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特許異議申立

2016-700676

ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物

審判番号
2016-700676
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-095815外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月03日
審決日
2018年01月04日
公報発行日
2018年05月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-ZDA(C08G) / P1651.537-ZDA(C08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5864008号発明「ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5864008号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~4、7、8]、[5、6]について訂正することを認める。 特許第5864008号の請求項7及び8に係る特許を取消す。 特許第5864008号の請求項5及び6に係る特許を維持する。 特許第5864008号の請求項1ないし4に係る特許に係る特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 主な手続の経緯等 特許第5864008号(設定登録時の請求項の数は8。以下、「本件特許」という。)は、平成27年5月8日にされた特許出願に係るものであって、平成28年1月8日に設定登録された。 特許異議申立人 安田愛美(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成28年8月3日(受理日:同月4日)、本件特許の請求項1ないし8に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。 当審において、平成28年11月24日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、平成29年1月27日付け(受理日:同月30日)で、訂正請求書及び意見書を提出したので、異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年3月8日付け(受理日:同月10日)で意見書を提出した。 当審において、平成29年5月1日付けで訂正拒絶理由を通知したが、特許権者から応答はなかったので、同年7月20日付けで取消理由<決定の予告>を通知したところ、特許権者は、同年9月22日付け(受理日:同月25日)、訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正を「本件訂正請求」という。)及び意見書を提出したので、異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年10月30日付け(受理日:11月1日)で意見書を提出した。 なお、平成29年1月27日付けで提出した訂正請求書による訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1ないし6のとおりである。 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除する。 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項2を削除する。 訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項3を削除する。 訂正事項4 訂正前の特許請求の範囲の請求項4を削除する。 訂正事項5 訂正前の特許請求の範囲の請求項5に 「(工程a)ポリオール及び無機充填剤を含有する組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程、 (工程b)工程aを経た組成物に重合触媒を添加する工程、及び (工程c)工程bを経た組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程 を含む、請求項1~4のいずれかに記載のポリオール組成物を製造する方法。」 とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「(工程a)ポリオール及び無機充填剤を含有する組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程、 (工程b)工程aを経た組成物に重合触媒を添加する工程、及び (工程c)工程bを経た組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程 を含む、ポリオール、無機充填材及び重合触媒を含有し、含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されていることを特徴とする、電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物を製造する方法。」 に訂正する。 また、請求項5を引用する請求項6についても同様の訂正を行う。 訂正事項6 訂正前の請求項7に 「請求項1~4のいずれかに記載のポリオール組成物を含有する、電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物。」 とあるのを、 「ポリオール、金属水酸化物及び重合触媒を含有し、含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されていることを特徴とする、ポリオール組成物、並びにポリイソシアネートを含有し、 前記ポリオールがヒマシ油系ポリオールであり、 前記ポリオールの含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、0.5~30質量%であり、 前記金属水酸化物の含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、50~85質量%であり、且つ 前記ポリイソシアネートの含有量が、ポリオール100質量%に対して、1~50質量%である、 電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物。」 に訂正する。 また、請求項7を引用する請求項8についても同様の訂正をする。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について この訂正は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもないから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2) 訂正事項2について この訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもないから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3) 訂正事項3について この訂正は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもないから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (4) 訂正事項4について この訂正は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもないから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (5) 訂正事項5について ア この訂正は、訂正前の請求項5が、訂正前の請求項1~4を引用するものであったものを、請求項2~4を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるものであるから、まず、引用する請求項の削除により特許請求の範囲の減縮を行い、次に、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるといえる。 そして、当該訂正には、新規事項の追加はなく、しかも、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。 また、請求項6の訂正についても同様である。 イ よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (6) 訂正事項6について ア この訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項7を独立形式請求項へ改めて訂正後の請求項1とし、さらに、訂正前の請求項1を引用する請求項7では、ポリオールの種類及び含有量、無機充填材の種類及び含有量、及びポリイソシアネートの含有量を特定していないところ、これらを具体的に特定するものであるから、まず、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするとともに、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。 そして、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。 しかも、ポリオールの種類及び含有量、無機充填材の種類及び含有量、及びポリイソシアネートの含有量については、例えば願書に添付した明細書の【0021】~【0026】及び【0035】、【0036】及び【0039】、【0073】に記載がある。 また、請求項8の訂正についても同様である。 イ よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (7) 一群の請求項について 訂正前の請求項2ないし8は、全て訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件訂正請求により、訂正前の請求項1を引用する請求項5が訂正されているから、訂正事項1ないし6は、訂正前の請求項1ないし8という一群の請求項ごとに請求されたものである。 なお、特許権者からは、訂正後の請求項5、6について訂正が認められるときは、請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあった。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~4、7、8]、[5、6]について、訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、平成29年9月22日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下に記載のとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】 (工程a)ポリオール及び無機充填剤を含有する組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程、 (工程b)工程aを経た組成物に重合触媒を添加する工程、及び (工程c)工程bを経た組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程 を含む、ポリオール、無機充填材及び重合触媒を含有し、含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されていることを特徴とする、電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物を製造する方法。 【請求項6】 前記工程aにおける加温処理の温度条件が40℃~130℃であり、 前記工程cにおける加温処理の温度条件が40℃~70℃であり、且つ 前記工程a及びcにおける減圧処理の気圧条件が2.7kPa以下である、 請求項5に記載の方法。 【請求項7】 ポリオール、金属水酸化物及び重合触媒を含有し、含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されていることを特徴とする、ポリオール組成物、並びにポリイソシアネートを含有し、 前記ポリオールがヒマシ油系ポリオールであり、 前記ポリオールの含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、0.5~30質量%であり、 前記金属水酸化物の含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、50~85質量%であり、且つ 前記ポリイソシアネートの含有量が、ポリオール100質量%に対して、1~50質量%である、 電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項8】 請求項7に記載のポリウレタン樹脂組成物により樹脂封止された電気電子部品。」 第4 取消理由<決定の予告>の概要 平成29年7月20日付けで通知した取消理由<決定の予告>は、本件特許の請求項1ないし4、7、8に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである(取消理由1)というものと、本件特許の請求項1ないし4、7、8に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲5に記載された発明又は甲8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである(取消理由2)である。 甲1 : 特開2010-150476号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第1号証。) 甲5 : 特開昭55-43168号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第5号証。) 甲8 : 国際公開第2013/054659号(特許異議申立書の証拠方法である甲第8号証。) 周知技術として 甲3 : 特開平8-276440号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第3号証。) 甲4 : 特開平5-117355号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第4号証。) 甲6 : 特開平2-202909号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第6号証。) 甲7 : 特開平6-128477号公報(特許異議申立書の証拠方法である甲第7号証。) 第5 当審の判断 当審は、以下述べるように、本件特許7及び8に対する甲1に基づく上記取消理由2には理由があると判断する。 1 甲1に基づく特許法第29条第2項(進歩性)について (1) 甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 (A)ひまし油系ポリオールと、 (B)ポリブタジエンポリオールの水素添加物及びひまし油系ポリオールの水素添加物から選択される少なくとも1種の水素添加ポリオールと、 (C)ポリイソシアネートと、 (D)無機充填材と、 (E)一般式(1)で表されるリン酸エステルと、 (F)可塑剤と を含有していることを特徴とするポリウレタン樹脂組成物。 【化1】(イメージ省略) (Rは炭素数1~30の炭化水素基、mは0~20の整数、nは1~20の整数、R’はOH又は一般式(2)に示す基であり、一般式(1)及び一般式(2)において、R”はCH3又はCH2CH3であり、「/」はその左右に記載されているオキシアルキレン基がブロック付加でもランダム付加でもよいことを表している。) 【化2】(イメージ省略) 【請求項2】 前記ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、前記(D)無機充填材を30~95重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。」(特許請求の範囲の請求項1、2) イ 「本発明は、ポリウレタン樹脂組成物及びポリウレタン樹脂に関し、より詳細には、硬化後において、高温条件下における硬度変化が小さく、樹脂の溶融も起こらないことから、長期に亘って基材に十分密着し、放熱性及び耐熱性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物、及びこれを硬化させたポリウレタン樹脂に関する。 【背景技術】 従来より、電化製品等に使用される電子回路の基板においては、電子部品を湿気等から保護するために、体積抵抗値の高い難燃性の放熱性ポリウレタン樹脂組成物等からなる封止材によって基板全体を封止することが行われている(特許文献1)。しかし、電子回路の基板には、動作時に発熱する多くの電子部品が取り付けられ、近年ではLSI等に見られるように電子回路の集積化及び高機能化が為されているため、放熱量の増大とともにその発熱も局部的なものとなってきている。このように電子部品から発生する熱を効率よく除去するためには、封止材が回路基板や電子部品に長期間密着していることが必要なため、高温条件下における硬度変化が小さいことが必要である。また、封止剤として使用される放熱性ポリウレタン樹脂は、上述のように電子部品に密着した状態で使用されるため、長期に亘って放熱性及び耐熱性を維持することも必要とされる。」(段落【0001】~【0002】) ウ 「【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記従来技術に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、硬化後において、高温条件下における硬度変化が小さく、樹脂の溶融も起こらないことから、長期に亘って基材に十分密着し、放熱性及び耐熱性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物、及びこれを硬化させたポリウレタン樹脂を提供することである。」(段落【0004】) エ 「(D)無機充填材の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、30~95重量%であることが好ましく、50~95重量%であることがより好ましく、60~95重量%であることが更に好ましく、70~90重量%であることが最も好ましい。(D)無機充填材の配合量が上記範囲より多いと初期混合粘度が高くなりすぎる傾向にあり、上記範囲より少ないと十分な放熱性が得られにくくなる傾向にある。」(段落【0028】) オ 「以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明のポリウレタン樹脂組成物及びポリウレタン樹脂について詳細に説明する。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「重量部」、「重量%」をそれぞれ表している。 表1に以下の実施例及び比較例において使用する原料((E)成分を除く)を示す。(E)リン酸エステル成分については、以下のようにして合成した。 」(段落【0040】~【0042】) カ 「 (ポリウレタン樹脂組成物の製造) 表2に示す配合により、実施例1~8及び比較例1~4のポリウレタン樹脂組成物を調製した。調製に際しては、表2に示す成分のうち、(C)ポリイソシアネート成分を除く成分を、混合機(商品名:あわとり練太郎、シンキー社製)を用いて2000rpmで3分間混合した後、25℃に調整した。続いて、この混合物に25℃に調整したポリイソシアネート成分を加え、同上の混合機を用いて2000rpmで1分間混合することにより、各実施例及び各比較例のポリウレタン樹脂組成物を得た。 (ポリウレタン樹脂の製造) 次に、上記で調製したポリウレタン樹脂組成物を用いてポリウレタン樹脂の試験片を作製した。まず、ポリウレタン樹脂組成物を110×110×10mmの金型に充填し、蓋をして80℃で48時間養生した後、これを脱型してポリウレタン樹脂の試験片を得た。 【表2】 」(段落【0049】~【0051】 (2) 甲1に記載された発明 甲1には、上記(1)の摘示ア~カの記載から、実施例1のポリウレタン樹脂組成物として、以下の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。 「ひまし油D(伊藤製油製)を1.27重量部、KRASOL HLBH P3000(ポリブタジエンポリオールの水素添加物、ヨウ素価1.1g/100g、サートマー社製)を3.82重量部、水酸化アルミニウムを平均粒子径:3.2μmを40重量部と平均粒子径35μmを40重量部、リン酸エステルE-1を0.2重量部、ジウンデシルフタレートを12.94重量部、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.3重量部、硬化触媒としてジブチルチンジラウレートを0.01重量部、吸湿剤としてゼオラムA4を1重量部配合して混合機を用いて2000rpmで3分間混合したポリオール組成物にポリイソシアネート成分を0.46重量部加え、混合機を用いて2000rpmで1分間混合した電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物。」 また、「甲1発明Aに係るポリウレタン樹脂組成物により樹脂封止された電気電子部品。」(以下、「甲1発明B」という。)も記載されているといえる。 (3) 本件発明7と甲1発明Aとの対比・判断 本件発明7と甲1発明Aとを対比する。 甲1発明Aの「ひまし油D(伊藤製油製)」及び「KRASOL HLBH P3000(ポリブタジエンポリオールの水素添加物、ヨウ素価1.1g/100g、サートマー社製)」は、本件発明7の「ポリオール」に相当する。 甲1発明Aの「水酸化アルミニウム」、「ジブチルチンジラウレート」は、それぞれ本件発明7における「金属水酸化物」、「重合触媒」に相当する。 甲1発明Aのポリオールの含有量は、ポリオール組成物100質量%に対して、5.1質量%((1.27+3.82)/(1.27+3.82+40+40+0.2+12.94+0.3+0.01+1)×100)であるから、本件発明7の「0.5~30質量%」との数値範囲と重複一致する。 甲1発明Aの水酸化アルミニウム(金属水酸化物)の配合量は、ポリオール組成物100質量%に対して、80質量%((40+40)/(1.27+3.82+40+40+0.2+12.94+0.3+0.01+1)×100)であるから、本件発明7の「50~85質量%」との数値範囲と重複一致する。 甲1発明Aのポリイソシアネートの配合量は、ポリオール100質量%に対して、9.0質量%(0.46/(1.27+3.82)×100)であるから、本件発明7の「1~50質量%」との数値範囲と重複一致する。 そうすると、本件発明7と甲1発明Aとは、 「ポリオール、金属水酸化物及び重合触媒を含有するポリオール組成物、並びにポリイソシアネートを含有し、 前記ポリオールの含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、0.5~30質量%であり、 前記金属水酸化物の含有量が、ポリオール組成物100質量%に対して、50~85質量%であり、且つ、 前記ポリイソシアネートの含有量が、ポリオール100質量%に対して、1~50質量%である、 電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物。」の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点1> ポリオール樹脂組成物に関して、本件発明7は、「含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されている」と特定するのに対して、甲1発明Aは、このような特定はない点。 <相違点2> ポリオールに関し、本件発明7は、「ヒマシ油系ポリオール」と特定するのに対し、甲1発明Aは、「ひまし油D(伊藤製油製)」及び「KRASOL HLBH P3000(ポリブタジエンポリオールの水素添加物、ヨウ素価1.1g/100g、サートマー社製)」である点。 以下、相違点について検討する。 相違点1について 甲1発明Aと同じ技術分野である電気絶縁用のポリウレタン樹脂組成物において、その原料として、脱水処理を行ったポリオール成分を使用することは周知慣用な技術(要すれば、特許異議申立書に添付された甲6ないし甲8における実施例参照のこと)であったといえる。 また、特許異議申立書に添付された甲3の段落【0001】~【0004】の記載から、水分による気泡の問題から、電子複写機のローラのポリウレタン樹脂に用いるポリオール中の水分率を200ppm(当審注:0.02%)以下に規制する必要があるとされていること、特許異議申立書に添付された甲4の特許請求の範囲、段落【0001】、【0003】、【0005】の記載から、反応射出成形に利用するポリウレタン樹脂に用いるポリオール組成物として、水分による成形不良の対応として、全水分含有率が0.05重量%以下のものを用いることが必要とされていたことが理解でき、これらを総合すると、水分により発泡しやすいポリウレタン樹脂原料を発泡させずに成形するに際しては、発泡の原因となるポリオール組成物中の水を極力除去して用いることが当業者の技術常識であったといえる。 そして、甲1発明Aは、ポリオール組成物に「吸湿剤としてゼオラムA4を1配合」した上に2000rpmで3分間混合していて、水酸化アルミニウムを本件発明7で特定する多量に配合していても電気電子部品として利用できるのであって、この観点で検討しても、甲1発明Aのポリオール組成物は、含水率が0.2%以下に調整されている蓋然性が高いといえる。 また、甲1発明AにおけるゼオラムA4は吸湿剤であって、甲1の詳細な説明の段落【0002】及び【0037】の記載からみると、電子部品を湿気から守るために配合されているとみるのが自然である。そうすると、配合されるポリウレタン樹脂組成物中に水分が存在すると、電子部品となった時にゼオラムA4の吸湿性が失われてしまうことになるから、ゼオラムA4が配合されるポリウレタン樹脂組成物中の水分量は当然に少ないものが用いられているといえる。してみれば、この観点でみても、含水率が0.2%以下に調整されている蓋然性が高いといえる。 以上のことから、たとえ、両者において、含水率の調整手段が相違するとしても、ポリウレタン樹脂組成物という「物」の発明の対比において、相違点1は実質上の相違点ではない。 仮に、相違点1が実質上の相違点であったとしても、上記技術常識がある当業者は、ポリウレタン成形品を発泡させないようにするために、用いるポリオール組成物中の水を極力除去すべく、周知の加温処理や減圧処理により甲1発明Aにおいてポリオール組成物の含水率を0.2%以下に調整することは適宜行い得たことであって、それによる効果も当業者の予測の範囲内のものである。 相違点2について 甲1のポリオールについての特許請求の範囲、段落【0010】ないし【0013】の記載及び具体的な実施例の記載を見れば、(B)成分において、「ポリブタンジエンポリオールの水素添加物」と「ひまし油系ポリオールの水素添加物」はどちらかを用いればよいものとして記載され、実施例においてもどちらかを用いたものが記載されている。 そうすると、甲1発明Aにおける「KRASOL HLBH P3000(ポリブタジエンポリオールの水素添加物、ヨウ素価1.1g/100g、サートマー社製)」に代えて、同等に置換できるとされた「ひまし油系ポリオールの水素添加物」とすることは当業者が想到容易であり、その場合には、「ひまし油」と「ひまし油系ポリオールの水素添加物」とを併用するものとなり、本件明細書の段落【0022】及び【0023】によれば、本件発明7における「ヒマシ油系ポリオール」となる。 そして、そのことによる効果について検討しても、格別のものがあるとは認められない。 そうすると、本件発明7は、甲1発明Aから当業者が容易に想到し得た発明である。 (4) 特許権者の平成29年9月22日付け(受理日:同月25日)意見書の主張について 平成29年9月22日付け(受理日:同月25日)意見書において、特許権者は以下の主張(主張A~D)を行っている。 主張A 甲6~8には、ポリオールの脱水を行うことは記載されていますが、ポリオールにさらに無機充填材を及び重合触媒が配合された甲1の「ポリオール組成物」の脱水を行うことの必要性については記載も示唆もされていません。そうしてみますと、当業者であれば、甲6~8を参照して、ポリオールのみを脱水処理するという発想には至ったとしても、ポリオールにさらに金属水酸化物及び重合触媒が配合された甲1の「ポリオール組成物」を脱水処理するという発想には至らず、脱水処理したポリオールに金属水酸化物及び重合触媒を配合することにより、ポリオール組成物を得るはずです。 ただ、金属水酸化物は、水分を吸着し易い物質であり、元々多くの水分が含まれています。また、水分を吸着し易いが故に、金属水酸化物及び重合触媒を配合する際に、空気中の水分の混入は避けられません。さらに、訂正後の請求項7に規定されるポリウレタン樹脂組成物が含有する「ポリオール組成物」には、金属水酸化物が多量に(ポリオール組成物100質量%に対して50~85質量%)含まれています。 そうしてみますと、甲1において、仮に脱水処理したポリオールに金属水酸化物及び重合触媒を配合したとしても、含水率が0.2%以下に調整されたポリオール組成物は得られないと思料いたします。 なお、甲1に記載された発明においては、吸湿剤が既に配合されていますので、当業者であれば甲1において水分の問題は既に解決されていると認識するはずです。したがいまして、甲1においては、そもそもポリオールやポリオール組成物の含水率を脱水処理により調整しようという動機はありません。 主張B 甲3にも、甲6~8と同様に、ポリオールの脱水を行うことは記載されていますが、ポリオールにさらに無機充填材を及び重合触媒が配合された甲1の「ポリオール組成物」の脱水を行うことの必要性については記載も示唆もされていません。そうしてみますと、当業者であれば、甲3を参照して、ポリオールのみを脱水処理するという発想には至ったとしても、甲1のポリオール組成物」の脱水を行うことが必要という発想には至らず、脱水処理したポリオールに金属水酸化物及び重合触媒を配合することにより、ポリオール組成物を得るはずです。 ただ、金属水酸化物は、水分を吸着し易い物質であり、元々多くの水分が含まれています。また、水分を吸着し易いが故に、金属水酸化物及び重合触媒を配合する際に、空気中の水分の混入は避けられません。さらに、訂正後の請求項7に規定されるポリウレタン樹脂組成物が含有する「ポリオール組成物」には、金属水酸化物が多量に(ポリオール組成物100質量%に対して50~85質量%)含まれています。 そうしてみますと、甲1において、仮に脱水処理したポリオールに金属水酸化物及び重合触媒を配合したとしても、含水率が0.2%以下に調整されたポリオール組成物は得られないと思料いたします。 なお、甲1に記載された発明においては、吸湿剤が既に配合されていますので、当業者であれば甲1において水分の問題は既に解決されていると認識するはずです。したがいまして、甲1においては、そもそもポリオールやポリオール組成物の含水率を脱水処理により調整しようという動機はありません。 主張C 甲4においては、ポリオール組成物の利用対象が自動車のバンパ、フェイシア、サイドモール等のように強度が重要な対象であるところ、強度の観点から、ポリオール組成物中の水分が問題となる旨記載されていて、一方、甲1のポリオール組成物は、電子回路の基板の封止材の形成に用いるものです。したがって、甲1においては、強度の問題がある訳ではなく、或いは仮に強度の問題があったとしても自動車のバンパ等の強度の問題とは全く異なる性質の問題といえます。そうしてみますと、自動車のパンパ等の成形に用いられる反応射出成形用ポリオール組成物における強度問題への対応として含水率を低下させることの教示があったとしても、当業者であれば、そもそも自動車のバンパとは大きさも求められる性質も全く異なる電子回路基板封止用ポリオール組成物において、自動車のバンパに用いる際と同様の問題があると認識して、含水率を低下させようとはしないはずです。 そもそも、甲4は「反応射出成形用」という特定用途のポリオール組成物に関する文献です。反応射出成形は成形プラスチック製品を作るための方法であり、電気電子部品の封止に使用され得ない方法です。また、反応射出成形法は、急速に硬化させる方法であるので、この観点からも、微細な凹凸が多い電気電子部品の封止には使用できない方法であるといえます。さらに、反応射出成形は、樹脂として通常は硬質の樹脂を用いるところ、このような硬質樹脂は電気電子部品の封止に用いた場合には耐ヒートサイクル性に問題が生じるため、この観点からも、電気電子部品の封止には使用できない方法であるといえます。 甲1と甲4とでは、用途が全く異なり、必然的に求められる性質等も全く異なる関係にあるといえます。したがいまして、自動車のバンパ等の成形に用いられる反応射出成形用ポリオール組成物における強度問題への対応として含水率を低下させることの教示が甲4にあったとしても、当業者であれば、そもそも自動車のバンパ等とは大きさも求められる性質も全く異なる甲1の電子回路基板封止用ポリオール組成物において、自動車のバンパに用いる際と同様の問題があるとは認識せず、含水率を低下させようとはしないはずです。 なお、甲1に記載された発明においては、吸湿剤が既に配合されていますので、当業者であれば甲1において水分の問題は既に解決されていると認識するはずです。したがいまして、甲1においては、そもそもポリオールやポリオール組成物の含水率を脱水処理により調整しようとする動機がありません。 主張D 甲1において、吸湿剤の添加により、仮に含水率が0.2%以下になったとしても、得られたポリオール組成物は、含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されている訂正後の請求項7中で規定されるポリオール組成物とは、物として相違しています。 以下、上記主張について検討する。 主張A及びBについて 本件発明7は、ポリウレタン樹脂組成物及び電気電子部品という「物」の発明であって、主張A及びBでの「ポリオールにさらに無機充填材を及び重合触媒が配合された甲1の『ポリオール組成物』の脱水を行うこと」は、本件発明7では発明特定事項として特定されていないから、この点に関する主張は、請求項の記載に基づかない主張であって、採用できない。 主張A及びBにおける「脱水処理したポリオールに金属水酸化物及び重合触媒を配合したとしても、含水率が0.2%以下に調整されたポリオール組成物は得られない」との主張に関しては、確かに、金属水酸化物が吸水性が高いものであったとしても、上記(3)の相違点1において指摘したポリオール組成物に関する技術常識を有する当業者は、水分付着の少ない水酸化アルミニウム(金属水酸化物)は市販されていることからも(例えば、日本軽金属株式会社の標準水酸化アルミニウムであるSB93(付着水分0.01%)や高充填水酸化アルミニウムであるBF083(付着水分0.1%)、昭和電工(株)のハイジライトH-31(付着水分0.08%)等)、そのような水分付着の少ない水酸化アルミニウム(金属水酸化物)を配合する手段をとるのが自然であるから、請求人の主張は失当であって、採用できない。 主張A及びBにおける「甲1に記載された発明においては、吸湿剤が既に配合されていますので、当業者であれば甲1において水分の問題は既に解決されていると認識する」との主張に関しては、甲1の「電子部品を湿気等から保護するために」(段落【0002】)の記載及び甲1において具体的に例示されている吸湿剤である「ゼオライト、水硬性アルミナ、塩化カルシウム」(段落【0037】)がポリウレタン樹脂組成物が硬化された後の成形品となった時に、吸湿作用を行うものとして用いられているものであり、さらに、甲1の詳細な説明の記載のどの部分にもポリオールの脱水についての言及はないことから、当該吸湿剤は、電子部品を湿気から守るために配合されているとみるのが自然であって、ポリウレタン樹脂組成物の硬化後に作用するものといえる。そうすると、請求人の前記主張は失当であるし、かえって、硬化後に吸湿作用を奏するためには硬化前に吸湿剤が吸湿してしまってはならないものといえるから、脱水を行う動機があるということもできる。 主張Cについて 甲4における問題点として提示されているのは下記の4点である。 (1)無機充填剤は、一般に吸湿性が高く、チタン酸カリウムウイスカ等も例外ではない。かかる無機充填剤をポリオ-ル中に混合した場合、該組成物中に水分が取り込まれることになる。その結果、RIM法における所定のNCO/OH当量比(以下、NCOインデックスと記す)が変化し、正規の反応が行なわれなくなり、適正な樹脂強度が得られず、脱型時に成形品が破損するなどの不具合が発生する。 (2)ポリオ-ル組成物中の全水分含有量が増大すると、実際のNCOインデックスは低下することになり、かかる状態で製造された成形品に塗装を施した場合、塗膜が黄変するという問題がある。 (3)ポリオ-ル組成物中の水分は、別途添加される錫化合物等の触媒の活性を低下させ、原料の経時安定性を低下させることになり、樹脂強度等の成形品の品質に悪影響を及ぼす。 (4)ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩は、ポリオ-ル組成物中において、脂肪族アミン等の相溶化剤と組み合わせることにより溶解しているが、この溶解していることが内部離型剤としての効果に必須であり、固体で存在していても離型効果は得られない。すなわち、かかる高級脂肪酸金属塩の溶解安定性はポリオ-ル組成物の性能上重要な因子であるが、ポリオ-ル組成物中の水分はこの溶解安定性を阻害し、成形品の成形性を悪化させ、ひいては成形品の品質をも損ねるという問題がある。 これらは、ポリオール組成物中の水分が、脱型時に成形品の破損、塗膜の黄変、原料の経時安定性の低下、樹脂強度等の成形品の品質低下、成形品の成形性の悪化、成形品の品質低下の原因となることが記載されており、上記(1)ないし(4)は「自動車のバンパ、フェイシア、サイドモール等」の特定用途に限定される問題ではないから、請求人の特定用途に基づく主張は失当であって採用できない。 また、反応射出成形で電気電子部品を製造することは周知(特開2002-128874号公報の【0001】~【0008】)であるから、甲4が反応射成形用の樹脂であるから電子部品封止用のポリオールには適用できないとの請求人の主張は失当であって採用できない。加えて、吸湿剤に関する主張は、上記主張A及びBで検討のとおり失当であって採用できない。 主張Dについて 訂正後の請求項7の「含水率が加温処理及び/又は減圧処理により0.2%以下に調整されている」ポリオール組成物の記載は、ポリオール組成物の含水率を本件明細書の段落【0050】に記載の含水率の測定方法で測定したときの含水率が0.2%以下であるポリオール組成物として明確に理解でき、上記(3)の相違点1で検討したとおり、甲1発明との間で実質上の相違点でないか、実質上の相違点であったとしても当業者が容易に想到し得たものであるから、請求人の主張は失当であって採用できない。 (5) 本件発明8と甲1発明Bとの対比・判断 本件発明8と甲1発明Bとを対比すると、上記(3)のとおり、上記相違点1及び2で相違し、その余の点で一致している。そして、相違点についての判断は、上記(3)での検討のとおりであって、本件発明8は、甲1発明Bから当業者が容易に想到し得た発明である。 (6) まとめ 本件発明7及び8は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 以上のとおりであるから、本件発明7及び8についての甲1に基づく取消理由2には理由がある。 第6 当審からの取消理由に採用しなかった特許異議申立てに記載の取消理由について 1 異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明5及び6について、新規性及び進歩性の取消理由がある旨主張しているが、特許異議申立書に添付されたいずれの証拠にも「(工程a)ポリオール及び無機充填剤を含有する組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程、(工程b)工程aを経た組成物に重合触媒を添加する工程、及び(工程c)工程bを経た組成物を加温処理及び/又は減圧処理して、該組成物の含水率を低下させる工程を含む」電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物を製造する方法は記載されておらず、一度、加温処理及び/又は減圧処理して、組成物の含水率を低下させる工程を行っている組成物について、工程bを経た後に加温処理及び/又は減圧処理を再度行う動機がなく、示唆もないから、異議申立人が提示した証拠からは、本件発明5及び6について、新規性及び進歩性の取消理由があるということはできない。 2 異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明1ないし8は、NCO/OH比(1.0)のみ実施例として公開されているが、ウレタンの耐久性等において、NCO/OH比によって大きく影響を受けることは周知技術であるから、サポート要件を満足しない旨主張する。 しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、当業者は、本件発明5及び6の電気電子部品封止用ポリウレタン樹脂組成物製造用ポリオール組成物を製造する方法を行うことで、「無機充填材を含んでいながらも発泡がより抑制されたポリウレタン樹脂組成物が提供」されること、及び、「熱伝導性に優れ、また硬化の安定性にも優れた(硬化速度が適度である、発泡や硬化不良が起こりにくい、硬化速度の変化が少ない)ポリウレタン樹脂組成物を提供」されることが理解できるから、本件発明5及び6に係るサポート要件の取消理由はない。 なお、請求人は、「NCO/OH比」と本件発明の解決しようとする課題である「無機充填剤を含んでいながらも発泡がより抑制されたポリウレタン樹脂組成物を提供すること」及び「熱伝導性に優れ、また硬化の安定性にも優れた(硬化速度が適度である、発泡や硬化不良が起こりにくい、硬化速度の変化が少ない)ポリウレタン樹脂組成物を提供すること」(本件特許明細書の段落【0007】)とが密接に関係するものであることを裏付ける証拠を伴って主張するものではないし、そのことが技術常識であるともいえないから、請求人の主張は失当であって、採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本件発明7及び8は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 また、特許異議申立書に記載の取消理由によっては、本件特許の請求項5及び6に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に本件特許の請求項5及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 加えて、本件訂正請求により、本件特許の請求項1ないし4は削除されたから、請求項1ないし4に係る特許に係る特許異議の申立てを却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700676

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