ふるいのイオン交換部位に存在する、 モノリシックウォールフローフィルター触媒物品。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前の、令和4年10月28日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 軸方向長さL、直径D、及び体積を有し、軸方向長さを規定する前部、上流端及び後部、下流端、約2から約20のL/Dで規定されるアスペクト比を含む基材、及び 前記基材上に配置され、第一の吸着剤組成物、酸化触媒組成物、及び任意に第二の吸着剤組成物を含む機能性コーティング組成物 を含む、モノリシックウォールフローフィルター触媒物品。」 2 補正の適否 2-1 本件補正の目的 (1)請求項1に係る補正について 本件補正における請求項1に関する補正の内容について検討する。 本件補正は、本件補正後の請求項1において追加された「 前記第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び前記卑金属は、前記分子ふるいのイオン交換部位に存在する」という事項については、本件補正前の請求項1に係る発明の「第一の吸着剤組成物」について限定を付加するものであって、補正後の請求項1に係る発明は補正前の請求項1に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。 2-2 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下 、「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2013-99748号公報(平成25年5月23日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ジーゼルエンジンからの排出ガスを処理するのに有用な触媒物品に関する。」 b 「【発明を実施するための形態】 【0049】 本発明の一つの態様は、壁流フィルター基材上に形成される触媒付きすすフィルターに関する。壁流フィルター基材は触媒組成物により被覆される内壁を有する。すすフィルターは、フィルターの長さに沿った基材の内壁からの排出ガスの均質な流れを維持する。すすフィルターの被覆設計とその長さに沿って堆積される組成物の選択によって、触媒機能の効率と耐久性は、両方とも慣用的に設計される触媒付きすすフィルターよりも増大される。 【0050】 触媒付きすすフィルターは、排気のガス状成分(例えば、COおよびHC)とフィルター中に堆積される粒子状物質を同時に処理するための集積化された機能を提供する。被覆設計によって、このすすフィルターは、触媒が老化した後でもガス状汚染物質の燃焼を接触する能力を維持する。 【0051】 本発明の触媒付きすすフィルター(10)の一つの態様を図2中の断面区分で示す。壁流基材は複数の通路(2a、2b)を規定する内壁(1)を有する。通常基材の長さに沿って延びる入口通路(2a)と出口通路(2b)が存在する。入口通路が入口末端(3)で開口を有し、そして出口末端(4)で閉じるように、基材は形成される。出口通路は基材の入口末端で閉じ、そして基材の出口末端で開いている。基材の内壁は多孔質であって、排出ガスの通過を可能とさせる。 【0052】 入口通路の内壁上に堆積されているのは、基材の入口末端から第1の入口被膜末端(5a)まで延びて、第1の入口被膜長さを規定する第1の入口被膜(5)である。第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さよりも短かい。例えば、第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さの20~80%であることができる。好ましくは、第1の入口被膜長さは、基材の軸方向の長さの30~70%、そして更に好ましくは40~60%である。 【0053】 出口通路の内壁上に堆積されているのは、基材の出口末端から出口被膜末端(6a)まで延びて、出口被膜長さを規定する出口被膜(6)である。出口被膜長さは基材軸方向の長さよりも短かい。例えば、第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さの20~80%であることができる。好ましくは、出口被膜長さは、基材の軸方向の長さの30~70%、そして更に好ましくは40~60%である。 【0054】 第1の入口被膜と出口被膜長さの和は基材軸方向の長さに実質的に等しい。この明細書で使用されるように、クレームを含めて、被覆長さの和を基材軸方向の長さと比較する場合には、用語「実質的に等しい」は、比較すべき長さがお互いの5%以内であるということを意味する。 【0055】 第1の入口被膜と出口被膜の長さは基材を2つの軸方向の域に分割する。第1の入口被膜長さは基材の軸方向の長さに沿って上流域(7)を規定し、そして出口被膜長さは下流域(8)を規定する。 【0056】 運転中、ガス状汚染物質と粒子状物質の両方を含有する排気流は、入口チャンネル経由で基材に入る。排気流は基材の軸方向の長さに沿って進行し、上流域から下流域に通過する。入口通路は封鎖されているので、排気流は基材の触媒を被覆した内壁を通過しなければならない。基材の触媒被膜と内壁の両方は多孔質であり、流れのガス状成分は被覆と内壁から出口通路の中に通過することができる。しかしながら、粒子は基材の内壁中に堆積し、それにより排気流から除去される。出口通路が出口末端で開いている場合には、出口通路を通過する濾過されるガス流は出口末端経由で基材を出る。 【0057】 この触媒付きすすフィルターの代替の態様においては、壁流フィルター基材(10A)は、入口壁と第1の入口被膜の間に介在する第2の入口被膜(9)を含む(図3を参照)。第2の入口被膜は入口通路(2a)の内壁(1)上に配設され、そして基材の入口末端3から出口末端4まで延びる。入口通路の内壁はこの態様においては、第2の入口被膜に重なり、そして付着する、第1の入口被膜5も含む。第1の入口被膜は基材の入口末端4から第1の入口被膜末端(5a)まで延びて、第1の入口被膜長さを規定する。ここでも、第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さよりも短かい。例えば、第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さの30~70%であることができ、そして好ましくは、基材の軸方向の長さの40~60%である。 【0058】 出口通路(2b)の内壁上に堆積されているのは、出口末端4から出口被膜末端(6a)まで延びて、出口被膜長さを規定する出口被膜(6)である。ここでも、出口被膜長さは基材軸方向の長さよりも短かい。例えば、第1の入口被膜長さは基材軸方向の長さの20~80%であることができる。好ましくは、第1の入口被膜長さは、基材の軸方向の長さの30~70%、そして更に好ましくは40~60%である。 【0059】 第1の入口被膜と出口被膜長さの和は基材軸方向の長さに実質的に等しい。第1の入口被膜と出口被膜の長さは基材を2つの軸方向の域に分割する。第1の入口被膜長さは基材の軸方向の長さに沿って上流域(7)を規定し、そして出口被膜長さは下流域(8)を規定する。 【0060】 本出願人らは、本発明の物品で使用される被覆設計のしかるべき特徴が全体の汚染物質性能と耐久性を改善するということを見出した。第1に、第1の入口被膜組成物と出口被膜組成物の透過性は、基材の軸方向の長さに沿った内壁上の均質な透過性を確保するように調整される。第2に、触媒被膜は、充分に高い白金族金属成分濃度を壁流基材の上流域中に配設するように選択される。 【0061】 本発明の被覆設計の2つの局面は、被覆された基材が基材の内壁の任意の区分に対して均質な透過性を維持するということを確実にする。これらの局面は入口および出口被膜の長さと透過性を含む。 【0062】 第1に、入口および出口被膜長さの和は、本発明のすすフィルター中の基材軸方向の長さに実質的に等しい。第1の入口および出口被膜の被覆長さの注意深い制御は、基材の長さに沿った異なる内壁区分からの一貫性のない圧力低下のリスクを最小とする。例えば、内壁の1つの区分が隣接する区分よりも高い触媒被膜レベルを有するならば、高い被覆レベルの壁区分中の高い圧力低下が予期される。 【0063】 第2に、出口被膜の透過性が入口被膜の透過性に等しく調整される。少なくとも2つのパラメーターを使用して、被膜の透過性を調整することができる。出口組成物のウオッシュコート装填量を調整して、入口被膜のウオッシュコート装填量に合わせることができる。一般に、第1の入口および出口被膜は、第1の入口被膜/出口被膜0.5~1.5のウオッシュコート装填量比で壁流基材上に存在する。更に好ましくは、第1の入口被膜/出口被膜の比は0.75~1.25、例えば約1.0である。 【0064】 更には、第1の入口および出口被膜の透過性が釣り合うように、出口被膜の粒子サイズを調整することができる。例えば、組成物を基材の内壁上の被覆として配設する場合、小さな粒子サイズ(例えば、触媒担体の粒子サイズ)ほど低い透過性を生じる。一般に、入口および出口被膜で使用される耐火性金属酸化物担体は、粒子の95%が<5マイクロメーターの、そして好ましくは<3マイクロメーターの直径を有するようにミル掛けされる。 【0065】 これらのパラメーターの適切な最適化は、フィルターの軸方向の長さに沿った基材の内壁からの排出ガスの均質な流れを維持するすすフィルターの設計を可能とさせる。例として、すすフィルターを等価のウオッシュコート装填量(例えば、各々1.0g/in3)を有する第1の入口および出口被膜により被覆した場合、第1の入口および出口被膜の両方に対する耐火性酸化物金属担体の粒子サイズはほぼ同一でなければならない。例えば、入口および出口被膜中の担体の粒子直径はお互いに約20%、そして更に好ましくは約10%以内である。 【0066】 基材の内壁中に配設される触媒被膜は、排気流が被覆から通過するときに、ガス状および粒子状成分の両方を処理する役割をする。 【0067】 通常、リーンバーン燃焼エンジン(例えば、ジーゼルエンジン)からの排気流のガス状成分はガス状未燃焼炭化水素、一酸化炭素およびNOを含有する。触媒被膜は、未燃焼炭化水素および一酸化炭素の二酸化炭素と水への酸化を促進する。この触媒被膜、特に白金族金属成分を含有する被膜はNOのNO2への酸化も促進する。 【0068】 触媒被膜は、排気流の粒子成分の酸化も促進し、そして基材の再生を促進する。粒子状物質は基材の内壁中に堆積し、内壁上に配設されている触媒を接触する。粒子状物質と触媒組成物の間の接触は、粒子状物質の燃焼とフィルター再生を促進する。 【0069】 本発明の好ましい態様においては、ガス状成分と粒子状物質の処理は、基材の上流および下流域の間で少なくとも部分的に隔離される。反応の隔離は、上流域中で基材の下流域中よりも高い白金族金属濃度を配設することにより達成される。好ましくは、上流域中に少なくとも60%の白金族金属成分が存在する。例えば、上流域中で濃縮された70%以上の白金族金属成分が存在することができる。一般に、上流域中に5~180g/ft3の白金族金属成分が存在する。例えば、上流域中に90~170g/ft3の、そして好ましくは120~160g/ft3の白金族金属成分が存在することができる。 【0070】 図2中に例示されている本発明の態様においては、第1の入口被膜は少なくとも1つの第1の入口白金族金属成分を含有し、そして出口被膜は出口白金族金属成分を場合によっては含有する。図3中に例示されている本発明の態様においては、第1の入口被膜は少なくとも1つの第1の入口白金族金属成分を含有し、そして第2の入口被膜は第2の入口白金族金属成分を場合によっては含有する。 【0071】 基材の上流域中に高い白金族金属濃度を配設することは、白金族金属の使用の効率を改善し、そして多数回の再生サイクル後でも基材の触媒機能の維持を可能とさせる。 【0072】 好ましい態様においては、下流域中よりも上流域中に高い白金族金属濃度を配設することは、ガス状成分転換の性能を改善する。排気流のガス状成分に対する排出物目標に適合するのに、粒子成分に対する標準に適合するのに必要とされるよりも高い白金族金属濃度が通常必要とされる。本発明のすすフィルター中の出口被膜の存在は、著しい比率のガス状成分が高白金族金属濃度を配設させた基材の上流域中の内壁を通過するということを確保する。特に、出口被膜は、大きい白金族金属濃度に伴なう高いウオッシュコート装填量による上流域における内壁中での圧力低下の増大を補償する。 【0073】 上流域中に高い白金族金属濃度を配設することは、すすの燃焼とフィルターの再生も支持する。白金族金属成分はNOのNO2への酸化を促進し、それにより排気流中のNO2濃度を増加させる。NO2は基材の内壁中に捕捉されるすすの燃焼に使用可能な強力な酸化物質として機能するために、高NO2濃度が望ましい。特に、NO2が酸化物質として機能する場合、粒子状物質のすす画分は、O2が酸化物質として働く場合に必要とされる温度よりも低い温度で燃焼可能である。基材の上流域中で増大したNO2濃度を生成させることによって、NO2は基材の出口末端に向かって流れ、そして高比率のすすが集められる下流域中で堆積されるすすの燃焼に使用されることが可能である。 【0074】 排気の粒子成分を燃焼させるには低濃度が通常必要であるために、下流域は上流域よりも比較的低い白金族金属濃度を有する。上述のように、上流域中よりもすすフィルターの下流域中で高比率の粒子状物質が集まり、そして燃焼する。 【0075】 被覆設計によって、多数回の再生サイクル後でもすすフィルターの触媒機能の維持が可能となる。いかなる特定の理論によっても束縛されるのではないが、本出願人らは、すすフィルターの再生に関連する温度分布に適合させるにはこの被覆設計が好適であると考える。再生に関連する高い温度、例えば>800℃は、高比率の粒子状物質が集まる基材の下流域中に主として存在する。このような高い温度は白金族金属含有触媒の触媒活性に有害な影響を及ぼす。しかしながら、前方(front)における高い濃度と反対に基材の後方(rear)においては低い白金族金属濃度が配設されるので、白金族金属成分の大部分は、すす燃焼に関連する高熱に比較的非暴露なままである。このように、この被覆設計は、基材の上流域中に配設される白金金属成分の触媒活性を保持させる。 【0076】 出口被膜は少なくとも3つの触媒機能を果たす。第1に、出口被膜は圧力平衡化機能を果たす。言い換えれば、第1の入口被膜の堆積により引き起こされる、上流域中の内壁にわたる圧力増加は、下流域の内壁上に出口被膜を堆積することにより補償される。第2に、出口層被覆は、出口チャンネルまで貫流する任意のガス状汚染物質(例えば、COおよび未燃焼炭化水素)の酸化を促進する。特に、白金族金属成分を含有する出口被膜はこの機能を補助する。終わりに、出口被膜により促進される、反応から生成される熱は、基材の出口域を加熱するように機能して、すすの燃焼を助ける。 【0077】 壁流基材上の被覆の各々は、1つ以上の高表面積の耐火性金属酸化物、例えば高表面積のアルミナを含有するウオッシュコート組成物から形成される。結合剤および安定化剤などの他の添加物もこの組成物中に含めることができる。この組成物を被覆として基材に塗布する場合、成分の比率は、被覆された基材1立方インチ(例えば、表示された組成物により被覆される基材の容積、そして必ずしも全基材容積ではない)当たりの材料のグラム数として慣用的に表現される。この尺度は異なるモノリシック基材中の異なるガス流の通路セルサイズに対応するためである。この被膜は薄い被覆として内壁の表面上に配設され得るか、そして/あるいは多孔質壁をある程度浸透し得る。 【0078】 触媒成分を含有するこれらの被覆(「触媒被膜」)は、高表面積の耐火性金属酸化物上に担持される1つ以上の白金族金属成分を通常有する。白金族金属成分の場合には、堆積されるこれらの成分の比率は、被覆された基材1立方フィート当たりの材料のグラム数として普通表現される。好ましい触媒においては、この明細書中で挙げる白金族金属成分の重量は金属の重量を基準とする。好ましい白金族金属成分は、白金、パラジウム、ロジウムおよびイリジウム成分を含む。 【0079】 水溶性あるいは水分散性の白金族金属前駆体により含浸し、続いて乾燥および固定段階を行うことにより、白金族金属成分は高表面積の耐火性金属酸化物上に分散可能である。好適な白金族金属前駆体は、塩化カリウム白金、アンモニウム白金チオシアネート、アミンで可溶化された白金水酸化物、クロロ白金酸、硝酸パラジウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ヘキサミンロジウムなどを含む。他の好適な白金族金属前駆体は当分野の熟練者には明白であろう。次に、含浸された成分はその上に固定された白金族金属と共に乾燥され得る。固定は、カ焼又は、白金族金属を水不溶性の形とせしめる酢酸処理によるかもしくは他の既知の手段によって行われ得る。カ焼時あるいは少なくとも触媒の初期相時に、このような化合物は、存在するならば、触媒的に能動的な元素状白金族金属またはその酸化物(例えば、白金族金属成分)に転換される。 【0080】 入口および出口被膜中で触媒担体としても機能する有用な耐火性金属酸化物は、同一あるいは異なることができる。耐火性酸化物は、アルミニウム、チタン、ケイ素、ジルコニウム、希土類金属およびこれらの組み合わせ物の酸化物などの材料から選択される。好ましい耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ(ここで、シリカは担体の0.5~10重量%を占める)、アルミノシリケート(非晶質あるいは結晶性であり得る)、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-クロミアおよびアルミナ-希土類金属酸化物(例えば、アルミナ-セリア)、チタニア、チタニア-シリカ、チタニア-ジルコニアおよびチタニア-アルミナからなる群から選択される活性化された化合物である。 【0081】 一つの好ましい態様においては、耐火性金属酸化物は、好ましくはガンマアルミナおよびイータアルミナなどのガンマアルミナまたは活性化アルミナの一族の構成員を含むアルミナと、存在する場合には少量の、例えば約20重量パーセントまでの他の耐火性金属酸化物から好ましくは実質的に構成される。好ましくは、活性化アルミナは60~300m2/gの比表面積を有する。 【0082】 他の好ましい態様においては、入口および出口被膜は、1つ以上の希土類金属酸化物を含有するウオッシュコートから好ましくは形成される。希土類金属酸化物は、セリウム、プラセオジウム、ランタン、ネオジムおよびサマリウムの1つ以上の酸化物から選択される。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、セリウムあるいはプラセオジウム化合物を含み、最も好ましい希土類金属酸化物はセリウム酸化物(セリア)である。希土類金属酸化物担体は被覆中に1.5g/in3までの濃度で通常含まれる。好ましくは、このような成分は被覆中に0.2~1.0g/in3の濃度で含まれる。 【0083】 希土類金属酸化物はウオッシュコート組成物中にバルクの形で好ましくは含まれる。バルク形とは、この組成物が固体、好ましくは微細な粒子の形のものであり、更に好ましくは少なくとも約95重量%の粒子が0.1~5.0マイクロメーターの、そして好ましくは3マイクロメーター未満の直径を通常有するような粒子サイズ分布を有するという意味である。バルク粒子の議論は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,714,694号および第5,057,483号が参照される。 【0084】 一部の態様においては、希土類金属酸化物担体は、共形成された複合体組成物としてのもう一つの耐火性金属酸化物と共に使用され得る。この組成物は、真の固溶体であり得るか、あるいは真の固溶体であり得ない複合体としてキャラクタリゼーション可能である混合物である。複合体はジルコニアと共に好ましくは形成される。特に好ましい組成物は、少なくとも10重量パーセントのセリアと少なくとも60重量パーセントのジルコニアを含有する共沈澱させたセリア-ジルコニア複合体である。好ましくは、共形成された複合体は少なくとも70重量パーセントのジルコニアを含有する。加えて、約0.3~1cc/gの細孔容積を有する多孔質のセリア-ジルコニア複合体材料も使用され得る。 【0085】 この組成物は、セリアとジルコニアに加えて、ランタナ、ネオジミア、プラセオジミア、イットリアまたはこれらの混合物の1つ以上を場合によっては含有し得る。もう一つの好ましい希土類金属酸化物含有複合体担体は、約5~20重量%のセリア、5~30重量%のジルコニア、1~10重量%のプラセオジミアおよび50~80重量%のアルミナを含有する複合体である。 【0086】 存在する場合には、共形成された希土類金属酸化物-耐火性金属酸化物複合体は0.10g/in3~1.5g/in3の濃度で存在する。 【0087】 ある態様においては、耐火性金属酸化物はナノ構造型材料から形成される。このような材料は、例えば0.1マイクロメーター以下の粒子直径を通常有する、小粒子サイズを有する。ナノ構造型材料は、例えばナノ-アルミナ、ナノ-シリカ-アルミナおよびナノセリア-ジルコニアを含む。ナノ構造型材料は、ナノ-β-ゼオライト、ナノ-Y-ゼオライトおよびナノ-ZSM-5ゼオライトなどのナノ結晶性ゼオライトも含む。ナノ構造型材料は、材料の小粒子サイズにより最少のウオッシュコート装填量を用いて壁流基材の内壁の区分の流れ特性を調整することにおいて特に有用であることができる。 【0088】 一部の態様においては、白金族金属成分もゼオライト担体上に分散可能(完全に、あるいは一部)である。白金族金属成分の担体として機能することに加えて、ゼオライト成分は、下記に述べるように組み込まれる場合、さもなくば排出ガスが比較的冷たい間触媒から処理されずに逃散する、未燃焼炭化水素を捕捉することができる。捕捉された炭化水素は、ゼオライト内で酸化されるか、あるいは捕捉された炭化水素の酸化を有効に接触するのに触媒組成物の温度が充分に高い場合にのみゼオライトから放出されるか、あるいはこの両方であると考えられる。 【0089】 ゼオライト成分は、例えばベーターゼオライト、Y-ゼオライト、ペンタシル(例えば、ZSM-5)、モルデナイトおよびこれらの混合物の群から選択されるゼオライトであることができる。本発明で使用されるゼオライトは通常ドーピングされ、例えば水素、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、銅、鉄、ニッケル、クロムおよびバナジウムの1つ以上からなる群から選択されるイオンまたは中性の金属含有種によりイオン交換されるか、あるいは含浸される。好ましくは、ゼオライト成分は白金と鉄の一方あるいは両方によりドーピングされる。 【0090】 金属または水素によるゼオライトのドーピングを指すのに使用される、用語「ドーピングされている」は、金属あるいは水素部分がゼオライトの細孔内に組み込まれているということを意味する。これは、ゼオライトの表面上に分散されていることから識別されるが、ゼオライトの細孔内ではいかなる顕著な程度でも識別されない。ゼオライトのドーピングは、ゼオライトを金属カチオン(または水素イオンをもたらす酸)を含有する溶液により繰り返し洗うか、あるいはゼオライト細孔をこのような溶液により溢れさせる、既知のイオン交換法により好ましくは行われる。しかしながら、この定義された用語は、触媒部分、例えば1つ以上の金属をイオンまたは中性の金属含有種または水素イオンとして特にゼオライトのカチオンの交換または置換によりゼオライトの細孔内に組み込むためのいかなる好適な方法も含む。ゼオライトをドーピングする方法は、例えば開示が引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,274,107号で開示されている。 【0091】 通常、本発明の目的には、ゼオライト成分は、耐火性金属酸化物担体(例えば、シリカアルミナおよび/またはバルクセリア)との混和物として使用される。一般に触媒被膜中には約0.025~0.25g/in3のゼオライト成分が存在する。 【0092】 ジルコニウム成分、好ましくはジルコニアは入口および/または出口被膜中に包含可能である。これらの成分は安定化剤と促進剤の両方として作用する。通常、入口および出口触媒被覆の各々の中に約0.02g/in3~0.15g/in3の、そして好ましくは約0.05g/in3の酸化ジルコニウムが存在する。 【0093】 場合によっては、安定化剤は入口あるいは出口の触媒区分のいずれかの中に包含可能である。米国特許第4,727,052号で開示されているように、活性化アルミナなどの担体材料は、高温でのガンマからアルファへの望ましくないアルミナ相変態を遅延させるために熱安定化可能である。安定化剤は、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属成分、好ましくはストロンチウムとバリウムから選択可能である。存在する場合には、安定化剤材料は、被覆中約0.01g/in3~0.15g/in3で添加される。 【0094】 第1の/第2の入口あるいは出口被膜のいずれかとして使用され得る一つの好ましい被膜組成物は、0.1~2.0g/in3のガンマアルミナまたはシリカ-アルミナ(例えば、アルミナ上の1.5重量%のシリカ);および 0.05~1g/in3のセリア-ジルコニア-プラセオジミア複合体(5-60重量%のセリア、30~85重量%のジルコニア、5~10重量%のプラセオジミアを含有する) を含有する。 【0095】 この被膜組成物は1つ以上の白金族金属成分を場合によっては含有する。 【0096】 第1の/第2の入口あるいは出口被膜のいずれかとして使用され得るもう一つの好ましい被膜組成物は、 0.1~2.0g/in3のガンマアルミナまたはシリカ-アルミナ(例えば、アルミナ上の1.5重量%のシリカ); 0.05~1g/in3のセリア-ジルコニア-プラセオジミア複合体(5-60重量%のセリア、30-85重量%のジルコニア、5-10重量%のプラセオジミアを含有する);および ベータ-ゼオライト、鉄ドープされたベータゼオライト、USY(超安定Y)-ゼオライトおよびZSM-5ゼオライトからなる群から選択される0.025~0.25g/in3のゼオライト を含有する。 【0097】 この被膜組成物は1つ以上の白金族金属成分を場合によっては含有する。 【0098】 壁流基材 壁流基材は、基材の長手方向の軸に沿って延びる、複数の微細で、実質的に平行なガス流通路を有する。通常、各通路は基材体の一方の末端で封鎖され、交互する通路は相対する末端面で封鎖されている。このようなモノリシックキャリアは、更に少ない数を使用し得るが、断面1平方インチ当たり約400本までの流れ通路(または「セル」)を含み得る。例えば、キャリアは、1平方インチ当たり約7~400セル、更に通常約100~400セル(「cpsi」(cells per square inch))を有し得る。セルは、長方形、正方形、円形、卵形、三角形、六角形または他の多角形である断面を有することができる。 【0099】 好ましい壁流フィルター基材は、コーディエライト、α-アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカ-マグネシアまたはジルコニウムシリケートなどのセラミック様材料から、あるいはステンレススチールなどの耐火性金属から構成される。好ましい壁流基材はコーディエライトと炭化ケイ素から形成される。このような材料は、環境、特に排気流の処理で遭遇する高温に耐えることが可能である。 【0100】 セラミック壁流基材は約40~70%の多孔率を有する材料から通常形成される。例えばいくつかの構成においては、60%の多孔率と約15~25ミクロンの平均細孔直径を有する壁流基材は適切な排気流をもたらす。 【0101】 加えて、セル密度と壁の厚さの両方は、排気系において観察される排気流特性と圧力低下に影響を及ぼす。17ミルの壁を有する100cpsiの壁流フィルターを使用する構成および300cpsi且つ12~14ミルの壁付きの壁流基材は両方とも、本発明の物品において有用であるフィルター基材中の流れと圧力低下をもたらす。」 c 「【実施例】 【0102】 次の実施例は本発明を更に例示するが、勿論いかなる形でもその範囲を制限するように解釈されるべきでない。 【0103】 実施例1-均質な触媒被膜:参照触媒A 粒子状物質(すす)を捕捉し、そして残存する炭化水素と燃焼時にジーゼル排気中に生成するCOを減少させる意図で使用される炭化ケイ素フィルター上にこの触媒組成物を被覆した。 【0104】 313gのアミンで可溶化された白金水酸化物(約17%Pt)溶液を546gの1.5%のシリカアルミナ担体(120m2/g)上に含浸し、続いて酢酸溶液を用いてPtを固定することにより、この触媒被膜を作製した。この材料を約40%固体のスラリーとし、8ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。ミル掛け後、1100gのCeO2-Pr6O11-ZrO2複合体(30重量%のセリア、10重量%のプラセオジミアおよび60重量%のジルコニアを含有する)をこのスラリーに添加し、続いて酢酸ジルコニル(30%ZrO2で296g)を添加し、そして5ミクロン未満までミル掛けした。次に、このスラリーを約30%固体まで希釈した。このスラリーを使用して、炭化ケイ素壁流フィルター基材(寸法5.66”×6.0”、300cpsi)の壁の一方をカ焼の後で測定して約1g/in3およびPt=75g/ft3のウオッシュコート装填量まで被覆した。このフィルターの被覆側をこの評価で使用されるジーゼルエンジンから排出される排出ガスの入口として使用した。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Aと呼ぶ。 【0105】 実施例2:触媒B このすすフィルターは図3に示す被覆設計を有し、そして第1の入口被膜、第2の入口被膜および出口被膜を有するものであった。 【0106】 異なる濃度の白金と異なる固体含量を除いて、この被覆の各々のためのスラリーを同様に作製した。白金濃度と固体含量を調整して、各被覆に対する標的ウオッシュコート装填量を得た。このPt塩溶液をガンマ-アルミナ上に含浸させることにより、このスラリーを作製した。酢酸を使用して、Ptを沈澱させた。水と若干の酢酸を添加することにより、この含浸されたアルミナを約40%固体のスラリーとした。酢酸ジルコニウムを添加し、そしてこのスラリーを5ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。3つのスラリーを上記の手順に基づき作製し、そして各スラリーを次の順序で被覆した。 【0107】 第2の入口被膜:このフィルターの入口の100%を被覆して、カ焼重量基準で約0.27g/in3のウオッシュコート装填量、0.05g/in3のジルコニア濃度および約30g/ft3のPt濃度を得た。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0108】 第1の入口被膜:このフィルターの入口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.45g/in3のウオッシュコート装填量、0.05g/in3のジルコニア濃度および約60g/ft3のPt濃度を得た。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0109】 出口被膜:このフィルターの出口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.27g/in3のウオッシュコート装填量、0.05g/in3のジルコニア濃度および約30g/ft3のPt濃度を得た。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0110】 この炭化ケイ素フィルター上の平均ウオッシュコート装填量は約0.6g/in3であり、Pt濃度は75g/ft3であった。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Bと呼ぶ。 【0111】 実施例3:触媒C このすすフィルターは図3に示す被覆設計を有し、そして第1の入口被膜と出口被膜を有するものであった。 【0112】 異なる濃度の白金と異なる固体含量を除いて、この被覆の各々のためのスラリーを同様に作製した。白金濃度と固体含量を調整して、各被覆に対する標的ウオッシュコート装填量を得た。このPt塩溶液をガンマ-アルミナ上に含浸させることにより、このスラリーを作製した。酢酸を使用して、Ptを沈澱させた。水と酢酸を添加することにより、この含浸されたアルミナを約40%固体のスラリーとした。酢酸ジルコニウムを添加し、そしてこのスラリーを5ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。2つのスラリーを上記の手順に基づき作製し、そして各スラリーを次の順序で被覆した。 【0113】 第1の入口被膜:このフィルターの入口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.6g/in3のウオッシュコート装填量、0.05g/in3のジルコニア濃度および約100g/ft3のPt濃度を得た。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0114】 出口被膜:このフィルターの出口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.6g/in3のウオッシュコート装填量、0.05g/in3のジルコニア濃度および約50g/ft3のPt濃度を得た。出口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0115】 この炭化ケイ素フィルター上の平均ウオッシュコート装填量は約0.6g/in3であり、Pt濃度は75g/ft3であった。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Cと呼ぶ。」 d 「【0122】 実施例4:均質な触媒被膜:参照触媒D 粒子状物質(すす)を捕捉し、かつ残存炭化水素と燃焼時にジーゼル排気中に生成するCOを減少させる意図で使用される炭化ケイ素フィルター上にこの触媒を被覆した。アミンで可溶化された白金水酸化物(約17%Pt)溶液をアルミナベースの担体上に含浸し、続いて酢酸溶液を用いてPtを固定することにより、この触媒被膜を作製した。この材料を約40%固体のスラリーとし、5ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。ミル掛け後、1100gのCeO2-Pr6O11-ZrO2複合体(30重量%のセリア、10重量%のプラセオジミアおよび60重量%のジルコニアを含有する)をこのスラリーに添加し、続いて酢酸ジルコニル(30%ZrO2で296g)を添加し、そして5ミクロン未満までミル掛けした。次に、このスラリーを約25%固体まで希釈した。このスラリーを使用して、炭化ケイ素フィルター(寸法5.66”×6.0”、300cpsi)の入口(入口のみ)壁をカ焼後に測定して約1g/in3およびPt=75g/ft3のウオッシュコート装填量まで被覆した。この触媒組成物は、0.6g/in3のAl2O3、0.3g/in3のCeO2-Pr6O11-ZrO2、0.05g/in3のZrO2および90g/ft3のPtを含有していた。このフィルターの被覆側をこの評価で使用されるジーゼルエンジンから排出される排出ガスの入口として使用した。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Dと呼ぶ。 【0123】 実施例5:触媒E このすすフィルターは図2に示す被覆設計を有し、そして第1の入口被膜と出口被膜を有するものであった。 【0124】 異なる濃度の白金と異なる固体含量を除いて、この被覆の各々のためのスラリーを同様に作製した。白金濃度と固体含量を調整して、各被覆に対する標的ウオッシュコート装填量を得た。アミンで可溶化された白金水酸化物溶液をアルミナベースの担体(1.5%シリカ/アルミナ)上に含浸することにより、このスラリーを作製した。酢酸を使用して、Ptを沈澱させた。水と酢酸を添加することにより、この含浸されたアルミナを約40%固体のスラリーとした。 【0125】 酢酸ジルコニウムを添加し、そしてこのスラリーを5ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。2つのスラリーを上記の手順に基づき作製し、そして各スラリーを次の順序で炭化ケイ素フィルター(寸法5.66”×6”、300cpsi)に被覆した。 【0126】 第1の入口被膜:このフィルターの入口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約約0.735g/in3のウオッシュコート装填量を得た。この第1の入口被膜は、0.6g/in3のSiO2-Al2O3、0.05g/in3のZrO2および120g/ft3のPtを含有していた。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0127】 出口被膜:このフィルターの出口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.735g/in3のウオッシュコート装填量を得た。この出口被膜は、0.6g/in3のSiO2-Al2O3、0.05g/in3のZrO2および60g/ft3のPtを含有していた。出口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0128】 この炭化ケイ素フィルター上の平均ウオッシュコート装填量は約0.6g/in3であり、Pt濃度は90g/ft3であった。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Eと呼ぶ。 【0129】 実施例6:触媒F このすすフィルターは図2に示す被覆設計を有し、そして第1の入口被膜と出口被膜を有するものであった。 【0130】 異なる濃度の白金と異なる固体含量を除いて、この被覆の各々のためのスラリーを同様に作製した。白金濃度と固体含量を調整して、各被覆に対する標的ウオッシュコート装填量を得た。アミンで可溶化された白金水酸化物溶液をアルミナベースの担体(1.5%シリカ/アルミナ)上に含浸することにより、このスラリーを作製した。酢酸を使用して、Ptを沈澱させた。水と酢酸を添加することにより、この含浸されたアルミナを約40%固体のスラリーとした。 【0131】 酢酸ジルコニウムを添加し、そしてこのスラリーを5ミクロン未満の粒子サイズまでミル掛けした。2つのスラリーを上記の手順に基づき作製し、そして各スラリーを次の順序で炭化ケイ素フィルター(寸法5.66”×6”、300cpsi)に被覆した。 【0132】 第1の入口被膜:このフィルターの入口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約約0.735g/in3のウオッシュコート装填量を得た。この第1の入口被膜は、0.6g/in3のSiO2-Al2O3、0.05g/in3のZrO2および150g/ft3のPtを含有していた。入口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0133】 出口被膜:このフィルターの出口の50%を被覆して、カ焼重量基準で約0.735g/in3のウオッシュコート装填量を得た。この出口被膜は、0.6g/in3のSiO2-Al2O3、0.05g/in3のZrO2および30g/ft3のPtを含有していた。出口を被覆した後、このフィルターを乾燥し、そして450℃で1時間カ焼した。 【0134】 この炭化ケイ素フィルター上の平均ウオッシュコート装填量は約0.6g/in3であり、Pt濃度は90g/ft3であった。この被覆されたフィルター基材を参照触媒Fと呼ぶ。」 e 「 [図:0001412015000001.jpg] 」(【図1】) f 「 [図:0001412015000002.jpg] 」(【図2】) g 「 [図:0001412015000003.jpg] 」(【図3】) h 上記bないしgからみて、「壁流基材」は、基材軸方向の長さ、直径、及び体積を有し、基材軸方向の長さを規定する入口、入口末端及び出口、出口末端を含むものであると認められる。 i 上記cないしgからみて、実施例1ないし6において「壁流基材」を例示する「炭化ケイ素壁流フィルター基材」の寸法は、直径5.66”、基材軸方向の長さ6.0”と認められ、そのアスペクト比は、6.0”/5.66”=約1.06であると認められる。 (イ)引用発明 上記(ア)の記載及び図面の図示内容から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 基材軸方向の長さ、直径、及び体積を有し、基材軸方向の長さを規定する入口、入口末端及び出口、出口末端、約1.06のアスペクト比を含む壁流基材、及び 壁流基材上に被覆され、耐火性金属酸化物、及び白金族金属成分を含む被覆組成物 を含み、且つ 耐火性金属酸化物が、ベーターゼオライト、Y-ゼオライト、ペンタシル(例えば、ZSM-5)、モルデナイトおよびこれらの混合物の群から選択されるゼオライト成分を含むナノ構造型材料から形成され、且つ 耐火性金属酸化物が、水素、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、銅、鉄、ニッケル、クロムおよびバナジウムの1つ以上からなる群から選択されるイオンまたは中性の金属含有種によりイオン交換されるか、あるいは含浸され、好ましくは、白金と鉄の一方あるいは両方によりドーピング(ゼオライトの細孔内に組み込まれているということを意味する)され、且つ 耐火性金属酸化物が、未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライト成分を含むナノ構造型材料から形成され、及びイオンまたは中性の金属含有種は、未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライト成分によりイオン交換されるか、あるいは含浸され、好ましくは、白金と鉄の一方あるいは両方によりドーピング(ゼオライトの細孔内に組み込まれているということを意味する)された、 触媒付きすすフィルター(10)。」 (3)本件補正発明と引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)「基材」に関して 引用発明における「基材軸方向の長さ」は本件補正発明における「軸方向長さL」に相当し、以下同様に、「直径」は「直径D」、「体積」は「体積」に、「入口」は「前部」に、「入口末端」は「上流端」に、「出口」は「後部」に、「出口末端」は「下流端」に、「壁流基材」は「基材」に、それぞれ相当する。 また、引用発明における「約1.06のアスペクト比」は本件補正発明における「約2から約20のL/Dで規定されるアスペクト比」に、「所定のL/Dで規定されるアスペクト比」という限りで一致する。 (イ)「機能性コーティング組成物」に関して a 引用発明における「被覆され」ることは本件補正発明における「配置され」ることに相当し、同様に、「白金族金属成分」は「酸化触媒組成物」に、それぞれ相当する。 b 引用発明における「ベーターゼオライト、Y-ゼオライト、ペンタシル(例えば、ZSM-5)、モルデナイトおよびこれらの混合物の群から選択されるゼオライト成分」は、本件補正発明における「フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライト」に相当し、同様に、「を含むナノ構造型材料から形成され」ることは「を含」むことに相当する。 また、引用発明における「水素、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、銅、鉄、ニッケル、クロムおよびバナジウムの1つ以上からなる群から選択されるイオンまたは中性の金属含有種」は、本件補正発明における「銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属」に相当するものを包含し、同様に、「によりイオン交換されるか、あるいは含浸され、好ましくは、白金と鉄の一方あるいは両方によりドーピング(ゼオライトの細孔内に組み込まれていることを意味する)され」ることは「を含」むことに相当する。 さらに、引用発明における「未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライト成分」は、本願明細書の段落【0162】に「第一の吸着剤組成物は、排気ガスのNOx及び/又はCO及び/又はHC成分を吸着及び/又は吸収するのに適し得る。適した吸着剤には、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、希土類酸化物及び分子ふるいなどの材料が含まれるが、これらに限定されない。」及び「吸着剤分子ふるいは、ゼオライトが含まれる。」と記載されているのと同様のHC成分である未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライトであること及びゼオライトは一般的に分子ふるいであることは技術常識である(例えば、特表2016-500562号公報の段落【0003】、【0010】、【0011】、【0027】及び【0043】並びに特表2015-518420号公報の段落【0004】ないし【0007】、【0016】、【0034】及び【0035】を参照。)ことから、本件補正発明における「分子ふるい」に相当し、同様に、「を含むナノ構造型材料から形成され」ることは「を含」むことに相当する。そして、引用発明における「イオンまたは中性の金属含有種は、未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライト成分によりイオン交換されるか、あるいは含浸され、好ましくは、白金と鉄の一方あるいは両方によりドーピング(ゼオライトの細孔内に組み込まれていることを意味する)され」ていることは、イオンまたは中性の金属含有種が、本件補正発明における「分子ふるい」に相当する「未燃焼炭化水素を捕捉するゼオライト成分」のイオン交換部位に存在することといえることから、本件補正発明における「卑金属は、分子ふるいのイオン交換部位に存在する」ことに相当する。 そうすると、引用発明における「耐火性金属酸化物」は、本件補正発明における「第一の吸着剤組成物」に相当する。 c そして、本件補正発明における「第二の吸着剤組成物」は「機能性コーティング組成物」が「任意に」含むものであることから、本件補正発明における「機能性コーティング組成物」は「第二の吸着剤組成物」を含まないものも包含するものといえ、そうすると、引用発明における「被覆組成物」は、本件補正発明における「機能性コーティング組成物」に相当するといえる。 (ウ)「モノリシックウォールフローフィルター触媒物品」に関して 引用発明における「触媒付きすすフィルター(10)」は本件補正発明における「モノリシックウォールフローフィルター触媒物品」と上記(ア)及び(イ)の限りにおいて一致する「モノリシックウォールフローフィルター触媒物品」という限りにおいて一致する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「 軸方向長さL、直径D、及び体積を有し、軸方向長さを規定する前部、上流端及び後部、下流端、所定のL/Dで規定されるアスペクト比を含む基材、及び 基材上に配置され、第一の吸着剤組成物、酸化触媒組成物、及び任意に第二の吸着剤組成物を含む機能性コーティング組成物 を含み、且つ 第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、ャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含み、且つ 第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ 第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び卑金属は、分子ふるいのイオン交換部位に存在する、 モノリシックウォールフローフィルター触媒物品。」 【相違点】 基材の所定のL/Dで規定されるアスペクト比について、本件補正発明は、「約2から約20」であるのに対し、引用発明は、「約1.06」である点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 本件補正発明と引用発明は、内燃機関の排気ガス流中の汚染物質を削減するという共通する課題を有し、触媒組成物を運転(触媒)温度まで速く加熱することについても例を挙げるまでもなく当該技術分野において周知の共通する課題であるところ、相違点に係る本件補正発明においてL/Dで規定されるアスペクト比の数値範囲の臨界的意義について検討する。 本件補正発明におけるL/Dで規定されるアスペクト比が「約2から約20」であることについて、本願明細書には、段落【0032】において「実施形態2:アスペクト比が約1、約2、約3、約4、約5又は約6から約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、又は約20である、先行する実施形態のモノリシックウォールフローフィルター触媒物品。」、また、段落【0154】において「本開示において有用なウォールフローフィルター物品基材は、通常、約1から約20、例えば約1.0、約2.0、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0又は約5.5から約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約11.0、約12.0、約13.0、約14.0、約15.0、約16.0、約17.0、約18.0、約19.0又は約20.0のアスペクト比(長さ/直径又はL/D)を有する。アスペクト比とは、フィルターの長さの直径に対する比を意味する。例えば、本発明のウォールフローフィルター物品基材は、約3から約10のアスペクト比を有し得る。高いアスペクト比により、ウォールフローフィルターをエンジンに近い密結合位置に取り付けることができる。これにより、触媒組成物の高速加熱が可能になり、排気ガスは、例えば床下位置など、エンジンからより遠く離れた場所にある場合よりも速く、触媒組成物を運転(触媒)温度まで加熱する。」と記載されているまでであり、本件補正発明においてL/Dで規定されるアスペクト比の数値範囲の「約2から約20」とその数値範囲外の例えば「約1」の場合におけるそれぞれの効果について、量的に顕著な差異があると認めるに足りる根拠となる開示があるとは認められない。 そうすると、相違点に係る本件補正発明においてL/Dで規定されるアスペクト比の数値範囲の「約2から約20」については、臨界的意義があるとは認められず、引用発明において、当業者が通常の創作能力の発揮により、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することにより、容易に想到し得るものである。 また、本件補正発明の効果については、引用発明に基いて、当業者が予測し得る程度のものである。 (5)審判請求人の審判請求書における主張の検討 ア 審判請求人の審判請求書における主張の内容 審判請求人は、審判請求書において、原査定において引用文献1として拒絶の理由に引用された上記特開2013-99748号公報に記載された発明に基く本件補正発明への容易想到性について、以下のように主張している(注:下線は当審において付した。)。 「 本願発明は、「前記第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含」むという特徴的構成、及び「前記第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ前記第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び前記卑金属は、前記分子ふるいのイオン交換部位に存在する」という特徴的構成を有するものです。 従来技術では、内燃機関の排気を処理するために使用される触媒組成物は、エンジン運転初期の低温始動期間など、比較的低温の運転期間中は、効果が低いものでした。なぜなら、エンジン排気が、排気中の有害成分を効率的に触媒転化するのに十分高い温度ではないからです。本願発明は従来技術の有するこのような問題を解決可能なものです。 本願発明は、「約2から約20のL/Dで規定されるアスペクト比を含む基材」という特徴的構成を有しています。ここでアスペクト比とは、フィルターの長さの直径に対する比を意味するものです。低アスペクト比は、エンジンマニホルドに密接に結合することができる触媒物品を提供し、運転温度に到達するためのより急速な温度上昇を可能にします。一方、高いアスペクト比により、ウォールフローフィルターをエンジンに近い密結合位置に取り付けることができます。これにより、触媒組成物の高速加熱が可能になり、排気ガスは、例えば床下位置など、エンジンからより遠く離れた場所にある場合よりも速く、触媒組成物を運転(触媒)温度まで加熱するものです。 ii)請求項1の発明と引用文献との対比 拒絶理由では、請求項1の発明は、引用文献1に基づいて容易に想到できたものであると指摘されています。しかしながら、本願発明は、「前記第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含」むという特徴的構成、及び 「前記第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ前記第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び前記卑金属は、前記分子ふるいのイオン交換部位に存在する」という特徴的構成を合わせ有するものです。 本願発明の特徴的構成、及びこれにより奏される優れた効果は引用文献には示されておらず、示唆も有りません。従いまして本願発明は、引用文献に対して進歩性を有していると思料します。」(審判請求書第3ページないし第4ページ) イ 上記アの主張に対する検討 上記(4)のとおり、相違点に係る本件補正発明においてL/Dで規定されるアスペクト比の数値範囲の臨界的意義について、本願明細書の記載を参照してみても、その数値範囲の内外のそれぞれの効果について、量的に顕著な差異があると認めるに足る根拠となる開示があるとは認められず、また、上記アの主張において、特に下線を付した効果に関する主張を参酌しても、上記数値範囲の内外のそれぞれの効果について、量的に顕著な差異があると認めるに足る根拠となるものとは認められない。 したがって、審判請求人の上記アの審判請求書に記載された主張は失当であって採用することはできない。 (6)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし28に係る発明は、令和4年10月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、 ●理由2(進歩性)この出願の請求項1ないし28に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 というものである。 引用文献1:特開2013-099748号公報 引用文献2:特表2012-515087号公報 引用文献3:特開2009-162161号公報 引用文献4:特開2014-020310号公報 引用文献5:特表2014-508880号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2-2(2)アに記載したとおりである。 4 対比・判断 (1)対比 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における「第一の吸着剤組成物」について「 前記第一の吸着剤組成物が、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト及びベータゼオライトからなる群から選択されるゼオライトを含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、銅及び鉄から成る群から選ばれる卑金属を含み、且つ 前記第一の吸着剤組成物が、分子ふるいを含み、及び前記卑金属は、前記分子ふるいのイオン交換部位に存在する」という事項を削除したものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、上記第2の[理由]2(3)アに記載した対比と同様に対比すると、次の点で一致し、上記第2の[理由]2(3)イの【相違点】と同様な点で相違する。 【一致点】 「 軸方向長さL、直径D、及び体積を有し、軸方向長さを規定する前部、上流端及び後部、下流端、所定のL/Dで規定されるアスペクト比を含む基材、及び 基材上に配置され、第一の吸着剤組成物、酸化触媒組成物、及び任意に第二の吸着剤組成物を含む機能性コーティング組成物 を含む、モノリシックウォールフローフィルター触媒物品。」 (2)判断 そして、相違点に係る本願発明の特定事項のように構成することについては、上記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者であれば容易になし得るものである。 また、本願発明の効果の予測性についても、上記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が予測し得る程度のものである。 (3)小括 したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-008884

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