審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2017-017012

還元剤噴射装置、排ガス処理装置及び排ガス処理方法

審判番号
2017-017012
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-506806外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年11月16日
審決日
2018年07月09日
公報発行日
2018年10月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-506806号「還元剤噴射装置、排ガス処理装置及び排ガス処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月25日国際公開、WO2014/148506〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)3月18日(優先権主張2013年(平成25年)3月22日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年6月29日付けで拒絶理由が通知され、平成29年8月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年9月11日付け(発送日:平成29年9月19日)で拒絶査定がされ、これに対して平成29年11月16日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし14に係る発明は、国際出願時の明細書、平成29年8月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに国際出願時の図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 流体の流路となり流体の流入側の端面である第1端面から流体の流出側の端面である第2端面まで延びる複数のセルを、区画形成する隔壁を有する筒状のハニカム構造部、及び前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部を有するハニカム構造体と、 尿素水溶液を霧状に噴霧する尿素噴霧装置とを備え、 前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、 前記尿素噴霧装置から噴霧された前記尿素水溶液が、前記ハニカム構造部の前記第1端面から前記セル内に供給され、前記セル内に供給された前記尿素水溶液中の尿素が、通電加熱された前記ハニカム構造部内で加熱されて加水分解されて、アンモニアが生成し、前記アンモニアが前記第2端面から前記ハニカム構造部の外側に排出され、前記アンモニアが外部に噴射される還元剤噴射装置。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由(拒絶査定における理由)は、本願の請求項1ないし14に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1ないし7に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 ・請求項1 ・引用文献1ないし5 引用文献1あるいは2記載の還元剤噴射装置は、ハニカム構造部を加熱するための構造としてヒータを備えているのに対し、請求項1に係る発明の還元剤噴射装置は、ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部を用いてハニカム構造部を加熱する点で、両者は相違している。しかし、排ガス処理装置の技術分野において、ハニカム構造部を加熱する手段として、ハニカム構造部の側面に一対の電極部を備えた、いわゆるEHC(電気加熱式触媒)を採用することは、周知技術である。(例えば、引用文献3の段落[0023],図2、引用文献4の段落[0029],図1、あるいは引用文献5の段落[0020]-[0022],図1,図10参照。) そして、引用文献1あるいは2記載のヒータと、上述した周知のEHCとは、何れもハニカム構造体に担持された触媒を活性化させるべくハニカム構造体を加熱する手段である点で、作用・機能が共通しているから、引用文献1あるいは2記載のヒータによる加熱構造に代えて、上述した周知のEHCによる加熱構造を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 ・請求項2ないし7 ・引用文献1ないし5 ・請求項8ないし13 ・引用文献1ないし6 ・請求項14 ・引用文献1ないし7 <引用文献一覧> 1.特開2012-197695号公報(審決注:本審決の引用文献1) 2.特開2005-344597号公報 3.特開2012-30215号公報(審決注:本審決の引用文献2) 4.特開平4-280086号公報(審決注:本審決の引用文献3) 5.国際公開第2012/108047号 6.特開2011-78899号公報 7.特開2010-229978号公報 第4 引用文献 1.引用文献1 (1)引用文献1の記載 原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特願2012-197695号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「尿素水改質器及びこれを用いた排ガス浄化装置」に関して、図1、2、5及び6とともに以下の記載がある。(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。) 1a)「【0009】 本発明の第1の観点は、図1及び図2に示すように、キャリアガス源14から供給されたキャリアガスを加熱するキャリアガス加熱部16と、キャリアガス加熱部16により加熱されたキャリアガスを噴射するキャリアガス噴射ノズル17と、キャリアガス噴射ノズル17から噴射されたキャリアガスにより尿素水18が微粒化されるように尿素水18をキャリアガス噴射ノズル17の先端に供給する第1尿素水供給ノズル21と、キャリアガス噴射ノズル17に対向して設けられ上記微粒化した尿素水18を分解してアンモニアガス22に改質する触媒部23と、触媒部23の出口から排出されたアンモニアガス22をエンジン11の排気管12に供給するように排気管12に取付けられるアンモニアガス供給ノズル24とを有する尿素水改質器である。 【0010】 本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、キャリアガス加熱部16、キャリアガス噴射ノズル17、第1尿素水供給ノズル21及び触媒部23が改質器ハウジング26に収容され、改質器ハウジング26がアンモニアガス供給ノズル24の基端に接続されたことを特徴とする。」 1b)「【0015】 本発明の第1の観点の尿素水改質器では、キャリアガス源から供給されたキャリアガスをキャリアガス加熱手段が加熱し、この加熱されたキャリアガスをキャリアガス噴射ノズルから噴射し、第1尿素水供給ノズルから供給された尿素水を上記キャリアガス噴射ノズルから噴射されたキャリアガスにより微粒化し、更に微粒化した尿素水が触媒部で分解されてアンモニアガスに改質されるので、尿素水を触媒部でアンモニアガスに効率良く改質できる。また尿素水が比較的低い温度で尿素水噴出部から噴射されるため、尿素水が十分に微粒化しない従来の排ガス脱硝装置と比較して、本発明では、尿素水を十分に微粒化することができる。」 1c)「【0022】 次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。 <第1の実施の形態> 図1及び図2に示すように、ディーゼルエンジン11の排気管12には尿素水改質器13が設けられる。この尿素水改質器13は、キャリアガス源14から供給されたキャリアガスを加熱するキャリアガス加熱部16と、キャリアガス加熱部16により加熱されたキャリアガスを噴射するキャリアガス噴射ノズル17と、キャリアガス噴射ノズル17から噴射されたキャリアガスにより尿素水18が微粒化されるように尿素水18をキャリアガス噴射ノズル17の先端に供給する第1尿素水供給ノズル21と、この微粒化した尿素水18を分解してアンモニアガス22に改質する触媒部23と、触媒部23の出口から排出されたアンモニアガス22をエンジン11の排気管12に供給するアンモニアガス供給ノズル24とを有する。上記キャリアガス加熱部16、キャリアガス噴射ノズル17、第1尿素水供給ノズル21及び触媒部23は、鉛直方向に延びる円筒状の改質器ハウジング26に収容され、この改質器ハウジング26の下端はアンモニアガス供給ノズル24の上端に接続される。これにより改質器ハウジング26をアンモニアガス供給ノズル26とともに排気管12に比較的容易に取付けることが可能となる。またキャリアガス源14は、この実施の形態では、コンプレッサ(図示せず)により圧縮されたキャリアガス(エア)を貯留するキャリアガスタンク(エアタンク)である(図2)。なお、キャリアガス源は、キャリアガスタンク(エアタンク)を用いずに、大気中のエア、エンジンの排ガス又はこれらの混合ガスをキャリアガス加熱部に供給するコンプレッサにより構成してもよい。」 1d)「【0025】 一方、第1尿素水供給ノズル21は、改質器ハウジング26の鉛直方向の略中央の外周面から水平に延びて挿入される。具体的には、第1尿素水供給ノズル21は、その先端部が加熱部ケース27下端のキャリアガス噴射ノズル17の先端より僅かに下方に位置するように改質器ハウジング26に水平に挿入される。また第1尿素水供給ノズル21の先端は閉止され、第1尿素水供給ノズル21の先端部のうちキャリアガス噴射ノズル17の先端に対向する位置には鉛直方向に貫通する尿素水供給孔21aが形成される。このように第1尿素水供給ノズル21を構成することにより、キャリアガス噴射ノズル17から噴射されたキャリアガスにより第1尿素水供給ノズル21の尿素水供給孔21aに供給された尿素水18が吹き飛ばされて微粒化されるとともに、その温度が上昇するようになっている。」 1e)「【0026】 触媒部23は、この実施の形態では、キャリアガス噴射ノズル17に対向しかつ第1尿素水供給ノズル21から比較的大きな間隔をあけて下方に設けられた第1触媒部23aと、第1触媒部23aより比較的小さな間隔をあけて下方に設けられた第2触媒部23bとからなる。第1及び第2触媒部23a,23bは同一に構成される。具体的には、第1及び第2触媒部23a,23bはモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に、チタニア、ジルコニア又はゼオライトをコーティングして構成される。チタニアからなる第1及び第2触媒部23a,23bは、チタニアを含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。またジルコニアからなる第1及び第2触媒部23a,23bは、ジルコニアを含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。更にゼオライトからなる第1及び第2触媒部23a,23bは、ゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。なお、上記コージェライト製のハニカム担体は、ステンレス鋼により形成されたメタル担体であってもよい。」 1f)「【0028】 一方、第1触媒部23aにはこの第1触媒部23aを直接加熱可能な第1グロープラグ41が挿入され、第2触媒部23bにはこの第2触媒部23bを直接加熱可能な第2グロープラグ42が挿入される。第1グロープラグ41は第1触媒部23aの鉛直方向の中央から水平方向に延びて挿入され、第2グロープラグ42は第2触媒部23bの鉛直方向の中央から水平方向に延びて挿入される。上記第1及び第2グロープラグ41,42は、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取付けられエンジンの燃焼室内を予熱するグロープラグと略同一に構成され、金属チューブに電熱線が組込まれた構造となっている。またアンモニアガス供給ノズル24はエンジン11の排気管12に取付けられる。アンモニアガス供給ノズル24は、円筒状に形成されたノズル本体24aと、このノズル本体24aの上端にノズル本体24aと一体的に形成されたフランジ部24bとからなる。ノズル本体24aの下面は排ガス上流側から排ガス下流側に向ってノズル本体24aの長さが次第に短くなる傾斜面に形成される。フランジ部24bは、排気管12に設けられたフランジ部12aに取付けられる。」 1g)「【0040】 (NH2)2CO+H2O → 2NH3+CO2 ……(1) 上記式(1)は、尿素水18がアンモニアガス22に分解する化学反応式を示す。ここで、第1触媒部23aに流入する直前の微粒化した尿素水18の温度は90~150℃である。また、第1触媒部23aが第1グロープラグ41により直接加熱され、第1触媒部23aの温度が微粒化した尿素水18をアンモニアガス22に改質できる温度(例えば、200~300℃)に維持されるので、微粒化した尿素水18の第1触媒部23aにおけるアンモニアガス22への改質効率を向上できる。更に微粒化した尿素水18が第1触媒部23aでアンモニアガス22に改質されずに第1触媒部23aを通過すると、第1分散板31に衝突する。この第1分散板31に衝突した尿素水18は第1分散板31から熱を奪ってアンモニアガス22に分解されるので、アンモニアガス22の生成量を増大できる。 【0041】 なお、微粒化した尿素水18がアンモニアガス22に改質されずにそのまま第1触媒部23a及び第1分散板31を通過すると、この微粒化した尿素水18は第2触媒部23bで分解してアンモニアガス22に改質される。ここで、第2触媒部23bが第2グロープラグ41により直接加熱され、第2触媒部23bの温度が微粒化した尿素水18をアンモニアガス22に改質できる温度に維持されるので、微粒化した尿素水18の第2触媒部23bにおけるアンモニアガス22への改質効率を向上できる。また微粒化した尿素水18が第2触媒部23bでアンモニアガス22に改質されずに第2触媒部23bを通過すると、第2分散板32に衝突する。この第2分散板32に衝突した尿素水18は第2分散板32から熱を奪ってアンモニアガス22に分解されるので、アンモニアガス22の生成量を増大できるとともに、排気管12への尿素水18の液滴の流入を阻止できる。」 1h)「【0050】 次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。 <実施例1> 図2に示すように、排気量が8000ccである直列6気筒のターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管12に選択還元型触媒51を設けた。この選択還元型触媒51は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銅系の触媒であった。また選択還元型触媒51より排ガス上流側の排気管12に、尿素水18を分解してアンモニアガス22に改質する尿素水改質器13を接続して、尿素水改質器13のアンモニアガス供給ノズル24を排気管12に挿入した。この尿素水改質器13は、図1及び図2に示すように、キャリアガスタンク(エアタンク)14から供給されたキャリアガス(エア)を加熱するキャリアガス加熱部16と、キャリアガス加熱部16により加熱されたキャリアガスを噴射するキャリアガス噴射ノズル17と、キャリアガス噴射ノズル17から噴射されたキャリアガスにより尿素水18が微粒化されるように尿素水18をキャリアガス噴射ノズル17の先端に供給する第1尿素水供給ノズル21と、この微粒化した尿素水18を分解してアンモニアガス22に改質する触媒部23と、触媒部23の出口から排出されたアンモニアガス22をエンジン11の排気管12に供給する上記アンモニアガス供給ノズル24とを有する。触媒部23は、第1及び第2触媒部23a,23bからなり、チタニアを含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作成された触媒であった。またアンモニアガス供給ノズル24より排ガス上流側の排気管12に、尿素水18を供給する尿素水供給手段53の第2尿素水供給ノズル52を設けた。ここで、この排ガス浄化装置を実施例1とした。」 1i)上記1g)における記載、特に尿素水18がアンモニアガス22に分解する化学式「(NH2)2CO+H2O → 2NH3+CO2 ……(1)」から、尿素水18中の尿素が第1触媒部23a及び第2触媒部23bからなる触媒部23において加熱されて加水分解されることによりアンモニアガス22が生成することが分かる。 1j)上記1e)及び図1の記載から、第1及び第2触媒部23a、23bからなる触媒部23は、入口から出口まで延びる複数のセルを形成する隔壁を有する筒状のハニカム担体から構成されることが分かる。 (2)引用発明 上記(1)及び図1、2、5及び6の記載からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「入口から出口まで延びる複数のセルを形成する隔壁を有する筒状の、ハニカム担体から構成される触媒部23と、 尿素水18を微粒化して供給するキャリアガス噴射ノズル17及び第1尿素水供給ノズル21とを備え、 前記キャリアガス噴射ノズル17及び第1尿素水供給ノズル21により微粒化して供給された前記尿素水18が、前記ハニカム担体から構成される触媒部23の入口から前記セル内に供給され、前記セル内に供給された前記尿素水18中の尿素が、第1グロープラグ41及び第2グロープラグ42により加熱された前記ハニカム担体から構成される触媒部23内で加熱されて加水分解されて、アンモニアガス22が生成し、前記アンモニアガス22が前記出口から、ハニカム担体から構成される触媒部23の外側に排出され、前記アンモニアガス22がエンジン11の排気管12に供給される尿素水改質器。」 2.引用文献2 (1)引用文献2の記載 原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特開2012-30215号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「ハニカム構造体及びその製造方法」に関して、図1及び2とともに以下の記載がある。 2a)「【0002】 自動車等の車両の排ガス管内には、排ガス浄化を行うための触媒コンバータが用いられる。この触媒コンバータとしては、例えばPt、Pd、Rh等の触媒が担持されたハニカム体が用いられる。 ところで、触媒の活性化には例えば温度400℃程度の加熱が必要になる。そのため、ハニカム体の表面に一対の電極を形成し、一対の電極に通電を行ってハニカム体を加熱する電気加熱式触媒コンバータ(EHC)が開発されている。」 2b)「【0005】 しかしながら、電気加熱式触媒コンバータにおいては、ハニカム体を、触媒活性を発現する温度になるまで迅速かつ均一に昇温する必要がある。そのため、一対の電極には、耐熱性及び耐酸化性が要求されるのみならず、使用時にハニカム構造体の抵抗値が変動し難い等の性質としての電気的接合信頼性、及び使用時に電極の剥離、破損等を生じ難い性質としての機械的接合信頼性が要求される。 かかる要求を満たすためには、上記特許文献1、2に開示された技術では不十分であり、更なる工夫が必要とされる。」 2c)「【0022】 以下に、本発明のハニカム構造体及びその製造方法に係る実施例につき、図面を参照して説明する。 本例のハニカム構造体1は、図1に示すごとく、基材としてのハニカム体2に対して一対の電極11としての導電セラミックス層4及び中間層3を形成してなる。ハニカム体2は、SiC(炭化珪素)を主成分(不可避的不純物を含むことがある。)とする気孔率30~50%の多孔質セラミックスによって、セル形成部21とセル形成部21の周囲を覆う外皮部22とを形成してなる。導電セラミックス層4は、SiC(炭化珪素)、Si(珪素)及びC(炭素)を含有し、外皮部22の表面に一対に設けられている。中間層3は、SiC(炭化珪素)、Si(珪素)及びC(炭素)を含有し、導電セラミックス層4に対面する位置において外皮部22自体に形成されている。 ハニカム構造体1は、中間層3の厚みをt、外皮部22の厚みをTとしたとき、0.5≦t/T≦1の関係を有している。 【0023】 以下に、本例のハニカム構造体1及びその製造方法につき、図1~図9を参照して詳説する。 図1、図2に示すごとく、本例のハニカム体2は、円柱形状に形成されており、セル形成部(格子部)21の隔壁211に対して、円柱形状の軸方向に開口するセル(孔)212を形成し、円柱形状の外周を外皮部22によって覆って形成されている。 図2に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、導電セラミックス層4と中間層3とによる一対の電極11に対して電力を供給し、ハニカム体2を触媒活性を発現する温度に加熱して、排ガスの浄化を行う電気加熱式触媒コンバータ(EHC)として用いる。 一対の導電セラミックス層4には、SiC-Siの複合材から構成した端子部42がそれぞれ形成してある。そして、一対の端子部42に電源6を接続して、ハニカム構造体1に対して通電を行う。 【0024】 一対の導電セラミックス層4及び中間層3は、図2に示すごとく、円柱形状のハニカム体2の外皮部22の表面に互いに対向する周方向部位に一対に設けることができる。 なお、導電セラミックス層4は、対に設けてあればよく、少なくとも一対以上設けてあれば、複数対にして設けることもできる。また、対に設けられた導電セラミックス層4は、互いに対向して配置される場合、一部対向して配置される場合、対向して配置されない場合を含み、導電セラミックス層4と中間層3とにより形成される対の電極11に対して電力を供給する作用をなせば何れの配置構造をとることもできる。ただし、この中でも、特に、導電セラミックス層4と中間層3とによる一対の電極11を互いに対向するように配置することが好ましい。」 2d)上記2c)の段落【0024】の記載及び図2から、ハニカム体2の側面に一対の電極11が設けられ、電極11は、ハニカム11のセルが延びる方向に延びる帯状であり、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極11の一方の電極が、他方の電極に対してハニカム体2の中心を挟んで反対側に設けられていることが看取できる。 2e)上記2a)及び2c)の段落【0023】の記載から、ハニカム体2は、流体(排ガス)が通過して加熱されるものであることが分かる。 (2)引用文献2技術 上記(1)及び図1及び2の記載からみて、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されている。 「流体が通過するハニカム体2の側面に一対の電極11を設けたハニカム構造体1において、一対の電極11のそれぞれを、ハニカム体2のセルが延びる方向に延びる帯状とし、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極11のうちの一方の電極が他方の電極に対してハニカム体2の中心を挟んで反対側となるように設けて、ハニカム体2の通電加熱を行う技術。」 3.引用文献3 (1)引用文献3の記載 原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特開平4-280086号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「ハニカムモノリスヒータ」に関して、図1ないし7とともに以下の記載がある。 3a)「【請求項1】 断面形状が方形である多数の貫通孔を有するハニカム構造体の外周部に、複数の電極板を設けたハニカムモノリスヒータであって、電極板と貫通孔壁とで形成される角度が鋭角となるように電極板を配置したことを特徴とするハニカムモノリスヒータ。」 3b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ハニカム構造体の外周部に複数の電極板を設けたハニカムモノリスヒータに関する。これらは温風ヒータなどの民生用ヒータ、自動車の排気ガス浄化用のプレヒータ等の工業用ヒータとして好適に使用できる。」 3c)「【0012】 【作用】本発明は、断面形状が方形である多数の貫通孔を有するハニカム構造体の外周部に複数の電極板を設け、かつ電極板と貫通孔壁とで形成される角度を鋭角となるように電極板を取付けたハニカムモノリスヒータである。このように構成することにより適切で均一な発熱を確保できるとともに機械特性の向上したハニカムモノリスヒータが可能となる。」 3d)「【0015】本発明のハニカムモノリスヒータを図面に基づいて説明する。図1は本発明のハニカムモノリスヒータの一例を示す断面図であり、断面形状が正方形である正方形セル(貫通孔)10を有し、外形が円柱形のハニカム構造体11の外周壁にスリット12を4ヶ所形成するとともに、外周壁に2ヶ所電極板13、端子14を設けたものである。なお、図2は図1と電極板13と正方形セル10の相対的位置を変えた例を示す断面図である。 【0016】また、図3~図4は、夫々本発明のハニカムモノリスヒータの他の例を示す斜視図で、断面形状が長方形である長方形セル10を有し、外形が直方体であるハニカム構造体11を用いた場合を示す。これらの場合、図においてハニカム構造体11の上端面および下端面に通常の隔壁厚さより厚い外周壁を形成して2個の電極板13としている。 【0017】さらに、図5は断面形状が正方形である正方形セル10を有し、外形がレーストラック型のハニカム構造体11を用い、ハニカム構造体11の上端面および下端面に導電性良好な材料からなる2個のプレートを溶接して電極板13としたハニカムモノリスヒータの例を示すものである。 【0018】図6~図7はそれぞれ断面形状が長方形である長方形セル10を有し、外形が円柱形のハニカム構造体11を用いた場合で、ハニカム構造体外周と同様の曲率を持ったプレートを2個ハニカム構造体11の外周壁に溶接して電極板13としたハニカムモノリスヒータの例を示すものである。本発明のハニカムモノリスヒータでは、ハニカム構造体の外周部に1ヶ所以上スリットを設けて電気的に絶縁することが、ハニカム構造体からなるヒータ部の発熱性を向上させる上で好ましい。」 3e)「【0021】本発明の基体であるハニカム構造体の構成材料としては、通電により発熱する材料からなるものであれば制限はなく、金属質でもセラミック質でもよい。金属質の場合、例えばステンレス鋼やFe-Cr-Al、Fe-Cr、Fe-Al、Fe-Ni、W-Co、Ni-Cr等の組成を有する材料からなるものが挙げられる。上記のうち、Fe-Cr-Al、Fe-Cr、Fe-Alが耐熱性、耐酸化性、耐食性に優れ、かつ安価で好ましい。」 3f)図1ないし図7から、ハニカム構造体11の側面に一対の電極13が設けられ、電極13は、ハニカム構造体11のセル10が延びる方向に延びる帯状であり、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極11の一方の電極が、他方の電極に対してハニカム構造体11の中心を挟んで反対側に設けられていることが看取できる。 3g)上記3b)から、ハニカム構造体11は流体が通過して加熱されるものであることが分かる。 (2)引用文献3技術 上記(1)及び図1ないし図7の記載からみて、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されている。 「流体が通過するハニカム構造体11の側面に一対の電極13を設けたハニカムモノリスヒータにおいて、一対の電極13のそれぞれを、ハニカム構造体11のセル10が延びる方向に延びる帯状とし、セル10の延びる方向に直交する断面において、一対の電極11のうちの一方の電極が、他方の電極に対してハニカム構造体11の中心を挟んで反対側となるように設けて、ハニカム構造体11の通電加熱を行う技術。」 第5 対比・判断 引用発明における「入口」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「流体の流路となり流体の流入側の端面である第1端面」あるいは「第1端面」に相当し、以下同様に、「出口」は「流体の流出側の端面である第2端面」あるいは「第2端面」に、「形成」は「区画形成」に、「ハニカム担体から構成される触媒部23」は「ハニカム構造部」に、「尿素水18」は「尿素水溶液」に、「微粒化して供給」するは「霧状に噴霧」する、及び「噴霧」するに、「キャリアガス噴射ノズル17及び第1尿素水供給ノズル21」は「尿素噴霧装置」に、「アンモニアガス22」は「アンモニア」に、「尿素水改質器」は「還元剤噴射装置」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明における「エンジン11の排気管12に供給」することは、引用文献1の図1の記載からみて、エンジン11の排気管12が、尿素水改質器の外側に位置するものであるから、本願発明における「外側に排出」することに相当する。 さらに、引用発明における「第1グロプラグ41及び第2グロープラグ42により加熱されたハニカム担体から構成される触媒部23」と、本願発明における「通電加熱されたハニカム構造部」とは、「加熱されたハニカム構造部」という限りにおいて一致する。 したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「流体の流路となり流体の流入側の端面である第1端面から流体の流出側の端面である第2端面まで延びる複数のセルを、区画形成する隔壁を有する筒状のハニカム構造部と、 尿素水溶液を霧状に噴霧する尿素噴霧装置とを備え、 前記尿素噴霧装置から噴霧された前記尿素水溶液が、前記ハニカム構造部の前記第1端面から前記セル内に供給され、前記セル内に供給された前記尿素水溶液中の尿素が、加熱された前記ハニカム構造部内で加熱されて加水分解されて、アンモニアが生成し、前記アンモニアが前記第2端面から前記ハニカム構造部の外側に排出され、前記アンモニアが外部に噴射される還元剤噴射装置。」 [相違点] 本願発明においては、「ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部を有するハニカム構造体」を備え、「前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され」て、「ハニカム構造部」が「通電加熱」されるのに対して、 引用発明においては、「ハニカム担体から構成される触媒部23」を備え、「ハニカム担体から構成される触媒部23」は「第1グロープラグ41及び第2グロープラグ42により加熱され」るものである点。 以下、相違点について判断する。 [相違点について] 引用文献2技術は、「流体が通過するハニカム体2の側面に一対の電極11を設けたハニカム構造体1において、一対の電極11のそれぞれを、ハニカム体2のセルが延びる方向に延びる帯状とし、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極11のうちの一方の電極が他方の電極に対してハニカム体2の中心を挟んで反対側となるように設けて、ハニカム体2の通電加熱を行う技術」であり、 引用文献3技術は、「流体が通過するハニカム構造体11の側面に一対の電極13を設けたハニカムモノリスヒータにおいて、一対の電極13のそれぞれを、ハニカム構造体11のセル10が延びる方向に延びる帯状とし、セル10の延びる方向に直交する断面において、一対の電極11のうちの一方の電極が、他方の電極に対してハニカム構造体11の中心を挟んで反対側となるように設けて、ハニカム構造体11の通電加熱を行う技術」である。 これら引用文献2技術及び引用文献3技術によれば、 「流体が通過するハニカム構造部の側面に一対の電極部を設けたハニカム構造体において、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設されて、ハニカム構造部を通電加熱する技術」は、加熱手段を有するハニカム構造体を用いて流体の加熱を行う技術分野において周知の技術(以下、「引用文献2技術及び引用文献3技術にみられるような周知技術」という。)である。 また、流体をハニカム構造体において加熱するにあたり、「ハニカム構造体を均一に加熱する」ことは、上記「2.(1)、2b)」の「電気加熱式触媒コンバータにおいては、ハニカム体を、触媒活性を発現する温度になるまで迅速かつ均一に昇温する必要がある」(段落【0005】)との記載、及び上記「3.(1)、3c)」の「このように構成することにより適切で均一な発熱を確保できる」(段落【0012】)との記載によれば、周知の課題(以下、「周知の課題」という。)であり、この周知の課題は、ハニカム担体のセル内で尿素水18の尿素を加熱して加水分解を行う引用発明のハニカム担体から構成される触媒部23においても内在する課題である。 そうすると、引用発明において、上記周知の課題のもとでハニカム担体から構成される触媒部23を第1グロープラグ41及び第2グロープラグ42で加熱することに代えて、上記引用文献2技術及び引用文献3技術にみられるような周知技術を、流体の種類にかかわらず、ハニカム構造体の加熱手段として採用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明は、引用発明並びに上記引用文献2技術及び引用文献3技術にみられるような周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに上記引用文献2技術及び引用文献3技術にみられるような周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-017012

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決182件(日本碍子株式会社)
  • 2024-011241拒絶査定不服審判 / 2026-03-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)AlN接合体
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2024-004620拒絶査定不服審判 / 2026-02-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)液体燃料合成システム及び液体燃料合成方法
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2023-013295拒絶査定不服審判 / 2025-12-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)リアクタ及び液体燃料合成方法
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2025-012374拒絶査定不服審判 / 2025-10-27 / 請求不成立車両用空調システム、及び調湿デバイスの使用方法
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2024-005527拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 請求不成立ゼオライト膜複合体、ゼオライト膜複合体の製造方法および水熱合成装置
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2023-009841拒絶査定不服審判 / 2025-04-30 / 請求不成立触媒的汚染除去のための水素還元剤
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-008259拒絶査定不服審判 / 2024-05-09 / 請求不成立ハニカム構造体及び排気ガス浄化装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-008884拒絶査定不服審判 / 2024-01-23 / 請求不成立統合された排出制御システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2020-017626拒絶査定不服審判 / 2022-04-19 / 請求不成立往復動ピストン内燃機関、排気ガス処理部及び往復動ピストン内燃機関の運転方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2021-000522拒絶査定不服審判 / 2021-10-19 / 請求不成立ディーゼルエンジンのための排気システム
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)156件(121・F01N)
  • 2025-018498拒絶査定不服審判 / 2026-08-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)断熱構造及びその作製方法
    共通の審決分類: 121・F01N
  • 2024-005750拒絶査定不服審判 / 2026-03-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)内燃機関排気ラインからのガス状排出物のための処理ユニットの動作状態を検査するため…
    共通の審決分類: 121・F01N
  • 2024-008994拒絶査定不服審判 / 2026-02-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気加熱燃焼ガス処理装置を備える自動車両のための牽引装置を制御するための方法
    共通の審決分類: 121・F01N
  • 2024-010725拒絶査定不服審判 / 2025-12-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)排気浄化装置
    共通の審決分類: 121・F01N
  • 2024-014508拒絶査定不服審判 / 2025-12-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)微粒子フィルタ、内燃機関の排ガスから粒子状物質を除去する方法、及び微粒子フィルタ…
    共通の審決分類: 121・F01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存