特許異議申立
2016-700356
無人ヘリコプタ
- 審判番号
- 2016-700356
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-137406
- 登録番号
- 特許第5801851号(P5801851)
- 請求日
- 2016年04月26日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ヤマハ発動機株式会社
- 【権利者代理人】辰巳 忠宏
- 【異議申立人】古川 律子
- 審判長/審判官
- 審判長 島田 信一
- 審判官 一ノ瀬 覚
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P1652.121-YAA(B64C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5801851号発明「無人ヘリコプタ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5801851号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、7〕について訂正することを認める。
特許第5801851号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5801851号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成25年6月28日に特許出願され、平成27年9月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1及び2に係る特許について、特許異議申立人古川律子(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年6月27日付けで取消理由が通知され、平成28年8月30日に特許権者から意見書が提出され、平成28年9月23日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、28年11月28日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)があり、その本件訂正請求に対して平成29年1月11日に異議申立人から意見書が提出され、同年3月16日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年4月21日に特許権者から意見書が提出されたものである。
第2 本件訂正請求
本件訂正請求の趣旨は、特許第5801851号の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、7について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正後の変更部分を示す。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え」と記載されているのを、「前記シャフトユニットに設けられかつゴム系材料からなる弾性体とを備え」に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記ベアリングの外周に設けられかつ前記テールボディに支持されるハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む、請求項1に記載の無人ヘリコプタ。」と記載されているのを、「駆動源と、テールロータと、前記駆動源からの動力を前記テールロータに伝達するためのシャフトユニットと、前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、前記シャフトユニットは、ドライブシャフトと、前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッションと、前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部とを含み、前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される、無人ヘリコプタであって、内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディと、前記ベアリングの外周に設けられ、前記テールボディに支持されかつ環状に形成されるハウジングとをさらに含み、前記ハウジングは、前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む、無人ヘリコプタ。」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0007】に「前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え」と記載されているのを、「前記シャフトユニットに設けられかつゴム系材料からなる弾性体とを備え」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0009】に「請求項2に記載の無人ヘリコプタは、請求項1に記載の無人ヘリコプタにおいて、内輪を有さず、ドライブシャフトに直接接触するようにドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、ドライブシャフトを覆いかつベアリングを介してドライブシャフトを支持するテールボディとをさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、「請求項2に記載の無人ヘリコプタは、駆動源と、テールロータと、前記駆動源からの動力を前記テールロータに伝達するためのシャフトユニットと、前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、前記シャフトユニットは、ドライブシャフトと、前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッションと、前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部とを含み、前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される、無人ヘリコプタであって、内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディと、前記ベアリングの外周に設けられ、前記テールボディに支持されかつ環状に形成されるハウジングとをさらに含み、前記ハウジングは、前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含むことを特徴とする。」に訂正する。
第3 訂正の適否についての判断
1 訂正の目的
訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
訂正事項3及び4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
2 新規事項
訂正事項1~4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1~4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 拡張・変更の存否
訂正事項1は、「弾性体」という発明特定事項に「ゴム系材料からなる」との限定を付すものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項2は、「ハウジング」という発明特定事項に「環状に形成される」及び「前記ベアリングよりも径方向外側において」との限定を付すものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項3及び4は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るため、明細書の記載を訂正するものであるから、訂正事項1及び2と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 一群の請求項
訂正事項1~4の訂正は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合するものである。
5 独立特許要件
本件においては、訂正前の請求項1及び2について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1及び訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項で規定される独立特許要件は課されない。
一方、特許異議の申立てがされていない訂正前の請求項7に係る訂正事項1及び訂正事項2に関しては、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項で規定される独立特許要件が課される。
しかしながら、「第4 3」で後述するように、訂正後の請求項1及び2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、同様に訂正後の請求項1または2を引用する請求項7に係る発明も特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。また、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
したがって、訂正後の請求項7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
6 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項の規定に適合するので、本件訂正請求による訂正を認める。
第4 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
特許第5801851号の請求項1~7に係る特許は、それぞれ、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、特許異議の申立てがされた請求項1及び2に係る特許発明(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
駆動源と、
テールロータと、
前記駆動源からの動力を前記テールロータに伝達するためのシャフトユニットと、
前記シャフトユニットに設けられかつゴム系材料からなる弾性体とを備え、
前記シャフトユニットは、ドライブシャフトと、前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッションと、前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部とを含み、
前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される、無人ヘリコプタであって、
内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、
前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディとをさらに備える、無人ヘリコプタ。
【請求項2】
駆動源と、
テールロータと、
前記駆動源からの動力を前記テールロータに伝達するためのシャフトユニットと、
前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、
前記シャフトユニットは、ドライブシャフトと、前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッションと、前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部とを含み、
前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される、無人ヘリコプタであって、
内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、
前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディと、
前記ベアリングの外周に設けられ、前記テールボディに支持されかつ環状に形成されるハウジングとをさらに含み、
前記ハウジングは、前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む、無人ヘリコプタ。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して平成28年9月23日付けで通知した取消理由(決定の予告)(以下「取消理由」という。)の概要は、次のとおりである。
本件特許の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明、刊行物に記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 取消理由についての判断
(1)刊行物の記載事項、認定事項及び引用発明
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平10-16895号公報(異議申立人が提出した甲第1号証。以下「刊行物」という。)には、「無人ヘリコプターのテールロータ駆動装置」に関して、図面とともに以下の事項(以下「記載事項(ア)」等という。)が記載されている。なお、下線は当審で付与した。以下同様。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無人ヘリコプターのテールロータ駆動装置に関し、特にテールロータ駆動装置の振動を防止できるようにした無人ヘリコプターのテールロータ駆動装置に関する。」
(イ)「【0005】又、例えば図4に示すように、メーンシャフト201からこれの回転軸と直交する方向の出力軸202aに回転を取り出せるようにしたパワーテークアウト用のギヤーボックス202を設け、このギヤーボックス202の出力軸202aにスプリングジョイントなどの可撓ジョンイト203を介してテールシャフト204を連結し、更に、テールボデー205の後端に支持させたギャボックス206を介してこのテールシャフト204にテールロータ207を連動させる伝動機構もある。
【0006】なお、図3及び図4においてEはエンジン、Vは水平ベルト伝動機構でを示している。」
(合議体注;段落【0005】の「ギャボックス206」は「ギヤボックス206」の誤記と認められるので、以下では、「ギヤボックス206」として扱う。)
以上の記載事項に加えて次の事項(以下「認定事項(ウ)」等という。)が認定できる。
(ウ)記載事項(イ)(段落【0005】)には、「例えば図4に示すように、パワーテークアウト用のギヤーボックス202を設け・・・ギヤーボックス202の出力軸202aにスプリングジョイントなどの可撓ジョンイト203を介してテールシャフト204を連結し・・・ギヤボックス206を介してこのテールシャフト204にテールロータ207を連動させる伝動機構もある。」と記載されており、併せて図4を参照すると、伝動機構は、テールシャフト204とパワーテークアウト用のギヤーボックス202とギヤボックス206とを含み、エンジンEからの動力をテールロータ207に伝達するものであり、スプリングジョイント203は、ギヤーボックス202の出力軸202aとテールシャフト204との間において、伝動機構に設けられているものと認められる。
(エ)記載事項(イ)(段落【0006】)の「図4においてEはエンジン、Vは水平ベルト伝動機構」との記載及び図4を参照すると、パワーテークアウト用のギヤーボックス202は水平ベルト伝動機構Vを介してエンジンEに連結されているものと認められる。
(オ)通常、テールボデーとはテールシャフトを覆うものを指すことが技術常識であり、併せて図4を参照すると、テールボデー205はテールシャフト204を覆っているものと認められる。
これらの記載事項(ア)、(イ)、認定事項(ウ)~(オ)及び図面内容を総合すると、刊行物には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「エンジンEと、
テールロータ207と、
前記エンジンEからの動力を前記テールロータ207に伝達するための伝動機構と、
前記伝動機構に設けられるスプリングジョイントなどの可撓ジョイント203とを備え、
前記伝動機構は、テールシャフト204と、水平ベルト伝動機構Vを介してエンジンEに連結され、かつ、前記テールシャフト204がその出力軸202aに連結されるパワーテークアウト用のギヤーボックス202と、前記テールシャフト204に前記テールロータ207を連動させるギヤボックス206とを含み、
前記スプリングジョイントなどの可撓ジョイント203は、前記ギヤーボックス202の出力軸202aと前記テールシャフト204との間において、前記伝動機構に設けられる、無人ヘリコプタであって、
前記テールシャフト204を覆うテールボデー205を備える、無人ヘリコプター。」
イ また、刊行物には、「無人ヘリコプターのテールロータ駆動装置」に関して、図面とともに以下の事項(以下「記載事項(カ)等という。)が記載されている。
(カ)「【0013】前記テールボデー5は、例えばグラスファイバーからなる先細りのテーパ筒状に形成された胴体5aと、その前端と後端とに設けた端壁5b,5c、これら前端壁5bと後端壁5cと連結する連結パイプ5dと、胴体5a内の中間部に設けた補強板5eと、胴体5aの機体への取付強度を高めるための取付板5fとを備えている。」
(キ)「【0016】このように、テールボデー5の前後両端壁5b,5cをに連結パイプ5dで連結することによりテールボデー5の剛性が著しく高められ、又、胴体5aの中間部に補強板5eを設け、この補強板5eを介して胴体5aと連結パイプ5dとを結合することによりテールボデー5の剛性は一層高められることになる。」
(ク)「【0018】さて、前記連結パイプ5d内にはその軸心方向に適当な間隔を置いて複数のベアリング8が配置され、これらのベアリング8を介して前記伝動機構7のテールシャフト71が連結パイプ5dに回転自在に支持される。」(合議体注;「ベアリング8」は「ベアリング10」の誤記と認められるので、以下では、「ベアリング10」として扱う。)
(ケ)「【0024】又、前記テールボデー5が前端壁5bと、後端壁5cと、これら前後両端壁5b,5cを連結する連結パイプ5dと、補強板5eとを備えるので、テールボデー5の剛性が高くなる上、前記テールシャフト71が複数のベアリング10を介してこの剛性の高いテールボデー5の連結パイプ5dに支持されるので、テールシャフト71の振動を完全に無くすことができる。」
(2)本件特許発明1との対比
ア 本件特許発明1と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、引用発明の「エンジンE」は本件特許発明1の「駆動源」に相当し、以下同様に、「テールロータ207」は「テールロータ」に、「テールシャフト204」は「ドライブシャフト」に、「テールボデー205」は「テールボディ」に、「無人ヘリコプター」は「無人ヘリコプタ」にそれぞれ相当する。
イ 引用発明の「伝動機構」は、シャフトである「テールシャフト204」を含んでおり、かつ、「前記エンジンEからの動力を前記テールロータ207に伝達する」点で本件特許発明1の「シャフトユニット」と同様の機能を有するものであるから、本件特許発明1の「シャフトユニット」に相当するといえる。
ウ 本件特許発明1の「前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される」は、弾性体がトランスミッションとドライブシャフトとの間に設けられている場合も含むものと解される。また、引用発明の「スプリングジョイントなどの可撓ジョイント203」は、弾性を有することが明らかであり「弾性体」といえるものである。
そうすると、引用発明の「前記伝動機構に設けられるスプリングジョイントなどの可撓ジョイント203とを備え、」「前記スプリングジョイントなどの可撓ジョイント203は、前記ギヤーボックス202の出力軸202aと前記テールシャフト204との間において、前記伝動機構に設けられる」と、本件特許発明1の「前記シャフトユニットに設けられかつゴム系材料からなる弾性体とを備え、」「前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される」とは、「前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、」「前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される」との限度で一致するといえる。
エ 引用発明の「パワーテークアウト用のギヤーボックス202」は、「水平ベルト伝動機構Vを介してエンジンEに連結され、かつ、前記テールシャフト204がその出力軸202aに連結される」ものであるから、エンジンEからの動力をテールシャフト204に伝達するものといえる。
したがって、引用発明の「水平ベルト伝動機構Vを介してエンジンEに連結され、かつ、前記テールシャフト204がその出力軸202aに連結されるパワーテークアウト用のギヤーボックス202」は、本件特許発明1の「前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッション」に相当するといえる。
オ 引用発明の「ギヤボックス206」は、「前記テールシャフト204に前記テールロータ207を連動させる」ものであるから、テールシャフト204の回転トルクをテールロータ207に伝達するものといえる。
したがって、引用発明の「前記テールシャフト204に前記テールロータ207を連動させるギヤボックス206」は、本件特許発明1の「前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部」に相当するといえる。
カ 引用発明の「前記テールシャフト204を覆うテールボデー205を備える」という構成と、本件特許発明1の「前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディとをさらに備え」という構成は、「前記ドライブシャフトを覆うテールボディをさらに備え」との限度で一致するといえる。
キ したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
<一致点>
「駆動源と、
テールロータと、
前記駆動源からの動力を前記テールロータに伝達するためのシャフトユニットと、
前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、
前記シャフトユニットは、ドライブシャフトと、前記駆動源からの動力を前記ドライブシャフトに伝達するトランスミッションと、前記ドライブシャフトからの回転トルクを前記テールロータに伝達するための伝達部とを含み、
前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される、無人ヘリコプタであって、
前記ドライブシャフトを覆うテールボディをさらに備え、
前記駆動源はエンジンを含む、無人ヘリコプタ。」
<相違点1>
「弾性体」に関し、本件特許発明1では、「ゴム系材料からなる」ものであるのに対し、
引用発明では、「スプリングジョイントなど」が例示されるものである点。
<相違点2>
「ドライブシャフトを覆うテールボディ」に関し、本件特許発明1では、「内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、」「前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持する」ものであるのに対し、
引用発明では、当該事項を有していない点。
(3)本件特許発明1との相違点の判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
ア 刊行物には、記載事項(キ)に「胴体5aの中間部に補強板5eを設け、この補強板5eを介して胴体5aと連結パイプ5dとを結合する」と記載され、記載事項(ケ)に「前記テールシャフト71が複数のベアリング10を介してこの剛性の高いテールボデー5の連結パイプ5dに支持される」と記載されており、併せて図1を参照すると、胴体5aは、テールシャフト71を覆い、かつ、ベアリング10、連結パイプ5d及び補強板5eを介してテールシャフト71を支持しているものと認められる。
したがって、刊行物の記載事項(カ)~(ケ)、上記認定事項及び図面内容を総合すると、刊行物には、図1に係る例として、以下の技術的事項が記載されていると認められる(以下「刊行物に記載の技術的事項1」という。)。
「テールシャフト71の振動を無くすために、テールシャフト71を連結パイプ5dに回転自在に支持するベアリング10と、テールシャフト71を覆い、かつ、ベアリング10、連結パイプ5d及び補強板5eを介してテールシャフト71を支持する胴体5aとを備える無人ヘリコプター。」
イ 刊行物に記載の技術的事項1の「テールシャフト71」は、その意味、機能または構造からみて本件特許発明1の「ドライブシャフト」に相当し、以下同様に、「胴体5a」は「テールボディ」、「無人ヘリコプター」は「無人ヘリコプタ」にそれぞれ相当する。
また、刊行物に記載の技術的事項1のベアリング10は、テールシャフト71を回転自在に支持するものであるから、テールシャフト71の外周に設けられているものといえる。したがって、刊行物に記載の技術的事項1の「テールシャフト71を連結パイプ5dに回転自在に支持するベアリング10」と、本件特許発明1の「内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリング」とは、「前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリング」という限度で一致するといえる。
ウ そうすると、刊行物に記載の技術的事項1は、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項のうち、「前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディとをさらに備える」点を有していると認められる。
エ そして、刊行物の段落【0008】には、引用発明のテールシャフト204が飛行中に振動する旨記載されていることから、当該テールシャフト204の振動を低減すべく、刊行物に記載の技術的事項1を、引用発明に適用する動機付けは十分にあるといえる。
オ ここで、本件特許発明1において、ベアリングを内輪を有さないものとした理由は、本件特許明細書の段落【0058】の「ドライブシャフト46に高周波の回転数変動が発生しても、ニードルベアリング134とドライブシャフト46との接触部が破損することを抑制できる。また、ドライブシャフト46をニードルベアリング134から容易に着脱できるため、部品の点検や交換が容易になる。」、同【0059】の「ドライブシャフト46をニードルベアリング134に装着するのに適切な位置にニードルベアリング134を配置できるため、ドライブシャフト46を容易に装着できる。」という作用効果を得るためのものと認める。
カ そして、例えば、異議申立人が提出した甲第3号証(米国特許出願公開第2009/0057481号明細書)(段落[0016]、[0024]及び図2等参照)または同甲第5号証(中国実用新案第202345913号明細書)(段落[0022]、[0023]及び図1等参照)に記載されるように、ヘリコプタにおいて、メインシャフトを回転自在に支持するためのベアリングとして、内輪を有さず、メインシャフト(甲第3号証の第一出力軸20、甲第5号証のメインローター軸1)に直接接触するように前記メインシャフトの外周に設けられるベアリング(甲第3号証の第一、第二のニードル軸受90、100、甲第5号証の無インナーリング円筒ローラベアリング2)を用いるという技術は、従来周知の技術であるといえる。
キ しかしながら、甲第3号証や甲第5号証に記載されるものは、いずれもテールロータではなくメインロータに動力を伝達するメインシャフト用のベアリングである上、上記オで述べたような作用効果に関する記載はない。そして、甲第3号証に記載されるのは、内輪を有する第三のニードル軸受110(FIG.2の記載から内輪を有していることが把握できる。)及び第一~三スラスト軸受60~62を併用するものであるから、上記オで述べたような作用効果は奏し得ないものと解され、また、甲第5号証に記載されるものも、内輪を有する三点接触玉軸受3を併用するものであることから、同様に上記オで述べたような作用効果は奏し得ないものと解される。
ク したがって、上記エの適用の際、ドライブシャフトのベアリングに、上記カの周知技術を採用する動機付けはなく、また、作用効果の予測性もないというべきである。
よって、本件特許発明1は、引用発明、刊行物に記載の技術的事項1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
(4)本件特許発明2との対比
ア 本件特許発明2と引用発明とを対比すると、上記(2)ア、イ、エ~カと同様のことに加えて、次のことがいえる。
イ 本件特許発明2の「前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される」は、弾性体がトランスミッションとドライブシャフトとの間に設けられている場合も含むものと解される。また、引用発明の「スプリングジョイントなどの可撓ジョイント203」は、弾性を有することが明らかであり「弾性体」といえるものである。
そうすると、引用発明の「前記伝動機構に設けられるスプリングジョイントなどの可撓ジョイント203とを備え、」「前記スプリングジョイントなどの可撓ジョイント203は、前記ギヤーボックス202の出力軸202aと前記テールシャフト204との間において、前記伝動機構に設けられる」は、本件特許発明2の「前記シャフトユニットに設けられる弾性体とを備え、」「前記弾性体は、前記トランスミッションと前記ドライブシャフトとの間から、前記ドライブシャフトと前記伝達部との間までにおいて、前記シャフトユニットに介挿される」に相当するといえる。
ウ したがって、両者は、上記(2)キと同様の<一致点>で一致し、以下の点で相違している。
<相違点3>
「ドライブシャフトを覆うテールボディ」に関し、本件特許発明2では、「内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、」「前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持する」ものであり、「前記ベアリングの外周に設けられ、前記テールボディに支持されかつ環状に形成されるハウジングとをさらに含み、前記ハウジングは、前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む」のに対し、
引用発明では、当該事項を有していない点。
(5)本件特許発明2との相違点の判断
ア 刊行物には、記載事項(キ)に、「胴体5aの中間部に補強板5eを設け、この補強板5eを介して胴体5aと連結パイプ5dとを結合する」と記載され、記載事項(ケ)に、「前記テールシャフト71が複数のベアリング10を介してこの剛性の高いテールボデー5の連結パイプ5dに支持される」と記載されており、併せて図1を参照すると、胴体5aは、テールシャフト71を覆い、かつ、ベアリング10、連結パイプ5d及び補強板5eを介してテールシャフト71を支持しており、補強板5e及び連結パイプ5dは、ベアリング10の外周に設けられ、かつ、胴体5aに結合されているものと認められる。また、一般的に、パイプがパイプの軸方向に貫通する孔を含むのは技術常識であり、併せて図1を参照すると、連結パイプ5dも連結パイプ5dの軸方向に貫通する、テールシャフト71及びベアリング10を配置するための孔を含むものと認められる
したがって、刊行物の記載事項(カ)~(ケ)、上記認定事項及び図面内容を総合すると、刊行物には、図1に係る例として、以下の技術的事項が記載されていると認められる(以下「刊行物に記載の技術的事項2」という。)。
「テールシャフト71の振動を無くすために、テールシャフト71を連結パイプ5dに回転自在に支持するベアリング10と、テールシャフト71を覆い、かつ、ベアリング10、連結パイプ5d及び補強板5eを介してテールシャフト71を支持する胴体5aとを備え、ベアリング10の外周に設けられかつ胴体5aに結合される補強板5e及び連結パイプ5dを含み、前記連結パイプ5dは、連結パイプ5dの軸方向に貫通する、テールシャフト71及びベアリング10を配置するための孔を含む、無人ヘリコプター。」
イ 刊行物に記載の技術的事項2の「テールシャフト71」は、その意味、機能または構造からみて本件特許発明2の「ドライブシャフト」に相当し、以下同様に、「胴体5a」は「テールボディ」、「無人ヘリコプター」は「無人ヘリコプタ」にそれぞれ相当する。
また、刊行物に記載の技術的事項2のベアリング10は、テールシャフト71を回転自在に支持するものであるから、テールシャフト71の外周に設けられているものといえる。したがって、刊行物に記載の技術的事項2の「テールシャフト71を連結パイプ5dに回転自在に支持するベアリング10」と、本件特許発明2の「内輪を有さず、前記ドライブシャフトに直接接触するように前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリング」とは、「前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリング」という限度で一致するといえる。
ウ そうすると、刊行物に記載の技術的事項2は、上記相違点3に係る本件特許発明2の発明特定事項のうち、「前記ドライブシャフトの外周に設けられるベアリングと、前記ドライブシャフトを覆いかつ前記ベアリングを介して前記ドライブシャフトを支持するテールボディと」を含む点を有していると認められる。
エ そして、上記(3)エ~キの説示と同様に、刊行物に記載の技術的事項2を、引用発明に適用する動機付けは十分にあるといえるが、ドライブシャフトのベアリングに、上記(3)カの周知技術を採用する動機付けはなく、また、作用効果の予測性もないというべきである。
オ さらに、刊行物に記載の技術的事項2における「孔」は、テールシャフト71及びベアリング10を配置するためのものであるから、本件特許発明2のように「前記ベアリングよりも径方向外側」に配置されるものではないし、そのような配置とすることは構造上不可能なものである。
また、刊行物に記載の技術的事項2を、引用発明に適用したならば、本件特許発明2の「ハウジング」に機能上相当するのは、「補強板5e及び連結パイプ5d」になるが、それは「環状に形成される」ものとはいえないものであるし、「前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む」というものでもない。そして、当該「補強板5e及び連結パイプ5d」の構成を大幅に変更して、「環状に形成される」ものとし「前記ベアリングよりも径方向外側において前記ドライブシャフトの軸方向に貫通する孔を含む」構成とすることを容易とする合理的な理由も見当たらない。
カ よって、本件特許発明2は、引用発明、刊行物に記載の技術的事項2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
(6)小括
以上、検討したとおり、取消理由によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立書の第14~16ページの「(ア)本件特許発明1と甲1発明との対比」において、ベアリングが内輪を有さないことに関し、取消理由通知において採用しなかった甲第2、4、6号証の記載事項から容易想到である旨も主張しているので、以下各証拠について検討する。
ア 甲第2号証
甲第2号証(実公平6-6877号公報)に記載される「ニードルベアリングよりなるクラッチパイロットベアリング7」は、内輪を有さないことの直接的な記載はないものの、分解斜視図である第1図を見ると、その内側の面に縦の線が記載されており、ベアリングの技術常識を考慮すると、縦の線はニードルを表していると解するのが相当であるので、当該「ニードルベアリングよりなるクラッチパイロットベアリング7」は内輪を有さないものと一応把握できる。
しかしながら、当該「ニードルベアリングよりなるクラッチパイロットベアリング7」は、テールロータに動力を伝達するドライブシャフトを支持するものではなく、ロータに駆動ギア8を介して動力を伝達する「中心軸10」を支持するものである上、その構造からみて、エンジンEの回転数が所定回転数未満のとき(遠心クラッチが切れている状態)、エンジンEにより回転する「ファン一体型クラッチベース1」とエンジンEからの動力が伝達されない「中心軸10」の相対回転を許容し、エンジンEが所定回転数になり「クラッチシュー12」により「中心軸10」に動力が伝達されるとき(遠心クラッチが接続する状態)は、「中心軸10」とともに回転されるものであって、本件特許発明1の「ベアリング」とは、その目的とするところも作用効果も異なるものであるので、上記3(3)エの適用の際、ドライブシャフトのベアリングに、甲第2号証に記載の技術的事項を採用する動機付けがあるとはいえないし、作用効果の予測性もないというべきである。
イ 甲第4号証
甲第4号証(AMERICAN HELICOPTER SOCIETY,47th Annual Forum Proceedings,1991年5月6~8日開催,Volume2,p1249-1258)に記載されるベアリングも、テールロータに動力を伝達するドライブシャフトを支持するものではなく、「メインギアボックス」に用いられるものである上、上記3(3)オで述べたような作用効果に関する記載はなく、さらに、第1253ページ左上欄第6~7行及びFIG.9の記載からみて、ベアリングのローラーまたはボールを保持する内輪自体をシャフトに組み込んでいるものであるから、本件特許発明1の「内輪を有さ」ない「ベアリング」とは異なるものと解される。
したがって、上記3(3)エの適用の際、ドライブシャフト及びそのベアリングに採用する動機付けがあるとはいえないし、作用効果の予測性もなく、仮に採用したとしても、本件特許発明1の「ベアリング」に係る構成には至らない。
ウ 甲第6号証
甲第6号証(齋藤光平,外6名,航空工学講座 第11巻 ヘリコプタ,社団法人日本航空技術協会,2011年3月31日第4版第1刷,p.130-131,p.134-135)に記載されるころ軸受も、テールロータに動力を伝達するドライブシャフトを支持するものではなく、「トランスミッション系統」に用いられるものである上、上記3(3)オで述べたような作用効果に関する記載はなく、、第131ページ第3行の記載からみて、上記イと同様にころ軸受けのころを保持する内輪自体をギアシャフトと一体化しているものであって、さらに、第131ページ第2行には、ころ軸受は玉軸受(内輪自体をギアシャフトと一体化することはころ軸受しか記載がないことから、玉軸受は内輪をギアシャフトとは別途設けていると解される。)と組み合わせて使用する旨記載されていることから、上記3(3)エの適用の際、当該技術的事項をドライブシャフト及びそのベアリングに採用する動機付けがあるとはいえないし、作用効果の予測性もなく、仮に採用したとしても、本件特許発明1の「ベアリング」に係る構成には至らない。
なお、図7-16に記載されるテール・ロータ・シャフトに用いるベアリングは、当該図の右下の断面図の記載から明らかなようにテール・ロータ・シャフトとは別体の内輪を有する形式のものである。
(2)特許異議申立書の第16~18ページの「(イ)本件特許発明2と甲1発明との対比」において、甲第6号証にベアリングを覆って支持する部材が胴体構造に固定されており、甲第7号証(Boeing MH-47G,FLIGHT INTERNATIONAL,[online],[平成28年1月12日検索],インターネット<https://sobchak.files.wordpress.com/2013/02/mh47cut.jpg>、甲第8号証(US Army Special Operations Command MH-47G Special Operations Chinook,[online],Boeing,[平成28年1月12日検索],インターネット<http://www.boeing.co.in/resources/en-in/media/BoeingIndia/Products-and-Services/Defense-Space-and-Security/BDS-in-India/MH-47G_overview.pdf>、甲第9号証(木達一仁,Perdix駆動系詳細,Perdix,[online],@kazuhito,[平成28年1月12日検索],インターネット<http://kidachi.kazuhi.to/hpa/perdix/drive.html><http://kidachi.kazuhi.to/hpa/perdix/>により、ハウジングに貫通孔を設けることが周知技術であり、甲第6号証の記載事項に甲第7~9号証の記載事項を組み合わせることは容易であって、それを甲1発明に採用することにより本件特許発明2が容易に想到し得た旨も主張しているので以下検討する。
特許異議申立書の第10ページ第13~20行の記載によれば、異議申立人は、甲第1号証における従来の技術と実施の形態を組み合わせたものを「甲1発明」としている。
しかしながら、甲第1号証には、両者を組み合わせたものは記載されていないので、上記3(1)アで述べた「引用発明」と上記3(5)アで述べた「刊行物に記載の技術的事項2」がそれぞれ記載されているというべきである。
そして、「引用発明」に「刊行物に記載の技術的事項2」を適用した上で、甲第6号証に記載の技術的事項に甲第7~9号証に記載の技術的事項を組み合わせたものをさらに採用するということは、いわゆる容易の容易ということになり、当業者であっても容易になし得たとすることはできない。
第5 むすび
以上検討したとおり、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700356