特許異議申立
2016-700945
白色反射フィルム
- 審判番号
- 2016-700945
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-560183外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月03日
- 審決日
- 2017年03月01日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】帝人フィルムソリューション株式会社
- 【権利者代理人】為山 太郎
- 【異議申立人】東レ 株式会社
- 分類
- P1651.121-Y (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5898345号発明「白色反射フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5898345号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5898345号の請求項1ないし9に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2014年8月4日(優先権主張2013年8月7日)を国際出願日とする特許出願であり、平成28年3月11日に特許の設定登録がされ、同年4月6日に本件特許の特許公報が発行されたところ、その後、その特許について、同年10月3日に、特許異議申立人東レ株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審において同年11月30日付けで取消理由を通知(以下「取消理由通知」という。)し、その指定期間内である平成29年2月6日に特許権者より意見書が提出されたものである。
第2 特許異議の申立てについて
(1)特許異議の申立ての概要
特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1ないし16号証(以下、甲第1ないし16号証をそれぞれ単に「甲1」ないし「甲16」という。)を提出し、本件特許の請求項1ないし9に係る発明が、甲1及び甲2に記載された発明又は甲2及び甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとしている。
甲1:特開2013-41021号公報
甲2:国際公開第2008/114820号
甲3:特開2012-108190号公報
甲4:国際公開第2011/105294号
甲5:特開2008-255318号公報
甲6:特開2011-75779号公報
甲7:特開平8-278415号公報
甲8:特開2008-239734号公報
甲9:クラリアント社、「クラリアント社ワックス製品のご紹介」、BU Additives BL Waxes,Formulators,Coatings&Inks、2014年8月28日、p1-p18
甲10:最新粉粒体プロセス技術集成編集委員会、「最新粉粒体プロセス技術集成<プロセス編>」、株式会社産業技術センター、昭和49年3月15日、p289-p291
甲11:粉体工学会外1名、「改訂増補粉体物性図説」、日経技術図書株式会社、昭和60年12月21日、p386-p395、p406-p407、p700
甲12:「ポリマーダイジェスト2002年1月号」、株式会社ラバーダイジェスト社、第54巻第1号、2002年1月15日、p136-p139
甲13:日比野浩外3名、再生PETボトル樹脂を利用した低コスト粉体塗料の実用化、「MACRO REVIEW 日本マクロエンジニアリング学会誌 vol.18,NO.1,NO.2(合併号) 2006 特集:ごみ・リサイクル問題」、2006年3月、p55-p59
甲14:松島誠、化成品パウダー、「粉体と工業2008年1月号」、第40巻第1号(2008)、平成20年1月1日、p44-51
甲15:甲8の図3(実施例1で得られた合成樹脂粒子の拡大顕微鏡写真)を拡大したもの
甲16:実験成績証明書(2016年9月5日、東レ株式会社高機能フィルム技術部長吉田実作成)
(2)取消理由の概要
本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記甲1ないし8、10ないし14に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
なお、上記甲9、15及び16は、本件特許の優先日前に頒布された刊行物ではないが、技術常識等を示す証拠として引用されている。
第3 当審の判断
1 本件発明
本件特許は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1ないし9に係る発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明9」といい、「本件発明1」ないし「本件発明9」を総称して「本件発明」という。)。
【請求項1】
反射層Aと、粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層Bとを有する白色反射フィルムであって、
表面層Bの反射層Aとは反対側の表面に上記粒子により形成された突起を有し、該表面における高さ5μm以上の突起個数が104~1010個/m2であり、
上記粒子は、平均粒子径が3~100μm、10%圧縮強度が0.1~15MPaの非球状粒子であり、粉砕ポリマー粒子である、白色反射フィルム。
【請求項2】
上記ポリマーがポリエステルである、請求項1に記載の白色反射フィルム。
【請求項3】
上記粒子が、アスペクト比(長径/短径)の平均が1.31以上、1.80以下であり、かつ、アスペクト比の標準偏差が0.15~0.50である非球状粒子である、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
【請求項4】
表面層B中の上記粒子の含有量が、表面層Bの質量を基準として1~70質量%である、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
【請求項5】
揮発有機溶剤量が10ppm以下である、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
【請求項6】
反射層Aがボイドを含有し、そのボイド体積率が15体積%以上、70体積%以下である、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
【請求項7】
さらにボイド体積率が0体積%以上、15体積%未満である支持層Cを有する、請求項6に記載の白色反射フィルム。
【請求項8】
請求項6に記載の白色反射フィルムの製造方法であって、表面層Bが、塗液の塗布によって形成される、製造方法。
【請求項9】
導光板を備える面光源反射板として用いられる、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
2 甲1ないし16の記載事項
(1)甲1
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲1には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射層Aとビーズ層Bとを有する白色反射フィルムであって、
反射層Aが熱可塑性樹脂組成物とボイド形成剤とからなり、ボイドを含有し、
ビーズ層Bが平均粒子径1~50μmの有機粒子と熱可塑性樹脂とからなり、該有機粒子の白色反射フィルム表面における被覆率が10~100%であり、
有機粒子の融点Tm1、ビーズ層Bを構成する熱可塑性樹脂の融点Tm2、反射層Aを構成する熱可塑性樹脂組成物の融点Tm3が下記式を満足する、
白色反射フィルム。
Tm1≧Tm2+10
|Tm1-Tm3|≦40
【請求項2】
揮発有機溶剤量が10ppm以下である、請求項1に記載の白色反射フィルム。
【請求項3】
反射層Aのボイド体積率が15体積%以上、70体積%以下である、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
【請求項4】
ビーズ層Bのボイド体積率が0体積%以上、15体積%未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
【請求項5】
ビーズ層Bが、溶融樹脂コーティング法(溶融押出樹脂コーティング法を含む)、共押出法およびラミネート法のいずれかにより積層されてなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
【請求項6】
請求項1に記載の白色反射フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂組成物とボイド形成剤とを、(Tm3)℃以上であって、かつ(Tm1)℃以上である温度で溶融し、反射層Aを形成し、
有機粒子と熱可塑性樹脂とを、(Tm2)℃以上、(Tm1)℃未満の温度で加熱して、熱可塑性樹脂を溶融し、ビーズ層Bを形成し、これらを積層する、製造方法。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、白色反射フィルムに関する。特に、液晶表示装置に用いられる白色反射フィルムに関する。」
ウ 「【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)のバックライトユニットには、液晶表示パネルの背面に光源および反射フィルムを備える直下型と、液晶表示パネルの背面に、反射板を備えた導光板を配し、かかる導光板の側面に光源を備えるエッジライト型とがある。従来、大型のLCDに用いられるバックライトユニットとしては、画面の明るさおよび画面内の明るさの均一性に優れるといった観点から、直下型(主には直下型CCFL)が主流であった。
【0003】
一方、エッジライト型は、従来ノート型PC等比較的小型のLCDによく用いられているが、導光板と反射フィルムとが直接接触している構造であるため、比較的柔らかい素材からなる導光板が反射フィルムにより傷付けられるという問題がある。この対策として、例えば特許文献1、2のように、エラストマー系のビーズを用いた傷付き防止層を備える反射シートの報告がある。さらに、ビーズの平均粒子径や埋没率を調整してビーズの脱落を抑制し、白点欠点の発生を抑制する報告がある(特許文献3)。
【0004】
そして近年、光源や導光板の発展により、エッジライト型のバックライトユニットでも明るさおよび画面内の明るさの均一性が向上し、LCDを薄くできるというメリットがあるため、比較的小型のもののみならず、大型のLCDにおいてもエッジライト型のバックライトユニットが用いられるようになってきた。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エッジライト型バックライトユニットにおいては、上述のごとく導光板と反射フィルムとが直接接触している構造であるため、輝度の面内ばらつきを抑制するために、導光板と反射フィルムとの間にギャップを有し、かかるギャップを一定に保つことが必要である。そして、反射フィルムが表面にビーズを有することにより導光板と反射フィルムとの間のギャップを一定に保つことができ、これらの貼り付きを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら本発明者は、上記特許文献1~3のごとく、バインダー樹脂、ビーズおよび有機溶剤を含んだ塗料を塗布して傷付き防止層を形成したフィルムは、製品とならないフィルムを回収して、それを自己回収原料として用いて再度新たなフィルムを製造した場合に、回収原料中に残存するビーズが、フィルム中や、特に反射層中に溶融されずに存在していると、フィルム厚み当たりのボイド個数が減ることとなり、高い反射率が得難くなり、実質的に自己回収不可能であった問題を新たに見出し、着目した。
そこで本発明は、フィルムを回収して、それを自己回収原料として用いてフィルムを製造したとしても、得られるフィルムが反射特性に優れる、回収可能な白色反射フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、回収時において、フィルム中の残留有機溶剤や、フィルムの回収工程において架橋化したビーズやバインダー樹脂の為に、ガスマーク欠点が生じたり、未溶融物等の異物が多くなったりして、製膜安定性に劣るものとなる点にも着目した。
そこで本発明は、さらに、自己回収原料を用いたとしても、得られるフィルムが製膜安定性(延伸性、製膜性ともいう。)にも優れる、回収可能な白色反射フィルムを提供することを、望ましい目的とする。」
エ 「【0026】
(有機粒子)
本発明におけるビーズ層の有機粒子としては、熱可塑性樹脂粒子であり、例えばポリエステル粒子、アクリル粒子、ポリスチレン粒子、ナイロン粒子、シリコーン粒子、ポリオレフィン粒子等が挙げられるが、特に熱安定性が高いことや、フィルムを回収して、自己回収原料として用いた際に扱い易く、得られるフィルムの反射率に優れ、またガスマークや未溶融物等の異物が生じ難いという観点から、ポリエステル粒子、ナイロン粒子が好ましく、ポリエステル粒子が特に好ましい。
【0027】
有機粒子の平均粒子径は、導光板とフィルムとの間隔を一定に保ち、これらが貼り付くことを良好に抑制できるという観点、および有機粒子の脱落抑制の観点から、1~50μmである。平均粒子計が小さすぎると、白色反射フィルムが導光板に部分的に密着してしまう可能性が高くなる傾向にあり好ましくない。このような観点から、平均粒子径は、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。他方、大きすぎる場合は、有機粒子が脱落し易くなる傾向にあり、脱落が生じるとバックライトユニットにおいては白点欠点となる。このような観点から、平均粒子径は、好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは35μm以下、最も好ましくは30μm以下である。
【0028】
有機粒子は、球状であることが好ましく、短径/長径=0.7以上の粒子が好ましい。球体に近くする事により、導光板とフィルムの間隔を一定に保ち易くなる為、輝度の均一性に優れる等有利である。このような観点から、短径/長径の比は、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。
なお、ビーズ層における有機粒子の含有量は、有機粒子の平均粒子径等を勘案した上で、後述する被覆率を満足するような範囲を選択すればよい。例えば、ビーズ層の質量を基準として、好ましくは1~50質量%、さらに好ましくは5~40質量%、特に好ましくは10~35質量%である。
【0029】
ここで、ポリエステル粒子の場合の製造方法について以下に一例を示す。
イオン性基含有ポリエステル樹脂を水分散化することによりポリエステルエマルジョンを作成し、水分散しているポリエステルのミクロ粒子を可塑化状態下に緩凝集させることにより得ることができる。凝集させる方法としては、分散粒子の表面電位を減ずる方法、あるいは分散系内に電解質を添加し、電気二重層の厚みを減ずる方法等がある。このように、ミクロ粒子を可塑化状態下にて緩凝集させた場合は、粒子が可塑化しているために複数の粒子が凝集した際に表面張力のために球形化し、より粒子径の大きな粒子へと粒子成長する。このようにして得られた粒子は実質的には球形である。」
オ 「【0030】
(被覆率)
本発明の白色反射フィルムは、その表面に有機粒子(ビーズ)を有し、かかる有機粒子が白色反射フィルム表面を被覆している態様となる。有機粒子による被覆は、後に定義する被覆率で10~100%となるように白色反射フィルム表面を被覆していることをいう。被覆率がかかる範囲にあると、導光板と反射フィルムとのギャップ維持の効果を奏することができる。被覆率が10%未満であると、ギャップを保つことができなくなることがあり、導光板と反射フィルムとの貼り付きによる密着斑(貼り付いた箇所が白く見える欠点)が発生する恐れがある。また、導光板と反射フィルム間の摩擦が増える傾向にあり、導光板にキズが付きやすくなる。被覆率は、ギャップの確保や貼り付き抑制の観点からは高い方が好ましいが、高すぎると、反射率の向上効果が低くなり、それにより表示装置においては輝度の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、被覆率は、好ましくは12%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、特に好ましくは50%以下である。被覆率は、有機粒子の大きさや含有量を調整することにより調整することができ、大きさを大きくしたり、含有量を多くしたりすると被覆率は高く調整することが可能である。
【0031】
本発明において被覆率は、フィルム面内の直交する二方向のそれぞれ長さ3mmの測定領域の合計長さ6mmの測定領域について断面観察を行い、かかる測定領域において白色反射フィルム表面を有機粒子(以下、単に「粒子」と呼称する場合がある。)が被覆している割合として定義される。
【0032】
具体的には、ミクロトームを用いて、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向とが形成する面が切断面となるように切片サンプル1を切り出し、それとは別に、切片サンプル1で無作為に選んだ一方向と直交する方向と厚み方向とが形成する面が切断面となるように切片サンプル2を切り出し、切片サンプル1の断面において有機粒子により被覆されている面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2の断面において有機粒子により被覆されている面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察し、切片サンプルの切断面内における測定領域において、粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さ(図1の符号201)を積算して、下記式で求める(図1参照)。
被覆率
=(6mm-(粒子に被覆されていない部分の積算長さ(mm)))/6mm×100(%)
【0033】
なお、切断面において粒子の最大径部分がビーズ層表面(図1の符号203)より外側に出ている場合には、粒子の最大径で覆われる部分を粒子に被覆されているとみなし(例えば図1の符号103、105)、粒子の最大径部分がビーズ層表面より内側にある場合、すなわち塗膜中に沈みこんでいる場合には、粒子のうちビーズ層表面より外に出ている部分が作るドーム状突起の最大径を粒子に被覆されているとみなす(例えば図1の符号102)。また、この際、後述する露出率を満たす粒子については被覆しているとみなし、露出率を満たさない粒子が存在していたとしても、被覆していないとみなす(例えば図1の符号101、104)。」
カ 「【0034】
(露出率)
本発明における被覆率の算出において、フィルム表面を被覆しているとして扱う粒子は、ビーズ層表面にその一部分または全部が露出しているものである。この露出は、本発明で定義する露出率で1%以上の露出率での露出をいう。このように、露出率1%未満の粒子は被覆している粒子として扱わない。なお、ここで「露出している」とは、必ずしも粒子がフィルム外側の空気に触れていることを要するものではなく、粒子がビーズ層表面において熱可塑性樹脂等の薄膜で覆われていたとしても、ビーズ層表面に対して凸状を形成しており、露出率を有する場合を「露出している」とする。
【0035】
露出率とは、例えば露出率100%は、切断面において、フィルム表面に粒子が接する形で表面に支えられている状況にあたり、露出率0%は、切断面において、フィルム表面においても粒子が完全に沈み込んでいる状態であり、露出率50%は、切断面において、粒子の半分が埋まり、残りの半分がフィルム表面外に突出している状態である。
【0036】
より正確に露出率を定義すると、露出率は、切片サンプルの切断面内における粒子の断面の中心を通りフィルムのフィルム面に垂直に向かう直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がフィルム面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される(図1参照)。
【0037】
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
【0038】
本発明においては、上記被覆率と同様に、フィルム面内の直交する二方向のそれぞれ長さ3mmの測定領域の合計長さ6mmの測定領域とした際に、かかる測定領域における粒子の露出率の平均値(平均露出率、平均値を算出する際には、露出率0%以下のものは含まない。)が5~90%であることが好ましい。かかる範囲にあると導光板とのギャップを確保することが容易となり、貼り付き抑制の向上効果が高くなる。同時に、粒子の脱落を抑制することができる。平均露出率が低すぎる場合は、ギャップの確保が困難となる傾向にあり、また貼り付きが生じやすくなる傾向にある。他方、高すぎる場合は、粒子脱落の抑制が困難となる。このような観点から、粒子の平均露出率は、好ましくは10~85%、より好ましくは15~80%、さらに好ましくは、特に好ましくは20~75%である。」
キ 「【図1】
」
ク 上記アないしキから、甲1には次の発明(引用箇所をそのまま示すため参照として段落番号等を併記する。)が記載されているものと認められる。
「反射層とビーズ層とを有する白色反射フィルムであって(【請求項1】)、
前記ビーズ層が平均粒子径1~50μmの有機粒子と熱可塑性樹脂とからなり、該有機粒子の白色反射フィルム表面における被覆率が10~100%であり(【請求項1】)、
前記有機粒子は、熱可塑性樹脂粒子であり、例えばポリエステル粒子、アクリル粒子、ポリスチレン粒子、ナイロン粒子、シリコーン粒子、ポリオレフィン粒子等が挙げられ(【0026】)、球状又は短径/長径=0.7以上の粒子であり(【0028】)、
前記ビーズ層における有機粒子の含有量は1~50質量%であり(【0028】)、前記有機粒子がビーズ層表面に対して凸状を形成し(【0034】)、有機粒子の露出率の平均値が5~90%である(【0038】)、
白色反射フィルム。」(以下「甲1発明」という。)
(2)甲2
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲2には、次の事項が記載されている。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、非晶質オレフィン系樹脂又はポリカーボネート樹脂からなる成形品への傷付きを低減する部材に関し、特に非晶質オレフィン系樹脂又はポリカーボネート樹脂からなる拡散板や導光板を用いたバックライト装置の、拡散板や導光板への傷付きを低減した光学部材に関する。」
イ 「[0017] 本発明のバックライト装置の実施の形態について説明する。
[0018] 本発明のバックライト装置の第一の実施の形態を図1に示す。
本発明の第一の実施の形態のバックライト装置は、基本的な要素として、光源13と、光源上に配置され、光源13のパターンを消すための拡散板14と、拡散板上に配置された光学部材15とを備えた直下型のバックライト装置1である。図1に示す実施の形態では、光学部材15は、特定の光学的特性を備えた部材であり、その上に、光を出射方向に向けるためのプリズムシート16が配置されている。また光源13の下には、光源13の光をバックライト装置の光出射側に反射するための反射フィルム12が配置され、光源12とともにシャーシ11に収納されている。
このバックライト装置は、光学部材15の、拡散板14と接触する面に密着を防止する特定の樹脂層が形成されていることが特徴である。
[0019] また、第二の実施の形態を図2に示す。本発明の第二の実施の形態のバックライト装置は、基本的な要素として、導光板17と、導光板17の少なくとも一端部に配置された光源13と、導光板17の光出射面上及び/又は光出射面とは反対側の面上に配置された光学部材を備えたエッジライト方式のバックライト装置2である。導光板17は、光源光を面方向に導くためのものである。図2に示す実施の形態では、導光板17の光出射面とその反対側に、それぞれ光学部材15、12が備えられている。また光学部材15の上には、光を出射方向に向けるためのプリズムシート16が配置されている。
このバックライト装置は、光学部材15、12の、それぞれ、導光板17と接触する面に密着を防止する特定の樹脂層が形成されていることが特徴である。
[0020] 図1および図2に示すバックライト装置に用いられる光源としては、冷陰極管、LED、有機・無機ELなどを使用することができ、光源の形状としては、点状、線状、U字状のものがあげられる。
[0021] また図1のバックライト装置に用いられる拡散板14および図2のバックライト装置に用いられる導光板17は、それぞれ、従来公知の材料から構成することが可能であるが、本発明は、特に非晶質オレフィン系樹脂又はポリカーボネート樹脂からなる成形品を用いたときに有効である。これらの樹脂からなる成形品は、透明性や耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などの性質が優れているが、一方で、比較的軟質であり、従来のアクリル樹脂からなる成形品よりも傷付きやすいといった特徴がある。特に、拡散板および導光板の厚みが1.0mm以下の場合には、同じ非晶質オレフィン系樹脂又はポリカーボネート樹脂で成形された成形品と比べても、より傷付きやすい傾向がある。
[0022] 第一、第二の実施の形態に用いられる光学部材としては、プリズムシート、光拡散フィルム、光反射フィルム、偏光フィルム、反射型偏光フィルム、位相差フィルム、電磁波シールドフィルムなどを使用することができ、特に限定されない。以下、光学部材として、光拡散フィルムを適用した場合を例として、実施の形態について説明する。
・・・略・・・
[0029] 光拡散フィルムの光拡散層が設けられていない面、即ち、拡散板および導光板などの成形品と接する面は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、ポリエチレン系ワックス粒子とを含む材料により樹脂層が形成されている。
・・・略・・・
[0031] 次に、ポリエチレン系ワックス粒子は、例えば、ポリエチレンワックス粒子、部分酸化ポリエチレンワックス粒子、エチレンステアリン酸ワックス粒子などを用いることができ、特に融点の高いワックスが好ましい。好ましい融点としては100~160℃の範囲であり、このような範囲とすることで、耐熱温度が高く、摩擦に強くなるため、傷付きを継続して防止することができる。またポリエチレン系ワックスは、上述した樹脂とともに樹脂層を形成したときに、その透明性や光の透過率を阻害しにくい。
[0032] 光学部材との接触による拡散板あるいは導光板の傷は、大きく分けて、(1)拡散板や導光板と樹脂層との間に入り込んだ異物による傷、(2)樹脂層との接触による傷、(3)樹脂層表面に凸部を形成する粒子との接触による傷がある。本発明の光学部材は、前述した樹脂および粒子の材料の選択に加えて、上記ポリエチレン系ワックス粒子の平均粒子径とその含有量を特定の範囲にしたことにより、全ての原因による傷に対してもその発生を低減することができる。
[0033] ポリエチレン系ワックス粒子の平均粒子径については、不定形粒子であるため、正確な粒子径を測ることは難しいが、平均粒子径が4~10μmの範囲のものを用いる。特に、5~8μmが好ましい。4μm以上とすることにより、樹脂層に埋没する粒子が少なくなり、凹凸部を形成することができるため、異物による傷付きを防止することができる。また、4μm以上とすることにより、凸部を形成することができるため、樹脂層と拡散板や導光板が接触する面積を少なくすることができ、樹脂層そのものによる傷付きを抑制することができる。さらに、ニュートンリングの発生や、樹脂層と拡散板あるいは導光板との密着を防止することができる。
[0034] 一方、平均粒子径を10μm以下とすることにより、樹脂面から突出する凸部の高さが高くなりすぎることがないため、凸部を形成する粒子による傷付きを低減することができる。また、10μm以下とすることにより、単位面積あたりの凸部の数が少ないことに起因する樹脂層そのものによる傷付きを抑制することできる。さらに、ニュートンリングの発生や、拡散板および導光板との密着を防止することができる。
[0035] ポリエチレン系ワックス粒子の含有量は、樹脂層の樹脂成分100重量部に対して0.20~0.50重量部であり、好ましくは0.30~0.40重量部である。ワックス粒子の含有量を0.20重量部以上とすることにより、ニュートンリングの発生や、拡散板および導光板との密着を防止するのに必要な単位面積あたりの凸部の数を確保できるとともに、密着により樹脂層が凝集破壊をおこし、剥がれた樹脂層が異物となって、傷を発生させてしまうことを防止することができる。また、凸部と凸部の間隔が大きくなりすぎると、樹脂層と拡散板および導光板とが接触する機会を増え、樹脂層による傷付きが発生したり、凹部に異物を捉えることができなくなり、異物による傷付きが発生したりするという不都合を生じるが、ワックス粒子を0.20重量部以上とすることにより、これら不都合を生じさせなくすることできる。一方、0.50重量部以下とすることにより、単位面積あたりの凸部の数が増えすぎず、凸部を形成する粒子による傷付きを抑制することができる。
[0036] 樹脂層の厚みは、上述した平均粒子径および含有量のポリエチレン系ワックス粒子を樹脂層に含有させるのに十分な厚みであって且つ輝度の低下を招くことがない厚みとすることが好ましい。具体的には、2.0~5.0μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2.5~4.0μmの範囲である。樹脂層の厚みを2.0μm以上とすることにより、ポリエチレン系ワックス粒子を所定量添加することで凸部を形成することができ、傷付きの防止、ニュートンリングの防止、拡散板および導光板との密着の防止を達成できる。また、2.0μm以上とすることにより、凹凸部を形成することができるため、凹部が異物を捕らえ、異物による傷付きを防止することができる。さらに、比較的粒子径の大きいポリエチレン系ワックス粒子を添加した場合にも、樹脂面から突出する凸部の高さが高くなりすぎず、凸部による傷付きを抑制できる。
[0037] 一方、樹脂層の厚みを5.0μm以下とすることにより、光拡散層への光の透過性及び光学部材としたときの輝度の低下を防止できる。さらに、ポリエチレン系ワックス粒子が樹脂層に埋まらずに凸部を形成することができ、樹脂層そのものによる傷付きを抑制することができる。また、凸部を形成することにより、ニュートンリングの発生や、拡散板および導光板との密着を防止することができる。ここで、樹脂層の厚みとは、ワックス粒子により突出していない部分の厚みを指す。
また、光拡散層と合わせた厚みを、好ましくは10~20μm、より好ましくは12~15μmの範囲とすることにより、光学部材としたときの厚みを薄くすることができる。
[0038] 以上、拡散板あるいは導光板に接触される光学部材の構成を、光拡散フィルムを例に挙げて説明したが、光拡散フィルムのみならず、プリズムシート、光反射フィルム、偏光フィルム、反射型偏光フィルム、位相差フィルム、電磁波シールドフィルムなどの光学部材についても、拡散板や導光板と接する面に上述の樹脂層を設けることで、拡散板や導光板との密着を防止し、さらに、傷付きを低減することができる。」
ウ 「実施例
[0047] 以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
[0048] 1.バックライト用光学部材(光拡散フィルム)の作製
[実施例1]
厚み188μmの透明高分子フィルム(ルミラーT60:東レ社)の一方の表面に下記組成の光拡散層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、加熱硬化させ、厚み約15μmの光拡散層を形成した。更に透明高分子フィルムの光拡散層とは反対面に下記組成の樹脂層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、加熱硬化させ、厚み約3μmの樹脂層を形成し、実施例1の光拡散フィルムを作製した。
[0049] <光拡散層用塗布液>
・アクリルポリオール 10部
(アクリディックA-807:大日本インキ化学工業社)
(固形分50%)
・ポリメチルメタクリレート真球状粒子 14部
(テクポリマーMBX-12:積水化成品工業社)
・希釈溶剤 36部
・硬化剤 2部
(タケネートD-110N:三井化学ポリウレタン社)
(固形分60%)
[0050] <樹脂層用塗布液>
・アクリルポリオール 10部
(アクリディックA-807:大日本インキ化学工業社)
(固形分50%)
・ポリエチレン系ワックス粒子 0.022部
(セリダスト3620、平均粒子径8μm:クラリアント社)
・希釈溶剤 36部
・硬化剤 2部
(タケネートD-110N:三井化学ポリウレタン社)
(固形分60%)」
エ 「[図1]
[図2]
」
オ 上記アないしエから、甲2には次の事項が記載されているものと認められる(引用箇所をそのまま示すため参照として段落番号等を併記する。)。
「非晶質オレフィン系樹脂又はポリカーボネート樹脂からなる拡散板や導光板を用いたバックライト装置の、拡散板や導光板への傷付きを低減した光学部材であって([0001])、
前記拡散板や導光板と接触する面に密着を防止する特定の樹脂層が形成され([0018]、[0019])、
前記樹脂層は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂とポリエチレン系ワックス粒子とを含む材料により形成され([0029])、
前記ポリエチレン系ワックス粒子は、不定形粒子であり、平均粒子径が4~10μmの範囲のものを用いることにより、樹脂層に凹凸部を形成することができるため、異物による傷付きを防止することができるものであり([0033])、具体的にはセリダスト3620、平均粒子径8μm:クラリアント社が用いられる([0050])、
光学部材。」(以下「甲2の記載事項」という。)
(3)甲3
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲3には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色フィルムの表面にバインダーおよび球状粒子を含有するビーズ層を有する反射フィルムであって、白色フィルム表面において球状粒子による被覆率が2~45%であり、球状粒子の平均露出率が5~80%であり、球状粒子のS10強度が5.8~23.6N/mm2である反射フィルム。
【請求項2】
ビーズ層における球状粒子の含有量が、ビーズ層の質量100質量%に対して10~50質量%である請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項3】
曲げモーメントが176mN・cm以上である請求項1または2に記載の反射フィルム。
【請求項4】
液晶表示装置用である請求項1~3のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項5】
エッジライト型バックライトユニット用である請求項4に記載の反射フィルム。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、反射フィルムに関する。特に、液晶表示装置に用いられる反射フィルムに関する。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導光板の傷つき、粒子の脱落、および導光板との貼り付きをすべて同時に抑制することができる反射フィルムを提供することができる。これらにより、液晶表示装置の反射板として用いた場合には、導光板への傷つきが抑制でき、脱落粒子による白点欠点の発生を抑制でき、貼り付きによる輝度斑発生を抑制できる。」
ウ 「【0020】
[ビーズ層]
(球状粒子)
本発明の反射フィルムは、白色フィルムの表面にバインダーと球状粒子とを含有するビーズ層を有する。なお、ここで球状粒子とは、粒子の長径/短径=1.3以下の粒子を示す。本発明における球状粒子は、無孔質であることが望ましい。無孔質であることにより、粒子が破壊してその一部が脱落するのを抑制する効果を高めることができる。また、反射率の向上効果を高くすることができる。」
(4)甲4
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲4には、次の事項が記載されている。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、液晶バックライトの輝度ムラ改善を図る白色反射フィルムに関するものである。さらに詳しくは、エッジライト方式の液晶ディスプレイ用バックライト及び看板・自動販売機などの照明用面光源等に好適に用いられる白色反射フィルムに関するものである。」
イ 「発明が解決しようとする課題
[0007] しかしながら、上記したような大型・薄型のエッジライトバックライトの開発においては、反射シートの問題点として主に下記(1)~(6)が挙げられる。
(1)背面筐体の凹凸部で反射シートが撓み、輝度ムラが発生する問題。
(2)LED光源近傍が高温化することで反射シートが撓み、輝度ムラを発生する問題。
(3)導光板と反射シートが不均一に密着し輝度ムラを発生する問題。
(4)背面筐体の成型不良により発生した局所的な凸部により反射シートが盛り上がり、導光板と強く接触した結果、導光板がキズつき、輝度ムラを発生する問題。
(5)TVの振動試験にて、導光板と反射シートが擦れ合いにより導光板にキズを付け、輝度ムラを発生する問題。
(6)凹型導光板を使用したバックライトにおいて白点ムラ(点状に明るく視認される部分)が発生する問題。
[0008] 導光板が傷ついて輝度ムラを発生するという問題については、上記した特許文献4、5に記載の反射シートもある程度効果を示す。しかしながら、それら反射シートでも、薄型化・大型化される液晶TV用途に必要とされる剛性度・凸部の最大高さ・クッション性を十分に満足することはできない。
[0009] 本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、回路等を配置する凹凸部を有する筐体に重ねて用いられたりLEDと共に用いられたりする場合であっても、撓みにくく輝度ムラを改善することができ、かつ、導光板との不均一な密着や導光板の損傷を防ぐことができる白色反射フィルムを提供せんとするものである。」
ウ 「課題を解決するための手段
[0010] 本発明は、かかる課題を解決するために、次の(1)~(7)のいずれかの手段を採用する。
(1) 次の(i)~(iii)を満たすエッジライト型バックライト用白色反射フィルム。
(i)剛性度が2~10mN・mであること。
(ii)少なくとも片側の面(A)に凸部が形成されており、該凸部の最大高さが15~60μmであること。
(iii)前記面(A)とは反対側の面(B)の側のクッション率が12%以上であること。
(2) 基材白色フィルムの少なくとも片面に球状粒子を含有した塗布層を有しており、該球状粒子の圧縮強度が0.1~2.0kgf/mm2である、前記(1)に記載のエッジライト型バックライト用白色反射フィルム。
(3) 前記球状粒子がナイロンである、前記(2)に記載のエッジライト型バックライト用白色反射フィルム。
(4) 前記ナイロンが、ナイロン12、及び/又は、ナイロン6とナイロン12の共重合体である、前記(3)記載のエッジライト型バックライト用白色反射フィルム。
(5) 前記球状粒子の比重が0.8~1.10である、前記(2)~(4)のいずれかに記載のエッジライト型バックライト用白色反射フィルム。
(6) 前記(1)~(5)のいずれかに記載のエッジライト型バックライト用白色反射フィルムと、発光ダイオードを含む光源とを備え、かつ、バックライトサイズが76.2cm(30インチ)以上である液晶ディスプレイ用バックライト。
(7) さらに、表面凹凸が10μm以上である導光板を有し、該導光板に前記面(A)の凸部が対向するように前記エッジライト型バックライト用白色反射フィルムが配置されている、前記(6)に記載の液晶ディスプレイ用バックライト。
発明の効果
[0011] 本発明によれば、白色反射フィルムの剛性度を特定の範囲にし、少なくとも一方の面(A)(使用時における反射面側、導光板に対向する側)に特定の大きさの凸部を形成し、さらに、該(A)とは反対側の面(B)の側のクッション率を特定の大きさ以上にすることで、特にエッジライト型バックライトにおいて輝度ムラを改善するのに好適な白色反射フィルムを提供することができる。本発明で得られた白色反射フィルムは、LED光源を備えたエッジライト方式のバックライト及び照明用面光源に用いた際に(特にサイズが76.2cm(30インチ)以上のバックライトに用いた際に)、これまで以上に輝度ムラを少なくすることができ、好適である。」
エ 「[0024]
・反射面側の凸部の形成方法
面(A)側に最大高さが上記範囲となるような凸部を形成する方法としては以下のような方法が挙げられる。
(i)上記(I)もしくは(III)の製法で白色反射フィルムを製造する場合、適当なバインダー樹脂と球状粒子を適当な溶媒(有機溶剤など)に混合し、該混合物を基材白色フィルムに塗布した後、乾燥することにより、凸部を形成する方法。
(ii)上記(II)もしくは(III)の製法で白色反射フィルムを製造する場合、溶融押出により白色フィルムを製造する工程にて、押し出す樹脂内に凸部となる粒子を事前に練り混み、延伸工程にて凸部を形成する方法。
(iii)上記(I)もしくは(III)の製法で白色反射フィルムを製造する場合、基材フィルムにUV硬化性樹脂を塗布した後、鋳型成型と同時あるいは次ぐ工程にてUV照射を施し、凸部を形成する方法。
(iv)上記(II)もしくは(III)の製法で白色反射フィルムを製造する場合、二成分以上のポリマー、有機物、もしくは無機物を混合し、溶融押出しした後、溶媒抽出により少なくとも一成分を溶解し、白色フィルム表層に凸部を形成する方法。
・・・略・・・
[0027]
[白色反射フィルムの好ましい態様]
上記(I)もしくは(III)の製法で本発明の白色反射フィルムを得る場合、例えば以下の構成を採用することも好ましい。
[0028]
・球状粒子の圧縮強度
基材白色フィルムの少なくとも片面に積層された塗布層中の球状粒子の圧縮強度は、エッジライト型バックライトにて輝度ムラが発生しなければ特に限定されないが、0.1~2.0kgf/mm2(0.98~19.6MPa)が好ましく、さらに好ましくは0.1~1.5kgf/mm2(0.98~14.7MPa)、最も好ましくは0.1~1.2kgf/mm2(0.98~11.8MPa)である。圧縮強度が0.1kgf/mm2(0.98MPa)未満になると、球状粒子を攪拌し塗料を作成する際の混練シェアで樹脂粒子が崩壊する恐れがあるので好ましくない。逆に、圧縮強度が2kgf/mm2(19.6MPa)を越えると、導光板の削れが発生する場合がある。
[0029] 球状粒子の圧縮強度の測定方法は、下記の通りである。
(i) 白色反射フィルムの塗布層より有機溶剤を用いてバインダー樹脂を抽出し、有機溶剤を留去した後、塗布層中の球状粒子を採取する。
(ii)島津製作所(株)製の微小圧縮試験機MCTM2000を用いて、得られた球状粒子1個に対し、一定の負荷速度で1gfの荷重をかけたときの樹脂粒子の変形量と荷重を測定し、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子半径を次式:
圧縮強度(kgf/mm2)=2.8×荷重(kgf)/{π×(粒子半径(mm))2}に算入する。
(iii)(i)(ii)を任意に採取した5サンプルについて実施し、その平均値を「球状粒子の圧縮強度」とする。
[0030] なお、バインダー樹脂を抽出するにあたって用いる有機溶剤としては、後述するような、塗布層を構成するバインダー樹脂および球状粒子と混合させる溶剤として例示したものを用いればよい。
[0031]
・球状粒子の組成
球状粒子の種類としては特に限定されるものではなく、有機系、無機系、いずれでも用いることができる。有機系球状粒子としては、アクリル系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子等を用いることができる。無機系球状粒子としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物等を用いることができる。
[0032] 中でも、塗布層のバインダー樹脂として、後述するアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物からなるバインダー樹脂を使用した場合には、バインダー樹脂と球状粒子の屈折率差の関係、粒子分散性、塗工性等から、アクリル系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子を用いることが好ましい。さらに、導光板へのキズ付け性からナイロン樹脂粒子がより好ましく、最も好ましくはナイロン12樹脂粒子及び/またはナイロン6とナイロン12の共重合体からなる樹脂粒子である。ナイロン12樹脂粒子としては、ナイロン微粒子SP500、SP10(東レ(株)製)や“ガンツパール”(登録商標)GPA550(ガンツ化成(株)製)などを使用することができる。ナイロン6とナイロン12の共重合体からなる樹脂粒子としては、SP20(東レ(株)製)を使用することができる。
・・・略・・・
[0044]
・基材白色フィルム
基材白色フィルムは、液晶ディスプレイ用バックライトや照明用途の反射フィルムとして使用する場合には可視光線反射率が高ければ高い方が良い。このため、内部に気泡及び/又は非相溶の粒子を含有するフィルム、具体的には白色熱可塑性樹脂フィルムが好ましく使用される。これらの白色熱可塑性樹脂フィルムとしては限定されるものではないが、多孔質の未延伸あるいは二軸延伸されたポリプロピレンフィルムや、多孔質の未延伸あるいは延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどの、ポリオレフィン系やポリエステル系のフィルムが好ましく用いられる。特に成形性や生産性の点からポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。」
オ 「[0093] (実施例8)
“ハルスハイブリッド”(登録商標)UV―G720T(アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、屈折率1.58、(株)日本触媒製):5.25g、酢酸エチル:3.85g、ナイロン6とナイロン12の共重合体からなる樹脂粒子(東レ株式会社製SP20、屈折率1.52、体積平均粒径40μm、変動係数29%):0.9gを攪拌しながら添加してなる塗液を準備した。300μm厚の多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)E6SQ)の片面に、メタバー#16を使用してこの塗液を塗布し、120℃、1分間の乾燥条件にて塗布層を設けた。」
カ 上記アないしオから、甲4には次の発明が記載されているものと認められる(引用箇所をそのまま示すため参照として段落番号等を併記する。)。
「下記の(i)~(iii)を満たし、反射フィルムとして利用される基材白色フィルムの少なくとも片面に、バインダー樹脂および球状粒子から構成された塗布層を有する、エッジライト型バックライト用白色反射フィルムであって([0010]、[0024]、[0030]、[0044])、
具体的には、“ハルスハイブリッド”(登録商標)UV―G720T(アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、屈折率1.58、(株)日本触媒製):5.25g、酢酸エチル:3.85g、ナイロン6とナイロン12の共重合体からなる樹脂粒子(東レ株式会社製SP20、屈折率1.52、体積平均粒径40μm、変動係数29%):0.9gを攪拌しながら添加してなる塗液を準備し、300μm厚の多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)E6SQ)の片面に、メタバー#16を使用してこの塗液を塗布し、120℃、1分間の乾燥条件にて塗布層を設けた([0032]、[0093])、
白色反射フィルム。
(i)剛性度が2~10mN・mであること。
(ii)少なくとも片側の面(A)に凸部が形成されており、該凸部の最大高さが15~60μmであること。
(iii)前記面(A)とは反対側の面(B)の側のクッション率が12%以上であること([0010])。」(以下「甲4発明」という。)
(5)甲5
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲5には、次の事項が記載されている。
ア 「【0006】
<多層構造粒子の製造方法>
中心層(L0)が球状樹脂層の場合、中心層(L0)は、一般的な乳化重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン法又は分散重合法等により得られる。
【0007】
中心層(L0)が非球状樹脂層の場合、中心層(L0)は、次の公知の方法{(1)~(5)の}等で製造される。
(1)乳化重合法及び懸濁重合法等において、連続相に増粘剤{水溶性高分子ポリマー(ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドン等)}を添加して、攪拌下で重合反応させる方法。
【0008】
(2)熱可塑性樹脂を溶媒に分散し、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に加熱して、高シェア下で攪拌・冷却することにより製造する方法。
【0009】
(3)樹脂粒子を溶媒で膨潤させ、高シェア下で溶媒を除去することにより製造する方法。
【0010】
(4)乳化重合法及び懸濁重合法等において、モノマーを架橋剤と共に共重合させて、架橋反応による体積収縮を利用して、製造する方法。
【0011】
(5)樹脂粒子を粉砕して製造する方法。」
イ 「【0042】
本発明の製造方法で得られる多層構造粒子は、ディスプレー用カラーフィルター、樹脂フィルム、コーティング材料{着色塗料、艶消し塗料、反射板・反射フィルム用塗料等}及び光拡散フィルム等に適用できる。この他に、顔料や染料としても使用できる。」
(6)甲6
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲6には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色フィルムの少なくとも片面に、樹脂層を少なくとも1層以上積層し、該樹脂層を設けた面から測定したJIS K 7105(1981年)に準じた光沢度が下記(i)、(ii)を同時に満たす白色反射フィルム。
(i) 60度光沢度が25以上であること
(ii) 60度光沢度を20度光沢度で除した値が2.5以上であること
【請求項2】
前記樹脂層に粒子を含有し、その粒子のフィルム面に垂直方向の樹脂層断面における最大粒子径が前記樹脂層の厚みよりも小さい請求項1に記載の白色反射フィルム。
【請求項3】
前記粒子の形状が不定形、扁平形、針状形である請求項1又は2に記載の白色反射フィルム。
【請求項4】
前記粒子が多孔質である請求項1~3のいずれかに記載の白色反射フィルム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の白色反射フィルムを用いて構成されている直下型方式のバックライト。」
イ 「【0032】
なお、不定形状とは、粒子がそれぞれ一定の形に定まっていないもので、個々の粒子によりその形状が異なるものを言う。例えば、結晶を二次的に粉砕したようなものはこれに該当する。不定形状である粒子の例として、富士シリシア社製サイロホービック(登録商標)が挙げられる。また、扁平状とは、特定の2次元方向に広くそれに直交する方向の粒径が小さいものを言い、針状とは、特定の1次元方向に長く、それに直交する面の径が短いものを言う。」
(7)甲7
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲7には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 透光性材料から成る導光板と、この導光板の少なくとも一側面の端部に近接して配置された線状光源と、上記導光板の出光面の裏面側に配置された反射シートとを備えた液晶パネル用バックライトにおいて、
上記反射シートの上記導光板側表面に、可視光領域の光に対する反射率が85~100%である強反射材料から成る被覆層を有することを特徴とする液晶パネル用バックライト。・・・」
イ 「【0010】上記被覆層を構成する強反射材料としては、特に限定されるものではなく、被覆層が上述の如く可視光領域の光を強く反射するようになるものであれば十分であるが、具体的には透光性樹脂と蛍光材料とを混練し、得られた混合物を粉砕することにより得ることができる。この透光性樹脂としては、透明性を有すれば十分であり、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂及びエポキシ樹脂等の種々の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を例示できるが、これらのうちアクリル樹脂を好ましく用いることができる。」
(8)甲8
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲8には、次の事項が記載されている。
ア 「【背景技術】
【0002】
近年、テレビやパソコンの表示装置として液晶表示装置が汎用されている。そして、この液晶表示装置の光を均一に拡散させるために、光拡散シートが配設されている。又、液晶表示装置の表示画面の防眩性を付与するために、偏光子の最外面上には防眩フィルムが配設されており、この防眩フィルムは、防眩性と耐摩耗性の双方を有していることが必要である。
【0003】
上記防眩フィルムは、合成樹脂フィルムの表面に球状の合成樹脂粒子を分散させてなるが、球状の合成樹脂粒子では、防眩フィルムの表面に擦れが生じると、合成樹脂フィルムの表面から容易に脱落し、その結果、防眩フィルムの透過ヘイズが増大して、液晶画面のコントラストや鮮鋭度が低下するといった問題点を有していた。
【0004】
又、防眩フィルムが可撓性を有している場合には、保管時や輸送時に防眩フィルムが巻き上げられた状態とされることが多く、このように巻き上げられると、合成樹脂フィルムの表面から合成樹脂粒子の脱落が更に生じやすくなるといった問題点を有していた。
【0005】
そこで、特許文献1には、輻射線硬化されたバインダ中に不規則形半結晶性非対称粒子を含有する層を含むことを特徴とする光学フィルムが開示されており、この光学フィルムは、不規則形半結晶性非対称粒子の脱落防止性に優れているものの、光透過性や光拡散性などの光学特性については満足のいくものではなく、特に、光拡散シートとして使用される際に改善の必要があった。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、種々の用途に幅広く用いることができ、特に光学特性に優れた合成樹脂粒子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の合成樹脂粒子は、球状の合成樹脂粒子を粉砕してなると共に、体積平均粒径が150μm以下で且つ個数分布の変動係数が45%以上であることを特徴とする。」
イ 「【0044】
(実施例1)
・・・略・・・
【0046】
次に、粉砕刃を10000rpmの回転速度で回転させているブレードミル(日清エンジニアリング社製 商品名「BM-25」)に球状の合成樹脂粒子を5kg/時間の供給速度で供給して粉砕してブレードミルから排出された合成樹脂粒子を回収し、この回収した合成樹脂粒子を再度、上記ブレードミルに同様の要領で供給して粉砕して合成樹脂粒子を得た。得られた合成樹脂粒子は、その体積平均粒径が19.8μmで且つ個数分布の変動係数が63%であった。なお、合成樹脂粒子の拡大顕微鏡写真を図3に示した。
・・・略・・・
【0053】
(実施例2)
ブレードミルの粉砕刃の回転速度を10000rpmの代わりに9000rpmとしたこと以外は実施例1と同様にして合成樹脂粒子を得た。得られた合成樹脂粒子は、その体積平均粒径が25μmで且つ個数分布の変動係数が50%であった。」
(9)甲9
取消理由通知で技術常識等を示す証拠として引用された刊行物である甲9には、甲2の実施例1で用いられている「セリダスト3620」がPE/PP、アマイドワックス、モンタンワックス、PTFE等の原料をエアージェットミルで粉末化して得られたものであることが記載されている。
(10)甲10
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲10には、次の事項が記載されている。
「27.3 粉末樹脂を扱うプロセス
27.3.1 粉末化法
・・・・最近、粉体塗料用として熱硬化性樹脂のエポキシ、ポリエステル、アクリルの微粉砕が多く用いられている。」(291頁左欄1行ないし8行)
(11)甲11
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲11には、次の事項が記載されている。
「ポリエステル粉体塗料には熱可塑性型と熱硬化型とがある。これらは固型ポリエステル樹脂に着色剤等の添加剤を配合したものを溶融練合し、これを機械的に粉砕する方法がとられている。熱可塑ポリエステルは冷凍粉砕する。」(386頁1行ないし5行)
(12)甲12
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲12には、次の事項が記載されている。
「(株)セイシン企業は、昨11月、東京ビックサイトで開催された「INCHEM TOKYO2001」で、コーティング用パウダ”SK-RPパウダー”をPRした。
同パウダはリサイクルPET粉砕品で、粉体塗料に用いられる。」(136頁最下欄)
(13)甲13
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲13には、その56頁に、再生PETを粗粉砕し、顔料を混合し、混練・押出し、結晶化処理、微粉砕して、粉体塗料として用いることが記載されている。
(14)甲14
本件発明の優先日前に頒布され取消理由通知で引用された刊行物である甲14には、次の事項が記載されている。
「2-1 廃棄PETボトルを主原料とした流動性粉体塗料:SK-RP-TypeA
<技術の概要>
・・・これにより再生PET樹脂が粉体塗料のベース樹脂に生まれ変わる。・・・当社の常温粉砕は強靱なPET樹脂を常温で微粉化できると同時に、粉砕品の粒子形状に丸みを持たせることができ、流動の良い粉末が得られる。」(46頁右欄下から7行ないし47頁右欄7行)
(15)甲15
取消理由通知で引用された甲15には、甲8の実施例で用いられている合成樹脂粒子(粉砕ポリマー粒子)の平均アスペクト比および標準偏差を算出するために、甲8の図3を拡大したものが記載されている。
(16)甲16
取消理由通知で引用された引用された甲16は、甲4の実施例8に記載の白色フィルムを実際に作製し、該白色反射フィルムの塗布層表面における高さ5μm以上の突起個数、粒子の平均粒子径、10%圧縮強度及び白色反射フィルムの揮発有機溶剤量の測定結果を示した実験成績証明書である。
3 甲1発明に基づく本件発明の進歩性について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「反射層」、「有機粒子」、「熱可塑性樹脂」及び「白色反射フィルム」は、それぞれ本件発明1の「反射層」、「粒子」、「樹脂組成物」及び「白色反射フィルム」に相当する。
イ 甲1発明の「ビーズ層」は、「有機粒子」(本件発明1の「粒子」に相当。以下、「」に続く()内に相当する本件発明1の構成要素を記す。)と「熱可塑性樹脂」(樹脂組成物)とからなる層であり、「有機粒子」が「白色反射フィルム」表面を被覆しているから、本件発明1の「粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層」に相当する。
ウ 甲1発明の「白色反射フィルム」は、「反射層」(反射層)と「ビーズ層」(表面層)とを有するから、本件発明1の「白色反射フィルム」と、「反射層と、粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層とを有する」点で一致する。
エ 甲1発明の「白色反射フィルム」は、「有機粒子」(粒子)が「ビーズ層」(表面層)表面に対して凸状を形成しており、前記凸状が「ビーズ層」の「反射層」とは反対側の表面に形成されていることは明らかであるから、甲1発明の「白色反射フィルム」と、本件発明1の「白色反射フィルム」とは、「表面層の反射層とは反対側の表面に粒子により形成された突起を有する」点で一致する。
オ 上記アないしエからみて、本件発明1と甲1発明とは、
「反射層と、粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層とを有する白色反射フィルムであって、
表面層の反射層とは反対側の表面に上記粒子により形成された突起を有する、
白色反射フィルム。」である点(以下「一致点」という。)で一致し、次の点で相違する。
・相違点1:
本件発明1では、「表面層Bの反射層Aとは反対側の表面における高さ5μm以上の突起個数が104~1010個/m2であ」るのに対し、
甲1発明では、具体的な突起個数は明らかでない点。
・相違点2:
本件発明1では、「粒子は、平均粒子径が3~100μm、10%圧縮強度が0.1~15MPaの非球状粒子であり、粉砕ポリマー粒子である」のに対し、
甲1発明では、有機粒子が、球状又は短径/長径=0.7以上の粒子である点。
(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
甲1発明は、ビーズ層表面に対して凸状(突起)を形成している平均粒子径1~50μmの有機粒子の露出率の平均値が5~90%、該有機粒子の白色反射フィルム表面における被覆率が10~100%であるところ、前記露出率の平均値及び前記平均粒子径から、有機粒子により形成された突起の平均高さを算出でき、該平均高さと前記平均粒子径と前記被覆率から、単位面積当たりのビーズ層表面の粒子による被覆面積が算出でき、該被覆面積より、突起高さが5μmに満たない粒子も含めて算出した単位面積あたりの突起個数の概数を求められるかもしれない。しかしながら、突起高さが5μmに満たない粒子も含めた突起個数を算出できても、高さ5μm以上の突起個数を算出できるわけではないから、甲1発明における高さ5μm以上の突起個数及びその密度は不明である。また、高さ5μm以上の突起個数については、甲2ないし8、10ないし14のいずれにも記載も示唆もされていない。してみると、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易になし得た事項とはいえない。
イ 上記相違点2について検討する。
(ア)甲1発明は、有機粒子が球状又は短径/長径=0.7以上の粒子であるところ、該有機粒子は真球状であるか、真球状でなくとも短径/長径=0.7以上の球状粒子である。そして、甲1には、実施例を含む全記載を参酌しても、有機粒子が非球状であることの記載はなく、さらに有機粒子が粉砕ポリマー粒子でもよいことの記載も示唆もない。
(イ)甲9(上記2(9)参照。)に照らすと、甲2の記載事項(上記2(2)オ参照。)における「セリダスト3620」は、粉砕ポリマー粒子といえる。また、粉体塗料に粉砕ポリマー粒子を含有させることは本件特許の優先日前に周知(以下「周知事項」という。例.甲5ないし8、10ないし14(上記2(5)ないし(8)、(10)ないし(14))参照。)である。
(ウ)上記(イ)のように、甲2の記載事項の「セリダスト3620」が粉砕ポリマー粒子であり、粉体塗料に粉砕ポリマー粒子を含有させることが周知であるとしても、上記(ア)のとおり、甲1発明において、球状又は短径/長径=0.7以上の粒子を非球状粒子や粉砕ポリマー粒子へ置換する必要性が見出せず、また、甲1発明に対して甲2の粉砕ポリマー粒子や周知事項を適用する動機もないから、上記相違点2に係る本件発明1の構成となすことは当業者が甲2の記載事項及び周知事項に基づいて容易になし得た事項とはいえない。
ウ 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明2ないし9について
本件発明1が、甲1発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加した本件発明2ないし9も同様に、甲1発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
4 甲4発明に基づく本件発明の進歩性について
(1)対比
本件発明1と甲4発明とを対比する。
ア 甲4発明の「基材白色フィルム」は、反射フィルムとして利用されるのであるから、本件発明1の「反射層」に相当するといえる。また、甲4発明の「凸部」及び「白色反射フィルム」は、それぞれ本件発明1の「突起」及び「白色反射フィルム」に相当する。
イ 甲4発明の「球状粒子」は、本件発明1の「粒子」と、「粒子」である点で一致する。
ウ 甲4発明の「塗布層」は、バインダー樹脂および球状粒子から構成され、「基材白色フィルム」(反射層)の少なくとも片面に配置されている。そうすると、甲4発明の「塗布層」は、本件発明1の「粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層」に相当し、甲4発明の「白色反射フィルム」と、本件発明1の「白色反射フィルム」とは、「反射層と、粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層とを有する」点で一致する。
エ 甲4の[0024](上記2(4)エ参照。)に記載の反射面側の凸部の形成方法を参酌すると、甲4発明の「凸部」(突起)が「球状粒子」(粒子)により形成されていることは技術常識からみて明らかである。そうすると、甲4発明の「白色反射フィルム」と、本件発明1の「白色反射フィルム」とは、「表面層の反射層とは反対側の表面に上記粒子により形成された突起を有する」点で一致する。
オ 上記アないしエからみて、本件発明1と甲4発明とは、
「反射層と、粒子を含有する樹脂組成物からなる表面層とを有する白色反射フィルムであって、
表面層の反射層とは反対側の表面に上記粒子により形成された突起を有する、
白色反射フィルム。」である点(以下「一致点」という。)で一致し、次の点で相違する。
・相違点3:
本件発明1では、「表面層Bの反射層Aとは反対側の表面における高さ5μm以上の突起個数が104~1010個/m2であ」るのに対し、
甲1発明では、具体的な突起個数は明らかでない点。
・相違点4:
本件発明1では、「粒子は、平均粒子径が3~100μm、10%圧縮強度が0.1~15MPaの非球状粒子であり、粉砕ポリマー粒子である」のに対し、
甲1発明では、粒子が球状粒子である点。
(2)判断
ア 上記相違点3について検討する。
塗布時の塗布液の温度等の条件が一定でなければ、同じメタバーを使用しても、形成される膜厚が一定とはならない場合もあるところ、甲4には、メタバー#16を使用して塗布する際の塗液の温度等の条件の記載がなく、甲16で作製した白色反射フィルムが、甲4に記載された条件で作製したものであるとしても、甲4の実施例8と同じ膜厚のものが作製できていたと断定することまではできない。そうすると、甲16の白色反射フィルムについて、高さ5μm以上の突起個数を測定し、上記相違点3に係る本件発明1の構成を満たしていたとしても、それをもって、甲4発明が、上記相違点3に係る本件発明1の構成を満たしているとはいえない。そして、高さ5μm以上の突起個数については、甲1ないし8、10ないし14のいずれにも記載も示唆もされていないのであるから、甲4発明において、上記相違点3に係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易になし得た事項とはいえない。
イ 上記相違点4について検討する。
(ア)甲4発明は、塗布層(表面層)に球状粒子を含むものであり、甲4には、実施例を含む全記載を参酌しても、粒子が非球状であることの記載はなく、さらに粒子が粉砕ポリマー粒子でもよいことの記載も示唆もない。
(イ)上記3(2)イ(イ)のように、甲2の記載事項の「セリダスト3620」が粉砕ポリマー粒子であり、粉体塗料に粉砕ポリマー粒子を含有させることが周知であるとしても、上記(ア)のとおり、甲4発明において、球状粒子を非球状粒子へ置換する必要性が見出せず、また、甲4発明に対して、甲2の粉砕ポリマー粒子や周知事項を適用する動機もないから、上記相違点4に係る本件発明1の構成となすことは当業者が甲2の記載事項及び周知事項に基づいて容易になし得た事項とはいえない。
ウ 仮に、甲4発明に対して甲2の粉砕ポリマー粒子を適用することが容易であるとしても、そうした場合の表面層Bの表面における高さ5μm以上の突起の密度が甲16で作製した白色反射フィルムの当該密度と同じになるとはいえない。甲16で作製した白色反射フィルムは球状粒子を用いており、球状粒子を非球状粒子に置き換えても突起の密度が変わらないという根拠はどこにもないからである。
エ 以上のとおり、本件発明1は、甲4発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明2ないし9について
本件発明1が、甲4発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加した本件発明2ないし9も同様に、甲4発明、甲2の記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし9の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700945