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特許異議申立

2016-700349

呈味改善剤及びこれを含む茶飲料

審判番号
2016-700349
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-117298
登録番号
特許第5816337号(P5816337)
請求日
2016年04月22日
審決日
2017年02月20日
公報発行日
2017年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】サントリー食品インターナショナル株式会社
  • 【権利者代理人】小野 新次郎
  • 【権利者代理人】小林 泰
  • 【権利者代理人】竹内 茂雄
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】中村 充利
  • 【異議申立人】花崎 健一
  • 【異議申立人代理人】早川 裕司
  • 【異議申立人代理人】村雨 圭介
  • 【異議申立人代理人】田岡 洋
審判長/審判官
  • 審判長 鳥居 稔
  • 審判官 山崎 勝司
  • 審判官 窪田 治彦
分類
P1651.536-YAA(A23F) / P1651.537-YAA(A23F) / P1651.121-YAA(A23F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第44条、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5816337号発明「呈味改善剤及びこれを含む茶飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5816337号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第5816337号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5816337号の請求項1ないし5に係る特許(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2014-117298号)は、平成21年(2009年)3月17日(先の出願に基づく優先権主張:平成20年3月17日、特願2008-68184号)を国際出願日とする特願2010-503885号の一部を、平成26年6月6日に特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。 平成27年10月 2日  特許権の設定登録 平成28年 4月22日  特許異議申立書(異議申立人 花崎健一) 平成28年 7月15日  取消理由通知書 平成28年 9月16日  訂正請求書及び意見書(特許権者) 平成28年 9月27日  通知書(訂正請求があった旨の通知) 平成28年10月25日  意見書(異議申立人) 平成28年11月15日  訂正拒絶理由通知書 平成28年12月16日  手続補正書(訂正請求書)及び意見書(特許 権者) なお、以下、平成28年9月16日けの訂正請求書について「本件訂正請求書」というとともに、これに係る訂正を「本件訂正」といい、平成28年12月16日付け手続補正書(訂正請求書)に係る補正を「本件補正」という。 第2 本件訂正の適否について 1 本件補正について 本件補正の内容は、補正前の訂正事項3ないし5を削除するというものであるから、請求の要旨を変更するものではない。 よって、特許法120条の5第9項において準用する同法131条の2第1項の規定に違反するものではないから、本件補正を認める。 2 本件訂正の適否について (1) 前記1のとおり本件補正は認められるから、本件訂正の内容は、本件補正によりに補正された訂正請求書に添付した訂正明細書に記載されたとおり、請求項1ないし5について訂正することを求めるものであって、その訂正内容は次のとおりである。 ア 訂正事項1 特許明細書の【0086】に記載された「10以上ろなる」を「10以上となる」と訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。 イ 訂正事項2 特許明細書の【0087】の【表4】及び【0092】の【表6】について、「カテキン類」を「カテキン類(μg/ml)」と訂正する。 (2) 判断 ア 訂正事項1は、特許明細書の【0086】の「10以上ろなる」なる記載を「10以上となる」と訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2は、取消理由に対応するために、特許明細書の【0087】の【表4】及び【0092】の【表6】における「カテキン類」欄の単位を明示したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、特許明細書には、「したがって、カテキン類を高濃度に含有するカテキン高含有茶飲料は、本発明の茶飲料の好ましい態様の一つである。ここで、カテキン類高含有茶飲料とは、カテキン類を0.10~5.0mg/ml、好ましくは0.20~4mg/ml、より好ましくは0.25~3mg/ml、さらに好ましくは0.30~2mg/ml、特に好ましくは0.35~1mg/ml含有する茶飲料をいう。」(【0036】)と記載されているところ、ここに列記された数値と、【表4】及び【表6】における「カテキン類」の欄の数値との大小関係に照らせば、当該欄の「カテキン類」の単位は「μg/ml」であることがわかる。 また、同表中の「GDG/カテキン類」欄は、請求項1の「カテキン類1重量部に対してグリセロ糖脂質を0.002~0.020重量部含有する」点に対応するところ(後記第3・1)、同表中の「総グリセロ糖脂質」欄の単位が「μg/ml」であることからしても、当該欄の「カテキン類」の単位は「μg/ml」であることは明らかである。 よって、訂正事項2は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ さらに、本件訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。 (3) 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書2号及び3号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条4項ないし6項の規定に適合するので、訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 取消理由について 1 本件発明 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい、総称して「本件発明」いう。 【請求項1】 茶葉を平均粒子径1~100μmの大きさに粉砕した粉砕茶葉と茶抽出液を含有する茶飲料であって、 グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含み、カテキン類1重量部に対してグリセロ糖脂質を0.002~0.020重量部含有する、上記茶飲料。 【請求項2】 茶飲料のグリセロ糖脂質含量(μg/ml)/(茶飲料の680nmにおける吸光度)が、7以上である、請求項1に記載の茶飲料。 【請求項3】 茶飲料の680nmにおける吸光度が0.25以下である、請求項1または2に記載の茶飲料。 【請求項4】 カテキン類を0.10~5.0mg/ml含有する、請求項1~3のいずれかに記載の茶飲料。 【請求項5】 容器に充填された容器詰飲料である、請求項1~4のいずれかに記載の茶飲料。 2 取消理由の概要 本件訂正前の本件特許に対し、平成28年7月15日付けで通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。 すなわち、本件特許は、次の点で不備のため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (1) 特許明細書の【0087】の【表4】及び【0092】の【表6】において、「カテキン類」の値の単位が不明であるから、各試料の「カテキン類」の量が具体的にどの程度であるのか不明である。 (2) 特許明細書の【0087】の【表4】の各試料の「GDG/OD680」の値、【0092】の【表6】の各試料の「GDG/カテキン類」の値が不明確であるから、本件発明が課題を解決し得るものであるか不明確である。 (3) 特許明細書の【0087】の【表4】及び【0088】の【表5】の内容と、【0085】及び図4の記載内容が整合しないから、本件発明が課題を解決し得るものであるか不明確である。 3 取消理由についての判断 (1) 「カテキン類」の値の単位について 前記訂正事項2に係る本件訂正により、【表4】及び【表6】において、「カテキン類」の値の単位が、「μg/ml」であることが明確になった。 (2) 【表4】の「GDG/OD680」の値及び【表6】の「GDG/カテキン類」の値について ア 本件発明の課題 訂正明細書によれば、「容器詰茶飲料・・・は、保存中における沈殿抑制の観点から、茶葉抽出液から、茶葉由来の粒子や茶葉組織の微細片を除去する工程を経て製造され、また室温以下の温度(例えば、冷蔵温度)で飲用されることが多い。そのため、茶特有のおいしさ(呈味、嗜好性)という観点からは物足りず、茶のもつコク味、旨味が不足し薄くて水っぽい、コク味、旨味とカテキン類の苦味、渋味とのバランスが悪いという欠点を有する。」(【0007】)ところ、「本発明者らは、・・・ある茶抽出物に含まれうる、ゲル濾過クロマトグラフィーの400nmの吸収により検出される分子量30万以上の可溶性高分子画分がコク味と相関のある成分であることを見出し・・・」(【0008】)、「この・・・可溶性高分子画分をさらに分画し、コク味改善に有効な成分を探索した結果、グリセロ糖脂質であることを明らかにした。そして、・・・グリセロ糖脂質が1.0μg/ml以上となるように調整した茶飲料は、豊かなコク味を有し、濃厚感のある茶飲料であることを見出し、本発明を完成するに至った。」(【0009】)ものである。 そして、本件発明は、「コク味が改善された茶飲料を製造することが可能である。」(【0010】)、「室温以下の温度、具体的には冷蔵の温度(0~20℃程度)で飲用した場合にも、高級茶が有している、まったりとした自然な甘さを感じさせる、高級感あふれる茶飲料として提供される。」(【0011】)、「異味の発生や喉越しの悪さという問題を発生させることなく、旨味やコク味(特に、コク味)を改善することができる。」(【0012】)、「コク味が増すという粉末茶葉を多く含む飲料の利点を有しつつ、粉末茶飲料では生じがちな沈殿が発生しにくい茶飲料が提供される。本発明の茶飲料は、従来のものより、さらに長期保存安定性に優れている。」(【0013】)、「カテキン類等の不快味(例えば、カテキン類の苦味、渋味)がマスキングされた茶飲料を製造することが可能である。」(【0014】)、といった効果を奏するものである。 また、本件発明は、グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含むことにより、「室温以下、例えば冷蔵状態で保存して冷蔵状態で飲用するような場合にも、豊かなコク味を有する茶飲料となる。」(【0032】)、「渋味や苦味は増強せずに、旨味やコク味(特に、コク味)を増強したことを特徴とする。」(【0034】)、「粉末茶飲料で生じがちな長期保存における沈殿を抑制できる。・・・・グリセロ糖脂質がコロイド分散系として存在するので、茶飲料の長期保存における凝集沈殿や不溶性固形分の沈殿などを抑制することができ、粉末茶飲料では生じがちな沈殿が発生しにくい茶飲料となる。」(【0035】)、「カテキン類に固有の苦味、渋味をマスクできる。・・・両親媒性であるグリセロ糖脂質がカテキン類を包摂するように作用してコロイド分散系を形成するので、・・・カテキン類の苦味、渋味をマスクでき、カテキン類を高濃度に配合できる。」(【0036】)ものである。 そして、カテキン類1重量部に対しグリセロ糖脂質を0.002~0.020重量部含有することにより、「室温以下の温度で飲用しても、茶が持つコク味、旨味とカテキン類の苦味、渋味との調和がとれた、適度な渋味を有しながらも、旨味やコク味をより一層強く感じる茶飲料(緑茶飲料)となる。」(【0036】)ものである。 そうすると、本件発明は、コク味の改善された茶飲料とする、カテキン類の苦味、渋味との調和がとれた、適度な渋味を有しながらも、旨味やコク味をより一層強く感じる茶飲料とする、といった点を課題とし、請求項1に特定された事項により、当該課題を解決したものであることがわかる(以下、当該課題を「本件課題」という。)。 イ 本件発明は、「グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含(む)」こと、「カテキン類1重量部に対してグリセロ糖脂質が0.002~0.020重量部含有する」ことを、発明を特定するために必要な事項とするものである。 訂正明細書の記載によれば、ゲル濾過クロマトグラフィーによるpeak1成分の量がコク味と相関を有し(【0047】~【0052】)、当該peak1成分がグリセロ糖脂質であって(【0062】~【0075】)、両親媒性であるグリセロ糖脂質がカテキン類を包摂するように作用してコロイド分散系を形成するので、カテキン類の苦味、渋味をマスクすることができるものである(【0036】)。 そして、総グリセロ糖脂質の量、カテキン類1重量部に対するグリセロ糖脂質の量に照らすと、実施例2、3に係る試料3ないし12が本件発明の実施例であると認められるところ、グリセロ糖脂質の量とコク味との間に相関があることや、カテキン類に対し所定量のグリセロ糖脂質の含むことで適度の苦味、渋味となることがわかる(【0079】~【0092】、【表4】ないし【表6】、図12、13)。 そうすると、本件課題との関係では、グリセロ糖脂質が所定量以上含まれることが重要であって、グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上であり、カテキン類1重量部に対しグリセロ糖脂質が0.002~0.020重量部の範囲内であれば、コク味を感じ、カテキン類の苦味、渋味が適度であって、コク味が改善されるとともに、カテキン類の苦味、渋味をマスクできることが理解できる。 なお、【表6】において、「総グリセロ糖脂質」の数値及び「カテキン類」の数値と「GDG/カテキン類」の数値との整合性について不明確なところはあるが、このような理解を妨げるものではない。 よって、本件発明は、「グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含(む)」こと、「カテキン類1重量部に対してグリセロ糖脂質が0.002~0.020重量部含有する」ことによって、本件課題を解決し得るものである。 ウ 本件発明2は、さらに、「グリセロ糖脂質含量(μg/ml)/(茶飲料の680nmにおける吸光度)が、7以上である」ことを特定したもので、「グリセロ糖脂質含量(μg/ml)」と「茶飲料の680nmにおける吸光度」について所望の値に限定したものであると解することができる。 訂正明細書には「不溶性成分に対するグリセロ糖脂質の割合〔(グリセロ糖脂質量(μg/ml))/(OD680nmにおける吸光度)〕が7以上・・・となる茶飲料が粉砕茶葉固有の収斂味や不溶性成分由来のざらつきのない茶飲料である。」(【0035】)旨の記載があるところ、【表4】において、「総グリセロ糖脂質」欄の数値及び「OD680」欄の数値と「GDG/OD680」欄の数値との整合性について不明確なところがあって、本件発明2が収斂味に係る効果を奏するものであるのか定かではないが、この点は、本件発明が本件課題を解決し得るものであることに影響するものではない。 エ よって、本件発明は本件課題を解決し得るものであって、本件発明と本件課題との関係を理解することができる。 (3) 【表4】及び【表5】の内容と、【0085】及び図4の記載内容について ア 本件発明3は、さらに、「680nmにおける吸光度が0.25以下である」ことを特定したもので、「680nmにおける吸光度」について所望の値に限定したものであると解することができる。 訂正明細書には「680nmにおける吸光度は、官能評価ですっきり感と負の相関があった(図14)。吸光度が0.30程度であるとすっきり感が感じられず、0.25以下ですっきり感が得られた。」(【0085】)と記載されているところ、【表4】及び【表5】の内容からこのような評価が可能であるのか定かではないが、この点は、本件発明が本件課題を解決し得るものであることに影響するものではない。 イ よって、本件発明は本件課題を解決し得るものであって、本件発明と課題との関係を理解することができる。 (4) 以上のとおりであるから、訂正明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明を実施をできる程度に明確かつ十分に記載されていると認める。 第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 明確性要件違反(36条6項2号)について (1) 異議申立人は、本件発明1ないし3に関し、数値に上限及び下限の特定がないから、数値の範囲が不明確である旨主張している(特許異議申立書11~12頁)。 しかしながら、請求項に記載された数値に上限及び下限がないことが、当然に発明を不明確にするものではない。 請求項1において「グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含(む)」ことが明確に特定され、請求項2において「茶飲料のグリセロ糖脂質含量(μg/ml)/(茶飲料の680nmにおける吸光度)が、7以上である」ことが明確に特定され、請求項3において「茶飲料の680nmにおける吸光度が0.25以下である」ことが明確に特定されているとおり、本件発明1が「グリセロ糖脂質」については「1.0μg/ml以上含(む)」こと、本件発明2が「茶飲料のグリセロ糖脂質含量(μg/ml)/(茶飲料の680nmにおける吸光度)」については「7以上である」こと、本件発明3が「茶飲料の680nmにおける吸光度」については「0.25以下である」ことで、それぞれ十分であることが、その記載から明確に理解できる。 なお、茶飲料におけるカテキン類の含有量や吸光度には自ずと常識的な範囲があると解される。 そして、請求項1において、カテキン類の含有量に対するグリセロ糖脂質の含有量の上限が特定されているから、本件発明におけるグリセロ糖脂質の含有量には技術常識的な値があるものと解される。 (2) また、異議申立人は、本件発明1ないし3の発明特定事項の「コク味」及び「すっきり感」に係る技術的意義が理解することができないことや、「GDG/カテキン類」、「GDG/OD680」及び「カテキン類」に関する発明の詳細な説明の記載を理由に、発明が不明確である旨主張しているが(同12~18頁)、発明特定事項の技術的意義は発明の明確性に関係する事項ではなく、発明の詳細な説明の記載に不明確なところがあるとしても、請求項1ないし5の記載は明確であると認められる。 2 サポート要件違反(36条6項1号)について 異議申立人は、本件発明1ないし4に関し、発明の詳細な説明には、限られた範囲の数値に関する記載しかないから、これらの事項によって、課題を解決できることを認識することができない旨主張している(同19~26頁)。 しかしながら、既に述べたとおり、訂正明細書の記載によれば、課題との関係ではグリセロ糖脂質が所定量以上含まれることが重要であって、本件発明1ないし3は課題を解決し得るものであり(前記3(2))、この点は、本件発明4も同様である。 よって、本件発明1ないし4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 3 実施可能要件違反(36条4項1号) 異議申立人は、特許明細書の発明の詳細な説明の記載からは、同程度のカテキン類を含有させたまま、OD680を調整する方法が認識できないから、実施例2を再現することが困難である旨主張しているが(同30頁)、発明の詳細な説明には、遠心分離処理により不溶性固形分を分離し吸光度を調整することが記載されており(【0043】、【0080】)、カテキン類は可溶性の成分であるから、遠心分離処理により、同程度のカテキン類を含有させたまま、OD680を調整することができるものと認められる。 4 進歩性の欠如(29条2項) (1) 異議申立人は、本件発明は、下記の甲第2ないし6号証(以下、それぞれ「甲2」などという。)に基いて、当業者が容易に想到できる旨主張している(同34~40頁)。 甲2 国際公開第2004/110161号 甲3 特開2008-35869号公報 甲4 阿南豊正 外1、“茶葉の脂質に関する研究(第1報) 茶期・熟度による脂質含量および脂肪酸組成の変化”、日本食品工業学会誌、日本食品工業学会、1977年6月、第24巻、第6号、p.305-310 甲5 Suntory News Release No.8626、“「サントリー 健康系カテキン式」新発売 -ムリせずスッキリ、新しい味わいの“健康系緑茶”が新登場!”、2003年12月16日、[2016年4月13日検索]、インターネット、<URL:http://www.suntory.co.jp/news/2003/8626.html> 甲6 特開2004-180574号公報 (2) 甲2に記載された発明 甲2に記載された事項(特に、特許請求の範囲、[0016]、[0020]、[0024]~[0026]、[0033]、[0034])からすると、甲2には、次の発明が記載されているといえる(以下「甲2発明」という。)。 (甲2発明) 「粒子径が約1μm以上の粒子の大部分を除去された粉砕茶葉と茶抽出液を含有する茶飲料」 (3) 検討 ア 本件発明1と甲2発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。 (相違点) 本件発明1は「グリセロ糖脂質を1.0μg/ml以上含み、カテキン類1重量部に対してグリセロ糖脂質を0.002~0.020重量部含有する」のに対し、甲2発明においては不明である点。 イ 異議申立人は、甲4に、主に抹茶の原料となる「やぶきた」種の一番茶の茶葉を、クロロホルム:メタノール(2:1)で抽出し、分画したところ、MGDG及びDGDGの合計で297.2~462.3mg/100g含有されていたことが記載されていることに基づいて(306頁Table2)、このような一般的な一番茶の茶葉を粉砕し、甲2の実施例4、5([0033]、[0034])に用いた場合、グリセロ糖脂質を2.972~4.623μg/ml含有する緑茶飲料が得られることは、当業者が容易に予測し得た旨主張している。 しかしながら、甲4に記載されたものは、茶葉(粉砕されたものであるかも不明である。)を特定の溶媒により抽出した結果であって、甲2発明のような茶飲料にそのまま当てはまるものではないから、当業者が容易に予測し得るものとは認められない。 たとえ、茶飲料におけるカテキン量が0.2~5mg/mlであることが周知であっても(甲3、5、6)、甲2発明において、上記相違点に係る本件発明1の構成が容易に想到できるものとは認められない。 そして、本件発明1は、上記相違点に係る構成を備えることによって、コク味の改善され、カテキン類の苦味、渋味との調和がとれた、適度な渋味を有しながらも、旨味やコク味をより一層強く感じる、といった格別の効果を奏するもので、いずれの証拠にも、グリセロ糖脂質とこのような効果の関係について記載されておらず、当業者が予測し得る範囲内のものとは認められない。 この点は、本件発明2ないし5についても、同様である。 ウ よって、本件発明1ないし5は、甲2発明及び甲3ないし6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、前記取消理由及び特許異議申立理由によっては、本件特許(請求項1ないし5に係る特許)を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700349

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