特許拒絶査定不服審判
2017-014300
表示装置
- 審判番号
- 2017-014300
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-001854外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月27日
- 審決日
- 2018年08月22日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ジャパンディスプレイ
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-ZB (G02F) / P18 .572-ZB (G02F) / P18 .575-ZB (G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第50条、特許法第53条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 1854「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月28日出願公開、特開2015- 99375〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年7月13日の出願である特願2011-154971号の一部を、平成27年1月7日に新たな特許出願としたものであって、平成27年10月19日付けの拒絶理由通知に対して平成27年12月17日付けで手続補正がなされ、平成28年5月6日付けの最後の拒絶理由通知に対して平成28年6月30日付けで手続補正がなされ、平成28年11月29日付けの最後の拒絶理由通知に対して平成29年1月30日付けで手続補正がなされたが、平成29年6月19日付けで、平成29年1月30日付け手続補正書でした補正の却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定がなされ(謄本送達日 平成29年6月27日)、これに対し、平成29年9月27日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成29年9月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年9月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前に、
「【請求項1】
有効表示領域と、この有効表示領域の外縁に位置する額縁領域とを有する表示パネルと、
前記表示パネルの観察面側に配設され、少なくとも周縁領域の一部分にレンズ機能部を有するレンズ部材と
を備え、
前記レンズ部材における前記表示パネル側に、出射側偏光板が貼設され、
前記レンズ部材における前記レンズ機能部側の外形線及び前記出射側偏光板の外形線が、少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置されている表示装置。」
とあったところを、
「【請求項1】
有効表示領域と、この有効表示領域の外縁に位置する額縁領域とを有する表示パネルと、
前記表示パネルの観察面側に配設され、少なくとも周縁領域の一部分にレンズ機能部を有するレンズ部材と
を備え、
前記レンズ部材における前記表示パネル側に、出射側偏光板が貼設され、
前記レンズ部材における前記レンズ機能部側の外形線及び前記出射側偏光板の外形線が、少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置され、前記レンズ機能部が、前記額縁領域の外形線よりも外側から前記有効表示領域に亘って設けられている、
表示装置。」
とすることを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
本件補正について検討する。
本件補正は、
本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「レンズ機能部」について、「前記レンズ機能部が、前記額縁領域の外形線よりも外側から前記有効表示領域に亘って設けられている」と限定するものである。
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。
2 引用例及びその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2009-169320号公報(平成21年7月30日公開、以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。
「【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に、その液晶表示パネルの表面に接着剤を介して透明カバーを貼り付けた液晶表示装置に関する。」
「【0046】
《実施例1》
〈全体の構成〉
図2は、本発明による液晶表示装置の一実施例を示した分解斜視図で、携帯電話用の液晶表示装置を示している。
【0047】
まず、液晶表示パネルPNLがある。この液晶表示パネルPNLは、液晶を介して互いに対向配置される基板SUB1と基板SUB2を外囲器とし、該基板SUB2側の面の表示領域(図3において符号ARで示す)内において画像を認識できるようになっている。前記基板SUB1の一辺は基板SUB2よりも外方に延在されて形成され、この延在部には前記表示領域内の各画素を独立に駆動させるための駆動回路DRVが搭載されている。また、該駆動回路DRVには該基板SUB1に取り付けられるフレキシブル基板FLBを介して外部信号が入力されるようになっている。」
「【0051】
前記液晶表示パネルPNLの観察者側の面にはたとえば保護カバーとして機能するたとえばガラス基板(ガラス板)または樹脂板からなる透明カバーCOVが配置されている。」
「【0059】
〈液晶表示パネルPNL〉
図3は、図2に示した液晶表示パネルPNLの一実施例を示した概略平面図である。」
「【0063】
前記シール材SLで囲まれた液晶の封入領域は表示領域ARを構成するようになっている。この表示領域ARは、厳密には画素の集合体を囲む外輪郭の領域(図中太点線枠で囲まれた領域)を示し、以下の説明においても、この意味で用いる。このため、該表示領域ARとシール材SLとの間には若干の隙間を有する場合がある。」
「【0092】
《実施例2》
図4(a)は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、図1と対応させて描いている。図4(a)において、図1と同符号の部材は図1に示した部材と同一の部材となっている。
【0093】
まず、図4(a)において、図1と比較して特徴的な構成は、透明カバーCOVは、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられるよう貼り合わされている。
【0094】
そして、偏光板POL2も、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられる大きさになっていることも特徴的な構成である。この透明カバーCOVの前記液晶表示パネルPNL側の面の全域、あるいはほぼ全域にわたって偏光板POL2が、前記透明カバーCOVとの間に介在される粘着材ADH2によって固着されている。
【0095】
換言すれば、平面的に観れば、透明カバーCOVの端部および前記偏光板POL2の端部は、液晶表示パネルPNLの基板SUB2よりも外側にはみ出すようにして構成されていることにある。」
図3
図4
ここで、図3は、液晶表示パネルPNLの一実施例を示した概略平面図であり(【0059】)、図3及び【0047】の記載より、液晶表示パネルPNLは、表示領域ARと、この表示領域ARの外縁に位置する額縁領域とを有することが見て取れる。
したがって、上記引用例1に記載された事項及び図面の記載を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用例1の記載箇所である。)。
「画素の集合体を囲む外輪郭内の領域である表示領域ARと、この表示領域ARの外縁に位置する額縁領域とを有する液晶表示パネルPNLと(【0063】、図3)、
前記液晶表示パネルPNLの観察者側の面に配置されている透明カバーCOVと(【0051】)、
透明カバーCOVは、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられるよう貼り合わされ(【0093】)、
偏光板POL2も、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられる大きさになっており、
透明カバーCOVの前記液晶表示パネルPNL側の面に偏光板POL2が、粘着材ADH2によって固着されている(【0094】)、
液晶表示装置(【0092】)。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、国際公開第2010/140537号(2010年12月9日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。
「[0017]
図1は、液晶表示装置100の模式的な断面図である。図1に示すように、液晶表示装置100は、唯一の液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10の観察者側に配置された透光性カバー20と、光拡散構造60と、上側偏光板32と、下側偏光板34と、バックライト装置40とを備える。」
「[0019]
透光性カバー20は、レンズ部22と平板部24とを有している。レンズ部22は、液晶表示パネル10の額縁領域10Fと、額縁領域10Fに隣接する表示領域10A内の周辺表示領域10Dとを含む領域に重なる位置に配置されている。周辺表示領域10Dから出射される光をレンズ部22によって外側(額縁領域10F側)に屈折させることによって、周辺表示領域10Dに形成される画像を周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fから構成される領域に拡大する。液晶表示パネル10には額縁領域10Fが存在するが、液晶表示パネル10の観察者側にレンズ部22を有する透光性カバー20を設けることによって、額縁領域10Fを見え難くすることができる。レンズ部22の好ましい形状については後述する。」
「[0020]
光拡散構造60は、第1画素列18a、第2画素列18b、および第3画素列18cを含む、液晶表示パネル10の部分とレンズ部22との間に設けられている。液晶表示装置100は、光拡散構造60が設けられているので、以下に示すようにレンズ部22の端辺22dにおける違和感を抑制することができる。」
「[0023]
まず、図4(a)および(b)を参照して、液晶表示装置200において、透光性カバー20の位置合わせずれにより、領域200Aではレンズ部22の端辺22dが液晶表示パネル10の端辺10dと重なり、領域200Bではレンズ部22の端辺22dが液晶表示パネル10の端辺10dより内側に存在した場合について説明する。
[0024]
図4(a)は、領域200Aにおける、液晶表示装置200のレンズ部22付近の模式的な断面図である。図4(a)に示すように、第1画素列18aから出た光はレンズ部22によって屈折され、端辺22dから出射される。従って、領域200Aにおけるレンズ部22の端辺22dからは青色の光が出射される。
[0025]
図4(b)は、領域200Bにおける、液晶表示装置200のレンズ部22付近の模式的な断面図である。レンズ部22の端辺22dが液晶表示パネル10の端辺10dより内側に存在すると、図4(b)に示すように、レンズ部22の端辺22dからは、第1画素列18aより内側にある第2画素列18bから出射した光が出射される。従って、領域200Bでは、レンズ部22の端辺22dからは緑色の光が出射される。
[0026]
このように、領域200Aにおけるレンズ部22の端辺22dには青色が表示されるのに対し、領域200Bにおけるレンズ部22の端辺22dには緑色が表示される。従って、端辺22dには、場所によって異なる色が表示されるので、観察者が違和感をおぼえる。」
「[0085]
なお、画像圧縮率が小さい(例えばa<0.7)と、1/aの値が大きくなり、各画素は大きく拡大される。このため、画素と画素の間にあるブラックマトリクスが目立って見えてしまうことがあり、表示不良となる場合が多い。また画像圧縮率が大きい(例えばa>0.9)と、額縁領域の幅に対して大きいレンズ部が必要となるために、あまり好ましくない。例えば、画像圧縮率a=0.95のとき、a=L1/(L1+L2)=0.95であるから、レンズ部の幅(L1+L2)は額縁領域の幅L2の20倍となる。上記の例のように額縁領域の幅L2が3mmであれば、レンズ部の幅L1+L2が60mmとなる。例えば携帯電話用の表示装置等では、装置の幅が60mm以下である場合が多く、レンズ部の幅L1+L2が60mmのレンズ部材を配置できない。従って、画像圧縮率aは0.7~0.9程度が好ましい。上記の式から、画像圧縮率a=0.7、0.9における円錐定数kは、それぞれk≒0.38、2.4と算出されるので、円錐定数kの好ましい範囲は、0.38以上2.4以下である。」
図1
図1から、透光性カバー20の少なくとも周縁領域の一部分に、レンズ部22を設けることが見て取れる。
3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「画素の集合体を囲む外輪郭内の領域である表示領域AR」は、本願補正発明の「有効表示領域」に相当するので、引用発明の「画素の集合体を囲む外輪郭の領域である表示領域ARと、この表示領域ARの外縁に位置する額縁領域とを有する液晶表示パネルPNL」は、本願補正発明の「有効表示領域と、この有効表示領域の外縁に位置する額縁領域とを有する表示パネル」に相当する。
(2)引用発明の「前記液晶表示パネルPNLの観察者側の面に配置される透明カバーCOV」と、本願補正発明の「前記表示パネルの観察面側に配設され、少なくとも周縁領域の一部分にレンズ機能部を有するレンズ部材」とは、「前記表示パネルの観察面側に配設されている透明部材」である点で共通する。
(3)引用発明の「透明カバーCOVの前記液晶表示パネルPNL側の面に偏光板POL2が、粘着材ADH2によって固着されている」と、本願補正発明の「前記レンズ部材における前記表示パネル側に、出射側偏光板が貼設され」とは、「前記透明部材における前記表示パネル側に、出射側偏光板が貼設され」ている点で共通する。
(4)引用発明の「透明カバーCOVは、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられるよう貼り合わされ、偏光板POL2も、液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され、その外輪郭の内側に該液晶表示パネルPNLの外輪郭が位置づけられる大きさになっており」と、本願補正発明の「前記レンズ部材における前記レンズ機能部側の外形線及び前記出射側偏光板の外形線が、少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置され」とは、「前記透明部材における外形線及び前記出射側偏光板の外形線が、少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置され」ている点で共通する。
(5)引用発明の「液晶表示装置」は、本願補正発明の「表示装置」に相当する。
すると本願補正発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「有効表示領域と、この有効表示領域の外縁に位置する額縁領域とを有する表示パネルと、
前記表示パネルの観察面側に配設されている透明部材と
を備え、
前記透明部材における前記表示パネル側に、出射側偏光板が貼設され、
前記透明部材における外形線及び前記出射側偏光板の外形線が、少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置されている、
表示装置。」
(相違点)
透明部材が、本願補正発明は、「少なくとも周縁領域の一部分にレンズ機能部を有するレンズ部材」であって、「前記レンズ部材におけるレンズ機能部側の外形線」が、「少なくとも前記表示パネルにおける前記額縁領域の外形線よりも外側に配置され、前記レンズ機能部が、前記額縁領域の外形線よりも外側から前記有効表示領域に亘って設けられている」のに対して、引用発明は、「透明カバーCOV」である点。
4 判断
相違点について検討する。
引用例2には、液晶表示パネル10の観察者側に、レンズ部22と平板部24とを有している透光性カバー20であって、少なくとも周縁領域の一部分にレンズ部22を有する透光性カバー20を設けることによって、額縁領域10Fを見え難くすることができる技術が記載されている(上記「2 (2)[0019]」、「2 (2)図1」)。
そして、引用例2の液晶表示装置は携帯電話用であり(上記「2 (2)[0085]」)、かつ、携帯電話では、液晶表示装置の狭額縁化が、周知の課題であることを鑑みれば、携帯電話用の液晶表示装置(上記「2 (1)【0046】」)である引用発明に、上記技術を適用し、「透明カバーCOV」にレンズ部と平板部を設け、少なくとも周縁領域の一部分をレンズ部とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用発明の「透明カバーCOV」が、「液晶表示パネルPNLよりも大きく形成され」ていること、及び、引用例2に記載されたレンズ部22が、液晶表示パネル10の額縁領域10Fと、額縁領域10Fに隣接する表示領域10A内の周辺表示領域10Dとを含む領域に重なる位置に配置されていること(上記「2 (2)[0019]」)を鑑みると、
引用発明の「透明カバーCOV」にレンズ部と平板部を設ける際に、「透明カバーCOV」の大きさをそのままにして、レンズ部の外形線を、「液晶表示パネルPNL」よりも大きく形成し、かつ、レンズ部を、「液晶表示パネルPNL」より外側から「表示領域AR」に亘って設け、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
さらに、本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び引用例2に記載された技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
よって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「【請求の理由】」「3.本願発明が特許されるべき理由」「(6)引用文献1-6の組み合わせについて」「(6-2)引用文献1と引用文献6との組み合わせについて」において、
「また、引用文献1は、引用文献1の段落[0024]-[0026]、図4(a)及び図4(b)に記載されているように、レンズ部22の外形線が額縁領域10Fの外形線に対して位置ずれすることに起因する違和感を課題として認識しています。すなわち、引用文献1は、レンズ部22の外形線と額縁領域10Fの外形線とが一致している状態を基準として位置ずれを説明しています。そうすると、仮に引用文献6に引用文献1を組み合わせたとしても、引用文献6の図4に記載の液晶表示装置の透明カバーCOVに対して、引用文献1の図1に記載の「液晶パネルの外形線とレンズ部22の外形線が一致した透光性カバー22」を適用する方が自然であると思料致します。」と主張している。
しかしながら、請求人が主張している、引用例2(引用文献1)の図4(a)及び図4(b)に記載されている、レンズ部22の外形線が額縁領域10Fの外形線に対して位置ずれすることに起因する違和感は、「レンズ部22の端辺22dが液晶表示パネル10の端辺10dより内側に存在する」場合の課題であり(上記「2 (2)[0025]」)、引用発明の「透明カバーCOV」に、レンズ部と平板部を設けたものにおいて、レンズ部の外形線を、液晶表示パネルよりも大きく形成することを妨げるものでない。
また、上記課題は引用例2において、光拡散構造60が設けることによって解決し得るものであるから(上記「2 (2)[0020]」)、レンズ部の外形線と、液晶表示パネルの外形線とを一致させることの必要はない。
よって、請求人の主張を採用することができない。
6 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 [理由]1 本件補正」の本件補正前の「請求項1」として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その出願日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2009-169320号公報(引用例1)、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2010/140537号(引用例2)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用例記載の事項
引用例の記載事項及び引用発明は、上記「第2 [理由] 2 引用例及びその記載事項」に記載したとおりである。
4 判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「第2 [理由] 1 本件補正」で検討した本件補正に係る限定を削除するものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、更に他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由] 4 判断」に示したとおり、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 請求人の主張について
1 請求人は、審判請求書の「【請求の理由】」「3.本願発明が特許されるべき理由 (1)審査内容について」において、
「審査官殿は、平成28年5月6日付(起案日)の拒絶理由通知書において、「請求項(1-3)に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。」と述べられています。また、審査官殿は、本出願に対して平成28年11月29日付(起案日)で最後の拒絶理由通知を起案されています。当該最後の拒絶理由通知では、新たな引用文献(引用文献6:特開2009-169320)を引用されております。そして、引用文献1(国際公開第2010/140537号)と新たに引用された引用文献6との組み合わせから、本出願の請求項1に係る発明の進歩性を否定されております。
一方、「特許・実用新案審査基準(平成27年9月公表)」の「第1部第2章第3節拒絶理由通知 3.3.2 二回目以降であっても「最初の拒絶理由通知」とすべき場合」には、「二回目以降の拒絶理由通知であっても、一回目の拒絶理由通知において審査官が指摘しなければならなかった拒絶理由を通知する場合は、その拒絶理由は補正によって生じたものではないから、審査官は、「最初の拒絶理由通知」を通知する。」と記載されています。
従いまして、平成28年11月29日付で起案頂きました最後の拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知とするべきであると思料致します。
しかしながら、審査官殿は、最初の拒絶理由通知とすべき該拒絶理由通知(平成28年11月29日起案)に基づいて、補正の却下の決定(平成29年6月27日付(発送日))を決定されました。
以上より、一回目の拒絶理由通知において審査官殿が指摘しなければならなかった拒絶理由を通知する場合は、その拒絶理由は補正によって生じたものではないから、審査官殿は、「最初の拒絶理由通知」を通知するべきであり、本出願には、特許法第50条ただし書きの規定は適用されるべきではありません。このため、審判請求人は、補正の却下の決定(平成29年6月27日付(発送日))に不服であり、上述したように、補正の却下の決定(平成29年6月27日付(発送日))を取り消すべきです(特許法第53条第3項)。」 と主張している。
2 上記主張について検討する。
(1)平成28年11月29日付けの最後の拒絶理由通知について
平成28年11月29日付けの最後の拒絶理由通知は、平成27年10月19日付けの拒絶理由通知に対して、平成27年12月17日付けでなされた手続補正により補正された請求項1-3に係る発明、及び、平成28年5月6日付けの最後の拒絶理由通知に対して、平成28年6月30日けでなされた手続補正により補正された請求項4-10に係る発明について通知することが必要になった拒絶理由を通知するものであるから、拒絶理由に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知する拒絶理由通知であり、一回目の拒絶理由通知において審査官が指摘しなければならなかった拒絶理由を通知するものではなく、「最後の拒絶理由通知」とすることに誤りはない。
(2)平成29年6月19日付けの補正の却下の決定について
上記のように、平成28年11月29日付けの最後の拒絶理由通知を、「最後の拒絶理由通知」とすることは適切なことであり、平成29年6月19日付けの補正の却下の決定に誤りはない。
また、請求人は、平成29年6月19日付けで補正の却下の決定がなされた平成29年1月30日付け手続補正書でした補正と、同じ補正を、平成29年9月27日付け手続補正書で補正しており、請求人が主張する、補正の却下の決定を取り消すことは実益がない。
よって、請求人の主張を採用することができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-014300