審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2017-004975

発光装置

審判番号
2017-004975
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-205653外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年04月07日
審決日
2018年01月30日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-WZ (H01L) / P18 .121-WZ (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-205653「発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日出願公開、特開2014- 60328〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年9月19日の出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 平成27年 9月 1日:手続補正(自発) 平成28年 6月 1日:拒絶理由通知(6月7日発送) 同年 7月29日:意見書・手続補正 同年 9月 1日:最後の拒絶理由通知(9月13日発送) 同年11月 7日:意見書・手続補正 平成29年 1月 4日:補正却下の決定(1月10日送達) 同年 1月 4日:拒絶査定(1月10日送達) 同年 4月 7日:審判請求・手続補正 同年10月19日:補正却下の決定(10月31日送達) 同年10月19日:最後の拒絶理由通知(10月24日発送) 同年12月21日:意見書・手続補正 第2 平成29年12月21日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年12月21日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [補正却下の決定の理由] 1 補正内容 本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その特許請求の範囲の請求項1については、 本件補正前(平成28年7月29日付け手続補正後のもの)に、 「下端から上端に向けて広がる形状を有するキャビティーの底面側に配置された発光素子と、 前記発光素子と接触しかつ前記発光素子を覆うように前記キャビティー内に配置され、(Ca,Sr)AlSiN3:Eu、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu、CaSiN2:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、K2SiF6:Mn、LiEuW2O8およびCaX(Si,Al)12(N,O)16:Euから成る群から選択される少なくとも1つである赤色蛍光体を含む第1の樹脂層と、 前記第1の樹脂層の外側に該第1の樹脂層から離間し且つ前記キャビティーの外側に配置された、前記赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い黄緑~黄色蛍光体を含む第2の樹脂層と、を有することを特徴とする発光装置。」とあったものを、 「下端から上端に向けて広がる形状を有する第1のキャビティーの底面側に配置された発光素子と、 前記発光素子と接触しかつ前記発光素子を覆うように前記第1のキャビティー内に配置され、(Ca,Sr)AlSiN3:EuおよびK2SiF6:Mnから成る群から選択される少なくとも1つである赤色蛍光体とシリコーン系樹脂を含む第1の樹脂層と、 前記第1の樹脂層の外側にて下端から上端に向けて広がる形状を有する第2のキャビティーにより前記第1の樹脂層から離間され且つ前記第1のキャビティーの外側に配置された、前記赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体とエポキシ系樹脂を含む第2の樹脂層と、を有し、 前記赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体が、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu、(Ba,Sr)2SiO4:Eu、Sr4Al14O25:Eu、(Y,Lu,Gd,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ceおよび(Sr,Ca,Ba)Ga2S4:Euから選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする発光装置。」と補正する内容を含むものである(下線は、請求人が手続補正書において付したものである。)。 2 補正目的 (1)上記「1」の補正内容は、 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な「下端から上端に向けて広がる形状を有するキャビティー」が「第1のキャビティー」と「第2のキャビティー」とからなるものであって、該「第1のキャビティー」に「発光素子」と「第1の樹脂層」が配置されるものに限定するとともに、「赤色蛍光体」及び「赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い黄緑~黄色蛍光体」の蛍光体の種類を限定し、「第1の樹脂層」及び「第2の樹脂層」の樹脂の種類を限定し、さらに、「第2の樹脂層」が「下端から上端に向けて広がる形状を有する第2のキャビティーにより」第1の樹脂層から離間されたものであると限定するものであって、その補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)よって、本件補正後の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かを、以下に検討する。 3 独立特許要件 (1)引用文献 ア 平成29年10月19日付け最後の拒絶理由通知で引用文献として引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特表2010-538453号公報(平成22年12月9日公開)には、図とともに以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 (ア)「【請求項1】 多層のキャビティを含むボディと、 前記キャビティに発光素子と、 前記発光素子を密封し、第1蛍光体を含む第1蛍光体層と、 前記第1蛍光体層の上に前記第1蛍光体と比重差がある第2蛍光体を含む第2蛍光体層と、を含む発光デバイスパッケージ。 【請求項2】 …… 【請求項8】 前記発光素子は青色LEDチップであり、前記第1蛍光体は赤色蛍光体を含み、前記第2蛍光体は緑色蛍光体を含む請求項1に記載の発光デバイスパッケージ。 【請求項9】 …… 【請求項10】 前記第1蛍光体層と前記第2蛍光体層の間に透光性樹脂層を含む請求項1に記載の発光デバイスパッケージ。」 (イ)「【発明を実施するための形態】 【0012】 以下、添付された図面を参照して本発明を詳しく説明する。 【0013】 図1は、第1実施例による発光デバイスパッケージを示す側断面図である。図1に示すように、発光デバイスパッケージ100はボディ110、複数個のリードパターン118、119、発光素子120、第1蛍光体層130及び第2蛍光体層140を含む。 【0014】 …… 【0016】 前記ボディ110の上側には第1及び第2キャビティ112、116が多層構造に形成される。前記第1キャビティ112は下層領域であり、前記第2キャビティ116は前記第1キャビティ112の上に形成された上層領域となる。前記第1及び第2キャビティ112、116の側面112A、116Aは傾斜するように形成され、反射物質または反射シートを形成することができる。 【0017】 …… 【0018】 前記発光素子120は第1キャビティ112に配置され、前記第1及び第2リードパターン118、119に電気的に連結される。前記発光素子120は前記第1リードパターン118には導電性接着剤により付着されて連結され、前記第2リードパターン119には前記ワイヤ122により連結される。前記発光素子120はフリップ方式で搭載することもできるが、これに対して特に限定しない。前記発光素子120は少なくとも1つの青色LEDチップを用いることができ、これに対して特に限定しない。 【0019】 前記第1蛍光体層130は前記第1キャビティ112領域に形成され、第1蛍光体132が添加される。前記第2蛍光体層140は前記第2キャビティ116領域に形成され、第2蛍光体142が添加される。 【0020】 前記第1及び第2蛍光体層130、140はエポキシ、シリコン等の透光性樹脂に蛍光体132、142が添加された混合物である。前記第1蛍光体層130は前記発光素子120を覆うことができる程の厚さに形成され、前記第2蛍光体層140は前記ボディ110の上層部119の厚さT2の範囲で20~100μm程度に形成される。 【0021】 前記第2蛍光体層140は前記第1蛍光体層130の上に形成される。前記第2蛍光体層140は前記第1蛍光体層130が硬化した後または硬化する前にモールディングすることができる。前記第2蛍光体層140の上にはレンズ(例えば、凸レンズ)を付着することができる。 【0022】 前記第1蛍光体132と第2蛍光体142は異なるスペクトラムの光を放出する蛍光体として、1つは緑色蛍光体で、他はレッド蛍光体からなることができる。ここで、赤色蛍光体は(Sr,Ca)-Ge-S:Euグループ、緑色蛍光体は(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EuまたはSrGa2S4:Euグループを利用することができるが、このような蛍光体の種類に対して特に限定しない。」 (ウ)図1は、以下のものである。 イ 引用文献に記載された発明 (ア)上記ア(ア)の記載からして、引用文献には、 「多層のキャビティを含むボディと、 前記キャビティに発光素子と、 前記発光素子を密封し、第1蛍光体を含む第1蛍光体層と、 前記第1蛍光体層の上に前記第1蛍光体と比重差がある第2蛍光体を含む第2蛍光体層と、 前記第1蛍光体層と前記第2蛍光体層の間に透光性樹脂層を含む発光デバイスパッケージ。」(請求項1及び請求項10を参照。)が記載され、具体的には(請求項8を参照。)、 上記「発光素子」は、青色LEDチップであり、 上記「第1蛍光体」は、赤色蛍光体であり、 上記「第2蛍光体」は、緑色蛍光体であってもよいものと認められる。 (イ)上記ア(イ)の記載を踏まえて、図1を見ると、以下のことが理解できる。 a 上記(ア)の「多層のキャビティを含むボディ」は、 「側面112Aが傾斜するように形成された第1キャビティ112領域及び前記第1キャビティ112領域の上方に側面116Aが傾斜するように形成された第2キャビティ116領域を含むボディ110」であってもよいこと。 b 上記(ア)の「青色LEDチップ」は、第1キャビティ112領域の底面に搭載されていること。 c 上記(ア)の「赤色蛍光体を含む第1蛍光体層」は、エポキシ、シリコン等の透光性樹脂に(Sr,Ca)-Ge-S:Euグループの赤色蛍光体が添加された混合物であって、第1キャビティ112領域に形成されていること。 d 上記(ア)の「緑色蛍光体を含む第2蛍光体層」は、エポキシ、シリコン等の透光性樹脂に(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EuまたはSrGa2S4:Euグループの緑色蛍光体が添加された混合物であって、第2キャビティ116領域に形成されていること。 (ウ)上記(ア)及び(イ)より、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「側面112Aが傾斜するように形成された第1キャビティ112領域及び前記第1キャビティ112領域の上方に側面116Aが傾斜するように形成された第2キャビティ116領域を含むボディ110と、 前記第1キャビティ112領域の底面に搭載された青色LEDチップ120と、 前記青色LEDチップ120を密封し、エポキシ、シリコン等の透光性樹脂に(Sr,Ca)-Ge-S:Euグループの赤色蛍光体132が添加された混合物であって、第1キャビティ112領域に形成された第1蛍光体層130と、 エポキシ、シリコン等の透光性樹脂に(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EuまたはSrGa2S4:Euグループの緑色蛍光体142が添加された混合物であって、第2キャビティ116領域に形成された第2蛍光体層140と、 前記第1蛍光体層130と前記第2蛍光体層140の間に透光性樹脂層を含む、発光デバイスパッケージ100。」 (2)対比・判断 ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「第1キャビティ112領域」は、本願補正発明の「第1のキャビティー」に相当する。 以下、同様に、 「青色LEDチップ120」は、「発光素子」に、 「『青色LEDチップ120を密封し、』『第1キャビティ112領域に形成された第1蛍光体層130』」は、「『発光素子と接触しかつ前記発光素子を覆うように第1のキャビティー内に配置され』た、『第1の樹脂層』」に、相当する。 そして、引用発明の「青色LEDチップ120」は「第1キャビティ112領域の底面に搭載され」るととも、引用発明の「第1蛍光体層130」は「側面112Aが傾斜するように形成された第1キャビティ112領域」に形成されていることから、本願補正発明と引用発明とは、 「下端から上端に向けて広がる形状を有する第1のキャビティーの底面側に配置された発光素子と、 前記発光素子と接触しかつ前記発光素子を覆うように前記第1のキャビティー内に配置された赤色蛍光体と樹脂を含む第1の樹脂層とを有する」点で一致する。 (イ)引用発明においては、「第1蛍光体層130と第2蛍光体層140の間に透光性樹脂層」が配置されているから、「第2キャビティ116領域に形成された第2蛍光体層140」は「第1蛍光体層130」から離間され、かつ、「第1キャビティ112領域」の外側に配置されたものであるといえる。 してみると、本願補正発明と引用発明とは、 「第1の樹脂層の外側にて下端から上端に向けて広がる形状を有する第2のキャビティーにより第1の樹脂層から離間され且つ第1のキャビティーの外側に配置された、赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体と樹脂を含む第2の樹脂層と、を有する」点で一致する。 (ウ)引用発明の「緑色蛍光体142」は、シリケート系蛍光体である「(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Eu」を含むことから、本願補正発明と引用発明とは、 「赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体が、シリケート系蛍光体を含む」点で一致する。 (エ)引用発明の「発光デバイスパッケージ100」は、本願補正発明の「発光装置」に相当する。 (オ)以上のことから、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「下端から上端に向けて広がる形状を有する第1のキャビティーの底面側に配置された発光素子と、 前記発光素子と接触しかつ前記発光素子を覆うように前記第1のキャビティー内に配置された赤色蛍光体と樹脂を含む第1の樹脂層と、 前記第1の樹脂層の外側にて下端から上端に向けて広がる形状を有する第2のキャビティーにより前記第1の樹脂層から離間され且つ前記第1のキャビティーの外側に配置された、前記赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体と樹脂を含む第2の樹脂層と、を有し、 前記赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体が、シリケート系蛍光体を含む、発光装置。」 (カ)一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1> 第1の樹脂層(第1蛍光体層130)に関して、 本願補正発明は、「(Ca,Sr)AlSiN3:EuおよびK2SiF6:Mnから成る群から選択される少なくとも1つである赤色蛍光体」と「シリコーン系樹脂」を含むのに対して、 引用発明は、「(Sr,Ca)-Ge-S:Euグループの赤色蛍光体132」が添加され、赤色蛍光体132は、そのような蛍光体ではなく、透光性樹脂は「エポキシ、シリコン等」ではあるものの、シリコーン系樹脂であるか否か不明である点。 <相違点2> 第2の樹脂層(第2蛍光体層140)に関して、 本願補正発明は、「Ca8MgSi4O16Cl2:Eu、(Ba,Sr)2SiO4:Eu、Sr4Al14O25:Eu、(Y,Lu,Gd,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ceおよび(Sr,Ca,Ba)Ga2S4:Euから選択される少なくとも1つ(の赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体)」と「エポキシ系樹脂」を含むのに対して、 引用発明は、「(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EuまたはSrGa2S4:Euグループの緑色蛍光体142」が添加され、緑色蛍光体142は、そのような蛍光体ではなく、透光性樹脂は「エポキシ、シリコン等」ではあるものの、エポキシ系樹脂であるか否か不明である点。 イ 判断 (ア)上記<相違点1>について検討する。 a 引用発明は、「青色LEDチップ120」側から、「赤色蛍光体132」及び「緑色蛍光体142」を順に配置したものであるところ、発光素子の近傍に、熱に強い蛍光体を配置する必要のあることは、当業者によく知られていることであり、熱に強い赤色蛍光体として、「(Ca,Sr)AlSiN3:Eu」等の窒化物系蛍光体を選択することは、当業者が適宜なし得たことである(以下「周知技術」という。)。 例えば、以下の文献を参照。 特開2012-119544号公報(【0012】) 特表2011-519149号公報(【0143】ないし【0147】) 特開2010-192629号公報(【0044】) 特開2006-310817号公報(【0083】ないし【0096】) b また、引用発明の「第1蛍光体層130」は、「エポキシ、シリコン等の透光性樹脂」に赤色蛍光体132が添加された混合物であるところ、具体的にどのような樹脂を選択するかは、当業者が引用発明を実施する際に樹脂の特性等を勘案して適宜決め得る事項であって、熱に強い等の特性を有するシリコーン系樹脂を選択することに何ら困難性は認められない。 c 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。 (イ)上記<相違点2>について検討する。 a 引用発明の「緑色蛍光体142」のシリケート系蛍光体は「(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Eu」であることから、「(Ba,Sr)2SiO4:Eu」を選択することに何ら困難性は認められない。 例えば、以下の文献を参照。 特開2011-176054号公報(【0065】) 特開2007-39303号公報(【0048】) b また、引用発明の「第2蛍光体層140」は、「エポキシ、シリコン等の透光性樹脂」に緑色蛍光体142が添加された混合物であるところ、具体的にどのような樹脂を選択するかは、当業者が引用発明を実施する際に樹脂の特性等を勘案して適宜決め得る事項であって、ガスバリア性が高い等の特性を有するエポキシ系樹脂を選択することに何ら困難性は認められない。 c 以上のことから、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)効果 本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術から予測し得る範囲内のものである。 (3)平成29年12月21日提出の意見書について 請求人は、平成29年12月21日提出の意見書において、以下のように主張していることから、この点について検討する。 「赤色蛍光体と該赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体との特性の相違、第1の樹脂層の配置および用いる樹脂の特性、ならびに第2の樹脂層の配置および用いる樹脂の特性、各種の事情を鑑みて、シリコーン系樹脂と、エポキシ系樹脂と、赤色蛍光体と、赤色蛍光体よりも発光ピーク波長の短い蛍光体との組み合わせを適切に選択して、本願発明とすることが容易とは考えられません。」(第6頁) しかしながら、発光素子を封止する際に、シリコーン樹脂の上にエポキシ樹脂を被覆する構造は、例えば、特開2003-282952号公報(【0004】)及び特開平8-335720号公報(【0004】)に記載されているように、当業者によく知られていることである。 また、本願明細書の【0035】には「……第1の樹脂層8に用いる樹脂は、任意の樹脂を用いてよいが、透明な樹脂を用いることが好ましい。好適な樹脂として、例えば封止樹脂と用いるシリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂などを例示できる。このような樹脂を溶融状態にして赤色蛍光体10を混合・分散させた後、樹脂と赤色蛍光体10との混合物をキャビティー4内に充填し、樹脂を硬化させることにより第1の樹脂層8を形成できる。」と記載さており、赤色蛍光体を混合・分散させる樹脂は、「透明な任意の樹脂」であればよく、特定の組合わせ(赤色蛍光体とシリコーン樹脂の組合わせ)が示唆されているわけではない。 以上のことから、上記請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。 (4)独立特許要件についてのまとめ 本願補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正却下の決定の理由のむすび 上記「3」のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 したがって、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 1」にて本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 引用文献 引用文献及びその記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願補正発明は、前記「第2 1及び2」に記載したとおり、本願発明を限定したものに相当する。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3(2)」で検討したとおり、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-004975

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決132件(日亜化学工業株式会社)
  • 2025-018436拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)金属成膜部材の製造方法、金属成膜部材、波長変換部材、又は、発光装置
    同じ当事者: 日亜化学工業株式会社
  • 2025-001722拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)発光装置
    同じ当事者: 日亜化学工業株式会社
  • 2025-004931拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)発光部材及びその製造方法、光学部材、発光装置
    同じ当事者: 日亜化学工業株式会社
  • 2024-012647拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立光源装置とその製造方法
    同じ当事者: 日亜化学工業株式会社
  • 2024-019130拒絶査定不服審判 / 2026-04-23 / 請求不成立発光装置
    同じ当事者: 日亜化学工業株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,495件(121・H01L、575・H01L)
  • 2025-002107拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立熱硬化性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・H01L、575・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L、575・H01L
  • 2024-014697拒絶査定不服審判 / 2026-03-23 / 請求不成立アライメントセンサーとビーム測定センサーを備えている荷電粒子リソグラフィシステム
    共通の審決分類: 121・H01L、575・H01L
  • 2024-017912拒絶査定不服審判 / 2026-03-09 / 請求不成立スピンする反射性基板の分析のためのハードウェア改善及び方法
    共通の審決分類: 121・H01L、575・H01L
  • 2024-012389拒絶査定不服審判 / 2026-01-26 / 請求不成立太陽電池および光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L、575・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存