特許拒絶査定不服審判
2024-008633
乗数モードを用いる高周波(RF)パルスインピーダンス同調
- 審判番号
- 2024-008633
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-505925
- 請求日
- 2024年05月23日
- 審決日
- 2025年09月10日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】安齋 嘉章
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 波多江 進
- 審判官 野村 伸雄
- 分類
- P18 .574-Z (H05H) / P18 .575-Z (H05H) / P18 .121-Z (H05H) / P18 .537-Z (H05H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第36条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-505925「乗数モードを用いる高周波(RF)パルスインピーダンス同調」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日国際公開、WO2020/046990、令和 3年12月16日国内公表、特表2021-535542〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)8月27日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2018年8月30日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和3年 2月 2日 :翻訳文の提出
令和4年 8月 1日 :手続補正書の提出
令和5年 5月15日付け:拒絶理由通知書
同年11月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という)
(同月25日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月23日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、2018年(平成30年)8月30日を「優先日」という。
第2 令和6年5月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年5月23日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和6年5月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正であって、本件補正前(令和5年11月24日にされた手続補正後)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでいる工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調することにより各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法。」
(2) 本件補正後
「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF発生器はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1パルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法。」
2 本件補正の適否について
(1) 本件補正による請求項1の補正事項
本件補正により請求項1についてする補正は、以下のアからエまでに示す補正事項1から補正事項4までからなるものである。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法」を、「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用[する]」ものに限定すること。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形」を、「マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF発生器はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である」ものに限定すること。
ウ 補正事項3
本件補正前の「第1デューティサイクル」との記載(2箇所)を、「第1パルスデューティサイクル」と補正すること。
エ 補正事項4
本件補正前の「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調することにより各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、」との記載の誤記を正し、「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、」と補正すること。
(2) 本件補正による請求項1の補正の目的について
ア 補正事項3の目的要件の非充足性について
(ア) 判断の概要
請求項1には、「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、」との記載があるところ、当合議体は、次の(イ)において詳細に検討するとおり、当該記載は不明確であるから、補正事項3に係る補正は「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに該当しないと判断する。
また、当該補正が、「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」及び「誤記の訂正」のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当しない。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
(イ) 判断の詳細な検討
a 「デューティサイクル」の通常の意味
まず、「デューティサイクル」は、一定周期で連続するパルス波において、パルスがオンになる時間とオフになる時間の比率を意味する確立した技術用語である(例えば、「アナログ回路・基板 設計製作.comにまつわる用語集」(URL:https://analog-pcb.com/glossary/%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E6%AF%94-%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB/)参照)。
b 本願の明細書の記載
ここで、請求項1の「第1パルスデューティサイクル」という用語の意味を探るために明細書の記載を参照すると、明細書には、「第1パルスデューティサイクル」との記載は存在しない。
一方、明細書には、「パルスデューティサイクル」及び「第1デューティサイクル」について、それぞれ次の記載がある(下線は、当合議体が付したものである。)。
(a) 【0026】及び【図3A】
「【0026】
図3Aは、複数のRF発生器140、144、148、150の各々のパルスRF出力を反映し得る時間領域波形図を示している。ここには、RF発生器140、144、148、150の各々に対して個別にコントローラ160によって制御される以下のパラメータによって特徴付けられた、パルスRF出力のパルス包絡線が示されている。それは、パルス持続時間tP、パルス「オン」時間tON、パルス「オフ」時間tOFF、パルス周波数1/tP、及びパルスデューティサイクル(tON/tP)×100(パーセント)である。パルス持続時間tPは、tONとtOFFの合計である。」
「【図3A】
[図:0001432569000001.jpg]
」
(b) 【0034】及び【図5】
「【0034】
図5では、TTL信号は時間t0に導入され、第1デューティサイクル520を有する。第1デューティサイクル520は、高レベル間隔522と低レベル間隔524とに分割され得る。高レベル間隔522は、TTL信号の立ち上がり526及び立ち下がり527と一致する。低レベル間隔524は、TTL信号の立ち下がり527及びその後の立ち上がり528と一致する。マスターRF電力波形502は、時間t0に導入されて、第1電力レベルの第1電力パルス510と、第2電力レベルの第2電力パルス512と、ゼロ電力レベルの第3電力パルス514とを含んでもよい。」
「【図5】
[図:0001432569000002.jpg]
」
c 明細書の記載についての検討
前記bの「パルスデューティサイクル」及び「第1デューティサイクル」の意味についての明細書の記載について検討する。
(a) まず、前記b(a)における「パルスデューティサイクル(tON/tP)×100(パーセント)である」との記載は、前記aで示した「デューティサイクル」の通常の意味に沿うものである。一方で、明細書には、請求項1で特定されるように、当該「パルスデューティサイクル」を高レベル間隔と低レベル間隔に分割することは記載されておらず、(tON/tP)×100(パーセント)である「パルスデューティサイクル」を高レベル間隔と低レベル間隔に分割することは技術的にも全く不可解である。したがって、請求項1の「第1パルスデューティサイクル」の意味が、前記b(a)の「パルスデューティサイクル」と同じ意味であると解することはできない。
(b) 一方、前記b(b)の「第1デューティサイクル520は、高レベル間隔522と低レベル間隔524とに分割され得る」との記載は、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」に対応する記載であるところ、当該記載中の「第1デューティーサイクル」は、【図5】からも明らかなように、パルスがオンになる時間とオフになる時間の比率を表しておらず、前記b(a)で説明される「パルスデューティーサイクル」の意味とも、前記aにおいて示した「デューティサイクル」の通常の意味とも、異なる意味で用いられていると解するよりない(「第1デューティサイクル」とは、通常は、パルス周期と呼ばれるものを意味していると解される。)。
(c) そうすると、本願の明細書においては、「パルスデューティサイクル」と、「第1デューティサイクル」は異なる意味で用いられており、明細書に記載のない請求項1の「第1パルスデューティサイクル」がどのような意味で用いられているのか、不明確である。
(d) また、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」という記載における「第1パルスデューティーサイクル」は、本件補正前の「第1デューティーサイクル」が本件補正により補正されたものであるところ、当該「第1デューティーサイクル」は前記(イ)bにおける「第1デューティサイクル」を意味するものと理解できるものの、当該「第1デューティーサイクル」の意味が「デューティーサイクル」の通常の意味とは異なる意味で用いられていることは前記(b)で説示したとおりであり、この結果、本件補正前の「第1デューティーサイクル」についても、その意味が不明確というほかない。
d 請求人の主張について
請求人は、令和5年11月24日に提出した意見書(以下、単に「意見書」という。)及び審判請求書において、2回にわたって、請求項1の「第1パルスデューティサイクル」とは、明細書の【0026】に説明されているように、tON/tPを意味し、図5は、単に、パルスデューティサイクルを規定する時間を表したものである旨主張しているが、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」という記載における「第1パルスデューティサイクル」の意味が、【0026】の「パルスデューティサイクル」と同じ意味であると解することはできないことは前記c(a)において検討したとおりである。
e 補正事項3に係る補正についてのまとめ
以上のとおり、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」という記載における「第1パルスデューティサイクル」という用語の意味は、明細書の記載を参酌しても不明であり、意見書及び審判請求書の2回にわたって意味不明な主張をしており誠実な対応を期待できないから、請求項1の記載は、明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面の記載並びに技術常識を参酌しても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに発明が不明確であるといわざるを得ないものであり、補正事項3に係る補正は「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに該当しない。
また、当該補正が、「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」及び「誤記の訂正」のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当しないから、本件補正は、同項の規定に違反するものである。
イ 補正事項3以外の目的要件の充足性について
補正事項3以外の補正事項のうち、補正事項1、2は、全体として実質的に特許請求の範囲の減縮するものといえ、補正事項4は誤記を訂正するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正で請求項1についてする補正は、補正事項3を除き、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮((特許法)第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」及び同3号に規定する「誤記の訂正」を目的とする補正に該当する。
本件補正で請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含んでいるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、項を改め、次の(3)において独立特許要件(明確性)について検討し、その次の(4)において独立特許要件(進歩性)について検討する。
(3) 独立特許要件(明確性)について
前記(2)アにおいて検討したとおり、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」という記載における「第1パルスデューティサイクル」という用語の意味は、明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面の記載を参酌しても不明であり、意見書及び審判請求書の2回にわたって意味不明な主張をしており誠実な対応を期待できないから、請求項1の記載は、明細書等の記載及び技術常識を参酌しても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに発明が不明確であるといわざるを得ない。
そうすると、請求項1に係る発明は明確でなく、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は特許法36条6項2号に規定された要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正により特許請求の範囲についてする補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
(4) 独立特許要件(進歩性)について
ア 本件補正発明
(ア) 本件補正発明の認定
a 請求項1の不明瞭な記載の解釈について
(a) 用語「第1パルスデューティサイクル」の解釈
i(i) 独立特許要件としての進歩性の要件の充足について検討するに当たり、本件補正発明の要旨を認定する必要があるところ、前記(2)ア及び(3)において検討したとおり、請求項1の「第1パルスデューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」という記載における「第1パルスデューティサイクル」の意味が不明確である。
(ii) そこで、明細書の【0034】の「図5では、TTL信号は時間t0に導入され、第1デューティサイクル520を有する。第1デューティサイクル520は、高レベル間隔522と低レベル間隔524とに分割され得る。」との記載及び【図5】の記載を参酌して、「第1パルスデューティサイクル」という用語の意味を「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期」を意味するものと解して独立特許要件としての進歩性の要件の充足について検討する。
【図5】(再掲)
[図:0001432569000003.jpg]
ii 他方、「基本周波数及び第1パルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」については、「第1パルスデューティサイクル」という語を明細書【0026】の記載における「パルスデューティサイクル」と理解可能であることから、「パルスデューティサイクル」を意味するものとして認定する。
(b) 用語「スレーブRF発生器」の解釈
また、本件補正後の請求項1には、「スレーブRF発生器はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である」と記載されているが、「スレーブRF発生器」が「波形である」ことは技術的に不可解であるところ、請求項1の「マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、」との記載からみて、当該「スレーブRF発生器」は、「スレーブRF電力波形」の誤記であることは明らかであるから、そのように解して本件補正発明を認定することとする。
b 本件補正発明の認定
用語「第1パルスデューティサイクル」及び用語「スレーブRF発生器」については、それぞれ前記a(a)及び(b)に示した解釈とし、その余の点については、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものとして、本件補正発明の要旨を認定する。すなわち、本件補正発明は、次に特定されるとおりのものと認める。なお、下線は、本件補正後の請求項1の記載を修正して認定した箇所を示す。
<本件補正発明>
可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF電力波形はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法。
c 本件補正発明の分説
検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Fまでに分説する。
(構成X) 可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
(構成A) 複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF電力波形はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程と、
(構成B) マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
(構成C) 各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
(構成D) トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
(構成E) 平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
(構成F) 各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む
方法。
(イ) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願の明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法に関する。
【背景】
【0002】
従来の高周波(RF)プラズマ処理(多くの半導体デバイスの製造段階で使用されるRFプラズマ処理など)では、RFエネルギーを、RFエネルギーソースを介して基板処理チャンバへ供給してもよい。RFエネルギーを、連続波方式又はパルス波方式で生成及び供給してもよい。RFエネルギーソースのインピーダンスと処理チャンバで形成されたプラズマとの不整合により、RFエネルギーはRFエネルギーソースへ反射され、その結果、RFエネルギーの非効率的な使用とエネルギーの浪費、処理チャンバ又はRFエネルギーソースの潜在的な損傷、及び基板処理に関する潜在的な非一貫性/非再現性の問題が生じる。こうして、RFエネルギーは、固定式の又は同調可能な整合ネットワークを介して処理チャンバ内のプラズマにしばしば結合される。この整合ネットワークは、RFエネルギーソースのインピーダンスにプラズマのインピーダンスをより厳密に整合させることにより、反射RFエネルギーを最小化するように動作する。整合ネットワークは、RFソースの出力をプラズマに効率的に結合させて、プラズマに結合されるエネルギー量を最大化しようとする(例えば、RF電力供給の同調と呼ばれる)。したがって、整合ネットワークは、合計インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワークインピーダンス)を、RF電力供給の出力インピーダンスと同じになるように調整しようとする。いくつかの実施形態では、RFエネルギーソースでも、周波数同調を、又はRFエネルギーソースによって供給されるRFエネルギーの周波数の調整を可能として、インピーダンス整合を支援してもよい。
【0003】
複数の電力レベルでパルス化された複数の別個のRF電力信号を使用する処理チャンバでは、通常は、同期RFパルスが使用される。しかしながら、発明者らは、様々なRFパルス方式で、多数のインピーダンス変化が発生することによりインピーダンス同調が困難になることをよく見てきた。すなわち、整合ネットワーク及び/又はRF発生器は、反射電力が変化するにつれて、反射電力に対して適切に同調できない。
【0004】
したがって、発明者らは、可変コンデンサ/インダクタを使用することに加えて、1つ以上の可変周波数発生器を使用する、RFパルス同調のための改良版の方法及び装置を提供し、諸処理チャンバでのRFパルス反射を有益にも最小化した。なお、これらの処理チャンバでは、単一のデューティサイクルの間に複数の電力レベルでパルス化された複数の別個のRF電力信号が使用される。」
「【0040】
図5では、高レベル間隔522及び低レベル間隔524が提供される。CPU130は、高い平均インピーダンス値を計算するように構成される。この高い平均インピーダンス値とは、高レベル間隔にわたる平均インピーダンス値である。CPUは、低い平均インピーダンス値を計算するように構成される。この低い平均インピーダンス値とは、低レベル間隔にわたる平均インピーダンス値である。CPU130は、計算された高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値に基づいて目標インピーダンス値を計算するように構成される。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値の平均値である。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、低い平均インピーダンス値よりも高い平均インピーダンス値に近い。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、高い平均インピーダンス値よりも低い平均インピーダンス値に近い。1つ以上のRF整合ネットワークは、目標インピーダンスへ同調して有益にも平均反射電力を最小化するように構成される。TTL信号の新しいデューティサイクルごとに、システムが同調して、供給された総進行波電力に基づき、新しい反射電力に対して補償する。
【0041】
反射電力をさらに最小化するために、本発明者らは、上記の装置を活用した方法を開発した。この装置が複数のRF電力波形をより速く同調させて平均反射電力を最小化する時に使用する方法を、図6に示し、以下で説明する。本開示と合致する諸実施形態では、方法600は、1つ以上のRF整合ネットワーク604、1つ以上のRF発生器602、又はコントローラ160によって実行され得る。
【0042】
方法700は工程702から始まり、ここで基板を処理するための処理レシピを受け取る。処理レシピは、複数のRF発生器140、144、148及び150からの複数のパルスRF電力波形(すなわち、502、504、506及び508)を含む。複数のRF発生器は、マスターRF発生器140と、1つ以上のスレーブRF発生器144、148及び150とを含む。工程704で、マスターRF発生器140を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するTTL信号を生成することができる。工程706で、複数のRF発生器140、144、148及び150の各々に対して乗数が設定される。いくつかの実施形態では、複数のRF発生器140、144、148及び150のうちの少なくとも1つに対して乗数が設定される。乗数は整数値である。工程708で、第1デューティサイクルは、高レベル間隔522と低レベル間隔524に分割される。高レベル間隔522は、TTL信号の検出された立ち上がり及びTTL信号の検出された立ち下がりの持続時間と一致する。低レベル間隔524は、TTL信号の検出された立ち下がり及びTTL信号の検出されたその後の立ち上がりの持続時間と一致する。いくつかの実施形態では、CPU130は、TTL立ち上がり及びTTL立ち下がりのタイミングを受信することができる。
【0043】
工程710で、各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定する。ここで、周波数コマンドセットは周波数設定点を含む。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットは、RF整合ネットワーク(例えば、RF整合ネットワーク604)によって決定される。周波数コマンドセットは、第1デューティサイクルに対する周波数及び/又は電力設定点を含む。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットは、RF整合ネットワーク及びRF発生器に通信可能に接続されたコントローラ(例えば、コントローラ160)を介してRF整合ネットワークによって間接的にRF発生器へ送信される。RF発生器140、144、148及び150の各々に対して決定された周波数コマンドセットは、周波数コマンドセットと関連付けられた対応するRF発生器140、144、148及び150へ送信される。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットを、高速リンクケーブル153、212、214、216を介してそれぞれの発生器へ送信してもよい。他の諸実施形態では、周波数コマンドセットを、コントローラ160を介してそれぞれの発生器へ送信してもよい。
【0044】
周波数コマンドセットを決定する工程は、CPU130が高レベル間隔にわたる高い平均インピーダンス値と低レベル間隔にわたる低い平均インピーダンス値とを計算する工程を含んでもよい。次に、CPU130は、高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値に基づいて目標インピーダンスを計算してもよい。1つ以上のRF整合ネットワークを、1つ以上のRF整合ネットワーク内に配置された可変整合構成要素(例えば、可変コンデンサ/インダクタ)を使用して目標インピーダンスへ同調させてもよい。可変インピーダンス整合構成要素は、可変コンデンサ又はインダクタのうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152内の可変インピーダンス整合構成要素608の各々は、計算された同じ目標インピーダンス値へ同調する。図7には、単一のデューティサイクルの間に生じるプロセスが示されており、必要に応じてこのプロセスを繰り返して基板を処理してもよい。本開示と合致するいくつかの実施形態では、処理レシピは全てのデューティサイクルに対するRFパルス電力波形を含んでもよく、このRFパルス電力波形は各間隔での周波数及び電力の点で互いに常に同一でなくてもよい。したがって、上記のように、個々のデューティサイクルの各々を別個に分析して分割してもよい。
【0046】
工程712で、複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形(例えば、502、504、506及び4508)が、第1デューティサイクルの間に各発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、処理チャンバへ提供される。すなわち、RFパルス電力は、工程710で決定された周波数設定点で提供される。場合によっては、前の時間間隔のための前の設定点が、次の時間間隔での設定点と等しい場合、以下で説明するように、測定値に基づいて反射電力を低減するために周波数を調整した場合を除いて、調整の必要はない。」
イ 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
a 引用文献1に記載された事項
原査定で引用され、本願の優先日前に発行された米国特許第9788405号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。括弧内の翻訳は、対応する特表2018-535504号公報を参考に、当合議体が作成したものである。また、下線は当合議体が付したものであり、他の文献についても同様である。
(a) 分野・背景・概略(1欄9行~2欄45行)
(a)-1
「FIELD
Embodiments of the present disclosure generally relate to RF power delivery methods used for processing a substrate.」
(分野
本開示の実施形態は、概して、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法に関する。)
(a)-2
「BACKGROUND
In conventional radio frequency (RF) plasma processing, such as is used during stages of fabrication of many semiconductor devices, RF energy, which may be generated in continuous or pulsed wave modes, may be provided to a substrate process chamber via an RF energy source. Due to mismatches between the impedance of the RF energy source and the plasma formed in the process chamber, RF energy is reflected back to the RF energy source, resulting in inefficient use of the RF energy and wasting energy, potential damage to the process chamber or RF energy source, and potential inconsistency/non-repeatability issues with respect to substrate processing. As such, the RF energy is often coupled to the plasma in the process chamber through a fixed or tunable matching network that operates to minimize the reflected RF energy by more closely matching the impedance of the plasma to the impedance of the RF energy source. The matching network ensures that the output of the RF source is efficiently coupled to the plasma to maximize the amount of energy coupled to the plasma (e.g., referred to as tuning the RF power delivery). Thus, the matching network ensures that the total impedance (i.e., plasma impedance+chamber impedance+matching network impedance) is the same as the output impedance of the RF power delivery. In some embodiments, the RF energy source may also be capable of frequency tuning, or adjusting the frequency of the RF energy provided by the RF energy source, in order to assist in impedance matching.」
(背景
多くの半導体デバイスの製造段階で使用されるような従来の高周波(RF)プラズマ処理では、連続波又はパルス波モードで生成することができるRFエネルギーは、RFエネルギー源を介して基板処理チャンバに供給することができる。RFエネルギー源のインピーダンスと処理チャンバ内に形成されたプラズマとの間の不整合のために、RFエネルギーはRFエネルギー源に反射し戻され、RFエネルギーの非効率的な使用及びエネルギーの浪費、処理チャンバ又はRFエネルギー源への潜在的な損傷、並びに、基板処理について潜在的にばらつき/非再現性の問題をもたらす。このため、RFエネルギーは、プラズマのインピーダンスをRFエネルギー源のインピーダンスにより厳密に整合させることによって、反射RFエネルギーを最小にするように動作する固定又は同調可能な整合ネットワークを介して、処理チャンバ内のプラズマに結合されることが多い。整合ネットワークは、RF源の出力がプラズマに効率的に結合されて、プラズマに結合されるエネルギーの量を最大にする(例えば、RF電力供給の同調と呼ばれる。)ことを保証する。したがって、整合ネットワークは、総インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワークインピーダンス)が、RF電力供給の出力インピーダンスと同じであることを保証する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー源も、インピーダンス整合を補助するために、周波数同調、すなわちRFエネルギー源によって供給されるRFエネルギーの周波数を調整することが可能であり得る。)
(a)-3
「However, in systems where RF generators provide pulsed RF power in the form of a saw tooth wave, the matching network and/or RF energy source cannot be adequately tuned to the best matching position to reduce the reflected power. Thus, in order to adequately reduce reflected power, consistent levels of RF power should be delivered in order for the matching network and/or RF energy source to pick up the signals and tune accordingly. However, standard dual-level pulsing at consistent levels of RF power (i.e., square wave pulsing), plasma intensity changes slowly and the dual-level square wave pulsing may not adequately approximate a saw tooth pattern.
Accordingly, the inventors have provided improved methods and apparatus for RF power delivery.」
(しかしながら、RF発生器が鋸歯状波の形でパルスRF電力を供給するシステムでは、整合ネットワーク及び/又はRFエネルギー源は、反射電力を低減させるのに最適な整合位置に適切に調整することができない。したがって、反射電力を適切に低減させるためには、安定したレベルのRF電力を供給し、これによって整合ネットワーク及び/又はRFエネルギー源は、信号を取り込み、それに応じて調整すべきである。しかしながら、RF電力の安定したレベルでの標準的なデュアルレベルパルス生成(すなわち、方形波パルス生成)では、プラズマ強度はゆっくりと変化し、デュアルレベル方形波パルス生成は、鋸歯パターンに十分に近似しないことがある。
したがって、本発明者らは、RF電力供給のための改良された方法及び装置を提供した。)
(a)-4
「SUMMARY
Methods of operating a plasma enhanced substrate processing system using multi-level pulsed RF power are provided herein. In some embodiments, a method of operating a plasma enhanced substrate processing system using multi-level pulsed RF power includes providing a first multi-level RF power waveform to a process chamber, the first multi-level RF power waveform having at least a first power level during a first pulse duration, a second power level during a second pulse duration, and a third power level during a third pulse duration, and providing, after a first delay period, a second multi-level RF power waveform to the process chamber, the second multi-level RF power waveform having at least a first power level during a first pulse duration, a second power level during a second pulse duration, and a third power level during a third pulse duration.
(後略)」
(概要
本明細書では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給すること、及び、第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給することを含む。)
(b) 詳細な説明(1)(3欄16行~5欄63行、図1)
(b)-1
「DETAILED DESCRIPTION
Embodiments of the present disclosure provide methods for operating a plasma enhanced substrate processing system using multiple level pulsed radio frequency (RF) power. Using multiple level pulsed radio frequency (RF) power advantageously provides consistent levels of RF power to allow the matching networks to adequately tune to the best matching position to reduce the reflected power. The use of multiple level pulsed radio frequency (RF) power also allows for rapid plasma intensity changes and approximation of a saw tooth pattern wave pattern which may be desirable in some processes. In some embodiments, three or more separate RF power signals may be each pulsed at multiple power levels independently out-of-phase with each other, or with varying duty cycle. Further, the RF power signals may be pulsed synchronously or asynchronously with each other.」
(詳細な説明
本開示の実施形態は、マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法を提供する。マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用することは、有利なことに、安定したレベルのRF電力を提供して、整合ネットワークが最良の整合位置に適切に調整して反射電力を低減することを可能にする。マルチレベルパルス高周波(RF)電力の使用はまた、急速なプラズマ強度変化と、いくつかのプロセスにおいて望ましい可能性のある鋸歯パターンの波形パターンの近似を可能にする。いくつかの実施形態では、3以上の別個のRF電力信号は、独立して、互いに位相のずれた状態で又は異なるデューティサイクルで、それぞれ複数の電力レベルでパルス化させることができる。さらに、RF電力信号は、互いに同期して又は同期しないでパルス化させることができる。)
(b)-2
「FIG. 1 depicts a plasma reactor which may be utilized to perform the inventive methods disclosed herein. The inventive methods may be performed in a capacitively coupled plasma reactor (e.g., as illustrated in FIG. 1) or any other suitable plasma reactor, such as an inductive coupled plasma reactor. However, the inventors have observed that the inventive methods can be particularly beneficial in capacitively coupled plasma reactors, such as where high bias power (e.g., about 2000 W or more) and low source power (e.g., about 500 W or less) is used, as undesired charging effects can be much more severe than, for example, in inductively coupled plasma processing chambers. In some embodiments, the inventors have discovered that the present inventive methods provide particular benefit in configurations where at least one of a DC bias (VDC), a VRF, or a plasma sheath voltage are at or above about 1000V.」
(図1は、本明細書で開示される本発明の方法を実施するために使用することができるプラズマリアクタを示す。本発明の方法は、(例えば、図1に示されるような)容量結合プラズマリアクタ又は他の適切なプラズマリアクタ(例えば、誘導結合プラズマリアクタ)内で実行することができる。しかしながら、本発明者らは、望ましくない帯電効果は、例えば、誘導結合プラズマ処理チャンバよりもはるかに厳しい可能性があるので、本発明の方法が、高バイアス電力(例えば、約2000W以上)及び低ソース電力(例えば、約500W以下)が使用されるような、容量結合プラズマリアクタにおいて特に有益であり得ることを観察してきた。いくつかの実施形態では、本発明者らは、本発明の方法が、DCバイアス(VDC)、VRF又はプラズマシース電圧のうちの少なくとも一つが約1000V以上である構成において特に有益であることを発見した。)
(b)-3
「The reactor of FIG. 1 includes a reactor chamber 100 enclosed by a cylindrical side wall 102, a floor 103 and a ceiling 104. The ceiling 104 may be a gas distribution showerhead including a gas manifold 106 overlying a gas distribution plate 108 having orifices 109 formed through the gas distribution plate 108. The gas manifold 106 is enclosed by a manifold enclosure 110 having a gas supply inlet 111. The gas distribution showerhead (i.e., ceiling 104) is electrically insulated from the cylindrical side wall 102 by an insulating ring 112. A vacuum pump 114, such a turbomolecular pump, evacuates the chamber 100. A gas panel 120 controls the individual flow rates of different process gases to the gas supply inlet 111. A workpiece support pedestal 136 supported through the floor 103 of the chamber may have an insulating top surface and an internal electrode (wafer support electrode 138). The internal electrode may, for example, be used for chucking a substrate 137 on the top surface of the support pedestal 136. Plasma source power is applied to the ceiling 104 (also referred to herein as a gas distribution showerhead) from a generator 140 through an impedance matching network 142. The ceiling or gas distribution showerhead is formed of a conductive material, such as aluminum for example, and therefore serves as a ceiling electrode. The generator 140 may generate VHF power in the high portion of the VHF spectrum, such as in a range of 100 to 200 MHz. The generator 140 has the capability of pulsing the VHF power generated at a desired pulse rate and duty cycle. For this purpose, the VHF source generator 140 has a pulse control input 140a for receiving a control signal or signals defining the pulse rate and/or duty cycle as well as the phase of each pulse produced by the RF generator 140.」
(図1のリアクタは、円筒側壁102、床103及び天井104によって囲まれたリアクタチャンバ100を含む。天井104は、ガス分配プレート108を貫通して形成されたオリフィス109を有するガス分配プレート108の上にあるガスマニホールド106を含むガス分配シャワーヘッドであってもよい。ガスマニホールド106は、ガス供給口111を有するマニホールドエンクロージャ110によって囲まれている。ガス分配シャワーヘッド(すなわち、天井104)は、絶縁リング112によって円筒側壁102から電気的に絶縁されている。例えばターボ分子ポンプのような真空ポンプ114は、チャンバ100を排気する。ガスパネル120は、ガス供給口111への異なるプロセスガスの個々の流量を制御する。チャンバの床103を介して支持されたワークピース支持台136は、絶縁上面及び内部電極(ウェハ支持電極138)を有することができる。内部電極は、例えば、支持台136の上面上に基板137をチャッキングするために使用することができる。プラズマソース電力が、発生器140からインピーダンス整合ネットワーク142を介して(本明細書ではガス分配シャワーヘッドとも呼ばれる)天井104に印加される。天井又はガス分配シャワーヘッドは、導電性材料(例えば、アルミニウムなど)で形成され、したがって天井電極として機能する。発生器140は、例えば100~200MHzの範囲内のような、VHFスペクトルの高い部分でVHF電力を生成することができる。発生器140は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたVHF電力をパルス化する能力を有する。この目的のために、VHFソース発生器140は、RF発生器140によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する一つ又は複数の制御信号を受信するためのパルス制御入力140aを有する。)
(b)-4
「Plasma bias power is applied to the wafer support electrode 138 from an RF bias generator 144 through an RF impedance matching network 146, and RF bias generator 148 through an RF impedance matching network 149. The RF bias generators 144, 148 may generate HF or LF power in the low portion of the HF spectrum or in the MF or LF spectrum, such as in a range of 13.56 MHz or a on the order of 1-2 MHz. The RF bias generators 144, 148 have the capability of pulsing the RF bias power generated at a desired pulse rate and duty cycle. For this purpose, the RF bias generators 144, 148 have pulse control inputs 144a, 148a for receiving a control signal or signals defining the pulse rate and/or duty cycle as well as the phase of each pulseproduced by the RF generators 144,148. The RF bias generators 144, 148 may be independently pulsed, phased, and/or duty cycle controlled. Further, the RF bias generators 144, 148 may be pulsed synchronously or asynchronously.
…(中略)…」
(プラズマバイアス電力は、RFバイアス発生器144からRFインピーダンス整合ネットワーク146を介して、及び、RFバイアス発生器148からRFインピーダンス整合ネットワーク149を介して、ウェハ支持電極138に印加される。RFバイアス発生器144、148は、例えば13.56MHz又は1~2MHzのオーダーの範囲内のような、HFスペクトルの低い部分又はMF若しくはLFスペクトルの、HF又はLF電力を生成することができる。RFバイアス発生器144、148は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたRFバイアス電力をパルス化する能力を有する。この目的のために、RFバイアス発生器144、148は、RF発生器144、148によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する一つ又は複数の制御信号を受信するためのパルス制御入力144a、148aを有する。RFバイアス発生器144、148は、独立して、パルス化、位相化及び/又はデューティサイクル制御させることができる。さらに、RFバイアス発生器144、148は、同期して又は同期しないでパルス化させることができる。)
(b)-5
「In some embodiments, the matching networks 142, 146, and 149 may be formed by one or more capacitors and/or an inductor. The values of capacitor may be electronically or mechanically tuned to adjust the matching of each of the matching networks 142, 146, and 149. In lower power systems, the one or more capacitors may be electronically tuned rather than mechanically tuned. In some embodiments, the matching networks 142, 146, and 149 may have a tunable inductor. In some embodiments, one or more of the capacitors used in the matching networks 142, 146, and 149 may be one or more fixed capacitors or series capacitors. In other embodiments, one or more of the capacitors used in the matching networks 142, 146, and 149 may be a variable capacitor, which may be electronically or mechanically tuned to adjust the matching of the matching networks 142, 146, and 149. In some embodiments, one or more of the matching networks 142, 146, and 149 may have a capacitive shunt to ground. The above described matching networks are illustrative only and other various configurations of matching networks having one or more adjustable elements for tuning the matching network may be utilized and tuned in accordance with the teachings provided herein.」
(いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146及び149は、1以上のコンデンサ及び/又はインダクタによって形成することができる。コンデンサの値は、整合ネットワーク142、146及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整することができる。低電力システムでは、1以上のコンデンサは機械的に調整されるのではなく電子的に調整してもよい。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146及び149は、調整可能インダクタを有することができる。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146及び149内で使用されるコンデンサのうちの1以上は、1以上の固定コンデンサ又は直列コンデンサであってもよい。他の実施形態では、整合ネットワーク142、146及び149内で使用されるコンデンサのうちの1以上は、整合ネットワーク142、146及び149の整合を調整するように電子的又は機械的に調整可能な可変コンデンサであってもよい。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146及び149のうちの1以上は、グランドへの容量性分路を有することができる。上述の整合ネットワークは例示にすぎず、整合ネットワークを調整するための1以上の調整可能な要素を有する整合ネットワークの他の様々な構成を、本明細書で提供される教示に従って利用及び調整してもよい。)
(b)-6
「A pulse controller 160 is programmable to apply pulse control signals to each of the pulse control inputs 140a, 144a, 148a of the generators 140, 144, 148, to produce the desired phase lead or lag relationship and/or duty cycle relationship among the pulses of the generator 140 (e.g., VHF source power generator) and the RF bias power generators 144, 148. Although shown as a separate component in FIG. 1, in some embodiments, the pulse controller 160 can be disposed internally inside of each RF generator. Synchronization signals would be generated at a master generator (e.g., generator 140), and sent to other slave generators (e.g., generators 144 and/or 148).
(後略)」
(パルスコントローラ160は、パルス制御信号を発生器140、144、148のパルス制御入力140a、144a、148aのそれぞれに印加して、発生器140(例えば、VHFソース電力発生器)及びRFバイアス電力発生器144、148の間で所望の位相進み又は遅れ関係及び/又はデューティサイクル関係を生成するようにプログラム可能である。パルスコントローラ160は、図1には別個の構成要素として示されているが、いくつかの実施形態では、それぞれのRF発生器の内部に配置することができる。同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信される。)
「図1
[図:0001432569000004.jpg]
」
(c) 詳細な説明(2)(5欄64行~8欄15行、図2A~図4B)
(c)-1
「FIG. 2A depicts a time domain waveform diagram that may reflect the pulsed RF output of each of the generators 140, 144, 148, showing the pulse envelope of the pulsed RF output, characterized by the following parameters controlled by the pulse controller 160 individually for each generator 140, 144, 148: a pulse duration tP, a pulse “on” time tON, a pulse “off” time tOFF, a pulse frequency 1/tP, and a pulse duty cycle (tON/tP)・100 percent. The pulse duration tP is the sum of tON and tOFF.
…(中略)…」
(図2Aは、各発生器140、144、148に対して個別にパルスコントローラ160によって制御される以下のパラメータ:パルス期間tP、パルス「オン」時間tON、パルス「オフ」時間tOFF、パルス周波数1/tP、及び、パルスデューティサイクル(tON/tP)・100%によって特徴付けられる、パルスRF出力のパルスエンベロープ(包絡線)を示す、発生器140、144、148のそれぞれのパルスRF出力を反映させることができる時間領域波形図を示す。パルス期間tPは、tONとtOFFとの和である。)
(c)-2
「A pulse repetition frequency may range from about 0.1 KHz to about 20 KHz, which is synchronized between all generators (e.g., all generators share the same pulse repetition frequency or an integral multiple thereof). The pulse duty cycle (time for which power is supplied) may independently vary from about 10% to about 90% for each generator. In addition, the phase lag between each generator may be controlled. By controlling the overlap between the RF envelopes of the pulses, the plasma ion density non-uniformity can be minimized. For example, a low frequency (LF) signal may produce a predominantly higher edge plasma ion density, and a very high frequency (VHF) signal may produce a predominantly higher central region plasma ion density. Pulsing the source and bias with moderate phase lag can thus be used to achieve enhanced etch rates despite the lower time averaged power deposition as compared to continuous mode. The higher etch rates are favored owing to a combination of VHF-off/LF-on period(s) during the pulse which increases the LF voltage(s) and the DC self-bias as the VHF power is turned off, giving a boost to the ion energies. The tuning of this overlap also controls the ion flux levels.
…(後略)」
(パルス繰り返し周波数は、約0.1KHz~約20KHzの範囲とすることができ、それは、全ての発生器間で同期される(例えば、全ての発生器が同じパルス繰り返し周波数又はその整数倍を共有する)。パルスデューティサイクル(電力が供給される時間)は、各発生器に対して約10%から約90%まで独立して変えることができる。さらに、各発生器間の位相遅れは、制御することができる。パルスのRFエンベロープ間の重なりを制御することによって、プラズマイオン密度の不均一性を最小化することができる。例えば、低周波(LF)信号は、主により高いエッジプラズマイオン密度を生成することができ、超高周波(VHF)信号は、主により高い中心領域プラズマイオン密度を生成することができる。したがって、連続モードと比較して時間平均電力堆積がより低いにもかかわらず、ソース及びバイアスを中程度の位相遅れでパルス化することを使用して、エッチング速度を高めることを達成できる。より高いエッチング速度は、VHFオフ/LFオン期間の組合せが有利であり、VHF電力がオフにされたとき、LF電圧及びDC自己バイアスを増加させ、イオンエネルギーを強化する。このオーバーラップの調整はまた、イオンのフラックスレベルを制御する。)
「図2A
[図:0001432569000005.jpg]
」
(d) 詳細な説明(3)(8欄16行~9欄48行、図5)
(d)-1
「FIG. 5 depicts three separate RF power waveforms 502, 504, and 506 that may be each pulsed at multiple power levels independently and out-of-phase with each other, or with varying duty cycle consistent with embodiments of the present disclosure. The RF power waveforms 502, 504, and 506 may be provided by source and bias generators 140, 144, and 148 respectively. Each RF power waveform advantageously provides consistent levels of RF power to allow the matching networks to adequately tune to the best matching position to reduce the reflected power. The use of multiple level pulsed radio frequency (RF) power also allows for rapid plasma intensity changes and approximation of a saw tooth pattern wave pattern which may be desirable in some processes. The three separate RF waveforms 502, 504, and 506 may be pulsed synchronously or asynchronously with each other.」
(図5は、本開示の実施形態に一致する、複数の電力レベルでそれぞれ独立してパルス化され、互いに位相がずれた又は変化するデューティサイクルを有することができる三つの個別のRF電力波形502、504及び506を示す。RF電力波形502、504及び506は、それぞれソース及びバイアス発生器140、144及び148によって供給することができる。各RF電力波形は、有利なことに、安定したレベルのRF電力を供給し、整合ネットワークが最適な整合位置に適切に調整して反射電力を低減することを可能にする。マルチレベルパルス高周波(RF)電力の使用はまた、急速なプラズマ強度変化及びいくつかのプロセスにおいて望ましい可能性のある鋸歯パターンの波形パターンの近似を可能にする。三つの個別のRF波形502、504及び506は、互いに同期し又は同期しないでパルス化させることができる。)
(d)-2
「In FIG. 5, the first RF waveform 502 may be introduced at time t0 and may comprise a first power pulse at a first power level 510, a second power pulse at a second power level 512, and a third power pulse at a third power level 514 that are applied during three corresponding RF power periods tHIGH, tLOW, and tZERO. As illustrated in the figure, the first RF power pulse 510 may precede the second RF power pulse 512, and the second power pulse 512 may precede the third RF power pulse 514. If desired, additional first to third RF power pulses 510, 512, and 514 may be provided in that order, or in a different order. As shown in FIG. 5, the first RF power pulse 510 may be provided at a high power level, the second RF power pulse 512 may be provided at a low power level that is lower than the first power level of the first RF power pulse 510, and the third power level may be provided at a zero power level. Additional steps (i.e., additional RF power pulses) and power levels may be used as appropriate to further approximate a desired saw tooth wave pattern. In some embodiments, each of the time periods tHIGH, tLOW, and tZERO that each RF power pulse 510, 512, and 514 is applied is different from each other. In other embodiments, two or more of the time periods tHIGH, tLOW, and tZERO that each RF power pulse 510, 512, and 514 is applied may be equivalent to each other. Although the first RF waveform 502 may be provided at a frequency of 162 MHz as shown in FIG. 5, other frequencies as described above may be used.」
(図5において、第1のRF波形502は、時刻t0に導入することができ、第1の電力レベル510における第1の電力パルス、第2の電力レベル512における第2の電力パルス、及び、第3の電力レベルにおける第3の電力パルスを含み、これらは三つの対応するRF電力期間tHIGH、tLOW及びtZEROの間に印加される。図に示すように、第1のRF電力パルス510は第2のRF電力パルス512に先行することができ、第2の電力パルス512は第3のRF電力パルス514に先行することができる。必要に応じて、追加の第1~第3のRF電力パルス510、512及び514が、その順序で又は異なる順序で供給されてもよい。図5に示すように、第1のRF電力パルス510は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス512は、第1のRF電力パルス510の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを必要に応じて使用して、所望の鋸歯状波パターンに更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス510、512及び514が印加される時間期間tHIGH、tLOW及びtZEROの各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス510、512及び514が印加される時間期間tHIGH、tLOW及びtZEROのうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第1のRF波形502は、図5に示すように162MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。)
(d)-3
「The second RF waveform 504 may be introduced after delay 526. Similar to the first RF waveform 502, the second RF waveform 504 may comprise a first power pulse at a first power level 520, a second power pulse at a second power level 522, and a third power pulse at a third power level 524, that are applied during three corresponding RF power periods. The second RF waveform 504 may be synchronized with the first RF waveform 502. As illustrated in FIG. 5, the first RF power pulse 520 may precede the second RF power pulse 522, and the second power pulse 522 may precede the third RF power pulse 524. If desired, additional first to third RF power pulses 520, 522, and 524 may be provided in that order, or in a different order. As shown in FIG. 5, the first RF power pulse 520 may be provided at a high power level, the second RF power pulse 522 may be provided at a low power level that is lower than the first power level of the first RF power pulse 520, and the third power level may be provided at a zero power level. Additional steps (i.e., additional RF power pulses) and power levels may be used as appropriate to further approximate a desired saw tooth wave pattern. In some embodiments, each of the time periods that each RF power pulse 520, 522, and 524 is applied is different from each other. In other embodiments, two or more of the time periods that each RF power pulse 520, 522, and 524 is applied may be equivalent to each other. Although the second RF waveform 504 may be provided at a frequency of 60 MHz as shown in FIG. 5, other frequencies as described above may be used.」
(第2のRF波形504は、遅れ526の後に導入することができる。第1のRF波形502と同様に、第2のRF波形504は、第1の電力レベル522の第1の電力パルス、第2の電力レベル524の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル524の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加される。第2のRF波形504は、第1のRF波形502と同期させることができる。図5に示すように、第1のRF電力パルス520は第2のRF電力パルス522に先行することができ、第2の電力パルス522は第3のRF電力パルス524に先行することができる。必要に応じて、追加の第1~第3のRF電力パルス520、522及び524が、その順序で又は異なる順序で供給されてもよい。図5に示すように、第1のRF電力パルス520は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス522は第1のRF電力パルス520の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを必要に応じて使用して、所望の鋸歯状波パターンに更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス520、522及び524が印加される時間期間の各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス520、522及び524が印加される時間期間のうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第2のRF波形504は、図5に示すように60MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。)
(d)-4
「The third RF waveform 506 may be introduced after delay 536. Similar to the first and second RF waveforms 502, 504, the third RF waveform 506 may comprise a first power pulse at a first power level 530, a second power pulse at a second power level 532, and a third power pulse at a third power level 534, that are applied during three corresponding RF power periods. The third RF waveform 506 may be synchronized with the first RF waveform 502 and/or the second RF waveform 504. In some embodiments, all three RF waveforms are synchronized with each other. As illustrated in FIG. 5, the first RF power pulse 530 may precede the second RF power pulse 532, and the second power pulse 532 may precede the third RF power pulse 534. If desired, additional first to third RF power pulses 530, 532, and 534 may be provided in that order, or in a different order. As shown in FIG. 5, the first RF power pulse 530 may be provided at a high power level, the second RF power pulse 532 may be provided at a low power level that is lower than the first power level of the first RF power pulse 530, and the third power level may be provided at a zero power level. Additional steps (i.e., additional RF power pulses) and power levels may be used as appropriate to further approximate a desired saw tooth wave pattern. In some embodiments, each of the time periods that each RF power pulse 530, 532, and 534 is applied is different from each other. In other embodiments, two or more of the time periods that each RF power pulse 530, 532, and 534 is applied may be equivalent to each other. Although the third RF waveform 506 may be provided at a frequency of 2 MHz as shown in FIG. 5, other frequencies as described above may be used.」
(第3のRF波形506は、遅れ536の後に導入することができる。第1及び第2のRF波形502、504と同様に、第3のRF波形506は、第1の電力レベル532の第1の電力パルス、第2の電力レベル534の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル534の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加される。第3のRF波形506は、第1のRF波形502及び/又は第2のRF波形504と同期させることができる。いくつかの実施形態では、三つのRF波形のすべてが互いに同期される。図5に示すように、第1のRF電力パルス530は第2のRF電力パルス532に先行することができ、第2の電力パルス532は第3のRF電力パルス534に先行することができる。必要に応じて、追加の第1~第3のRF電力パルス530、532及び524が、その順序で又は異なる順序で供給されてもよい。図5に示すように、第1のRF電力パルス530は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス532は第1のRF電力パルス530の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを必要に応じて使用して、所望の鋸歯状波パターンに更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス530、532及び534が印加される時間期間の各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス530、532及び534が印加される時間期間のうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第3のRF波形506は、図5に示すように2MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。)
「図5
[図:0001432569000006.jpg]
」
(e) 詳細な説明(4)(9欄49行~11欄24行、図6)
(e)-1
「FIG. 6 depicts a flow chart of a method 600 for operating a plasma enhanced substrate processing system using multiple level pulsed radio frequency (RF) power in accordance with some embodiments of the present disclosure. The method 600 may be performed, for example, in the plasma reactor discussed above in FIG. 1. The method 600 begins at 602 by providing a first multi-level RF power waveform to a process chamber, the first multi-level RF power waveform having at least a first power level during a first pulse duration, a second power level during a second pulse duration, and a third power level during a third pulse duration, such as a signal provided by the generator 140. In some embodiments, the first multi-level RF power waveform is an RF source signal. The first multi-level RF power waveform may be provided at a VHF frequency of between about 60 MHz to about 162 MHz. In some embodiments, the VHF frequency of the first RF source signal is about 162 MHz. In some embodiments, the VHF frequency of the first RF source signal is about 60 MHz. In some embodiments, the first power level of the first pulse duration may be about 200 watts to about 5.0 KW (e.g., 3.6 KW), the value of the second power level may be about 1-99% of the first power level, and the third power level may be zero. In other embodiments, the second power level may be greater than the first power level. In some embodiments, the third power level may not be zero, and may be about 1-99% of the second power level. Still in other embodiments, the third power level may be greater than the first and/or second power levels.」
(図6は、本開示のいくつかの実施形態に従った、マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させるための方法600のフローチャートを示す。方法600は、例えば、図1で上述したプラズマリアクタ内で実行することができる。方法600は、602で、第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給することによって開始し、第1のマルチレベルRF電力波形は、例えば発生器140によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有する。いくつかの実施形態では、第1のマルチレベルRF電力波形は、RFソース信号である。第1のマルチレベルRF電力波形は、約60MHz~約162MHzのVHF周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第1のRFソース信号のVHF周波数は約162MHzである。いくつかの実施形態では、第1のRFソース信号のVHF周波数は約60MHzである。いくつかの実施形態では、第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット~約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は第1の電力レベルの約1~99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1~99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。)
(e)-2
「At 604, a second multi-level RF power waveform is provided to the process chamber, the second multi-level RF power waveform having at least a first power level during a first pulse duration, a second power level during a second pulse duration, and a third power level during a third pulse duration, such as a signal provided by the generator 144. In some embodiments, the second multi-level RF power waveform is provided after a first delay period. In some embodiments, the first delay period may between 10 μs-1 ms. In some embodiments, the delay may be greater than 1 ms. In some embodiments, the second multi-level RF power waveform is an RF bias signal. In other embodiments, the second multi-level RF power waveform may be a second RF source signal. The second multi-level RF power waveform may be provided at a frequency of between about 2 MHz to about 162 MHz. In some embodiments, the frequency of the second RF source signal is about 60 MHz. In some embodiments, the first power level of the first pulse duration of the second RF source signal may be about 200 watts to about 5.0 KW (e.g., 3.6 KW), the value of the second power level may be about 1-99% of the first power level, and the third power level may be zero. In other embodiments, the second power level may be greater than the first power level. In some embodiments, the third power level may not be zero, and may be about 1-99% of the second power level. Still in other embodiments, the third power level may be greater than the first and/or second power levels. In some embodiments, the second multi-level RF waveform may be synchronized with the first multi-level RF waveform.」
(604において、第2のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第2のマルチレベルRF電力波形は、例えば発生器144によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有する。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第1の遅れ期間の後に供給される。いくつかの実施形態では、第1の遅れ期間は、10μs~1msの間とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の遅れは、1msより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、RFバイアス信号である。他の実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第2のRFソース信号であってもよい。第2のマルチレベルRF電力波形は、約2MHz~約162MHzの周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形の周波数は約60MHzである。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形の第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット~約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は第1の電力レベルの約1~99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1~99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第1のマルチレベルRF波形と同期させることができる。)
(e)-3
「At 606, a third multi-level RF power waveform is provided to the process chamber, the third multi-level RF power waveform having at least a first power level during a first pulse duration, a second power level during a second pulse duration, and a third power level during a third pulse duration, such as a signal provided by the generator 148. In some embodiments, the third multi-level RF power waveform is provided after a second delay period. In some embodiments, the second delay period may between 10 μs-1 ms. In some embodiments, the second delay may be greater than 1 ms. In some embodiments, the third multi-level RF power waveform is another RF bias signal. In other embodiments, the third multi-level RF power waveform may be another RF source signal. The third multi-level RF power waveform may be provided at a frequency of between about 2 MHz to about 162 MHz. In some embodiments, the frequency of the third multi-level RF power waveform is about 2 MHz. In some embodiments, the first power level of the first pulse duration of the third multi-level RF power waveform may be about 200 watts to about 5.0 KW (e.g., 3.6 KW), the value of the second power level may be about 1-99% of the first power level, and the third power level may be zero. In other embodiments, the second power level may be greater than the first power level. In some embodiments, the third power level may not be zero, and may be about 1-99% of the second power level. Still in other embodiments, the third power level may be greater than the first and/or second power levels. The third multi-level RF power waveform may be synchronized with the first multi-level RF waveform and/or the second multi-level RF waveform. In some embodiments, all three multi-level RF waveforms are synchronized with each other.
・・・(後略)」
(606において、第3のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第3のマルチレベルRF電力波形は、例えば発生器148によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有する。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、第2の遅れ期間の後に供給される。いくつかの実施形態では、第2の遅れ期間は、10μs~1msの間とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の遅れは、1msより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、別のRFバイアス信号である。他の実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、別のRFソース信号であってもよい。第3のマルチレベルRF電力波形は、約2MHz~約162MHzの周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形の周波数は約2MHzである。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形の第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット~約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は第1の電力レベルの約1~99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1~99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。第3のマルチレベルRF電力波形は、第1のマルチレベルRF波形及び/又は第2のマルチレベルRF波形と同期させることができる。いくつかの実施形態では、三つのマルチレベルRF波形の全てが互いに同期される。)
「図6
[図:0001432569000007.jpg]
」
b 引用発明の認定
前記aの引用文献1に記載された事項を総合すると、引用文献1には、図5~図6に示されるマルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明の認定に用いた箇所の前記aで付した見出しを参考までに括弧内に付してある。以下同様。)。
<引用発明>
「マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法であって、((b)-1)
前記方法は、プラズマリアクタ内で実行することができ、((b)-2)
リアクタは、円筒側壁102、床103及び天井104によって囲まれたリアクタチャンバ100を含み、((b)-3)
プラズマソース電力が、発生器140からインピーダンス整合ネットワーク142を介して天井104に印加され、((b)-3)
発生器140は、例えば100~200MHzの範囲内のような、VHFスペクトルの高い部分でVHF電力を生成することができ、((b)-3)
発生器140は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたVHF電力をパルス化する能力を有し、((b)-3)
VHFソース発生器140は、RF発生器140によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する一つ又は複数の制御信号を受信するためのパルス制御入力140aを有し、((b)-3)
プラズマバイアス電力は、RFバイアス発生器144からRFインピーダンス整合ネットワーク146を介して、及び、RFバイアス発生器148からRFインピーダンス整合ネットワーク149を介して、ウェハ支持電極138に印加され、((b)-4)
RFバイアス発生器144、148は、例えば13.56MHz又は1~2MHzのオーダーの範囲内のような、HFスペクトルの低い部分又はMF若しくはLFスペクトルの、HF又はLF電力を生成することができ、((b)-4)
RFバイアス発生器144、148は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたRFバイアス電力をパルス化する能力を有し、((b)-4)
RFバイアス発生器144、148は、RF発生器144、148によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する一つ又は複数の制御信号を受信するためのパルス制御入力144a、148aを有し、((b)-4)
RFバイアス発生器144、148は、独立してパルス化、位相化及び/又はデューティサイクル制御させることができ、((b)-4)
さらに、RFバイアス発生器144、148は、同期して又は同期しないでパルス化させることができ、((b)-4)
整合ネットワーク142、146及び149は、1以上のコンデンサ及びインダクタによって形成することができ、((b)-5)
コンデンサの値は、整合ネットワーク142、146及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整することができ、((b)-5)
整合ネットワーク142、146及び149は、調整可能インダクタを有することができ、((b)-5)
パルスコントローラ160は、パルス制御信号を発生器140、144、148のパルス制御入力140a、144a、148aのそれぞれに印加して、発生器140(例えば、VHFソース電力発生器)及びRFバイアス電力発生器144、148の間で所望の位相進み又は遅れ関係及び/又はデューティサイクル関係を生成するようにプログラム可能であり、同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信され、((b)-6)
発生器140、144、148のそれぞれのパルスRF出力を反映させることができる時間領域波形図は、各発生器140、144、148に対して個別にパルスコントローラ160によって制御される以下のパラメータ:パルス期間tP、パルス「オン」時間tON、パルス「オフ」時間tOFF、パルス周波数1/tP、及び、パルスデューティサイクル(tON/tP)・100%によって特徴付けられる、パルスRF出力のパルスエンベロープ(包絡線)を示し、パルス期間tPは、tONとtOFFとの和であり、((c)-1)
パルス繰り返し周波数は、約0.1KHz~約20KHzの範囲とすることができ、それは、全ての発生器間で同期され、例えば、全ての発生器が同じパルス繰り返し周波数又はその整数倍を共有し、((c)-2)
三つの個別のRF電力波形502、504及び506は、複数の電力レベルでそれぞれ独立してパルス化され、互いに位相がずれた又は変化するデューティサイクルを有することができるものであり、((d)-1)
RF電力波形502、504及び506は、それぞれソース及びバイアス発生器140、144及び148によって供給することができ、((d)-1)
第1のRF波形502は、時刻t0に導入することができ、第1の電力レベル510における第1の電力パルス、第2の電力レベル512における第2の電力パルス、及び、第3の電力レベルにおける第3の電力パルスを含み、これらは三つの対応するRF電力期間tHIGH、tLOW及びtZEROの間に印加され、((d)-2)
第1のRF波形502は、162MHzの周波数で供給することができ、((d)-2)
第1のRF波形502と同様に、第2のRF波形504は、第1の電力レベル522の第1の電力パルス、第2の電力レベル524の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル524の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加され、((d)-3)
第2のRF波形504は、第1のRF波形502と同期させることができ、((d)-3)
第2のRF波形504は、60MHzの周波数で供給することができ、((d)-3)
第1及び第2のRF波形502、504と同様に、第3のRF波形506は、第1の電力レベル532の第1の電力パルス、第2の電力レベル534の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル534の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加され、((d)-4)
第3のRF波形506は、第1のRF波形502及び/又は第2のRF波形504と同期させることができ、((d)-4)
第3のRF波形506は、2MHzの周波数で供給することができ、((d)-4)
マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させるための方法は、第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給することによって開始し、第1のマルチレベルRF電力波形は、発生器140によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有し、((e)-1)
第1のマルチレベルRF電力波形は、RFソース信号であり、((e)-1)
第2のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第2のマルチレベルRF電力波形は、発生器144によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有し、((e)-2)
第3のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第3のマルチレベルRF電力波形は、発生器148によって供給された信号のように、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベル、第2のパルス期間の第2の電力レベル、及び、第3のパルス期間の第3の電力レベルを有する、((e)-3)
方法」
(イ) 引用文献3に記載された事項及び引用文献3技術事項の認定
a 引用文献3に記載された事項
原査定で引用され、本願の優先日前に発行された特開2015-90759号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
(a) 技術分野
「【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体にプラズマ処理を施す技術に係り、特に処理容器内に供給される2種類の高周波のいずれか一方のパワーをパルスに変調するパワー変調方式のプラズマ処理装置に関する。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
…(中略)…
【0017】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するものであり、処理容器内に供給される2種類の高周波のいずれか一方のパワーにパルスで変調をかける場合に、変調をかけない連続波の高周波を供給する高周波給電ライン上の整合器の整合機能により、パルス・オン期間中の投入パワーとパルス・オフ期間中の投入パワーとの比を任意に制御できるようにし、ひいては当該パワー変調方式における期待効果の最適化を図れるようにしたプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のプラズマ処理装置は、被処理体を出し入れ可能に収容する真空排気可能な処理容器内で処理ガスの高周波放電によるプラズマを生成し、前記プラズマの下で前記処理容器内の前記被処理体に所望の処理を施すプラズマ処理装置であって、第1の高周波を出力する第1の高周波電源と、前記第1の高周波電源より出力される前記第1の高周波を前記処理容器の中または周囲に配置される第1の電極まで伝送するための第1の高周波給電ラインと、前記第1の高周波給電ライン上に設けられる可変リアクタンス素子と、前記第1の高周波給電ライン上で第1の高周波電源より見える負荷のインピーダンスを測定する第1のインピーダンスセンサとを有し、前記第1のインピーダンスセンサより出力される負荷インピーダンス測定値が前記第1の高周波電源の出力インピーダンスに対応する所定の整合ポイントに一致または近似するように前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを可変に制御する第1の整合部と、第2の高周波を出力する第2の高周波電源と、前記第2の高周波電源より出力される前記第2の高周波を前記第1の電極または前記処理容器の中または周囲に配置される第2の電極まで伝送するための第2の高周波給電ラインと、前記第2の高周波のパワーがオン状態または第1のレベルになるパルス・オン期間とオフ状態または前記第1のレベルよりも低い第2のレベルになるパルス・オフ期間とを一定の周波数で交互に繰り返すように、前記第2の高周波電源の出力をパルスで変調する高周波パワー変調部とを具備し、前記第1のインピーダンスセンサが、前記パルス・オン期間における負荷インピーダンスの平均値と前記パルス・オフ期間における負荷インピーダンスの平均値とを前記パルスのデューティ比から独立した所望の重みで加重平均して得られる加重平均値に対応した前記負荷インピーダンス測定値を出力する。
【0019】
上記の装置構成においては、第1のインピーダンスセンサより得られる負荷インピーダンス測定値が、加重平均の重みに依存し、変調パルスのデューティ比には依存しない。この負荷インピーダンス測定値を整合目標点とする第1の整合部では、加重平均の重みを一定の範囲内で任意に選定することで、整合ポイントに対するパルス・オン期間における負荷インピーダンスのオフセット量とパルス・オン期間における負荷インピーダンスのオフセット量との比を制御し、それによってパルス・オン期間中の投入パワーとパルス・オフ期間中の投入パワーとの比を任意に制御することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプラズマ処理装置によれば、上記のような構成および作用により、処理容器内に供給される2種類の高周波のいずれか一方のパワーにパルスで変調をかける場合に、変調をかけない連続波の高周波を供給する高周波給電ライン上の整合器の整合機能により、パルス・オン期間中の投入パワーとパルス・オフ期間中の投入パワーとの比を任意に制御することが可能である。このことにより、当該パワー変調方式における期待効果の最適化を図ることができる。」
b 引用文献3技術事項の認定
前記aの引用文献3に記載された事項から、引用文献3には、処理容器内に供給される2種類の高周波のいずれか一方のパワーをパルスに変調するパワー変調方式のプラズマ処理装置に関して、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献3技術事項>
「処理容器内に供給される2種類の高周波のいずれか一方のパワーをパルスに変調するパワー変調方式のプラズマ処理装置において、(【0001】)
第1の高周波を出力する第1の高周波電源と、前記第1の高周波電源より出力される前記第1の高周波を前記処理容器の中または周囲に配置される第1の電極まで伝送するための第1の高周波給電ラインと、前記第1の高周波給電ライン上に設けられる可変リアクタンス素子と、前記第1の高周波給電ライン上で第1の高周波電源より見える負荷のインピーダンスを測定する第1のインピーダンスセンサとを有し、前記第1のインピーダンスセンサより出力される負荷インピーダンス測定値が前記第1の高周波電源の出力インピーダンスに対応する所定の整合ポイントに一致または近似するように前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを可変に制御する第1の整合部と、第2の高周波を出力する第2の高周波電源と、前記第2の高周波電源より出力される前記第2の高周波を前記第1の電極または前記処理容器の中または周囲に配置される第2の電極まで伝送するための第2の高周波給電ラインと、前記第2の高周波のパワーがオン状態または第1のレベルになるパルス・オン期間とオフ状態または前記第1のレベルよりも低い第2のレベルになるパルス・オフ期間とを一定の周波数で交互に繰り返すように、前記第2の高周波電源の出力をパルスで変調する高周波パワー変調部とを具備し、前記第1のインピーダンスセンサが、前記パルス・オン期間における負荷インピーダンスの平均値と前記パルス・オフ期間における負荷インピーダンスの平均値とを前記パルスのデューティ比から独立した所望の重みで加重平均して得られる加重平均値に対応した前記負荷インピーダンス測定値を出力し、(【0018】)
パルス・オン期間中の投入パワーとパルス・オフ期間中の投入パワーとの比を任意に制御することが可能であり、このことにより、当該パワー変調方式における期待効果の最適化を図ることができること。(【0020】)」
(ウ) 引用文献2に記載された事項及び周知技術の認定
a 引用文献2に記載された事項
原査定で引用され、本願の優先日前に発行された国際公開第2017/065855号(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。括弧内の翻訳は、対応する特表2018-536251号公報を参考に、当合議体が作成したものである。
「FIELD
[0001] Embodiments of the present disclosure generally relate to RF power delivery methods used for processing a substrate.」
(分野
[0001] 本開示の実施形態は、概して、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法に関する。)
「BACKGROUND
[0002] In conventional radio frequency (RF) plasma processing, such as that used during stages of fabrication of many semiconductor devices; RF energy, which may be generated in continuous or pulsed wave modes, may be provided to a substrate process chamber via an RF energy source. Due to mismatches between the impedance of the RF energy source and the plasma formed in the process chamber, RF energy is reflected back to the RF energy source, resulting in inefficient use of the RF energy and wasting energy, potential damage to the process chamber or RF energy source, and potential inconsistency/non-repeatability issues with respect to substrate processing. As such, the RF energy is often coupled to the plasma in the process chamber through a fixed or tunable matching network that operates to minimize the reflected RF energy by more closely matching the impedance of the plasma to the impedance of the RF energy source. The matching network ensures that the output of the RF source is efficiently coupled to the plasma to maximize the amount of energy coupled to the plasma (e.g., referred to as tuning the RF power delivery). Thus, the matching network ensures that the total impedance (i.e., plasma impedance + chamber impedance + matching network impedance) is the same as the output impedance of the RF power delivery. In some embodiments, the RF energy source may also be capable of frequency tuning, or adjusting the frequency of the RF energy provided by the RF energy source, in order to assist in impedance matching.」
(背景
[0002] 多くの半導体デバイスの製造段階で使用されるような従来の高周波(RF)プラズマ処理では、連続波又はパルス波モードで生成することができるRFエネルギーは、RFエネルギー源を介して基板処理チャンバに供給することができる。RFエネルギー源のインピーダンスと処理チャンバ内に形成されたプラズマとの間の不整合のために、RFエネルギーはRFエネルギー源に反射し戻され、RFエネルギーの非効率的な使用及びエネルギーの浪費、処理チャンバ又はRFエネルギー源への潜在的な損傷、並びに、基板処理について潜在的にばらつき/非再現性の問題をもたらす。このように、RFエネルギーは、プラズマのインピーダンスをRFエネルギー源のインピーダンスにより厳密に整合させることによって、反射RFエネルギーを最小にするように動作する固定又は調整(同調)可能な整合ネットワークを介して、処理チャンバ内のプラズマに結合されることが多い。整合ネットワークは、RF源の出力がプラズマに効率的に結合されて、プラズマに結合されるエネルギーの量を最大にする(例えば、RF電力供給の調整と呼ばれる。)ことを保証する。したがって、整合ネットワークは、総インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワーク+インピーダンス)が、RF電力供給の出力インピーダンスと同じであることを保証する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー源も、インピーダンス整合を補助するために、周波数同調、すなわちRFエネルギー源によって供給されるRFエネルギーの周波数を調整することが可能であり得る。)
「[0003] In process chambers that use multiple separate RF power signals pulsed at multiple power levels, synchronized RF pulsing is typically used. The multiple separate RF power signals may be pulsed independently out-of-phase with each other, or with varying duty cycle. Synchronization may be accomplished through the use of transistor-transistor logic (TTL) signals. One master generator creates the TTL signal to the other slave generators for synchronization. Each RF generator (masters and slaves) can provide pulsed RF power at independent duty cycles and/or pulse delays.」
([0003] 複数の電力レベルでパルス化された複数の別々のRF電力信号を使用する処理チャンバにおいては、同期されたRFパルスが典型的に使用される。複数の別々のRF電力信号は、互いに独立して位相がずれて、又は、多様なデューティサイクルでパルス化されてもよい。同期は、トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を使用して達成することができる。一つのマスタ発生器は、同期のために他のスレーブ発生器へTTL信号を生成する。各RF発生器(マスタ及びスレーブ)は、独立したデューティサイクル及び/又はパルス遅延でパルスRF電力を供給することができる。)
b 周知技術1の認定
前記aの引用文献2の摘記事項に例示されるように、次に示す技術事項は、本願の優先日前において周知の技術事項であると認められる(以下「周知技術1」という。)。
<周知技術1>
「複数の電力レベルでパルス化された複数の別々のRF電力信号を使用する処理チャンバを用い、同期されたRFパルスを使用する、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法において、同期をトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を使用して行い、一つのマスタ発生器が同期のために他のスレーブ発生器へTTL信号を生成すること。」
ウ 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
a 構成Xの観点
構成Xは、「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法」の発明であることを特定するものである。
(a) 引用発明は、「マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法」の発明であるから、本件補正発明でいう「マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法」の発明であるといえる。
(b) 引用発明は、「整合ネットワーク142、146及び149は、1以上のコンデンサ及びインダクタによって形成することができ[る]」((b)-5)ものである。そして、「コンデンサの値は、整合ネットワーク142、146及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整することができ[る]」((b)-5)ものであるから、引用発明の「コンデンサ」は、本件補正発明の「可変コンデンサ」に相当する。また、引用発明は、「整合ネットワーク142、146及び149は、調整可能インダクタを有することができ[る]」((b)-5)ものであり、当該「調整可能インダクタ」は、本件補正発明の「可変インダクタ」に相当する。
そうすると、引用発明は、本件補正発明でいう「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いる」ものであるといえる。
(c) 前記(a)及び(b)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法」の発明である点。
b 構成Aの観点
構成Aは、「複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF電力波形はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程」を含むことである。
(a)i 引用発明の「RF発生器140」、「RFバイアス発生器144」及び「RFバイアス発生器148」は、本件補正発明の「複数のRF発生器」に相当する。
ii 引用発明の「RF電力波形502、504及び506」は、「複数の電力レベルでそれぞれ独立してパルス化され、互いに位相がずれた、又は変化するデューティサイクルを有することができるものであ[る]」((d)-1)から、本件補正発明の「複数のパルスRF電力波形」に相当する。
iii 引用発明においては、「パルスコントローラ160は、パルス制御信号を発生器140、144、148のパルス制御入力140a、144a、148aのそれぞれに印加して、発生器140(例えば、VHFソース電力発生器)及びRFバイアス電力発生器144、148の間で所望の位相進み又は遅れ関係及び/又はデューティサイクル関係を生成するようにプログラム可能」である((b)-6)。
ここで、パルスコントローラ160が発生器140、144、148のパルス制御入力140a、144a、148aのそれぞれにパルス制御信号を印加するためには、パルスコントローラが当該パルス制御信号を特定する情報を受け取る必要があることは当業者には自明のことである。そして、前記i及びiiも踏まえると、当該パルス制御信号を特定する情報は、本件補正発明でいう「複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピ」に相当するといえる。
そうすると、引用発明は、本件補正発明でいう「複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程」に相当する構成を含むといえる。
(b) 引用発明は、「同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信され[る]」((b)-6)ものであるから、本件補正発明でいう「複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んで[いる]」という構成に相当する構成を備えているといえる。
(c)i 引用発明においては、「RF電力波形502、504及び506は、それぞれソース及びバイアス発生器140、144及び148によって供給することができ[る]」((d)-1)ものであるところ、「同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信される」((b)-6)ことも併せて勘案すると、引用発明の「第1のRF波形502」は、本件補正発明の「マスターRF電力波形」に相当し、引用発明の「第2のRF波形504」及び「第3のRF波形506」はいずれも、本件補正発明の「スレーブRF電力波形」に相当する。
ii 引用発明の「第1のRF波形502」は、「第1の電力レベル510における第1の電力パルス、第2の電力レベル512における第2の電力パルス、及び、第3の電力レベルにおける第3の電力パルスを含み、これらは三つの対応するRF電力期間tHIGH、tLOW及びtZEROの間に印加され[る]」((d)-2)から、本件補正発明でいう「トリプルレベルパルス化(TLP)波形」であるといえる。
iii 引用発明の「第2のRF波形504」は、「第1の電力レベル522の第1の電力パルス、第2の電力レベル524の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル524の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加され[る]」((d)-3)ものである。
また、引用発明の「第3のRF波形506」も、「第1の電力レベル532の第1の電力パルス、第2の電力レベル534の第2の電力パルス、及び、第3電力レベル534の第3電力パルスを含むことができ、これらは三つの対応するRF電力期間中に印加され[る]」((d)-4)ものである。
したがって、引用発明の「第2のRF波形504」及び「第3のRF波形506」はいずれも、本件補正発明でいう「トリプルレベルパルス化(TLP)波形」であるといえる。
(d) 前記(a)~(c)をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成Aの点である次の点において一致する。
「複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ第1以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF電力波形はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程」を含む点。
c 構成Bの観点
構成Bは、「マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程」を含むことである。
(a) 引用発明においては、「同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信され[る]」((b)-6)。
ここで、同期信号は一般に、オン期間とオフ期間を有するパルス状の信号であって、所定のパルス周波数及びデューティサイクルを有することは技術常識である。そして、当該所定のパルス周波数は、本件補正発明の「基本周波数」に相当し、当該デューティサイクルは、本件補正発明の「パルスデューティサイクル」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明にいう「マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有する」「信号を生成する工程」に相当する工程を含むといえる。
(b) そうすると、構成Bの観点における本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。
i 構成Bの観点における一致点
「マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有する信号を生成する工程」を含む点。
ii 構成Bの観点における相違点
マスターRF発生器を使用して生成する、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有する信号が、
本件補正発明においては、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」であるのに対して、
引用発明においては、「同期信号」である点。
d 構成Cの観点
構成Cは、「各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程」を含むことである。
(a) 引用発明においては、「発生器140、144、148のそれぞれのパルスRF出力を反映させることができる時間領域波形図は、各発生器140、144、148に対して個別にパルスコントローラ160によって制御される以下のパラメータ:パルス期間tP、パルス「オン」時間tON、パルス「オフ」時間tOFF、パルス周波数1/tP及びパルスデューティサイクル(tON/tP)・100%によって特徴付けられる、パルスRF出力のパルスエンベロープ(包絡線)を示[す]」((c)-1)ものであり、「パルス繰り返し周波数は、約0.1KHz~約20KHzの範囲とすることができ、それは、全ての発生器間で同期され、例えば、全ての発生器が同じパルス繰り返し周波数又はその整数倍を共有[する]」((c)-2)ものである。
これらのことから、全てのRF発生器、すなわち、発生器140、144、148は、パラメータとしてパルス周波数1/tPがパルスコントローラによって制御されることが理解でき、そのパルス周波数は同じパルス繰り返し周波数又その整数倍であることが理解できる。そうすると、発生器140、144、148には、パルス繰り返し周波数の1を含む整数倍の倍数が実質的に設定されているといえる。
(b) そうすると、構成Cの観点における本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。
i 構成Cの観点における一致点
「各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は所定の周波数の倍数である工程」を含む」点。
ii 構成Cの観点における相違点
各RF発生器に対して設定される乗数がその倍数となる所定の周波数が、
本件補正発明においては、トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号が有する「基本周波数」であるのに対して、
引用発明においては、「パルス繰り返し周波数」である点。
e 構成Dの観点
構成Dは、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」を含むことである。
(a) 本件補正発明においては、トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割し、当該分割に基づきどのような工程を行うのかは何らの特定もない。そうすると、本件補正発明の「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する」ことは、トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期において、単にオン区間とオフ区間を設定するといった広い意味を包含していると解するのが相当である。
ここで、引用発明の「同期信号」についてみると、同期信号は一般に、オン期間とオフ期間を有するパルス状の信号であって、所定のパルス周波数及びデューティサイクルを有することは技術常識であることは前記c(a)で説示したとおりであり、所定のパルス周波数を有することは所定のパルス周期を有することを意味することも踏まえると、当該所定のパルス周期を有する「同期信号」にオン期間とオフ期間が存在するようにすることは、本件補正発明でいう、所定のパルス周期を有する同期信号のパルス周期を「高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」に相当するといえる。
(b) そうすると、構成Dの観点における本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。
i 構成Dの観点における一致点
「所定のパルス周期を有する同期信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」を含む点。
ii 構成Dの観点における相違点
所定のパルス周期を有する同期信号が、
本件補正発明においては、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」であるのに対して、
引用発明においては、限定が無い点。
f 構成Eの観点
構成Eは、「平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程」を含むことである。
(a) 引用発明は、「整合ネットワーク142、146及び149は、1以上のコンデンサ及びインダクタによって形成することができ」((b)-5)、「コンデンサの値は、整合ネットワーク142、146及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整することができ[る]」((b)-5)ものであり、当該調整は、整合ネットワークのインピーダンスを目標インピーダンスに整合させることを意味することは明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明でいう「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調する」ことに相当する構成を備えるといえる。
(b)i 引用発明においては、
「RF電力波形502、504及び506は、それぞれソース及びバイアス発生器140、144及び148によって供給することができ[る]」((d)-1)ものであり、
「第1のRF波形502は、162MHzの周波数で供給することができ」((d)-2)、
「第2のRF波形504は、60MHzの周波数で供給することができ」((d)-3)、
「第3のRF波形506は、2MHzの周波数で供給することができ[る]」((d)-4)ものである。
ii そうすると、引用発明において、RF電力波形502、504及び506の周波数及びこれらを示す信号を決定し、ソース及びバイアス発生器140、144及び148のそれぞれに、RF電力波形502、504及び506の周波数を示す信号を送信する必要があることは当業者には自明のことである。そして、当該決定すべきRF電力波形502、504及び506の周波数は、本件補正発明の「各RF発生器に対する周波数設定点」に相当し、当該RF電力波形502、504及び506の周波数を示す信号は、本件補正発明の「各RF発生器に対する周波数コマンドセット」に相当する。
(c) 前記(a)及び(b)の検討結果をまとめると、構成Eの観点における本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。
i 構成Eの観点における一致点
「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程」を含む点。
ii 構成Eの観点における相違点
1つ以上のRF整合ネットワークを同調させる目標インピーダンスの決定方法が、
本件補正発明においては、「平均インピーダンス値に基づき」「計算[する]」ことであるのに対して、
引用発明においては、特定が無い点。
g 構成Fの観点
構成Fは、「各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程」を含むことである。
(a)i 引用発明は、次の(i)から(iii)までの構成を備える。
(i) 「第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給すること。」((e)-1)
(ii) 「第2のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され[る]」((e)-2)こと。
(iii) 「第3のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され[る]」((e)-3)こと。
ii 上記(i)から(iii)において、各マルチレベルRF電力波形がそれぞれ発生器140、144、148から供給されることは明らかであるから、引用発明は、本件補正発明の「複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程」に相当する工程を備えているといえる。
(b) 引用発明は、前記f(b)における検討を踏まえると、前記(a)の各マルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するに際しては、各発生器140、144、148に送信されるRF電力波形502、504及び506の周波数を示す信号に従い、「第1のマルチレベルRF電力波形」は、「162MHzの周波数で供給」され、「第2のマルチレベルRF電力波形」は、「60MHzの周波数で供給」され、「第3のマルチレベルRF電力波形」は、「2MHzの周波数で供給」されることになることは当業者には自明のことである。そうすると、前記(a)の各マルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給することは、本件補正発明でいう「各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って」供給するものであるといえる。
(c) 前記(a)及び(b)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程」を含む点。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。
i 一致点
「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでおり、マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF電力波形はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有する信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は所定の周波数の倍数である工程と、
所定のパルス周期を有する同期信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法」の発明である点。
ii 相違点
(i) 相違点1
マスターRF発生器を使用して生成する、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有する信号であって、所定のパルス周期を有する同期信号が、
本件補正発明においては、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」であるのに対して、
引用発明においては、「同期信号」である点。
(ii) 相違点2
各RF発生器に対して設定される乗数がその倍数となる所定の周波数が、
本件補正発明においては、トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号が有する「基本周波数」であるのに対して、
引用発明においては、「パルス繰り返し周波数」である点。
(iii) 相違点3
1つ以上のRF整合ネットワークを同調させる目標インピーダンスの決定方法が、
本件補正発明においては、「平均インピーダンス値に基づき」「計算[する]」ことであるのに対して、
引用発明においては、特定が無い点。
エ 相違点についての判断
前記相違点について検討する。
(ア) 相違点1及び2について
相違点1及び2について併せて検討する。
a 当業者は、引用発明において、「マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信され[る]」「同期信号」を具体的にどのような信号にすべきか決定する必要があるところ、前記イ(ウ)bにおいて「周知技術1」として認定したとおり、「複数の電力レベルでパルス化された複数の別々のRF電力信号を使用する処理チャンバを用い、同期されたRFパルスを使用する、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法において、同期をトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を使用して行い、一つのマスタ発生器が同期のために他のスレーブ発生器へTTL信号を生成すること」は、周知の技術事項である。
したがって、引用発明の「同期信号」として、前記周知技術1を採用して、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」を採用することにより、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
b また、引用発明は、「同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信され[る]」((b)-6)ものであり、「パルス繰り返し周波数」は、「全ての発生器間で同期され、例えば、全ての発生器が同じパルス繰り返し周波数又はその整数倍を共有[する]」((c)-2)ものであることを勘案すると、発生器の周波数に対応する整数倍の基礎となる「パルス繰り返し周波数」を「同期信号」の周波数とすることはごく自然なことである。してみると、前記のとおり引用発明の「同期信号」として「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」を採用した構成においては、発生器の周波数に対応する整数倍の基礎となる「パルス繰り返し周波数」は、「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」の周波数、すなわち、相違点2に係る本件補正発明のトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号が有する「基本周波数」となるから、当業者は、相違点2に係る本件補正発明の構成に至ることとなる。
c 以上のとおり、引用発明において周知技術1を採用することにより、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点3について
a 引用発明と引用文献3技術事項は、いずれもプラズマ処理システムという同一の技術分野に属するものであり、また両者は、パルス高周波(RF)電力を用いる点でも共通している。
そして、当業者は、引用発明においても引用文献3技術事項と同様に、「パルス・オン期間中の投入パワーとパルス・オフ期間中の投入パワーとの比を任意に制御することが可能であり、このことにより、当該パワー変調方式における期待効果の最適化を図ることができること」が望ましことを把握できるから、当業者は、引用発明に引用文献3技術事項を適用する動機付けを有する。
したがって、引用発明において、「コンデンサの値」を、「整合ネットワーク142、146及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整する」に際して、引用文献3技術事項の「前記パルス・オン期間における負荷インピーダンスの平均値と前記パルス・オフ期間における負荷インピーダンスの平均値とを前記パルスのデューティ比から独立した所望の重みで加重平均して得られる加重平均値に対応した前記負荷インピーダンス測定値を出力」して、「出力される負荷インピーダンス測定値が前記第1の高周波電源の出力インピーダンスに対応する所定の整合ポイントに一致または近似するように前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを可変に制御する」ことを適用して、例えば発生器140からのプラズマソース電力を介する整合ネットワーク142の整合の調整に際して、第2のRF波形504や第3のRF波形506の各電力レベルに対応する期間における負荷インピーダンスの各平均値を所望の重みで加重平均して得られる加重平均値に対応した負荷インピーダンス測定値を出力して、出力される負荷インピーダンス測定値が発生器140の出力インピーダンスに対応する所定の整合ポイントに一致または近似するようにコンデンサの値を調整することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b そして、前記aの構成における加重平均値に対応した負荷インピーダン測定値は、相違点3に係る本件補正発明の「平均インピーダンス値」に相当する。また、前記aの構成における出力インピーダンスに対応する所定の整合ポイントは、相違点3に係る本件補正発明の「目標インピーダンス」にほかならない。
さらに、「整合ネットワークは、総インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワークインピーダンス)が、RF電力供給の出力インピーダンスと同じであることを保証する」との技術常識(必要であれば、前記イ(ア)a(a)-2や、本願の明細書の従来技術に係る記載である【0002】の記載を参照)を踏まえると、この整合ポイント、すなわち、本件補正発明でいう「目標インピーダンス」は、発生器140の出力インピーダンスと、出力される負荷インピーダンス測定値、すなわち、本件補正発明でいう「平均インピーダンス値」、との差ということになり、整合ポイントは、負荷インピーダンス測定値に基づいて計算されることになるから、当業者は、相違点3に係る本件補正発明の「平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算[する]」との構成に至ることとなる。
c したがって、引用発明に引用文献3技術事項を適用することにより、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
オ 総合評価
前記エにおいて検討したとおり、引用発明において、相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、本件補正発明の構成が奏するものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 請求人の主張について
(ア) 請求人は、本件補正発明の「可変コンデンサ及び可変インダクタを用いることに加えて」、及び「マスターRF電力波形がトリプルレベルパルス化(TLP)波形であり、スレーブRF発生器はトリプルレベルパルス化(TLP)波形、デュアルレベルパルス化(DLP)波形、又はシングルレベルパルス化(SLP)波形である」という構成は、原査定で引用されたいずれの引用文献にも記載されていない旨を主張している。
しかしながら、請求人の主張するいずれの構成においても本件補正発明と引用発明は相違しないことは、前記ウ(ア)a(b)並びに同b(c)ii及びiiiにおいて説示したとおりである
(イ) また、請求人は、本件補正発明によれば、マスターRF電力波形の波形、スレーブRF発生器の波形、及び乗数の組み合わせにより、悪戯に構成を複雑化させることなく、様々な波形を形成し、可変コンデンサ及び可変インダクタのみでは実現が困難である反射電力の最小化を実現することが可能になるという顕著な作用効果を奏する旨を主張している。
しかしながら、本件補正発明が奏する効果としては、本件補正発明の構成が奏するものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできないことは前記オで説示したとおりである。なお、本件補正発明では、「平均インピーダンス値」の具体的な算出方法や、各RF発生器に対する周波数設定点を含む周波数コマンドセットの具体的な決定方法は何ら特定されておらず、本件補正発明で特定されていないこれらの具体的な構成に基づく効果は、本件補正発明の構成が奏するものとは認められない。
(ウ) したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
キ 独立特許要件(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明は、同法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正により特許請求の範囲についてする補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
(5) 本件補正の適否についてのまとめ
前記(2)アにおいて検討したとおり、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当せず、本件補正は、同項の規定に違反するものである。
また、前記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正で特許請求の範囲についてする補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願の請求項1の記載
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1の記載は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載のとおりである(前記第2の1(1)参照。)。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願の請求項1に係る発明についての理由1(明確性)及び理由2(進歩性)の概要は、次のとおりである。
理由1(明確性) 請求項1に係る発明は不明確であるから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(進歩性) 請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献等に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.米国特許第9788405号明細書
2.国際公開第2017/065855号
3.特開2015-090759号公報
3 理由1(明確性)について
請求項1には、「第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、」と記載されているが、前記第2の2(2)ア及び同(3)において説示したのと同様の理由により、当該記載は不明確であるから、請求項1に係る発明は不明確である。
4 理由2(進歩性)について
(1) 本願発明
ア 請求項1における不明瞭な記載の修正
(ア) 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記3のとおり不明確であるところ、「第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程」における「第1デューティサイクル」は「トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期」を意味するものと解することとする(前記第2の2(4)ア(ア)a(a)i参照)。
(イ) また、「基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号」については、「第1デューティサイクル」という語を明細書【0026】の記載における「パルスデューティサイクル」と理解可能であることから、「パルスデューティサイクル」を意味するものとして認定する(前記第2の2(4)ア(ア)a(a)ii参照)。
(ウ) 補正事項4(前記第2の2(1)エ参照)のとおり、「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調することにより各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し」との記載は、正しくは「1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し」とすべきであるから、このように正して認定する。
(エ) その余の点については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 不明瞭な記載を正した本願発明の要旨の認定
前記アの検討を踏まえ、本願発明を次に特定されるとおりのものとして認定する。
<修正した本願発明>
「マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでいる工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及びパルスデューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号のパルス周期を高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
平均インピーダンス値に基づき目標インピーダンスを計算し、1つ以上のRF整合ネットワークを目標インピーダンスに同調するとともに各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法。」
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
各引用文献に記載された事項並びに引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1の認定は、前記第2の2(4)イにおいて示したとおりである。
(3) 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から補正事項1及び補正事項2の限定を省いたものである。
そして、本願発明の発明特定事項を全て含み、当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2(4)において説示したとおり、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
また、本願発明は、同法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-008633