特許拒絶査定不服審判
2017-017119
レシピの進渉状況情報を提示するための方法、機器、及び機械アクセス可能媒体
- 審判番号
- 2017-017119
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-080887外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月20日
- 審決日
- 2019年04月08日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 分類
- P18 .121-WZ (G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-80887「レシピの進渉状況情報を提示するための方法、機器、及び機械アクセス可能媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月14日出願公開、特開2016-129077〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成20年12月17日(パリ条約による優先権主張 2007年12月21日(US)アメリカ合衆国)に出願した特願2008-320921号(以下「原々出願」という。)の一部を平成26年6月3日に新たな特許出願とした特願2014-114640号の一部を平成28年4月14日に新たな特許出願としたものであって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 2月21日付け:拒絶理由通知書
平成29年 5月29日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 7月12日付け:拒絶査定
平成29年11月20日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出
平成30年11月26日付け:当審による拒絶理由通知
平成31年 2月25日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正
書による手続補正を「本件補正」という。
) の提出
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)、請求項2及び請求項3は、各々以下のとおりである。
「【請求項1】
プロセス制御システムのためのレシピ情報を表示するための方法であって、
前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピに関連するユーザーインタフェース画面を表示することと、
前記ユーザーインタフェース画面内に、前記レシピのプロセスフローの配置を示す描写形式で、各々前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つを示しかつ各々の部分的な塗潰し量が各工程フェーズの完了量を示す複数の工程段階進渉表示を表示することと、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて、前記レシピの完了に関する前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を示すレシピ進捗情報を生成することと、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて前記生成された前記レシピ進捗情報に基づいて、リアルタイムで、前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を更新することと、
第1の工程段階進渉表示に対応する前記工程フェーズに関連する複数のパラメータから、前記複数のパラメータのうちの他のものに対する、ユーザが観察する際の相対的重要度に基づいて、パラメータを選択することと、
前記第1の工程段階進渉表示と関連する前記選択されたパラメータを表示することと、
前記パラメータの値の進展の方向性を表示することと、
を含み、
前記複数の工程段階進渉表示に表示される複数の工程フェーズを、ユーザが選択することができる、
方法。
【請求項2】
プロセス制御システムのためのレシピ情報を表示するための機器であって、
前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピと関連して表示するユーザーインタフェース画面を選択するための画面選択部と、
前記ユーザーインタフェース画面内に、前記レシピのプロセスフローの配置を示す描写形式で、各々前記レシピの工程フェーズの少なくとも一つを示しかつ各々の部分的な塗潰し量が各工程フェーズの完了量を示す複数の工程段階進渉表示を表示するユーザーインタフェース管理機能と、
第1の工程段階進渉表示に対応する前記工程フェーズに関連する複数のパラメータから、前記複数のパラメータのうちの他のものに対する、ユーザが観察する際の相対的重要度に基づいて、パラメータを選択するためのパラメータ選択部と、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて、前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を示すレシピ進捗情報を生成し、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて前記生成された前記レシピ進捗情報に基づいて、リアルタイムで、前記パラメータを更新し、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて前記生成された前記レシピ進捗情報に基づいて、リアルタイムで、前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を更新する、
データプロセッサと、
を備え、
前記複数の工程段階進渉表示に表示される複数の工程フェーズを、ユーザが選択することができ、
前記ユーザーインタフェース管理機能は更に、前記第1の工程段階進渉表示と関連する前記選択されたパラメータを表示し、前記パラメータの値の進展の方向性を表示する、
機器。
【請求項3】
前記ユーザーインタフェース管理機能は更に、レシピ進渉状況棒グラフを形成するために第2の工程段階進渉表示に関連する前記第1の工程段階進渉表示を表示し、
前記第1の工程段階進渉表示の第1の塗潰し量が、前記第2の工程段階進渉表示の第2の塗潰し量と連結して、前記レシピの全体的な進渉を表す、
請求項2に記載の機器。」
第3 拒絶の理由
平成30年11月26日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
本件補正前の請求項1ないし3に係る発明は、原々出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された周知技術及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2003-37032号公報
引用文献2:特開2007-5617号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2003-140741号公報
第4 引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載されている発明
(1)引用文献1
引用文献1には、次の事項a~hが記載されている(下線は理解の便のため、当審で付した。以下同じ。)。
a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の処理装置及び処理装置の処理状況表示方法に関する。」
b「【0012】そして、上記加熱ヒータ6へ電力供給、上記流量制御機構10、上記真空引き機構16、上記ボート昇降エレベータ24及び上記昇降エレベータ34等は、コンピュータよりなる制御本体40により自動的に制御されることになる。この場合、前述したように、一連の処理を行うためにレシピと称するプログラムが予め制御本体40内に組み込まれており、必要に応じてレシピが開始できるようになっている。また、このレシピプログラムは、当然のごとく多数のステップよりなり、レシピ実行時には1つずつこのステップを順次消化して行くことになる。また、この制御本体40は内部に日時も含めて時を刻むことができるタイマを有しており、上記レシピの開始及び終了の時刻やレシピ内の各ステップの開始及び終了の時刻等を検知できるようになっている。」
c「【0013】そして、この制御本体40には、例えばマイクロコンピュータ等よりなる時間演算制御手段42が接続されており、この時間演算制御手段42には、例えば書き換え可能なメモリよりなる時間記憶手段44及び液晶表示ディスプレイ(LCD)等よりなる表示手段46がそれぞれ接続されている。上記時間記憶手段44は、少なくもレシピ基準総時間を記憶しており、このレシピ基準総時間は当該レシピを開始してから終了するまでの時間の予測時間、或いは実測時間で定義され、必要な場合には、更新されて新しい実測時間で入れ替えられる。当該レシピが一度も実行されたことがない場合には、このレシピ基準総時間として、経験則に基づいて予め設定される予測時間が記憶され、実際にレシピが実行された時には、この時の実測時間で上記経験則に基づいて設定した予測時間を更新する。
【0014】上記時間演算制御手段42は、少なくともレシピの開始からの経過時間と上記レシピ基準総時間とに基づいてこのレシピの進み具合、すなわち進捗率を求める。この進捗率は次の式で与えられる。
進捗率(%)=[レシピ経過時間/レシピ基準総時間]×100
また、この時間演算制御手段42は、上記進捗率の他に、レシピの終了予定時刻、レシピが終了するまでの残り時間、現在実行中のステップの経過時間等を演算によって求める。例えばレシピの終了予定時刻は次の式で与えられる。
レシピ終了予定時刻=レシピの開始時刻+レシピ基準総時間
また、レシピ終了までの残り時間は次の式で与えられる。
残り時間=レシピ基準総時間-レシピ経過時間
【0015】上記表示手段46は、上記各求めた時間、或いは時刻を視覚的に表示するものである。従って、ここでは図2に示すように、この表示手段46は、上記進捗率を表示する進捗率表示部46A、上記経過時間を表示する経過時間表示部46B、レシピの開始時刻と終了予定時刻とを表示する時刻表示部46C、上記残り時間を表示する残り時間表示部46D、現在実行中のステップの経過時間を表示するステップ経過時間表示部46E及び現在実行中のステップ名を表示するステップ表示部46Fをそれぞれ有している。上記ステップ表示部は図示例では3つの表示欄があって現在実行中のステップ名が常に中央に位置するように表示され、1つのステップが終了する毎に上方へ、或いは下方へ表示が1欄ずつスクロールされる。図示例では中央のステップ名が、他よりも輝いて(明るく)表示されており、現在実行中である旨を示している。」
d「【0016】次に、以上のように構成された本実施例の動作について、図4に示すフローも参照して説明する。ここでは、半導体ウエハWに対する処理として成膜を行う場合を例にとって説明する。この成膜処理を行うには、予めプログラム化されたレシピを作成し、このプログラムを実行することにより、成膜が行われる。前述したように、このレシピは、多数のステップにより構成されており、図3にレシピを構成する各ステップと、その時のウエハ温度との関係を示している。図示例では、説明の簡単化のために全部で7つのステップしか記載していないが、実際には、数100のステップを有している。
【0017】ステップ1は5分程度要し、室温の処理容器4の温度をウエハのロードを行う温度、例えば200℃まで昇温する。ステップ2は10分程要し、処理容器4内へウエハをロードする。ステップ3は8分程要し、ウエハをプロセス温度(成膜温度)例えば600℃程度まで昇温する。ステップ4は20分程要し、ウエハ温度をプロセス温度にて安定化させる。ステップ5は120分程要し、成膜ガスを流して実際に膜付け(成膜処理)を行う。ステップ6は8分程要し、ウエハ温度をアンロード可能な温度、例えば200℃程度まで降温する。ステップ7は9分程要し、ウエハボート30を降下させてアンロードする。以上の各ステップ1~7を実行することにより、レシピの実行が1回終了することになる。
【0018】まず、時間記憶手段44には、予めレシピ基準総時間が記憶されている。ここでは、直前に行ったこのレシピの開始から終了までに要した時間を、更新して記憶しておくものとする。この時のレシピ基準総時間は、一例として図3に示されているような時間とし、180分間が終了に要している。また、図3には、各ステップ1~7を実行するための時間の内訳も示している。図2の表示内部について説明すると、このレシピの開始時刻は2時10分30秒であり、終了予定時刻は、レシピ基準総時間(180分)後の5時10分30秒である。現在のレシピ開始後の経過時間は1時間(60分)であり、従って、レシピ終了後までの残り時間は、2時間(120分=180分-60分)である。この時のレシピの進捗率は33%(=60分/180分)である。現在実行中のステップは”ステップ5”であり、そのステップ5を開始してからの経過時間は17分である。」
e「【0019】次に、図4を用いて一連の各工程の流れについて説明する。尚、これ以降説明するフローの各ステップは、例えば制御本体40より発せられる基準クロックに基づいて順次実行される。まず、制御本体40の指令によりレシピが開始されたか否かが判断され(S1)、レシピが開始されるとタイマの計測が開始される(S2)。そして、このレシピの開始時刻及びレシピの進行にともなう経過時間が、時間演算制御手段42の指示により表示手段46の所定の表示部、すなわち、時刻表示部46Cの開始時刻の欄及び経過時間表示部46Bにそれぞれ表示される(S3)。次に、時間演算制御手段42は、上記レシピの開始時間と、時間記憶手段44に記憶されているレシピ基準総時間とに基づいてこのレシピの終了予定時刻を求め(S4)、その時刻を表示手段46の時刻表示部46Cの終了予定時刻の欄に表示する(S5)。次に、上記時間演算制御手段42は、上記レシピ基準総時間と経過時間とに基づいてレシピが終了するまでの残り時間を求め(S6)、この求めた残り時間を表示手段46の残り時間表示部46Dに表示する(S7)。
【0020】次に、上記時間演算制御手段42は、上記レシピ基準総時間と経過時間とに基づいてレシピの進捗率を求め(S8)、この求めた進捗率を表示手段46の進捗率表示部46Aに表示する(S9)。次に、時間演算制御手段42は、現在実行中のステップ名を、表示手段46のステップ表示部46Fの中央の欄に輝度を増した状態で表示する(S10)。次に、時間演算制御手段42は、現在実行中のステップの開始からの経過時間を計測すると共に、その経過時間を表示手段46のステップ経過時間の表示部46Eに表示する(S11)。尚、このステップの経過時間は、制御本体40側で計測するようにしてもよい。そして、レシピが終了したか否かが判断され(S12)、NOの場合には、まだ処理が実行中なのでステップS3へ戻って上述した各ステップが繰り返し行われる。そして、レシピが終了したならば(S12のYES)、このレシピを実行するのに要した実測時間で、上記時間記憶手段44に記憶されているレシピ基準総時間を更新する(S13)。これにより、一連の処理が完了することになる。」
f「【0021】これにより、操作者はレシピの時間的な進捗率を常時確認することができるので、例えば次の処理等のための準備作業を適切なタイミングで着手することができる。この場合、このレシピが終了するまでの残り時間と終了予定時刻の両者、或いはいずれか一方も併せて確認することができるので、例えばより一層適切なタイミングで次の処理等のための準備作業に着手することができる。ここで、図4に示すフローの内、ステップS3~ステップS11において、時刻を求めて表示する一連の工程は、どの種類のものから着手してもよく、その順序は問わない。また、ここでは時間記憶手段44に記憶しているレシピ基準総時間は、レシピを実行する毎にその時のレシピ終了までの実測時間で更新するようにしているが、これに限定されず、これをレシピを複数回実行する毎、或いは複数回実行したならばその複数回の平均の実測時間で更新するようにしてもよい。
【0022】ただし、例えば新しいレシピを作成して初めて実行するような場合には、前述したように、このレシピ基準総時間としては、過去の経験則に基づいて算出した総時間が使用される。この場合、各ステップの所要時間は、或る程度の時間的余裕を組み込んで総時間を求めるようにする。また、経験則だけではなく、各ステップに設定されている時間の総時間を使用してもよい。また、ここでは処理の一例として成膜処理の場合を例にとって説明したが、これに限定されず、酸化拡散処理、エッチング処理、改質処理、アニール処理等の全ての処理について本発明を適用できるのは勿論である。また、処理装置の形態も、バッチ式の処理装置であればよく、図1に示した装置例に限定されない。また、被処理体としては半導体ウエハに限定されず、LCD基板、ガラス基板等にも本発明を適用し得る。」
g「【図面の簡単な説明】
・・・(省略)・・・
【図2】表示手段の表示面を示す平面図である。
・・・(省略)・・・」
h「【図2】
」
上記記載事項a~hを、技術常識を踏まえて整理すると、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「バッチ式処理装置用のレシピ情報を表示するための方法であって、
前記バッチ式処理装置において実行されている、複数のステップを含むレシピに関連する表示手段46の表示面を表示すること、
ステップ表示部46Fは、1つのステップが終了する毎に1欄ずつスクロールされる形式で、現在実行中のステップ名を3つの表示欄の中央で他よりも明るく表示すること、
進捗率表示部46Aは、前記現在実行中のステップの進み具合を示すように、[レシピ経過時間/レシピ基準総時間]×100(百分率)で定義される進捗率を表示すること、
時間演算制御手段42は、制御本体40からの指令により、前記現在実行中のステップの前記進捗率を生成し、前記進捗率に基づきリアルタイムで、前記進捗率表示部46Aの表示を更新すること、
を含む方法。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「バッチ式処理装置」は、半導体ウェハや各種基板の成膜処理やエッチング処理等の全ての処理に適用可能であるから、本願発明の「プロセス制御システム」に相当するものであり、引用発明の「複数のステップを含むレシピ」は、本願発明の「複数の工程フェーズを含むレシピ」に相当する。
引用発明の「表示手段46の表示面」は、本願発明の「ユーザインターフェース画面」に相当する。
引用発明の「前記バッチ式処理装置において実行されている、複数のステップを含むレシピに関連する表示手段46の表示面を表示すること」は、本願発明の「前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピに関連するユーザーインタフェース画面を表示すること」に相当する。
引用発明の「ステップ表示部46Fは、1つのステップが終了する毎に1欄ずつスクロールされる形式で、現在実行中のステップ名を3つの表示欄の中央で他よりも明るく表示すること」は、本願発明の「前記ユーザーインタフェース画面内に、前記レシピのプロセスフローの配置を示す描写形式で、各々前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つを示」(す)ことに相当する。
引用発明の「進捗率表示部46Aは、前記現在実行中のステップの進み具合を示すように、[レシピ経過時間/レシピ基準総時間]×100(百分率)で定義される進捗率を表示すること」と、本願発明の「各々の部分的な塗潰し量が各工程フェーズの完了量を示す複数の工程段階進渉表示を表示すること」は、「実行中の工程フェーズの完了量を示す工程段階進渉表示を表示すること」を限度として一致する。
引用発明の「時間演算制御手段42は、制御本体40からの指令により、前記現在実行中のステップの前記進捗率を生成し、前記進捗率に基づきリアルタイムで、前記進捗率表示部46Aの表示を更新すること」と、本願発明の「前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて、前記レシピの完了に関する前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を示すレシピ進捗情報を生成すること」及び「前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて前記生成された前記レシピ進捗情報に基づいて、リアルタイムで、前記複数の工程段階進渉表示の少なくとも1つの部分的な塗潰し量を更新すること」は、「プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて、現在実行中のレシピの進捗率を生成し、前記進捗率に基づきリアルタイムで、進捗率表示部の表示を更新すること」を限度として一致する。
そうすると、引用発明は、以下の点で本願発明と一致し、また相違する。
<一致点>
「プロセス制御システムのためのレシピ情報を表示するための方法であって、
前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピに関連するユーザーインタフェース画面を表示することと、
前記ユーザーインタフェース画面内に、前記レシピのプロセスフローの配置を示す描写形式で、各々前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つを示しかつ現在実行中の工程フェーズの完了量を示す工程段階進渉表示を表示することと、
前記プロセス制御システムから受け取った情報に基づいて、現在実行中のレシピの進捗率を生成し、前記進捗率に基づきリアルタイムで、進捗率表示部の表示を更新することと、
を含む方法。」
<相違点1>
本願発明は、複数の工程フェーズの完了量を示す複数の工程段階進渉表示を塗潰し量で表示するのに対し、引用発明は、現在実行中のステップの進捗率のみを百分率(数字)で表示するものであり、塗潰し量で表示するものではない点。
<相違点2>
本願発明は「第1の工程段階進渉表示に対応する前記工程フェーズに関連する複数のパラメータから、前記複数のパラメータのうちの他のものに対する、ユーザが観察する際の相対的重要度に基づいて、パラメータを選択」し、「前記第1の工程段階進渉表示と関連する前記選択されたパラメータを表示」し、「前記パラメータの値の進展の方向性を表示する」のに対し、引用発明は、現在実行中のステップに関連するパラメータを相対的重要度に基づいて、選択的に表示するものではなく、当該パラメータの値の進展の方向性を表示するものでもない点。
<相違点3>
本願発明は「前記複数の工程段階進渉表示に表示される複数の工程フェーズを、ユーザが選択することができる」のに対し、引用発明は、1つのステップが終了する毎に1欄ずつスクロールされる形式であり、表示する複数のステップをユーザが選択可能ではない点。
第6 判断
相違点1ないし3について各々検討する。
1 相違点1について
プロセス制御システムにおけるユーザインターフェース画面において、複数アイテムの処理進捗状況を複数の帯状体の塗潰し量を用いて表示する技術は、引用文献2(段落0076及び図8の、ウェハW毎の搬送の進捗状況を示すプログレッシブバーを参照。)にも示されているように、原々出願の優先日前から周知のものにすぎない。
そうすると、引用発明に対して、引用文献2に記載された周知の表示方法を適用して、複数のステップの進捗率を、プログレッシブバーの如き塗潰し量により表示することは、当業者であれば容易に想到し得る。
2 相違点2について
引用文献3には、次の事項a及びbが記載されている。
a「【0038】図2は、プラント8の運転の進捗状況を表す進捗状況画面211の一例である。なお、説明の便宜上、この例では、プラント8の工程を工程A、工程B、工程Cおよび工程Dの4つに区分している。
【0039】進捗状況画面211は、スタートのブロック31s、工程Aの工程表示ブロック310、工程Bの工程表示ブロック320、工程Cの工程表示ブロック330、工程Dの工程表示ブロック340および終了のブロック31eが工程順に直列および並列に並べられ、各ブロックは直線で接続したブロック図形式で構成されている。」
b「【0041】工程Aの確認操作ブロック314の右側には、工程Aに関係のあるプラント8のプラント状態を示す流量および液面が表示されている。同様に、工程Bの確認操作ブロック323の右側には、工程Bに関係のあるプラント8のプラント状態を示す温度が表示されている。これにより、プラント8の運転の進捗状況と合わせてプラント8の運転状態を把握することできる。」
上記記載事項a及びb並びに図2から、引用文献3には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「複数の工程を有するプラント8の進捗状況画面211において、各工程の確認操作ブロックの右側には当該工程に関係のあるプラント8のプラント状態を示す物理量を表示することにより、プラント8の運転の進捗状況と合わせてプラント8の運転状態を把握することができる技術。」
また、プロセス監視装置又は表示装置の表示画面において、測定値の現在値に加えて、測定値の時間的な進展の方向性を併せて表示することは、特開平1-287419号公報(第2ページ左上欄第18行ないし同右上欄第20行及び第2図を参照。)、実願平2-16520号(実開平3-109011号)のマイクロフィルム(明細書第9ページ第8行ないし同第13ページ第6行及び第1図を参照。)及び特開昭61-181971号公報(第1ページ右下欄第20行ないし第2ページ左下欄第5行及び第1図を参照。)にも示されているように、原々出願の優先日前から周知の技術的事項にすぎない。
そうすると、引用発明において、バッチ式処理装置のステップの進捗状況に加えて当該装置の運転状態を把握することは当業者にとって自明な課題であり、当該課題を解決する目的で、引用文献3に記載されている技術的事項を適用することは、当業者であれば容易に想到し得る。
そして、その際に、表示対象として、何を選択するかは必要に応じて適宜選択する程度の事項であり、各ステップにおいて相対的に重要な物理量を選択することは、当業者にとって自明である。また、上記周知の技術的事項に鑑みれば、物理量の現在値に加えて、当該物理量の時間的な変化の傾向をも併せて表示することは、当業者が発明の実施に際し適宜なし得る事項であったと認められる。
3 相違点3について
引用発明は、1つのステップが終了する毎に1欄ずつスクロールされる形式で、現在実行中のステップ名を3つの表示欄の中央で表示するものである。ここで、本願発明は、複数の工程段階進渉表示に表示される複数の工程フェーズを、ユーザが選択することができるものであるが、ユーザが表示対象として如何なる工程フェーズを選択するかという点は何も特定されていないので、引用発明と本願発明との間には実質的な差異を認めることができない。
したがって、相違点3は実質的な相違点とはなり得ないものである。
なお、仮に本願発明が、現在実行中の工程フェーズを含む複数の工程フェーズを、表示対象として選択するものであるならば、本願発明と引用発明は、現在実行中の工程フェーズを含む、レシピの実行状態を表示する点において差異はない。
4 効果について
本願発明の奏する効果も、引用発明、引用文献2に記載された周知技術、引用文献3に記載された技術的事項、及び、上記周知の技術的事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。
5 請求人の主張について
請求人は、平成31年2月25日提出の意見書において
「引用文献3の発明は、プラント8のプラント状態を示すのに対し、本願発明は、パラメータの値の進展の方向性を表示する点で相違しています。
なお、引用文献1、2にも本願発明の上記特徴は開示されていません。」
と主張しているので、これについても検討する。
引用文献3の記載事項bによれば、流量及び液面は工程Aに関係のあるプラント8のプラント状態を示すものであるから、プラント状態を示す物理量であって、本願発明の「パラメータ」に対応する。
ここで、引用文献1ないし3には、パラメータの値の進展の方向性を表示することは記載されていないが、上記「2 相違点2について」でも指摘したとおり、プロセス監視装置又は表示装置の表示画面において、測定値の現在値に加えて、測定値の時間的な進展の方向性を併せて表示することは、特開平1-287419号公報、実願平2-16520号(実開平3-109011号)のマイクロフィルム、及び、特開昭61-181971号公報にも記載されているとおり、原々出願の優先日前から周知の技術的事項にすぎない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、原々出願の優先日前に、引用発明、引用文献2に記載された周知技術、引用文献3に記載された技術的事項、並びに、特開平1-287419号公報、実願平2-16520号(実開平3-109011号)のマイクロフィルム、及び、特開昭61-181971号公報に記載された周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-017119