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特許異議申立

2026-700247

ウインドレギュレータ及びガイドレールの取付け方法

審判番号
2026-700247
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-178140
登録番号
7743480
請求日
2026年03月24日
審決日
2026年07月31日
公報発行日
2026年09月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社城南製作所
  • 【権利者代理人】弁理士法人平田国際特許事務所
  • 【異議申立人】ジュネスプロパティーズ 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 小島 寛史
  • 審判官 岡崎 彦哉
  • 審判官 家田 政明
分類
P1651.121-Y (E05F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第44条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7743480号発明「ウインドレギュレータ及びガイドレールの取付け方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7743480号の請求項1~2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7743480号(以下「本件特許」という。)の請求項1~2に係る特許についての出願は、令和4年3月18日に出願された特許出願(特願2022-44561号)の一部を、令和5年10月16日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2023-178140号)としたものであって、令和7年9月12日にその特許権の設定登録がされ、同月24日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和8年3月24日に、特許異議申立人 ジェネスプロパティーズ株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、請求項1~2に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~2に係る発明(以下、請求項番号により「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールと、 前記窓ガラスを支持すると共に前記ガイドレールに摺動自在に取り付けられたキャリアプレートと、 前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、 回転することにより前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う回転ドラムと、を備え、 前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部から立設された側板部と、を有し、 前記キャリアプレートには、 前記ガイドレールが挿入される挿入部と、 前記挿入部の第1の内面を挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記平板部を前記挿入部にガイドする第1挿入ガイド壁と、 前記挿入部の第2の内面を前記挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記側板部を前記挿入部にガイドする第2挿入ガイド壁と、が形成されていることを特徴とするウインドレギュレータ。 【請求項2】 請求項1に記載のウインドレギュレータにおける、前記ガイドレールを前記キャリアプレートに取り付けるガイドレールの取付け方法であって、 前記平板部及び前記側板部を前記第1挿入ガイド壁及び前記第2挿入ガイド壁にそれぞれ接触させた後、前記平板部及び前記側板部を前記第1挿入ガイド壁及び前記第2挿入ガイド壁にそれぞれ摺接させながら前記ガイドレールを前記挿入部側に移動することで、前記ガイドレールを前記挿入部に挿入することを特徴とするガイドレールの取付け方法。」 第3 申立理由の概要 申立人が申立書において主張する申立理由は、概略次のとおりである。 1 申立理由(進歩性) 本件発明1は、本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明、及び、甲第2号証記載の技術事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 本件発明2は、本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第4号証記載の技術事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 第4 証拠について 1 証拠一覧 申立人が申立書に添付して提出した証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2014-177838号公報(平成26年9月25日公開) 甲第2号証:特開2019-143401号公報(令和元年8月29日公開) 甲第3号証:特開2013-96150号公報(平成25年5月20日公開) 甲第4号証:特開2015-121063号公報(平成27年7月2日公開) (以下、各甲号証をその番号により「甲1」等と呼ぶことがある。) 2 各証拠の記載 (1)甲1 ア 甲1の記載事項 (ア)甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下、同様。) 「【発明を実施するための形態】 【0012】 図3は、本願の発明による自動車用ウインドウレギュレータ1の一実施例を示したものである。 このウインドウレギュレータ1は、自動車のドアパネル内に納められており、ガイドレール2、キャリアプレート3、ワイヤドラム4を備えたドラム駆動装置5及び閉じ用ワイヤ6と開き用ワイヤ7を備える。符号8はプーリーであり、ガイドレール2の上端部に軸支されている。符号9はワイヤガイドであり、閉じ用ワイヤ6が移動するときの振れを抑制する。 【0013】 ガイドレール2は横断面をコ字形(図4)とした頑丈な鋼板の成形品であり、底壁10と左右の立上り壁11,12を有し、一方の右立上り壁12の上端から側方(車の前後方向)へ屈曲されたガイド辺縁13を有する。ガイド辺縁13は底壁10と略平行に形成され、ガイドレール2の長手方向に延びている。なお、この実施例においてガイドレール2は、窓ガラスの湾曲に合わせて、中間部が車の幅方向で外側へわずかに凸となるよう湾曲している。 【0014】 キャリアプレート3は窓ガラスの下辺を支持し、ガイドレール2に案内されて上下方向に移動される部材であり、内面側(車の幅方向内側の面)に凸条部14とガイドレール2のガイド辺縁13に前記の底壁10側から接してガイドするガイド用ひれ面15を一体に有している。 符号16は閉じ用ワイヤ6の係合部であり、閉じ用ワイヤ6のキャリアプレート3側を係合し取り付ける。符号17は開き用ワイヤ7のキャリアプレート3側を係合固定する係合部である。 【0015】 前記の凸条部14は、ガイドレール2の両側の立上り壁11,12の間に位置し、上下方向(ガイドレール2の長手方向)に長い寸法を有する部分である。 ガイド用ひれ面15は、ガイドレール2のガイド辺縁を貫通させる取付け空間18の下壁の面である。 ガイドレール2にキャリアプレート3を嵌め込むようにして、図4の〔ロ〕のように取り付けると、キャリアプレート3は、ガイドレール2の左右の立上り壁11,12によって左右方向の移動が規制され、底壁10とガイド辺縁13によって内外方向の移動が規制される。このため、キャリアプレート3はガイドレール2を上下方向に安定してスライドすることができる。 【0016】 また、前記の底壁10とガイド辺縁13との間には右立上り壁12の高さに相当する充分な距離が存在するので、キャリアプレート3を内外方向で規制する機能が高い。 なお、図4の〔ロ〕では、ガイドレール2とキャリアプレート3の間に大きなクリアランスを図示しているが、図面の都合であって、実際には、ガイドレール2に対してキャリアプレート3がスライドできる範囲でできるだけ小さな間隔とされる。 【0017】 ワイヤガイド9は、ガイドレール2の底壁10の外面に固定したブラケット19(図4ロ〕の先端部に設けられている。この実施例において、ブラケット19は左立上り壁11から側方に突出している。 以上の構成であって、ドラム駆動装置5によってワイヤドラム4が駆動されると、閉じ用ワイヤ6が巻き込まれるときキャリアプレート3が上昇して窓ガラスが閉じ、開き用ワイヤ7が巻き込まれるときキャリアプレート3が下降して窓ガラスが開く。 ガイドレール2は、横断面がコ字形をしていることにより頑丈であり、小形にできる。一方、キャリアプレート3の上昇、下降は、ガイドレール2の左右立上り壁11,12によって車の前後方向が規制され、底壁10とガイド辺縁13とによって車の内外方向が安定して規制されるので、キャリアプレート3のスライド移動はスムーズである。 【0018】 そして、キャリアプレート3の前後方向移動を規制するガイド辺縁13は、右立上り壁12の上端から側方へ屈曲した構造なので、底壁10からの寸法が大きく、前後方向移動を規制する機能が高い。 また、従来のガイド用ひれ(11)のように、ガイドレール2の底壁10の外面に沿って移動する部分が存在しないので、ガイドレール2を小形にしても、キャリアプレート3の移動を阻害することなくワイヤガイド9のブラケット19を底壁10の外面に固定することができる。」 (イ)甲1には、以下の図示がある。 「【図3】 [図:0001439239000001.jpg] 【図4】 [図:0001439239000002.jpg] 」 (ウ)甲1の図面から以下の事項が看取される。 ・【図3】から、「ガイドレール2」は、上下方向に沿って設けられること。 ・【図4】〔ロ〕から、「キャリアプレート3」には、「凸条部14」及び「ガイド用ひれ面15」等により、「ガイドレール2」の「ガイド辺縁13」が挿入される「取付け空間18」が形成されること。 イ 甲1発明、及び、甲1方法発明 上記アから、甲1には、以下の2発明(以下、それぞれを「甲1発明」、「甲1方法発明」という)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「ガイドレール2は、上下方向に沿って設けられ(前記ア(ウ))、 キャリアプレート3は窓ガラスの下辺を支持し、ガイドレール2に案内されて上下方向に移動され、 閉じ用ワイヤ6のキャリアプレート3側を係合し取り付け、開き用ワイヤ7のキャリアプレート3側を係合固定し(【0014】) ドラム駆動装置5によってワイヤドラム4が駆動されると、閉じ用ワイヤ6が巻き込まれるときキャリアプレート3が上昇して窓ガラスが閉じ、開き用ワイヤ7が巻き込まれるときキャリアプレート3が下降して窓ガラスが開き(【0017】)、 ガイドレール2は横断面をコ字形とし、底壁10と左右の立上り壁11,12を有し、一方の右立上り壁12の上端から側方(車の前後方向)へ屈曲されたガイド辺縁13を有し(【0013】)、 キャリアプレート3には、ガイドレール2のガイド辺縁13が挿入される取付け空間18が形成され(前記ア(ウ))、 キャリアプレート3は、ガイドレール2の左右の立上り壁11,12によって左右方向の移動が規制され、底壁10とガイド辺縁13によって内外方向の移動が規制されている(【0015】) 自動車用ウインドウレギュレータ1(【0012】)。」 (甲1方法発明) 「甲1発明に係る自動車用ウインドウレギュレータ1において、ガイドレール2をキャリアプレート3に取り付ける方法。」 (2)甲2 ア 甲2の記載事項 (ア)甲2には、以下の事項が記載されている。 「【発明を実施するための形態】 【0009】 (実施の形態の要約) 本実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、車両の窓ガラス90の昇降方向に沿って設けられるガイドレール2と、ガイドレール2と摺動して窓ガラス90と共に移動するキャリアプレート3と、キャリアプレート3を牽引するケーブル(41,42)と、モータ51によって回転駆動するドラム52と、ドラム52を収容するドラムハウジング53、及びドラムハウジング53に固定されてモータ51の一部を収容するモータハウジング54からなるハウジング50と、を備え、ドラムハウジング53には、ガイドレール2の下端が嵌合する嵌合穴532aが形成された嵌合部532と、モータハウジング54が締結される締結孔(533a)と、が設けられ、ドラムハウジング53の締結孔(533a)が、車両の前後方向において、ガイドレール2と重なる位置に設けられている。」 「【0014】 (ガイドレール2の構成) ガイドレール2は、長板状の金属板を所定の曲率で折り曲げて形成され、ドア9に対して車両前後方向の後方側に傾いて配置されている。また、ガイドレール2は、その長手方向に延びる平板部20と、平板部20における長手方向に直交する幅方向の両端部から立設された第1及び第2の側板部21,22と、第2の側板部22の先端から平板部20とは反対側に張り出した鍔部23と、を一体に有している(後述する図6参照)。第1及び第2の側板部21,22のうち、第1の側板部21が車両前後方向の前方側に配置されている側板部である。図2では、第1及び第2の側板部21,22が紙面の手前側に突出している。」 「【0024】 ドラムハウジング53は、ドラム52を収容するドラム収容部531と、ガイドレール2が嵌合する嵌合穴532aが形成された嵌合部532と、モータハウジング54が締結される第1乃至第3の固定孔533a~533cと、を有している。なお、第1の固定孔533aが本発明における「締結孔」に相当する。」 「【0029】 図5(a)に示すように、ドラムハウジング53の嵌合穴532aは、ガイドレール2の長手方向に深さを有する穴であり、嵌合部532の上面が開口している。嵌合穴532aと、第1の固定孔533aとは連通している。」 「【0032】 図5(f)に示すように、ドラムハウジング53がモータハウジング54と対向する正面53aとは反対側の背面53bには、車両の車幅方向の車室内側に開口した開口部が、モータハウジング54をドラムハウジング53に締結するための締結部材としてのナット9aを第1の固定孔533aに挿入するための挿入穴530として形成されている。ナット9a~9cは、第1乃至第3の固定孔533a~533cに対して、例えば圧入によって固定される。」 (イ)甲2には、以下の図示がある。 「【図5】 [図:0001439239000003.jpg] 」 「【図6】 [図:0001439239000004.jpg] 」 (ウ)甲2の記載から把握できる事項 a 前記(イ)の図5(f)と図6(a)とは、ドラムハウジング53の形状からみて、同じ向きであること、前記(ア)の段落【0032】の「ドラムハウジング53がモータハウジング54と対向する正面53aとは反対側の背面53b」との記載、及び図5(f)中の符号53bの位置を踏まえると、前記(イ)の図5(f)及び図6(a)から、ドラムハウジング53の背面53b側の壁面のうち、一部(図6(a)中、右側寄りの部分)には嵌合穴532aが開口する嵌合部532の上面を超える位置まで延出する部分(以下「延出部」という。)が存在し、延出部の一面は嵌合穴532a側を向くことが見て取れる。 b 前記(ア)の段落【0029】の「ドラムハウジング53の嵌合穴532aは、ガイドレール2の長手方向に深さを有する穴であり、嵌合部532の上面が開口している。」との記載を踏まえれば、前記(イ)の図5(b)正面図の532aが示す位置は、嵌合部532の上面位置を表すと認められる。そうすると、図5(c)の左側面図中の嵌合部532の上面を超える位置の背面53b側の壁面又は図5(d)の右側面図中の嵌合部532の上面を超える位置の背面53b側の壁面はそれぞれ、前記aで言及した延出部と認められる。また、延出部には、前記(イ)の図6(a)中、中央右寄りの部分に正面53a側に向けて突出する部分(以下「突出部」という。)が存在することが見て取れる。そして、図5(c)の延出部から右向きに突出する部分及び図5(d)の延出部から左向きに突出する部分を合わせみれば、前記突出部は、延出部の上端から、嵌合部532の上面まで連続して形成されていることが見て取れる。 イ 甲2に記載された事項 前記アより、甲2には、以下の記載事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲2記載事項) 「ウインドレギュレータ1であって(【0009】)、 ドラムハウジング53の嵌合穴532aは、ガイドレール2の長手方向に深さを有する穴であり、嵌合部532の上面が開口し(【0029】)、 ドラムハウジング53の背面53b側の壁面のうち、一部には嵌合穴532aが開口する嵌合部532の上面を超える位置まで延出する部分(以下「延出部」という。)が存在し、延出部の一面は嵌合穴532a側を向き(前記ア(ウ)a)、 延出部には、正面53a側に向けて突出する部分(以下「突出部」という。)が存在し、突出部は、延出部の上端から、嵌合部532の上面まで連続して形成されること(前記ア(ウ)b)。」 (3)甲3 ア 甲3の記載事項 (ア)甲3には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両などに取り付けられ、ガラスを昇降させるウインドレギュレータに関する。 【背景技術】 【0002】 車両の窓ガラスは、窓ガラスを昇降させるためにドアパネル内に設けられたウインドレギュレータにより開閉される。このようなウインドレギュレータは、例えば、窓ガラスを指示するキャリアプレートと、キャリアプレートに一端が係止された1対のインナーケーブルと、当該1対のケーブルの他端が係止されたドラムと、当該ドラムを駆動させるモータ等の駆動部とにより構成することができる。この場合、キャリアプレートとドラムの間に配索されるケーブルは、プーリ等の方向転換部材に掛け渡されて方向転換される。」 「【発明を実施するための形態】 【0011】 以下、本発明のウインドレギュレータを図を用いて説明するが、本発明のウインドレギュレータはではこれらに限定されるものではない。 【0012】 図1は、本発明のウインドレギュレータについての一実施形態におけるガイドレールとウインドレギュレータとの取付状態を示す模式図であり、図1(a)に示すように、ガイドレール1にキャリアプレート2が取り付けられている。ガイドレール1には、さらに、図1(a)上側の端部には上端ブラケット3が取り付けられ、下端には下端ブラケット4が取り付けられている。キャリアプレート2は、ガラスホルダを介するなどをして車両の窓ガラスに連結され、ガイドレール1はキャリアプレート1の昇降を案内する。上端ブラケット3は、螺子孔5を有し、インナーパネル等のドアにおける所定の位置に取り付けられるものであるが、一端がキャリアプレート2に連結され、他端が前記駆動部に連結された上昇用インナーケーブルが掛架される方向転換部材が取り付けられてもよい。下端ブラケット4は、螺子孔6を有し、インナーパネル等のドアにおける所定の位置に取り付けられるものであるが、上述の従来技術のように、ドラムとモータとを有する駆動部がハウジングを介して取り付けられてもよいし、一端がキャリアプレート2に連結され他端が駆動部に連結された下降用インナーケーブルが掛架される方向転換部材が取り付けられてもよい。これらのような従来公知のウインドレギュレータの機構に、図1のガイドレールとキャリアプレートとの取付構造を適用することにより、図1とウインドレギュレータ2はガイドレール1を摺動移動することができる。なお。ガイドレール1は、上述のように車両のドアに取り付けられることから、インナーパネルの形状等の取付部位における形状に追随し、所定の距離でインナーパネル等からオフセットする必要があるので、図1(b)のように湾曲した形状となっている。また、前記方向転換部材については、上記ブラケットへの取付方法が特に限定されるものではなく、公知の設置方法により上述のブラケットに取り付けることができる。 【0013】 キャリアプレート2は、ガラスホルダを介する等してガラスが取り付けられる取付孔7a、7bを有しているが、図2(b)の底面図において示すように、挿嵌部21を有し、挿嵌部21は、ガイドレール1が挿通され、ガイドレール1を周回り方向に囲周するものである。キャリアプレート2は、上述のような下降用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部22を有し、同様に、図2(c)に示すように、上昇用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部23をも有している。さらに、キャリアプレート2には、上述のインナーガイドと同様に上昇用インナーケーブルが挿通されるケーブル挿通孔24をも有している。ケーブル挿通孔24は、キャリアプレート2に設けられ、前記インナーケーブルが挿通されて前記インナーケーブルをガイドするものであれば特に限定されるものではない。ケーブル挿通孔24を前記インナーケーブルと摺接するように設け、キャリアプレート2が昇降する際にケーブル挿通孔24が前記インナーケーブルと摺動することにより、前記インナーケーブルの振動による異音の発生を抑制することができる。 【0014】 ガイドレール1は、図1に示すように柱状であり、インナーパネル等に取り付けられた際に車両の前後方向となる図1(a)の方向wに所定の幅を有し、インナーパネル等に取り付けられた際に車幅方向となる図1(b)の方向tに所定の厚さを有している。ガイドレール1は、図3に示すように、さらに内部空間13を有する中空であって、横断面が略四角形状(略長方形)であり、車両前後方向wに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した前後方向面11を有し、車両幅方向tに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在したた幅方向面12を有している。 【0015】 ここで、キャリアプレート2の挿嵌部21が、図2(b)に示すように、その内側に前後方向面11および幅方向面12とそれぞれ摺接する4つの摺接面25を有している。そのため、図1(a)上側から見たA-A断面図である図4に示すように、ガイドレール1とキャリアプレート2とが嵌合構造を形成している。上述の公知のキャリアプレートでは、ガイドレールを囲周することがないので、ガイドレールの湾曲のための複雑な捩じれによって軽量化に伴うキャリアプレートの外れの虞があり、ガイドレールがガイドレールを囲周するキャリアプレートの挿嵌部との嵌合構造を有していないためにガイドレールの捻じ曲がりの虞があるが、本発明のウインドレギュレータでは、このようなガイドレール1とキャリアプレート2との挿嵌構造を有していることから、軽量化に伴う捩れによってガイドレール1とキャリアプレート2が外れることがない。さらに、ガイドレール1が前後方向面11と幅方向面12とを有し、キャリアプレートがこれらの面と摺接する摺接面25を有していることから、ガイドレール1が捩じれた際に摺接面25が前後方向面11または幅方向面12と接し、ガイドレールに与えられた捩れ方向の力を前後方向面11または幅方向面12を介して摺接面25に受けるので、ガイドレール1がキャリアプレート2に対して相対的に回動することによる、キャリアプレート2がガイドレール1に対して摺動可能な嵌合状態から外れてしまうことを抑制することができる。また、ガイドレールが略四角形状であることにより、前後方向面11と幅方向面12との成す角が少なくとも1つ以上で直角もしくは鋭角であるため、上述のキャリアプレート2がガイドレール1に対して摺動可能な嵌合状態から外れてしまうことをさらに抑制することができる。特に、本発明のウインドレギュレータは、ガイドレール1の1対の前後方向面11が車両の前後方向の軸Xと略垂直に交わるであることにより、前後方向面とそれに摺接する摺接面25とが接触して、捩じれによる力を前後方向面11と摺接面25が受けて、ガイドレール1の剛性によりウインドレギュレータの捩じれを防止することができる。 【0016】 また、本発明のウインドレギュレータは、上述の捩じれに対抗するガイドレール1の剛性を有しているため、ガイドレール1が湾曲している場合には、幅方向面12と摺接面25との間に間隔26を有することが好ましい。ガイドレール1が湾曲している場合には、ドア側に設けられたガラスランに規制されるなどのガラスの直線的な軌跡と、キャリアプレートの湾曲した移動の軌跡とが異なるために、間隙26で生じたキャリアプレート2とガイドレール1との間にガタにより、キャリアプレート2が車幅方向に向きを変えることができるので、ガラスの軌跡とキャリアプレートの移動軌跡との差を間隙26によって吸収して、ガイドレール1が捩じれに抗する剛性を有する場合であっても、ガラスの昇降に支障をきたすことが無い。つまり、ガイドレール1とキャリアプレート2との間に間隙26を有する場合には、間隙26によって幅方向面12と摺接面25との間の遊びを有し、前後方向面11と摺接面25との間には、遊びが無いか、幅方向面12と摺接面25との間の遊びに比べて小さな遊びを有することが好ましい。前後方向面11と摺接面25との間にはキャリアプレート1とガイドレール2と摺動可能とする程度の若干の遊びがあってもよく、ドアに捩じれ生じる場合には前後方向面11と摺接面25とが接触してキャリアプレートとガイドレールとが嵌合することにより捩じれに抗し、前記の若干の遊びによりキャリアプレート1とガイドレール2とが円滑に摺動することができる。」 (イ)甲3には、以下の図示がある。 「【図1】 [図:0001439239000005.jpg] 」 「【図2】 [図:0001439239000006.jpg] 」 「【図4】 [図:0001439239000007.jpg] 」 イ 甲3発明、及び、甲3方法発明 上記アから、甲3には、以下の2発明(以下、それぞれを「甲3発明」、「甲3方法発明」という)が記載されていると認められる。 (甲3発明) 「車両の窓ガラスに連結されたキャリアプレート2の昇降を案内するガイドレール1を有し(【0012】)、 キャリアプレート2は、ガラスホルダを介する等してガラスが取り付けられ、ガイドレール1が挿通され、ガイドレール1を周回り方向に囲周する挿嵌部21を有し(【0013】)、 キャリアプレート2がガイドレール1に対して摺動可能であり(【0015】)、 キャリアプレート2は、下降用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部22を有し、上昇用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部23をも有し(【0013】)、 キャリアプレートに一端が係止された1対のインナーケーブルと、当該1対のケーブルの他端が係止されたドラムと、当該ドラムを駆動させるモータ等の駆動部とにより構成され(【0002】)、 ドラムとモータとを有する駆動部がハウジングを介して取り付けられ(【0012】)、 ガイドレール1は、横断面が略四角形状(略長方形)であり、車両前後方向wに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した前後方向面11を有し、車両幅方向tに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した幅方向面12を有する(【0014】)、 ウインドレギュレータ(【0012】)。」 (甲3方法発明) 「甲3発明に係るウインドレギュレータにおいて、ガイドレール1をキャリアプレート2に取り付ける方法。」 (4)甲4 ア 甲4記載事項 甲4には、以下の記載がなされている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両のドアの窓ガラスを昇降するワイヤ式のウインドレギュレータに関する。」 「【0027】 また、第2の壁部642の壁面642aには、ガイドレール3の平板部30が第1嵌合溝661に、第1及び第2の鍔部321,322が第2嵌合溝662a,662bに、それぞれ嵌合された状態で、第1及び第2の側板部311,312をガイドレール3の幅方向に押圧する凸部64が設けられている。凸部64には、第2の側板部312の外面に接触する押圧面64aが形成されている。 ・・・ 【0037】 ガイドレール3をドラムハウジング6に嵌合する際、まず、第1の側板部311が第1の壁部641に、第2の側板部312が第2の壁部642に対向する。次に、第2の側板部312は、凸部64の先端面64b(図5(b)参照)に接触した上で、先端面64bによって押圧面64a側に案内される。そして、第2の側板部312の外面が凸部64の突出方向の先端面である押圧面64aに当接しながら第2の側板部312が第2の突き当て部632側に押し込まれると共に、第1の側板部311が第1の突き当て部631側に押し込まれる。したがって、第2の側板部312が第2の突き当て部642側に押し込まれる際、第2の側板部312の外面と凸部64の押圧面64aとが擦れ合う。」 イ 甲4に記載された事項 前記アより、甲4には、以下の記載事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲4記載事項) 「ガイドレールをドラムハウジングに嵌合する際に、ガイドレールの側板部が壁部に対向し、側板部は対向する壁部の押圧面に当接しながら押し込まれ、側板部が押し込まれる際、側板部の外面と押圧面とが擦れ合うこと(【0037】)。」 第5 申立理由(進歩性)についての当審の判断 1 甲1を主たる証拠とする進歩性の判断 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明は「自動車用ウインドウレギュレータ1」に係る発明であり、甲1発明の「窓ガラス」は該「自動車用ウインドウレギュレータ1」により開いたり、閉じたりされるものであるから、甲1発明の「窓ガラス」は、本件発明1の「車両の窓ガラス」に相当し、甲1発明の「キャリアプレート3」は「窓ガラスの下辺を支持」するものであり、該「窓ガラス」を支持する「キャリアプレート3」が、「上下方向に沿って設けられ」た「ガイドレール2に案内されて上下方向に移動され」るものであるから、甲1発明の「ガイドレール2」は、本件発明1の「車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレール」に相当する。 (イ)上記(ア)を踏まえると、甲1発明の「キャリアプレート3」は、本件発明1の「前記窓ガラスを支持すると共に前記ガイドレールに摺動自在に取り付けられたキャリアプレート」に相当する。 (ウ)甲1発明の「自動車用ウインドウレギュレータ1」は、「閉じ用ワイヤ6のキャリアプレート3側を係合し取り付け、開き用ワイヤ7のキャリアプレート3側を係合固定」されることにより、「ドラム駆動装置5によってワイヤドラム4が駆動されると、閉じ用ワイヤ6が巻き込まれるときキャリアプレート3が上昇して窓ガラスが閉じ、開き用ワイヤ7が巻き込まれるときキャリアプレート3が下降して窓ガラスが開」くものであるから、甲1発明の「閉じ用ワイヤ6」及び「開き用ワイヤ7」は、本件発明1の「前記キャリアプレートを牽引するワイヤ」に相当する。 (エ)甲1発明の「ドラム駆動装置5によってワイヤドラム4が駆動されると、」「閉じ用ワイヤ6が巻き込まれ」、「開き用ワイヤ7が巻き込まれる」ものであるから、甲1発明の「ワイヤドラム4」は、本件発明1の「回転することにより前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う回転ドラム」に相当する。 (オ)甲1発明の「ガイドレール2」は、「上下方向に沿って設けられ」、「横断面をコ字形とし」、「底壁10と左右の立上り壁11,12を有」するものであるから、甲1発明の「ガイドレール2」の「底壁10」は、本件発明1の「ガイドレール」の「前記昇降方向に延在する平板部」に相当し、甲1発明の「左右の立上り壁11,12」は、本件発明1の「ガイドレール」の「前記平板部から立設された側板部」に相当する。 (カ)甲1発明の「キャリアプレート3には、ガイドレール2のガイド辺縁13が挿入される取付け空間18が形成され」るものの、「キャリアプレート3」の「取付け空間18」は、「ガイドレール2」の一部位である「ガイド辺縁13」が挿入されるものであるから、本件発明1の「キャリアプレート」に形成された「ガイドレールが挿入される挿入部」と対比すると、両者は「キャリアプレートには」、少なくとも「ガイドレール」の一部位が「挿入される挿入部」が形成されることで共通する。 (キ)前記(ア)~(カ)を踏まえると、甲1発明の「自動車用ウインドウレギュレータ1」は、本件発明1の「ウインドレギュレータ」に相当する。 これらを総合すると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールと、 前記窓ガラスを支持すると共に前記ガイドレールに摺動自在に取り付けられたキャリアプレートと、 前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、 回転することにより前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う回転ドラムと、を備え、 前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部から立設された側板部と、を有し、 前記キャリアプレートには、 少なくとも、前記ガイドレールの一部位が挿入される挿入部、 が形成されているウインドレギュレータ。 (相違点1) 本件発明1が、キャリアプレートに「前記挿入部の第1の内面を挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記平板部を前記挿入部にガイドする第1挿入ガイド壁と、 前記挿入部の第2の内面を前記挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記側板部を前記挿入部にガイドする第2挿入ガイド壁と、が形成されている」のに対し、 甲1発明のキャリアプレートには、「第1挿入ガイド壁」及び「第2挿入ガイド壁」が形成されていない点。 (相違点2) 本件発明1には「前記キャリアプレートには、前記ガイドレールが挿入される挿入部」が「形成されている」のに対し、 甲1発明のキャリアプレート3には、ガイドレール2のガイド辺縁13が挿入される取付け空間18が形成される点。 イ 検討・判断 相違点1について検討する。 (ア)甲1発明のキャリアプレート3に形成され、ガイドレール2が挿入される取付け空間18には、ガイドレールの取付け作業においてそれを挿入する際の位置合わせをするための構成を有しておらず、また、甲1全体を参照しても、キャリアプレートへのガイドレールの取付け作業性の向上をその課題とすることは記載されていない。 (イ)甲2には、甲2記載事項として、ドラムハウジング53の背面53b側の壁面のうち、一部には嵌合穴532aが開口する嵌合部532の上面を超える位置まで延出する部分(以下「延出部」という。)が存在し、延出部の一面は嵌合穴532a側を向き、延出部には、正面53a側に向けて突出する部分(以下「突出部」という。)が存在し、当該突出部は、延出部の上端から、嵌合部532の上面まで連続して形成されるものが記載されている。 しかしながら、甲2記載事項として、ドラムハウジングの嵌合穴532aのガイドレール2の平板部20が嵌合される部分に延出部及び突出部が形成されることは理解できるものの、甲2全体を参照しても、それらドラムハウジングの嵌合穴532aのガイドレール2の平板部20が嵌合される部分に形成された延出部及び突出部が、ガイドレールのドラムハウジングへの取付け作業においてそれを挿入する際の位置合わせをするための構成であること、また、その延出部及び突出部をキャリアプレートの構成として適用することは記載されておらず、また、甲2全体を参照しても、キャリアプレート、或いは、ドラムハウジングへのガイドレールの取付け作業性の向上をその課題とすることも記載されていない。 (ウ)そうすると、これら甲1及び甲2の記載からは、甲1発明のキャリアプレート3に形成され、ガイドレール2が挿入される取付け空間18の構成として、ウインドレギュレータにおけるキャリアプレートとは別の構成であるところの、甲2記載事項のドラムハウジングの嵌合穴532aのガイドレール2の平板部20が嵌合される部分に設けられた延出部及び突出部を適用する動機は認められないため、甲1発明に甲2記載事項を適用することは、当業者にとって容易であるとはいえない。 また、甲2の記載からは、甲2記載事項のドラムハウジングの嵌合穴532aのガイドレール2の平板部20が嵌合される部分に設けられた延出部及び突出部により得られる作用、効果が不明であることから、甲1発明に甲2記載事項を適用したとしても、キャリアプレートへのガイドレールの取付け作業性を向上させることができるとの効果は、甲1及び甲2の記載から、当業者に予想しうる程度のものではない。 ウ 申立人の主張についての見解 申立人は、申立書において、「甲1発明及び甲2発明は、技術分野が関連し、且つ課題が共通するため、当業者が甲1発明及甲2発明を組み合わせる十分な動機が存在する。したがって、当業者であれば、キャリアプレートの挿入部にガイドレールを挿入する際、取り付け作業性を向上するために、甲2発明の第1嵌合ガイド壁及び第2嵌合ガイド壁を、甲1発明の挿入部の第1の内面及び第2の内面から延出するように設けることに、容易に想到し得ると考えられる。」(申立書22頁17~22行)と主張する。 しかしながら、甲1発明と甲2記載事項とは、技術分野は関連するものの、甲1及び甲2の記載からは、共通する課題は理解できず(上記イ(ア)(イ))、当業者が甲1発明に甲2記載事項を組み合わせる動機は認めらない(上記イ(ウ))ため、申立人の主張は採用できない。 エ 申立人が提出したその余の証拠をみても、相違点1に係る本件発明1の構成は、記載も示唆もされていない。 オ よって、当業者にとって、甲1発明及び甲2に記載された技術事項、並びに、申立人が提出したその余の証拠に記載された事項に基づいて、相違点1に係る本件発明1の構成とすることはできない。 カ 小括 以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項、並びに、申立人が提出したその余の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに取付け方法の発明としての限定を加えたものであるから、上記(1)に示した本件発明1についての判断と同様の理由により、甲1方法発明及び甲2記載事項、並びに、申立人が提出したその余の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 甲3を主たる証拠とする進歩性の判断 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)甲3発明の「ガイドレール1」は「車両の窓ガラスに連結されたキャリアプレート2の昇降を案内する」するものであるから、本件発明1の「車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレール」に相当する。 (イ)甲3発明の「キャリアプレート2」は、「ガラスホルダを介する等してガラスが取り付けられ」、「ガイドレール1に対して摺動可能」であるから、本件発明1の「前記窓ガラスを支持すると共に前記ガイドレールに摺動自在に取り付けられたキャリアプレート」に相当する。 (ウ)甲3発明の「キャリアプレート2は、下降用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部22を有し、上昇用インナーケーブルの一端に設けられたケーブルエンドが取り付けられるケーブルエンド収容部23をも有」するものであり、車両の窓ガラスに連結されたキャリアプレートを下降用インナーケーブル及び上昇用インナーケーブルを牽引することにより、ガイドレールに沿って下降及び上昇させることが技術常識であるから、甲3発明の「下降用インナーケーブル」及び「上昇用インナーケーブル」は、本件発明1の「前記キャリアプレートを牽引するワイヤ」に相当する。 (エ)甲3発明の「ドラム」は、「キャリアプレートに一端が係止された1対のインナーケーブルと、当該1対のケーブルの他端が係止され」、「モータ等の駆動部」により「駆動」されるものであるから、本件発明1の「回転することにより前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う回転ドラム」に相当する。 (オ)甲3発明の「ガイドレール1」は、「横断面が略四角形状(略長方形)であり、車両前後方向wに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した前後方向面11を有し、車両幅方向tに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した幅方向面12を有」するものであるから、甲3発明の「ガイドレール1」の「車両幅方向tに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した幅方向面12」が、本件発明1の「ガイドレール」の「前記昇降方向に延在する平板部」に相当し、甲3発明の「ガイドレール1」の「車両前後方向wに面する2つの対向しガイドレールの長さ方向Lに延在した前後方向面11」が、本件発明1の「ガイドレール」の「前記平板部から立設された側板部」に相当する。 (カ)甲3発明の「キャリアプレート2」が有する「ガイドレール1が挿通され」る「挿嵌部21」は、本件発明1の「キャリアプレート」に形成される「前記ガイドレールが挿入される挿入部」に相当する。 (キ)前記(ア)~(カ)を踏まえると、甲3発明の「ウインドレギュレータ」は、本件発明1の「ウインドレギュレータ」に相当する。 これらを総合すると、本件発明1と甲3発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールと、 前記窓ガラスを支持すると共に前記ガイドレールに摺動自在に取り付けられたキャリアプレートと、 前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、 回転することにより前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う回転ドラムと、を備え、 前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部から立設された側板部と、を有し、 前記キャリアプレートには、 前記ガイドレールが挿入される挿入部と、 が形成されているウインドレギュレータ。 (相違点1´) 本件発明1が、キャリアプレートに「前記挿入部の第1の内面を挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記平板部を前記挿入部にガイドする第1挿入ガイド壁と、 前記挿入部の第2の内面を前記挿入方向手前側に延長するように前記挿入部の前記挿入方向手前側の縁から延出して形成され、前記側板部を前記挿入部にガイドする第2挿入ガイド壁と、が形成されている」のに対し、 甲3発明のキャリアプレートには、「第1挿入ガイド壁」及び「第2挿入ガイド壁」が形成されていない点。 イ 検討・判断 相違点1´について検討する。 この相違点1´は、上記1(1)アで検討した相違点1と実質的に同じものであり、その判断は、上記1(1)イに示したとおりである。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3発明及び甲2記載事項、並びに、申立人が提出したその余の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに取付け方法の発明としての限定を加えたものであるから、上記(1)に示した本件発明1についての判断と同様の理由により、甲3方法発明及び甲2記載事項、並びに、申立人が提出したその余の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1~2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700247

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