特許異議申立
2016-701195
果実フレーバーを含有する透明飲料
- 審判番号
- 2016-701195
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-214793
- 登録番号
- 特許第5963289号(P5963289)
- 請求日
- 2016年12月27日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】サントリー食品インターナショナル株式会社
- 【権利者代理人】小野 新次郎
- 【権利者代理人】山本 修
- 【権利者代理人】梶田 剛
- 【権利者代理人】武田 健志
- 【異議申立人】関谷 祐子
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 則夫
- 審判官 佐々木 正章
- 審判官 山崎 勝司
- 分類
- P1651.121-Y (A23L) / P1651.536-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5963289号発明「果実フレーバーを含有する透明飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5963289号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5963289号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成27年9月4日(優先権主張平成27年2月25日)に出願した特願2015-174756号の一部を平成27年10月30日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月8日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人関谷祐子により特許異議申立がなされ、当審において平成29年4月7日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月9日に意見書の提出がされたものである。
第2 特許異議申立について
1 本件発明
請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1~5」、また、これらをあわせて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
柑橘類の果実のフレーバーを含み、
5~500ppbのバニリンを含み、
波長660nmの吸光度が0.06以下である、容器詰め透明飲料。
【請求項2】
500ppb以上のマルトール又は100ppb以上のエチルマルトールをさらに含む、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
3ppb以上のオクタン酸エチル又は50ppb以上の2-ウンデカノンをさらに含む、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
糖用屈折計示度(Brix)が、3.0~10.0である、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料。
2 取消理由に採用した特許異議申立理由について
(1)取消理由の概要
当審において、請求項1~5に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 特許法第36条第4項第1号について
発明の詳細な説明は、請求項1~5に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものであり、その特許は取り消されるべきものである。
イ 特許法第36条第6項第1号について
請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、その特許は取り消されるべきものである。
ウ 特許法第36条第6項第2号について
請求項1~4に係る発明は、以下の点で特許請求の範囲の記載が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、その特許は取り消されるべきものである。
(ア)請求項2及び3には、数値範囲について「以上」なる記載があるが、上限が定められておらず、その数値範囲が不明確である。
(イ)請求項1及び4には、数値範囲について「以下」なる記載があるが、下限が定められておらず、その数値範囲が不明確である。
(2) 当審の判断
ア 特許法第36条第6項第1号について
(ア) 本件発明1について
A 発明が解決しようとする課題について
本件明細書には、「果実フレーバーの劣化による異味や異臭が感じられにくく、かつ、透明さを保持しており、さらに、自然な酸味または果汁感を有する、新規な飲料を提供することを目的とする。」(【0007】)と記載されており、本件発明の解決しようとする課題が、少なくとも「果実フレーバーの劣化による異味や異臭が感じられにくく、かつ、透明さを保持」することであることは明らかである。
B 課題を解決するための手段について
本件明細書には、「【0013】
果実フレーバーは、一般に、光や熱などにより劣化して、不快な異味や異臭(オフフレーバー)を生じることが知られている。本発明の飲料は、果実フレーバーに加えて、特定濃度範囲の特定の香気成分を含有することにより、果実フレーバーが劣化して生成した不快なオフフレーバーをマスキングすることができる。果実フレーバーが劣化して生成するオフフレーバーの成分としては、これに限定されないが、例えば、α-ターピネオールが挙げられる。α-ターピネオールは、分子式C10H18Oのモノテルペンアルコールの一種である。例えば、α-ターピネオールを500ppb以上含む飲料は、果実フレーバーが劣化した飲料と考えることができる。飲料中のα-ターピネオールの量は、後述する実施例に記載の飲料の香気成分の定量方法と同様に、例えばGC/MS測定装置を用いるなどして、測定することができる。
【0014】
(乳性飲料に含まれる香気成分)
本発明の飲料は、果実フレーバーに加えて、乳性飲料にみられる特定の香気成分を特定の濃度範囲で含む。・・・。具体的には、バニリン、マルトール、エチルマルトール、オクタン酸エチル、及び2-ウンデカノンを指す。これらの香気成分を特定の濃度で含有させることにより、飲料の透明さを損なわずに、飲料中の果実フレーバーの劣化により生じるオフフレーバーをマスキングできることを見出した。これら香気成分により果実フレーバーの劣化臭をマスキングできる理由については明らかではないが、これら香気成分に特徴的なやや甘い香りが、オフフレーバーの不快な匂いを包み込み、知覚されにくくするためと推測している。なお、乳性飲料は通常、白濁または混濁しており、本出願人が知る限り、透明な乳性飲料は市販されたことがない。
【0015】
香気成分としてバニリンを添加する場合には、飲料中のバニリンの濃度は5ppb以上、好ましくは5~5000ppb、さらに好ましくは100~3000ppb、さらに好ましくは100~2000ppbである。バニリン(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、C8H8O3)は、主にバニラの実から得られる甘い香りを呈する香気成分であり、リグニンの分解によっても得ることができる。バニリンの由来は特に限定されず、飲食品に適するものであればよい。バニリンは、バニラの果実には含まれるものの、バニラ以外の上述した果実には通常含まれない。したがって、本発明の飲料を調製するためには、果実フレーバーに加えて、特定濃度範囲のバニリンを意図的に添加し、さらに飲料の透明度を維持する必要がある。また、果実フレーバーとバニリンとを含有する飲料は、甘酸っぱさにややコクのあるような味わいを呈するようになり、おいしく飲むことができる飲料となる。」と記載されており、飲料中の果実フレーバーの劣化により生じるオフフレーバーをバニリン5~5000ppb添加することでマスキングできることが記載されている。
また、透明飲料については、「紫外可視分光光度計(UV-1600(株式会社島津製作所製)など)を用いて測定した波長660nmにおける吸光度が、0.06以下であるものを「透明」と呼ぶことができる。」(【0021】)と記載されている。
そして、本件明細書には、実施例1(【0036】~【0039】)として、「水に果糖ぶどう糖液糖を添加してBrix6.0に調整した溶液に、クエン酸を0.12または0.14質量%、およびレモン香料を0.1質量%添加し、クエン酸三ナトリウムを加えてpHが3.6となるように調整した。この調合液を密閉容器(180ml容のガラス瓶)に充填し85℃10分間の加熱殺菌を行い、さらに55℃で2日間保管することで加速的に果実フレーバーを劣化させた。これに各香気成分のそれぞれを以下の表3及び4に記載の濃度(単位:ppb)となるように加えて試作品10~52を調製した。得られた試作品10~52はいずれも、「無色透明」の水のような外観であり、分光光度計(UV-1600(株式会社島津製作所製))による波長660nmにおける吸光度が0.06以下、測色色差計(ZE2000(日本電色工業株式会社製))による純水に対する透過光のΔEが3.5以下であった。これを飲用した際の劣化臭の強さについて、参考例1と同様にして評価した。評価の平均点を表3及び4に示す。」とされ、バニリンをそれぞれ5、10、100、5000ppb添加した「試作品10」~「試作品14」が、官能評価で3.5以上(3.5点以上4.0点未満の場合は効果があり、4.0点以上の場合は大きな効果がある【0030】)であること及び波長660nmにおける吸光度が0.06以下であることが記載されている。
そうすると、本件明細書には、透明飲料中の果実フレーバーの劣化により生じるオフフレーバーをバニリン5~5000ppb添加することでマスキングできることが記載されているといえる。
C 特許異議申立人の主張について
(A)発明が解決しようとする課題について
特許異議申立人は、本件発明が「自然な酸味または果汁感を有する、新規な飲料を提供すること」との課題を解決できることを当業者が認識できないと主張するが、本件発明が少なくとも「果実フレーバーの劣化による異味や異臭が感じられにくく、かつ、透明さを保持」するとの課題を解決できていることは、上記のとおりであるから、特許異議申立人の主張は採用できない。
(B)課題を解決するための手段について
特許異議申立人は、本願明細書の【0036】には、果実フレーバーを劣化させた後にバニリンを加えた透明飲料のみが記載されており、本件発明に係る透明容器に詰められて保管される際に生ずる香気成分の劣化による異臭をマスキングすることは記載されておらず、発明の詳細な説明には、本件発明1が記載されていない旨主張する(異議申立書18頁7~23行)。
しかし、本件発明1の「柑橘類の果実のフレーバーを含み、5~500ppbのバニリンを含」む「容器詰め透明飲料。」とは、容器詰めされた透明飲料として柑橘類の果実のフレーバーと5~500ppbのバニリンを含んでいることを特定していると理解することができる。そして、その柑橘類の果実のフレーバーとバニリンを含んだ透明飲料は、容器詰めされていることから、保管状態において、透明飲料中のバニリン含有量は大きく変化しないことは技術常識である。
そうすると、保管されている容器詰め透明飲料において、柑橘類の果実のフレーバーより劣化臭が発生した場合、その容器詰め透明飲料には、5~500ppbのバニリンが含まれていることとなり、本件明細書の実施例1の果実フレーバーを劣化させた後にバニリンを加えた透明飲料と等価であるといえる。そうすると、本件明細書の実施例1の記載は、本件発明1の容器詰め透明飲料において、果実フレーバーの劣化による異味や異臭が感じられにくいことが確認できるものと理解できる。
したがって、本件明細書には、本件発明1に係る透明容器に詰められて保管される際に生ずる香気成分の劣化による異臭をマスキングすることは記載されているといえるから、特許異議申立人の主張は採用できない。
D 小括
ゆえに、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
(イ) 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものであるから、上記(ア)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~5は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
イ 特許法第36条第4項第1号について
(ア) 本件発明1について
上記「ア (ア)」で検討したとおり、本件発明1の主たる課題は、果実フレーバーの劣化による異味や異臭が感じられにくく、かつ、透明さを保持することであり、容器詰め透明飲料に、5~500ppbのバニリンが含まれていることで、課題を解決できることが発明の詳細な説明に記載されている。
そうすると、発明の詳細な説明は、本件発明1について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
(イ) 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものであるから、上記(ア)で検討したのと同様の理由により、発明の詳細な説明は、本件発明2~5について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
ウ 特許法第36条第6項第2号について
(ア)特許異議申立人は、請求項2の「500ppb以上のマルトール」、「100ppb以上のエチルマルトール」及び請求項3の「3ppb以上のオクタン酸エチル」、「50ppb以上の2-ウンデカノン」の記載は、数値範囲について「以上」なる記載があるが、上限が定められておらず、その数値範囲が不明確である旨主張する。
しかし、当該数値範囲は、容器詰め透明飲料における各成分の含有量の下限について、好適な範囲を示すものであるから、その上限が特定されていないから不明確となるものでない。
したがって、請求項2の「マルトール」、「エチルマルトール」及び請求項3の「オクタン酸エチル」、「2-ウンデカノン」の含有量の範囲は明らかである。
(イ)特許異議申立人は、請求項1の「波長660nmの吸光度が0.06以下」及び4の「純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下」の記載は、数値範囲について「以下」なる記載があるが、下限が定められておらず、その数値範囲が不明確である旨主張する。
しかし、当該記載は、容器詰め飲料が透明であることを考慮すると、その下限がいずれも0であることは明らかであるから、請求項1の「波長660nmの吸光度」及び請求項4の「純水を基準とした場合のΔE値(色差)」の下限は明らかである。
(ウ)小括
したがって、請求項1~4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不明確であるといえず、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
3 取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、本件発明は、甲第1~4号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は取り消されるべきもの旨主張することについて、以下検討する。
甲第1号証:特開2005-143461号公報
甲第2号証:特開2005-15686号公報
甲第3号証:特開2009-504675号公報
甲第4号証:特開2000-333653号公報
(1)甲第1号証を主引用例とした場合
ア 本件発明1について
本件発明1と甲第1号証の実施例8(【0081】、【0082】等)に記載の発明(以下「甲1発明」という。)とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、「5~500ppbのバニリンを含」むのに対して、甲1発明は、20ppbのバニリルブチルエーテルを含む点。
そこで、上記相違点1について検討するに、
異議申立人は、甲1発明のバニリルブチルエーテルが温感剤として含まれているところ(【0035】)、甲第3号証(【0014】、【0017】等)には、バニリルブチルエーテル及びバニリンが、ともに飲料に添加できる温感剤であることが記載されているから、甲1発明の温感剤であるバニリルブチルエーテルに代えてバニリンを用いることは当業者が容易に想到し得ることであり、果実フレーバーの劣化臭や劣化味を抑制するという課題は周知であるから、当業者であれば、当然に着想し、解決を試みるものである旨主張する。
しかし、仮に、甲1発明の温感剤であるバニリルブチルエーテルに代えてバニリンを用いることが当業者が容易に想到し得ることであるとしても、温感剤としてバニリンを用いた際の含有量が本件発明1と同じ範囲となるとは直ちには認められない。
また、仮に、温感剤としてバニリンを用いた際の含有量が本件発明1と同じ範囲となるとしても、果実フレーバーの劣化臭や劣化味がバニリンでマスキングできることが、本件優先日の時点で周知であったとする証拠はないから、果実フレーバーの劣化臭や劣化味を抑制するという課題が周知というだけでは、本件発明1の奏する効果について、当業者が予測し得る範囲内のものであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明、甲第3号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものでるとはいえない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものであるから、上記アで検討したのと同様の理由により、本件発明2~5は、甲1発明、甲第3号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものであるとはいえない。
(2)甲第2号証を主引用例とした場合
ア 本件発明1について
本件発明1と甲第2号証の実施例80のフルーツ様香料組成物(梅)を用いたニアウォーター(【0134】、【0135】、【0141】等)に記載の発明(以下「甲2発明」という。)とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
バニリンの含量について、本件発明1は、「5~500ppb」であるのに対して、甲2発明は、2.5ppmである点。
そこで、上記相違点2について検討するに、
特許異議申立人は、甲第2号証の【0115】に、「上記食品への本発明のフルーツ様香料組成物の添加量に関しては、使用するフルーツ様香料組成物の種類や対象となる食品により、ー概には、規定することはできないが、嗜好性により広い範囲で使用可能であるが、一般的には、0.0001~30重量%程度の範囲である。」と記載されているから、フルーツ様香料組成物の添加量は嗜好性に合わせて適宜調整するものであり、バニリンの量も調整されるものであるから、甲2発明において、バニリンの含有量を適宜調整し、バニリンの含有量を5~500ppbとすることは当業者が容易に想到し得ることである旨主張する。
しかし、甲2発明はニアウォーターに係る発明であるから、甲第2号証の【0115】に「フルーツ様香料組成物の添加量に関しては、・・・、一般的には、0.0001~30重量%程度の範囲である。」と記載されているとしても、ニアウォーターにおいて、フルーツ様香料組成物の含有量を大きく変更する動機付けはない。
また、甲2発明のバニリンは、フルーツ様香料組成物(梅)を構成する成分の一つであるから、バニリンのみの添加量を大きく変更することは梅の香料としての所期の香りを損なうこととなる。
したがって、甲2発明において、バニリンの含有量を大きく変更することの動機付けはないから、フルーツ様香料組成物の添加量は嗜好性に合わせて適宜調整するものであるとしても、バニリンの含有量を2.5ppm含むものを5~500ppb含むものとすることに理由はない。
<本件発明1の奏する効果について>
また、本件発明1の効果である、果実フレーバーの劣化臭や劣化味がバニリンでマスキングされることは、甲第1~4号証のいずれにも記載はなく、本件発明1の効果が当業者が予測し得る範囲内のものであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、その特許は取り消されるべきものでるとはいえない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものであるから、上記アで検討したのと同様の理由により、本件発明2~5は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものでるとはいえない。
第4 むすび
したがって、特許異議の申立の理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-701195