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特許拒絶査定不服審判

2017-017334

サイクロトロン

審判番号
2017-017334
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-179441外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年11月22日
審決日
2018年10月10日
公報発行日
2019年01月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-Z (H05H) / P18 .561-Z (H05H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-179441「サイクロトロン」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月27日出願公開、特開2014- 38738〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年8月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年 6月 3日  :手続補正書 平成27年11月19日付け:拒絶理由通知書 平成28年 1月21日  :意見書、手続補正書の提出 平成28年 6月 9日付け:拒絶理由通知書 平成28年 8月18日  :意見書、手続補正書の提出 平成29年 1月18日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 平成29年 3月24日  :意見書、手続補正書の提出 平成29年 8月10日付け:平成29年3月24日に提出された手続 補正書による補正についての補正の却下 の決定、拒絶査定(同年8月22日送達) 平成29年11月22日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 平成29年11月22日に提出された手続補正書による補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年11月22日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「荷電粒子を加速させるための加速空間を挟んで設けられた一対の磁極と、 前記加速空間の一部をなす空洞を有しており、高周波の交流電流が付与されることで加速空間に電場を発生させるディ電極と、を有し、 前記荷電粒子を前記加速空間内において渦巻き状の周回軌道を描きながら加速し、引出軌道を介して外部へ出力するサイクロトロンであって、 前記周回軌道上の前記荷電粒子のビームを前記周回軌道における径方向外側へ移動させるリジェネレータと、 前記周回軌道における周方向において少なくとも一部が前記リジェネレータと同じ位置に設けられ、且つ、前記リジェネレータよりも前記径方向外側に設けられていると共に、前記リジェネレータにより前記径方向外側へ移動させられた前記ビームを前記引出軌道へ乗せるマグネティックチャンネルと、を備え、 前記リジェネレータは、前記一対の磁極間の中央に位置するメディアンプレーンを挟むように対向する一対のリジェネレータ用磁性部材を備え、 前記リジェネレータ用磁性部材は、磁性材料からなると共に、前記径方向外側に向かうに従って前記メディアンプレーンに近づく部分を有すると共に、前記メディアンプレーンに最も近づく頂部を有する第1の部分を備え、 前記リジェネレータ用磁性部材は、前記径方向外側の端部に第1の側面を有し、 前記第1の側面は、前記頂部と前記径方向外側に隣接し、前記メディアンプレーンと垂直をなして当該メディアンプレーンの反対側へ向かって、前記頂部から前記磁極まで延び、且つ、前記第1の部分の前記径方向外側の終端部を構成し、 前記第1の部分は、前記頂部よりも径方向内側に第2の側面を有し、 前記メディアンプレーンと直交する方向を直交方向とした場合、 前記頂部と、前記メディアンプレーンに対して当該頂部側の前記磁極における表面であって前記頂部から前記直交方向へ延伸する直線上に位置して前記メディアンプレーンと対向する平面と、の間の前記直交方向における中心位置を設定した場合、前記第2の側面は、前記直交方向において前記中心位置よりも前記頂部側の位置から、前記メディアンプレーンと垂直をなして当該メディアンプレーンの反対側へ向かって、前記中心位置を超えて前記平面側まで延び、且つ、前記第1の部分の前記径方向内側の終端部を構成し、 前記マグネティックチャンネルは、前記リジェネレータ用磁性部材の前記径方向外側に配置されるマグネティックチャンネル用磁性部材を備え、 前記リジェネレータと前記マグネティックチャンネルとが前記径方向において最も近接する位置において前記周方向から見たときに、 前記頂部の前記径方向における中心であって前記メディアンプレーンに直交する中心線と、前記第1の部分の前記径方向内側の前記終端部に設定される第1の基準位置と、の間の前記径方向における距離を第1の距離とし、 前記中心線と、前記第1の部分の前記径方向外側の前記終端部に設定される第2の基準位置と、の間の前記径方向における距離を第2の距離とし、 前記中心線と、前記マグネティックチャンネル用磁性部材の前記径方向内側の端部との間の前記径方向における距離を第3の距離とした場合、 前記第1の距離は、前記第2の距離よりも大きく、且つ、前記第3の距離よりも大きいことを特徴とするサイクロトロン。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成28年8月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(平成29年3月24日に提出された手続補正書による補正は却下されている。)。 「荷電粒子を加速させるための加速空間を挟んで設けられた一対の磁極と、 前記加速空間の一部をなす空洞を有しており、高周波の交流電流が付与されることで加速空間に電場を発生させるディ電極と、を有し、 前記荷電粒子を前記加速空間内において渦巻き状の周回軌道を描きながら加速し、引出軌道を介して外部へ出力するサイクロトロンであって、 前記周回軌道上の前記荷電粒子のビームを前記周回軌道における径方向外側へ移動させるリジェネレータと、 前記周回軌道における周方向において少なくとも一部が前記リジェネレータと同じ位置に設けられ、且つ、前記リジェネレータよりも前記径方向外側に設けられていると共に、 前記リジェネレータにより前記径方向外側へ移動させられた前記ビームを前記引出軌道へ乗せるマグネティックチャンネルと、を備え、 前記リジェネレータは、前記一対の磁極間の中央に位置するメディアンプレーンを挟むように対向する一対のリジェネレータ用磁性部材を備え、 前記リジェネレータ用磁性部材は、磁性材料からなると共に、前記径方向外側に向かうに従って前記メディアンプレーンに近づく部分を有すると共に、前記メディアンプレーンに最も近づく頂部を有する第1の部分を備え、 前記マグネティックチャンネルは、前記リジェネレータ用磁性部材の前記径方向外側に配置されるマグネティックチャンネル用磁性部材を備え、 前記リジェネレータと前記マグネティックチャンネルとが前記径方向において最も近接する位置において前記周方向から見たときに、 前記頂部の前記径方向における中心であって前記メディアンプレーンに直交する中心線と、前記第1の部分の前記径方向内側の終端部に設定される第1の基準位置と、の間の前記径方向における距離を第1の距離とし、 前記中心線と、前記第1の部分の前記径方向外側の終端部に設定される第2の基準位置と、の間の前記径方向における距離を第2の距離とし、 前記中心線と、前記マグネティックチャンネル用磁性部材の前記径方向内側の端部との間の前記径方向における距離を第3の距離とした場合、 前記第1の距離は、前記第2の距離よりも大きく、且つ、前記第3の距離よりも大きいことを特徴とするサイクロトロン。」 2 出願当初の明細書及び図面の記載内容 出願当初の明細書には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 ア 「【0004】 ここで、近年、サイクロトロンの小型化が要求されている。例えば、サイクロトロンから出射されたビームは、がん細胞の治療などを行うための荷電粒子線治療装置などに用いられるが、このような治療装置の小型化が望まれていることに伴い、サイクロトロンの小型化も要求されている。しかしながら、サイクロトロンを小型化した場合、リジェネレータを通過するビームの周回軌道と、当該リジェネレータと径方向外側に隣り合うマグネティックチャンネルを通過するビームの引出軌道とが近接してしまう。このような場合、リジェネレータで作られる高い磁場がマグネティックチャンネルで作られる磁場に干渉することによって、マグネティックチャンネルを通過するビームの引き出しが良好に行えない可能性がある。一方、マグネティックチャンネルで作られる磁場がリジェネレータで作られる磁場に干渉することによって、共鳴状態が破壊され、ビームを径方向外側へ良好に移動させることができない可能性がある。従って、荷電粒子のビームを精度よく引き出すためには、リジェネレータとマグネティックチャンネルとを径方向においてある程度離間させる必要があり、サイクロトロンの小型化を図ることが困難であるという問題があった。 【0005】 本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、小型化を図ると共に、ビームを精度良く引き出すことのできるサイクロトロンを提供することを目的とする。」 イ 「【0007】 本発明に係るサイクロトロンによれば、リジェネレータのリジェネレータ用磁性部材は、径方向における外側に向かうに従ってメディアンプレーンに近づく部分を有すると共に、メディアンプレーンに最も近づく頂部を有する第1の部分を備えている。従って、径方向内側から頂部へ至るまでに、磁場が増加してゆく領域を形成することができ、当該領域に荷電粒子線のビームを通過させることで、当該ビームを径方向外側へ移動させることができる。一方、周方向から見たときに、頂部の径方向における中心線と、第1の部分の径方向内側の端部側に設定される第1の基準位置との間の距離を第1の距離とし、中心線と、第1の部分の径方向外側の端部側に設定される第2の基準位置との間の距離を第2の距離とした場合、第1の距離は、第2の距離よりも大きい。すなわち、頂部の中心線よりも径方向外側においては、リジェネレータ用磁性部材の部材量を少なく抑えた構成とすることで、頂部の中心線よりも径方向外側の領域の磁場を低下させることができる。これによって、マグネティックチャンネルを径方向内側へ配置することでリジェネレータに近づけたとしても、リジェネレータで作られる磁場が、マグネティックチャンネルによる荷電粒子のビームの引き出しに与える影響を抑制することができる。以上により、サイクロトロンの小型化を図ると共に、ビームを精度良く引き出すことができる。」 ウ 「【0009】 また、本発明に係るサイクロトロンにおいて、第1の基準位置は、頂部で作られる磁場に対して1/4より大きな磁場を作る位置に設定されることが好ましい。第1の部分の径方向内側の端部付近に、リジェネレータ用磁性部材の部材量が少なく、頂部付近の磁場に対する影響が少ない部分が存在していた場合、当該部分を第1の基準位置に設定するのではなく、頂部付近の磁場に対する影響が大きい部分に対して第1の基準位置を設定することができる。これによって、実質的な磁場の影響を考慮して第1の距離と第2の距離の比較を行うことができる。」 エ 「【0034】 第1の基準位置ST1及び第2の基準位置ST2は、リジェネレータ用磁性部材41Aの第1の部分42のうち、頂部44付近の磁場に対する影響が大きくなる部分の形状を考慮して設定されることが好ましい。本実施形態では、第1の部分42のうち、平面53に対応する磁性部材は薄く形成されているのに対して、平面54~57及び頂部44に対応する磁性部材は、大きくメディアンプレーンMP側に突出している。このように、大きく突出している部分は頂部44付近の磁場に対する影響が大きくなる。従って、本実施形態では、平面54の径方向内側に隣接する側面63の位置に第1の基準位置ST1を設定することが好ましい。径方向外側については、第1の部分42の径方向外側の端部である側面51の位置に、第2の基準位置ST2が設定される。 【0035】 第1の基準位置ST1を定める場合、頂部44の部分が作る磁場に対して1/4程度より大きな磁場を作る位置に設定することが好ましい。なお、第1の基準位置ST1は、荷電粒子のビームCが加速されるメディアンプレーンMP上における磁場の対比によって設定される。本実施形態では、頂部44の部分が作る磁場とは、メディアンプレーンMP上で最も大きくなる磁場である。すなわち、頂部44の部分が作る磁場とは、頂部44が作る磁場のうち、メディアンプレーンMP上でピークとなる位置における磁場である。なお、図4に示すように、第1の部分42に対しては、側面64、第1の部分42の端部、側面62に第1の基準位置ST1を設定し、図に示す距離d4,d5,d6を「第1の距離」とすることも可能である。ただし、磁場に対する影響を考慮して、側面63に第1の基準位置ST1を設定することがより好ましい。」 オ 「【0039】 まず、図6を参照して、比較例に係るサイクロトロンのリジェネレータ140について説明する。 【0040】 具体的には、図6における左上の図に示すように、比較例に係るリジェネレータ140のリジェネレータ用磁性部材141Aは、径方向外側へ向かうに従ってメディアンプレーンMPへ段階的に近づくと共に、最もメディアンプレーンMPに近づく頂部144を有する第1の部分142を備えている。この第1の部分142は、頂部144よりも径方向外側において、径方向外側へ向かうに従ってメディアンプレーンMPから段階的に遠ざかっている。この比較例においては、径方向内側の第1の基準位置ST1は第1の部分142の径方向内側の端部に設定され、径方向外側の第2の基準位置ST2は第1の部分142の径方向外側の端部に設定される。そして、頂部144の径方向における中心線CLと第1の基準位置ST1との間の距離をd1とし、中心線CLと第2の基準位置ST2との間の距離をd2とした場合、d1=d2の関係が成り立っている。なお、図6の左上の図に示すA-A線に沿った断面(ただし、サイクロトロンの中心軸を中心とする円弧状の面で切断した場合の断面となる)は、図6の右上の図に示される。リジェネレータ用磁性部材141Aは、周方向の両端側から中央へ向かうに従って段階的にメディアンプレーンMPに近づき、頂部144を有するような形状となる。リジェネレータ用磁性部材141Bも同趣旨の形状を有する。」 カ 「【0045】 一方、周方向から見たときに、頂部44の径方向における中心線CLと、第1の部分42の径方向内側の端部61側に設定される第1の基準位置ST1(ここでは側面63に設定される)との間の距離を第1の距離d1とし、中心線CLと、第1の部分42の径方向外側の端部51側に設定される第2の基準位置ST2(ここでは端部51に設定される)との間の距離を第2の距離d2とした場合、第1の距離d1は、第2の距離d2よりも大きいという関係が成り立つ。すなわち、頂部44の中心線CLよりも径方向外側においては、リジェネレータ用磁性部材41A,41Bの部材量を少なく抑えた構成とすることで、頂部44の中心線CLよりも径方向外側の領域の磁場を低下させることができる。これによって、第2マグネティックチャンネル20を径方向内側へ配置することでリジェネレータ40に近づけたとしても、リジェネレータ40で作られる磁場が、第2マグネティックチャンネル20による荷電粒子のビームCの引き出しに与える影響を抑制することができる。具体的には、図5のグラフのE3で示すように、磁場が最も高くなる地点から径方向外側へ向かうことで、急激に低下するような磁場を作ることが可能となっている。このため、第2マグネティックチャンネル20これによって、第2マグネティックチャンネル20でのビームCの引き出しを精度よく行うことができる。以上により、サイクロトロン1の小型化を図ると共に、ビームCを精度良く引き出すことができる。 【0046】 また、本実施形態に係るサイクロトロン1において、第1の基準位置ST1は、頂部44の部分が作る磁場に対して1/4より大きな磁場を作る位置に設定されている。具体的には、第1の部分42のうち、磁性部材の部材量が少なく、頂部22付近の磁場に対する影響が小さい平面52,53に対応する部分が存在していた場合、当該部分を第1の基準位置STに設定するのではなく、メディアンプレーンMPへ向かって大きく突出することで磁場に対する影響が大きくなっている平面54~57及び頂部44に対応する部分に対して、当該部分の径方向内側の端部である側面63の位置に第1の基準位置ST1を設定することができる。これによって、実質的な磁場の影響を考慮して第1の距離と第2の距離の比較を行うことができる。 【0047】 例えば、図11(a)に示すリジェネレータ用磁性部材541Aにおける第1の部分542は、図6の左上に示す形状のリジェネレータ用磁性部材541Aに対して、部材の厚さが薄い状態で径方向内側へ延びる部分を追加したものである。このリジェネレータ用磁性部材541Aは、径方向外側における領域は部材量が多い部分である一方、径方向内側における領域では、部材量が少なく薄い部分が径方向の内側へ向かって延びている。このような構成によって、第1の部分542の径方向内側の端部561と中心線CLとの間の距離は、中心線CLと径方向外側の第2の基準位置ST2との間の距離に比してかなり大きくなっている。しかしながら、部材量の少ない当該部分が、頂部544付近の磁場に与える影響はそれほど大きくなく、磁場のグラフは、図6の左下のグラフにおいてE2及びE3で示すような形状と大きな違いはない。このような場合は、頂部544付近の磁場に対する影響が大きい部分を基準として考え、メディアンプレーンMPへ向かって大きく延びている側面563の位置を第1の基準位置として設定することが好ましい。このように側面563を第1の基準位置と設定した場合、第1の距離d1は第2の距離d2と等しくなるため、d1>d2の条件を満たさないと判断することができる。 【0048】 また、例えば、図11(b)に示すリジェネレータ640のリジェネレータ用磁性部材641Aにおける第1の部分642では、頂部644と径方向外側に隣接する側面652は、磁極7の下面に向かって垂直に延びているにも関わらず、磁極7の下面付近には部材量が少なく薄い部分が径方向の外側へ向かって延びている。このような構成によって、第1の部分642の径方向外側の端部651と中心線CLとの間の距離は、中心線CLと径方向内側の端部661との間の距離と等しくなっている。しかしながら、部材量の少ない当該部分が、頂部644付近の磁場に与える影響はそれほど大きくなく、図5に示すようなグラフのE3と同様に、頂部644よりも径方向外側の領域では磁場を急激に低下させることができる。このような場合は、頂部644付近の磁場に対する影響が大きい部分を基準として考え、メディアンプレーンMPへ向かって大きく延びている側面663の位置を第1の基準位置として設定し、メディアンプレーンMPへ向かって大きく延びている側面652の位置を第2の基準位置として設定することが好ましい。このように側面652を第2の基準位置と設定した場合、第1の距離d1は第2の距離d2より大きくなるため、d1>d2の条件を満たすと判断することができる。」 キ 「【0055】 例えば、図9に示すリジェネレータ240のように、リジェネレータ用磁性部材241Aが径方向内側に部材量が少なく薄く延びる部分が無い場合は、第1の部分242の径方向内側の端部を第1の基準位置ST1に設定してよい。また、図3のように頂部244より径方向外側に、直ちにメディアンプレーンMPの反対側へ垂直に延びて磁極7へ至る側面が形成されていなくともよく、図9のリジェネレータ用磁性部材241Aのように、段階的にメディアンプレーンMPから遠ざかってよい。」 ク 図4は、次のとおりのものである。 ケ 図9は、次のとおりのものである。 コ 図11は、次のとおりのものである 3 補正の適否 (1)本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために、 「前記リジェネレータ用磁性部材は、前記径方向外側の端部に第1の側面を有し、 前記第1の側面は、前記頂部と前記径方向外側に隣接し、前記メディアンプレーンと垂直をなして当該メディアンプレーンの反対側へ向かって、前記頂部から前記磁極まで延び、且つ、前記第1の部分の前記径方向外側の終端部を構成し、 前記第1の部分は、前記頂部よりも径方向内側に第2の側面を有し、 前記メディアンプレーンと直交する方向を直交方向とした場合、 前記頂部と、前記メディアンプレーンに対して当該頂部側の前記磁極における表面であって前記頂部から前記直交方向へ延伸する直線上に位置して前記メディアンプレーンと対向する平面と、の間の前記直交方向における中心位置を設定した場合、前記第2の側面は、前記直交方向において前記中心位置よりも前記頂部側の位置から、前記メディアンプレーンと垂直をなして当該メディアンプレーンの反対側へ向かって、前記中心位置を超えて前記平面側まで延び、且つ、前記第1の部分の前記径方向内側の終端部を構成し」、との事項を追加しようとするものである。 そして、上記事項を整理すると、主に、第1の距離を定義するための第1の基準位置を設定する「径方向内側の終端部」及び第2の基準位置を設定する「径方向外側の終端部」を特定するための事項を追加するものであって、該「径方向内側の終端部」については、以下のアないしウの事項を含んでいる。 ア 「前記頂部と、前記メディアンプレーンに対して当該頂部側の前記磁極における表面であって前記頂部から前記直交方向へ延伸する直線上に位置して前記メディアンプレーンと対向する平面と、の間の前記直交方向における中心位置を設定」すること。 イ 第2の側面は、「直交方向において前記中心位置よりも前記頂部側の位置から、前記メディアンプレーンと垂直をなして当該メディアンプレーンの反対側へ向かって、前記中心位置を超えて前記平面側まで延び」る面であること。 ウ 上記イで特定される「第2の側面」が「第1の部分の前記径方向内側の終端部を構成」すること。 (2)一方、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)においては、上記2で摘記したように、当初明細書等には、「第1の基準位置」または「径方向内側の終端部」に関連して、以下の点が記載されていると認められる。 ア 第1の基準位置は、頂部付近の磁場に対する影響が大きくなる部分の形状を考慮して設定されることが好ましいこと。 イ 大きく突出している部分は頂部付近の磁場に対する影響が大きくなるため、側面63の位置に第1の基準位置ST1を設定することが好ましいこと(本願の図4を参照。)。 ウ 第1の基準位置ST1は、頂部の部分が作る磁場に対して1/4より大きな磁場を作る位置に設定してもよいこと。 エ 側面64、第1の部分42の端部、側面62に第1の基準位置ST1を設定してもよいこと(本願の図4を参照。)。 オ 径方向内側に部材量が少なく薄く延びる部分が無い場合は、第1の部分の径方向内側の端部に設定されること(本願の図9を参照。)。 上記ア、イからは、頂部付近の磁場に対する影響が大きくなる部分の形状を考慮して第1の基準位置が設定されることが好ましいこと、および、大きく突出している部分は頂部付近の磁場に対する影響が大きく、そのような位置に側面63が位置すると理解できるものの、大きく突出している部分として、上記(1)アないしウの事項のように、「中心位置」を超えて磁極の表面である平面側まで延びるような側面が「径方向内側の終端部」とされると理解することはできない。 また、ウ、エからは、頂部付近の磁場に対する影響が大きくなる部分の任意の位置に第1の基準位置を設定できるものと理解できるにとどまり、オにおいては、第1の部分の端部が「径方向内側の端部」であるとの理解にとどまる。 そうすると、当初明細書等には「頂部付近の磁場に対する影響が大きくなる部分の形状を考慮して」、リジェネレータ用磁性部材のいずれかの位置に「第1の基準位置」が設定されるとの事項が記載されていたと認められるものの、上記(1)アで設定される「中心位置」を超えて、上記(1)イのように、磁極の表面である平面側まで延びるような「第2の側面」を上記(1)ウの「径方向内側の終端部」とすることは、当初明細書等には記載されていない。 (3)したがって、本件補正により、本件補正後の請求項1に係る発明には、上記(1)アで設定される「中心位置」を超えて、上記(1)イのように、磁極の表面である平面側まで延びるような「第2の側面」を上記(1)ウの「径方向内側の終端部」とするという新たな技術的事項が導入されることになる。 そして、上記新たな技術的事項は、上記(2)で検討したことを含め、当初明細書等の記載全体を考慮しても、それら記載から自明な事項ということもできない。 (4)以上のとおりであるので、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年11月22日にされた補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年8月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概ね、以下のとおりのものである。 請求項1ないし6の記載は、第1の基準位置と第2の基準位置との設定により従来のリジェネレータの形状を広く含みうる記載となっており、上記の発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映されたものとはなっていない。 したがって、請求項1ないし6には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1ないし6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 よって、請求項1ないし6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 3 当審の判断 (1)発明の詳細な説明の記載内容 上記第2の2を参照。 うち段落0046については、平成26年6月3日の手続補正書により、下記のとおり補正された。下線部は、補正箇所である。)。 「・・・(略)・・・当該部分を第1の基準位置ST1に設定するのではなく、」 (2)判断 上記第2の2(1)ア及びイによれば、本願の発明が解決しようとする課題は、小型化を図ると共に、ビームを精度良く引き出すことのできるサイクロトロンを提供することであって、上記課題を解決するための手段として、リジェネレータ用磁性部材の頂部の中心線よりも径方向外側においては、リジェネレータ用磁性部材の部材量を少なく抑えた構成とすることで、頂部の中心線よりも径方向外側の領域の磁場を低下させ、これによって、マグネティックチャンネルを径方向内側へ配置することでリジェネレータに近づけたとしても、リジェネレータで作られる磁場が、マグネティックチャンネルによる荷電粒子のビームの引き出しに与える影響を抑制することができ、以上により、サイクロトロンの小型化を図ると共に、ビームを精度良く引き出すことができることが記載されている。 これに対して、請求項1の記載では、上記の「頂部の中心線よりも径方向外側においては、リジェネレータ用磁性部材の部材量を少なく抑えた構成とする」ことを、中心線と、第1の部分の径方向内側の終端部に設定される第1の基準位置と、の間の径方向における距離である第1の距離が、中心線と、第1の部分の径方向外側の終端部に設定される第2の基準位置と、の間の径方向における距離である第2の距離より大きいことで特定しようとするものである。 しかし、当該特定によれば、上記解決しようとする課題を解決できない例としてあげられている図11(a)の形態(端部561を終端部と設定)をも包含することとなるから、上記課題を解決することができない。 さらに、請求項1の記載では、「第1の部分」の位置について、径方向外側に向かうに従ってメディアンプレーンに近づく部分を有するとともに、メディアンプレーンに最も近づく頂部を有することが特定されるにとどまり、例えば比較例に係るリジェネレータ140を示す図6の左上の図において、第1の部分がその径方向外側の終端部が中心線の径方向外側の最初の段差の部分として定義することが可能であり、そのように設定すれば、第1の距離は第2の距離よりも大きくなることとなるから、この点からも課題を解決するための手段が反映されたものとはなっていない。 したがって、請求項1の記載には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本願発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなるから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-017334

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