特許拒絶査定不服審判
2017-017480
遊技情報表示装置
- 審判番号
- 2017-017480
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-026342外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月27日
- 審決日
- 2018年08月06日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】三林 大介
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-26342号「遊技情報表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年8月24日出願公開、特開2017-143915号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年2月15日の出願であって、平成29年2月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月7日付け(発送日:同年9月12日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成30年1月15日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
平成30年3月22日付け手続補正は、補正前の平成29年11月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~2のうち、請求項2を削除するものであるので、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
そして、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年3月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「A 遊技者にとって有利な特別状態を有する遊技機と共に設けられ、該遊技機に関する情報を表示する表示部を有する遊技情報表示装置であって、
B 前記遊技機で行われる遊技の進行に伴って、該遊技機から出力される遊技進行情報を取得する遊技進行情報取得手段と、
C 前記遊技進行情報に基づいて、前記遊技機での特別状態の発生期待度を推定する発生期待度推定手段と、
D 前記発生期待度の推定結果に応じて、前記表示部の表示態様を変更する表示制御手段と
を備え、
E 前記表示制御手段は、前記表示部に表示される前記遊技機に関する情報を所定の操作部の操作に応じて切り替えることで前記遊技機に関する各種情報を表示させるとともに、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立すると、該遊技機に関する情報に変えて、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行するものであり、
F 前記操作部の操作が行われてから、所定時間が経過するまでは、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立しても、前記表示制御手段が前記表示演出を実行させることを制限する制限手段を備える
ことを特徴とする遊技情報表示装置。」(A~Fは、当審にて分説して付与した。)
3 刊行物に記載された発明
平成30年1月15日付け最後の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-75297号公報には、次の事項が記載されていると認められる(下線は当審にて付与した。)。
・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】
この発明は、ぱちんこ遊技機などの遊技機のうち、図柄変動をおこなう遊技機に対して演出をおこなう、演出制御装置、遊技媒体貸出装置、遊技機用呼出ランプ、演出制御方法、演出制御プログラムに関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術や従来の技術では、大当たり時や確変時のみにしか呼出ランプを用いた演出をおこなうことができず、すなわち、図柄変動中などの通常の遊技状態において、呼出ランプ等を用いた演出をおこなうことができないといった問題があった。また、近年の遊技機は、演出において多彩な画面演出が用意されている。このような多彩な画面演出が遊技機に用意されているにもかかわらず、それらを呼出ランプ等の他の装置にて有効に活用できていないといった問題があった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、遊技機の画面演出に応じて、当該画面演出を引き立てる演出をおこなうことのできる演出制御装置、遊技媒体貸出装置、遊技機用呼出ランプ、演出制御方法、演出制御プログラムを提供することを目的とする。」
ウ 「【0029】
遊技機210は、ホールHに設置される、ぱちんこ遊技機である。この遊技機210は、リーチ演出をおこなう遊技機であり、いわゆるデジパチタイプのものである。デジパチタイプの遊技機210は、具体的には、始動入賞口と、液晶や役物などの図柄表示部と、大入賞口などの可動入賞部を備え、始動入賞口への入賞を起点に図柄や役物による演出がおこなわれ、大当たりとなった際には可動入賞部が所定回数開放する機種を指す。
・・・
【0031】
また、遊技機210は、遊技の進行にともなって発生する遊技情報を遊技媒体貸出装置220に送信する機能を有している。遊技情報は、遊技球の始動入賞、図柄の変動開始、図柄の確定、大当たりの発生、確率変動状態の発生、スタート回数などを示す情報などのほか、発射された遊技媒体の数(アウト玉数)や、遊技機210が払い出した遊技媒体の数(セーフ玉数)などを示す情報である。なお、遊技機210が送信する遊技情報には、リーチ演出内容の情報は含まれない。
【0032】
遊技媒体貸出装置220は、それぞれ隣接する遊技機210と一対一で設置/接続されており、遊技機210の遊技に使用される遊技球などの遊技媒体を貸し出すコンピュータ装置である。なお、遊技媒体貸出装置220は、本発明の演出制御装置に相当する。具体的には、遊技媒体貸出装置220は、遊技機210から送信される始動入賞信号または図柄確定信号に基づいて、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合に、呼出ランプ230を点滅させたり、遊技媒体貸出装置220のディスプレイから所定の演出画面を表示させたりする機能を有している。」
エ 「【0037】
(遊技媒体貸出装置220の外観)
つぎに、図3を用いて、本実施の形態にかかる遊技媒体貸出装置220の外観について説明する。図3は、遊技媒体貸出装置220の一例を示す外観図である。図3において、遊技媒体貸出装置220は、紙幣投入口301と、ディスプレイ302と、操作ボタン303と、会員カード投入口304と、精算コイン投入口305と、精算コイン返却口306と、第1のアンテナ307と、第2のアンテナ308と、液晶ディスプレイ309とを備えている。
・・・
【0042】
液晶ディスプレイ309は、ガイドレール309aが設けられており、当該ガイドレール309aと遊技媒体貸出装置220の筐体に設けられた不図示のガイドレールとで構成されるスライド機構により、収納自在にスライドする構成になっている。この液晶ディスプレイ309は、たとえば、テレビ映像、当日や前日などの遊技情報、スタート回数の情報、飲食サービスなどの情報を表示することが可能になっている。なお、上述したディスプレイ302を設けずに、液晶ディスプレイ309に、ディスプレイ302に表示させる情報、すなわち、紙幣投入口301に投入された紙幣の投入金額やポイント情報などを表示してもよい。」
オ 「【0044】
CPU401は、遊技媒体貸出装置220全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、演出制御プログラム、予定変動回数計測プログラム、演出内容特定プログラムなどのプログラムを記録している。演出制御プログラムは、通信I/F410により遊技機210から受信した始動入賞信号または図柄確定信号に基づいて、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合に、呼出ランプ230を点滅させるための信号や、液晶ディスプレイ309に所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を出力させるプログラムである。
・・・
【0046】
演出内容特定プログラムは、通信I/F410により遊技機210から受信した始動入賞信号または図柄確定信号に基づいて、図柄変動の開始から終了までの時間である図柄変動所要時間を算出するとともに、算出した図柄変動所要時間を用いて、後述するリーチテーブルからリーチ演出内容を特定するプログラムである。
・・・
【0050】
ディスプレイ302(液晶ディスプレイ309)には、アイコン、カーソル、メニュー、ウィンドウ、または文字や画像などの各種データが表示される。具体的には、スーパーリーチである旨を示す情報、紙幣投入口301に投入された紙幣の投入金額やポイント情報、テレビ映像、当日や前日などの遊技情報、スタート回数の情報、飲食サービスなどの情報などが表示される。」
カ 「【0061】
図5に戻り、受信部503は、遊技機210から、遊技球が始動入賞口に入賞した際に送信される始動入賞信号、または図柄が確定した際に送信される図柄確定信号を受信する。なお、これら始動入賞信号および図柄確定信号は、遊技情報に含まれる。受信部503は、図4に示した通信I/F410によって実現される。
【0062】
計時部504は、受信部503が受信した始動入賞信号または図柄確定信号に基づいて、図柄変動時間を計時する。計時部504によって計時される図柄変動時間は、詳細については後述するが、具体的には、始動入賞信号を受信してから現在までの時間、または、前回の図柄確定信号を受信してから現在までの時間である。計時部504は、図4に示したCPU401によって実現される。詳細には、計時部504は、CPU401に内蔵されるタイマーによって実現される。」
キ 「【0110】
図9-2において、呼出ランプ230は、遊技機210の上部に配置されている。この呼出ランプ230は、データ表示部921と、発光部922とからなる。データ表示部921は、たとえば、スタート回数と、大当たり確率と、大当たり回数とが表示されている。スタート回数は、前回の大当たりからの図柄変動回数を示している。大当たり確率は、当日の全図柄変動回数に対する大当たりの割合を示したものである。大当たり回数は、当日の大当たりの回数を示したものである。なお、データ表示部921には、不図示の選択ボタンが設けられており、遊技者が操作することにより、たとえば、前日や直近3日間の大当たり回数、確変回数、大当たり確率などのほか、過去最高の大当たり回数、大当たり間を棒グラフにて示した棒グラフデータなどを表示することも可能である。
・・・
【0116】
図9-3において、液晶ディスプレイ309の表示画面930は、遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨の情報を表示した画面を示している。この演出は、たとえば、液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望するデータ情報や飲食サービスなどの情報等の表示画面が表示されていないときに表示される。なお、液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する表示画面が表示されている際には、画面の下方や上方などの隅に、同様の文字情報の表示をおこなってもよい。また、表示画面930には、文字によりスーパーリーチが発生している旨を表示しているが、これに限られるものではなく、スーパーリーチが発生している旨を示すマークや記号を表示させたり、画面の背景を点滅させたりして、画面の表示形式を通常の表示形式と異ならせるようにしてもよい。
【0117】
また、ここでは、規定の時間として60秒経過した場合に、液晶ディスプレイ309に文字情報を表示させるようにしているが、これに加え、たとえば、75秒経過した場合に、文字を大きくさせ、90秒経過した場合に、文字の色を黒色から赤色に変更するなどして、スーパーリーチの長さに応じて、すなわち、大当たりの期待度に応じて、期待感を高めるように、液晶ディスプレイ309による表示形式を異ならせるようにしてもよい。」
ク 「【0154】
グラフ1600は、たとえば、遊技者からの遊技媒体貸出装置220の操作ボタン303等に対する操作により、スーパーリーチのグラフ表示が選択されると、液晶ディスプレイ309から表示出力される。このようなグラフ1600を表示することにより、遊技者は、どの程度スーパーリーチが発生しているかを一目で確認することができ、遊技する台の選択などに役立てることができる。」
・認定事項
ケ 【0050】に「…液晶ディスプレイ309…には、スーパーリーチである旨を示す情報、…当日や前日などの遊技情報、スタート回数の情報、飲食サービスなどの情報などが表示される。」と記載され、
【0044】に「CPU401は、遊技媒体貸出装置220全体の制御を司る。…遊技機210から受信した始動入賞信号または図柄確定信号に基づいて、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合に、…液晶ディスプレイ309に所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を出力させる」と記載され、
【0117】に「…規定の時間として60秒経過した場合に、液晶ディスプレイ309に文字情報を表示させるようにしている…」と記載され、
【0154】に「遊技者からの遊技媒体貸出装置220の操作ボタン303等に対する操作により、スーパーリーチのグラフ表示が選択されると、液晶ディスプレイ309から表示出力される。」と記載されている。
さらに、【0110】に、遊技機210の上部に配置されている「呼出ランプ230」の「データ表示部921」に関してではあるが、「データ表示部921には、不図示の選択ボタンが設けられており、遊技者が操作することにより、たとえば、前日や直近3日間の大当たり回数、確変回数、大当たり確率などのほか、過去最高の大当たり回数、大当たり間を棒グラフにて示した棒グラフデータなどを表示することも可能である。」ことが記載されている。
これらの記載からみて、CPU401は、「液晶ディスプレイ309」に表示される「情報」のうち、「スーパーリーチである旨を示す情報」については、所定の条件が成立した場合に表示する制御を行い、その外の「当日や前日などの遊技情報」、「スタート回数の情報」、「飲食サービスなどの情報」については、「スーパーリーチのグラフ」と同様、遊技者が操作ボタン303を操作することにより、表示されていた情報に換えて表示する制御を行うものであるといえる。
したがって、刊行物には、CPU401が、液晶ディスプレイ309に、「当日や前日などの遊技情報」、「スタート回数の情報」、「飲食サービスなどの情報」を、遊技者が操作ボタン303を操作することにより、それまで表示されていた情報に換えて表示させ、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間(60秒)以上である場合に、所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を、それまで表示されていた情報に換えて表示させることが記載されていると認められる。
コ 上記ア~クの記載事項、及び、上記ケの認定事項を踏まえると、刊行物には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる(a~fは、本願発明のA~Fに対応させて付与した。)。
「a 隣接する、大当たりとなることのある遊技機210と一対一で設置/接続され(【0029】、【0032】)、
当日や前日などの遊技情報、スタート回数の情報、飲食サービスなどの情報を表示可能な液晶ディスプレイ309を備える遊技媒体貸出装置220(【0037】、【0042】)であって、
b 遊技機210から、遊技の進行にともなって発生する、遊技球の始動入賞、図柄の変動開始、図柄の確定、大当たりの発生、確率変動状態の発生、スタート回数などを示す情報などの遊技情報を受信する受信部503(【0031】、【0061】)と、
c 始動入賞信号を受信してから現在までの図柄変動時間を計時する、時間計時部504(【0062】)を備え、
d ROM402に記録されている演出内容特定プログラムにより、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合に、液晶ディスプレイ309に所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を出力するCPU401(【0044】)とを備え、
e CPU401は、
液晶ディスプレイ309に、「当日や前日などの遊技情報」、「スタート回数の情報」、「飲食サービスなどの情報」を、遊技者が操作ボタン303を操作することにより、それまで表示されていた情報に換えて表示させ、図柄変動時間が予め設定されている規定の時間(60秒)以上である場合に、所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を、それまで表示されていた情報に換えて表示させ(認定事項ケ)、
規定の時間として60秒経過した場合に、液晶ディスプレイ309に文字情報を表示させることに加え、75秒経過した場合に、文字を大きくさせ、90秒経過した場合に、文字の色を黒色から赤色に変更するなどして、スーパーリーチの長さに応じて、すなわち、大当たりの期待度に応じて、期待感を高めるように、液晶ディスプレイ309による表示形式を異ならせ(【0117】)、
f 液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する表示画面が表示されていないときに、遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨を示す映像を表示する(【0044】、【0116】)
遊技媒体貸出装置220。」
4 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明における「大当たり」、「当日や前日などの遊技情報、スタート回数の情報」、「液晶ディスプレイ309」は、それぞれ、本願発明における「遊技者にとって有利な特別状態」、「遊技機に関する情報」、「表示部」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「遊技媒体貸出装置220」は、本願発明における構成Aの「遊技情報表示装置」に相当する。
(b)刊行物発明における「遊技機210から」出力される「遊技の進行にともなって発生する、遊技球の始動入賞、図柄の変動開始、図柄の確定、大当たりの発生、確率変動状態の発生、スタート回数などを示す情報」は、本願発明における「遊技機で行われる遊技の進行に伴って、該遊技機から出力される遊技進行情報」に相当する。
そして、刊行物発明における「受信する」ことは、本願発明における「取得する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「受信部503」は、本願発明における構成Bの「遊技進行情報取得手段」に相当する。
(c)刊行物発明における「始動入賞信号」は、本願発明における「遊技進行情報」に相当する。
そして、刊行物発明における「始動入賞信号を受信してから現在までの図柄変動時間」に対応する「スーパーリーチの長さ」に関して、構成eに「スーパーリーチの長さに応じて、すなわち、大当たりの期待度に応じて、期待感を高めるように、液晶ディスプレイ309による表示形式を異ならせ」ることが特定されている。
したがって、刊行物発明における「始動入賞信号を受信してから現在までの図柄変動時間を計時する」ことは、本願発明における「遊技機での特別状態の発生期待度を推定する」ことに相当する。
よって、刊行物発明における構成cの「時間計時部504」は、本願発明における構成Cの「発生期待度推定手段」に相当する。
(d)刊行物発明における「図柄変動時間」は、構成eによると、その「長さ」が「大当たりの期待度」を表すものであることから、本願発明における「発生期待度」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合」は、本願発明における「発生期待度の推定結果に応じ」た「条件」の「成立」に相当する。
刊行物発明における「液晶ディスプレイ309に所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を出力する」ことは、本願発明における「表示部の表示態様を変更する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成dの「CPU401」は、本願発明における構成Dの「表示制御手段」としての機能を有する。
(e)刊行物発明における「液晶ディスプレイ309」に「表示させ」る「当日や前日などの遊技情報」、「スタート回数の情報」は、本願発明における「表示部に表示される遊技機に関する情報」、及び、「遊技機に関する各種情報」に相当する。
そして、刊行物発明における「遊技者が操作ボタン303を操作することにより、それまで表示されていた情報に換えて表示させ」ることは、本願発明における「所定の操作部の操作に応じて切り替えることで」「表示させる」ことに相当する。
また、刊行物発明における「所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)」は、本願発明における「発生期待度の推定結果に応じた表示演出」に相当することから、刊行物発明における「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間(60秒)以上である場合に、所定の映像(スーパーリーチがおこなわれている旨を示す映像)を、それまで表示されていた情報に換えて表示させ」ることは、本願発明における「発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立すると、該遊技機に関する情報に変えて、発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eは、本願発明における構成Eに相当する。
(f)刊行物発明において、「遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨を示す映像を表示する」のは、「液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する表示画面が表示されていないとき」であることから、刊行物発明は、構成eにより特定される「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間(60秒)以上である場合」となったとしても、「遊技者が所望する表示画面が表示されて」いるという条件が成立している間は、「遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨を示す映像を表示する」ことが制限されているといえる。
したがって、刊行物発明における「液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する表示画面が表示されていないときに、遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨を示す映像を表示する」ことと、本願発明における「操作部の操作が行われてから、所定時間が経過するまでは、発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立しても、表示制御手段が表示演出を実行させることを制限する制限手段を備える」こととは、「所定条件が成立るまでは、発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立しても、表示制御手段が表示演出を実行させることを制限する制限手段を備える」ことで共通する。
上記(a)~(f)における対比から、本願発明と刊行物発明とは、
「A 遊技者にとって有利な特別状態を有する遊技機と共に設けられ、該遊技機に関する情報を表示する表示部を有する遊技情報表示装置であって、
B 前記遊技機で行われる遊技の進行に伴って、該遊技機から出力される遊技進行情報を取得する遊技進行情報取得手段と、
C 前記遊技進行情報に基づいて、前記遊技機での特別状態の発生期待度を推定する発生期待度推定手段と、
D 前記発生期待度の推定結果に応じて、前記表示部の表示態様を変更する表示制御手段と
を備え、
E 前記表示制御手段は、前記表示部に表示される前記遊技機に関する情報を所定の操作部の操作に応じて切り替えることで前記遊技機に関する各種情報を表示させるとともに、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立すると、該遊技機に関する情報に変えて、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行するものであり、
F’所定条件が成立するまでは、前記発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立しても、前記表示制御手段が前記表示演出を実行させることを制限する制限手段を備える
遊技情報表示装置。」
の点で一致し、構成Fに関し、次の点で相違する。
[相違点](構成Fについて)
制限手段により表示演出の実行を制限させる条件に関して、本願発明は、操作部の操作が行われてから、所定時間が経過するまでという条件であるのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えるか明らかでない点。
5 当審の判断
(1)相違点について
上記相違点について検討する。
遊技機の技術分野において、遊技者が、遊技台の選定をするための所望する遊技情報を容易に得られるように、遊技機に付属する表示部に、遊技者が操作部を操作することにより、所望の情報を表示可能とし、当該情報の表示を所定時間保持させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2001-62075号公報の【0002】、【0004】~【0006】、【0054】、【図2】には、遊技者が、遊技機を選択する際の参考となる遊技情報を得られるように、パチンコ機2の上部に設けた表示ユニット9に、データボタン55を1回操作することで前日の遊技情報を所定時間表示させ、所定時間内に再度データボタン55を操作することで前々日の遊技情報を所定時間表示させることが記載され、
特開2008-194147号公報の【0026】、【0032】、【0044】、【0051】、【図4】には、遊技者が、優秀台を選ぶための所望する遊技データを容易に視ることができるように、パチンコ機2の上部に設けられているデータ表示部30に、切換ボタン38を操作することにより表示された過去10回から過去19回の大当り間スタート回数の棒グラフ、及び、過去20回から過去29回の大当り間スタート回数の棒グラフの表示を所定時間保持することが記載されている。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、遊技機に付属する表示部に遊技者の所望する遊技情報を表示する構成を備える点で共通する。
また、刊行物発明は、液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する遊技情報を表示するものである。さらに、刊行物の【0154】に、スーパーリーチのグラフを液晶ディスプレイ309に表示することにより、「遊技者は」、「遊技する台の選択などに役立てることができる。」と記載されている。
したがって、刊行物発明は、遊技者が遊技台を選択するための所望する遊技情報を容易に得られるという効果を奏するものである。
ゆえに、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、遊技者が、遊技台の選定をするための所望する遊技情報を容易に得られるという共通の効果を奏するものである。
よって、刊行物発明における、CPU401による液晶ディスプレイ309での遊技情報の表示制御の技術に上記周知の技術事項を適用して、「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合」であっても、「遊技者が操作ボタン303を操作することにより」表示される、遊技者が所望する「遊技情報」の表示を、操作ボタン303の操作後の所定時間保持させるように制御し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(2)請求人の主張について
平成30年3月22日付け意見書において、請求人は、「3.本願が特許されるべき理由」と題して、「(3)ところが、本願の遊技情報表示装置では、操作部を操作することによって、表示部に表示される遊技機に関する各種情報を切り替えられるようになっています。そして、本願の明細書の段落0091に記載されているように、操作部の操作によって表示部に表示されている各種情報が切り替えられたと言うことは、遊技者が遊技機に関する情報を確認したいと思っている可能性が高いと考えられ、この場合は、表示部の表示を直ちに表示演出に切り替えると遊技者が不都合を感じる数少ない例外となり得ます。
そこで、本願の遊技情報表示装置では、操作部の操作が行われてから、所定時間が経過するまでは、発生期待度の推定結果に応じた表示演出を実行する条件が成立しても、表示演出を開始しないことによって、遊技者が不都合を感じないようにしているのです。
(4)こうした点は、引用文献1には全く記載がありません。また、如何に当業者と言えども、何の記載も無い引用文献1から容易に想到し得たとは考えられません。」(第2頁下11~下1行)と主張する。
そこで、請求人の上記主張について検討する。
刊行物発明は、液晶ディスプレイ309に、遊技者が所望する表示画面が表示されていないときに、遊技機210においてスーパーリーチが発生している旨を示す映像を表示するものであって、「遊技者が所望する表示画面が表示されて」いるときには、「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合」(構成d)であっても、その遊技情報の表示を優先する表示制御を行うものであって、「スーパーリーチが発生している旨を示す映像」の表示に、直ちに切り換える表示制御を行うものではない。
そして、上記(1)において示したように、遊技機に付属する表示部に、遊技者が操作部を操作することにより所望の情報を表示した場合、当該情報の表示を所定時間保持させることは、本願出願前に周知の技術事項である。
さらに、上記(1)において検討したように、刊行物発明における液晶ディスプレイ309での遊技者が所望する遊技情報の表示に上記周知の技術事項を適用して、「図柄変動時間が予め設定されている規定の時間以上である場合」であっても、「遊技者が操作ボタン303を操作することにより」表示される「遊技情報」の表示を、操作ボタン303の操作後の所定時間保持するように表示制御を行い、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。
(3)小括
本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び上記周知の技術事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本願発明は、刊行物発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-017480