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特許異議申立

2016-700972

空気浄化装置およびその試験システム

審判番号
2016-700972
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-057691
登録番号
特許第5946109号(P5946109)
請求日
2016年10月06日
審決日
2017年11月08日
公報発行日
2018年02月23日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本無機株式会社
  • 【権利者代理人】岡▲崎▼ 信太郎
  • 【権利者代理人】新井 全
  • 【権利者代理人】野口 和孝
  • 【権利者】鹿島建設株式会社
  • 【権利者代理人】岡▲崎▼ 信太郎
  • 【権利者代理人】新井 全
  • 【権利者代理人】野口 和孝
  • 【異議申立人】ジュネスプロパティーズ 株式会社
  • 【異議申立人】千原 正
審判長/審判官
  • 審判長 福島 浩司
  • 審判官 ▲高▼見 重雄
  • 審判官 信田 昌男
分類
P1651.121-YAA(G01N) / P1651.113-YAA(G01N) / P1651.537-YAA(G01N) / P1651.55 -YAA(G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第44項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5946109号発明「空気浄化装置およびその試験システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5946109号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、〔5~7〕、〔8、9〕、10について訂正することを認める。 特許第5946109号の請求項4及び8~10に係る特許を維持する。 特許第5946109号の請求項1~3及び5~7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第5946109号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成23年6月15日に出願された特願2011-133549号の一部が、平成27年3月20日に新たな特許出願(特願2015-57691号)とされたものであって、平成28年6月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 ジュネスプロパティーズ株式会社 より請求項1~9に対して、特許異議申立人 千原 正 より請求項1~7及び9に対して、それぞれ特許異議の申立てがされ、平成29年3月10日付けで取消理由通知がされ、同年4月28日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年6月7日に特許異議申立人 ジュネスプロパティーズ株式会社 から意見書が提出され、同年6月13日に特許異議申立人 千原 正 から意見書が提出され、さらに、同年6月28日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ、同年8月30日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月12日に特許異議申立人 千原 正 から意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気浄化装置。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、を有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであり、前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする空気浄化装置。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気浄化装置。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、を有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、試験用粒子供給部から供給された試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする空気浄化装置。」と記載し、新たに請求項10とする。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落【0011】の記載を「本発明の空気浄化装置は、浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記ケーシンク内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、を有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであり、前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている、ことを特徴とする。上記構成によれば、作業者がサンプリングプローブを目視で直接観察しながら、フィルタの試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。すなわち、観察窓は、サンプリングプローブと操作部の位置よりも高い位置にあるので、作業者は観察窓を通してケーシング内の全体の様子を容易に見渡すことができ、作業者が目視で直接サンプリングプローブを観察しながら、フィルタの試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。また、上記構成によれば、作業者は、手を操作部であるグローブに挿入するだけで、作業者はサンプリングプローブを走査することでフィルタの試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。また、上記構成によれば、フィルタの少なくとも上流側の表面を洗浄水により濡らすことができるので、フィルタの上流側の表面において捕集した有害粉塵が飛散してすることが無い。従って、フィルタの水洗作業やフィルタの交換作業において、作業者が有害粉塵を吸引することがない。」に訂正する。 (7)訂正事項7 願書に添付した明細書の段落【0012】の記載を「好ましくは、前記上流側のケーシング下部から前記空気浄化部を着脱可能に取り付け可能な着脱部を有することを特徴とする。上記構成によれば、空気浄化部は、交換の際に上流側のケーシング下部から取り外すことができるので、下流側のケーシング上部を気密状態に維持することができ、従来必要であったビニールバッグの交換作業を行う必要が無い。」に訂正する。 (8)訂正事項8 願書に添付した明細書の段落【0014】の記載を「また、本発明の空気浄化装置は、浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルクよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、を有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、試験用粒子供給部から供給された試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする。 上記構成によれば、フィルタの少なくとも上流側の表面を洗浄水により濡らすことができるので、フィルタの上流側の表面において捕集した有害粉塵が飛散してすることが無い。従って、フィルタの水洗作業やフィルタの交換作業において、作業者が有害粉塵を吸引することがない。」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項8に「前記試験用粒子供給部から供給される試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成としたことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の試験システム。」とあるうち、請求項6を引用するものについて、「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化するフィルタとを有する空気浄化装置におけるリークを検出するための試験システムであって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記フィルタよりも前記上流側のケーシング下部内に、試験用粒子を供給する試験用粒子供給部と、前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部とを有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィル夕取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、前記試験用粒子供給部から供給される前記試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成としたことを特徴とする試験システム。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項9に「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部に着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の試験システム。」と記載されているものを、「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部に着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の試験システム。」に訂正する。 (14)訂正事項14 願書に添付した明細書の段落【0015】の記載を「本発明の試験システムは、試験装置のことであり、浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化するフィルタとを有する空気浄化装置におけるリークを検出するための試験システムであって、前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、前記フィルタよりも前記上流側のケーシング下部内に試験用粒子を供給する試験用粒子供給部と、前記ケーシンク内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部とを有し、前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、前記試験用粒子供給部から供給される試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成とした、ことを特徴とする。上記構成によれば、作業者がサンプリングプローブを目視で直接観察しながら、フィルタの試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。すなわち、観察窓は、サンプリングプローブと操作部の位置よりも高い位置にあるので、作業者は観察窓を通してケーシング内の全体の様子を容易に見渡すことができ、作業者が目視で直接サンプリングプローブを観察しながら、フィルタの試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。また、上記構成によれば、試験用粒子は、試験用粒子供給部からの試験用粒子を均一に分散した状態にして、上流側のケーシング下部内に導入することができるので、リーク試験の精度を保つことができる。また、上記構成によれば、上流側検出部が、チャンバーのチャンバー出口とケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉できるので、試験粒子の上流側濃度を代表できる。」に訂正する。 (15)訂正事項15 願書に添付した明細書の段落【0016】の記載を「好ましくは、試験システムは、前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであることを特徴とする。上記構成によれば、作業者は、手を操作部であるグローブに挿入するだけで、作業者はサンプリングプローブを走査することで空気浄化部の試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。」に訂正する。 (16)訂正事項16 願書に添付した明細書の段落【0017】の記載を「好ましくは、試験システムは、前記上流側のケーシング下部から前記空気浄化部を着脱可能に取り付け可能な着脱部を有することを特徴とする。上記構成によれば、空気浄化部は、交換の際に上流側のケーシング下部から取り外すことができるので、下流側のケーシング上部を気密状態に維持することができ、従来必要であったビニールバッグの交換作業を行う必要が無い。」に訂正する。 (17)訂正事項17 願書に添付した明細書の段落【0018】の記載を「好ましくは、試験システムは、前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部に着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする。上記構成によれば、フィルタの少なくと上流側の表面を洗浄水により濡らすことができるので、フィルタの上流側の表面において捕集した有害粉塵が飛散してすることが無い。従って、フィルタの水洗作業やフィルタの交換作業において、作業者が有害粉塵を吸引することがない。」に訂正する。 2.訂正の適否についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1~4について、請求項2~4はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4及び10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。そして、訂正後の請求項4、10については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 また、訂正前の請求項5~9について、請求項6~9はそれぞれ請求項5を引用しているものであって、訂正事項9によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項5~9に対応する訂正後の請求項5~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。そして、訂正後の請求項8と、訂正後の請求項8の記載を引用する訂正後の請求項9については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 (2)訂正事項1、2、3、9、10及び11について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1、2、3、9、10及び11は、それぞれ、請求項1、2、3、5、6及び7を削除するというものであるから、当該訂正事項1、2、3、9、10及び11は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1、2、3、9、10及び11は、それぞれ、請求項1、2、3、5、6及び7を削除するというものであるから、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項1、2、3、9、10及び11は、それぞれ、請求項1、2、3、5、6及び7を削除するというものであるから、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項4について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項2又は3の記載を引用する記載であるところ、請求項3を引用しないものとした上で、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項1に記載されていたフィルタ取付枠について、「下流側の面が平坦な形状とされ」に「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加するものであり、「下流側の面」はサンプルリングプローブを走査する面であることを明らかにし、かつ、「平坦な形状」とは平面的な走査が可能である形状であることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項1の誤記であった「下流側の面が平坦な形状とされ」を「前記下流側の面が平坦な形状とされ」に訂正するものである。したがって、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4は、請求項2を引用する請求項4について請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項4の「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加する訂正は、段落【0064】に「フィルタ取付枠103の上部には突出物がなくフラットな形状であるために、図1に示すサンプリングプローブ8は平面的な2次元な走査をするだけでよい。」との記載があることを根拠に訂正するものである。 また、訂正事項4の「前記下流側の面が平坦な形状とされ」とする訂正は、何ら実質的な変更を伴うものではない。 したがって、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項4は、前記アのとおり、訂正前の請求項4を独立形式請求項にしつつ、減縮し、また、誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (4)訂正事項5について ア 訂正の目的の適否 訂正事項5は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項2又は3の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項3を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項1に記載されていたフィルタ取付枠について、「下流側の面が平坦な形状とされ」に「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加するものであり、「下流側の面」はサンプルリングプローブを走査する面であることを明らかにし、かつ、「平坦な形状」とは平面的な走査が可能である形状であることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項1の誤記であった「下流側の面が平坦な形状とされ」を「前記下流側の面が平坦な形状とされ」に訂正し、かつ、訂正前の引用関係にある請求項3の誤記であった「前記試験用粒子」を「試験用粒子」に訂正するものである。したがって、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項5は、請求項3を引用する請求項4について請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項5の「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加する訂正は、段落【0064】に「フィルタ取付枠103の上部には突出物がなくフラットな形状であるために、図1に示すサンプリングプローブ8は平面的な2次元な走査をするだけでよい。」との記載があることを根拠に訂正するものである。 また、訂正事項5の「前記下流側の面が平坦な形状とされ」とする訂正は、何ら実質的な変更を伴うものではない。 したがって、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項5は、前記アのとおり、訂正前の請求項4を独立形式請求項にしつつ、減縮し、また、誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項6は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い訂正後の特許請求の範囲の請求項4の記載と明細書の段落【0011】の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項6は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項6は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正後の段落【0011】の第1段落は、訂正後の請求項4(即ち、訂正前の請求項2を引用する請求項4)に記載にされている。 また、訂正後の段落【0011】の第2段落について、「空気浄化部」を「フィルタ」に訂正するが、「空気浄化部」が「フィルタ」であることは、訂正前の請求項1の「空気浄化部としてのフィルタ」との記載を根拠にするものである。 また、訂正後の段落【0011】の第3段落の記載は、訂正前の段落【0012】の「上記構成によれば、作業者は、手を操作部であるグローブに挿入するだけで、作業者はサンプリングプローブを走査することで空気浄化部の試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。」との記載を根拠にするものである。 また、訂正後の段落【0011】の第4段落の記載は、訂正前の段落【0014】の「上記構成によれば、空気浄化部の少なくとも上流側の表面を洗浄水により濡らすことができるので、空気浄化部の上流側の表面において捕集した有害粉塵が飛散してすることが無い。従って、空気浄化部の水洗作業や空気浄化部の交換作業において、作業者が有害粉塵を吸引することがない。」との記載を根拠にするものである。 したがって、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項6は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 明細書の段落【0011】には請求項4に対応する課題を解決するための手段が記載されているから、訂正事項6による明細書の訂正に係る請求項は請求項4である。したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (6)訂正事項7について ア 訂正の目的の適否 訂正事項7は、明細書の段落【0012】の第1及び第2段落の「好ましくは、前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであることを特徴とする。上記構成によれば、作業者は、手を操作部であるグローブに挿入するだけで、作業者はサンプリングプローブを走査することで空気浄化部の試験用粒子を容易にサンプリングすることができる。」の記載を段落【0011】に記載する上記訂正事項6に伴って、該第1及び第2段落を削除する訂正であり、訂正後の特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項7は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項7は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書の段落【0012】の第1及び第2段落を削除するものである。したがって、当該訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項7は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 訂正事項7は、前記アのとおり、明細書の段落【0012】の第1及び第2段落の記載を段落【0011】に記載する上記訂正事項6に伴って、該第1段落を削除する訂正である。そして、上記訂正事項6は特許請求の範囲の請求項4の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項7による明細書の訂正に係る請求項は請求項4である。したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第44項に適合するものである。 (7)訂正事項8について ア 訂正の目的の適否 訂正事項8は、上記訂正事項5に係る訂正に伴い訂正後の特許請求の範囲の請求項10の記載と明細書の段落【0014】の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項8は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項8の訂正後の段落【0014】は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正後の請求項10(即ち、訂正前の請求項3を引用する請求項4)に記載にされている。 また、訂正後の段落【0014】の第2段落について、「空気浄化部」を「フィルタ」に訂正するが、「空気浄化部」が「フィルタ」であることは、訂正前の請求項1の「空気浄化部としてのフィルタ」との記載を根拠にするものである。 したがって、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項8は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 明細書の段落【0014】には請求項10に対応する課題を解決するための手段が記載されているから、訂正事項8による明細書の訂正に係る請求項は請求項10である。したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (8)訂正事項12について ア 訂正の目的の適否 訂正事項12は、訂正前の請求項8が訂正前の請求項5ないし7の記載を引用する記載であるところ、請求項5及び7を引用しないものとした上で、請求項6を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項5に記載されていたフィルタ取付枠について、「下流側の面が平坦な形状とされ」に「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加するものであり、「下流側の面」はサンプリングプローブを走査する面であることを明らかにし、かつ、「平坦な形状」とは平面的な走査が可能である形状であることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の引用関係にある請求項5の誤記であった「下流側の面が平坦な形状とされ」を「前記下流側の面が平坦な形状とされ」に訂正し、また、訂正前の請求項8の誤記であった「試験用粒子」を「前記試験用粒子」に訂正するものである。したがって、当該訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項12は、請求項6を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項12の「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」を追加する訂正は、段落【0064】に「フィルタ取付枠103の上部には突出物がなくフラットな形状であるために、図1に示すサンブリングプローブ8は平面的な2次元な走査をするだけでよい。」との記載があることを根拠に訂正するものである。 また、訂正事項12の「前記下流側の面が平坦な形状とされ」とする訂正、及び「前記試験用粒子」とする訂正は、何ら実質的な変更を伴うものではない。 したがって、当該訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項12は、前記アのとおり、訂正前の請求項8を独立形式請求項にしつつ、減縮し、また、誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (9)訂正事項13について ア 訂正の目的の適否 訂正前の請求項9が訂正前の請求項7または8の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項7を引用しないものとし、請求項8のみを引用するための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項13は、何ら実質的な変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項13は、何ら実質的な変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (10)訂正事項14について ア 訂正の目的の適否 訂正事項14は、上記訂正事項12に係る訂正に伴い訂正後の特許請求の範囲の請求項8の記載と明細書の段落【0015】の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項14は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項14は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正後の段落【0015】の第1段落は、訂正後の請求項8(訂正前の請求項6を引用する請求項8)に記載にされている。 また、訂正後の段落【0015】の第2段落について、「空気浄化部」を「フィルタ」に訂正するが、「空気浄化部」が「フィルタ」であることは、訂正前の請求項1の「空気浄化部としてのフィルタ」、及び、訂正前の請求項5の「空気を浄化するフィルタ」との記載を根拠にするものである。 また、訂正後の段落【0015】の第3段落の記載は、訂正前の段落【0016】の「上記構成によれば、試験用粒子は、試験用粒子供給部からの試験用粒子を均一に分散した状態にして、上流側のケーシング下部内に導入することができるので、リーク試験の精度を保つことができる。」との記載を根拠にするものである。 また、訂正後の段落【0015】の第4段落の記載は、訂正前の段落【0017】の「上記構成によれば、上流側検出部が、チャンパーのチャンバー出口とケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉できるので、試験粒子の上流側濃度を代表できる。」との記載を根拠にするものである。 したがって、当該訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項14は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 明細書の段落【0015】には請求項8に対応する課題を解決するための手段が記載されているから、訂正事項14による明細書の訂正に係る請求項は請求項8である。よって、これを含む一群の請求項、すなわち請求項8及び9が訂正事項14の対象となり、それ以外の請求項については対象とならない。したがって、訂正事項14は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (11)訂正事項15について ア 訂正の目的の適否 訂正事項15は、明細書の段落【0016】の第1及び第2段落の「好ましくは、試験システムは、前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有することを特徴とする。上記構成によれば、試験用粒子は、試験用粒子供給部からの試験用粒子を均一に分散した状態にして、上流側のケーシング下部内に導入することができるので、リーク試験の精度を保つことができる。」の記載を段落【0015】に記載する上記訂正事項14に伴って、該第1及び第2段落を削除する訂正であり、訂正後の特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項15は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項15は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書の段落【0016】の第1及び第2段落を削除するものである。したがって、当該訂正事項15は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項15は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 訂正事項15は、前記アのとおり、明細書の段落【0016】の第1及び第2段落の記載を段落【0015】に記載する上記訂正事項14に伴って、該第1及び第2段落を削除する訂正である。そして、上記訂正事項14は特許請求の範囲の請求項8の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項15による明細書の訂正に係る請求項は請求項8である。したがって、訂正事項15は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (12)訂正事項16について ア 訂正の目的の適否 訂正事項16は、明細書の段落【0017】の第3及び第4段落の「好ましくは、試験システムは、前記試験用粒子供給部から供給される試験用粒子がチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成としたことを特徴とする。上記構成によれば、上流側検出部が、チャンバーのチャンバー出口とケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉できるので、試験粒子の上流側濃度を代表できる。」の記載を段落【0015】に記載する上記訂正事項14に伴って、該第3及び第4段落を削除する訂正であり、訂正後の特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項16は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項16は、前記アのとおり、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書の段落【0017】の第3及び第4段落を削除するものである。したがって、当該訂正事項16は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項16は、前記アのとおり、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 訂正事項16は、前記アのとおり、明細書の段落【0017】の第3及び第4段落の記載を段落【0015】に記載する上記訂正事項14に伴って、該第3及び第4段落を削除する訂正である。そして、上記訂正事項14は特許請求の範囲の請求項8の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項16による明細書の訂正に係る請求項は請求項8である。したがって、訂正事項16は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (13)訂正事項17について ア 訂正の目的の適否 訂正事項17は、特許請求の範囲の請求項9の記載と明細書の段落【0018】の記載との整合を図るため、「空気浄化部」を「フィルタ」に訂正するものである。よって、訂正事項17は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項17は、前記アのとおり、請求項9の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 訂正事項17は、前記アのとおり、請求項9の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項 明細書の段落【0018】には請求項9に対応する課題を解決するための手段が記載されているから、訂正事項17による明細書の訂正に係る請求項は請求項9である。したがって、訂正事項17は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 3.訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号~4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~3〕、4、〔5~7〕、〔8、9〕、10について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.本件訂正発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項4、8、9及び10に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明4」、「本件訂正発明8」、「本件訂正発明9」及び「本件訂正発明10」という。)は、その請求項4、8、9及び10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(請求項1~3、5~7は削除されている)。 本件訂正発明4 「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、 前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、 を有し、 前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、 前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、 前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであり、 前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている ことを特徴とする空気浄化装置。」 本件訂正発明8 「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化するフィルタとを有する空気浄化装置におけるリークを検出するための試験システムであって、 前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 前記フィルタよりも前記上流側のケーシング下部内に、試験用粒子を供給する試験用粒子供給部と、 前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と を有し、 前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィル夕取付枠を有し、 前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、 前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、 前記試験用粒子供給部から供給される前記試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成とした ことを特徴とする試験システム。」 本件訂正発明9 「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部に着脱可能に前記着脱部に取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の試験システム。」 本件訂正発明10 「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、 前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、 を有し、 前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、 前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、 試験用粒子供給部から供給された試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、 前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている ことを特徴とする空気浄化装置。」 2.取消理由(決定の予告)の概要 請求項1~9(平成29年4月28日付け訂正請求によるもの)に係る特許に対して平成29年6月28日付けで通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(明確性) 請求項1の「前記サンプリングプローブが平面的な走査となるように下流側の面が平坦な形状とされている」という記載では、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」面と、「下流側の面」との位置関係が不明であるから、請求項1の上記記載は明確でない。請求項5も同様である。 よって、請求項1~9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (2)取消理由2(進歩性) 引用文献1:特開2010-51852号公報 引用文献2:特開昭63-232816号公報 引用文献3:特開2002-214115号公報 引用文献4:特表2009-505061号公報 引用文献5:実願昭62-138262号(実開昭64-44017号)のマイクロフィルム 引用文献6:特開2003-254574号公報 本件訂正発明1~3及び5~7は、引用発明(引用文献1に記載された発明)及び周知技術(引用文献2~6に記載された技術的事項)に基づいて、又は、引用発明、周知技術及び引用文献4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.特許異議申立理由の概要 請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明9」という。)に対して、特許異議申立人 ジュネスプロパティーズ株式会社及び特許異議申立人 千原 正が申立てた理由の要旨は、それぞれ次のとおりである。 (1)特許異議申立人 ジュネスプロパティーズ株式会社の申立理由 ア 申立理由1(進歩性) 甲第1号証:特開昭63-232816号公報(引用文献2) 甲第2号証:特開2002-214115号公報(引用文献3) 甲第3号証:特表2009-505061号公報(引用文献4) 甲第4号証:実願昭62-138262号(実開昭64-044017号)のマイクロフイルム(引用文献5) 甲第5号証:特開2010-51852号公報(引用文献1) 本件特許発明1~7及び9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 イ 申立理由2(新規性) 甲第6号証:特開2013-2922号公報 本件特許発明1及び5において、上流側検出部の配置範囲がケーシング下部の外側以外を含むようになっている点、及び観察窓の配置範囲が操作部の上の位置以外を含むようになっている点は、もとの特許出願(特願2011-133549号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものではないため、新たな特許出願である本件特許出願は特許出願の分割の効果が認められず、また、本件特許出願の出願日には、もとの特許出願は出願公開(甲第6号証)されていたものである。 よって、本件特許発明1~9は、甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定する発明に該当し、特許を受けることができない。 ウ 申立理由3(新規事項) 当初明細書等には、上流側検出部がケーシング下部の外側以外で空気を捕捉する形態、及び観察窓が操作部の上の位置以外に設けられる形態は記載されていない。そのため、請求項1及び5において、平成27年4月20日付けの補正によって、観察窓の配置範囲の限定を削除し、当該観察窓の配置範囲を上位概念化した点、及び平成28年4月18日付けの補正によって、上流側検出部の配置範囲の限定を削除し、当該上流側検出部の配置範囲を上位概念化した点は、当初明細書等から導かれる技術的事項に対して新たな技術的事項を導入するものである。 よって、平成27年4月20日及び平成28年4月18日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 エ 申立理由4(サポート要件) 本件特許発明1及び5において、上流側検出部の配置範囲がケーシング下部の外側以外を含むようになっている点、及び観察窓の配置範囲が操作部の上の位置以外を含むようになっている点は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 よって、請求項1~9の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 オ 申立理由5(明確性) 本件特許発明8は、請求項5ないし7のいずれかを引用しているのにも関わらず、請求項8に記載の「前記粒子分散部」に対応する「粒子拡散部」は、選択的に引用される請求項6にしか存在しない。そのため、請求項8が請求項6を引用しない場合について、「前記粒子拡散部」の指し示すものが不明確である。 よって、請求項8の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (2)特許異議申立人 千原 正の申立理由 ア 申立理由6(進歩性) 甲第1号証:特開2002-214115号公報(引用文献3) 甲第2号証:特開2003-254574号公報(引用文献6) 甲第3号証:実願昭62-138262号(実開昭64-44017号)のマイクロフイルム(引用文献5) 甲第4号証:特開2010-51852号公報(引用文献1) 甲第5号証:特表2009-505061号公報(引用文献4) 本件特許発明1~7及び9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~6号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 イ 申立理由7(新規事項) 平成28年4月18日付け手続補正書において、請求項1及び5に係る発明の「フィルタよりも上流側のケーシング下部の外側で空気を捕捉する上流側検出部」を「フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部」とする補正は、当初明細書等に対して新規事項を追加したものである。 よって、請求項1及び5に係る発明に対し、平成28年4月18日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 ウ 申立理由8(サポート要件) 請求項1及び5に係る発明には、「フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部」と特定されているが、「上流側検出部」の配置を「フィルタよりも上流側」とすることは、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化するものである。 よって、請求項1及び5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 4.引用文献の記載等 (1)引用文献1の記載及び引用発明の認定 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。以下、同様。) ア 「【0014】 本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。 図1は、本形態に係る空気浄化装置を示す。この空気浄化装置1は、製薬工場等において有害粉塵を含む空気を浄化して排出するために、工場等のクリーンルーム2の床面3に架台4を介して床置式で設置され、排気部10と、フィルタ部20とが上下に積層されて概略構成されている。フィルタ部20の左側面には吸気ダクト40が連通され、排気部10の右側面には排気ダクト50が連通されている。 【0015】 フィルタ部20は、筐体21と、傾斜床22と扉23と取付フレーム24と、HEPAフィルタ25とを備える。筐体21は直方体状を呈し、その左側壁21cに設けた吸気口26には吸気ダクト40が連通され、上部には前後左右の各壁21a,21b,21c,21dから内側に突出してなる方形状の取付フレーム24が取り付けられている。詳細には、この取付フレーム24は断面矩形状の中空部材により形成され、平面視で筐体21の内周面にほぼ沿う矩形状を呈する。扉23は、前壁21aに固着されたナット27に螺合する六角ボルト28によって、前壁21aに着脱可能に締結され、扉開口29を塞いでいる。扉23と前壁21aとの間にはガスケット30が設けられ、筐体21の内部のクリーンルーム2に対する密封状態が保たれている。傾斜床22は筐体21の内部下方において左側面から右側面に向かうにつれて下降するように設置され、傾斜床22の前部22aは水抜きバルブ31とほぼ同じ高さになっている。 【0016】 HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられている。このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われる。ナット35としては、通常のナットよりも大口径で工具を使用せずに手で締付け等を行うことができるノブナットを使用することが望ましい。 尚、フィルタ部20の矩体21内の下方には洗浄水供給管36に連通させた放水管37が配置され、この放水管37は筐体の中央部を前後方向に延び、等間隔に4個の放水口37aを備えている。このように、前記HEPAフィルタ25は、密封化された状態で前記放水口37aからフィルタ部の内部に洗浄水Wを放水したときに、その下面(空気流の上流側の面)25aが水洗されるようにフィルタ部20の内部に設置されている。 尚、図中38は筐体22の右側壁21dに設けられた水位確認計を示し、筐体21内の洗浄水Wの水位を確認できるようになっている。 【0017】 排気部10は、筐体11を備える。筐体11は直方体状を呈し、その右側壁11dには排気口12が形成され、この排気口12は排気ダクト50に連通されている。 前記排気部10にはリーク・差圧測定装置13と風量計14と、風量調整装置15が設けられている。」 イ 「【0023】 本形態では、特に、取付フレーム24に付着した水を滴下させてその残留を防止するように、取付フレーム24の各部の断面形状が一様に矩形状を呈して下方又は側方に向かって凹となる部分を有しないようにしたので、HEPAフィルタ25の水洗時に取付フレーム24に水が付着しても短時間で乾燥し、錆の発生等を防止することができる。また、取付フレーム24が断面矩形状の中空枠体であることは、取付フレームに有害粉塵が溜まりにくいことにも寄与する。」 ウ 第1図及び第2図には、以下の図面が示されている。 エ 第3図及び第4図には、以下の図面が示されている。 以上の記載によれば、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「製薬工場等において有害粉塵を含む空気を浄化して排出するために、工場等のクリーンルーム2の床面3に架台4を介して床置式で設置され、排気部10と、フィルタ部20とが上下に積層されて概略構成されている、空気浄化装置1であって、 フィルタ部20の左側面には吸気ダクト40が連通され、排気部10の右側面には排気ダクト50が連通されており、 フィルタ部20は、筐体21と、傾斜床22と扉23と取付フレーム24と、HEPAフィルタ25とを備え、筐体21は直方体状を呈し、その左側壁21cに設けた吸気口26には吸気ダクト40が連通され、上部には前後左右の各壁21a,21b,21c,21dから内側に突出してなる方形状の取付フレーム24が取り付けられており、詳細には、この取付フレーム24は断面矩形状の中空部材により形成され、平面視で筐体21の内周面にほぼ沿う矩形状を呈しており、 HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられ、このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われ、 フィルタ部20の矩体21内の下方には洗浄水供給管36に連通させた放水管37が配置され、この放水管37は筐体の中央部を前後方向に延び、等間隔に4個の放水口37aを備えており、このように、前記HEPAフィルタ25は、密封化された状態で前記放水口37aからフィルタ部の内部に洗浄水Wを放水したときに、その下面(空気流の上流側の面)25aが水洗されるようにフィルタ部20の内部に設置されており、 排気部10は、筐体11を備え、筐体11は直方体状を呈し、その右側壁11dには排気口12が形成され、この排気口12は排気ダクト50に連通されており、 前記排気部10にはリーク・差圧測定装置13と風量計14と、風量調整装置15が設けられている、 空気浄化装置1。」 (2)引用文献2の記載 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア 第3頁左上欄第16行~左下欄第8行 「本発明の第1実施例を第1図、第2図により説明する。 本実施例において、フィルタケース2は、その下方に内部で汚染物を扱う空間である作業室1が形成され、作業室1の上方には作業室1とフィルタ50の保守空間24とを隔離する隔壁1aが設けられ、隔壁1aに設けられた吸込口1bの上部にはフィルタ50が載置される。フィルタ50は隔壁1aに対してパッキング(図示せず)や固定金具(図示せず)等により気密に固定される。フィルタ50の下流側50aに設けられた保守空間24は、その前面側のフィルタ交換用開口部24aにねじ40により気密に締着されたフィルタ点検カバー20が設けられ、天井面には、保守空間の内外を連通する連通部26が設けられる。フィルタ点検カバー20は本実施例ではガラス板、又はアクリル板等の透明な材質で形成されるとともに、保守空間24の内部に突出するよう設けられた気密性を有する手袋22が取付けられている。保守空間24内には粒子検知手段である管状の検出口10が設けられ、検出口10は連通部26を介して保守空間外に設けられた粒子測定器12に接続される。また、保守空間24の天井面には排気ダクト32が接続され、排気ダクト内には排気ファン30が設けられて、保守空間24、フィルタ50を介して作業室1内の空気を吸引する。 本実施例において、フィルタ50の性能測定を行う場合には、排気ファン30を通常の使用状態と同様に運転し、フィルタ点検カバー20に設けられたグローブ22に測定者が手を入れて保守空間24内の検出口10をつかみ、フィルタ50の下流面11を走査して粒子測定器12により粒子数を測定し、リークの有無を点検する。」 イ 第1図及び第2図には、以下の図面が示されている。 (3)引用文献3の記載 引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア 「【0036】本実施の形態における空気浄化装置は、図2及び図3に示すように、通気路を形成するケーシング1と、このケーシング1内に設けられてケーシング1を通る空気を浄化する空気浄化手段であるHEPAフィルタ2とを有する。吸い込み口3の背面には、空気とともに吸い込まれた比較的大きな塵埃を捕集するためのプレフィルタ4が設けられている。また、ケーシング1にはHEPAフィルタ2の上流側及び下流側のケーシング1の内圧差を検出する差圧計22が設けられている。 【0037】ケーシング1は、床清掃時の洗浄水の排出を考慮し、HEPAフィルタ2上流側において床面が吸い込み口3に向けて下がり傾斜するように形成されている。なお、本実施の形態で用いられるHEPAフィルタ2は、処理風量が19.6m3/min、圧力損失が250Pa、0.3μmの粒子に対するろ過効率が99.99%以上のフィルタである。HEPAフィルタ2は、スポンジパッキン等のシール部材を介して、長尺ボルト及びナット等の締め付け部材によって気密にケーシング1に取り付けられている。 【0038】HEPAフィルタ2よりも上流側(下方)のケーシング1には空気浄化時に密閉自在な上流側検出口5が設けられ、HEPAフィルタ2よりも下流側(上方)のケーシング1には空気浄化時に密閉自在な下流側検出口6が設けられている。上流側検出口5及び下流側検出口6は共にプラグ封入によって密閉自在なソケットであり、これらのソケットはそれぞれ溶接によりケーシング1に取り付けられている。ケーシング1内側の下流側検出口6には変形自在な樹脂チューブ7が接続され、樹脂チューブ7の先端にはサンプリングプローブ8が接続されている。樹脂チューブ7は、サンプリングプローブ8をHEPAフィルタ2の下流側端面上及びその周辺で移動させるのに十分な長さとされている。」 イ 「【0049】HEPAフィルタ2上流側でのDOP粒子濃度が上記範囲であることが確認されたら、作業者はグローブ14に手を入れてサンプリングプローブ8を持ち、ビニルバッグ13を介してHEPAフィルタ2の下流側端面及びその周辺を見ながらサンプリングプローブ8をフィルタ面及びシール部に沿ってスキャンする。フィルタ下流側のケーシング1内の空気は、その一部がスキャン中のサンプリングプローブ8に捕捉され、樹脂チューブ7に案内され、下流側検出口6及び下流側検出チューブ18を通ってパーティクルカウンタ19に送られる。パーティクルカウンタ19は下流側空気に含まれるDOP粒子を検出し、フィルタ下流側のDOP粒子濃度を測定する。」 ウ 「【0054】本実施の形態の空気浄化装置は、ケーシング1の下部に吸い込み口3を有し、吸い込み口3よりも上方にHEPAフィルタ2が取り付けられることから、水洗時にはHEPAフィルタ2に水がかかりにくく、HEPAフィルタ2をほとんど濡らすことなくフィルタ上流側のケーシング1内を水洗することができる。また、ケーシング1の床面が吸い込み口3に向けて下がり傾斜していることから、水洗時における水はけが良い。」 エ 図10には、以下の図面が示されている。 (4)引用文献4の記載 引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア 「【0017】 図4に示す封じ込めシステム100の部分上面図をさらに参照すると、エアロゾル噴射リング302が、ダンパ118の上流でカラー116内に配置される。エアロゾル噴射リング302は、リップ112を密閉通過する管304によって、ハウジング102に形成されたエアロゾル噴射ポート180に連結される。エアロゾル噴射リング302は、カラー116によって画定される領域の高速流内に位置決めされる。エアロゾル噴射リング302の半径方向内側(又は他の部分)に位置決めされた孔を通して空気流に供給されるエアロゾルは、空気流がハウジング102に入るとダンパ118の面に衝突することにより、フィルタ試験のためにエアロゾルの良好な混合及び均一な分布を確保するのに必要な乱流をもたらす。」 イ 「【0020】 図5及び図6は、図2の封じ込めシステムの断面図及び部分断面図である。主に図5を参照すると、自動走査機構130をハウジング102内に配置して、ハウジング102を開かずにフィルタ104を走査することを容易にすることができる。ハウジング102のこの領域には、(図1の従来のシステムのような)試験を容易にするためのドアが必要なくなるため、ハウジング102の長さをさらに短くすることができる。さらに、ドアが必要ないため、従来のシステムにある別の生じ得る漏洩点がなくなり、本発明の安全率がさらに高くなる。一実施形態では、自動走査用に構成されたハウジング102の全長は、約55インチ未満である。効率試験用に構成された封じ込めシステムでは、ハウジング102の下流でサンプリングが行われ得るため、下流のダンパ118とフィルタ104との間の距離をさらに縮めることができることが意図される。本発明から利益が得られるようになっている1つの自動走査機構は、Morse他により2005年4月25日に出願された米国特許仮出願第60/675,678号に記載されている。 【0021】 自動走査機構130は、少なくとも1つのプローブ142とアクチュエータ144等の運動機構とを含む。プローブ142は、微粒子走査試験に適した任意の様々な設計を有し得る。一実施形態では、プローブ142は、IEST-RP-CC034.1推奨粒子に適合する。プローブ142は、概して、管516によって、ハウジング102に画定された下流試料ポート508に連結される。ポート508には、光度計又は粒子計数器等のテスタ510が連結される。テスタ510は、上流試料ポート540にも連結され得る。プローブ142は、概して、所定のフィルタ試験速度で等速サンプリングを行うように構成される。複数のプローブ、又は複数のサンプリングポート(したがって、複数のサンプリングポート508に連結された複数のサンプリング管516)を有する1つのプローブを利用することができることが意図される。 【0022】 アクチュエータ144は、1つ又は複数のリニアアクチュエータ、x/yアクチュエータ、又はフィルタ要素104に対してプローブ142を位置決めすることにより漏れ試験を容易にするのに適した他の機構であり得る。アクチュエータ144のための制御部及び/又はユーティリティが、ハウジング102に画定されたポート502を通してコントローラ506につながれ得る。ポート502は、ハウジング102からの漏れを防止するように構成され、クイックディスコネクト又は他の適当な継手を嵌めることができる。このようなポートは、Camfil Farr, Inc.から入手可能な封じ込めシステムで現在利用可能である。 【0023】 図8は、ハウジング102を開かずにシステム100内に設置されたフィルタの漏れ試験を行うために本明細書に記載のハウジング102で用いられ得る、自動走査機構800の一実施形態を示す。自動走査機構800は、漏れの有無についてフィルタの全面を走査することができるようにハウジング内にプローブ142を位置決めするのに用いられる、運動機構844を含む。プローブ142は、フィルタとシール面との間のシールでの漏れの有無についての漏れ試験を行うようにも位置決め可能であり得る。運動機構844は、任意の適当なアクチュエータ、ロボット、x-yアクチュエータ、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ若しくはサーボモータ、流体動力シリンダ、ロッドレスシリンダ、チェーンドライブ若しくはベルトドライブ、ラックピニオンギア装置、ボール、リード、アクメねじ若しくは他の動力ねじ、又はハウジング102の内部体積内でプローブ142を移動させるのに適した他の適当な運動制御、運動発生、及び/又は運動促進機構であり得る。図8に示す実施形態では、運動機構844は、2つのロッドレスシリンダ846、848である。 【0024】 第1のシリンダ846は、ハウジング102に連結され、第1のキャリッジ810が摺動可能に連結されている。第2のシリンダ848は、第1のキャリッジ810に連結されてこれとともに移動する。第2のキャリッジ812は、第2のシリンダ848に沿って進む。プローブ142は、第2のキャリッジ812に連結される。第1のキャリッジ810の位置は、第1のシリンダ846の少なくとも片側に空気又は他の流体を選択的に加えることによって制御される。同様に、第2のキャリッジ812の位置は、第2のシリンダ848の少なくとも片側に空気又は他の流体を選択的に加えることによって制御される。したがって、キャリッジ810、812の運動を制御することにより、フィルタの面を走査するようにプローブ142を選択的に位置決めすることができる。図示の実施形態では、流体制御ライン822、824がシリンダ846、848とポート502との間に設けられて、システム100の外部から走査方向のプローブ142の横方向位置を制御する。」 ウ 「【0029】 フィルタ104は、概して、ハウジング102内に配置されたシール面550に対してシールされる。シール面550は、ハウジングを通って流れる空気をフィルタ104に通過させるようにハウジング102に連結される。一実施形態では、シール面550は、フィルタ104のフレームに形成された流体シールと係合するナイフエッジである。シール面550は、フィルタ104をハウジング102にシールするのに適した構成の中でも特に、ガスケットをシールするためのフランジであり得ることが意図される。 【0030】 ハウジング102は、付勢機構552も含む。付勢機構552は通常、動作中に脇道ができないことを確実にするためにフィルタ104をシール面550に対して付勢する。一実施形態では、付勢機構552は、フィルタ104を解放する位置とフィルタをシール面550に対して付勢する位置との間で移動させることができる結合部締め付け機構である。フィルタ104をシール面550に対して保持するのに適した付勢機構552の他の構成を利用してもよいことが意図される。付勢機構、バッグリング、及びフィルタアクセスポートの全てを有する、本発明から利益が得られるようになっている1つの汚染ハウジングは、ノースカロライナ州ワシントン所在のCamfil Farr, Inc.から入手可能なFB HOUSING(商標)である。 【0031】 図7は、一体型ダンパ118を有する封じ込めシステム700の別の実施形態を示す。封じ込めシステム700は概して、図2~図6のシステムとほぼ同様であるが、システム700が、図5に示すバッグ532等のグローブ付きバッグを用いる従来の走査慣行を利用したフィルタ104の手動試験に対応するように、バッグリング704を有する第2のアクセスポート702を含む点が異なる。」 エ 図5には、以下の図面が示されている。 (5)引用文献5の記載 引用文献5には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「2.実用新案登録請求の範囲 1.中空状のハウジング内に複数個のフィルタを設置し、そのハウジングの上流側と下流側とに入口ダクトと出口ダクトをそれぞれ設けてなるフィルタユニットにおいて、前記ハウジング内に検出器の検出端を、前記複数個のフィルタに対応してそれぞれ設けたことを特徴とするフィルタユニット。 2.ハウジングは点検窓およびグローブを有し、検出端は手動でスキャニングされることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載のフィルタユニット。」(第1頁第4~15行) (6)引用文献6の記載 引用文献6には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 バイオセーフティ施設からの排気を処理するバイオセーフティ排気処理装置において、 気密構造に構成されたケーシング内に設置されたフィルタの下流側のスペースにグローブ及びサンプリングチューブをケーシングの外部と連通する構造で設け、 さらに、前記ケーシングの一面に覗き窓を設けたことを特徴とするバイオセーフティ排気処理装置。」 (7)特開2009-50831号公報の記載 特許異議申立人 千原 正により提出された平成29年10月12日付け意見書に添付された特開2009-50831号公報(以下、「参考文献」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア 「【0024】 この空気浄化装置1のHEPAフィルタ25(及びプレフィルタ14)の交換方法について説明すると、まず、使用済のプレフィルタ14をホース42からの放水により水洗した(図2(A)、ステップ1(図3において「S.1」と記載。以下同様。))後に水洗ユニット5の前壁15から取り外し(図2(B)、ステップ2)、開口16からホース42を水洗ユニット5の内部に挿入し、傾斜床13、水洗ユニット5の内壁43、取付フレーム24及び使用済のHEPAフィルタ25(の少なくとも下面41)を洗浄して付着した粉塵を洗い流す(図2(C)、ステップ3)。 【0025】 つぎに、六角ボルト29を緩めて扉23を開け (図2(D)、ステップ4)、開口27を通じてナット40を緩めてナット40及び押さえ部材39をスタッドボルト38から外し、HEPAフィルタ25をガスケット37ごと取付フレーム24から取り外して開口27から取り出す(図2(E)、ステップ5)。 【0026】 続いて、新しい(一般的には未使用の)HEPAフィルタ25をガスケット37とともに開口27からフィルタユニット4の内部に入れ、HEPAフィルタ25の図示を略す挿通孔にスタッドボルト38を挿通させて押さえ部材39及びナット40を取り付け(図2(F)、ステップ6)、扉23を閉じるとともに額縁20付きの新しいプレフィルタ14で開口16を塞ぐことにより、フィルタ交換作業が完了する(図2(G)、ステップ7)。 【0027】 本形態に係る空気浄化装置1では、プレフィルタ14を取り外した状態で開口16から水洗ユニット5の内部に放水したときにHEPAフィルタ25の下面41が水洗されるように、HEPAフィルタ25が水洗ユニット5の内部に臨んで設けられているので、HEPAフィルタ25をビニルバッグを用いることなく直接的に交換しようとするときに(空気浄化装置1はそもそもビニルバッグを有しない。)、上述したようにまずプレフィルタ14を取り外し、開口16から水洗ユニット5の内部に放水し、使用済みのHEPAフィルタ25の下面41を水洗して湿潤させた上で、このHEPAフィルタ25を新しいものに交換してプレフィルタ14を取り付けることにすれば、使用済みのHEPAフィルタ25において主に下面41に捕集されている有害粉塵の飛散が湿潤により抑制されることになって、装置構造やフィルタ交換方法を簡易なものとしつつ有害粉塵のフィルタ交換時における飛散を有効に防止することができる。」 イ 図2には、以下の図面が示されている。 5.判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 取消理由1(明確性)について 本件訂正により、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となるように下流側の面が平坦な形状とされている」という記載が、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ」と訂正された結果、「平坦な形状とされ」ている「前記下流側の面が」、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」面であることが明確となった。 よって、本件訂正発明4及び8~10では、上記「第3 2.(1)」の取消理由1が解消されたといえる。 イ 取消理由2(進歩性)について (ア)本件訂正発明4 a 対比 本件訂正発明4と引用発明とを対比する。 (a)引用発明の「フィルタ部20」の「筐体21」と、「排気部10」の「筐体11」を併せたものが、本件訂正発明4の「ケーシング」に相当する。また、引用発明の「HEPAフィルタ25」及び「空気浄化装置1」が、それぞれ、本件訂正発明4の「フィルタ」及び「空気浄化装置」に相当する。 (b)引用発明の「リーク・差圧測定装置13」は、「HEPAフィルタ25」のリークを検出するリーク試験装置であることは技術的に明らかであるから、引用発明の「リーク・差圧測定装置13」と、本件訂正発明4の走査リーク試験に用いる構成の「前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 を有し、 ・・・ 前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであ」ることとは、 「ケーシング内の前記フィルタにおけるリーク試験装置」である点で共通する。 (c)引用発明では、「HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられ、このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われ」ていることから、引用発明における、ここでの「HEPAフィルタ25の取付け」構造一式が、本件訂正発明4の「フィルタを着脱可能な着脱部」に相当する。 (d)引用発明では、「フィルタ部20は、・・・取付フレーム24と、HEPAフィルタ25とを備え、筐体21は直方体状を呈し、・・・上部には前後左右の各壁21a,21b,21c,21dから内側に突出してなる方形状の取付フレーム24が取り付けられており、・・・この取付フレーム24は・・・平面視で筐体21の内周面にほぼ沿う矩形状を呈して」いることから、引用発明の「取付フレーム24」は、本件訂正発明4の「枠状のフィルタ取付枠」に相当する。 (e)引用発明の「ガスケット32」は、本件訂正発明4の「シール部材」に相当する。 (f)引用発明では、「HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられ、このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われ」ており、図3及び4(上記「第3 4.(1)エ」参照。)を踏まえると、引用発明の「取付フレーム24」は、本件訂正発明4の「前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ」ているものに相当する。 (g)引用発明では、「取付フレーム24は断面矩形状の中空部材により形成され」ており、そして、上記「第3 4.(1)イ」に「取付フレーム24が断面矩形状の中空枠体であることは、取付フレームに有害粉塵が溜まりにくいことにも寄与する。」と記載されていることを踏まえると、引用発明の「取付フレーム24」は、下流側の面が平坦な形状とされているいるものといえるから、引用発明の「取付フレーム24」と、本件訂正発明4の「さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ」とは、「さらに、前記下流側の面が平坦な形状とされ」ている点で共通する。 (h)引用発明の「フィルタ部20は、筐体21と、・・・取付フレーム24と、HEPAフィルタ25とを備え、筐体21・・・に設けた吸気口26には吸気ダクト40が連通され、・・・HEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(・・・)に・・・ナット35を螺着させて行われ、フィルタ部20の矩体21内の下方には洗浄水供給管36に連通させた放水管37が配置され、この放水管37は筐体の中央部を前後方向に延び、等間隔に4個の放水口37aを備えており、このように、前記HEPAフィルタ25は、密封化された状態で前記放水口37aからフィルタ部の内部に洗浄水Wを放水したときに、その下面(空気流の上流側の面)25aが水洗されるようにフィルタ部20の内部に設置されており、排気部10は、筐体11を備え、筐体11は・・・排気口12が形成され、この排気口12は排気ダクト50に連通されて」ていることと、本件訂正発明4の「前記ケーシングの開口から吸入された空気がプレフィルタおよび前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている」とは、「前記ケーシングの開口から吸入された空気が前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている」点で共通する。 してみると、本件訂正発明4と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。 (一致点) 「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化する空気浄化部としてのフィルタとを有する空気浄化装置であって、 前記ケーシング内の前記フィルタにおけるリーク試験装置と、 前記ケーシング内の上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と、 を有し、 前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィルタ取付枠を有し、 前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記下流側の面が平坦な形状とされ、 前記ケーシングの開口から吸入された空気が前記フィルタを通過して排気口から排出されるように前記ケーシングの内部が連通しており、前記ケーシングの内部に放水したときに前記フィルタの少なくとも空気流の上流側の面が水洗可能なように、前記フィルタが前記ケーシングの内部において着脱可能に前記着脱部に取り付けられている 空気浄化装置。」 (相違点1) リーク試験装置が、本件訂正発明4では、「前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、」を有し、 「前記操作部は、前記観察窓と別体的に設けられ、作業者の手を入れるための変形自在で気密な構造を有するグローブであ」るのに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。 (相違点2) フィルタ取付枠の下流側の面が、本件訂正発明4では、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」のに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。 (相違点3) 本件訂正発明4では、ケーシングの開口から吸入された空気が「プレフィルタ」およびフィルタを通過して排気口から排出され、前記フィルタは、「前記プレフィルタを取り外した状態で前記開口から」前記ケーシングの内部に放水したときに、前記フィルタの空気流の上流側の面を水洗可能なように、前記ケーシングの内部に取り付けられているのに対し、引用発明では、「筐体11」の「吸気口26」から吸入された空気が「HEPAフィルタ25」を通過して「排気口12」から排出されるまでに、「プレフィルタ」を通過させるかは不明であり、「HEPAフィルタ25は、密封化された状態で」「洗浄水供給管36に連通させた放水管37」の「放水口37aからフィルタ部の内部に洗浄水Wを放水したときに、その下面(空気流の上流側の面)25aが水洗されるようにフィルタ部20の内部に設置されて」いる点。 b 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 上記相違点3に係る本件訂正発明4の構成、とりわけ、フィルタを、プレフィルタを取り外した状態でケーシングの開口から前記ケーシングの内部に放水したときに、前記フィルタの空気流の上流側の面を水洗可能なように、前記ケーシングの内部に取り付けることは、引用文献2~6のいずれにも記載も示唆もされていない。 よって、引用発明において、上記相違点3に係る本件訂正発明4の構成にすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 c 小括 以上のとおり、本件訂正発明4は、他の相違点について判断するまでもなく、引用発明及び上記引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)本件訂正発明8 a 対比 本件訂正発明8と引用発明とを対比する。 (a)引用発明の「フィルタ部20」の「筐体21」と、「排気部10」の「筐体11」を併せたものが、本件訂正発明8の「ケーシング」に相当する。また、引用発明の「HEPAフィルタ25」及び「空気浄化装置1」が、それぞれ、本件訂正発明8の「フィルタ」及び「空気浄化装置」に相当する。また、引用発明の「空気浄化装置1」は、「リーク・差圧測定装置13」を備え、リーク・差圧を測定する測定システムといえるから、本件訂正発明8の「空気浄化装置におけるリークを検出するための試験システム」に相当するといえる。 (b)引用発明の「リーク・差圧測定装置13」は、「HEPAフィルタ25」のリークを検出するリーク試験装置であることは技術的に明らかであるから、引用発明の「リーク・差圧測定装置13」と、本件訂正発明8の走査リーク試験に用いる構成の「前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 前記フィルタよりも前記上流側のケーシング下部内に、試験用粒子を供給する試験用粒子供給部と、 有し、 ・・・ 前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、 前記試験用粒子供給部から供給される前記試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ、前記上流側検出部が、前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成とした」こととは、 「ケーシング内の前記フィルタにおけるリーク試験装置」である点で共通する。 (c)引用発明では、「HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられ、このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われ」ていることから、引用発明における、ここでの「HEPAフィルタ25の取付け」構造一式が、本件訂正発明8の「フィルタを着脱可能な着脱部」に相当する。 (d)引用発明では、「フィルタ部20は、・・・取付フレーム24と、HEPAフィルタ25とを備え、筐体21は直方体状を呈し、・・・上部には前後左右の各壁21a,21b,21c,21dから内側に突出してなる方形状の取付フレーム24が取り付けられており、・・・この取付フレーム24は・・・平面視で筐体21の内周面にほぼ沿う矩形状を呈して」いることから、引用発明の「取付フレーム24」は、本件訂正発明8の「枠状のフィルタ取付枠」に相当する。 (e)引用発明の「ガスケット32」は、本件訂正発明8の「シール部材」に相当する。 (f)引用発明では、「HEPAフィルタ25は、その外周がガスケット32を介して取付フレーム24に当接されて取り付けられ、このHEPAフィルタ25の取付けは、取付フレーム24の側に固定されたスタッドボルト33の先端部(HEPAフィルタ25から下方に突出した部分)にワッシャー等からなる環状の押さえ部材34を填めた後にナット35を螺着させて行われ」ており、図3及び4(上記「第3 4.(1)エ」参照。)を踏まえると、引用発明の「取付フレーム24」は、本件訂正発明4の「前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ」ているものに相当する。 (g)引用発明では、「取付フレーム24は断面矩形状の中空部材により形成され」ており、そして、上記「第3 4.(1)イ」に「取付フレーム24が断面矩形状の中空枠体であることは、取付フレームに有害粉塵が溜まりにくいことにも寄与する。」と記載されていることを踏まえると、引用発明の「取付フレーム24」は、下流側の面が平坦な形状とされているいるものといえるから、引用発明の「取付フレーム24」と、本件訂正発明4の「さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ」とは、「さらに、前記下流側の面が平坦な形状とされ」ている点で共通する。 してみると、本件訂正発明8と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。 (一致点) 「浄化されるべき空気の通気路を形成するケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングを通る空気を浄化するフィルタとを有する空気浄化装置におけるリークを検出するための試験システムであって、 前記ケーシング内の前記フィルタにおけるリーク試験装置と、 前記ケーシング内の前記上流側と下流側の境界位置に設けられ、前記フィルタを着脱可能な着脱部と を有し、 前記着脱部は、前記フィルタが取り付けられる枠状のフィル夕取付枠を有し、 前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記下流側の面が、平坦な形状とされた、 試験システム。」 (相違点1) リーク試験装置が、本件訂正発明8では、「前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部と、 前記フィルタよりも下流側のケーシング上部内を移動自在であり、前記走査リーク試験時に、前記パーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも前記下流側のケーシング上部内の空気を捕捉するサンプリングプローブと、 前記下流側のケーシング上部に配置されて前記サンプリングプローブを移動操作させる操作部と、 前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓と、 前記フィルタよりも前記上流側のケーシング下部内に、試験用粒子を供給する試験用粒子供給部と、」を有し、 「前記試験用粒子供給部から供給された前記試験用粒子を分散して均一化する粒子分散部を有し、 前記試験用粒子供給部から供給される前記試験用粒子が前記粒子分散部としてのチャンバーに導かれ」るのに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。 (相違点2) フィルタ取付枠の下流側の面が、本件訂正発明8では、「前記サンプリングプローブが平面的な走査となる」のに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。 (相違点3) 上流側検出部が、本件訂正発明8では、「前記チャンバーの前記チャンバー出口と前記ケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成とした」のに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。 b 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 上記相違点3に係る本件訂正発明8の構成、すなわち、上流側検出部を、粒子分散部としてのチャンバーの出口とケーシングの開口との間で上流側の空気を捕捉して案内する構成にしたことは、引用文献2~6のいずれにも記載も示唆もされていない。 よって、引用発明において、上記相違点3に係る本件訂正発明8の構成にすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 c 小括 以上のとおり、本件訂正発明8は、他の相違点について判断するまでもなく、引用発明及び上記引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)本件訂正発明9 本件訂正発明9は、本件訂正発明8の構成の全てを含むことから、上記(イ)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (エ)本件訂正発明10 本件訂正発明10は、上記相違点3に係る本件訂正発明4の構成を具備することから、上記(ア)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 特許異議申立人の意見について 特許異議申立人 千原 正は、平成29年10月12日付け意見書において、上記相違点3に係る本件訂正発明4及び10の構成(上記「イ(ア)」及び「イ(エ)」を参照)は、上記参考文献(上記「4.(6)」を参照)に記載されているから、引用発明及び参考文献に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得た事項であると主張している。 しかしながら、引用発明において、HEPAフィルタ25へ放水する際、「洗浄水供給管36に連通させた放水管37」を使用することに代えて、参考文献に記載された技術的事項を適用しようすると、少なくとも「吸気ダクト40」を「筐体11」から取り外す作業が必要となることから、たとえ参考文献に上記相違点3に係る本件訂正発明4及び10の構成が記載されていたとしても、引用発明において、HEPAフィルタ25への放水のため、参考文献に記載された技術的事項を適用することは想定できない。 よって、上記主張は採用できない。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア  申立理由1及び6について 特許異議申立人は、上記「3.(1)ア」及び「3.(2)ア」に示したように、本件特許発明1~7及び9は、特開昭63-232816号公報(引用文献2)又は特開2002-214115号公報(引用文献3)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張しているが、上記「イ(ア)」及び「イ(エ)」で検討したとおり、上記相違点3に係る本件訂正発明4及び10の構成は、引用文献1~6のいずれにも記載も示唆もされていないことから、たとえ引用文献2または3を出発点としても、本件訂正発明4及び10は、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、上記申立理由1及び6は採用できない。 イ 申立理由2~4、7及び8について 申立理由2~4、7及び8は、いずれも、本件訂正発明4及び8~10から、観察窓の配置範囲の限定を削除し、当該観察窓の配置範囲を上位概念化した点、及び/又は、上流側検出部の配置範囲の限定を削除し、当該上流側検出部の配置範囲を上位概念化した点に着目した申立理由であるので、併せて検討する。 特許請求の範囲に発明として記載して特許を受けるためには、明細書の発明の詳細な説明に、当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載しなければならない(知財高判平17.11.11平成17年(行ケ)10042号大合議判決)。そして、当該発明の課題は、必ずしも明細書の特定の欄に記載されていなければならないということではなく(平成20(行ケ)10237)、本件訂正発明4及び8~10において、「前記フィルタ取付枠は、前記フィルタが下流側に突出しないように前記ケーシング下部からシール部材を介して押し付けられていると共に、前記フィルタの前記下流側に向いた露出面側に着脱構造の一部等が突出しないようにされ、さらに、前記サンプリングプローブが平面的な走査となる前記下流側の面が、平坦な形状とされ、」という構成は、明細書の段落【0064】に「従来例では、下流側のケーシング上部においてフィルタ取付枠の上部にHEPAフィルタを載置しているために、サンプリングプローブは、フィルタ取付枠の取付け用のボルト等の突出物を避けながら水平方向だけではなく垂直方向にも動く必要、すなわち3次元的に複雑に動く必要がある。 これに対して、図1の本発明の実施形態の空気浄化装置100と試験システム101では、図6に示すように、HEPAフィルタ2は、T方向に沿って上流側から、すなわち下側からフィルタ取付枠103に取り付ける構造を採用している。このため、フィルタ取付枠103の上部には突出物がなくフラットな形状であるために、図1に示すサンプリングプローブ8は平面的な2次元な走査をするだけでよい。このように、平面上をサンプリングプローブ8が走査するので、サンプリングプルーブ8は、HEPAフィルタ2の吹出面側に沿うようにして試験粒子のサンプリングが確実に行えるので、リーク試験の信頼性が高まるメリットがある。」と記載されているように、サンプリングプローブの平面的な2次元走査をすることを課題とし、当該課題を解決するための課題解決手段であることが理解できる。 してみると、本件訂正発明4及び8~10において、「前記ケーシング内の前記フィルタにおける走査リーク試験時に、外側のパーティクルカウンタと接続され、前記フィルタよりも上流側で空気を捕捉する上流側検出部」、及び/又は「前記ケーシングの前記下流側である前記ケーシング上部に配置されて作業者が前記サンプリングプローブを観察するための観察窓」という構成は、上記課題との関係において任意の付加的な事項であるといえる。 よって、本件特許出願は特許出願の分割の効果が認められるところ、本件訂正発明4及び8~10は、甲第6号証に記載された発明であるとはいえず、また、平成27年4月20日及び平成28年4月18日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえ、さらに、本件訂正発明4及び8~10は、発明の詳細な説明に記載したものといえることから、上記申立理由2~4、7及び8は採用できない。 ウ 申立理由5について 本件訂正により、本件訂正発明8は、独立形式請求項となったことから明確となり、上記申立理由5は採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4及び8~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項4及び8~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項1~3及び5~7に係る発明は、本件訂正により削除されたので、本件特許の請求項1~3及び5~7に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700972

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