特許拒絶査定不服審判
2017-004079
器具インターフェース
- 審判番号
- 2017-004079
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-510461外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月21日
- 審決日
- 2018年02月14日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 分類
- P18 .121-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-510461「器具インターフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日国際公開、WO2012/158449、平成26年 8月28日国内公表、特表2014-521375〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
I.手続の経緯
本願は、平成24年5月10日(パリ条約による優先権主張 2011年5月13日 アメリカ合衆国 2012年1月27日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月16日付けの拒絶理由通知に対し、同年6月21日付けで手続補正書及び意見書が提出されたが、同年11月11日付けで拒絶査定がされ、その後、平成29年3月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての手続補正がされたものである。
II.平成29年3月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年3月21付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された(下線は、補正箇所を明示するために付したものである。)。
「【請求項1】
第1の構成を有する回転可能な素子を含む医療器具と、
該医療器具と解放可能に係合するよう構成されるインターフェースを有する駆動システムとを含み、
前記回転可能な素子の回転は、前記医療器具を作動させ、
前記インターフェースは、第2の構成を備える駆動素子を含み、前記第1の構成及び前記第2の構成は、前記医療器具を作動させる前記回転可能な素子の回転を誘発させないで、前記駆動素子及び前記回転可能な素子の全回転において、互いに係合し合うよう成形され、
前記第1の構成と前記第2の構成との間の摩擦は、前記駆動システムの回転が前記回転可能な素子を回転させて、前記医療器具を作動させるのを許容する、システム。」
2 補正の目的及び新規事項の追加の有無等
請求項1についての本件補正は、
i)本件補正前の請求項1に記載された、発明を特定するために必要な事項である「前記第1の構成及び前記第2の構成は、前記医療器具を作動させる前記回転可能な素子の回転を誘発させないで互いに係合し合うよう成形され」に関し、その「係合」の態様について「前記駆動素子及び前記回転可能な素子の全回転において、互いに係合し合う」と技術的に限定し、
ii)同「駆動システムが前記回転可能な素子を回転させて」に関し、その「回転させ」の主体について「駆動システムの回転が」と限定する、
というものであって、しかも、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するところもない。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について、以下に検討する。
3-1 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2010-220955号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
a:「【技術分野】
【0001】
本発明は、動作部が駆動部に着脱自在な医療用マニピュレータ、及びその初期化方法に関するものである。」
b:「【0017】
図1に本発明を実施した医療用マニピュレータを示す。医療用マニピュレータ10は、作業部11、操作部12、駆動部13からなる。作業部11は、駆動部13に対して着脱自在となっており、操作部12は、駆動部13に取り付けられている。
【0018】
作業部11は、腹腔内で作業を行う先端動作部15と、駆動部13に取り付けられる取付部16と、これら先端動作部15と取付部16とを連結する長尺の中空なシャフト17とからなる。先端動作部15は、シャフト17内部を挿通したワイヤ等により取付部16に内蔵した連動機構と連結してある。これにより、取付部16に駆動力を与えることで先端動作部15を動作させることができる。先端動作部15及びシャフト17は、周知のトラカールを通して腹腔内に挿入した状態とされ、腹腔外での操作部12の操作で先端動作部15を動作させ組織の把持や切除、縫合等を行うことができる。」
c:「【0028】
図2に示すように、取付部16は、駆動部13の装着面13aに取り付けられる。この装着面13aには、3個の駆動側連結部材26を設けてあり、装着面13aに対面する取付部16の下面には、各駆動側連結部材26に対応して3個の作業側連結部材27を設けてある。各連結部材26,27は、装着面13aの法線方向を軸として回動自在にしてある。これら各連結部材26,27は、駆動部13からの駆動力を作業部11に伝達するための伝達機構を構成している。
【0029】
図3に一例を示すように、駆動側連結部材26は、略円錐状の凸部26aを形成してあり、作業側連結部材27は、駆動側連結部材26が嵌合する凹部27aを形成してある。各連結部材26,27の表面のそれぞれには、その母線方向に沿って伸びる多数の山,谷を形成してある。これにより、取付部16を駆動部13に取り付けたときに、各連結部材26,27の相互の回転位置に関わらず、すなわち任意の結合位置で駆動側連結部材26と作業側連結部材27が一体に回転するように結合する。」
d:「【0039】
各モータ36~38には、それぞれ駆動機構39が連結されている。各駆動機構39は
、減速ギア列等から構成してあり、対応するモータの回転を減速して出力軸に出力する。各駆動機構39の出力軸には、駆動側連結部材26を取り付けてある。これにより、モータ36~38の回転を、駆動機構39,駆動側連結部材26を介して、作業側連結部材27に伝達する。
【0040】
取付部16の内部には、連動機構41~43を設けてあり、連動機構41~43には対応する作業側連結部材27の回転が入力される。連動機構41は、ギア列やシャフト17内を通されて先端動作部15に連結されたワイヤを駆動するためのプーリー等から構成してある。この連動機構41に対応する作業側連結部材27が回転すると、連動機構41を介して先端動作部15がX回転する。」
e:「【0054】
次に上記構成の作用について説明する。手術中に、作業部11を駆動部13に装着すると、・・・
・・・
【0056】
装着された作業部11は、洗浄・滅菌された新規装着のものであるから、予め所定の調整装置で先端動作部15がそれぞれ原点位置にセットされている。また、各連結部材26,27は、それらの相互の回転位置にかかわらず結合するようになっているから、先端動作部15、グリッパ18を動作させることなく装着される。・・・
・・・
【0069】
再装着時の作業部11は、先端動作部15のX回転、Y回転、グリッパ18の開閉の各位置については、ロック機構44によって前回分離されたときの位置のままとなっている。また、各連結部材26,27は、それらの相互の回転位置にかかわらず結合するようになっているから、先端動作部15、グリッパ18が動作することなく前回の分離時の状態が維持されて再装着される。・・・」
f:「【0072】
上記では、伝達機構を構成する各連結部材として、径方向(母線方向)に多数の山,谷を形成したものを用いたが、各連結部材としては、任意の結合位置で結合できるものであれば種々の手法で結合するものを利用することができる。例えば図6に示す例は、各連結部材26,27の各結合面をそれぞれ摩擦係数が高い部材51,52で形成したものである。・・・」
続いて図面を参照しつつ、上記の各記載について検討する。
A)摘記事項bの「医療用マニピュレータ10は、作業部11、操作部12、駆動部13からなる。作業部11は、駆動部13に対して着脱自在となっており、操作部12は、駆動部13に取り付けられている。」の記載から、当該「医療用マニピュレータ」は、作業部11と、駆動部13とを含み、作業部11は、駆動部13に対して着脱自在となっている、医療用マニピュレータといえる。
B)摘記事項bの「作業部11は、腹腔内で作業を行う先端動作部15と、駆動部13に取り付けられる取付部16と、これら先端動作部15と取付部16とを連結する長尺の中空なシャフト17とからなる。」、摘記事項cの「取付部16の下面には、各駆動側連結部材26に対応して3個の作業側連結部材27を設けてある。各連結部材26,27は、装着面13aの法線方向を軸として回動自在にしてある。」、「各連結部材26,27の表面のそれぞれには、その母線方向に沿って伸びる多数の山,谷を形成してある。」の各記載から、作業部11は作業側連結部材27を含むこと、作業側連結部材27は回転自在であること、また、作業側連結部材27は、多数の山、谷を形成してある表面を有することが分かる。
C)摘記事項bの「作業部11は、腹腔内で作業を行う先端動作部15と、駆動部13に取り付けられる取付部16と、これら先端動作部15と取付部16とを連結する長尺の中空なシャフト17とからなる。」、摘記事項cの「図2に示すように、取付部16は、駆動部13の装着面13aに取り付けられる。」の各記載から、駆動部13は装着面13aを有するものであり、装着面13aは、作業部11を取り付けるよう構成される装着面といえる。
D)摘記事項bの「作業部11は、腹腔内で作業を行う先端動作部15と、駆動部13に取り付けられる取付部16と、これら先端動作部15と取付部16とを連結する長尺の中空なシャフト17とからなる。」、摘記事項dの「この連動機構41に対応する作業側連結部材27が回転すると、連動機構41を介して先端動作部15がX回転する。」の各記載から、作業側連結部材27が回転すると、作業部11の先端動作部15が回転するものといえる。
E)摘記事項cの「この装着面13aには、3個の駆動側連結部材26を設けてあり」、「各連結部材26,27の表面のそれぞれには、その母線方向に沿って伸びる多数の山,谷を形成してある。」の各記載から、装着面13aは駆動側連結部材26を含むこと、また、駆動側連結部材26は、多数の山、谷を形成してある表面を備えるものであることが分かる。
F)摘記事項dの「この連動機構41に対応する作業側連結部材27が回転すると、連動機構41を介して先端動作部15がX回転する。」の記載から、先端作動部15は、連動機構41により作業側連結部材27と作動連結されるものといえる。
G)摘記事項cの「図3に一例を示すように、駆動側連結部材26は、略円錐状の凸部26aを形成してあり、作業側連結部材27は、駆動側連結部材26が嵌合する凹部27aを形成してある。各連結部材26,27の表面のそれぞれには、その母線方向に沿って伸びる多数の山,谷を形成してある。これにより、取付部16を駆動部13に取り付けたときに、各連結部材26,27の相互の回転位置に関わらず、すなわち任意の結合位置で駆動側連結部材26と作業側連結部材27が一体に回転するように結合する。」の記載及び図3の図示内容からして、駆動側連結部材26と作業側連結部材27の結合は、駆動側連結部材26と作業側連結部材27の表面同士の結合であることは明らかである。
ここで、当該記載における「任意の結合位置で駆動側連結部材26と作業側連結部材27が一体に回転するように結合する。」点について検討するに、「各連結部材26,27の表面のそれぞれには、その母線方向に沿って伸びる多数の山,谷を形成し」ているところ、各連結部材の山同士、谷同士が対向した場合は両者が「結合」し得ないことを考慮すると、当該「任意の結合位置で」とは、厳密には、「略任意の結合位置で」を意味するものと理解できる。
H)上記F)、G)の検討を踏まえつつ、さらに、摘記事項eの「各連結部材26,27は、それらの相互の回転位置にかかわらず結合するようになっているから、先端動作部15、グリッパ18を動作させることなく装着される。」の記載も併せみれば、駆動側連結部材26と作業側連結部材27は、各連結部材26、27の相互の回転位置に関わらず、すなわち略任意の結合位置で、一体に回転するように表面同士で結合するようになっており、そのため、作業側連結部材27と作動連結される先端動作部15を動作させることなく結合されるものといえる。
I)摘記事項cの「取付部16を駆動部13に取り付けたときに、各連結部材26,27の相互の回転位置に関わらず、すなわち任意の結合位置で駆動側連結部材26と作業側連結部材27が一体に回転するように結合する。」、摘記事項dの「モータ36~38の回転を、駆動機構39,駆動側連結部材26を介して、作業側連結部材27に伝達する。・・・この連動機構41に対応する作業側連結部材27が回転すると、連動機構41を介して先端動作部15がX回転する。」の各記載によれば、モータ36が回転すると駆動機構39を介して駆動側連結部材26が回転し、この回転が作業側連結部材27を回転させ、連動機構41を介して先端動作部15がX回転するというのであるから、上記G)の検討をも踏まえると、駆動側連結部材26と作業側連結部材27の表面同士の結合により、駆動部13の駆動側連結部材26の回転が作業側連結部材27を回転させて、作動部11の先端動作部15が回転するものといえる。
よって、上記摘記事項a~eの各記載及び上記A)~I)の検討内容を総合すれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「多数の山、谷を形成してある表面を有する回転自在な作業側連結部材27を含む作業部11と、
作業部11を取り付けるよう構成される装着面13aを有する駆動部13とを含み、
作業部11は、駆動部13に対して着脱自在となっており、
前記作業側連結部材27が回転すると、前記作業部11の先端動作部15が回転し、
前記装着面13aは、多数の山、谷を形成してある表面を備える駆動側連結部材26を含み、前記駆動側連結部材26と前記作業側連結部材27は、各連結部材26、27の相互の回転位置に関わらず、すなわち略任意の結合位置で、一体に回転するように表面同士で結合するようになっており、そのため、作業側連結部材27と作動連結される先端動作部15を動作させることなく結合され、
駆動側連結部材26と作業側連結部材27の表面同士の結合により、駆動部13の駆動側連結部材26の回転が作業側連結部材27を回転させて、作動部11の先端動作部15が回転する、医療用マニピュレータ。」
3-3 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「作業部11」、「駆動部13」は、文言の意味、形状、機能等からみて、それぞれ本願補正発明の「医療器具」、「駆動システム」に相当し、引用発明の「医療用マニピュレータ」は、本願補正発明の「システム」に含まれる。
また、引用発明の「作業側連結部材27」は、「回転自在」であることから、本願補正発明の「回転可能な素子」に相当し、当該「作業側連結部材27」における「多数の山、谷を形成してある表面」は、本願補正発明の「第1の構成」に相当する。
(イ)引用発明の「作業部11を取り付けるよう構成される装着面13a」は、当該「作業部11」が「駆動部13に対して着脱自在となって」いることを踏まえると、本願補正発明の「医療器具と解放可能に係合するよう構成されるインターフェース」に相当する。
また、引用発明の「駆動部13」の「装着面13a」に含まれる「駆動側連結部材26」は、本願補正発明の「駆動素子」に相当し、当該「作業側連結部材26」における「多数の山、谷を形成してある表面」は、本願補正発明の「第2の構成」に相当する。
(ウ)引用発明における「作業部11の先端動作部15が回転」することは、作業部11の作動形態の一種といえるので、引用発明の「前記作業側連結部材27が回転すると、前記作業部11の先端動作部15が回転し、」は、本願補正発明の「前記回転可能な素子の回転は、前記医療器具を作動させ、」に相当する。
(エ)本願補正発明における「前記駆動素子及び前記回転可能な素子の全回転において、」の意味内容は、必ずしも明らかではないが、本願明細書段落【0008】における「・・・いずれにしても、突起及びボアの対称性は、医療器具に対する駆動システムの回転角度に拘わらず、突起がゴア内に圧縮嵌めされることを可能にする。」なる記載を参酌すれば、“前記駆動素子及び前記回転可能な素子の全回転角度において、”と一応解されることから、引用発明の「各連結部材26、27の相互の回転位置に関わらず、すなわち略任意の結合位置で、」と本願補正発明の「前記駆動素子及び前記回転可能な素子の全回転において、」とは、“前記駆動素子及び前記回転可能な素子の少なくとも略全回転において、”という点で共通する。
また、引用発明では、「前記駆動側連結部材26と前記作業側連結部材27は、」「表面同士で結合するようになっており、そのため、作業側連結部材27と作動連結される先端動作部15を動作させることなく結合され」るのであるから、先端作動部15の動作のみならず作業側連結部材27の動作をも生じさせることなく、当該表面同士が結合するものといえる。
よって、引用発明の「前記駆動側連結部材26と前記作業側連結部材27は、各連結部材26、27の相互の回転位置に関わらず、すなわち任意の結合位置で、一体に回転するように表面同士で結合するようになっており、そのため、作業側連結部材27と作動連結される先端動作部15を動作させることなく結合され、」は、“前記第1の構成及び前記第2の構成は、前記医療器具を作動させる前記回転可能な素子の回転を誘発させないで、前記駆動素子及び前記回転可能な素子の少なくとも略全回転において、互いに係合し合うよう成形され、”という点で本願補正発明と共通する。
(オ)引用発明では、「駆動側連結部材26と作業側連結部材27の表面同士の結合により、駆動部13の駆動側連結部材26の回転が作業側連結部材27を回転させて、作動部11の先端動作部15が回転する」のであるから、引用発明は、“前記第1の構成と前記第2の構成との間の結合は、前記駆動システムの回転が前記回転可能な素子を回転させて、前記医療器具を作動させるのを許容する”点で、本願補正発明と共通する。
以上によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「第1の構成を有する回転可能な素子を含む医療器具と、
該医療器具と解放可能に係合するよう構成されるインターフェースを有する駆動システムとを含み、
前記回転可能な素子の回転は、前記医療器具を作動させ、
前記インターフェースは、第2の構成を備える駆動素子を含み、前記第1の構成及び前記第2の構成は、前記医療器具を作動させる前記回転可能な素子の回転を誘発させないで、前記駆動素子及び前記回転可能な素子の少なくとも略全回転において、互いに係合し合うよう成形され、
前記第1の構成と前記第2の構成との間の結合は、前記駆動システムの回転が前記回転可能な素子を回転させて、前記医療器具を作動させるのを許容する、システム。
<相違点1>
第1の構成及び第2の構成が、医療器具を作動させる回転可能な素子の回転を誘発させないで、互いに係合し合うに当たり、本願補正発明では、駆動素子及び回転可能な素子の「全回転において、」互いに係合し合うのに対し、引用発明では、第1の構成及び第2の構成が、それぞれ多数の山、谷を形成してある表面であるため、「全回転において、」互いに係合し合うものではない点。
<相違点2>
第1の構成と前記第2の構成との間の結合に関し、本願補正発明では、その結合が「摩擦」であるのに対し、引用発明では、第1の構成及び第2の構成が、それぞれ多数の山、谷を形成してある表面であって、その山と谷との結合が、「摩擦」の結合であるとまでの特定はない点。
3-4 判断
上記相違点1、2について検討する。
引用例における「上記では、伝達機構を構成する各連結部材として、径方向(母線方向)に多数の山,谷を形成したものを用いたが、各連結部材としては、任意の結合位置で結合できるものであれば種々の手法で結合するものを利用することができる。例えば図6に示す例は、各連結部材26,27の各結合面をそれぞれ摩擦係数が高い部材51,52で形成したものである。」(摘記事項f)なる記載及び図6の図示内容も参照すれば、当該連結部材26,27の各結合面は平面状であるから、文字どおり「任意の結合位置で結合できるもの」であり、しかも「摩擦係数が高い部材51,52で形成した」ということから、各結合面の結合は摩擦による結合と把握できる。
そうすると、引用例には、引用発明に加え、各連結部材の連結面を平面状とし、各連結部材の任意の位置、即ち、全回転において結合すると共に、連結面の間の摩擦により回転を伝達する事項(以下「引用例図6事項」という。)も開示されているものといえる。
そして、引用例では、「各連結部材としては、任意の結合位置で結合できるものであれば種々の手法で結合するものを利用することができる。例えば図6に示す例は、・・・」と、引用発明に対する引用例図6事項の適用も教示されているのであるから、斯かる教示に接した当業者であれば、引用発明において、第1の構成及び第2の構成として、引用例図6事項を採用し、相違点1、2における本願補正発明に係る特定事項とすることは、容易に想到し得たことである。
また、本願補正発明の効果も、引用発明及び引用例図6事項から当業者が予測できる範囲内のものであって格別のものとはいえない。
3-5 小括
よって、本願補正発明は、引用発明及び引用例図6事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
III.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし37に係る発明は、平成28年6月21日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし37に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
第1の構成を有する回転可能な素子を含む医療器具と、
該医療器具と解放可能に係合するよう構成されるインターフェースを有する駆動システムとを含み、
前記回転可能な素子の回転は、前記医療器具を作動させ、前記インターフェースは、第2の構成を備える駆動素子を含み、前記第1の構成及び前記第2の構成は、前記医療器具を作動させる前記回転可能な素子の回転を誘発させないで互いに係合し合うよう成形され、
前記第1の構成と前記第2の構成との間の摩擦は、前記駆動システムが前記回転可能な素子を回転させて、前記医療器具を作動させるのを許容する、システム。」
IV.刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、前記II.3-1に記載したとおりである。
V.対比・判断
本願発明は、前記II.1の本願補正発明から、前記II.2で指摘した限定事項を省いたものに相当する発明である。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記II.3-2、3-3、3-4に示したとおり、引用発明及び引用例図6事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明及び引用例図6事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例図6事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-004079