特許拒絶査定不服審判
2017-009696
車両及びステアリングユニット
- 審判番号
- 2017-009696
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-190403外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月30日
- 審決日
- 2018年08月20日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (B60R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-190403号「車両及びステアリングユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 9日出願公開、特開2017- 30746号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月3日を国際出願日とする特願2014-550572号の一部を平成28年9月28日に新たな特許出願としたものであって、同年9月28日に上申書及び手続補正書が提出され、同年10月27日付けで拒絶理由が通知され、同年12月27日に意見書が提出され、平成29年3月29日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年6月30日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、平成28年9月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「ステアリングホイールと、
該ステアリングホイールに配置されたタッチパッドと、
該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する検出部と、
を備え、
前記ステアリングホイールのタッチパッドへの押圧を検出すると、前記ステアリングホイールの前記タッチパッドへのジェスチャによる被制御装置の制御を可能にする
ことを特徴とする車両。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、という理由を含むものであって、刊行物として、以下の引用文献1が示されている。
引用文献1:特開2012-206692号公報
第4 当審の判断
当審は、原査定の拒絶の理由のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、と判断する。
その理由は、以下のとおりである。
1 引用文献1の記載事項等
(1) 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1a)「【0001】
この発明は、車両用操作装置に関する。」
(1b)「【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用操作装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両用操作装置10は、例えば図1および図2に示すように、車両のステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12と、表示器13と、制御装置14と、舵角センサ15とを備えて構成されている。
【0028】
そして、車両用操作装置10は、操作者(例えば、運転者)による操作検出部12に対する入力操作に応じて、各種の車載機器16の動作を制御する。
なお、この車両は、ステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12とは異なる他の操作スイッチ17を備え、この操作スイッチ17に対する操作者(例えば、運転者)の入力操作に応じて、各種の車載機器16の所定動作を制御可能である。
【0029】
そして、例えば2つの操作検出部12,12は、車両の運転席近傍の取付面、例えば中立位置(つまり車両の直進状態での位置)のステアリングホイール11のスポーク部11aの表面上において、ステアリングホイール11の回転軸Oから各左側および右側にずれた位置に配置されている。
そして、2つの操作検出部12,12が配置されている位置は、例えば、ステアリングホイール11を把持した運転者の左右の手指(例えば、親指など)で各操作検出部12を操作可能な位置とされている。
【0030】
操作検出部12は、例えば図2、図3に示すように、操作面12aを有しており、この操作面12aは、取付面(つまり、ステアリングホイール11のスポーク部11aの表面)周辺の面に対して奥まった凹部11bを形成する面とされ、凹部11bは、操作検出部12を操作する操作者の手指の一部(例えば、先端部など)を収容可能である。
【0031】
操作検出部12は、例えば、操作面12aに対する操作者の手指によるスライド操作と、スライド操作の操作方向を含む平面に略直交する押圧方向への押圧力とを検出可能であり、これらの検出結果の信号を出力する。
さらに、この押圧力に対して、操作検出部12は、所定の単位時間あたりの押圧力の変化量または変化率を検出可能であって、当該押圧力の変化量または変化率に基づいて押圧力が所定の第1閾値A以上であるか否かを判定する。
【0032】
操作検出部12は、例えば図4(A),(B)に示すように、操作面12aの押圧方向奥側(つまり、操作面12aを成す表面を有する板状の部材12bの押圧方向の裏面側)に静電容量センサ21を備えると共に、該静電容量センサ21と操作面12aとの間に弾性変形可能な弾性部材22を備えている。
そして、操作検出部12は、弾性部材22の押圧方向への弾性変形に伴い弾性部材22の静電容量が変化することに基づいて、押圧力の変化とスライド操作とを検出する。
【0033】
表示器13は、例えば、車両のダッシュボードの上部に表示画面13aが配置されたダッシュボードディスプレイや、車両のフロントウィンドウ上を表示画面13aとして表示を行なうヘッドアップディスプレイや、車両のインストルメントパネルに表示画面13aが配置されたマルチインフォメーションディスプレイや、車両のインストルメントパネルの各種計器類付近に表示画面13aが配置されたディスプレイなどである。
表示器13は、操作検出部12に対する所定の操作に応じて操作可能な操作対象を表示画面13上で操作者に視認可能に表示する。
【0034】
制御装置14は、操作検出部12から出力される検出結果の信号に基づき、各種の車載機器16の動作を制御するための制御指令を出力する。
また、制御装置14は、操作検出部12から出力される検出結果の信号に応じて、表示器13の表示画面13a上における操作対象の表示を制御する。
【0035】
例えば、制御装置14は、操作検出部12により検出される操作者のスライド操作に基づいて所定のジェスチャパターンを認識する。
なお、制御装置14は、例えば、操作検出部12により検出される操作者の押圧力が所定の第1閾値A未満である場合にスライド操作に基づくジェスチャパターンの認識を実行せず、押圧力が第1閾値A以上に到達した以後のスライド操作に基づいてジェスチャパターンを認識する。」
(1c)引用文献1には、以下の図が示されている。
(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1には、「車両用操作装置」に関する技術について開示されているところ(摘示(1a))、その実施形態(摘示(1b))として、
車両用操作装置10は、車両のステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12と、表示器13と、制御装置14と、舵角センサ15とを備えて構成されるものであって(【0027】)、操作者による操作検出部12に対する入力操作に応じて、各種の車載機器16の動作を制御すること(【0028】)、
操作検出部12は、操作面12aに対する操作者の手指によるスライド操作と、スライド操作の操作方向を含む平面に略直交する押圧方向への押圧力とを検出可能であり、これらの検出結果の信号を出力するものであって(【0031】)、操作面12aの押圧方向奥側に静電容量センサ21を備えると共に、該静電容量センサ21と操作面12aとの間に弾性変形可能な弾性部材22を備え、弾性部材22の押圧方向への弾性変形に伴い弾性部材22の静電容量が変化することに基づいて、押圧力の変化とスライド操作とを検出すること(【0032】)
制御装置14は、操作検出部12から出力される検出結果の信号に基づき、各種の車載機器16の動作を制御するための制御指令を出力するものであって(【0034】)、操作検出部12により検出される操作者の押圧力が所定の第1閾値A未満である場合にスライド操作に基づくジェスチャパターンの認識を実行せず、押圧力が第1閾値A以上に到達した以後のスライド操作に基づいてジェスチャパターンを認識すること(【0035】)、
が記載されてる。
また、車両用操作装置10は、車両に搭載されることが明らかである。
以上によれば、引用文献1には、
「車両用操作装置10を搭載した車両であって、
車両用操作装置10は、車両のステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12と、表示器13と、制御装置14と、舵角センサ15とを備えて構成されるものであって、操作者による操作検出部12に対する入力操作に応じて、各種の車載機器16の動作を制御するものであり、
操作検出部12は、操作面12aに対する操作者の手指によるスライド操作と、スライド操作の操作方向を含む平面に略直交する押圧方向への押圧力とを検出可能であり、これらの検出結果の信号を出力するものであって、操作面12aの押圧方向奥側に静電容量センサ21を備えると共に、該静電容量センサ21と操作面12aとの間に弾性変形可能な弾性部材22を備え、弾性部材22の押圧方向への弾性変形に伴い弾性部材22の静電容量が変化することに基づいて、押圧力の変化とスライド操作とを検出し、
制御装置14は、操作検出部12から出力される検出結果の信号に基づき、各種の車載機器16の動作を制御するための制御指令を出力するものであって、操作検出部12により検出される操作者の押圧力が所定の第1閾値A未満である場合にスライド操作に基づくジェスチャパターンの認識を実行せず、押圧力が第1閾値A以上に到達した以後のスライド操作に基づいてジェスチャパターンを認識する、車両。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
2 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ステアリングホイール11」は、本願発明の「ステアリングホイール」に相当する。
イ 本願明細書の「本実施の形態に係る車両1に乗車したドライバは、ステアリング操作により車両1の操舵操作を行うとともに、タッチパッド12への指によるジェスチャ等の入力操作により制御部20を介して被制御装置30の操作を行うことができる。」(【0020】)及び「タッチパッド12は、ドライバの指等の接触物の接触を検出する。」(【0021】)等の記載によれば、本願発明の「タッチパッド」は、少なくとも、ドライバの指によるジェスチャ等の入力操作を行うものであって、ドライバの指等の接触物の接触を検出する、という機能を備えるものと理解することができる。
ここで、引用発明の「操作検出部12」は、「操作面12aに対する操作者の手指によるスライド操作と、スライド操作の操作方向を含む平面に略直交する押圧方向への押圧力とを検出可能であり、これらの検出結果の信号を出力するもの」であって、「操作面12aの押圧方向奥側に静電容量センサ21を備え」、「静電容量が変化することに基づいて、押圧力の変化とスライド操作とを検出」するものであるから、少なくとも、操作者の手指によるスライド操作等の入力操作を行うものであって、操作者の指等の接触物の接触を検出する、という機能を備えることが技術的に明らかである。
そうすると、引用発明における「操作検出部12」の機能と、本願発明における「タッチパッド」の機能とは、共通したものということができるから、引用発明の「ステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12」は、その機能に照らして、本願発明の「該ステアリングホイールに配置されたタッチパッド」に相当するものといえる。
ウ 引用発明の「操作検出部12」は、「操作面12aの押圧方向奥側に静電容量センサ21を備えると共に、該静電容量センサ21と操作面12aとの間に弾性変形可能な弾性部材22を備え、弾性部材22の押圧方向への弾性変形に伴い弾性部材22の静電容量が変化することに基づいて、押圧力の変化とスライド操作とを検出」するというものであるから、「操作検出部12」への「押圧力」を、「操作面12aの押圧方向奥側に」「備え」られた「静電容量センサ21」にて検出すること、要するに、操作検出部12への押圧を検出する検出部を具備することが技術的に明らかである。
そうすると、引用発明の「車両のステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12」を構成する「静電容量センサ21」は、その機能・構造に照らして、本願発明の「該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する検出部」に相当するものといえる。
エ 引用発明の「各種の車載機器16」は、「操作検出部12に対する入力操作に応じて」、「動作」が「制御」されるものであるから、本願発明の「被制御装置」に相当する。
オ 引用発明において、「制御装置14は、操作検出部12から出力される検出結果の信号に基づき、各種の車載機器16の動作を制御するための制御指令を出力するものであって、操作検出部12により検出される操作者の押圧力が所定の第1閾値A未満である場合にスライド操作に基づくジェスチャパターンの認識を実行せず、押圧力が第1閾値A以上に到達した以後のスライド操作に基づいてジェスチャパターンを認識する」及び「操作者による操作検出部12に対する入力操作に応じて、各種の車載機器16の動作を制御する」という構成は、言い換えれば、「操作検出部12」への「第1閾値A以上に到達した」「押圧力」を検出すると、上記「操作検出部12」への「スライド操作に基づ」く「ジェスチャパターンを認識」し、その「入力操作に応じて、各種の車載機器16の動作を制御する」構成ということもできるから、かかる構成は、上記ア、イ及びエの相当関係をも踏まえると、本願発明の「前記ステアリングホイールのタッチパッドへの押圧を検出すると、前記ステアリングホイールの前記タッチパッドへのジェスチャによる被制御装置の制御を可能にする」という構成に相当するものといえる。
カ 引用発明の「車両」は、本願発明の「車両」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「ステアリングホイールと、
該ステアリングホイールに配置されたタッチパッドと、
該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する検出部と、
を備え、
前記ステアリングホイールのタッチパッドへの押圧を検出すると、前記ステアリングホイールの前記タッチパッドへのジェスチャによる被制御装置の制御を可能にする、車両。」の点で一致し、相違点はない。
したがって、本願発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明である。
(2)ところで、請求人は、平成29年6月30日付けの審判請求書(3.(c)の項)で、引用発明1の操作検出部12は、「タッチパッド」と「押圧を検出する検出部」を兼用するものであって、本願発明のように「タッチパッド」と「押圧を検出する検出部」を別々に構成するものはない旨主張するが、本願発明は、上記「第2」に示すとおり、「タッチパッド」と「押圧を検出する検出部」について、「該ステアリングホイールに配置されたタッチパッドと、該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する検出部と、を備え」として特定するものであり、請求人が主張するように「タッチパッド」と「押圧を検出する検出部」を別々に構成するものとして特定するものではない。
要するに、本願発明の「検出部」は、「該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する」ものとして特定されるものであるところ、上記「(1)ウ」で述べたとおり、引用発明の「車両のステアリングホイール11上に設けられた操作検出部12」を構成する「静電容量センサ21」は、その機能・構造に照らして、ステアリングホイール(ステアリングホイール11)に配置されたタッチパッド(操作検出部12)への押圧(押圧力)を検出する検出部と理解することができるから、本願発明の「該ステアリングホイールに配置された前記タッチパッドへの押圧を検出する検出部」に相当するものといわざるを得ない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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