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特許拒絶査定不服審判

2017-008731

超音波装置

審判番号
2017-008731
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-525308外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年06月14日
審決日
2018年06月11日
公報発行日
2018年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-525308「超音波装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日国際公開、WO2014/021489、平成27年 8月27日国内公表、特表2015-524699〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)8月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年7月30日 韓国)を国際出願日とする出願であって、平成27年9月18日に手続補正書が提出され、平成28年3月22日付けで拒絶理由が通知され、同年9月29日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年2月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年6月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年6月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明について、平成28年9月29日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、 「【請求項1】 転送信号の情報を利用して超音波ビームフィールド(field)及び領域(region)のうち1つ以上を含む治療用超音波画像を生成する治療用超音波画像生成部を含み、 前記転送信号の情報は、前記転送信号の種類、周波数、パワーの強度、焦点深度、集束数、ステアリング情報のうち1つ以上を含み、 前記転送信号または超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部をさらに含む超音波装置。」 を、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的として、 「【請求項1】 転送信号の情報を利用して超音波ビームフィールド(field)及び領域(region)のうち1つ以上を含む治療用超音波画像を生成する治療用超音波画像生成部を含み、 前記転送信号の情報は、前記転送信号の種類、周波数、パワーの強度、焦点深度、集束数、ステアリング情報のうち1つ以上を含み、 超音波プローブから受信された受信信号及び前記超音波プローブの勾配情報のうち1つ以上を利用して診断画像を生成する診断画像生成部と、 前記診断画像と前記治療用超音波画像をマッピング(mapping)して、治療画像を生成する治療画像生成部と、を含み、 前記転送信号または前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部をさらに含む超音波装置。」 と補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示す。) 2 独立特許要件についての検討 (1)そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。 (2)引用例 ア 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2007-135690号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。 (引1-ア)「【0021】 図2において、超音波診断治療装置は、大別して、超音波診断装置1と、超音波治療装置2と、治療プローブ3と、たとえばX線CT装置やMRI装置等からなる医療画像診断装置4と、画像を表示するモニタ5等により構成されている。 【0022】 超音波診断装置1は、超音波を使って被検体6の患部を含む断層像の超音波画像等を得るための装置として構成されている。 【0023】 まず、超音波診断装置1に接続されて用いられる治療プローブ3には診断用探触子31を具備し、この診断用探触子31は、被検体6との間で超音波を送受信するようになっている。なお、治療プローブ3には、超音波治療装置2によって駆動される治療用振動子32も具備されている。 【0024】 該診断用探触子31によって得られる反射エコー信号は超音波算出部11に入力され、この超音波算出部11によって該反射エコー信号はデジタル信号に変換され、例えば断層像(Bモード像)からなる超音波像が作成されるようになっている。 【0025】 この超音波像の情報はシネメモリ12に入力され、このシネメモリ12では該超音波像を複数のフレームごとに記憶するようになっている。 【0026】 そして、該シネメモリ12に格納された超音波像は加算器13に入力され、この加算器13によって該超音波像と後述のリファレンス像とが画像上合成され、モニタ5に表示されるようになっている。」 (引1-イ)「【0027】 一方、超音波診断装置1には、ボリュームデータ記憶部14が備えられており、このボリュームデータ記憶部14は、前記医療画像診断装置4で撮影された前記被検体6に係るボリューム画像データが、ネットワークを介して又は光磁気ディスク(MO)等の可搬性記憶媒体を経由して取り込まれるようになっている。ここで、ボリューム画像データとは、被検体の体内を、複数のスライス面にて撮像したマルチスライス画像データをいう。 【0028】 そして、このボリューム画像データのうち、前記超音波像算出部11で作成される超音波像と同一のスキャン面におけるリファレンス像をリファレンス像算出部15によって算出されるようになっている。」 (引1-ウ)「【0029】 この場合、前記超音波像算出部11で作成される超音波像のスキャン面は次のようにして算出されるようになっている。すなわち、治療プローブ3には位置センサ33が取り付けられ、被検体6が横臥するベッド(図示せず)の近くに、該被検体6を含む座標系のソース34が設置されている。そして、該ソース34から三次元空間に発生される磁気信号を前記位置センサ33が検知することにより、該ソース34が形成する基準座標系における治療プローブ3の三次元的な位置及び傾き、すなわち前記スキャン面が検出されることになる。なお、位置センサとソースとからなる位置センサシステムは磁石式に限らず、たとえば光を利用したシステムなど、公知の位置センサシステムを用いることができる。 【0030】 前記スキャン面の検出は、スキャン面座標算出部16によってスキャン面座標を算出することによってなされ、このスキャン面座標はスキャン面座標記憶部17に記憶された後に、リファレンス像の座標系におけるスキャン面座標を算出するようになっている。すなわち、ボリューム画像データの座標系において、スキャン面のたとえば一隅のx、y、z座標データ及びスキャン面のx、y、z軸回りの回転角度とからなるスキャン面の座標データを算出するようになっている。スキャン面座標記憶部17は、スキャン面座標算出部16で算出されたスキャン面座標データを入力して、複数フレーム分のスキャン面座標を記憶するものである。ここで、記憶するスキャン面座標のフレーム数は、リアルタイムで撮像されてシネメモリ12に記憶される超音波像のフレーム数と同等にしておくのが好ましい。リファレンス像算出部15は、スキャン面座標データを入力し、超音波スキャン面と同一断面のレファレンス像をボリューム画像データから再構成するからである。 【0031】 なお、このようにして所望のリファレンス像がリファレンス像算出部15によって算出された後は、該リファレンス像は加算器13に入力され、前述した超音波像と画像上合成され、モニタ5に表示されるようになっている。」 (引1-エ)「【0032】 また、超音波治療装置2は、超音波を患部に照射して治療をするための装置として構成されている。 【0033】 ここで、操作者は、前記モニタ5に表示された前記超音波像(およびリファレンス像)を観察しながら、該操作器21に、これから患部に照射しようとする超音波ビームに関する強度、焦点深度、および照射角度等の各情報(超音波照射条件)を入力するようになっている。 【0034】 そして、この場合、操作者は、最初、図3に示すように前記モニタ5に表示された超音波像5Uを観察しながら、前記操作器21に前記超音波照射条件を入力するようになっている。これにより、前記超音波像5Uに前記超音波照射条件に合致された治療ビームパターンBPUが表示され、該治療ビームパターンBPUはこれから照射しようとする実際の超音波ビームに似せたグラフィック像となっている。なお、このような超音波照射条件の入力に関しては、さらに、図3を用いて後に詳述する。 【0035】 そして、超音波照射条件の入力が終了した後は、前記モニタ5の表示内容を切り換えることができ、図1に示すようにリファレンス像5Rを前記超音波像5Uに並べて表示できるようになっている。最初に表示されるリファレンス像5Rは超音波像5Uと同一のスキャン面を有するもので、該超音波像5Uに表示されている治療用ビームパターンBPUと同様のパターンでかつ同一の個所に表示されている治療用ビームパターンBPRが表示されている。」 (引1-オ)「【0038】 このように、前記超音波像5Uおよびリファレンス像Rにはそれぞれ治療用ビームパターンBPU、BPRが表示されるようになっているが、これら治療用ビームパターンBPU、BPRは同じものであり、たとえば、操作器21から入力される超音波照射条件に適合したものを、パターン選択部18によって、予め複数作成されているものの中から選択されるようになっている。 【0039】 そして、このように選択された治療用ビームパターンBPU、BPRは、前記スキャン面座標算出部16で算出されるスキャン面における位置をパターン座標位置設定部19によって決定され、加算器13によって超音波像およびリファレンス像と重ね合わされて表示されるようになっている。」 (引1-カ)「【0043】 超音波像5Cは、超音波探触子の位置CNを中心として扇状に広がる超音波撮像範囲IRが示され、この超音波撮像範囲IR内に位置する個所に患部DPおよびその周辺の臓器が撮像されている。 【0044】 そして、超音波探触子の位置CNと患部DPとを結ぶ仮想の線上に重ね合わされて表示される細長の治療用ビームパターンBPUが示されている。この治療用ビームパターンBPUは前記患部DPにこれから照射しようとする超音波ビームに対応して示されるもので、該治療用ビームパターンBPUの長手方向は該超音波ビームの方向と一致づけられて示されている。 【0045】 また、該治療用ビームパターンBPUは、その長手方向であって超音波探触子の位置CNに相当する先端側からその対向端となる末端にかけて比較的細かい領域ごとに複数に区分けされ、これら区分けされた各領域にはそれぞれ色が付されて表示されている。 【0046】 これらの色はこれから照射されようとする超音波の強度に対応づけられて予め定められたもので、前記治療用ビームパターンBPUの区分けされた各領域には、その領域に重なる位置における前記超音波の強度に対応した色が付されている。これにより、これから照射されようとする超音波ビーム上の超音波の強度は治療用ビームパターンBPUの区分けされた各領域に付された色によって判断できるようになっている。図3の場合、先端側から末端にかけて青 →赤→青と順次変化しており、該赤の部分が前記患部DPの一部と重なるようになっている。後の説明でも明らかとなるように、治療ビームパターンBPU上において該赤の部分は超音波強度が最も高い部分として表されている このため、該治療用ビームパターンBPUのその長手方向に区分された各領域は、該長手方向における長さが必ずしも一律ではなく各領域ごとに異なる場合がある。各領域はある範囲内にある超音波ビームの強さに応じて区分けされるように定められるからである。この関係は後に説明する超音波強度表示5Aの場合と異なるものとなっている。 【0047】 上述したように、このようなパターンからなる治療用ビームパターンBPUは、その長手方向に区分けされた各領域の該長手方向への長さ、あるいはそれらの各領域に付された色がそれぞれ異なるものが、予め多数用意されており、たとえば、治療用の超音波ビームの強度、焦点深度に関する情報の入力によって、それらのうちの一つが選択されるとともに、これから照射しようとする超音波ビームの照射角度に関する情報の入力によって、選択された前記治療用ビームパターンBPUを超音波像5U面に、該角度に相当する傾きで表示されるようになっている。この動作を図2を用いて説明すると、操作器21を介した超音波ビームに関する情報の入力にともない、パターン選択部18によって該情報に対応する治療用ビームパターンBPUが選択され、さらに、パターン座標位置設定部19によってスキャン面座標記憶部17から該パターン座標位置設定部19へ入力されるスキャン面座標上における該治療用ビームパターンBPUの位置が決定される。 【0048】 そして、加算器13によって該加算器13に入力されるシネメモリ12からの超音波像5Uに前記治療用ビームパターンBPUが重ね合わされて表示されるようになっている。」 (引1-キ)「【0056】 上述した説明において、治療用ビームパターンBPUは、その長手方向の先端側から末端にかけて複数に区分けされた領域を有しこれら各領域にはそれぞれ色が付されたものとしたものである。すなわち、超音波ビームの照射方向のみに超音波の強度の分布を表したパターンとして作成したものである。 【0057】 しかし、該治療用ビームパターンBPUとして、超音波ビームの照射方向のみに限られずそれと直交する方向にも超音波の強度の分布を表したものも使用できることはいうまでもない。図4は、このような構成からなる治療用ビームパターンBPU’を超音波像5Uに表示させた場合を示している。 【0058】 このような治療用ビームパターンBPU’を用いることにより、その長手方向のみならず幅方向にも超音波強度の分布が示されているので、たとえば患部のどの個所にどの位の強度の超音波ビームが照射されるかが詳細に判るようになる。 【0059】 この治療用ビームパターンBPU’は、前記治療用ビームパターンBPUと同様に、超音波ビームの照射条件(焦点深度、照射角度等)によりパターンが変化するようになっているもので、その変化に対応するパターンを予めハイドロホンなどにより取得、BMP画像などにより作成されたものとなっている。」 (引1-ク)【図1】 「 」 (引1-ケ)【図2】 「 」 (引1-コ)【図3】 「 」 (引1-サ)【図4】 「 」 イ 引用例1に記載された発明の認定 (ア) (引1-イ)【0028】及び(引1-ウ)【0029】に記載された「前記超音波像算出部11」は、(引1-ア)【0024】の2箇所に記載された「超音波算出部11」を指すものと認められることから、符号11が付された構成の表記を「超音波像算出部11」に統一することとする。 (イ) (引1-キ)【0057】の「該治療用ビームパターンBPUとして、超音波ビームの照射方向のみに限られずそれと直交する方向にも超音波の強度の分布を表したものも使用できることはいうまでもない。図4は、このような構成からなる治療用ビームパターンBPU’を超音波像5Uに表示させた場合を示している。」との記載から、「治療用ビームパターンBPU」に代えて「治療用ビームパターンBPU’」を「治療用ビームパターンBPU」と同様に用いる態様が記載されているものと認められる。 (ウ) よって、(引1-ア)ないし(引1-サ)の記載から、引用例1には、 「 大別して、超音波診断装置1と、超音波治療装置2と、治療プローブ3と、医療画像診断装置4と、画像を表示するモニタ5等により構成されている超音波診断治療装置であって、 超音波診断装置1は、超音波を使って被検体6の患部を含む断層像の超音波画像等を得るための装置として構成されており、 超音波診断装置1に接続されて用いられる治療プローブ3は診断用探触子31を具備し、この診断用探触子31は、被検体6との間で超音波を送受信するようになっており、診断用探触子31によって得られる反射エコー信号は超音波像算出部11に入力され、この超音波像算出部11によって該反射エコー信号はデジタル信号に変換され、断層像(Bモード像)からなる超音波像が作成され、この超音波像の情報はシネメモリ12に入力され、このシネメモリ12では該超音波像を複数のフレームごとに記憶しするようになっており、該シネメモリ12に格納された超音波像は加算器13に入力され, 超音波診断装置1には、ボリュームデータ記憶部14が備えられており、このボリュームデータ記憶部14は、前記医療画像診断装置4で撮影された前記被検体6に係るボリューム画像データが取り込まれるようになっており、このボリューム画像データのうち、前記超音波像算出部11で作成される超音波像と同一のスキャン面におけるリファレンス像をリファレンス像算出部15によって算出し、該リファレンス像は加算器13に入力され、前述した超音波像と画像上合成され、モニタ5に表示されるようになっており、 治療プローブ3には位置センサ33が取り付けられ、被検体6が横臥するベッドの近くに、該被検体6を含む座標系のソース34が設置されており、該ソース34から三次元空間に発生される磁気信号を前記位置センサ33が検知することにより、該ソース34が形成する基準座標系における治療プローブ3の三次元的な位置及び傾き、すなわち前記スキャン面が検出され、前記スキャン面の検出は、スキャン面座標算出部16によってスキャン面座標を算出することによってなされ、このスキャン面座標はスキャン面座標記憶部17に記憶された後に、リファレンス像の座標系におけるスキャン面座標を算出するようになっており、 また、超音波治療装置2は、超音波を患部に照射して治療をするための装置として構成されており、 治療プローブ3には、超音波治療装置2によって駆動される治療用振動子32も具備され、 操作器21に、これから患部に照射しようとする超音波ビームに関する強度、焦点深度、及び照射角度等の各情報(超音波照射条件)を入力するようになっており、 治療用ビームパターンBPU’は、超音波ビームの照射方向のみに限られずそれと直交する方向にも超音波の強度の分布を表したものであり、超音波ビームの照射条件によりパターンが変化するようになっているもので、その変化に対応するパターンを予めハイドロホンなどにより取得、BMP画像などにより作成されたものであり、操作器21から入力される超音波照射条件に適合したものを、パターン選択部18によって、予め複数作成されているものの中から選択され、選択された治療用ビームパターンBPU’は、前記スキャン面座標算出部16で算出されるスキャン面における位置をパターン座標位置設定部19によって決定され、加算器13によって超音波像と重ね合わされて表示されるようになっており、 患部のどの個所にどの位の強度の超音波ビームが照射されるかが詳細に判るようにした、超音波診断治療装置。」 の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 (3)本願補正発明と引用発明1との対比・判断 ア 対比 本願補正発明の発明特定事項である「前記転送信号または前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部」は、「前記転送信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部」と、「前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部」との択一的に記載されている。 そこで、本願補正発明に係る「同期化部」のうち、「前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部」を選択した発明(以下「本願補正発明1」という。)と、引用発明1とを対比することとする。 (ア)治療用超音波画像生成部について a 引用発明1の「超音波ビーム」の信号は、本願補正発明1の「転送信号」に相当する。 b 引用発明1の「超音波ビーム」の信号「に関する」「各情報(超音波照射条件)」は、本願補正発明1の「転送信号の情報」に相当する。 c 引用発明1の「治療用ビームパターンBPU’」は、本願補正発明1の「治療用超音波画像」に相当する。 d 引用発明1の「治療用ビームパターンBPU’」は、「超音波ビームの照射方向のみに限られずそれと直交する方向にも超音波の強度の分布を表したもの」であるから、超音波ビームの照射される範囲、すなわちフィールドに対応した形状を有するものである。 よって、引用発明1の「治療用ビームパターンBPU’」は、本願補正発明1の「超音波ビームフィールド(field)及び領域(region)のうち1つ以上を含む」という条件を満たすものである。 e 引用発明1において、「操作器21から入力される超音波照射条件に適合した」「治療用ビームパターンBPU’」を「予め複数作成されているものの中から選択」することは、「超音波照射条件」を利用して「治療用ビームパターンBPU’」を生成することといえる。 よって、引用発明1の「操作器21から入力される超音波照射条件に適合した」「治療用ビームパターンBPU’」を「予め複数作成されているものの中から選択」する「パターン選択部18」は、本願補正発明1の「転送信号の情報を利用して」「治療用超音波画像を生成する治療用超音波画像生成部」に相当する。 (イ)転送信号の情報について 引用発明1の「超音波ビーム」の信号「に関する」「各情報(超音波照射条件)」における「強度」、「焦点深度」、及び「照射角度」は、それぞれ本願補正発明1の「転送信号の情報」に含まれる「パワーの強度」、「焦点深度」、及び「ステアリング情報」に相当する。 (ウ)診断画像生成部について a 引用発明1の「治療プローブ3」及び「反射エコー信号」及びは、それぞれ本願補正発明1の「超音波プローブ」及び「受信信号」に相当する。 b 引用発明1の「ソース34が形成する基準座標系における」「三次元的な位置及び傾き」は、本願補正発明1の「勾配情報」に相当する。 c 引用発明1の「超音波像」は、本願補正発明1の「診断画像」に相当する。 d 引用発明1において、「ソース34が形成する基準座標系における治療プローブ3の三次元的な位置及び傾き、すなわち前記スキャン面」は、「超音波像」の「三次元的な位置及び傾き」に対応するものであるから、「スキャン面の検出」を行う「スキャン面座標算出部16」は、「超音波像」の「三次元的な位置及び傾き」を検出するものといえる。 また、「三次元的な位置及び傾き」が、1つ以上の情報を含んでいることは明らかである。 そうすると、引用発明1の「治療プローブ3」が具備する「診断用探触子31によって得られる反射エコー信号」を「デジタル信号に変換」して「断層像(Bモード像)からなる超音波像」を作成する「超音波像算出部11」及び「スキャン面の検出」を行う「スキャン面座標算出部16」は、併せて本願補正発明1の「超音波プローブから受信された受信信号及び前記超音波プローブの勾配情報のうち1つ以上を利用して診断画像を生成する診断画像生成部」に相当する。 (エ)治療画像生成部について a 引用発明1において、「パターン座標位置設定部19によって」「治療用ビームパターンBPU’」の「スキャン面における位置を」決定し、「加算器13によって超音波像と重ね合わ」せることは、「超音波像」における「治療用ビームパターンBPU’」の位置を決定して「超音波像」と「治療用ビームパターンBPU’」を対応付けしていることにほかならないから、「超音波像」と「治療用ビームパターンBPU’」をマッピングしているといえる。 b そして、引用発明1において、「治療用ビームパターンBPU’」が「超音波像と重ね合わされ」たものは、本願補正発明1の「治療画像」に相当する。 c そうすると、引用発明1の「治療用ビームパターンBPU’」の「スキャン面における位置を」決定する「パターン座標位置設定部19」、及び「超音波像と重ね合わ」せる「加算器13」は、併せて本願補正発明1の「前記診断画像と前記治療用超音波画像をマッピング(mapping)して、治療画像を生成する治療画像生成部」に相当する。 (オ)引用発明1の「超音波診断治療装置」は、本願補正発明1の「超音波装置」に相当する。 (カ)上記(ア)ないし(オ)を踏まえると、本願補正発明1と引用発明1とは、 「 転送信号の情報を利用して超音波ビームフィールド(field)及び領域(region)のうち1つ以上を含む治療用超音波画像を生成する治療用超音波画像生成部を含み、 前記転送信号の情報は、前記転送信号の種類、周波数、パワーの強度、焦点深度、集束数、ステアリング情報のうち1つ以上を含み、 超音波プローブから受信された受信信号及び前記超音波プローブの勾配情報のうち1つ以上を利用して診断画像を生成する診断画像生成部と、 前記診断画像と前記治療用超音波画像をマッピング(mapping)して、治療画像を生成する治療画像生成部と、を含む、超音波装置。」 の発明である点で一致し、以下の点で一応相違する。 (相違点) 本願補正発明1においては、「前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部をさらに含む」のに対し、引用発明1においては、そのような特定がされていない点。 イ 相違点についての判断 (ア)引用発明1において、「スキャン面座標記憶部17に記憶され」る「スキャン面座標」は、「ソース34が形成する基準座標系における治療プローブ3の三次元的な位置及び傾き」を検出したものであるから、ある瞬間における「治療プローブ3」の「ソース34が形成する基準座標系における」「三次元的な位置及び傾き」に対応したものであり、その瞬間における「超音波像」、換言すれば「反射エコー信号」が関連付けられたものであることは、明らかである。 そうすると、「治療プローブ3」が具備する「診断用探触子31によって得られる反射エコー信号」は、「治療プローブ3」の「ソース34が形成する基準座標系における」「三次元的な位置及び傾き」と、時間的に関連付けられている、すなわち、同期化されているといえる。 よって、引用発明1は、本願補正発明1の「前記超音波プローブから受信された受信信号を前記超音波プローブの勾配情報と同期化する同期化部」に相当する構成を備えているといえることから、上記相違点は実質的な相違点ではない。 以上のとおりであるから、本願補正発明1と引用発明1とに相違するところはなく、両者は同一であるから、本願補正発明1は、引用例1に記載された発明である。 よって、本願補正発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 (イ)加えて、引用発明1が、上記相違点に係る本願補正発明1の発明特定事項である同期化部を備えているといえないとしても、引用発明1が「超音波像と同一のスキャン面におけるリファレンス像を」「超音波像と画像上合成」して「モニタ5に表示」するものであることに鑑みれば、引用発明1において「スキャン面座標記憶部17に記憶され」る「スキャン面座標」が「反射エコー信号」を得たときのものであることが望ましいことは明らかであるから、引用発明1に「反射エコー信号」と「スキャン面座標」、すなわちを「治療プローブ3」の「三次元的な位置及び傾き」を同期化する同期化部を設けて上記相違点に係る本願補正発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願補正発明1によってもたらされる効果が、引用例1の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えた格別なものとは認められない。 そうすると、本願補正発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)補正の却下の決定のむすび したがって、本願補正発明1は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年6月14日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年9月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記第2[理由]1の記載参照。)。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 (理由1) この出願の請求項1-7、11-14に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である下記の引用例1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2) この出願の請求項1-17に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1に記載された発明及び引用例2及び3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用例1:特開2007-135690号公報 引用例2:特開2004-283518号公報 引用例3:特表2008-541975号公報 3 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「超音波プローブから受信された受信信号及び前記超音波プローブの勾配情報のうち1つ以上を利用して診断画像を生成する診断画像生成部と、前記診断画像と前記治療用超音波画像をマッピング(mapping)して、治療画像を生成する治療画像生成部と、を含み、」に係る限定事項を削除し、それに伴い本件補正発明の「前記転送信号または前記超音波プローブ」における「前記超音波プローブ」から「前記」を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用例1に記載された発明であるか、又は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用例1に記載された発明であるか、又は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-008731

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